【基本情報】
番号 |
2023-02 |
不正行為の種別 |
盗用、自己盗用 |
不正事案名 |
近畿大学元教員による研究活動上の不正行為(盗用等)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
法学 |
調査委員会を設置した機関 |
近畿大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
近畿大学 法学部 元教員 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
近畿大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成19年度~平成31年度 |
告発受理日 |
令和元年6月28日、令和元年7月12日 |
本調査の期間 |
令和元年11月23日~令和3年10月1日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和5年7月7日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 元教員が執筆した論文に盗用が疑われるとして、令和元年6月28日付、令和元年7月12日付で告発があった。予備調査の結果、本調査を行うこととし、調査委員会を設置した。調査の結果、論文16編について盗用(特定不正行為)、7編(盗用が認定された論文との重複を含む。)について自己盗用を認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 5名(内部委員2名、外部委員3名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:近畿大学 法学部 元教員 イ)調査対象論文:26編(国内の学術誌:2012年(2編)、2014年、2015年、2016年(2編)、2017年(2編)、2018年、2019年、学内の紀要論文:2012年(2編)、2013年、2015年、2016年(4編)、学外の紀要論文:2007年(3編)、2008年、2009年、2010年(2編)、2015年) 2)調査方法 予備調査結果の精査、調査対象論文と先行論文との比較、調査対象者へのヒアリング (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 盗用、自己盗用 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 近畿大学 法学部 元教員 (認定理由) 他者の論文の文書が、引用元を明記することなくほぼ同一のものとなっているため盗用を認定した。 また、元教員がすでに発表している論文の文書が、引用元を明記することなくほぼ同一のものとなっているため自己盗用を認定した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 不正行為を認定した論文のうち6編は科学研究費助成事業による研究成果であるが、不正行為を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ 特定不正行為を認定した論文については、取り下げが妥当であることの勧告を行う予定。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 本調査で認定した不正行為とは別に無断転載による著作権法違反等を理由に、令和元年8月5日に元教員を諭旨解雇。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 各教員に対し、研究活動における不正行為に関するAPRIN e-ラーニングの受講を義務付けしており、元教員も受講していた。大学においては、元教員以外に研究不正の事案はなく、一定の効果があると認識している。 元教員は、学生に対して論文・レポートの作法の習得を含む演習を担当していることからも不正行為について十分な認識を持っていたものと考えられる。 以上のことからも発生要因としては、元教員の規範意識の欠如によるものである。 2.再発防止策 当該問題の発生後には、直ちに、知的財産関係(著作権等)を専門とする弁護士を大学に招いて、教職員に対する著作権侵害に関する講演会を開催した(令和元年12月9日)。さらに研究上の不正行為防止のための説明会・研修会を毎年実施し、啓発活動を行い、APRIN e-ラーニングの受講を義務化。今回の事案が元教員の規範意識の欠如に起因することを踏まえて、令和5年度からは、教員と大学院生を対象に、「学術論文(著書)の投稿時におけるセルフチェックシート」(教員対象のチェックシートは各自保管する。)や「学位論文提出時におけるセルフチェックシート」(大学院生対象のチェックシートは指導教員に提出し、論文審査にあたる主査・副主査・副査が不正の有無を確認する。)を実施し、研究上の不正行為の防止をより一層強化する。大多数の教員や大学院生は研究倫理を身につけているが、一方、極めて稀に今回の様な問題を起こす教員や大学院生もいる可能性があるため、著書や学術論文等の提出前は、セルフチェックシートにより不正行為がないことを確認し、研究不正を未然に防ぐ。 |
◆配分機関が行った措置 |
科学研究費助成事業について、盗用と直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかったため、返還を求めるものではないが、盗用が認定された論文は科学研究費助成事業の成果として執筆された論文である。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、被認定者に対し当該資金への申請及び参加資格の制限措置(令和6年度~令和11年度(6年間))を講じた。 |
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