令和5年度女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援に関する有識者会議(第2回)議事要旨

1.日時

令和6年2月26日(月曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省5F 5F1会議室

3.議題

(1)令和5年度「女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業」について(最終報告)
(2)令和6年度予算額(案)について
(3)その他

 

4.出席者

委員
大槻座長、乾委員、小山内委員、島委員、矢島委員

文部科学省
安里男女共同参画共生社会学習・安全課長、鈴木男女共同参画学習室長、田才女性政策調整官、廣山男女共同参画推進係長

 

5.議事要旨

(1)令和5年度「女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業」について、委託事業者より最終報告が行われた。委員からの主な質問や意見は以下のとおり。
 
【京都女子大学】
(委員)
 実施されたプログラムの受講者について、正規社員が多い中で、既に管理職になっている方もいるというお話だったが、そのような方はどのくらいいたか。

(回答)
 アンケートを取っていないため、正確な数字は分からないが、インタビューした中では3人、うち1人は小学校の教頭であり、ロールモデルがいないという悩みをお持ちだった。

(委員)
 管理職であるが今まで学びをするチャンスがなかったという理由の人は少なく、それ以外の人はまだ管理職手前で学びたいという動機が多かったという理解で良いか。

(回答)
 そのとおりである。

(委員)
 今回は受講期間が10月開始であったが、開始時期を早めて長期間のプログラムを組むということも可能なのか。例えば1年間のうち半期で組むよりも、通年くらいの長期プログラムを組んだ方が有用性は高まるのかということを教えてほしい。

(回答)
 受講期間については、開始前に広報や出願、選考等を行うことを考えると、どうしても10月開始にずれ込んでしまうが、この事業を本格化して本学が行うリカレントの一つの柱として事業化するに当たっては、もう少し長い期間が良いと考えている。
 アンケートの自由回答の中でも、「短くて急かされるように課題をこなしていったので、もう少しゆったりと受講したい。」という意見や、「振り返りの時間がほしかった。」という御意見もあったため、少なくとも実質、半年間は必要である。
 事業を本格化する場合、例えば6月から2月までの期間を組めれば、自分なりに消化する、知識を自分のものとする時間が十分に取れると思っている。一方で、現実的に単年度の委託事業として実施するに当たっては、最終報告の時期が決まっている関係もあり、10月開始で2月末、3月上旬の辺りまでが精一杯な期間になる。

(委員)
 本事業に参画している大学の中には、既に通年のリカレントプログラムを持つ大学もあると思うが、委託ではなく大学そのものの通常プログラムとして実施するならば可能なのか、あるいは今回のやり方だと選考などに手間や時間がかかるのか。

(回答)
 通年で実施するのが望ましいと考えているが、前期は他にも様々な事業を行っている関係で大学の組織運営上の課題もある。

(委員)
 本事業は、58名が出願し、35名合格となっているが、どのような基準で合格者を選んだか。

(回答)
 面接と書類審査を行ったが、書類審査では志望動機と、リカレントプログラムを受けて自分がどのようにしてキャリアに活かすのかという点について、論理の明確性を書類で審査した。面接はオンラインで実施したが、リカレントプログラムの志望動機がコンセプトとマッチしているかどうか、ミスマッチがないかどうか、オンライン視聴やオンデマンド視聴を最後まで受ける意欲があるかどうか、課題をきちんと出せるか、といった観点を審査し、総合点判定を行った。

(委員)
 志望動機と意欲ということで、例えば正規雇用なのか非正規なのかという属性は見ていなかったか。

(回答)
 属性も見たが、申込者はほとんど正規の方だった。これはプログラムの特性上、広報の中でもマネジメント入門ということを謳っていたため、非正規の方は自然と入ってこなかったといことが考えられる。なお、本学は他にリーダーコースもあり、既に管理職である方はそちらのコースを選んでいた。

(委員)
 本事業に対する受講生や評価部会による評価が高かったのはプログラム運営において詳細まで行き届いた準備や工夫があったからと言える。受講生アンケートでは、ジェンダーへの気づきという部分も多く書かれており、大変素晴らしい事業であったと言える。
 自己学習は60時間程あったと思うが、全てオンラインで行ったのか。また、プログラムでは受講生同士で議論する時間もあった中で、学習時間帯はどのように設定して行ったのか。
今回の受講料は無料であり、次回は受講料を設定するという説明があったが、仮に受講料を取ろうとしたときにどのくらいの金額設定を考えているか。
 それから今後は、より多くの大学と連携して取り組みたいということだったが、今回はどちらかと言うと都市部の大学であったため、地方の自治体や大学なども連携できると良い。関心を寄せて視察に来られた自治体や大学もあるということなので、地方で学ぶ機会やキャリアアップを目指す機会が少ない女性にも届くようにしていただけると大変ありがたい。
 ロールモデルに独身の方も、という声があったことについて、女性の多様な生き方という部分ではそれも非常に大事な観点だと思う。

(回答)
 自己学習は、オンライン又はオンデマンドで68時間の学習を行った。一緒に学ぶ機会としては、土曜日に開講し、遠隔地の方でも大学に来て勉強したい、大学のキャンパスの雰囲気を感じながら勉強したい、という方もいたため、ロールモデルセミナーについてはハイブリッドで授業を行った。
 受講料については、あまり高額だと他と競合することや広報においても難しい面があるため、来年度は事務手数料の形で3万円程度を想定しており、事業化するとなった際にはもう少し金額を上げようと考えている。
他大学との取組については、中部地方の私立大学や国立大学との連携を検討している。東京、中部、関西、九州という形で全国を網羅できるのではないかということと、今回の受講生で中部地方からの応募もあり一定のニーズがある。私立大学は、女性リーダーに特化したリカレントコースを持っているなど実績がある。また、本学と連携協定を締結している国立大学とも連携し、特色のある講座の提供ができるのではないかと考えている。地方の関係では、地方の大学同士でコンソーシアムのようなものを構築して取組を展開していこうとされているため、連携するには難しい部分もある。
 それからロールモデルについては今回偏ってしまったため、来年度は、より幅広く様々な女性リーダーの方からお話いただくような機会を設けたい。

(委員)
 全国的に網羅するという点では、東北の大学からも参画していただけると良い。

(委員)
 受講者から「内容が実践的で大変良い。」というポジティブな声が多かったということだが、これは実際に職場で使ってみて、それを振り返る機会というのはあったのか。
 また、リーダーシップやマネジメントについて受講前後で非常に大きな成果が見られていることが素晴らしい。実際、アンケート自体が振り返りの機会にもなっていると思う。その中でディスカッションが非常に有効だったという説明があったが、活発なディスカッションとなるよう、気づきが得られるような働きかけや工夫を何かされていたのか。
ロールモデルを多様にという点については、あまり広げ過ぎると生活全般の観点、人生全般に対してウェルビーイングを高めていくための学びという観点なども必要となってしまう。観点が分散されるよりもテーマを絞っていくことが必要になると思う。

(回答)
 受講者から、学んだことを職場で実践したという声は聞いている。例えば、タイムマネジメント講座において、効率的な処理のために会議の議事録はその場ですぐにパソコンで取る、ということを学び、さっそく会社で実践しているという声があった。また、同講座の人的資源管理の中では、学んだことを自分の中で一般化して、それを新しい状況に試してみて、また振り返る、という経験学習サイクルの理論もあり、この理論を生活の中で実践しているという声もあり、個々で自分の生活の中、あるいは仕事の中で、授業のエッセンスを取り入れている行動が見られた。
 ディスカッションの工夫については、各授業、オンラインでの授業のディスカッションの中に、メインの講師のほかにコーディネーターとアシスタントコーディネーターが付く体制とし、特に、本プログラムの前半では、会話が活性化しない、おとなしいというときにサポートを行った。終盤以降では、そういったサポートは必要なく、受講者は積極的に発言されていた。

(委員)
 職場で実践を行ったことの振り返りは重要である。受講者から、振り返りの時間がほしかったというコメントもあったが、振り返りの機会を設けることで、先ほど話のあった経験学習サイクルを何度か回すことができると有効だと思う。特にマネジメントや対人スキル関連については、人に使ってみて上手くいかなかった点、難しかった点などは他の受講者にとっての学びにつながっていく。

(委員)
 属性について、受講者は大企業又は中小企業のどちらに勤めている方が多いのかも、今後また機会があれば把握していただけると良い。現在、大企業は自社の中でキャリア研修を実施する一方で、中小企業では実施できていない状況もあるため、そこへの支援として各地域とか大学の中でこのようなプログラムがあると言えることは非常に大きな意味があると思う。
 大変良いプログラムで、このような取組が他にも増えてくると良い。また、単に自分が管理職になるということだけに留まらず、ジェンダーの視点も含めて職場に働きかけたり、地域や家庭内の性別役割分担を変えていったりすることにつながると良い。それにより、気づいて行動する女性が増えていくことに大きな意味があるため、今後もプログラムの有用性も示しながら進めていただけると良い。

(委員)
 受講生アンケートにおいて、プログラム全体の満足度が「どちらでもない」とか、目的に「合っていなかった」が3%となっており、これは1名だと思うが、同一者か。なぜその方には合わなかったのか、分析や今後の改善策などを教えていただきたい。
 また、本プログラムは大変有用度の高いプログラムになっていると思う一方、マネジメント不安解消のアンケート項目については、「解消された」が54%となっており、他の項目と相対的に低い数値になっている。このマネジメント不安を解消するためにはどのような働きかけやプログラムが良いのか、何かヒントがあれば教えていただきたい。

(回答)
 同一者である。本人から話を聞くと、仕事と趣味が多忙でセルフコントロールが上手くできず、出席率が良くなく、課題の提出が遅れたようだった。また、本人からは「課題も多く、このように充実したプログラムとは思っていなかった。」とのことで、課題やプログラムについては、面接の際にも確認したものの、結果的にミスマッチを埋められなかったということになる。
 マネジメント不安の解消については、短期間のプログラムの中で、インプットはできたが、アウトプットをしてそれが正しいのかどうか検証をしたり、フィードバックしたりといった部分がないため不安を抱かれていると思う。実際に、今後卒業した後の不安を解消するために、受講生同士のネットワークを活かして意見交換したいという声や、大学に戻ってきて学び直しができる講座がほしいという声もあったため、アフターフォローのイベントや受講生同士のネットワーク強化などの取組を今後検討したい。


【株式会社Ridilover】
(委員)
 全国フォーラムのタイトルは「「学校と未来」を作る全国フォーラム」となっており、ここには女性管理職という言葉は入っていない。また、キャッチコピーとして「学び舎の未来を共に築く、新たな教育の光」となっており、そこから女性管理職登用の促進につなげていったことが素晴らしい。特に、参加者の感想から、等身大のロールモデルや各教育委員会の地道な取組が、参加者に響いたのではないかと思う。
 前回の中間報告(令和5年11月)の際、アンコンシャス・バイアスに関して有識者委員会(委託者が設置した会議)での意見と、当初の事業目的との間に齟齬が生じてしまっていたが、そこから上手く軌道修正できたと思うが、振り返られてみて、どのように感じているか。
 また、第3部のグループディスカッションでの盛り上がりも非常に良いと思うが、参加者が58人と、フォーラム全体の4分の1程度となっている。一般的にこの時間帯であれば40~50%くらいは残ると思うため、もう少し参加してもらうための工夫があれば良かった。

(回答)
 今回の事業を通して、私自身も特にアンコンシャス・バイアスの存在を感じつつも、当初はうまく言語化できていない部分があった。中間報告の際に、アンコンシャス・バイアスの扱いについて、御意見をいただいてから見直し、フォーラム開催に向かえたことは大変良かったと思っている。実際にフォーラムを開催してみて、参加者の感想でも、女性自身がアンコンシャス・バイアスを持っている面もあることや、NWECの研究でもアンコンシャス・バイアスを持っているのは女性の方が多い、という調査結果があることを知り、アンコンシャス・バイアスへの気づきを、もっとメッセージとして発信していけたらと考えている。
 グループディスカッションについては、初対面同士がオンラインで話すというハードルなど、オンラインで実施することの難しさはあった。有識者委員会の中でも意見は出たが、例えば来年同じ事業を実施するのであれば、今回のグループディスカッションに参加して良かったという参加者の声を来年度のチラシに入れ込むとか、参加するハードルを下げるための工夫は必要と考えている。

(委員)
 フォーラム全体の設計として、ディスカッションでどのようなことが期待できるのかという役割の面では、より一貫性を持たせた形でできると良いのではないかと思う。

(委員)
 アンコンシャス・バイアスを軸として、本フォーラムを開催していただいた結果、参加者からの評価としても非常に良い結果が得られていると思う。
 フォーラムのまとめとして説明された中に、「女性管理職の比率向上については特段強い課題意識を抱いていない層」も対象とあるが、これは課題意識を捉えていない方こそ、アンコンシャス・バイアスを持っているのではないかと思われる。参加対象の建付けはどのように考えていたか。

(回答)
 そのような層の人たちも対象に、アンコンシャス・バイアスに気づいてほしいというのがフォーラムの思いとしてあった。今回のフォーラムでは男女に関わらず、女性比率向上について特段、課題意識を持ってない層も含めて取り入れたかったということもあり、第1部は女性管理職だけがテーマとならない内容で話し合っていただくよう工夫した。結果としては女性、特に女性管理職の参加者が多かったため、来年度はどのように対象を設定するのか検討できると良いだろう。

(委員)
 女性を対象とするのも大変重要だと思う一方で、このような問題の壁になっているのは、「特段、課題意識を持っていない層」の方々であることも確かに壁として大きい。これまでも、男性管理職や年齢の高い層の意識が変わらないとなかなか女性が管理職になれないといった報告があるが、やはりそういった管理職像を見て自分には無理だと思ってしまう女性も多いため、そういった層の意識改革や、まずは気づいてもらう部分が非常に大事なのではないかなと思う。

(回答)
 有識者委員会でも同様の意見があり、そこは二軸でやっていかなければいけないと思うが、ターゲットが二つになり、それに合わせてフォーラム内容も変えていく形になるため検討が必要である。また、それを1回のフォーラムで全部やろうとすると対象者が広くなりすぎてしまい難しいため、例えば、他の軸で実施されている文部科学省関係の研修なども意識しつつ考えていく必要がある。

(委員)
 11月の中間報告での意見を踏まえ、アンコンシャス・バイアスをしっかり扱う形で実施されたと思うが、女性たち自身が自分たちを過小評価しているといった、いわゆるインポスター症候群のような部分がメインテーマになってしまうと女性の問題に終始し、結局変わらないのではないかと思う。
 参加者は、教育委員会関係者や管理職であり、その多くが女性であったため、そのような視点になったと思うが、第2部で教育委員会の働き方改革として組織的な事例が取り上げられていたので、そこも強調することで、自分が関わっている職場の課題としての見方も持っていただけると良かった。
 参加者の感想でも、自分のキャリア形成を考える機会となった方が多い中で、職場の在り方を変えていく必要性を感じた方もいるのではないかと思う。そこぜひこの後の報告としてまとめていただきたい。アンコンシャス・バイアスを持つのは決して女性の方が多いということはなく、インポスター症候群は女性がよく例として出されるが、職場で今、マネジメントを担っている層の多くが男性である以上、その人たちが変わることと、その背景にある働き方が変わることが大きな課題であるので、その辺りを次年度以降の取組の課題としていただければと思う。

(委員)
 学校フォーラムについて、第1部は「学校経営における多様なリーダー論」をテーマとしているが、本日の説明だと「多様」が2つの方向性となっている。1つは、女性管理職に限定せずに学校経営、意思決定過程に関わる多様な属性の人が参画すること、もう1つは従来型のトップダウンで統率するリーダーシップ、下からのボトムアップによるリーダーシップの在り方といったリーダー像の多様性ということかと思う。しかしながら、意思決定に多様な属性が参画する意味、それを阻むアンコンシャス・バイアスとリーダーシップ像の多様性を阻むアンコンシャス・バイアスでは性質が異なると思うが、この2つの対応性とアンコンシャス・バイアスの説明をどのように関連付けたのか。説明資料では、主に女性が参画できないといったアンコンシャス・バイアスのことが想定されているように思う。

(回答)
 リーダーの多様性をテーマとしている。学校の教育現場におけるリーダーの多様性について話すセッションが入口にあり、その中の多様性の一つとして女性管理職があるという位置付けとした。その後、女性管理職を阻むものの要因にアンコンシャス・バイアスがあるといった流れから、これに関する課題等について登壇者から意見をいただきながらセミナーを進める、という設計で実施した。

(委員)
 学校教育現場における女性管理職の登用に関しては、戦略的に進める必要がある。元々、自分のアンコンシャス・バイアスに気づかない人に気づいてもらうことを一つの目的とし、リーダーシップの多様化がどれだけ学校経営に対して有効かという点を皮切りにすることで結果的に気づいてもらうということだと思う。そういう意味では今回、「学校と未来」を作る全国フォーラムのチラシの中に「多様なリーダー」ということがごく一部の記載となっており、サブタイトルも「女性管理職から考える学校運営」となっているが、この記載はむしろ無かった方がよかったかもしれない。

(回答)
 御指摘のとおり、例えば戸田市の学校経営ルーブリックについて話すことを強く打ち出すと、女性管理職比率向上について関心がない層ももっと巻き込めたかなと思っている。来年度以降はそのような工夫がより重要になると考えている。

(委員)
 学校の先生方は、女性管理職を増やすという視点よりも、いかに子供たちに良い教育をするかという視点を持つ方が多いため、そういったアプローチをするのも良いかもしれない。

(委員)
 例えば、「子供の未来のための多様なリーダーシップ」のような文言がサブタイトルに入り、第1部からプログラムを進行する中で、参加者がはっと気づくと女性ばかりというのも良かったかもしれない。

(委員)
 一方で、学校で女性管理職を増やすことは大変重要な課題であるため、より明確なメッセージを出すことで、チラシを手に取った方がこの課題に気づくということも重要である。

(委員)
 今、民間企業でも取組が進んでいるが、経営層をターゲットにする、人事をターゲットにする、それから女性たち自身をターゲットにするということを明確に分けて実施している。やはり女性管理職を増やすとか、そのための働き方も変えていくとか、組織的なアプローチを変えるのだということを前提にして真に知りたい人たちを集めた方が、短時間のフォーラムにおいては即効性があったのではないかと思う。様々なアプローチがあって良いと思うが、今、学校をめぐるフォーラムが数多くある中で、何を目指して参加するのかということがはっきり分かる方が良い。

(回答)
 対象をどこに置くのかもう少し議論した上で、狙った層に合わせたタイトル付けが重要ということで理解した。


(2)令和6年度予算額(案)について、事務局より説明を行った。委員からの主な意見は以下のとおり。
(委員)
 取組3について、未就学児から固定的な性別役割分担意識などの思い込みを持たないようにすることは非常に大切であると思う。取組2の学校における女性の意思決定過程への参加の他、学校の教育指導における固定的役割分担意識を助長する働きかけの問題については、本取組以外で取り組んでいることはあるか。

(文部科学省)
 国立女性教育会館が毎年、学校の先生方を対象とした男女共同参画研修を行っている。アンコンシャス・バイアスへの気づき、指導上の留意点などは既に教材として作っており、それを働きかけていくような研修もあるため、文部科学省と所管の独法で連携して取り組んでいけると良い。

(委員)
 今、学校で教職課程を学ぶ方は、そういったことを学べるようになっているか。教職課程の中にしっかり位置付けていくことが必要である。

(委員)
 現状は、教員養成課程の中では必須のプログラムになっていないと思うが、なぜか。

(文部科学省)
 教員養成課程コアカリキュラムの中には明示されていない。教職課程では他の内容の優先度が高いため、男女共同参画の優先順位を上げていかないといけない。

(委員)
 教員養成課程の中で男女共同参画のプログラムが盛り込まれることは大変重要であり、教職課程を学ぶ方も含む教員等だけでなく、未就学の幼児教育から学校教育に関わる方全ての受講が必須となるような働きかけをお願いしたい。



(3)その他について、男女共同参画全般に関する意見交換を行った。委員からの主な意見は以下のとおり。
(委員)
 中高生のキャリア学習でライフプランニングについて教えていると、生徒から「自分で環境を変えていくという考え方があることに驚いた。」という感想をもらうことがある。若者の中には、「今ある環境に適応しなければいけない」「不満を言うのは適応できていないからだ」という風潮があるように感じる。自ら環境を変えていくことの必要性を子供にも大人にも知らせていくことが大事である。

(委員)
 大学でも同様の傾向があり、重要な視点だ。これは社会人でも起こりうる。過去の文部科学省委託事業では、ハンディキャップがあり環境的に苦しい状況により学ぶ意欲のない方々をどう支援していくかというものもあった。環境を変えることなんて思いもよらないという方々に対してどうアプローチするかということも重要である。

(委員)
 例えば、京都女子大学のマネジメント入門コースの中に社会を転換するというテーマの学びを入れていただくことも考えられるため、来年度の授業等の中に盛り込めないか検討していただけると良い。

(委員)
 自分が変わるためには、社会や学校、組織も変えていかなければならない。自分だけのエンパワーメントではなく、社会へのアプローチという視点が入ることが必要だ。そのようなプログラム提供ができると良い。

(委員)
 一人一人が変わっていけば社会も変わっていくということもしっかり伝えていくことも重要だ。

(委員)
 自分が変わるときのモチベーションは、自分が動くことで学生たちのためになる、後輩たちのためになるという意識だ。

(委員)
 企業でも、自分の出世という意味では関心がない人が多いが、組織の決定に関わることで後輩たちの道を変えられる立場になるということにやりがいを感じれば、チャレンジする人も増えると思う。

(委員)
 学校の先生もそのような傾向があるかもしれない。管理職になって学校組織を変えるよりも、日々、子供たちへの指導を突き詰めたいと考える人もいると思うが、それを超えて組織を変えることにつなげていくという視点も必要である。

(委員)
 アンコンシャス・バイアスは、あるのだけど気づかないということが問題だ。中高生と探究学習を行っている中で、ジェンダーの問題を取り上げる子供たちも、自分たちの身近な問題ではなく開発途上国の女児の教育、児童婚、LGBTQの問題を取り上げることが多い。自分たちには今問題がない、というマインドで高校、大学まで過ごす子も多い。共学の高校の理科実験では男子生徒がリーダーシップを取っているとか、そういうことが自然になっていて気づくことが難しくなっている面もある。

(委員)
 私は、中学生にジェンダー視点を取り入れた防災教育を行っている。自分事として捉えていただくため、東日本大震災のときに起きた様々な課題や問題を紹介することで、その要因にはジェンダーの男女格差とかが根底にあるということを伝える。中学生ぐらいだとそれを素直に聞いてくれて、男女の格差があることに初めて気づいたとか、これからはこういう行動を変えようとか、女性生徒は自分のやりたいことをやって良いことが分かった、などの感想が出てくる。身近なテーマで伝えていくと自分事として捉えられるし、今の社会の課題に気づくことができると思う。

(委員)
 男女共同参画は、個人の問題が社会の問題に成り得るということを実感しやすいテーマの一つであるため、ぜひ引き続き取り組んでいただけると良い。



(以上)

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画学習・安全課

男女共同参画推進係
電話番号:03-5253-4111(2654)
メールアドレス:danjo@mext.go.jp

(総合教育政策局男女共同参画学習・安全課)