令和2年度女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援に関する有識者会議(第1回)議事要旨

1.日時

令和2年10月29日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

オンライン開催

3.議題

(1)令和2年度「女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業」(多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援モデルを構築するための実証事業の実施)について(中間報告)
(2)その他

4.出席者

委員
大槻座長、乾委員、小山内委員、島委員、矢島委員

文部科学省
石塚男女共同参画共生社会学習・安全課長、小林男女共同参画学習室長、高野女性政策調整官、平島男女共同参画推進係長ほか

5.議事要旨

(1)令和2年度「女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業」について委託事業者より、資料4に基づいて中間報告が行われた。委員からの主な意見は以下のとおり。

〇せんだい男女共同参画財団
・事業計画書に、学習継続の困難なケースの要因として、母親としての役割というジェンダー意識があり、その意識から抜け出すための働きかけが必要であるため、母子支援団体等の支援者側がそのようなジェンダー意識を持たないことが大事であるとの記載があるが、具体的に、支援者に対して、どのようなアプローチをしているのか。
(回答)
・昨年、ある女性が学び直しに来る予定だったが、その女性を支援している母子生活支援施設の方より、まずは子育てを優先させるべきではないかとの指摘があり、母親が自分のことに向き合いキャリア形成を行うことの意義について理解を得ることが難しかったことがある。そのため、今年度は、その点を意識して支援団体への説明を行い、理解を得たいと考えている。しかし、今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、支援活動ができていない団体もあり、また、支援団体経由で本事業へ参加している方も昨年度よりは少ないため、支援団体へのそういったアプローチはできていない状況である。
・20代前半や10代後半でもニーズがあるかと思うが、その年代へのアプローチはやはり難しいか。仙台周辺でニーズがないのか、アプローチに何らかの特有な困難さがあるのか、教えてほしい。
(回答)
・若い方の参加について、昨年度は支援団体経由での参加が多かったが、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で支援団体の活動自体がままならないこともあり、若い方からの申込みが少ない。昨年度は、若い方の体調不良やメンタル不調が多かったので、今年度はリプロダクティブ・ヘルス/ライツの講座を企画した。
・リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、「私の体を大切に」というような書き方をしているが、ターゲットは、既に問題に気づいている方、あるいはどこかの働きかけで気づかれた方なのか。そうであれば、まだ問題に気づいていない方へのアプローチは他にあるのか伺いたい。
(回答)
・問題に気づいていない方は、支援団体経由で関わりを持つことが多いため、広報のバリエーションを変えてアプローチしている。それによって、今年度は昨年度と違った層が集まった。

〇京都女子大学
・RPAの講座は、それぞれの職場で、オリジナルでプログラムを作れるようになるのか、あるいは講座で教わった一般的な事務処理手続のプログラムを実行運用できるようになるのか。また、講座ではWinActorというソフトを使うとのことだが、高額なソフトのため、中小企業ではソフトの導入ができない場合もあると思われる。受入れができる企業の目途はついているか教えてほしい。
(回答)
・WinActorという、シェアが一番高いソフト使用しているが、本コースでは汎用性のあるスキルを習得するという点に主軸を置いており、RPAのソフトが入っている施設を持っているパソナという企業で、実際にケーススタディーを実施する。最初は基礎を勉強し、最後のインターシップで模擬会社のようなチームに分かれ、1つの事例を用いて、業務のシナリオを作っていく。そのため、パソナの企業で基本的なことを習得し、その後、自分の企業に持ち帰る、あるいは転職の際に役立てることを目標としている。(参加者に無職はおらず、キャリアアップ、キャリアチェンジを目指している。)
・土曜通学コースが、他のコースと属性が違うということだが、難しさやニーズ等、他のコースと違う点はあるか。
(回答)
・土曜通学コースの受講生は年齢層が若く、非正規が多い。非正規を繰り返していたり、または、就職氷河期世代で就職先がなく、取りあえず非正規で雇用され、そのままの状況が続いているというのが大きな特徴といえる。市外からの受講者が多いという特徴もある。また、受講者の中には、会社でのOJTを受けていないという層も少なからずいる。土曜コースや、eラーニングコースのメインの年齢層(40代)は特に、OJTを受ける機会がなかったようだ。受講生の中には、RPAが会社に導入されたものの、その操作方法についての社内研修を受講できる対象ではなかったため、今回、RPAが受けられる土曜コースを希望したという声もあった。
 ・これまでの成果を踏まえ、本事業では心理相談を盛り込むとのことだが、差し支えなければ具体例を教えてほしい。
(回答)
過去に、既婚の受講生で、パートナーからモラハラのような発言を受けているというケースがあった。本人は起業や、正社員を目指しキャリアアップへの意欲があったが、新しいスタートを切ろうとすると、パートナーから「おまえはそんなことできないだろう」と言われるといったことがあった。また、自分に自信がない方も多い。キャリアカウンセリングよりもメンタルや、ウィミンズカウンセリングが必要ではという意見があり、心理相談の機会も設けるような制度を作った。
 
〇福岡女子大学
・インターンシップを核としたカリキュラムデザインというのは、受講生が再就職を目指す上で、どのような課題に対応しようとして設定したのか。
(回答)
参加者の中には、これまでにも幾つか仕事をしてきたが、自分に何が向いているのか分からない、何がしたいのか分からない30代半ばの方が沢山いた。そういう方が、企業とのマッチングを通して、自分に合っている仕事かどうか確かめることができる。また、家庭に長くいた方は、インターンシップにより、決まった時間に外に出て働くことや、子供を保育所に預ける等の生活のリズムをつくることができ、育児と仕事を両立することに自信を持ち、次のステップに行くことができる。
・学生と受講生の学び合いを行うとのことだが、コロナ禍でどう行うのか、工夫があれば伺いたい。
(回答)
学生には、受講プログラムのうちの8コマについて、受講生の様子を含めて録画したものを見てもらい、また、ドラフト会議にも参加してもらう。学生には、就職することだけがキャリア支援ではないということに気付いてもらい、女性のキャリアを長期的な視野で見てもらいたいと考えている。また、学生から受講生にエールを送ってもらうことで、世代を超えたネットワークを構築したい。
 ・インターンシップの受入企業は、昨年並みにあるのか。新型コロナウイルス感染症による影響はあるか。
(回答)
昨年度は12社がインターンシップの受入れに手を挙げてくれたが、今年度はそこまでは難しいと感じている。しかし、今年度は、商工会議所とも連携しているため、商工会議所が様々な企業に対し、インターンシップの受入れやドラフト会議ので案内をしてくれている。
 
〇山梨大学
・インターンシップ実施に当たっては、企業の協力が必要と考えるが、実績はあるのか。また、受入企業に対してインターンシップレポートをまとめるとのことだが、その点を受入企業が理解してくれているのか非常に心配。
(回答)
・本事業では、県内の企業と関わりがあり、企業の事情に詳しい方をコーディネーターとして雇用している。そのため、インターンシップ先の企業及び、今勤めている企業との関係等も配慮しながら、受講生の希望に沿った企業に受入れてもらえるよう、企業側には本プログラムの趣旨を理解してもらうように努めている。
・地方都市の企業で働く女性の中には、キャリアパスが明確ではない、評価されない等の理由から、地元を離れていく女性が多いように感じる。そういった課題等を明確に示したレポートが、他の地方都市にとっても有効に使えることを期待している。
(回答)
インターシップレポートでは、地域の課題があぶり出されることを期待している。幾つかの企業が、なぜ若者が県外へ出ていくのか考え、課題解決のための工夫をすることで、若い方の定着率の向上等につながると考えている。
・女性である程度リーダー的な役割を果たす方を対象とされているとのことだが、今回募集したターゲットと合っていたか。もし違ったようであれば、どう対処しているか。
(回答)
・期待通りの参加者が集まっている。40代の参加者は課長や課長補佐のレベルの方が多く、企業の中で同じ立場の女性が少なく、1人で悩んでいるという方が多かったので、本事業により仲間ができたことを大変喜んでいる。また、若い参加者もいるので、今後のプログラムの広がりも期待ができる。
 
(2)その他
・来年度事業の説明であった性暴力対策について、支援者や、教育者向けのプログラムは何か計画されているか。例えば実際に性暴力に遭った方を支援する方への専門的なプログラム等。
(回答)
文科省において、支援者や、教育者向けのプログラムを新たに作る計画があるかという点について、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の中にはそういった記載はないが、確認し後日回答させてもらう。

(3)事務局から次回の日程について説明し、会議を終了。

(以上)

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画学習・安全課

男女共同参画推進係
電話番号:03-5253-4111(2654)
メールアドレス:danjo@mext.go.jp

(総合教育政策局男女共同参画学習・安全課)