男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議(第2回)議事要旨

1.日時

平成29年11月22日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省生涯学習政策局会議室

3.議題

(1) 学びを通じた女性の社会参画について 
(2) 平成29年度「女性の学び支援のための研究協議会」の開催について
(3) その他

4.出席者

委員
大槻座長、小山内委員、櫻田委員、竹原委員、矢島委員

文部科学省
中野男女共同参画学習課長、宗近女性政策調整官、岡田専門官ほか

5.議事要旨

1)学びを通じた女性の社会参画について、矢島委員から参考資料「平成26年出産・育児等を機に離職した女性の再就職等に係る調査研究事業<企業及び労働者アンケート調査>」に基づき説明。事務局から資料1に基づき説明の後、委員による意見交換が行われた。 委員からの主な意見は以下のとおり。

(1)学びの場への誘導
○ 事務職を辞めた専業主婦でもやもやしている人たちだけをターゲットに示すのではなく、看護師などの専門職で復帰を希望する女性もターゲットとしてニーズがあるのではないか。
○ 看護師などの専門職の再就職については、紹介機関のようなものが多くあり、サポート体制も充実していると思っていたが、男女共同参画センターに学びに来る事例もある。
○ 再就職の紹介機関が整っていたとしても、すぐに就職というのも抵抗感があるのではないか。
○ 一般職と専門職だと就職活動をする手前の部分の誘導の仕方が異なるのではないか。
○ 専門学校や大学等で国家資格を取って、専門職で就職したにも関わらず、辞職した女性達も一定程度おり、別の職種を含めた仕事に持っていくための学びも必要。
○ 女性が多く取る資格(幼稚園教諭、保育士、看護師等)は、1回辞めても再就職がしやすいから資格のある仕事に就くと言うが、実際に辞めていて、再就職もそれほどしていないという状況が10年ぐらい前までは結構あった。最近は辞める人は減ってはきているが、未だに一旦辞める現実はある。
○ 専門的な資格や知識を持ちながら一旦辞めてしまって、就職をしたいけれども躊躇する人たちというのは、その専門の資格がない人とはまた躊躇するところが違うのではないか。
○ 正規職員だと、会議や勉強会が付随して、そういうものが大変であることからパートで良いという例もある。その場合は、ジェンダー問題、中長期的なキャリア形成の気づきのための学びが必要。
○ 資格職の女性については専門職団体との連携も必要になるのではないか。
○ チャンネルとして、住民窓口とあるが、特に母子手帳などをもらう時に、子育てに関する情報だけではなく、自分のライフプランを考えるような情報があった方が良い。住民窓口は、ライフイベントごとに接触があるため、そこで渡してもらえれば、適切なターゲットに当たるのではないか。
○ 窓口では、センターでこういうことをしていますよということだけではなく、その人の気付きのきっかけになるような具体的な課題に対応するパンフレットのようなものが配布できるとよい。
○ 母親に関わりの深い、例えばPTAが主催している家庭教育学級や幼稚園などもチャンネルになるのではないか。これには、教育委員会からの働きかけも必要。
○ 地域のリーダーは、PTA出身も多い。また、PTAの一環にすると、子供のためということで活動しやすい。そこから家庭の理解が徐々に深まり、夫の意識も変わっていくということもある。
○ まずは、例えば○年後の自分について考えるといった入りやすいテーマから始めるのが良いのではないか。
○ そこで学んだ人が、今度は、女性のキャリアを支援する人に育っていくと良い。また、そこからネットワーク化が期待できる。

(2)自己発見・キャリアプランニング
○ マインドアップのアプローチ的なプログラムは、最近では男女共同参画センターやNPO等で多く企画されており、比較的充実しているのではないか。
○ どういうターゲットを狙って、どうやっていくのかというのをはっきりさせ、そのターゲットにきちんと届けることが課題。
○ 就業というところまで考えるのであれば、学びの段階で多様な職業・職種を知るという視点を入れるのが大切なのではないか。やりがいのある楽しい仕事だけでなく、大変な仕事も含めて知ることも大切ではないか。その上で、例えば、5年後は、どう働いているかというキャリアプランまで描けるとよい。
○ プログラムの中にそういうロールモデル、様々な職業・職種で働く女性の話をきくことで、自分も考える機会にできればよい。
○ 資料1の採用の際に重視していることを見ると、仕事への意欲・キャリア意識とか専門知識・技術とある。語学とか、ITとか、プレゼン能力といったスキル能力、処理能力が、女性の学びの支援のプログラムの中では重要であるが、その前段階の自己開発・キャリアプランニングでしっかりとジェンダーの視点を盛り込み、働くことの意義について考えるということをやるべき。
○ プログラムに、応用力、チャンスを掴み取る力、想像力、ネットワークする力、仕事を楽しいと思える力を盛り込んでいくべき。
○ 教育訓練給付金などの支援に関する情報のPRも大事。
○ 働き続けるとどうなって、辞めるとどうなるといった社会保障制度に関する学びも、自分のライフプラン(生活設計)を考えるうえで重要なことではないか。

(3)就業に向けた学び
○ 保育環境整備というのは、大学だけではなくて、一般社会、地域社会にも保育環境を整備する必要があるのではないか。仕事を探すとか、仕事に復帰するための一時預かり保育ができる視点も必用。
○ 保育園の一時預かりでも、学びや求職活動でも利用できるということの情報提供が必要。
○ 企業が中途採用の際に意欲を重視しているアンケート結果からしても、(3)スキルアップより(2)マインドアップの方に重点を置くべきではないか。
○ 学び直しをした女性を対象に、業界団体と連携したインターンシップ制度や職場見学も仕組みの中に入れられると良いのではないか。
○ 専門的な学科を持っている大学と連携しながら、男女センター等が再就職するための、不安解消のためのブラッシュアップ講座を設けてくれると良いのではないか。
○ インターンシップは、企業だけではなく、NPOなどいろいろな場で可能性があるのではないか。特に女性たちは、既存の企業だけを選択するのではなく、これから自由な発想で働いてもらいたい。

(4)就業支援
○ 就業支援については、自治体やマザーズハローワークなどでも就業に向けた学びの段階からやっているところが多い。
○ 履歴書では、市民活動やPTAでやってきた地域活動にも価値を持たせて、アピールさせてはどうか。また、企業もそういう職業歴プラスアルファの価値を認める意識改革も必要ではないか。
○ コミュニケーション能力や調整力など、子育て等を経験することで上がっているというようなことが測定・証明で切るEQみたいな指標があればよい。ヌエック等で開発できないか。やってきただけでなく、それで何ができるようになった、どういう能力をもっているところまで自己PRできることが必要。こういう視点があると子育てによる離職中にも、意識をしながら活動することにつながるため、学びのプログラムの中にそういうような要素入れ込んではどうか。

(5)フォローアップ
○ このフォローアップで、今働いている女性のステップアップが入ってきている。離職・働いていない女性だけでなく非正規の方や、正規職員でも子育て等で制約のある働き方をされている方など、就労中の女性にとっても、広くいろいろなキャリア形成のための学びが必要で、それぞれ(1)学びの場への誘導から(5)フォローアップの流れがある。例えば、縦軸に(1)~(5)、横軸に離職女性、非正社員女性、正社員だけれども制約のある正社員女性という形で示せればよいのではないか。また、育児期の短時間正社員の女性たちへのキャリア研修は、企業のニーズが高い。制約のある働き方をしている女性達にもキャリア意識を持ってもらうように研修をやっているが、企業が自主的にやるのは大変なので社会的なフォローも必要ではないか。
○ ここでは、一歩進めたキャリアアップを書いてあるが、それよりは、就職してみて困ったこと、辞めたいと思うことなど、就職することで新たに出てきた課題に対し、相談やフォローするということが必要なのではないか。
○ 一緒に学んだ人たちのネットワーク化や、先に学んだ人たちが、次の学びたい人たちのメンターになるなどの応援しあえる場が大事。
○ 講座やプログラムをやるときに、グループワークをするなど女性達同士がネットワークを作っていける工夫が必要。

2)平成29年度「女性の学び支援のための研究協議会」の開催について、事務局から資料2に基づき説明が行われた。

3)事務局から次回の日程について説明し、会議を終了。

(以上)

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課

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電話番号:03-5253-4111(2654)
メールアドレス:danjo@mext.go.jp

(生涯学習政策局男女共同参画学習課)