障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について(依頼)(平成29年4月7日 29文科生第13号)

29文科生第13号
平成29年4月7日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長  
各都道府県知事
構造改革特別区域法第12条第1項   
の認定を受けた各地方公共団体の長    殿
各国公私立大学長  
各国公私立高等専門学校長
厚生労働省医政局長
厚生労働省社会・援護局長

文部科学省生涯学習政策局長
                                        有松  育子
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                            文部科学省初等中等教育局長
                                        藤原   誠
(印影印刷) 


                            文部科学省高等教育局長
                                        常盤   豊
(印影印刷) 


                            スポーツ庁次長
                                        髙橋  道和
(印影印刷) 


                            文化庁次長
                                        中岡  司
(印影印刷)

障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について(依頼)

  文部科学省では,これまで学校教育を中心に展開されてきた特別支援教育施策を,就学前や学校卒業後も含めた総合的な取組として展開していくことが必要であるとの認識のもと,昨年12月に別添1のとおり「文部科学省が所管する分野における障害者施策の意識改革と抜本的な拡充」を公表しました。
 さらに,このたび,障害者の生涯にわたる多様な学習活動の充実を期して,別添2のとおり「特別支援教育の生涯学習化に向けて」と題する大臣メッセージを公表しました。
 あわせて,平成29年度から生涯学習政策局に「障害者学習支援推進室」を設けるとともに,福祉,保健,医療,労働等の関係部局と連携した進学・就職を含む切れ目ない支援体制の整備,障害のある子供の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援する特別支援教育,障害者スポーツや障害者の文化芸術活動の振興等に総合的に取り組むこととしています。
 貴職におかれては,文部科学省との連携協力により,障害者の生涯を通じた多様な学習活動を支援する観点から,下記のとおり,特段の御配慮と御協力をお願いします。
 都道府県教育委員会におかれては所管の学校等(専修学校を含む。)及び域内の市町村教育委員会に対し,指定都市教育委員会におかれては所管の学校等(専修学校を含む。)に対し,都道府県知事におかれては所轄の学校法人及び学校(専修学校を含む。)に対し,構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては所轄の学校設置会社及び当該会社が設置する学校に対し,附属学校を置く国公立大学長におかれては管下の附属学校に対し,専修学校を置く国立大学長におかれては管下の専修学校に対し,厚生労働省医政局及び社会・援護局におかれては所管の専修学校に対し,下記について周知を図るとともに,必要な指導,助言又は援助をお願いします。

第1 障害者の多様な学習活動を総合的に支援する取組・体制の充実について
 障害のある子供が,学齢期に充実した特別支援教育を受けるのみならず,就学前や卒業後も含めたその一生を通じて,自らの可能性を追求できる環境を整え,地域の一員として豊かな人生を送ることができるようにすることが重要です。
 このため,文部科学省においては,障害者のライフステージ全体に着目して,多様な学習活動を支援する取組を推進する体制を確立し,厚生労働省等とも連携しながら,教育やスポーツ,文化の施策全体にわたって一体的に推進するため,「障害者学習支援推進室」を生涯学習政策局に設けました。
 各都道府県及び市町村におかれても,広く生涯学習,学校教育,社会教育,スポーツ,文化,福祉,保健,医療,労働等の各分野の関係機関が連携し,障害者の生涯を通じた多様な学習活動の支援を進めていただくことが重要です。別添1に記載の文部科学省の取組のうち,平成29年度の主な予算事業を一覧にまとめましたので(別添3),本資料も参考にしながら,取組の充実を図っていただくようお願いします。 
 また,こうした取組の推進等を行う部署を明確にするなど,体制の整備・充実を図っていただくようお願いします。
 なお,都道府県及び指定都市におかれては,文部科学省に置かれた「障害者学習支援推進室」との連絡調整を行う担当窓口を明確化していただくようお願いします。

第2 障害者の生涯学習支援活動に係る文部科学大臣表彰のための推薦について
 文部科学省では,スポーツ活動や文化活動を含む障害者の生涯学習を支える活動について,その内容が他の模範と認められる団体等に対し文部科学大臣表彰を行うことを予定しています。
 後日,要綱に基づき被表彰対象候補の推薦を依頼する予定としていますので,都道府県及び指定都市におかれては,域内の団体等のうち被表彰対象として適切な候補の推薦をお願いします。
 特に,スポーツ分野では,既に生涯スポーツ功労者及び生涯スポーツ優良団体表彰等の制度があり,障害者スポーツ団体が表彰されている実績もありますが,今般新たに設ける表彰制度においても,表彰の対象となる予定ですので,積極的な推薦に御配慮いただくようお願いします。

第3 障害者スポーツ振興を総合的に推進するための体制整備について
 平成26年度に障害者スポーツの所管が厚生労働省から文部科学省へ移管されたことに伴い,国レベルでは障害者スポーツを含めたスポーツの事務が一元化されています。
 しかしながら,国と同様にスポーツの事務が一元化されている都道府県は7都県であり,多くの地方公共団体では障害福祉部局が障害者スポーツの事務を担っている状況です。  障害者スポーツを各地域に普及するに当たっては,人材,ノウハウ,施設等を有するスポーツ部局や,公立学校を所管する教育委員会等との連携・協働による取組が不可欠です。
 各地方公共団体におかれましても,障害者スポーツを含めたスポーツの事務の一元化を含め,障害者スポーツの振興を総合的に推進するための体制を整備いただくようお願いします。

第4 「Special プロジェクト 2020」について
 スポーツ庁では,平成32年(2020年)に全国の特別支援学校においてスポーツ,文化,教育の全国的な祭典を開催するための「Special プロジェクト 2020」を推進していますが,その一環として,平成29年度から同プロジェクトに向けたモデル事業(別添3の別紙1)を地方公共団体に委託して取り組むこととしています。各地方公共団体におかれては,同プロジェクトの趣旨を踏まえ,都道府県の関係部署,スポーツ・文化関係団体,特別支援学校,経済団体等が連携してプロジェクトの推進に向けた体制を構築していただくとともに,積極的なモデル事業の受託について御配慮いただくようお願いします。

第5 障害者による文化芸術活動の充実について
 文化庁では,障害者の優れた文化芸術活動を広く一般に普及するための取組の調査研究や,国内外での成果を発表するための公演,展覧会の開催,特別支援学校の子供たちに対する文化芸術の鑑賞・体験機会の提供,小中学校等の子供たちへの障害のある優れた芸術家等による文化芸術の鑑賞・体験機会の提供など,障害者の文化芸術活動の充実に向けた支援を行っています(別添3の別紙2)。こうした支援を活用しつつ,障害者の個性と能力の発揮,社会参加の促進,さらには,障害の有無にかかわらず,あらゆる人々の相互理解へとつながる文化芸術活動の充実に努めていただくようお願いします。

第6 特別支援教育におけるスポーツ・文化芸術活動等の取組の充実
 近日中に告示を予定している特別支援学校小学部・中学部学習指導要領において,障害のある児童生徒が,学校教育を通じて身に付けた知識及び技能を活用し,持てる能力を最大限伸ばすことができるよう,生涯学習への意欲を高めるとともに,社会教育その他様々な学習機会に関する情報の提供に努めることや,生涯を通じてスポーツや文化芸術活動に親しみ,幸福で豊かな生活を営むことができるよう,地域のスポーツ団体,文化芸術団体及び障害者福祉団体等と連携し,多様なスポーツや文化芸術活動を体験することができるよう配慮することについて位置づける予定です。学校設置者におかれましても,この趣旨を踏まえ,小・中学校等も含め,障害のある児童生徒のスポーツ・文化芸術活動等の充実に努めていただきますようお願いします。
 また,現在,多くの特別支援学校で行われている,卒業生の様子をフォローアップしたり,進路などの相談窓口になったりするなどの支援は重要な取組であり,引き続き障害のある子供たちが円滑に次のステージに進めるよう取組の充実をお願いします。

第7 小学校等における障害者に対する理解の推進
 障害者の生涯にわたる学びを支援し,地域とのつながりづくりを進めていくためには,周囲の人々や地域の障害者に対する理解を進めていくことが必要です。このため,平成29年3月31日に告示した幼稚園・小学校・中学校の学習指導要領等においても,特別支援学校等との間の連携や交流を図るとともに,障害のある子供たちとの交流及び共同学習の機会を設け,共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むことを求め,障害者に対する理解に関する内容を充実させているところです。この趣旨を踏まえ,学校教育における取組の充実に努めていただくようお願いします。

第8 高等教育における障害のある学生支援に関する検討
 文部科学省では,大学・短期大学・高等専門学校(以下「大学等」という。)における障害のある学生の支援の在り方について検討を行うため,「障害のある学生の修学支援に関する検討会」を開催し,検討結果を「第二次まとめ」(別添4)として3月に取りまとめました。
第二次まとめは,学長等の大学等の教職員や学生,高等学校・特別支援学校・専修学校,ハローワーク等の就職支援機関等,全ての関係者が,障害のある学生に対する支援への理解を深め,適切な支援を行うため参照することを想定しています。また,これらの支援の充実には,行政機関の福祉担当部局等との連携も不可欠であるため,地方公共団体においても参照いただきたいと考えています。
 この第二次まとめを広く周知し,関係者間の共通理解と連携を深め,大学等におけるこれらの取組の充実に努めていただきますようお願いします。


本件担当                      
【全般に関する内容及び第1,第2に関する内容について】
文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課     
   障害者学習支援推進室     
TEL 03ー5253ー4111(内線3460)

【第3,第4に関する内容について】          
スポーツ庁健康スポーツ課障害者スポーツ振興室
障害者スポーツ係       
TEL 03ー5253ー4111(内線3490)

【第5に関する内容について】             
           文化庁文化部芸術文化課     
企画調査係          
TEL 03ー5253ー4111(内線2828)

【第6,第7に関する内容について】          
文部科学省初等中等教育局特別支援教育課     
企画調査係
TEL 03ー5253ー4111(内線3193)

【第8に関する内容について】             
                      文部科学省高等教育局学生・留学生課   
厚生係 
                        TEL 03ー5253ー4111(内線2519)

別添資料

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

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(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)