文部科学省政策評価基本計画(平成20年~24年度)(平成24年3月30日改定)

平成20年3月31日文部科学大臣決定
平成22年3月31日一部改訂
平成23年3月31日一部改訂
平成24年3月30日一部改訂

 行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)(以下「法」という。)第6条第1項の規定及び政策評価に関する基本方針(平成13年12月28日閣議決定、平成22年5月25日改定)(以下「基本方針」という。)に基づき、文部科学省の行う政策評価に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を以下のとおり定める。

第1 計画期間

 本基本計画の計画期間は5年間(平成20~24年度)とする。

第2 政策評価の実施に関する方針

 文部科学省における政策評価は、文部科学省が、その所掌する政策について、適時にその政策効果を把握し、必要性、効率性、有効性等の観点から、自ら評価を行うことにより、政策の企画立案や実施を的確に行うための重要な情報を提供するものと位置付けられる。この政策評価を実施するに当たっては、次の方針に基づくものとする。

1.政策評価の目的

 政策評価は、「企画立案(Plan)」「実施(Do)」「評価(Check)」「反映(Action)」を主要な要素とする政策のマネジメント・サイクルの中において、制度化されたシステムとして明確に組み込んで客観的かつ厳格に実施し、かつ、評価結果その他の政策評価に関する一連の情報を公表することにより、政策の不断の見直しや改善につなげるとともに、国民に対する行政の説明責任の徹底を図ることを目的とする。

 具体的には、政策 -施策 -事務事業 として整理される政策の階層構造に応じた体系的な評価を全省的に導入し、当該政策所管部局自らが、政策評価を積極的に実施することにより、政策の質の向上を図ることを目指す。また、国民的視点に立った政策の実施を指向するとともに、政策のマネジメント・サイクルの客観性を確保することにより、国民本位の効率的で質の高い行政の実現を目指す。

 政策評価の実施に当たっては、所管する政策の特性等に応じた効果的な取組を進めていくとともに、実施の過程を通じ、政策形成能力の向上及び職員の意識改革を進め、政策評価制度の不断の改善を図る。

2.政策評価の方式

 文部科学省の政策評価は、以下の方式により行うものとする。

(1)実績評価

 政策・施策を対象に、その実施後に、政策・施策の不断の見直しや改善に資する情報を提供することを目的として、政策効果に着目した達成すべき政策目標、施策目標及び達成目標を設定し、それらに対する実績を定期的・継続的に測定するとともに、施策目標・達成目標期間が終了した時点で目標期間全体における取組や最終的な実績等を総括し、目標の達成度合いについて評価する方式

(2) 事業評価

 事務事業等を対象に、その実施前に、事務事業等の内容の検討、採否の判断等に際して重要な情報を提供することを目的として、あらかじめ期待される政策効果やそれらに要する費用等を推計・測定し、政策の目的が国民や社会のニーズ又は上位の目的に照らして妥当か、行政関与の在り方からみて行政が担う必要があるか、政策の実施により費用に見合った政策効果が得られるかなどの観点から評価(事前評価)するとともに、必要に応じ事後の時点で事前の時点に行った評価内容を検証(事後評価)する方式

(3) 総合評価

 政策の実施から一定期間を経過した後等に、特定のテーマに係る政策・施策等を対象に、政策効果の発現状況や、効果の発現に至る因果関係などを、ロジック・モデル を適用するなどの方法により様々な角度から掘り下げて分析し、政策に係る問題点を把握するとともにその原因を分析するなど総合的に評価する方式

 上記の3方式の適用に当たっては、相互に連携しつつ、有機的に機能させていくことが重要である。

 具体的には、実績評価を行った結果、機動的に対応すべき事項・課題が抽出されれば、速やかに事務事業として具体化するための事業評価を行うとともに、より精緻な分析を要する問題が抽出された場合は、総合評価を行うことにより、問題点の所在と原因の特定を行う。

 総合評価の結果、導き出された効果的な対策を事務事業として具体化する場合には、事業評価により見込まれる効果を十分に検証するとともに、それぞれの事務事業は実績評価の中で十分な効果を発揮しているか評価する。

3.政策の特性を踏まえた評価

 文部科学省の政策は、教育、科学技術・学術、文化及びスポーツと幅広く、しかもこれらは、未来への先行投資とも言えるものであり、効果が発現するまでに長期間を要するものが多い。加えて、地方自治体を始めとした多様な政策実施主体が関わることや民間活動の影響とも相まって、政策とその効果との因果関係が複雑になる特性を持つ。 

 したがって、政策評価に当たっては、短期的な効果の発現のみに着目するのではなく、過去の政策にさかのぼってその政策が現在までに発現した効果を検証する、あるいはロジック・モデル等の適用により複雑な効果の発現要因を分析する等により、効果的な評価の実施に努める。また、国立教育政策研究所、科学技術政策研究所等の政策研究部門との連携により、政策評価手法の調査研究を進めるとともに、民間シンクタンクや外部評価機関を活用するなどして、評価の一層の充実に努める。

第3 政策評価の観点に関する事項

 政策評価の実施に当たっては、評価の対象とする政策の特性に応じて、必要性、効率性及び有効性のほか、公平性や優先性などの観点のうち、適切なものを選択、具体化し、総合的に評価する。文部科学省の政策の特性を勘案した、政策評価の観点の適用に当たっての基本的考え方は、次のとおりとする。

1.必要性

 政策効果からみて、対象とする政策に係る行政目的が国民や社会のニーズ又はより上位の行政目的に照らして妥当性を有しているか、行政関与の在り方からみて当該政策を行政が担う必要があるかなどを明らかにすることにより評価を行う。

2.効率性

 政策効果と当該政策に基づく活動の費用等との関係を明らかにすることにより評価を行う。ただし、文部科学省の所管する教育、科学技術・学術、文化及びスポーツの各分野は、効果及び便益を経済価値に換算することが困難な政策が多く、効率性の観点からの評価を行う場合は、把握された効果が、政策効果全体を表現する上で適切かどうか、十分に検討する必要がある。

3.有効性

 得ようとする政策効果と当該政策に基づく活動により実際に得られている、又は得られると見込まれる政策効果との関係を明らかにすることにより評価を行う。

4.公平性

 行政目的に照らして政策効果や費用の負担が公平に分配されているか、あるいは分配されるものとなっているかを明らかにすることにより評価を行う。

5.優先性

 当該政策を他の政策よりも優先すべきかを明らかにすることにより評価を行う。

例えば、法律の制定、社会的状況等に起因する当該政策の緊急性、他の政策への波及効果の大きさ、事業の即効性等を明らかにすることにより、当該政策の優先性を示す。

6.相当性

 租税特別措置に関する評価にあっては、1.~5.の観点に加え、補助金、規制等の他の政策手段でなく、租税特別措置等によることが最適であるか、また、他の政策手段と併せて租税特別措置等を講じようとする場合には、適切な役割分担となっているかを明らかにすることにより評価を行う。

第4 政策効果の把握に関する事項

 政策効果の把握に当たっては、対象とする政策の特性に応じた、政策効果の把握に要するコスト、得られる結果の分析精度等を考慮した適切な手法を用いる。その際、できる限り政策効果を定量的に把握することができる手法を用いるものとし、これが困難である場合においては、政策効果を定性的に把握する手法を用いる。この場合においても、できる限り、客観的な情報・データや事実を用いることにより、政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保を図る。また、政策所管部局は、政策効果の把握に有用な情報・データであるが整備されていないものについても、収集に努めるものとする。

第5 事前評価の実施に関する事項

 事前評価の対象とその実施方法は、以下のとおりとする。

1.新規・拡充事業評価

 毎年度、文部科学省所管行政に係る新たな事業あるいは拡充を予定している事業のうち、行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成13年政令第323号)(以下「施行令」という。)第3条第1~5号に掲げられた政策を対象として、予算概算要求に先立って、事業ごとに事業評価を実施する。

 この場合、各事業評価の単位及び事業名を予算概算要求の単位・事業名と一致させるよう留意する。

なお、研究開発については、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成20年内閣総理大臣決定)及び「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成21年文部科学大臣決定)等に基づいて事業評価を実施するものとする。

2.規制に関する評価

 毎年度、文部科学省の所掌に係る政策のうち、施行令第3条第6号に掲げる政策を対象として、法令案の策定に先立って、行政行為ごとに、事業評価を実施する。

3.租税特別措置等に関する評価

 毎年度、文部科学省の所掌に係る政策のうち、平成22年度税制改正大綱において、「政策評価を厳格に行うこと」とされたことを踏まえ、法人税、法人事業税、法人住民税に係る租税特別措置を対象として、その要望ごとに、事業評価を実施する。

4.その他の事前評価

 文部科学省所管行政に係る上記3.以外の税制及び財政投融資に関する事前評価については、必要に応じ、基本計画に基づく文部科学省の行う政策評価に関する実施計画(以下「実施計画」という。)に定めるところにより、事業評価を実施する。

第6 事後評価の実施に関する事項

 事後評価の対象とその実施方法は、以下のとおりとする。

1.実績評価

 「文部科学省の使命と政策目標」(別紙)に掲げる文部科学省の所管行政に係る政策について、原則として毎年度、政策目標、施策目標及び達成目標の達成度合い又は達成に向けた進捗状況について、政策及び施策ごとに実績評価を実施するとともに、目標達成のために用いた政策手段(予算措置に基づく事務事業、規制、税制、財政投融資、独立行政法人の業務運営等)の実績等についても検証する。

 また、施策目標・達成目標の目標期間が終了した時点で目標期間全体における取組や最終的な実績等を総括し、目標の達成度合いについて実績評価を行う。

2.総合評価

 文部科学省の所管行政に係る特定のテーマに関連する政策・施策等について、政策の実施後に総合評価を実施する。総合評価のテーマは、政策評価に関する有識者会議の助言を踏まえ決定する。

3.その他の事後評価

 1及び2に掲げるもののほか、事前評価を実施した政策の事後評価については、必要に応じ、実施計画の定めるところにより実施する。

第7 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項

 政策評価の客観的かつ厳格な実施を確保するため、学識経験者等を構成員とする「政策評価に関する有識者会議」を開催し、次に掲げる事項に関して助言を得る。

   ○基本計画及び実施計画の策定及び改定

   ○文部科学省の実施した政策評価の結果及び政策評価の結果の政策への反映

   ○文部科学省の所管行政に係る評価手法の調査研究 等

第8 政策評価の結果の政策への反映に関する事項

 政策評価の結果が、政策の企画立案作業における重要な情報として活用され、適切に反映されるようにするため、政策評価審議官が中心となって、政策の所管部局等における政策評価の結果の取りまとめや評価結果の政策への反映を促進するとともに、予算、法令等の取りまとめ部局との間の連携を確保する。

第9 政策評価に関する情報の公表に関する事項

1.評価書等に関する情報の公開

 評価書の作成に当たっては、政策評価の結果を検証できるようにするため、可能な限り具体的に記載し、評価の際に使用した仮定、外部要因等についても明らかにする。また、評価に当たって使用したデータについては、出典等を明らかにする。

 評価書や政策評価の結果の政策への反映状況等の公表に当たっては、国民が容易に内容を把握できるよう、インターネットのホームページへの掲載のほか、プレスリリース、窓口 での配布により行う。

2.政策評価に関する有識者会議における情報の公開

 有識者会議は、原則公開とする。

 詳細は、別途有識者会議において定める。

第10 政策評価の実施体制に関する事項

1.実施体制

(1) 省議

 文部科学省が実施する政策評価に関する決定については、省議において行う。

  法第10条に基づく評価書の作成及び第11条に基づく反映状況については、省議の決定をもって文部科学大臣の決定とする。

  なお、必要に応じて、副大臣、大臣政務官、事務次官、文部科学審議官、官房長、総括審議官、政策評価審議官及び関係する局長等の文書決裁をもって決定に代えることができる。

(2) 政策評価審議官

政策評価審議官は、次に掲げる事項について担当する。

○政策評価に関する重要事項の企画・立案の総括整理

  • 基本計画及び実施計画の策定・改定に関する企画・立案
  • 政策評価と予算・法令等との連携方策の検討

○政策所管部局の実施した政策評価の審査

○政策評価の結果の政策への反映の推進

  • 予算概算要求に関する予算省議等への参画
  • 政策評価の結果の反映状況に関するヒアリング等を通じた点検・指導

○管理職職員等に対する政策評価に関する研修会の開催

 (3) 政策評価担当組織

 政策評価担当組織は、大臣官房政策課評価室とする。評価室は、次に掲げる事項について担当する。

○所管行政の政策評価に関する基本的事項の企画・立案の関係事務

○評価書のとりまとめ等の政策評価関係事務の総括  

〇政策評価の質の向上に係る調査研究・研修会等の各種業務の実施

  なお、評価室は、大臣官房総務課及び会計課の参画を得て、実績評価及び事業評価に関する「政策評価官房ヒアリング」を実施する等、政策評価と予算・法令等の連携の推進を図るための各種業務を担当する。

 また、研究開発については、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」及び「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」等に基づき、政策所管部局が行う評価を科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当)がとりまとめる。

 (4) 政策所管部局

 政策所管部局は、所管する政策について自ら評価を行い、評価票を作成する。

 また、評価票の内容を意識し、日々の業務の改善に活かすよう努める。

2.職員の評価能力の向上

 政策評価は、政策を所管する各部局が主体的に取り組むことが必要であることから、政策を所管する全部局の担当職員の政策評価に係る能力を向上させることを目指す。このため、大臣官房政策課評価室が中心となって、政策評価に関する各種情報を職員に広く、時宜に即して提供するとともに、評価手法に関する研修会等を開催するなど、職員の政策評価についての理解促進、意識向上に恒常的に努める。また、管理職員等を対象とした研修会を開催するなど、政策評価の意義や手法に関する意識改革を図る。

第11 その他政策評価の実施に関する必要な事項

1.国民の意見・要望を受け付けるための窓口の整備

 政策評価に関する外部からの意見・要望を受け付けるための窓口として、評価室がその任に当たることとし、インターネットのホームページ等を活用して積極的な周知を図る。また、寄せられた意見・要望については、関係する部局等において適切に活用する。

2.地方公共団体等との連携・協力

 文部科学省の政策の実施に当たっては、地方公共団体との密接な連携が不可欠であることから、評価の対象とする政策の特性等に応じて、政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保に関し、必要な情報や意見の交換を行い、地方公共団体との適切な連携・協力を図るものとする。

3.他の枠組みに基づく評価との整合性

 基本計画に基づく政策評価の実施に当たっては、独立行政法人通則法に基づく独立行政法人の業績評価及び国の研究開発評価に関する大綱的指針等に基づく研究開発の評価、並びに予算監視・効率化チームによる予算執行等に係る取組等の作業と十分な整合性を確保することとし、政策所管部局の過重な負担を避ける。

4.実施計画

 基本計画に定めるもののほか、文部科学省の行う政策評価の実施に関し必要な事項は、実施計画で定める。

第12 基本計画の見直し

  基本計画については、政策評価の実施状況、政策効果の把握の手法その他政策評価の方法に関する調査研究及び開発の成果や動向などを踏まえ、必要が生じた場合には計画期間内においても所要の見直しを行う。

  また、「文部科学省の使命と政策目標」(別紙)についても、評価を積み重ねていく中で、必要に応じて柔軟に見直しを行う。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

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-- 登録:平成24年03月 --