19.科学研究費補助金(拡充) 【達成目標9‐1‐2】

平成22年度要求額:200,000百万円
(平成21年度予算額:196,998百万円)
事業開始年度:大正 7年度
定期評価実施年度:平成22年度

主管課(課長名)

 研究振興局学術研究助成課(山口 敏)

関係局課(課長名)

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事業の概要等

1.事業目的   

 人文・社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とし、ピア・レビュー(専門分野の近い複数の研究者による審査)を経て、豊かな社会発展の基盤となる独創的・先駆的な研究に対する助成を行う。大学等における基礎研究の推進と研究者の育成に大きく貢献し、持続的な研究の発展をもたらし、我が国の学術水準の向上や科学技術の発展に大きく寄与するものである。

2.事業に至る経緯・今までの実績 

 科学研究費補助金は、大学等において行われる学術研究を推進し、我が国の研究基盤を形成するための基幹的な経費として、長期的視野に立った助成を行ってきている。本事業により研究を支援した研究者の中から、国際的な学術賞の受賞者が数多く輩出されるなど、着実な成果を上げており、我が国を代表する競争的資金として定着している。
 平成20年度の予算額は1,932億円で、約5万7千件の課題を採択している。

3.事業概要  

 研究の多様性を確保する「基盤研究」を中心として、若手研究者を支援する「若手研究」、国際的に高い評価を得ている研究を支援する「特別推進研究」、新興・融合領域や異分野連携を推進する「新学術領域研究」など、研究の目的や特性に応じた多様な研究種目を設定して、あらゆる分野の学術研究への支援を行う。
 平成22年度は、科学研究費補助金の中核である「基盤研究」の予算を確保するため、新規採択率の大幅な減少が見込まれる「基盤研究(A・C)」の予算額増を図る。

3.事業概要

4.指標と目標  

【参考指標】

○科学研究費補助金の予算額
○科学研究費補助金の採択件数
○研究成果の発表状況(研究成果として報告のあった研究論文数、図書数、産業財産権数) 

【目標】

○科学研究費補助金の予算額の拡充
○1課題あたりの必要額を充たしつつ採択課題数の増加
○より研究者にとって使いやすい制度の構築

【効果の把握手法】

 各指標の経年変化を検証し、あらゆる分野の学術研究への幅広い助成が行われているか、優れた研究成果の創出が増加しているかを把握する。

事業の事前評価結果

A.20年度実績評価結果との関係  

 達成目標9‐1‐2「施策への反映(フォローアップ)において、「第3期科学技術基本計画や、「競争的資金の拡充と制度改革の推進について」(平成19年6月14日 総合科学技術会議基本政策推進専門調査会)、科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会の提言等を踏まえ、引き続き、科学研究費補助金の拡充や制度改革に取り組む」と記述されており、本事業の拡充は不可欠である。

B.必要性の観点  

1.事業の必要性  

 我が国が持続的に発展していくためには、多様な学術研究の推進など、イノベーションを絶え間なく創造する環境作りが必要である。科学研究費補助金は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたる学術研究を支援するものであり、イノベーションの種を生み出し、ひいては我が国全体の社会・経済発展に資するものとして必要な事業である。

2.行政・国の関与の必要性  

 科学研究費補助金が支援の対象とする学術研究は、科学技術創造立国の基盤を形成するとともに、我が国全体の社会・経済や文化の発展に資するものである。このため、学術研究については、民間や地方ではなく国が積極的に振興していくことが必要である。

3.関連施策との関係  

 特になし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等  

 経済財政改革の基本方針2009 第2章 5 p.11、教育振興基本計画 第3章 p.33 17~20行目、p.41 4行目、
イノベ25 第5章 p.28 8行目、科学技術基本計画(第3期) 第3章 p.23 17~21行目、革新的技術戦略 p.6 8~19行目、総理から文部科学大臣への指示書(平成21年9月16日)3、文部科学大臣指示書(平成21年9月18日)3、(参考)民主党マニフェスト 45              

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み  

 科学研究費補助金は、大学等において行われる学術研究を推進し、我が国の研究基盤を形成するための基幹的な経費として、長期的視野に立った助成を行ってきており、その拡充と制度改革が不断に行われてきた。平成21年度においては、対前年度費38億円増の1,970億円を計上しているところである。また、採択課題数も着実に増加し、平成20年度実績で約57,000件の研究課題を支援するなど、あらゆる分野の学術研究への幅広い助成が行われている。さらに、研究成果として報告のあった論文数等も着実に増加している。今後も、第3期科学技術基本計画等の方針に基づき、科学研究費補助金の拡充が引き続き図られる見込みであり、その場合、採択件数も増加し、研究成果として報告される論文数等も着実に増加する見込みである。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか 

 科学研究費補助金を拡充し、1課題あたりの必要額を充たしつつ採択課題数を増加させることで、人文・社会科学から自然科学までのあらゆる研究分野への幅広い助成が行われ、また、より研究者にとって使いやすい制度の構築に向けて制度改革を行っていくことで、上位9‐1‐2にある「優れた研究成果の創出」に寄与すると考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット  

 本事業の予算規模は200,000百万円である。

(内訳)

  • 独創的・先駆的な研究の重点的推進 126,815百万円
  • 若手研究者育成・支援等の充実  28,385百万円
  • 間接経費の充実 40,958百万円
  • 計画の着実な推進等 3,842百万円

2.アウトプット  

 本事業は、平成20年度実績で約57,000件の研究課題を支援している。今後もより多くの優れた研究成果を創出するため、予算の拡充とそれに伴う採択課題数の増を目指す。

3.事業スキームの効率性 

 科学研究費補助金においては、ピア・レビューによる公正な審査により、研究計画の規模に応じた適正な配分額を決定しており、効率的で効果的な支援が行われている。

4.代替手段との比較  

 優れた学術研究を適切に支援するためには、欧米同様に研究経験者が制度運営に関わり、ピア・レビューにより配分先を決める必要があるとともに、国が行うべき事業を委託する委託費などの方式ではなく、あくまでも研究者の自由な発想に基づく研究活動を支援する補助金として交付することが重要である。このような目的は、本事業以外では達成できない。

E.公平性の観点  

 科学研究費補助金の審査は、プログラム・オフィサー(PO)制度に基づく、延べ6,000人に及ぶ専門分野の近い複数の研究者によるピア・レビュー方式で行われており、利害関係者の排除、研究種目の特性に応じた審査結果の開示、審査員の評価を適切に行っていることから、公平性については問題がない。

F.優先性の観点  

 我が国が持続的に発展していくためには、イノベーションの絶え間ない創出が必要であるが、イノベーションは、大学等における学術研究による重厚な知的蓄積があってこそ生み出されるものであるため、大学等における多様な学術研究を支援する科学研究費補助金は、他の事業に優先して重点的に推進すべきである。

G.総括評価と反映方針

 当該評価結果を踏まえ、22年度概算要求を行う。

H.審議会や外部有識者の会合等を利用した中間評価の実施予定

 特になし

指摘事項と対応方針

【指摘事項】

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

 特になし

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要

 特になし

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

 特になし

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年02月 --