7.公立学校施設の耐震化等の推進(拡充) 【達成目標2‐8‐1】

平成22年度要求額:121,177百万円※
(平成21年度予算額:114,971百万円※)
※内閣府で要求している沖縄県分を含む。
事業開始年度:昭和33年度
事業達成年度:平成24年度

主管課(課長名)

 大臣官房文教施設企画部施設助成課 (瀧本寛)

関係課(課長名)

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事業の概要等

1.事業目的   

 国が果たすべき責務である義務教育をはじめとする教育の機会均等と水準の維持向上を図る観点から、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」等に基づき、耐震化等の公立学校施設整備に要する経費の一部を国が補助することにより、学校教育の円滑な実施を確保する。

2.事業に至る経緯・今までの実績 

 公立学校施設は、児童生徒等が一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、非常災害時には地域住民の応急避難場所としての役割も果たすことから、その安全性の確保は極めて重要であり、耐震化の推進が喫緊の課題となっている。平成19年12月に政府としてとりまとめた「生活安心プロジェクト」等において、大規模な地震による倒壊等の危険性の高い公立小中学校施設(約1万棟)について、早急に耐震化を図ることとしており、これらの耐震化については、特に重点的に各地方公共団体への支援・要請を行ってきた。このような状況に鑑み、平成20年6月には地震防災対策特別措置法が改正され、地震による倒壊等の危険性の高い(Is値0.3未満の)公立小中学校施設の耐震化事業についての国庫補助率の引上げ等の加速策が講じられた。また、法改正により、耐震診断の実施及びその結果の公表が地方公共団体に義務付けられた。これらを受け、各地方公共団体に対して耐震診断の完了及び耐震化の推進を要請するなど、多方面にわたり、支援・要請を行ってきた。
 平成21年4月にとりまとめられた「経済危機対策」において、学校耐震化の早期推進、学校への太陽光発電の導入をはじめとしたエコ改修、ICT環境の整備等を一体的に推進していくことにより、21世紀の学校にふさわしい教育環境の抜本的充実を図る「スクール・ニューディール」構想が盛り込まれたところである。
 なお、公立小中学校施設の耐震化率については、平成21年4月1日現在、67.0%となっており、また、Is値0.3未満の公立小中学校施設は、7,309棟と推計されている(なお、平成20年度当初予算や補正予算において財源措置が行われ、平成21年4月1日現在で実施中または繰り越されている耐震化事業や、21年度予算による財源措置に基づく耐震化事業による進捗は反映されていない)。 

3.事業概要

 本事業は、国が果たすべき責務である義務教育をはじめとする教育の機会均等と水準の維持向上を図る観点から、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」等に基づき、公立学校施設整備に要する経費の一部を国が補助することにより、学校教育の円滑な実施を確保するものである。具体的には、地方公共団体が実施する耐震化事業を中心に、バリアフリー化、アスベスト対策等の実施や、老朽化への対応、特別支援学校の教室不足の解消、学校統合への対応等、その学校が置かれている課題に対応した施設整備の支援を実施するものである。

3.事業概要

4.指標と目標

【指標】

○公立小中学校等施設の耐震化率

【目標】

○Is値0.3以上の施設の耐震化を本格的に推進し、公立小中学校、幼稚園、特別支援学校、高等学校の耐震化率を向上させる。

事業の事前評価結果

A.20年度実績評価結果との関係  

 達成目標2‐8‐1について、「達成状況と評価」において示した通り、耐震化推進に向けた施策が一定の成果を上げたものと考えられ、全体でS(想定以上に順調に進捗)と評価されているところであるが、耐震化、耐震診断のどちらも未だ完了には至っておらず、平成21年度補正予算執行後においても耐震性がない建物は約2万5千棟あると推計され、引き続き耐震化に取り組む必要がある。
 また、昨年6月の地震防災対策特別措置法の改正により、耐震化事業に対する国の支援措置が拡充されるとともに、耐震診断の実施及び公表が義務化されたことから、地方公共団体の防災意識の向上による耐震化への取組の加速化が図られている。
 これにより、事業化の準備を終えた相当量の耐震化計画を地方公共団体は抱えており、国の責務として必要な予算を確保し、その取組を支援する事が不可欠である。

B.必要性の観点  

1.事業の必要性

 安全・安心で豊かな学校施設を確保するためには、耐震化が必要不可欠であるとともに、太陽光発電の導入をはじめとするエコスクールの整備や地域材等の木材利用の推進、バリアフリー化、アスベスト対策、老朽化への対応、特別支援学校の教室不足の解消、学校統合への対応など、様々な課題への対応が求められている。
 特に、公立小中学校等施設の耐震化については、着実に進捗しているものの、「地震防災対策特別措置法」により義務付けられた耐震診断でさえ未実施の建物が、平成21年4月1日現在、3,205棟ある。また、耐震診断は既に実施されているものの十分な耐震性が認められず、今後対応が必要な施設も相当数残っている。このため、地方公共団体の要望を踏まえて、その取組を引き続き推進していく必要がある。

2.行政・国の関与の必要性  

 公立学校施設の整備は、設置者において一時的に多大な財政支出を要するとともに、年度により地域的な偏在も大きい。このため、特に小規模な地方公共団体においては、公立学校施設の整備に必要な財源が確保されないことが懸念される。したがって、国が果たすべき責務である義務教育をはじめとする教育の機会均等と水準の維持向上を図る観点から、国において公立学校施設の整備に目的を特化した財源を保障した上で、必要な予算を確保し、公立学校施設整備に国庫補助を行うことは必要である。

3.関連施策との関係  

 特になし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

 文科大臣指示書(平成21年9月18日)3.(参考)民主党政策集INDEX2009 P23,24,25,46、骨太09:第3章 P16  14行目、P17 5行目、教育振興基本計画:第3章 P34 1~15行目、第171回国会における麻生内閣総理大臣の施政方針演説(平成21年1月28日)、第169回国会における福田内閣総理大臣施政方針演説(平成20年1月18日)、参・文教科学委員会附帯決議(平成19年6月19日):項目 21、経済成長戦略大綱:P61 23行目、経済危機対策(平成21年4月10日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議):P8 25行目~P9 1行目 、生活対策(平成20年10月30日新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議):P19 27行目、安心実現のための緊急総合対策(平成20年8月29日 「安心実現のための緊急総合対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議): P14 14~22行目、参・文教科学委員会附帯決議(平成20年6月10日):項目 19、「生活安心プロジェクト」緊急に講ずる具体的な施策(平成19年12月17日「生活安心プロジェクト」に関する関係閣僚会合):P6 1~3行目、『自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すために早急に取り組むべき施策』(平成19年12月18日 閣僚懇談会):内閣府公表資料 P5、「京都議定書目標達成計画」(平成20年3月28日 全部改定(閣議決定)):P62 38~41行目、「低炭素社会づくり行動計画」(平成20年7月29日閣議決定):P19 12行目、「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」(平成20年11月 経済産業省、文部科学省、国土交通省、環境省)

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み  

 公立小中学校等施設の耐震化について着実に進捗しているなど、一定の効果が現れている。引き続き本事業を実施することにより、全国の公立小中学校等施設の耐震化事業が促進され、現在より多くの公立小中学校等施設において、児童生徒や教職員等が一日の大半を過ごす場の安全が確保されるとともに非常災害時における地域住民の応急避難場所の安全が確保される。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか 

 本事業の実施により、達成目標2‐8‐1「Is値0.3以上の施設の耐震化を本格的に推進し、公立小中学校、幼稚園、特別支援学校、高等学校の耐震化率を向上させる。」が着実に進捗する。
 また、耐震化事業のほか、老朽化への対応、エコ化への対応、基本的教育条件整備等のうち、特に緊急性の高いものを実施することにより、児童生徒の活動の場である学校施設の安全性が確保されるなど、施策目標2‐8の「児童生徒が安心して学習でき、教育内容・方法の多様化や社会のニーズに対応した学校施設・設備の整備を推進する。」の実現が図られる。

D.効率性の観点

1.インプット  

 公立学校施設整備費 121,177百万円(平成22年度概算要求)
(内閣府で要求している沖縄県分を含む。)

2.アウトプット  

 本事業の実施により、地方公共団体が実施する耐震化事業が円滑かつ計画的に実施されるなど、全国の公立小中学校等施設の耐震化等が促進される。

3.事業スキームの効率性 

 地方公共団体の要望に応じて必要な予算を確保し、国庫補助を行うことで、耐震化事業等の施設整備が推進されることから、本事業のインプットとアウトプットの関係は明白だと考える。
 また、「公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針」(平成18年4月24日文部科学省告示第61号)において、耐震化事業においては「建て替え方式から、耐震補強・改修方式に重点を移すなど、より効率的に耐震化を進めることができる手法を選択することが重要である」こと、また、公立学校施設整備を効率的に実施するためには「経済効率性や環境負荷の低減の観点から、公立の義務教育諸学校として長期的に使用することを前提とした計画に基づく整備であることが重要である」旨明示されており、この基本的な方針に基づいて本事業は行われることから、効率的な施設整備が図られているものと考える。
 なお、平成20年6月の地震防災対策特別措置法の改正により、地震による倒壊等の危険性が高い施設の耐震化について、公立小中学校の耐震補強の場合には1/2から2/3、やむを得ない理由により補強が困難な場合の改築の場合には1/3から1/2に国庫補助率がそれぞれ引き上げられたところであり、危険性の高い施設の耐震化事業を優先的に行うインセンティブが働き、効率的な執行を可能としているものと考えられる。

4.代替手段との比較  

 公立学校施設の整備は、設置者において一時的に多大な財政支出を要するとともに、年度により地域的な偏在も大きい。したがって、国が果たすべき責務である義務教育をはじめとする教育の機会均等と水準の維持向上を保障する観点からも、国において公立学校施設の整備に目的を特化した財源を保障した上で、必要な予算を確保し、公立学校施設整備に国庫補助を行うことが必要である。
 特に、耐震化の加速(前倒し)により、各年度における整備事業量の増加が見込まれるため、各地方公共団体において一時的な財政負担が限界を超えることが予想される。地方交付税の総額が抑制される中、地方財政措置だけでは対応困難であるため、国庫補助を主体とした手厚い国の支援が必要である。

E.公平性の観点  

 国庫補助の実施にあたっては、「公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針」等に基づき、各地方公共団体における施設整備事業の必要性・緊急性等に留意しつつ、要望に応じた必要な予算の確保と適切な執行を行うこととしており、公平な資源分配が達成されている。

F.優先性の観点  

 公立学校施設の果たす役割を鑑みれば、その安全性の確保等は喫緊の課題であり、平成20年7月に閣議決定された「教育振興基本計画」においても「未来に向かって成長する子どもたちが、安全で質の高い空間で学び、様々な体験をし、生活できるようにすることは、教育に不可欠な前提条件である」とされている。

G.総括評価と反映方針

 公立小中学校等施設の耐震化について着実に進捗しているなど、安全・安心で豊かな学校施設の整備推進による一定の効果が現れている。引き続き本事業を実施することにより、全国の公立小中学校等施設の耐震化事業等が促進され、現在より多くの公立小中学校等施設において、児童生徒や教職員等が一日の大半を過ごす場の安全が確保されるとともに非常災害時における地域住民の応急避難場所の安全が確保されるほか、エコスクールの整備等により、教育環境の向上が期待できる。
 今回の評価結果を平成22年度概算要求に反映し、以下の通り要求する。
 ○当該施策目標に関わる平成22年度概算要求額
 公立学校施設整備費 121,177百万円(内閣府で要求している沖縄県分を含む。)

H.審議会や外部有識者の会合等を利用した中間評価の実施予定

 特になし

指摘事項と対応方針

【指摘事項】

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

 特になし

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要

 特になし

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

 特になし

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年02月 --