6.キャリア教育総合推進プラン(新規) 【達成目標2‐2‐3】

平成22年度要求額:297百万円
(平成21年度予算額:‐ 百万円)
事業開始年度:平成22年度
事業達成年度:平成25年度

主管課(課長名)

 初等中等教育局児童生徒課(磯谷 桂介)

関係課(課長名)

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事業の概要等

1.事業目的

 高等学校のキャリア教育を総合的に推進するため、高校におけるキャリア教育の充実に向けた地域等との調整役を担う外部人材を都道府県の教育センター等に配置し、各学校に対する支援体制の在り方について調査研究を行う。

2.事業に至る経緯・今までの実績

 改正教育基本法において、職業との関連を重視することを新たな教育の目標の一つとして新たに規定されるとともに、同法に基づき策定された教育振興基本計画では、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策の中で「普通科高等学校におけるキャリア教育を推進する」とされた。
 また、平成21年3月に告示された新しい高等学校学習指導要領にキャリア教育の推進が明確に位置づけられている。
 さらに、中教審「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について審議経過報告」において、「産業社会と人間」のようなキャリア教育の中核となる内容を教育課程に位置づけることや、学校外に企業や地域社会との調整を行う者を確保すること等、高等学校におけるキャリア教育の在り方について提言がなされたところ。
 なお、「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究事業」(平成21年度をもって廃止)においては、外部人材の配置や活用方策について検討を行ったが、外部人材と教職員の連携不足や、外部人材の勤務時間数が短いため効果が十分に発揮されないなどの課題が得られた。

3.事業概要

(1)高等学校キャリア教育体制外部人材活用事業(新規)

 企業や地域社会等との調整役を担う外部人材を都道府県の教育センター等に配置。常勤の教職員と非常勤の外部人材の役割分担を踏まえた適切な連携の在り方その他の校内体制の望ましい在り方等、各学校におけるキャリア教育の推進に対する支援体制の在り方について調査研究を行う。

(1)高等学校キャリア教育体制外部人材活用事業(新規)

(2)普通科等高等学校キャリア教育一貫指導研究事業(新規)

 普通科等の高等学校で、「産業社会と人間」に準ずる内容を当該学校の教育課程に位置付ける等、キャリア教育の組織的・体系的な推進を行う学校を指定し、普通科高等学校におけるキャリア教育の中核となる内容の教育課程の望ましい在り方、さらには、そうした教育課程における外部人材の活用方法と教科担任の役割分担について実証的に調査研究を行う。

(2)普通科等高等学校キャリア教育一貫指導研究事業(新規)

(3)発達段階に応じたキャリア教育支援事業(継続)

 「キャリア教育実践プロジェクト」(平成17年度から平成20年度まで)を通して得た課題に対する解決策(モデルケース)を提示し、普及・定着を図るために、小・中学校の発達段階に応じた組織的・系統的なキャリア教育プログラムの開発などの調査研究を実施する。

4.指標と目標

【指標】

○研究協力校における外部人材の活用実績(活用した外部人材の人数、活用した回数)
○研究協力校における「産業社会と人間」に準ずる内容の実施
○モデル地域それぞれにおけるキャリア教育地域モデルの実施にあたっての進捗状況

【目標】

(年度目標)
○研究協力校において外部人材を効果的に活用する
○研究協力校において「産業社会と人間」に準ずる内容を研究・実施する
○モデル地域が、それぞれのキャリア教育地域モデルを計画・実施する。また、ワークショップを開催する。

(達成年度までの目標)
○委嘱先の各都道府県教育委員会が、キャリア教育推進のための外部人材活用の体制を構築する
○委嘱先の研究協力校が、キャリア教育の中核となる内容を適切に実施する
○モデル地域が、自らの地域モデルを提示する。

【効果の把握手法】

事業実績報告書の提出により把握する。

事業の事前評価結果

A.20年度実績評価結果との関係

 施策目標2‐2‐3において、「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」終了後の22年度以降の方針として、「外部人材の活用と、それを円滑に進めるための体制整備について、本事業で得た成果や課題をもとに、更に実証的な調査研究を実施する」と記述されていることを踏まえ、本事業を実施するものである。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

 教育振興基本計画では、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策の中で「普通科高等学校におけるキャリア教育を推進する」とされた。また、骨太09においても、小中高校におけるキャリア教育の強化を推進することとされている。
 さらに、中教審「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について審議経過報告」において、「産業社会と人間」のようなキャリア教育の中核となる内容を教育課程に位置づけることや、学校外に企業や地域社会との調整を行う者を確保すること等、高等学校におけるキャリア教育の在り方について提言されており、積極的な取組を行う必要がある中、実証的な研究に取り組むことにより、効果的な事業モデルを構築すること、そして、そうした成功モデル例を地方公共団体等に提示する必要があるため。

2.行政・国の関与の必要性

 1.のような実証的な研究と一定程度の汎用性ある、いわば、ナショナルスタンダード的なモデルの構築は、国以外においては実施不可能であると考えられるため。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策

○高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究
 高等学校、特に普通科高校におけるキャリア教育を充実するため、1.高等学校におけるキャリア教育、2.高等学校卒業者及び中退者への各支援の在り方について検討することなどの調査研究を実施(平成21年度をもって廃止)

○中等教育におけるキャリア教育の指導内容の充実
 中等教育、特に中学校におけるキャリア教育を推進するため、中学校教員を対象とした、キャリア教育の指導内容・指導方法を含めた指導資料を作成・配付する

2.関連施策との関係

 「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」においては、外部人材と教職員の連携不足や、外部人材の勤務時間数が短いため効果が十分に発揮されないなどの課題が得られたことを踏まえ、発展的に本事業を展開し、外部人材の効果的な活用や学校内外の体制の在り方について実証的な研究を実施する。
 「中等教育におけるキャリア教育の指導内容の充実」においては、中学校教員を対象としたキャリア教育の指導資料を作成・配布するものであり、本事業とは対象や事業のスキームが異なる。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

 教育振興基本計画P184~9行目、P23末行~P245行目、P406~10行目
 骨太09P78~9行目
 「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」審議経過報告P15~P18

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

 本事業を実施することにより、学校と企業や地域社会の連携が円滑に進み、外部の専門的な人材の活用がより効果的に行われることが見込まれる。
 また、「産業社会と人間」やそれに類する内容を普通科高等学校において実施するための研究やその効果の検証が行われることが見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

 これまでのキャリア教育推進のための取組に加え、本事業を実施することにより、高等学校におけるキャリア教育の指導内容や体制整備に関する更なる充実を図ることができる。また、その成果を全国に普及することにより、高等学校を始めとする各学校において、児童生徒に勤労観・職業観を身に付けさせるための取組が定着する。

D.効率性の観点

1.インプット

 本事業の予算規模は297百万円である。

(内訳)

1.高等学校キャリア教育体制外部人材活用事業 219百万円
  • 職員旅費180千円
  • 委員等旅費139千円
  • 教職員研修費17千円
  • 初等中等教育等振興事業委託費218,221千円
2.普通科等高等学校キャリア教育一貫指導研究事業 24百万円
  • 職員旅費539千円
  • 委員等旅費139千円
  • 教職員研修費21千円
  • 初等中等教育等振興事業委託費23,358千円
3.発達段階に応じたキャリア教育支援事業55百万円
  • 諸謝金176千円
  • 職員旅費425千円
  • 委員等旅費 7,745千円
  • 教職員研修費 20千円
  • 初等中等教育等振興事業委託費46,265千円

2.アウトプット

1.高等学校キャリア教育体制外部人材活用事業

 47都道府県で、高等学校における学校内外のキャリア教育の体制整備を推進する外部人材94人が登用

2.普通科等高等学校キャリア教育一貫指導研究事業

 高等学校において「キャリア教育を推進するための科目」が各学校で一科目設定

 本事業により、高等学校におけるキャリア教育の指導内容や体制整備について充実が図られるとともに、その成果を都道府県内や全国に波及させる成果も期待され、本事業は効率的に実施されるものと判断される。

3.事業スキームの効率性

 外部の専門的な人材の活用やキャリア教育の中核的となる内容の研究など、高等学校においてある程度の取組が始まっている部分に対して本事業を行うことにより、それぞれの取組の深化や発展が期待され、効率的な実施が可能であると考える。

4.代替手段との比較

 本事業は、国としてのモデル事業で行うが、都道府県ごとの事業として実施した場合、各地域のみの取組に終始し、全国的な普及効果が期待できないと考える。

E.公平性の観点

1.高等学校キャリア教育体制外部人材活用事業

 本事業は、全都道府県に委嘱するものであり、公平性は担保される。

2.普通科等高等学校キャリア教育一貫指導研究事業

 本事業は、高等学校を設置する全都道府県等へ募集をかけ、専門家による審査会を経て指定地域を採択するため、公平性は十分担保している。

F.優先性の観点

 政府において、平成20年7月1日に教育振興基本計画を閣議決定し、今後5年間において「特に重点的に取り組むべき事項」としてキャリア教育の推進が取り上げられたところであり、本事業は優先すべき政策であると考える。

G.総括評価と反映方針

 当該評価結果を踏まえ、22年度概算要求を行う。

H.審議会や外部有識者の会合等を利用した中間評価の実施予定

 特になし

指摘事項と対応方針

【指摘事項】

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

 特になし

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要

 特になし

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

 キャリア教育・職業教育関連事業について、省全体で一貫性を持って推進すること。

【指摘に対する対応方針】

 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について、平成21年1月から、中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会において、初等中等教育段階から高等教育段階を通じた審議を行っているところである。
 同部会等における議論も踏まえつつ、キャリア教育・職業教育関連事業を推進する予定である。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年02月 --