108.日本/ユネスコパートナーシップ事業(拡充)【達成目標13-2-2】

平成21年度要求額:150百万円
  (平成20年度予算額:28百万円)
  事業開始年度:平成19年度
  事業達成年度:平成26年度
  中間評価実施年度:平成23年度

主管課(課長名)

  • 大臣官房国際課(芝田 政之)

関係課(課長名)

  • 国際統括官付(渡辺 その子)

事業の概要等

1.事業目的

  本事業では、我が国におけるユネスコ活動の振興を図るために国内の教育・研究機関やNGO等と連携して研究会や国際会議等を実施する。特に「持続可能な発展のための教育(ESD)」は、国際的取組に対する協力と並んで、国内における取組の強化が必要である。
  また、持続可能な社会の構築のためには、すべての分野における一体的な取組が必要であり、教育分野のみならず、科学、文化分野においても同様の取組の実施を図る。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  本事業は、諸外国との知識や経験の共有や人材養成及び研究交流、知的交流等を通じたユネスコ活動の更なる振興、関係機関等の活動の強化、国民のユネスコ活動への理解と参加の促進、ユネスコ活動のビジビリティの向上などを目的に、平成19年より実施し、ESDに関する教員研修カリキュラムモデルの開発など3件の事業を支援した。
  ユネスコ活動のうち、特にESDに対して、本年1月の中央教育審議会答申を踏まえ同年3月に公示された新学習指導要領において各教科の内容でESDの考え方が言及され、また洞爺湖サミット、骨太の方針2008、低炭素社会作り行動計画、教育振興基本計画などで言及されるなど、持続可能な社会の構築に向けた教育の取組はますます重要であることから、本事業を拡充し、さらなる推進に努める。

3.事業概要

(1)教育分野における取組

  「持続発展教育」の概念に基づいた教育活動の推進と、ユネスコの世界的な学校ネットワークであるユネスコ・スクールの活用・発展を目指す。平成19年度は3件の事業を実施、平成20年度には4件の事業を実施する予定。
  「国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」の最終年である2014年(平成26年)までには、国内のユネスコ・スクール加盟校500校を目指す。

(2)科学分野における取組

  科学分野における持続可能な社会の構築のため、気候変動など地球規模課題の解決の手段として、ユネスコの水、海洋、生態系といった各プログラムの連携を推進する。

(3)文化分野における取組

  文化分野における持続可能な社会の構築のため、次世代へ無形文化遺産を継承するための保護計画を策定する。

日本/ユネスコパートナーシップ事業

4.指標と目標

指標

  • ユネスコ・スクール加盟校
  • プログラム開発及び保護計画
  • 事業参加ユネスコ・スクール数

目標

  • ユネスコ・スクール加盟校数 500校
  • プログラム開発及び保護計画の策定
  • 本事業によるプログラムに参加するユネスコ・スクール数を毎年10パーセントずつ増加させる

効果の把握手法

  文部科学省では、ユネスコ・スクール(ASP)をESDの推進拠点として位置づけ、その加盟校増加・ネットワーク強化に務めている。そこでユネスコ・スクール加盟校を指標として500校にすることを目標とすると共に、ユネスコ・スクールへの支援方策を指標として、毎年何校が受益したか、またその効果をユネスコ・スクール加盟校にアンケート等を通じて調査する。科学及び文化分野においては、プログラム開発及び保護計画の策定を目標とする。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  特になし

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  ESDを国際的な立場から推進することを提唱したのは日本政府である。2002年(平成14年)9月に開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)での小泉首相(当時)の提案に基づき、同年12月の第57回国連総会において、2005年(平成17年)から2014年(平成26年)までの10年を「国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」とし、ユネスコをその主導機関とするとの決議が採択された。これを受け2005年(平成17年)9月には、ユネスコが中心となって各国の具体的対応の指針となる国際実施計画が策定された。
  我が国にとって、国際的取組に対する協力と並んで重要なことは、国内における取組の推進である。特に学校現場におけるESDの概念が十分に理解されているとは言えない状況であり、早急な対策が必要である。
  ESDを学校教育の中で推進するに当たっては、環境教育、国際理解教育、人権教育など等、多岐にわたる分野をつなげて総合的に取り組むことが求められているが、ユネスコの国際的な学校間ネットワークである「ユネスコ・スクール」が取り組むテーマとESDが取り組むべき分野とが重なることから、全国の小・中・高等学校においてESDを普及促進していく上で、ユネスコ・スクールのネットワークを活用することが有効である。そこで、本事業ではユネスコ・スクールの活動の充実を図る。
  また、ESDは教育分野に限らず、科学・文化など横断的に取り組む必要があることから、科学・文化についてもプログラム開発、無形文化遺産の保護計画の策定等を実施し、科学・文化面からESDの普及・促進を図る。
  これらの取組が、我が国が提唱し、ユネスコが主導する地球規模の課題であるESD及び気候変動等への取組の国内外で普及・推進につながり、上位目標である「国際協力の推進」に寄与することが可能となる。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  洞爺湖サミット議長総括、サミット文書、骨太の方針2008、低炭素社会作り行動計画、教育振興基本計画において、ESDの推進が求められているため、国が積極的に実施する必要がある。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策 達成目標13‐2‐2

  ○持続可能な開発のための教育交流・協力信託基金
   「持続可能な開発のための教育信託基金」をユネスコ本部に拠出し、ESDの普及・推進を支援。2007年(平成19年)は、国連持続可能な開発のための教育の10年の3年目であり、ESD関連書籍の出版、各地域の取組の推進(アジア・太平洋、アフリカ、ラテン・アメリカ)など引き続きESDの普及促進を進める事業を実施。

2.関連施策との関係(役割分担・連携状況)

  本事業は日本国内におけるESDの普及促進に寄与するものであり、上記のユネスコに拠出する信託基金は、ユネスコを通じて国際的なESDの普及促進を図るものである。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

<洞爺湖サミット>

  (議長総括)(平成20年7月9日)

  「我々はまた、森林、生物多様性、3R及び持続可能な開発のための教育(ESD)といった環境問題に取り組むことの重要性を認識した。」
  (環境・気候変動(サミット文書))(平成20年7月8日)
  「我々は、より持続可能な低炭素社会の実現につながるような国民の行動を奨励するため、持続可能な開発のための教育(ESD)の分野におけるユネスコ及びその他の機関への支援及び、大学を含む関連機関間の知のネットワークを通じて、ESDを促進する。」

<経済財政改革の基本方針2008>(平成20年6月27日 閣議決定)

  第3章 低炭素社会の構築

  2.持続可能なライフスタイル

  【具体的手段】

  低炭素社会や持続可能な社会について教え、学ぶ仕組みを取り入れる。

<低炭素社会作り行動計画>(平成20年7月29日 閣議決定)

  4 地方、国民の取組の支援

   3 低炭素社会や持続可能な社会について学ぶ仕組み

<教育振興基本計画>(平成20年7月1日 閣議決定)

  (3)基本的方向ごとの施策

  基本方向1 社会全体で教育の向上に取り組む

  4.いつでもどこでも学べる環境をつくる

   ◇ 持続可能な社会の構築に向けた教育に関する取組の推進
  「特に,ESDを主導するユネスコの世界的な学校ネットワークであるユネスコ・スクール加盟校の増加を目指し、支援する。また,大学等と企業,NPO等の連携による,持続可能な社会づくりに取り組む環境人材の育成のための取組を支援する。」

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  現存する国内のユネスコ・スクールは25校であるが、昨年度事業を実施したところ新たに20校余りがユネスコ・スクールへの関心を持つに至った。今後、本事業を拡充することにより、年間100校は新たにユネスコ・スクールに参加すると予想され、平成26年度には500校以上が参加する見込み。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  ユネスコ・スクール加盟校増加を通じて、ESDに対する理解促進が図られ、ユネスコが主導し、世界的な課題となっているESDの普及促進に大きく貢献することが可能。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は150百万円である。
  事業委託費 1件15,000千円×10件=150,000千円

2.アウトプット

  年間10事業×6年=60事業を実施

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(150百万円)に対して、アウトプットとして、年間10事業を実施し、年間100校のユネスコ加盟校の増加、支援を行うことで、ユネスコ・スクール加盟校以外へのその活動の効果が波及することが期待できる、また、教育、科学、文化の分野において事業を実施することで、持続可能な社会構築に必要な包括的な取組・広がりが期待できることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効率的であると判断する。

4.代替手段との比較

  ESDの普及・促進について、ESDの主導機関であるユネスコと連絡しつつ、かつ特に学校現場への普及促進が求められていることから、文部科学省が実施することが最も効率的かつ効果的である。

E.公平性の観点

  本事業は、企画公募で委託先を決定するなど、公平性を確保できると判断する。

F.優先性の観点

  洞爺湖サミット議長総括、サミット文書、骨太の方針2008、低炭素社会作り行動計画、教育振興基本計画により、喫緊の課題として重点的に実施する必要がある。

G.総括評価と反映方針

  21年度概算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、よりアウトカムに近い指標・目標を検討する。

指摘に対する対応方針

  指標・目標の一部については、実績評価の中でよりアウトカムに近い指標・目標を検討する。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --