104.日米教育交流プログラム(新規)【達成目標13-1-3】

平成21年度要求額:200百万円
  (平成20年度予算額:‐百万円)
  事業開始年度:平成21年度
  事業達成年度:平成25年度

主管課(課長名)

  • 大臣官房国際課(芝田 政之)

関係課(課長名)

  • 国際統括官付(渡辺 その子)

事業の概要等

1.事業目的

  将来のさらなる日米関係の強化に資するような両国間の交流促進が求められていることを考慮し、日米両国がグローバルな諸問題に対処していくうえで不可欠な役割を果たしていることを踏まえ、両国間の教育分野の交流を促進するための事業を実施する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  日米首脳会談や「日米文化教育交流会議(カルコン)」において、日米両国間の知的交流、教育交流、草の根交流の強化が求められていることを踏まえ、日米間の教育・文化分野の交流を強化する必要がある。
  このため、平成20年度まで実施してきた「フルブライト・メモリアル基金事業」(平成20年度予算額:255百万円)による米国人教職員の日本招へい事業を、カルコンが日米両国政府に提出した報告書により政策提言がなされている以下の事業に改編する。

3.事業概要

  「教育交流計画に関するアメリカ合衆国政府と日本国政府の間の協定」(1979年)に基づき、フルブライト事業をはじめとする日米間の教育事業を実施することとされている国際機関である「日米教育委員会」(Japan-United States Educational Commission)に資金拠出を行うことにより、次の事業を実施する。

1.持続発展教育(ESD)に関する日米教員交流プログラム

  日米双方において、ESDに関心を有する学校の教員を一定期間招へいし、ESDに関する意見交換・共同研究等を行うことにより、日米の教育交流を推進するとともに、ESDに関する理解を深める。

2.日米青年交流プログラム

  日米の高校生・大学生・大学院生等が、両国関係やESDをはじめとするグローバルな問題等についていかに取組むべきかを、テレビ会議や人的交流等により議論しつつ、両国の青年層の交流を促進する。

3.次世代の日米関係を担う人材育成プログラム

  次世代の日米関係を担うリーダーとなりうる人材、国際的に活躍できるビジネス関連の人材養成等に資するため、我が国の優秀な若者を米国の大学院に留学させるとともに、米国の知日研究者・知識層等とのネットワークを構築させることにより、中長期的な日米交流の深化に資する。

日米教育交流プログラム(新規)

4.指標と目標

指標

  本事業により、期待される効果である

  • 日米の教員交流の推進とESDに関する理解の深化。
  • 両国の青年層の交流促進と、我が国の若年層のディベート能力、語学力の向上。
  • 日米間の知識層やビジネス界でのネットワーク構築と中長期的な日米交流の深化。

  について指標を設定することが望ましいが、本プログラムの効果を計数的に示すことは難しいため、プログラムの実施により招へい・派遣を達成した人数を指標とする。

目標

  平成25年度末において、

  1. ESDに関心を有する米国の学校教員を累計150名以上招へいする。
  2. 日米の青年間の人的交流を累計150名以上行う。
  3. 次世代の日米関係を担う日本の人材を累計30名以上米国の大学院に留学させる。

効果の把握手法

  プログラムの実績を、資金拠出の相手方である日米教育委員会から聴取する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  特になし

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  近年、日米両国の首脳は、首脳会談等の場において、日米同盟は日米両国がグローバルな諸課題に対処していく上で不可欠の役割を果たしており、今後もその同盟関係を一層盤石なものとしていく必要があるとの認識のもと、将来のさらなる日米関係の強化のために、知的交流、草の根交流、日本語教育等からなる日米交流を強化するイニシアティブを累次にわたり表明している。これらの政策的ニーズに応えるためには、教育分野での日米交流の強化に関する事業を実施する必要がある。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  カルコンの報告書においては、日米両国の教育・文化の分野での交流は官民を問わず促進していくこととされており、地方や民間・NGO等でも積極的に推進していく必要があるが、同時に、それらの分野の草の根交流の促進のためには、公的部門からも交流プログラムに対する理解と支援を促進する必要があるとされている。
  本事業は、上記報告書での提言に基づく、国としての支援・促進に資するものである。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策 達成目標13‐1‐3

  ○フルブライト・メモリアル基金事業
  文部科学省は、同事業により1997年(平成9年)以降、日米の教育交流の深化に資するための米国教員招へい事業等を実施してきた。

2.関連施策との関係(役割分担・連携状況)

  グローバル化や世界全体で解決すべき課題等の視点を踏まえ、同事業を「日米教育交流プログラム」として、新たに事業の活性化・見直しを図ることとする。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

  ○日米首脳会談(2007年(平成19年)4月27日)(外務省ホームページより抜粋)
  両首脳は、日米関係の礎が両国民の交流と相互理解にあるとの観点から両国間の知的交流を強化するための日米文化教育交流会議(カルコン)の改革に合意した。

  (カルコンの改革概要)

  1. 今後、カルコンは、日米両国間の文化・教育・知的交流面での課題を洗い出し、この分野での今後の展望を示すとともに、政府機関が関与することが望ましい問題を特定し、官民の連携も促進しつつ、成果につないでいく。
  2. このために、カルコンは、戦略的なビジョンとともに、取組が求められる重点課題を明示した報告書を4年毎に作成し、2年毎に、課題への取組状況についてのレビューを行っていく。報告書は、両国の外務大臣/国務長官及び文部科学大臣/教育長官に提出され、両首脳に報告する。カルコンは2008年の合同会議を目処に第一回報告書の取りまとめを行う。

  ○福田総理訪米(2007年(平成19年)11月16日)(首脳会談概要(外務省ホームページより抜粋))
  福田総理より、将来の日米関係を強化すべく、知的交流、草の根交流、及び日本語教育の3本柱からなる日米交流を強化するイニシアティブを説明したのに対し、ブッシュ大統領から支持の表明があった。

  ○日米文化教育交流会議(カルコン)報告書(2008年(平成20年)6月12日)における具体的政策提言(抜粋)

  日米文化教育交流会議(カルコン)報告書における具体的政策提言(抜粋)

  (1)知的交流

  • 有望な日本の大学生や若手実務者に、政策に関する議論に参加するために必要なプレゼンテーション技量と能力を向上させる機会をより多く提供すること。
  • 中高生レベルから中堅管理職レベルまでのそのような議論(自分の見解を表明する機会)への参加を奨励すること。
  • エネルギー、環境、国際的理解・異文化交流、人権、平和等のグローバルな課題に取り組むため、共通のテーマとして「持続的発展のための教育」に焦点をあてることにより、二国間の交流を推進させること。
  • 大学院レベルでの日米間の学生の留学の促進・奨励

  (2)教育交流

  • 双方における国際コミュニケーション技量の向上(特に語学教育を通じて)
  • 日本におけるK-12(初等中等教育段階)レベルの英語教育を充実させること。
  • 高校や大学の学生の間でディベート・クラブやその他英語を活発に使える場を通じて、異文化コミュニケーション技量の向上を支援すること。
  • 「持続的発展のための教育」のテーマへの関心を高めるような学校教員及び学生の交流を充実させること。

  (3)草の根交流

  • 公的・私的部門の双方にける、両国間の草の根交流プログラムに対する理解と支援の促進。

  (4)芸術・文化交流

  • 両国の芸術・文化関係者の交流促進やネットワーク構築。

  ○日米首脳会談(2008年(平成20年)7月6日)(外務省ホームページより抜粋)
  日米交流の強化に関し、福田総理より、昨年11月に訪米した際、ブッシュ大統領との間で日米交流の強化について合意したことに触れ、両首脳は、日米間の交流の更なる強化に共に取組んでいくことで合意した。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  平成9年度以降実施してきた「フルブライト・メモリアル基金事業」においては、平成19年度までに累計6,000名を超える米国人教員等の我が国への招へい等により、米国人(被招へい教員はもとより、その教員の生徒などへの波及効果もある)の対日理解と、日米教員間の理解増進や交流促進に効果的であった。本件プログラムは、カルコンによる政策提言を踏まえ事業改編を行うものであり、「フルブライト・メモリアル基金事業」と同様、目標の達成が可能なものと考えられる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  上記プログラムの実施により、国際的な舞台で活躍できる人材の育成や、教育やESDをはじめとするグローバルな諸問題の解決に貢献できる人材の育成が期待されるとともに、日米間の教育・文化交流のさらなる深化が見込まれる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は200百万円である。

  (内訳)
  日米が設置する国際機関である「日米教育委員会」に対する資金拠出 200百万円

2.アウトプット

  日米教育委員会は、上記のインプットにより以下の事業を実施する。

1.持続発展教育(ESD)に関する日米教員交流プログラム

  ESDに関心を有する米国の学校教員50名を2週間我が国に招へいし、ESDに関する意見交換・共同研究等を行う。

2.日米青年交流プログラム

  日本の大学生・大学院生60名が、米国の学生との間で、両国問題やグローバルな問題等についていかに取組むべきかについてテレビ会議を実施するとともに、テレビ会議に参加した日本の学生を米国に1週間程度派遣する。また、日米の高校生約10名を相互訪問させる。

3.次世代の日米関係を担う人材育成プログラム

  次世代の日米関係を担うリーダーとなりうる人材や、国際的に活躍できるビジネスマンとなりうる我が国の優秀な若者10名を1年間米国の大学院に留学させる。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(200百万円)に対して、アウトプットとして1持続発展教育(ESD)に関する日米教員交流プログラム、2日米青年交流プログラム3次世代の日米関係を担う人材育成プログラムを実施することにより、1日米の教員交流の推進と、ESDに関する理解の深化、2両国の青年層の交流促進と、我が国の若年層のディベート能力、語学力の向上、3日米間の知識層やビジネス界でのネットワークの構築と、中長期的な日米交流の深化といた成果が期待できることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
  日米間の教育交流事業を実施する国際機関として位置づけられている日米教育委員会を通じて事業を実施することは、両国が相互に協力しつつ事業を実施するのにもっともふさわしいものと考えられる。

4.代替手段との比較

  本事業の実施を米国側と連携しつつ実施するためには、日米が対等の立場で設置する日米教育委員会を介することが不可欠である。日米教育委員会は、日本政府のみならず米国政府(駐日米国大使館)もその構成員となっており、同会を介して事業を行うことは、米国の外交ルートを通じた事業の実施を容易とするが、他の機関・手段でそれと同等の優位性を有するものは存在しないと考えられる。

E.公平性の観点

  本事業は、日米教育委員会を通じ日米両国政府の合意を得つつ全国を対象として実施するものであり、公平性は担保できるものと考えられる。

F.優先性の観点

  我が国にとって、日米関係を良好な状態に保つことは非常に優先性が高い。また、本事業は、平成20年度まで実施してきた「フルブライト・メモリアル基金事業」(予算額:255百万円)をカルコンの報告書による提言を踏まえて改編するものであるため、日米教育交流を継続・推進する上でも必須であると考えられる。

G.総括評価と反映方針

  本事業の実施のため、平成21年度概算要求に「日米教育交流プログラム拠出金」として2億円を計上。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --