103.国際初中教育支援事業-日本の学び舎を海外へ-(新規)【達成目標13-1-3】

平成21年度要求額:69百万円
  (平成20年度予算額:‐百万円)
  事業開始年度:平成21年度
  事業達成年度:平成23年度

主管課(課長名)

  • 大臣官房国際課(芝田 政之)

関係課(課長名)

  • 初等中等教育局国際教育課(大森 摂生)

事業の概要等

1.事業目的

  日本式教育を世界に発信することにより、中東地域等での教育改革に協力する他、優れた留学生を確保し、知日(親日)家を育成するなど、対日理解の促進を目指す。また、海外での日本の教育サービス産業の進出を促す波及効果も期待する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  近年、中東諸国(カタール、アラブ首長国連邦(以下「UAE」)等)において日本の教育に対する関心が高まっており、教育改革の一環として、日本式の教育手法(朝礼、掃除や体育等の情操教育等)を導入しようとする動きが活発化している。
  日本政府はこれまで、福田総理とアブダビ首長国皇太子との会談における福田総理の「教育協力について可能な限り協力を行っていきたい」旨の発言や安倍総理(当時)がカタールを訪問した際に「双方は教育分野における二国間協力の重要性を強調した。カタール側は長期的に日本式教育を設立するにあたっての、日本の更なる協力への真摯な期待を表明」するなど首脳レベルにおいて、中東地域における教育協力の推進を表明してきた。

3.事業概要

(1)国際教育協力専門員の派遣

  国際的な教育協力を希望する国に対して、日本及び当該国の教育・文化について知見を持つ専門家を派遣し、現地の日本人学校、大使館等関係機関と連携を図りながら、日本式教育の伝達を通じた教育協力及びこれを通じた国際交流を促進する。

(2)派遣事業進捗調査及び関係機関との協議

  国際教育協力専門員の派遣先で、職員により日本式教育の普及状況に関する調査などのフォローアップを行う。また、現地の大使館や日本人会等の日本人コミュニティと連携し、現地の学校や教育機関等との協議などの調整を行う。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  日本人学校への現地人子女の入学(希望)者数の増加

目標

  現在、アブダビ日本人学校(UAE、附属幼稚園も含む)で受入れている現地人子女の数(3名)及び平成21年度再開予定のドーハ日本人学校(カタール)への現地人子女の受入者数を平成23年度末に、それぞれ9名、6名への増加が可能となるよう支援を行う。

効果の把握手法

  本事業の効果は、文部科学省職員による派遣事業進捗調査により、日本式教育の認知度の向上度について調査し検証する。この他、本事業の評価に当たっては、教育関係者だけではなく、現地に進出している日本企業や日本人会などの日本人コミュニティからも、本事業に関する効果・課題を広く聴取し、検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  特になし

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  国際的な資源獲得競争が激しくなる中、産油国との経済レベルにとどまらない文化や教育等の多角的な関係強化の必要性が指摘されている。また、国際社会での日本の発信力強化のため、日本への留学生の受入を大幅に拡大するなど、知日家・親日家の育成の必要性も指摘されている。
  そこで、日本式教育を世界に発信することにより、中東地域等での教育改革に協力する他、優れた留学生を確保し、知日(親日)家を育成するなど、対日理解を促進することを通じて豊かな国際社会の構築に貢献するため本事業を実施する。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  日本政府は、既に首脳レベルにおいて、中東地域での教育協力を推進することを表明している。
  また、日本国内の民間の教育サービス産業は海外展開の実績を持っておらず、早急な教育協力への参画が望めない。
  なお、本件は文部科学省が日本及び当該地域の教育について知見を持つ専門家を派遣し、日本式教育の紹介・普及を促進することにより、日本の民間の教育サービス産業の海外市場への進出を促進する効果も期待される。

3.関連施策との関係

  なし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

【安倍総理(当時)のアラブ首長国連邦訪問時の日本国とアラブ首長国連邦との間の共同声明(仮訳)】(抜粋)(平成19年4月29日)

  双方は、教育が国造りの不可欠な基盤であるとの認識を共有した。この関係で、アラブ首長国連邦側は、安倍晋三閣下による「美しい国 日本」に示された理念に対して強い関心を示すとともに、アラブ首長国連邦の教育分野における日本側の更なる協力を要望した。双方はこれに関し、特に現在のアブダビ日本人学校におけるアラブ首長国連邦人子弟の通学のような進行中の教育協力に強い満足の意を示した。さらにアラブ首長国連邦側は、この分野における日本側の協力の拡大に対して期待を表明した。また、アラブ首長国連邦側は、教育分野における日本・アラブ首長国連邦間の連携を前進させる用意があることを表明した。日本側は、人づくりプログラムを強化する意向を示した。

【安倍総理(当時)のカタール国訪問時のカタール国と日本国のプレス声明(仮訳)】(抜粋)(平成19年5月1日)

  双方は教育分野における二国間協力の重要性を強調した。カタール側は長期的に日本式教育を設立するにあたっての、日本の更なる協力への真摯な期待を表明した。日本側は、それに対し、教育における日・カタール協力を進める用意があることを表明した。

【日本の発信力強化のための5つの提言】(抜粋)(平成19年6月20日海外交流審議会)

  提言4:知的交流と知日派育成により日本の有識者の声を世界に反映

  (ロ)知日派・親日派育成のための取組
  ・・・加えて、日本に日頃から高い関心を持ち、日本の声に耳を傾け、さらに、母国で日本の考え方を説明してくれるような知日派・親日派を育成するため、各種招へい・交流事業を推進する必要がある。

【第12回海外経済協力会議結果】(抜粋)(平成19年12月12日)

4.ODAを供与できない湾岸産油国との二国間関係強化に際しては、石油特会予算やJBIC(ジェイビック)のOOF、貿易保険等、我が国が有するツールを総合的に活用しながら、特に教育・産業振興・人材育成等に係る協力を推進するとともに、貿易・投資上の関係強化等を図っていくことで一致した。

【ムハンマド・アブダビ首長国皇太子訪日時の福田総理との会談の概要】(抜粋)(平成19年12月17日)

  福田総理より、中東・アフリカ地域最大の在留邦人社会があるアラブ首長国連邦(UAE)との緊密な関係を一層発展させるものとして、ムハンマド皇太子の訪日を歓迎し、教育協力について可能な限り協力を行っていきたい旨述べた。ムハンマド皇太子は、日・ア首連関係は理想的な関係であり、教育協力、クリーン・エネルギー導入のための技術移転を含む、石油・ガスに留まらない二国間関係の発展を希望する旨述べた。

【経済財政改革の基本方針2008】(抜粋)(平成20年6月27日閣議決定)

  第2章 成長力の強化

  1.経済成長戦略

  2 グローバル戦略

  1.世界に開かれた経済の構築
  資源エネルギーの安全保障を実現すべく、首脳や閣僚が先頭に立ち、我が国の強みや産業協力、出融資、政府開発援助等を活用した戦略的な資源外交を展開する。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  UAE及びカタールとの教育協力を推進するにあたり、日本側関係機関(外務省、経済産業省、文部科学省)と相手国側の関係機関による教育協力検討作業部会が設置されている。これら作業部会において、現地人子女の日本人学校への入学が検討されており、目標人数の達成が見込まれている。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  両国の日本人学校において現地人子女が受入れられることにより、その保護者等のコミュニティを通じて日本式教育が広まることが期待される。これにより、更なる日本人学校への入学希望者の増加、日本への留学生の増加、日本の教育サービス産業の海外進出などにより、国際交流の更なる推進が期待される。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は69百万円である。

  (内訳)

  • (1)国際教育協力専門員の派遣 66百万円
  • (2)現地における調整及び関係機関との協議 3百万円

2.アウトプット

  本事業では、3名の国際教育協力専門員をカタール及びUAEへ派遣し、日本式教育を通じた教育協力・国際交流の推進を目指している。また、年2回、現地に文部科学省職員2名を派遣し、進捗状況を調査するとともに、現地の学校や教育機関との協議会を開催することを目指す。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(69百万円)に対して、アウトプットとして国際教育協力専門員の派遣や派遣事業進捗調査及び関係機関との協議を行うことにより、1.日本人学校への入学(希望)者の増加、2.日本式教育の認知度の向上、3.教育サービス産業分野の民間企業の中東地域への進出がなされることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
  事業の波及効果が認められ、効率性の観点から妥当である。

4.代替手段との比較

  本事業は国の事業として行うが、日本国内の民間の教育サービス産業の事業として実施することとした場合には、海外展開の実績を持っておらず、早急な教育協力への参画が望めず、本事業における十分な効果が期待できない。

E.公平性の観点

  国際教育協力専門員の派遣対象国については、日本に対して教育協力を希望する国のうち、既に現地日本人コミュニティ及び現地教育当局のコンセンサスが得られているが、現地人子女の教育に対応する人的資源が不足しているなど、緊急の対応が必要とされている国を優先して選定するものとする。また、専門員の選定については、文部科学省ホームページなどを通じて公募し、教育経験や言語能力を考慮の上、専門家による審査を経て決定するものとし、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点

  中東地域(UAE、カタール)における教育協力については、既に両国の首脳レベルにおいて、協力を約束している事案であり、その他の事業に優先すべき事業であると言える。

G.総括評価と反映方針

  21年度概算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、よりアウトカムに近い目標を検討する。

指摘に対する対応方針

  指標・目標については、今後、現地での更なる情報収集などを実施した上で、よりアウトカムに近い指標・目標を設定するよう検討する。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

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