平成21年度要求額:205百万円
(平成20年度予算額:96百万円)
事業開始年度:平成15年度
事業達成年度:平成22年度
学校や総合型地域スポーツクラブ等にトップアスリート等をチームで派遣し、子どもたちが主体的にスポーツに親しむ意欲を喚起する。
昭和60年頃から子どもの体力の低下傾向が続いており、子どもの体力低下により将来的に社会全体の活力が失われる事態が危惧されている。そこで、平成14年9月中央教育審議会の答申「子どもの体力向上のための総合的な方策について」において、「体力向上に向けたキャンペーンの展開」が子どもの体力向上のための総合的な方策の柱の一つとされ、子どもの体力の低下の問題や体力の重要性、外遊びやスポーツの重要性やよさについて国民の理解を促進するために、政府が関係団体等とともにアピールするに当たり、オリンピックのメダリストの巡回指導などを行うことを求められていることを受け、本事業が開始された。
本事業を実施した小学校等において、子どものスポーツに対する取組が積極的になったことや教員の指導法に改善が見られるなど、一定の成果が得られている。
子どもたちが主体的にスポーツに親しむ意欲を喚起するため、これまでも小・中学校や総合型地域スポーツクラブに対して、トップアスリートや補助者等のチームを派遣してきたが、より低年齢からアプローチするために来年度は派遣対象を幼児期段階まで拡大し、派遣先に幼稚園等を追加し、スポーツの実演・指導等を通じて体を動かすことの楽しさや正しい生活習慣を身につけることの大切さ、スポーツの素晴らしさなどを伝え、子どもの体力向上を図るとともに、その成果を全国に普及することとする。
小学校5年生の運動実施率(小学校5年生男女が最低週1回程度以上運動・スポーツを実施している割合)
小学校5年生の運動実施率を85パーセント以上
体力・運動能力調査(文部科学省)の結果に基づき、実施地域と未実施地域の運動実施率の差により本事業の効果を検証するとともに、実施地域におけるアンケート結果により実施地域における具体的な効果を検証する。
達成目標11‐1‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、「子どもの体力の低下傾向に歯止めをかけるためには、子どもの体力向上に向けた取組をより効果的に進める必要がある。」と記述されており、他に実施している体力向上に向けた取組も含め、より効果的に進めるためには、子どもたちが主体的にスポーツに親しむ意欲を喚起することが重要であり、本事業の拡充は不可欠である。
教育振興基本計画において、「学校や地域におけるスポーツの振興を通じて、生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲、能力を育成する。これにより、子どもの体力の低下に歯止めをかけ、上昇傾向に転じさせ、(略)昭和60年頃の体力水準への回復を目指す」としており、そのためには、トップアスリート等が、自らの豊かな経験と卓越した技術をもとに、講話や指導等を通じて、子どもたちが主体的にスポーツに親しむ態度や習慣を身に付けるきっかけを提供する必要がある。
本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業とした場合には、地方自治体の財政状況や取組姿勢によって地域格差が生じる可能性がある。さらに、地元出身のアスリートに偏る傾向があるため、限られた種目のアスリート・チームの派遣にとどまり、地域によってはスケジュールの都合上派遣できないことも考えられ、子どもたちに多種多様なアスリートと均等にふれあう機会を提供しがたいという課題もある。したがって、全ての子どもたちを対象として、主体的にスポーツに親しむ意欲の喚起を目的としている本事業における十分な効果が期待できず、本事業は行政・国による関与が必要である。
特になし
第3章(2)
スポーツがフェアプレイの精神を培うなど人間形成に重要な役割を果たすことに留意しつつ,学校や地域におけるスポーツの振興を通じて,生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲,能力を育成する。これにより,子どもの体力の低下に歯止めをかけ,上昇傾向に転じさせ,全国体力・運動能力等調査等による検証を行いつつ,昭和60年頃の体力水準への回復を目指す
3.我が国の国際競技力の総合的な向上方策
A.政策目標達成のための必要不可欠である施策
(4)競技者が安心して競技に専念できる環境の整備
3.今後の具体的施策展開
2)トップレベルの競技者に対するセカンドキャリア支援の充実
地方公共団体は、トップレベルの競技者を引退後に学校の非常勤講師等として採用し、その経験を競技力向上や青少年の教育へ活用することが望ましい。
本事業は、子どもたちが主体的にスポーツに親しむ意欲を喚起するため、小・中学校や総合型地域スポーツクラブ等に対して、トップアスリート等のチームを派遣し、スポーツの実演・指導等を通じて体を動かすことの楽しさや正しい生活習慣を身につけることの大切さ、スポーツの素晴らしさなどを伝え、子どもの体力向上を図ることを目的としてきた。
本事業では、体力・運動能力調査において小学校5年生の運動実施率を85パーセント以上となることを目指している。平成18年度(注)においては、小学校5年生の運動実施率は80パーセントとなっている。今後、より多くの小・中学校等にトップアスリート等のチームを派遣し、スポーツの実演・指導等を行うことで、子どものスポーツに対する取組が積極的になり、教員の指導法の改善も一層図られることにより、達成年度である平成22年度には、目標である理解・習熟度85パーセント以上を達成することができると見込まれる。
(注)平成19年度は現在集計中
トップアスリートとのふれあいが、子どもたちに夢や希望を与え、スポーツへの興味・関心が高まることについては、スポーツ振興基本計画等をはじめとして各所において指摘されており、子どもたちが主体的にスポーツに親しむ意欲喚起にとって非常に有効であり、ひいては子どもの体力向上が図られる。したがって、達成目標11‐1‐1にある子どもの体力の低下傾向に歯止めをかけるという成果に結びつくものと考えられる。
本事業の予算規模は205百万円である。
(内訳)
本事業では平成19年度までに小学校、総合型地域スポーツクラブ等計1,070か所において実施された。平成20年度は500か所での実施を計画しており、達成年度までに更に実施校等の拡充を考えている。
本事業の予算規模(205百万円)に対して、アウトプットとして、計960か所で実施することを通じて、1.子どものスポーツに対する積極的な取組の促進及び2.教員の指導法の一層の改善が推進されることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業とした場合には、また、地方自治体の財政状況や取組姿勢によって地域格差が生じる可能性がある。さらに、地元出身のアスリートに偏る傾向があるため、限られた種目のアスリート・チームの派遣にとどまり、地域によってはスケジュールの都合上派遣できないことも考えられ、子どもたちに多種多様なアスリートと均等にふれあう機会を提供しがたいという課題もある。したがって全ての子どもたちを対象として、主体的にスポーツに親しむ意欲の喚起を目的としている本事業における十分な効果が期待できず、国による実施がより効率的である。
本事業は、全国の小中学校、総合型地域スポーツクラブ等を対象として公募を行い、専門家による審査を経て、実施先を選定する予定であり、公平性は担保できると判断する。
昭和60年頃から子どもの体力の低下傾向が続いており、子どもの体力低下により将来的に社会全体の活力が失われる事態が危惧されている。教育振興基本計画においても、「学校や地域におけるスポーツの振興を通じて、生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲、能力を育成する。これにより、子どもの体力の低下に歯止めをかけ、上昇傾向に転じさせ、(略)昭和60年頃の体力水準への回復を目指す」としている。子どもの体力の向上のためには、子どもたちが主体的にスポーツに親しむ意欲を喚起させることが求められており、その手段としてトップアスリート等が、自らの豊かな経験と卓越した技術をもとに、講話や指導等を通じて、子どもたちが主体的にスポーツに親しむ態度や習慣を身に付けるきっかけを提供する必要があることから、本事業は優先すべき政策と考えられる。
21年度概算要求に反映する。
評価結果は妥当。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --