58.大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム(拡充)【達成目標4-1-3】

平成21年度要求額:8,000百万円
  (平成20年度予算額:3,000百万円)
  事業開始年度:平成20年度
  事業達成年度:平成24年度

主管課(課長名)

  • 高等教育局大学振興課(義本 博司)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

  本事業は、国公私立大学間の積極的な連携を推進し、各大学における教育研究資源を有効活用することにより、当該地域の知の拠点として、教育研究水準のさらなる高度化、個性・特色の明確化、大学運営基盤の強化等を図ることを目的とする。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  我が国の大学が、多様な地域社会ニーズを踏まえた人材育成や地元自治体及び経済団体等とも連携した地域貢献の活動など、地域の「知の拠点」として求められる様々な役割に適切に対応していくために、複数の大学間の連携による機能強化が重要であることから、本事業を創設した。
  平成20年度は全国の国公私立大学から94件(参加大学等数は、国立95校、公立52校、私立304校)の申請があり、54件を選定している。

3.事業概要

  国公私立の大学、短期大学、高等専門学校が連携して行う取組を対象に、全国の各地域において、多様で特色ある大学間の戦略的な連携を推進するため、

  • 大学連携による共通・専門教育の先進的なプログラム開発
  • 教育研究環境の充実のための教育・研究設備の共同利用
  • 地域の教育研究資源の結集による知の拠点としての機能強化
  • 大学間の連携による効率的かつ効果的な大学運営

  などの連携取組を支援する。事業目的を達成するため、補助事業者は連携取組ごとに将来目標や連携効果などを含む具体的な「大学間連携戦略」を策定することとしている。
  平成20年度は、総合的連携型(地元型、広域型)、教育研究高度化型の申請区分を設定しており、54件を選定・支援する(支援期間は3年以内)。選定に当たっては、有識者・専門家等で構成される「戦略的大学連携支援事業選定委員会」において公正に審査を行っている。なお、選定された事業については、大学間の戦略的な連携を広く社会に情報提供するとともに、大学間連携戦略など運営に係る諸規則等も広く公開する。
  平成21年度は、20年度に選定する取組の継続支援を行うとともに、中央教育審議会の「学士課程の構築に向けて」の審議に対応し、大学間連携による教育活動の質保証強化への取組を積極的に支援するため、事業名称を変更し、新たに70件程度(目標)を選定・支援する。

事業概念図

4.指標と目標

指標

  • 大学間の戦略的な連携取組の展開状況
  • 単位互換の状況。全国の大学コンソーシアムの数

目標

  全国各地域において、大学間の優れた連携取組が展開されることを目標とする。

効果の把握手法

  選定を行った取組を対象に,「大学間連携戦略」に基づき、事業が展開されているかについて状況調査を行うなどにより、各取組の進捗状況や得られた成果を把握する。あわせて各種調査の結果等も勘案して、本事業の効果を把握する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  特になし

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  各大学が、それぞれの機能・特色等に応じて多様な発展を果たしていくことが、我が国の高等教育の強化を図る上で重要であり、その中で地方大学が果たす役割は、地域における知の拠点としての役割からも、また、地域貢献や地域ニーズを踏まえた人材育成を行う観点からも極めて高いものと考える。
  そこで、複数の大学が連携強化を図ることにより、大学教育の高度化や教育研究の学際化等への対応が可能となるよう、大学単独ではなく複数大学によるスケールメリットを活かした教育研究活動の展開等に対する積極的な取組を支援する必要がある。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  「経済財政改革の基本方針2007」をはじめ政府諸提言において、国公私を通じた「大学地域コンソーシアム」の形成を支援するための措置を講ずることや、複数の大学が大学院研究科等を共同で設置できる仕組みを創設する旨の指摘がされており、予算・制度の両面での支援策が重要である。
  このことから地方大学等がそれぞれの持てる資源を効果的に活用しつつ、地方大学が連携・協力・役割分担・協同等を目的とする「大学地域コンソーシアム」を形成していくことが重要である。
  仮に,本事業を地方自治体の事業として実施することとした場合,地方自治体の財政状況や取組姿勢によって地域格差が生じるおそれがあり、また、都道府県を越えた取組が困難になるなど、事業自体の実施に支障が生じることになる。
  したがって、これらの取組に対して大学を所轄する国として積極的に支援していくことが必要不可欠である。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策 達成目標4‐1‐3

  ○大学病院連携型高度医療人養成推進事業(高等教育局医学教育課)
  複数の大学病院が緊密に連携・協力し、それぞれの得意分野による相互補完を図り、各病院を循環しながら修練や幅広い経験を積むことができる医師キャリア形成システムを構築するとともに、大学病院の若手医師に多様なキャリアパスを明確に示すことにより、若手医師が将来に希望を持ちながら安心して研修に専念でき、国民の要請に応えられる質の高い専門医や臨床研究者の養成に資するとともに研修中及び研修修了後により多くの医師が地域医療に貢献することを目的とする。(平成21年度要求額3,000百万円、事業開始年度:平成20年度、事業達成年度:平成24年度)

2.関連施策との関係

  本事業と同様に複数大学間の連携を対象とした事業として、「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」を実施しているが、両者は対象となる連携の形態や直接的な目的という面で異なるものの、「各大学等がそれぞれの特色を生かして行う社会貢献の取組の充実を図る」という共通の目標達成に寄与するものである。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

教育再生会議第2次報告(平成19年6月1日 教育再生会議)

  3.地域、世界に貢献する大学・大学院の再生

  <今すぐ取り組むべき5つの改革>

  提言4 国公私立大学の連携により、地方の大学教育を充実する

  【国公私を通じた「大学地域コンソーシアム」や大学院の共同設置】

  • 国は、地域の人材育成や地域経済の活性化のため、国公私を通じた地方における「大学地域コンソーシアム」を形成することを支援する。
経済財政改革の基本方針2007(平成19年6月19日 閣議決定)

  第1章 成長力の強化

  1.成長力加速プログラム

  3 成長可能性拡大戦略‐イノベーション等

  【具体的手段】

  (2)大学・大学院改革

  1. 国公私立大学の連携による地方の大学教育の充実
    • 国公私を通じた地方の「大学地域コンソーシアム」の形成を支援するための措置を平成20年度から講ずる。
教育振興基本計画(平成20年7月1日 閣議決定)

  第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策

  (3)基本的方向ごとの施策

  基本的方向3 教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し,社会の発展を支える

  1. 国公私立大学等の連携等を通じた地域振興のための取組などの社会貢献を支援する

  【施策】

  ◇複数の大学間の連携による多様で特色ある戦略的な取組の支援
  全国各地域において,大学間の連携により,各大学等の教育研究資源を複数の大学間で有効に活用し,地域人材の育成・イノベーション創出等の地域貢献機能の強化・拡大及び教育研究の多様化・特色化を図るための取組(国公私を通じたコンソーシアム)が,充実したものとなるよう,支援する。また,国公私を通じ複数の大学等が学部・研究科等を共同で設置できる仕組みを平成20年度中に創設する。

  (4)特に重点的に取り組むべき事項

  ◎大学等の教育力の強化と質保証

  ○国公私を通じた大学間の連携による戦略的な取組の支援
  全国各地域において,大学間の連携により,各大学等の教育研究資源を有効に活用し,地域貢献等を推進するための取組が充実したものとなるよう支援する。また,国公私を通じ複数の大学等が学部・研究科等を共同で設置できる仕組みを平成20年度中に創設する。

学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)(平成20年3月25日 中央教育審議会大学分科会制度・教育部会)

  第3章 改革の具体的な方策

  第2節 教育内容・方法等

  (1)教育課程の編成・実施

  <改革の方策>

  • 大学間の連携強化に向けた取組を支援し、共同プログラムの開発、単位互換などを促進する。

  (3)成績評価

  <改革の方策>

  • 大学間の連携強化に向けた取組の支援を通じ、成績評価等の在り方について、外部評価や相互評価の取組を促進する。

  第3節 高等学校との接続

  (2)初年次における教育上の配慮、高大連携

  <改革の方策>

  • 補習教育の充実のため、eラーニング型のシステム開発、大学間の連携による教材開発を支援する。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業において、複数の大学間の連携を支援することで、多様な地域社会ニーズを踏まえた人材育成など地域の「知の拠点」として求められる機能の一層の強化や、各大学の教育資源を結集することによる教育研究水準の更なる高度化が促進され、教育研究の多様化・個性化が図られることが期待されるものと考える。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業の実施により、個々の大学の枠を超えた組織的な教育研究事業が可能となることに加え、地域振興の核となる大学システムを構築することが期待され、一層の地域貢献活動の展開や、地域ニーズに対応した人材育成が期待されるものと考える。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は8,000百万円である。

  (内訳)

  • 20年度選定取組に対する継続支援 3,000百万円
  • 21年度新規選定取組に対する支援 5,000百万円

2.アウトプット

  本事業においては、平成20年度に54件、21年度に70件程度(目標)の大学間の連携取組を選定し財政支援を行うとともに、大学間の戦略的な連携を広く社会に情報提供することとしている。

3.事業スキームの効率性

  本事業を実施することにより、全国の各地域において「総合的連携型」、「教育研究高度化型」など、多様で特色ある大学間の戦略的な協同・連携の取組を促進し、地域の知の拠点を形成することが可能となる。
  本事業は複数大学間の協同・連携による取組への支援であるため、各大学における教育研究資源の有効活用が可能であることに加え、大学教育の共同プログラムの開発・実施や研修事業等の共同運営、事務局機能の共有化などが期待されるものである。また、本事業により教育研究水準の更なる高度化や地域貢献の機能強化が図られ、非常に効率性の高い事業であることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  大学に対する支援については、個性・特色の明確化を図ろうとする各機関に適切な支援が行えるよう、基盤的経費助成と競争的資源配分を有効に組み合わせることにより、きめ細やかなファンディング・システムを構築する必要がある。
  仮に,本事業を地方自治体の事業として実施することとした場合,地方自治体の財政状況や取組姿勢によって地域格差が生じるおそれがあり、また、都道府県を越えた取組が困難になるなど、事業自体の実施に支障が生じることになる。
  本事業は、国として、国公私立を通じた競争原理に基づき、大学間の連携による戦略的な取組を支援することにより、各大学等の教育研究資源を有効活用し、地域貢献等を推進するための取組が充実したものとなることが期待できる。

E.公平性の観点

  本事業は、国立・公立・私立大学の設置形態の別に関わらず、また、大学、短期大学、高等専門学校の全ての高等教育機関を対象とするものであり、公平性は担保できると判断する。また、事業の選定に当たっては、有識者・専門家等で構成される選定委員会において審査及び評価を実施することとしており、より公平性が高められているものと考える。

F.優先性の観点

  「教育再生会議第2次報告」や「経済財政改革の基本方針2007」、「教育振興基本計画について」など、政府諸会議からの多くの提言等において本事業の推進や必要性が指摘されているところであり、国が優先的かつ重点的に実施すべき施策である。

G.総括評価と反映方針

  評価等も踏まえつつ,引き続き事業の充実を図る。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要等

  外部評価、第三者評価等の実施については、今後検討を行う。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

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