56.グローバルCOEプログラム(拡充)【達成目標4-1-2】

平成21年度要求額:34,488百万円
  (平成20年度予算額:33,986百万円)
  事業開始年度:平成19年度
  事業達成年度:平成23年度
  中間評価実施年度:平成21年度

主管課(課長名)

  • 高等教育局大学振興課(義本 博司)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

  我が国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化し、世界最高水準の研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため、「21世紀COEプログラム」の成果(大学改革・教育・研究)を踏まえ、これまでの基本的な考え方を継承し、国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援することによって、国際競争力のある大学づくりを推進する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  大学院への進学率の上昇、知識基盤社会の到来等を踏まえ、科学技術創造立国の実現に向けて、高度な人材の養成の中核を担う機関として、国際的に魅力ある大学院を形成することが国家社会を左右する重要な課題として認識されるようになった。
  このような状況を背景に、「新時代の大学院教育」(平成17年9月中央教育審議会答申)等において、21世紀COEプログラムをより充実・発展させて引き続き国際的に卓越した教育研究拠点に対して支援を行うことが必要であると提言されたことを踏まえ、平成19年度より本事業を実施している。
  平成19年度には28大学63拠点(申請:111大学281拠点)、平成20年度には29大学68拠点(申請:130大学315拠点)を採択し、経済的支援の更なる充実や、国内外の大学・機関との連携強化を含め国際的に卓越した教育研究拠点の形成に対する重点支援を行った。

3.事業概要

  国公私立大学における大学院(博士課程)レベルの専攻等を対象とし、全ての学問分野を範囲として公募を実施する。大学は学長を中心としたマネジメント体制の下、如何にして世界最高水準の教育研究拠点に育成するかという大学としての戦略に基づいた拠点形成計画を策定して申請を行い、日本学術振興会を中心に運営される専門家、有識者からなるグローバルCOEプログラム委員会において、公平・公正な第三者評価を実施した上で優れた拠点を選定する。
  「教育振興基本計画」(平成20年7月)では、平成19年度~23年度までの5年間で150拠点程度採択することとしており、平成21年度においては、20年度までに採択された拠点に対し継続して支援を行うとともに、平成19年度採択拠点に厳格な中間評価を行い、結果に応じて平成22年度以降の補助金を重点配分する。また、「学際・複合・新領域」分野について新規公募を実施し、真に将来の発展が見込まれるものに絞って10拠点程度採択する予定である。新規公募については、国際的にも新たな学問分野の創造とそれを担う人材育成や諸外国の教育研究機関等との連携も含めたCOEに相応しい優れた取組を厳選して支援する。なお、優れた高度人材の受入れを通じて、今後検討される「高度人材アクションプラン」に貢献する。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  • 生活費相当額のRA(リサーチ・アシスタントの略、研究補助者として働き経済的援助を受けるもの)受給学生数など人材育成面や研究活動面における様々な指標等

目標

  • 我が国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化し、世界最高水準の研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図る。

効果の把握方法

  • 採択拠点大学に対して、人材育成面や研究活動面等の状況について調査を実施し、着実に取組が進展していることをもって本事業の効果を検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  達成目標4‐1‐3「今後の課題及び政策への反映方針」において、創造性・柔軟性豊かな質の高い研究者の養成が期待される卓越した教育研究拠点に対する重点的支援を一層強力に展開することが重要であり、国際的に卓越した教育研究拠点の形成をさらに強力に推進するために必要となる支援の拡充を図ることとされている。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  我が国の大学が、世界トップレベルの大学と伍して教育及び研究活動を行っていくためには、第三者評価に基づく競争原理により競争的環境を一層醸成し、国公私立大学を通じた大学間の競り合いがより活発に行われることが重要であることから、大学の構造改革の一環として、平成14年度から、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある大学づくりを目指す「21世紀COEプログラム」を実施してきたところである。
  「21世紀COEプログラム」の成果として、大学改革の推進、優れた若手研究者の養成、新たな学問分野の開拓や研究水準の向上などが図られてきたが、知識基盤社会、グローバル化の進展のなかで、国際的に第一級の力量をもつ研究者の育成は益々その重要性を増しており、「新時代の大学院教育(中央教育審議会答申)」や「第3期科学技術基本計画」においても必要性が指摘されている。また、国際的に卓越した教育研究拠点の形成については、「教育振興基本計画」、「教育再生会議‐第二次報告‐」等においても示されており、まさに本事業を通じて世界最高水準の教育研究拠点の形成を加速していくことの重要性が指摘されているところである。これらを踏まえ、博士課程学生への経済的支援の更なる充実や国内外の大学・機関との連携強化を含め国際的に卓越した教育研究拠点に対する重点的支援を図ることが重要であり、本事業の拡充が不可欠である。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  本事業は、第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて、国際競争力のある卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進することを目的としていることから、国として積極的に事業を推進することが必要不可欠である。また、本事業を地方公共団体や民間団体の事業として実施した場合、支援対象が全国の国公私立大学であることや、公平・公正な第三者評価を行い、優れた若手研究者の育成機能の強化や国内外の大学・機関との連携強化等を通じて拠点の形成を支援するという本事業の内容を考慮すると、効率的に目的を達成することはできないと考えられる。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策 達成目標4‐1‐2

  ○大学院教育改革支援プログラム
  産業界をはじめ社会の様々な分野で幅広く活躍する高度な人材を養成するため、大学院(博士課程・修士課程)における優れた組織的・体系的な教育の取組を支援する。(平成21年度要求額9,024百万円、事業開始年度:平成19年度、事業達成年度:平成23年度)

2.関連施策との関係(役割分担・連携状況)

  本事業と同様に大学院を対象とした事業として、「大学院教育改革支援プログラム」を実施している。本事業が国際的に卓越した教育研究拠点に対する重点的支援を行うことに対して、大学院(博士課程・修士課程)における優れた組織的・体系的な教育の取組を支援するという面で役割は異なるものの、大学院の教育研究の質の向上という共通の目標達成に寄与している。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

「新時代の大学院教育 ‐国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて‐」(平成17年9月5日中央教育審議会答申)

  記載事項(抜粋)

  第2章 新時代の大学院教育の展開方策

  2 国際的な通用性、信頼性の向上(大学院教育の質の確保)のための方策

  (2)国際社会における貢献と競争

  2国際競争力のある卓越した教育研究拠点の形成支援

  • 「21世紀COEプログラム」の評価・検証を踏まえ、その質的な向上を図るべく、今後の在り方を検討するものとして、ポスト「21世紀COEプログラム」を検討し、より充実・発展した形で具体化していく必要がある。
「第3期科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  第3章 科学技術システム改革

  2.科学の発展と絶えざるイノベーションの創出

  (2)大学の競争力の強化

  1. 世界の科学技術をリードする大学の形成
  • 現在、国公私立大学を通じた大学の構造改革の一環として、21世紀COEプログラムが展開されているが、この評価・検証を踏まえた上で重点化を図り、より充実・発展した形で更なる展開を図っていくことが適当である。
「教育再生会議‐第二次報告‐」(平成19年6月1日教育再生会議)

  記載事項(抜粋)

  3.地域、世界に貢献する大学・大学院の再生

  提言3 世界トップレベルの教育水準を目指す大学院教育の改革

  ■学生に対する経済的支援

  • 国は、国内外を問わず、優秀で意欲のある大学院学生への経済的支援を充実し、大学院において、TA、RAやフェローシップとして積極的に採用を行う。特に、他大学の大学院に進学する優秀な学生に対する支援を強化する。
「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  第2章 今後10年間を通じて目指すべき教育の姿

  (1)今後10年間を通じて目指すべき教育の姿

  1. 社会を支え、発展させるとともに、国際社会をリードする人材を育てる
    • イ 「知」の創造等に貢献できる人材を育成する。こうした観点から、世界最高水準の教育研究拠点を重点的に形成するとともに、大学等の国際化を推進する
  • 「知」の創造・継承・発展に貢献できる人材を育成する。こうした観点から、国際的競争力を持ち、世界の英知が結集する教育研究拠点を重点的に形成するとともに、大学の教育研究の高度化を促す。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業は、第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて、国際競争力のある卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進することを目的としている。
  本事業の実施を通じて、採択拠点はもとより、それ以外の大学においても、全学的視野に立った戦略的な教育研究体制の構築が促進されるなど、国公私立大学を通じた大学間の競争的環境の醸成等が期待されるところであるが、平成19年度には28大学63拠点(申請:111大学281拠点)、平成20年度には29大学68拠点(申請:130大学315拠点)と、多数の申請の中から優れた拠点を採択することができた。達成年度である平成23年度までには、150拠点程度を採択することができると見込まれる。
  また、本事業の前身である「21世紀COEプログラム」の採択拠点大学に対して、人材育成面や研究活動面等の状況についてアンケート調査を実施した結果、若手研究者の雇用増加(リサーチ・アシスタント2.6倍:3,157人から8,178人)、企業の研究開発部門への就職者数増加(3割増(600人から797人))、大学院生の学会、論文発表数増加(論文3割増(約9千件から約1万1千件)、国外の学会発表数5割増(約6千5百件から約1万件))、国内外の大学・研究機関・企業等との共同研究の増加(5割増(約1万件から約1万5千件))など教育研究上の成果が確認されており、本事業においても同様の成果が期待される。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  1学長を中心とした全学的観点からの大学づくりなど大学改革の推進、2優れた若手研究者の育成機能の強化、3独創的・先端的研究の水準の向上といった本事業における効果により、達成目標4‐1‐2にある国際的に卓越した教育研究拠点を形成するために必要な成果が得られるものと考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は34,488百万円である。

  (内訳)

  • 研究拠点形成費等補助金 34,487,643千円

2.アウトプット

  本事業では、平成19年度に28大学63拠点(申請:111大学281拠点)、平成20年度に29大学68拠点(申請:130大学315拠点)を採択しており、平成19年度~23年度までの5年間で150拠点程度公募・採択する計画である。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(34,488百万円)に対して、アウトプットとして、国際競争力のある卓越した教育研究拠点を150拠点程度重点的に支援することを通し、全分野における若手研究者の育成機能や国内外の大学・機関との連携等が強化され、また、全学的視野に立った戦略的な教育研究体制の構築が促進されることも見込まれる。その他、本事業の実施及び情報提供を通じて、採択拠点はもとより、それ以外の大学においても、大学教育改革への取組が一層積極的に行われるなど、我が国の大学全体の教育研究環境が活性化することも見込まれ、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  本事業は、第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて、国際競争力のある卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進することを目的としていることから、国として積極的に事業を推進することが必要不可欠である。また、本事業を地方公共団体や民間団体の事業として実施した場合、支援対象が全国の国公私立大学であることや、公平・公正な第三者評価を行い、優れた若手研究者の育成機能の強化や国内外の大学・機関との連携強化等を通じて拠点の形成を支援するという本事業の内容を考慮すると、効率的に目的を達成することはできないと考えられる。

E.公平性の観点

  本事業は、文部科学省外に置かれた専門家・有識者等からなる「グローバルCOEプログラム委員会」(野依良治委員長・日本学術振興会を中心に運営)により、人材育成面、研究活動面、拠点性、国際性等の観点について具体的な審査方法・基準等を定め、これを大学に事前に明示して公募することにより、公平な評価を実施している。

F.優先性の観点

  グローバル化が一層進展し、国際競争が激化する現代の社会において、国際競争力のある大学づくりを推進し、世界に伍する教育研究を展開することは喫緊の課題である。このような社会においては、高度な人材の養成の中核を担う機関として、国際的に魅力ある大学院づくりを推進することは、国家社会を左右する重要な課題であり、本事業は優先すべき政策と考えられる。

G.総括評価と反映方針

  21年度は引き続き財政支援を行っていくとともに、本事業の取組状況について調査、検証を実施する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要等

  平成21年度においては、平成19年度採択拠点に対して厳格な中間評価を行い、結果に応じて以降の補助金を重点配分する予定である。
  また、本事業は総合科学技術会議による「平成19年度概算要求における科学技術関係施策の優先順位付けについて」において、積極的に実施すべき事業として最高位の「S」の評価を得ている。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

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