平成21年度要求額:2,453百万円
(平成20年度予算額:828百万円)
事業開始年度:平成18年度
事業達成年度:平成21年度(平成18年度採択拠点)、平成22年度(平成19年度採択拠点)、平成24年度(平成21年度採択拠点)
中間評価実施年度:平成20年度(平成18年度採択拠点)、平成21年度(平成19年度採択拠点)、平成23年度(平成21年度採択拠点)
大学間及び産学の壁を越えて潜在力を結集し、教育内容・体制を強化することにより、専門的スキルを有するとともに、社会情勢の変化等に先見性をもって対処できる1世界最高水準の高度IT人材、2高度実践型理工系スペシャリストを育成するための教育拠点の形成を支援する。
近年、少子高齢化、高度情報化、国際化などが急速に進む中で、我が国では、経済の活力の維持、環境問題といった様々な重要な課題が生じており、また、国際的にもグローバル化に伴う国際競争が激化している。
また、産業界が大学に対して求める人材が育成されていないとの指摘が従前からされており、このような状況に対応するため、複数の大学及び企業・経済団体等が連携し、高度な知識と技術を身につけた高度専門職業人を育成するための拠点を形成することとした。
現在、IT分野における人材、とりわけ高度な専門性を有するソフトウェア技術者等が不足しており、このような重要分野における人材の脆弱性は、我が国の国際競争力に関わる深刻な問題であり、学界、産業界の双方から、早急に効果的な人材育成・強化システムを構築する必要性が指摘されている。
このような状況を受け、平成18年度より「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」を開始し、平成18年度には、企業等において先導的役割を担うソフトウェア技術者を育成するための教育拠点として6拠点、平成19年度には、国民が安心・安全にITを活用できる環境を構築するための高度セキュリティ人材を育成するための教育拠点として2拠点を選定した。
大学が育成する人材と、産業界が大学に対して求める人材のミスマッチへの指摘に対応するため、文部科学省と経済産業省が連携して、産学双方の対話の場を設ける「産学人材育成パートナーシップ」の取組が平成19年10月に始まった。今後は、その中で議論された具体的な課題等について、適切な対策を講じる必要がある。
「先導的ITスペシャリスト育成」、「高度実践型理工系スペシャリスト育成」とも、複数の大学、企業・経済団体が連携し、4年間の補助継続期間において高度専門職業人育成を目指すこととしている。
平成18年度には、企業等において先導的役割を担うソフトウェア技術者を育成するための教育拠点として6拠点、平成19年度には、国民が安心・安全にITを活用できる環境を構築するための高度セキュリティ人材を育成するための教育拠点として2拠点を選定し、現在、8拠点において、世界最高水準のIT人材育成を目指した先進的な教育プログラムの開発・実施が行われている。
また、平成20年度より、全国の拠点における多様な教育プログラムの開発や実施を通じて得られた成果について、それを効率的に全国へ普及・展開するために、教材の洗練(収集・改編・共同開発等)、ポータルサイトの構築、ガイドラインの策定、シンポジウムの開催などを行う「拠点間教材等洗練事業」を新たに開始している。
平成21年度においては、引き続き既存の8拠点への継続支援を行うとともに、「拠点間教材等洗練事業」の一層の充実を図り、現在実施している教材の洗練やポータルサイト構築に係る活動を本格化するとともに、新たに、教員等の教育力向上支援や社会人向け教育プログラムの展開等に係る活動に必要な経費を措置する。
平成18年度から開始し、中間評価を行っている先導的ITスペシャリスト育成拠点と同様の手法を用い、ITスペシャリストへの評価を踏まえつつ、IT人材以外の分野の高度専門職業人を育成する拠点の形成を目指す。
具体的には、1環境・省資源技術、2ナノテク、3電子・情報技術、4ものづくり、5応用数学など、「第三期科学技術基本計画」において、「重点推進4分野」、「推進4分野」とされているもの等の重要分野から拠点を形成する分野を決定し、国公私立の大学院が他大学や企業等と有機的に連携しつつ、社会から求められている課題を明確にし、それに応えうるスペシャリストを効果的に育成するための拠点の形成を支援する。
実績評価「4‐1‐1」の今後の課題及び政策への反映方針には、平成18年度より実施している「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」については、各拠点において一定の成果が得られつつあり、今後はそれらの成果を効果的・効率的に全国の大学に普及展開していくための事業を進めていくこととしている。
近年、少子高齢化、高度情報化、国際化などが急速に進む中で、我が国では、経済の活力の維持、環境問題といった様々な重要な課題に対応するためには、大学における優秀な人材の育成が必要不可欠であり、大学が企業等と連携し、「社会から望まれる人材」像を理解した上で、職業人として必要な基礎知識から実践的スキルまでを身につけさせ、社会で活躍できる資質を備えた高度な人材を育成していく必要がある。
先導的ITスペシャリスト育成については、平成18年度より実施している各拠点における教育プロジェクトが3年目を迎え、それぞれの特色に応じた所要の成果が輩出されつつあるが、各拠点にて共通利用しうる教材等や共通認識すべき課題等の十分な共有あるいは検討に至っていないのが現状である。今後は、拠点間の密な情報交換を図り、著作権や知的財産権等に関するガイドラインの策定やポータルサイトの構築など、教材等を横断的に展開するための整備を行い、高度IT人材育成方策の全国展開を進めていくことが望まれている。
さらに、本プログラム終了後の平成22年度以降も高度IT人材の量的拡大を進め、我が国の国際競争力の継続的な向上を図る必要があるため、教員等の教育力向上や社会人向け教育プログラムの展開など、大学における教育機能のさらなる強化を図る必要がある。
高度実践型理工系スペシャリスト育成については、先行して行われているIT分野の人材育成の状況も踏まえ、同様の手法を用いIT分野以外の人材の育成を図っていく必要があることから、新たに人材育成拠点を形成するもの。
本事業は国の補助金により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合には、各拠点において実施される特色あるプロジェクトの成果を広く全国の大学に周知し、高度専門職業人育成方策の全国展開を期待している本事業における十分な効果が期待できない。また、地方自治体の財政状況や取組姿勢によって地域格差を生じる可能性があることからも、国の事業として着実に実施していく必要がある。
特になし
記載事項(抜粋)
2.3.3 高度IT人材育成の好循環メカニズムの形成
ア)世界に通用する高度IT人材育成拠点の形成加速(文部科学省)
世界最高水準の高度IT人材を育成するための教育内容・教育体制を強化する取組を2007年度に拡充し、産学連携による高度IT人材育成プログラムを実施する拠点形成を加速する。
記載事項(抜粋)
第6章 2008年度の重点施策の方向性
第1節 情報セキュリティ人材の育成・確保に向けた集中的な取組み
イ)先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム(文部科学省)
高度なセキュリティ人材の育成を目的とするプログラムを開発・実施する拠点形成の支援を行うともに、プログラムの開発・実施を通じて得られた教育用教材等の成果の他大学等への普及・展開の実施を推進する。
記載事項(抜粋)
2 3つの強化分野のロードマップ
3.「つながり力」発揮による経済成長の実現
4)高度IT人材育成の規模拡大・定着及び日本と海外のバランスの取れたIT人材の活用【総務省、文部科学省及び経済産業省】
産学が連携した高度IT人材育成に係る取組を推進するとともに、ナショナルセンター構想における機能に係る検討も踏まえ、産業界のニーズに対応したIT分野の優秀な人材を安定的・継続的に育成し輩出するための仕組みを産学官一体となって構築
記載事項(抜粋)
第2章 成長力の強化
1.成長力加速プログラム
3 成長可能性拡大戦略‐イノベーション等
(4)イノベーションの加速
4 産学官連携の推進
次世代環境航空機等の戦略的分野の研究開発プロジェクト、産学双方向の対話(「産学人材育成パートナーシップ」)等を推進する。
先導的ITスペシャリスト育成については、全国8拠点で多様な教育プログラムが開発・実施されるとともに、その活動を通じて得られた成果について、各拠点が個別に普及展開に取り組むだけでなく、「拠点間教材等洗練事業」を通じて、各拠点が協力して、ポータルサイトの構築やシンポジウムの開催など組織的かつ効率的な方法によって普及展開活動を実施することにより、世界最高水準のIT人材育成方策の全国的な波及効果が期待できる。
新たに開始する高度実践型理工系スペシャリスト育成については、ITスペシャリスト育成拠点に関する中間評価結果を踏まえ、問題点を整理した上で拠点形成を試みることから、受講者の2/3以上から良好との評価を得ることは可能と考える。
本プログラムについては、補助期間(4年間)を含む10年間の教育に関する構想を示した大学を補助対象としていることから、補助期間終了後も、学生の教育、教員等の教育力向上や社会人向け教育プログラムの展開など、大学における教育機能のさらなる強化により、高度専門職業人の量的拡大を進めることで大学教育改革に寄与するとともに、我が国の国際競争力の継続的な向上が図られる。
本補助事業の予算規模は、2,453百万円である。
(内訳)
本事業を実施することにより、全国の拠点で多様な教育プログラムが展開され、高度専門職業人が輩出されるとともに、そこで得られた先進的な教材やノウハウ等の成果を「拠点間教材等洗練事業」等を通じて、高度専門職業人育成方策の全国的な普及展開を目指すものであり、本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。
本事業の予算規模(2,453百万円)に対して、アウトプットとして、高度専門職業人育成に取り組む18拠点に対して支援を行うこと、及び、成果の効果的・効率的な普及展開を目的とした「拠点間教材等洗練事業」等の推進を通じ、1.先進的な教育プログラムの開発・実施、2.高度専門職業人の育成・輩出、3.全国的な高度専門職業人育成方策の波及効果が見込まれ、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
本事業は国の補助金として実施しているが、例えば地方公共団体の事業として実施された場合、特定地域に限定された取組となってしまい、各拠点で作成された教材等の成果をポータルサイトやシンポジウムなどを通じて、効果的・効率的な方法で全国の大学へ普及展開させることができないため、国の補助金として行っていく必要がある。
本事業は、設置形態に係わらず、全国の国公私立大学の大学院を対象とするものであり、また、事業の選定にあたっては、第三者である有識者により構成される委員会で審査・選定を行うものであり、公平性は担保できる。
「科学技術基本計画」「経済成長戦略大綱」「IT政策ロードマップ」など多くの提言等において本事業の推進や必要性が指摘されており、国が優先的に実施すべき施策である。
21年度概算要求に反映する。
評価結果は妥当。
先導的ITスペシャリスト育成については、平成18年度に採択した6拠点に対して、第三者である有識者により構成される委員会による中間評価を現在実施中であり、補助期間終了後に最終評価を実施する予定である。
また、平成19年度に採択した2拠点及び平成21年度に採択する拠点についても、同様の中間評価、最終評価を実施する予定である。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --