49.海外進出・ネットワーク形成支援事業(新規)【達成目標4-1-1】

平成21年度要求額:1,158百万円
  (平成20年度予算額:‐百万円)
  事業開始年度:平成21年度
  事業達成年度:平成25年度
  中間評価実施年度:平成23年度

主管課(課長名)

  • 高等教育局高等教育企画課(片山 純一)

関係課(課長名)

  • 高等教育局大学振興課(義本 博司)
  • 高等教育局学生支援課(下間 康行)

事業の概要等

1.事業目的

  大学等が行う外国人学生に対する教育の提供やダブル・ディグリーをはじめとした共同教育プログラムの開発による海外の大学等との積極的な連携等を図る取組支援により、優秀な留学生の獲得を図る。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  現在、社会、経済、文化のグローバル化が急速に進展し、主要各国の大学等においては、国際的な連携、国際的通用性を高める取組が行われている。こうした中で、我が国の大学においても国際的認知度の向上や国際競争力の強化は課題となっている。このため、海外との教育カリキュラムについての相互連携などを通じた大学教育の国際化が必要であり、平成17年度から「大学教育の国際化推進プログラム」として、大学教育の国際化を図る優れた取組を支援してきたところであるが、「『留学生30万人計画』骨子」(平成20年7月29日策定)においてもダブル・ディグリーの実施が提言されたこと等を受け、新規事業として本事業を要求するものである。

3.事業概要

  大学・短期大学・高等専門学校を対象に、質の高い留学生を戦略的・継続的に受け入れていくため、大学等が行う外国人学生に対する教育の提供や海外大学とのダブルディグリーの実施など、海外の有力大学等との継続的・組織的な連携の構築や海外への進出を支援する。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  • (各大学の取組の多様性を確保しつつ)外国人学生に対する教育の提供や海外大学との連携によるダブル・ディグリー等の実施状況

参考指標

  • これまで実施された各大学における様々な取組の状況

目標

  • (各大学の取組の多様性を確保しつつ)平成18年度時点でのダブル・ディグリー等実施数(37大学)を70大学において実施されることを目指す。

効果の把握手法

  • 毎年度実施している「大学における教育内容等の改革状況調査について」での調査を踏まえ、各大学での実施状況を把握する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  4‐1‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、「大学等の特色や個性に即した各種プログラムを継続的に実施することで、各大学等が自主的に特色・個性ある多様な取組を実施している。各大学等は申請の検討過程等で教育改革に意欲的に取り組むと共に、フォーラム等へ積極的に参加する等、各大学等において積極的・意欲的な教育改革の取組が実施されている。このように各種プログラムの定着、豊富化を行ったことにより、意欲的な取組が全国の大学等に広がっており、また各大学等における日常的な教育内容・方法の改善も進捗している。以上より本達成目標は想定どおり達成された」との評価を受けているところであり、このような評価も生かしつつ、新規事業に取り組むこととしている。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  ヨーロッパをはじめとした先進諸国を中心に、国際的な連携、国際的通用性を高める取組が加速する中、国際的認知度の向上や国際競争力の強化は我が国の大学が国際的に取り残されないためにも喫緊の課題となっている。このような状況を打破するため、海外との教育カリキュラムについての相互連携などを通じた大学教育の国際化が必要であり、「社会総がかりで教育再生を・第二次報告」において「単位互換・ダブル・ディグリーなど海外大学との国際連携の推進」の重要性が指摘されているのをはじめとして、「経済財政改革の基本方針2007」において「アジアを含めた国際的な大学間の相互連携プログラムを促進」、さらに「長期戦略指針イノベーション25」においては「海外の大学や大学院との単位互換の促進、複数学位制の拡大」、「アジア・ゲートウェイ構想」においては「海外の大学とのダブル・ディグリー等の国際的なプログラムの開発」、「留学生30万人計画」においては「交換留学、単位互換、ダブルディグリーなど国際的な大学間の共同・連携や短期留学、サマースクールなどの交流促進、学生の流動性向上、カリキュラムの質的保証などにより大学等の魅力を国際的に向上」といった取組の重要性が指摘されているところである。
  現在、大学間協定数は増加の傾向にあるが、ダブル・ディグリー等をはじめとした複数学位プログラムについてはその取組が始まったばかり(37大学での実施)であり、今後世界的にも広がりが見込まれている。
  従って、日本の大学が海外の有力大学と連携し、取り残されることなく取り組んでいくために、このような取組に対して国が支援を行っていく意義は大きい。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  本取組の実施主体は大学である。国は学問の府としての特性を踏まえた大学の自主性・自律性を尊重するとともに、その機能である大学の教育研究に対する国民の要請に応えるため、その自立的な改革に対して支援を行う。その中で、大学の国際化は「留学生30万人計画」を推進していく上で重要な要因となるものであり、国が積極的に支援を行う必要がある。

3.関連施策との関係

  特になし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

社会総がかりで教育再生を・第二次報告(平成19年6月1日 教育再生会議第二次報告)(抜粋)

  ■大学・大学院の国際化のための環境整備

  国は、アジアを含めた国際的な相互連携プログラム(「大学・大学院グローバル化プラン(仮称)」)を策定し、これにより、海外大学との国際連携を推進する(単位互換、ダブルディグリー・プログラム、国際的な大学間ネットワークへの参加、サマースクール等多彩な国際交流プログラム等)。

長期戦略指針「イノベーション25」(平成19年6月1日 イノベーション25戦略会議 報告)(抜粋)

  ■世界に開かれた大学づくり

複数学位制(ダブル・ディグリー)の拡大等、国際的な大学間連携によるコンソーシアム形成の促進
  • 我が国の大学の国際化を推進し、海外の有力大学等との国際的な連携を強化する観点から、国際的な相互連携プログラムを策定し以下のような取組を行う大学の活動を促進する。
  • -海外の有力大学等との複数学位制の拡大。
  • -大学間交流協定等に基づく学生・教職員等の組織的な交流。
  • -我が国の大学等における英語による体系的な教育プログラムの提供(英語だけでも卒業に必要な教科を履修し、単位を取得できるような取組の促進)。
  • -日本人学生の留学に対する支援。
  • -我が国の大学等における9月入学。
アジア・ゲートウェイ構想(平成19年5月16日 アジア・ゲートウェイ戦略会議 報告)(抜粋)

  ■世界に開かれた大学づくり ‐大学国際化に向けた競争的な資金配分と評価の充実

  21世紀は、知識・情報が最も価値を持つ時代であり、知識・情報が集積し、創造されるところに、人、モノ、カネも集まる。そうした中で、日本の大学を、日本のみならず、アジア、世界の「知の拠点」としていくことは、日本がアジアと世界のゲートウェイとなることを目指す上で、極めて重要な課題である。

  そのためには、各大学が、国際的に魅力のある質の高い教育・研究を生み出していくことが重要であるが、その手段として、学生や教員等の国際交流の拡大や、海外の大学との教育・研究両面での連携等を促進し、大学の国際化を進め、海外の活力を日本の大学に取り込んでいくことが、多くの大学にとって有効である。大学の国際化は、イノベーションの創出拠点としての大学を活性化し、日本全体のイノベーション力を高めることにもなる。

  こうした観点から、以下の取組みを進める。なお、大学の国際化は、学生や教員等の国際交流の拡大、キャンパスの多言語化・多国籍化、ダブル・ディグリー・プログラム等の提供、国際共同研究の実施・参画、海外拠点の設立・運営、国際的な認知・評価の向上などを含む多様な概念であり、全ての大学が一律に志向すべきものではなく、各大学が、自らの特色を踏まえて、自主的に取り組むべきものである。

「『留学生30万人計画』骨子」(平成20年7月29日策定)(抜粋)

  3.3 交換留学、単位互換、ダブルディグリーなど国際的な大学間の共同・連携や短期留学、サマースクールなどの交流促進、学生の流動性向上、カリキュラムの質的保証などにより大学等の魅力を国際的に向上

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業を通じ、近年世界各国の大学で導入が進められている外国人学生に対する教育の提供や「ダブル・ディグリー」について、平成21年度からはダブル・ディグリーを実施する上で必要なコーディネーターの配置や短期プログラムなどを進めるための支援を行うことにより、平成18年度においては37大学において実施されていたダブル・ディグリーの取組を、達成年度である平成25年度には、全大学の概ね一割にあたる70大学で実施されることが見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  現在、世界中での留学生の獲得競争が激化している中で、我が国の大学が世界の大学と伍して留学生を惹きつけていくためには、魅力ある教育内容や、大学の認知度の向上は不可欠である。そのためには、海外の大学の教育内容を導入したり、海外の大学との連携によるカリキュラムの改編を進めることが効果的であり、それらの大学の取組を進める上で、本事業を活用することで効率的に進めることができる。このことから、4‐1‐1にある「大学における教育内容・方法等の改善・充実を図り、各大学の個性・特色を踏まえた人材の育成機能の強化」に結びつくものと考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は、1,158百万円である。

  (内訳)

  • 大学改革推進等補助金 1,158,031千円

2.アウトプット

  本事業では、平成25年度まで毎年10件の取組の採択を行い、合計50件の優れた取組の採択を計画している。
  本事業で行われる、各大学の創意工夫を凝らした外国人学生に対する教育の提供や海外大学との連携によるダブル・ディグリーの実施を通して、他大学に影響を与え、新たな取組の実施を促し大学間交流協定の実質化や海外大学との国際連携の動きが加速するという波及効果を考えると、本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(1,158百万円)に対して、アウトプットとして、大学10校の優れた取組を選定することを通し、他大学においても優れた取組計画を策定し、海外の大学との連携活動が行われることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  大学教育内容の改善を推進していく上で、これまでも様々な支援方策が取り入れられてきたが、大学等が行う外国人学生に対する教育の提供や海外大学との連携によるダブル・ディグリーの実施などにより海外進出やネットワークの形成支援を図ることに着目して支援を行うプログラムは他になく、また、この事業により海外の先端的な事業モデルが我が国に導入できるという効果が期待できる。

E.公平性の観点

  本事業の支援対象は、全国の国公私立大学、短期大学、高等専門学校であり、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点

  現在、政府として計画されている「留学生30万人計画」を2020年までに達成するためには、各大学が創意工夫を行い、留学生を呼び込む上で必要となる外国人学生に対する教育の提供や海外大学との連携によるダブル・ディグリーを早期に実施する必要がある。

G.総括評価と反映方針

  本事業は、「『留学生30万人計画』骨子」(平成20年7月29日策定)において交換留学、単位互換、ダブルディグリーなど国際的な大学間の共同・連携が提言されたこと等を受け、平成20年度まで実施されてきた大学教育の国際化推進プログラムを見直し、新規事業として平成21年度概算要求に反映するものである。本事業を通じて、平成18年度においては37大学において実施されていたダブル・ディグリーの取組を、達成年度である平成25年度には、全大学の概ね一割にあたる70大学で実施されることが見込まれることから、知の源泉たる我が国の大学の認知度の向上や国際競争力の強化を進め、ひいては、世界の優秀な人材を獲得できることとなることとなり、本事業を新規に実施することが適当である。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --