平成21年度要求額:402百万円
(平成20年度予算額:223百万円)
事業開始年度:平成19年度
事業達成年度:平成21年度
公立学校に在籍する外国人児童生徒数の増加や日本語指導が必要な外国人児童生徒数の増加を踏まえ、達成目標(2‐9‐2)の実現に向け、外国人の子どもが集住する地域における公立学校への受入体制の整備を推進するための先進的取組の実施及びその事例やノウハウの普及を行う。
日系人などのニューカマー外国人の増加に伴い、我が国の公立の小学校、中学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒数がここ数年増加しており、また、学齢段階の外国人の子どもの不就学の問題が懸念される中、外国人が集住する地域における外国人児童生徒の就学支援や日本語指導等の体制の整備が課題となっている。
このため、本事業は、これらの地域における外国人児童生徒の教育に関する取組を支援するとともに本事業における先進的な取組事例を収集し全国の他の地域にも普及させることを目的に平成19年度に開始したところである。また、平成20年度には、就学前の外国人の子どもへの初期指導教室の開催や母語の分かる支援員の学校への配置等の取組を新たに追加して本事業の内容の充実を図った。
上記の事業目的のとおり、地域・学校における外国人児童生徒の受入体制の整備を推進するため、都道府県教育委員会を中心に以下の取組等を実施。
公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒数のうち学校で日本語指導等特別な指導を受けている児童生徒数の割合。
公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒数のうち学校で日本語指導等特別な指導を受けている児童生徒数の割合について85パーセント以上を目指す。
毎年度当課で実施している「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査」で把握する。
外国人児童生徒の受入体制整備については、従来より日本語指導を行う教員の配置やJSL(第二言語としての日本語)カリキュラムの開発、日本語指導者等に対する講習会の実施等を行ってきたところ、公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒の増加等を踏まえ、平成19年度においては、新たに「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」や「JSLカリキュラム実践支援事業」を実施し、地域や学校における外国人児童生徒の受入体制の整備を推進した。
しかし、平成19年度調査によれば、1公立学校に在籍する外国人児童生徒数、2日本語指導が必要な外国人児童生徒数が共に増加し、結果として評価指標である日本語指導等特別な指導を受けている児童生徒数の割合は減少したため、平成19年度実績評価においてB評価とされたことから、関連事業の更なる充実が必要であると考えられる。
当該事業は、就学前の外国人の子どもへの初期指導教室(プレクラス)の実施や学校での日本語指導の補助、外国語の分かる人材の配置等を行うものであり、達成目標(2‐9‐2)の実現のために必要不可欠である。
また、これまで主に市町村教育委員会を主な実施主体として本事業を実施してきたが、外国人児童生徒数やその在籍校数の増加等により、より広域的な問題となってきていることから、平成21年度は、主な実施主体を都道府県として事業を実施していくこととし、日本語指導が必要な児童生徒が200人以上在籍する都道府県数と同数の20地域に委嘱することを予定している。
公立学校における外国人児童生徒の受入体制の整備については、全国的な教育水準の確保や外国人の教育を受ける権利の保障の観点から、地方のみならず国においても積極的に取り組むべきであると考える。
○JSLカリキュラム実践支援事業 施策目標2‐9
JSLカリキュラムを活用した指導の実践及び効果的な実践事例の収集や教員の指導力向上を目的としたワークショップを開催する。(事業開始年度:平成19年度、事業達成年度:平成20年度)
「JSLカリキュラム実践支援事業」は、学校において外国人児童生徒の指導にあたる教員に対してJSLカリキュラムの普及定着を図るため、研修会の開催や指導事例集の作成を内容として実施している。
一方、本事業は外国人の子どもの小学校・中学校への就学支援や学校入学後の適応指導・日本語指導の実施のための体制づくりを進めるための事業として実施しており、上記事業とは、目的、対象、内容等が異なっている。
記載事項(抜粋)
第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策
(3)基本的方向ごとの施策
基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる
6 特別なニーズに対応した教育を推進する
◇外国人児童生徒等の教育及び海外子女教育の推進
小・中・高等学校における外国人児童生徒等の受入体制の整備や指導の推進のため、母語の話せる支援員を含む外国人児童生徒等の指導に当たる人材の確保や資質の向上、指導方法の研究及び改善を行うとともに、関係府省との連携を図りながら、地方公共団体における先進的なモデル事業例の情報提供など就学の促進等の取組を推進する。
記載事項(抜粋)
(別紙)成長戦略実行プログラム
2.グローバル戦略
(3)国際的な人材強化
A 高度人材の受入れ拡大
(ウ)外国人が住みやすい生活環境づくり
2内外での日本語教育を強化
記載事項(抜粋)
(別紙)成長戦略実行プログラム
2. グローバル戦略
(3)国際的な人材強化
A 高度人材の受入拡大
(ウ)外国人が住みやすい生活環境づくり
2内外での日本語教育を強化
記載事項(抜粋)
第5.生産性向上型の5つの制度インフラ
1.ヒト:「人財立国」の実現
(3)人材の国際競争力の強化
3グローバル化に対応する多文化共生社会の構築
加えて「「生活者としての外国人」に関する総合的対応策」(平成18年12月25日)に基づき、日本語教育の充実、標識・各種表示等の外国語表記の拡大、実効性のある在留管理システムの構築、住宅確保、外国人児童生徒の教育の充実などについて実施していく。
また、地域における多文化共生社会を構築するための指針「地域における多文化共生推進プラン」(平成18年3月27日)を踏まえ、都道府県・政令指定都市・市町村において、それぞれの指針・計画等を策定するよう推進を図る。
記載事項(抜粋)
4 外国人児童生徒の適応指導や日本語指導について
2.今後の方策
(1)指導内容・方法の改善・充実
1 学校入学前の初期指導教室の開催
このため、国においては、現在、帰国・外国人児童生徒受入促進事業の中で就学前の外国人の子どものための初期指導教室を本事業の委嘱先の地方公共団体においてモデル的に実施している。今後、本事業における取組による成果と課題を踏まえつつ、全国的に普及するための方策を検討することが必要である。
(3)外国人児童生徒の指導にあたる教員や支援員等の養成・確保等
1 外国人児童生徒の指導にあたる教員や支援員等の配置の推進
国においては、「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」における外国人児童生徒支援員の配置の取組を検証し、その結果を踏まえながら、都道府県や市町村におけるこれらの支援員等の配置を更に支援する取組を実施することとする。 等
記載事項(抜粋)
2.外国人の子どもの教育の充実
【対策】
(2)就学の促進
外国人の子どもの就学促進を図るため、関係機関と連携しての就学支援の実践研究を行うとともに、就学啓発資料の作成、フォーラム開催等により、その成果を活用し、地域における就学支援体制を構築する。(外国人の生活環境適応加速プログラム)
本事業は平成19年度から開始し、地域における外国人の子どもの就学支援や学校における日本語指導、適応指導の充実を図るためのモデル事業として実施しており、他の外国人児童生徒教育の関連事業と相まって、公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒数のうち、学校で日本語指導等特別な指導を受けている児童生徒数の割合が85パーセント以上となることを目指している。
平成19年度においては、この割合が83.5パーセントとなっており、より一層の事業内容の充実や効果的な事業の実施を図り、平成21年度には、目標である85パーセント以上を達成することを目指す。
当該事業は、就学前の外国人の子どもへの初期指導教室(プレクラス)の実施や学校での日本語指導の補助、外国語の分かる人材の配置等を行うものであり、達成目標(2‐9‐2)の実現のために必要な効果を得ることが出来る。
上記「3.事業概要」に記載した取組を全国20地域において実施する。必要予算(402百万円)の内訳は以下のとおり。
平成20年度までに38の地域において本事業を実施しているが、平成21年度は、20地域の都道府県を主な実施主体としてより広域的に事業を実施するとともに、事業の内容に、都道府県レベルで事業の成果の普及を図るためのフォーラムの開催や、就学促進員の配置等の取組を新たに加える予定である。
外国人が集住している地域において外国人児童生徒教育の先進的な取組を実施することにより当該地域における取組を支援できるとともに、その取組事例やノウハウを全国に提供することによりこれらの取組を効率的に普及させることを見込むと、本事業のインプット(予算規模402百万円)とアウトプットの関係は適切である。
本事業は、外国人の子どもの就学支援や学校での適切な指導体制の構築のための先導的なモデル事業を実施し、その優れた事例を収集し全国に普及することにより、外国人児童生徒教育の全国的な水準の向上を図ることを目的としている。したがって、このような事業は都道府県や市町村では実施が難しく、国において実施しなければならないと考える。
当該事業は全国を対象にするものであり、公平性は担保できる。
我が国に入国在留する外国人が増加する中、外国人の子どもの不就学の問題への対応や学校での受け入れ後の日本語指導や適応指導体制の構築など、外国人児童生徒教育の充実の必要性が指摘されており、本事業における取組はこれらの問題に対応したものであることから、優先度は高いと考える。
事業開始以来、市町村を事業の実施主体としてきたが、ヒアリングの指摘を踏まえ、21年度概算要求は、事業のより効果的な実施と成果の普及を図るため、原則として都道府県を実施主体として事業を盛り込み、その成果の広域的な普及を図る。
評価結果は妥当。ただし、代替手段との比較についての検討を十分に行うこと。
指摘を踏まえ、対応済み。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --