33.免許状更新講習開設事業費等補助(拡充)【達成目標2-7-2】

平成21年度要求額:4,658百万円
  (平成20年度予算額:40百万円)
  事業開始年度:平成19年度
  事業達成年度:平成30年度
  中間評価実施年度:平成26年度

主管課(課長名)

  • 初等中等教育局教職員課(大木 高仁)

事業の概要等

1.事業目的

  平成21年度から導入される教員免許更新制において、全国各地域で質的にも量的にも十分な免許状更新講習を確保することで、教員の資質能力の向上を図る。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  平成19年6月20日に「教育職員免許法及び教育職員公務員特例法の一部を改正する法律」が可決・成立し、平成21年4月より、教員免許更新制が実施される。これにより、平成21年3月までに授与された免許状を有する現職教員については、今後10年間のいずれかを期限として30時間以上の免許状更新講習を受講・修了し、免許管理者による確認を受けることの義務が課され、確認を得られなければ、その免許状は失効することとされている。
  平成21年度からの教員免許更新制の導入に向けて、平成19、20年度において、

  1 全国的な教員免許管理システム開発等
  2 教員免許更新講習の試行の実施
  3 教員免許更新制の広報事業

  の3つからなる教員養成・免許制度改革推進事業を実施しているところである。

3.事業概要

  法律により全国の国公私立の現職教員に対して免許状更新講習の受講、修了を義務づけたことから、全国各地域において各教員の免許状、担当教科等に応じた講習を円滑に受講できる環境を確認することが必要である。
  更新講習の開設者は大学等が期待されているが、大学等の自主的な取組に委ねることは、多種多様な免許状所持現職教員が義務を履行できるだけの十分な更新講習を確保することは困難である。さらに、山間へき地離島などにおいて勤務する現職教員や、特別支援教育をはじめとした対象人数が少数の教科・科目を担当する教員が必要な講習を円滑に受講できるようにすることが必要である。
  そのため、国が大学等に対して、更新講習の開設を補助することにより、質的にも量的にも十分な更新講習を確保するものである。
  あわせて、教員養成関係大学における教員の実践的な指導力の向上に資する教育研究機能を高め、現職教員の全国各地域での教員のリカレント教育の場を提供することも実現するものとなる。

  1. 教員免許更新講習の実施の開設者に対する補助
  2. 山間地離島へき地における更新講習の実施の開設者に対する補助
  3. 全国的又は地域的な教育課題等を的確に把握し、解決のために役立つプログラムの開発提供
  平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度
受入受講人数
   (単位:千人)
100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
予算額の推移
   (単位:千円)
465 465 465 465 465 465 465 465 465 465

(概念図)

プログラムの内容

4.指標と目標

指標

  免許状更新講習の開設状況、免許状更新講習の終了後に実施される受講者による評価結果

目標

  免許状更新が必要なすべての教員に対して免許状更新講習が開設される(量的確保)とともに、受講者が満足のゆく講習内容となる(質的確保)こと。

効果の把握手法

  免許状更新講習の開設認定数、免許状更新講習の終了後に実施される受講者による評価結果

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  「講習開設者である大学等及び免許管理者である教育委員会の体制が概ね順調に整備されたところであり、本目標は想定通り達成された。」と評価しているところであり、評価結果により、講習開設者である大学等及び免許管理者である教育委員会の体制が概ね順調に整備されたことより、平成20年度は免許状更新講習の内容等の充実や免許管理システムの円滑な稼働のための取組を進めていく予定。平成21年度については、免許更新制の円滑な実施に向けて、大学等、教育委員会、更新対象者に対する取組を検討することとしている。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  教員免許更新制は、教員が、社会構造の急激な変化等に対応して、最新の知識・技能を身に付け、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにする必要があることから導入が決定されたものであり、教員の資質向上に多大な寄与をするものである。そのため、教員免許更新制の実施の円滑な実施のための取組や多様で優れた免許状更新講習の開設も当然に、教員の資質向上に多大な寄与をすることから、事業の成果が上位目標の実現に直結するものである。また、下記4.に記載の通り本事業を実施する上で数多くの言及がなされている。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  制度は安倍内閣の重要施策として国の主導で創設されたものであり、その円滑な運用は国の責務として実施する必要がある。また、改正法成立時の附帯決議において、「免許状更新講習の受講負担を軽減するため、講習受講の費用負担も含めて国による支援策を検討すること」に言及されており、国による関与が求められているところである。他方、地方の役割としては、授与権者として、免許状の更新作業や、教員免許管理システムの運用を実施することとされており、国と地方は適切に役割分担されているものである。また、国公私すべての教員が対象であるため、地方に任せることができず、国の事業として行う必要がある。
  また、免許状更新講習は大学等において講習受講料収入により実施されるものであるが、へき地や離島、障害者へ対応した講習を含む多様で優れた講習をより多く開設するためには、さらに国の補助が必要である。国が、教員免許更新制を円滑に実施する責務を有することや、教員の資質向上という使命を有することからも、大学等と国とで適切に役割分担をされているものである。

3.関連施策との関係

  特に関連する施策はない。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

「第169回国会における渡海文部科学大臣所信(平成20年3月)」

  教員免許更新制の円滑な実施や、指導が不適切な教員に対する人事管理システムの厳格な運用に取り組むとともに、教員評価や現職研修の推進、ICT指導力の向上のための取組などを通じて、教えるプロとしての教師の資質向上に取り組みます。

「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(平成20年1月17日中教審答申)

  (教師の資質向上)

  教育基本法第9条は教員の使命や職責、待遇の適正等に加え、教員の養成と研修の充実等について新たに規定している。意欲をもった優秀な人材が、教師という職業に魅力を感じ、教職に就くようになるためには、教員の勤務の実態を踏まえた適切な処遇とメリハリのある給与体系の実現や教員評価の処遇への反映などの教育条件の整備とともに、教員の養成や研修の改善が求められる。

  この点、平成19年6月に成立した教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律において、教員免許更新制が導入された。教員免許更新制により、教師に必要な最新の知識・技能を習得し、教師として自信をもって教壇に立つことが期待される。

「第166回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説(平成19年1月26日)」

  (教育再生)

  …教員の質が教育再生の鍵を握っています。教員免許の更新制を導入し、適正な評価を行います。…

「第168回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説(平成19年9月10日)」

  (教育再生を具体化する)

  …良き教師を確保するため、メリハリのある教員給与体系を実現するとともに、教員免許更新制の円滑な実施に取り組みます。…

経済財政改革の基本方針2008(平成20年6月27日)

  第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築

  2.未来を切り拓く教育

  教育基本法の理念の実現に向け、新たに策定する「教育振興基本計画」に基づき、我が国の未来を切り拓く教育を推進する。その際、新学習指導要領の円滑な実施、特別支援教育・徳育の推進、体験活動の機会の提供、教員が一人一人の子どもに向き合う環境作り、学校のICT化や事務負担の軽減、教育的観点からの学校の適正配置、定数の適正化、学校支援地域本部、高等教育の教育研究の強化、競争的資金の拡充など、新たな時代に対応した教育上の諸施策に積極的に取り組む。

「教育振興基本計画について」(平成20年7月1日閣議決定)

  ◇ 教員免許更新制の円滑な実施

  • 教員免許更新制の実施に向けた準備に着実に取り組むとともに,平成21年4月の制度開始後は,円滑に実施されるよう,周知等必要な取組等を行う。
「教員免許制の運用について」(平成19年12月25日中教審教員養成部会報告)

  (1)講習の費用費負担の在り方
   講習受講者の受講料及び受講に係る交通費等経費については、教員免許が個人の資格であることをかんがみれば、本人負担を原則とするべきである。しかしながら、免許更新制の導入にかかる国会審議において、受講費用の負担を軽減するための措置を講ずることとの指摘があったことを踏まえ、国は、平成21年度以降において必要な予算の確保に努めるべきである。

「衆議院教育再生に関する特別委員会附帯決議」(平成19年5月21日)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たって、次の事項について特段の配慮をすべきである。

  • 七 教員免許更新制の円滑な実施に向け、教員及びその他の免許状保持者等に対して制度の十分な周知を図ること。
  • 八 免許状更新講習の受講負担を軽減するため、講習受講の費用負担も含めて国による支援策を検討するとともに、へき地等に勤務する教員のための講習受講の機会の確保に努めること。
  • 九 大学における教員養成課程の見直しなど、養成・採用・研修を通じた教員の質の向上に努めるとともに、現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修の在り方について検討すること。
「参議院文教科学委員会附帯決議」(平成19年6月19日)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

  • 十一、教員免許更新制の円滑な実施に向け、教員及びその他の免許状保持者等に対して制度の十分な周知を図ること。また、更新制の導入に伴う免許状授与原簿の管理システムの構築と運用に当たっては、遺漏なきよう万全を期すること。
  • 十二、国公私立のすべての教員の免許状更新講習の受講に伴う費用負担を軽減するため、受講者の講習受講の費用負担も含めて、国による支援策を検討すること。
  • 十三、教員の資質能力の向上という免許状更新制度の趣旨を踏まえ、任命権者は、学校現場の実態に即し、各教員の受講期間を的確に把握し、教員の安全と健康に配慮しながら受講機会の確保とともに受講時の服務の取扱いについても必要な配慮を行うこと。
  • 十四、免許状更新講習の内容については、受講者に対する事前アンケート調査の実施、講習修了後の受講者による事後評価及びこれらの公表を行うなど、受講者のニーズの反映に努めること。また、多様な講習内容、講習方法の中から受講者が選択できるような工夫を講ずること。
  • 十五、へき地等に勤務する教員や障害を有する教員が、多様な免許状更新講習を受講できるよう努めること。
  • 十六、現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修の在り方について検討すること。
  • 十七、法施行後の実施状況を見極めた上で、現職教員以外の者であって教員免許状を授与されたことのある者の免許状更新講習の受講要件を拡大する方向で検討すること。
  • 十八、大学における教職課程の見直し、社会人の教員採用など、養成・採用・研修を通じた教員の質の向上に努めること。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  免許状更新講習の開設だけでなく、開設講座数や科目、受入人数等も、講習開設者の任意とされているが、量的・質的に十分な免許状更新講習を確保するため、更新講習開設者に対して財政的支援を行うことで、各開設者に十分量の講習開設を促進できるとともに、大学の所在地や講習受講者等の地域偏在によらない、多様で質の高い更新講習開設されることが見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  教員免許更新制の実施は、教員の資質向上を目的として実施されるものであり、その円滑な実施の取組や多様で優れた免許状更新講習が開設されることにより、教員免許状の質の確保を図るとともに、教員の資質向上に多大な寄与をする。

D.効率性の観点

1.インプット

  • 本事業の予算規模は4,658百万円である。
    • 免許状更新講習開設事業費等補助金 4,648,392千円
    • 諸謝金 248千円
    • 職員旅費 348千円
    • 委員等旅費 928千円
    • 教職員研修費 8,561千円

2.アウトプット

  • 補助を受けた更新講習開設者は、必要とされる数の更新講習が開設されるとともに、受講者のニーズに対応した、多様で質の高い講習の開設が見込まれる。
    • 拠点地域で実施される講習開設数 6,000講習
    • へき地で実施される講習開設数 1,600講習
    • 障害者を対象とした講習開設数 50講習

   ※ 講習数は、年間の開設数。

3.事業スキームの効率性

  更新講習開設者に対する補助を行うことにより、更新講習開設者は、採算性や大学の所在する地域偏在によることなく、多様で質の高い免許状更新講習が開設され、教員免許更新制の質的な担保が図られることから、インプットにより、効率よくアウトプットへ導き出される。

4.代替手段との比較

  教員個人への費用補助が考えられるが、改正法成立時の附帯決議において指摘されている「免許状更新講習の受講に伴う費用負担を軽減」については一定の効果が見込める一方、「多様な講習内容、講習方法の中から受講者が選択できるような工夫」すること等へは効果が見込めないことから、大学等への講習開設への費用補助と比して、非効率と判断する。

E.公平性の観点

  本施策実施により、免許状更新講習を実施する全国各地の大学等において、講習開設に係る費用負担が低減されるとともに、さらに多様で優れた講習の開設が促進される。その結果、全国各地の開設補助を受けた大学等の開講する免許状更新講習を受講する受講者すべてで、受講費用が低減されるとともに、多様で優れた講習を受講でき、公平性の観点から問題ないものと考える。

F.優先性の観点

  改正法成立時の附帯決議において、「免許状更新講習の受講に伴う費用負担を軽減するため、受講者の講習受講の費用負担も含めて、国による支援策を検討」すること、「多様な講習内容、講習方法の中から受講者が選択できるような工夫」すること、「へき地等に勤務する教員や障害を有する教員が、多様な免許状更新講習を受講」できるようにすること、等指摘に対応する必要があり、平成21年4月から、円滑に免許更新制が実施されるために、本施策は優先されるべき。

G.総括評価と反映方針

  21年度概算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --