29.子どもの読書応援プロジェクト(拡充)【達成目標2-4-5】

平成21年度要求額:488百万円
  (平成20年度予算額:152百万円)
  事業開始年度:平成19年度
  事業達成年度:平成23年度

主管課(課長名)

  • スポーツ・青少年局参事官(青少年健全育成担当)(大木 宰子)

関係課(課長名)

  • スポーツ・青少年局青少年課(池田 輝司)

事業の概要等

1.事業目的

  「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づく「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を踏まえ、子どもの自主的な読書活動を推進する社会的気運の醸成を図るとともに、子どもが自主的に読書活動を行うことができるよう、家庭・地域・学校を通じた社会全体での取組を推進するとともに、諸条件の整備、充実によって環境の整備を図る。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  平成13年に成立した「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき、平成14年8月の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」閣議決定から5年が経過し、平成20年3月に本計画の見直しがなされることを機に、平成19年度に新たに「子ども読書応援プロジェクト」を立ち上げた。「子ども読書応援団」として読書ボランティアを各地へ派遣、読書ボランティアのリーダーとなる人材の育成、オーサー・ビジットの推進、各地での子どもの読書活動の普及・啓発活動及びその地域における読書ボランティアの養成、子どもの読書活動を応援する全国的な情報サイトの開設及び運営等を行い、子どもの読書活動に関する社会的気運の醸成、地域における子どもの読書活動の整備を進めてきた。平成19年度「子ども読書応援プロジェクト」事業においては、ボランティア関係者等の参加が69,674人、「発達段階に応じて読書活動への理解を深める取組の調査研究」の参加者が23,526人、子ども読書地域フロンティア事業における読書フェスティバル参加者数が12,800人となっている。

3.事業概要

1.「子ども読書応援団推進事業」(拡充)

  子どもの読書離れが指摘されている中で、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」に基づき、子ども読書活動の推進体制を整備し、子どもの読書活動を推進するための社会的気運の醸成を図るため、特に、読書ボランティアの質的、量的な充実及び中高生に対する読書意欲の喚起を課題として、「子ども読書応援団」の派遣等をはじめとして、以下の5つの事業を委託する。
  具体的な委託方法については、5つの事業メニューについて各都道府県等の教育委員会を中心とした実行委員会からの事業の企画提案を受けて、有識者等からなる事業企画評価委員会で審査し、その結果を踏まえ、各実行委員会は地域と連携して本事業を実施する。

「ブックスタート」の推進(新規 64箇所)

  ブックスタートアドバイザーを各地に派遣し、ブックスタートを始める体制づくり及びブックスタートにおける課題の解決のための研修の実施等を通じて、ブックスタートを推進する。

「子ども読書応援団」の派遣(10箇所)

  読書ボランティアを中心とした「子ども読書応援団」を地域に派遣し、本の読み聞かせやブックトーク等を実施し、子どもが読書に慣れ親しむ環境をつくるとともに、子どもの読書活動の活性化を図る。

子ども読書ボランティアリーダーの育成(7箇所から64箇所)

  地域で子どもの読書活動を推進する読書ボランティア等の中心的存在となるような指導者を育成するための研修会等を実施し、子どもの読書活動の推進体制の整備を図る。

青少年のためのオーサー・ビジット事業(30箇所)

  著名な作家等を招聘し、青少年に直接語りかけてもらうこと等を通じて、子どもの読書意欲の向上を図る。

発達段階に応じて読書活動への理解を深める取組の調査研究(10箇所)

  《調査研究メニュー》

  1. 親子で取り組む読書活動の推進に関する調査研究
  2. 子どもの読書体験の効果的手法に関する調査研究
  3. 中高生の読書活動の推進に関する調査研究

  〔実施体制〕

実施体制図

2.「子ども読書地域スクラム事業」(新規)

  平成20年3月に新たな「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が策定され、その中では「地域における取組の差が解消されていない」という課題や、国は、市町村における「子ども読書活動推進計画」を本計画期間中に50パーセント以上の市町村において策定されるよう促していくこととしているが、現状では平成18年度末において本計画の策定率が24パーセントにとどまっているという課題もある。
  同計画の策定率が24パーセントとなっている原因としては、市町村における同計画を策定する担当部署等において専門的な人材が不足していること、また、同計画が未策定である地域の行政・図書館・公民館・学校・PTA・企業等の連携が不十分であり、同計画の策定を行うだけの体制の整備が図られていないこと等が考えられる。そこで、地域の行政の関係部局間の連携や、地域の関係機関等との協力体制を促進するべく、地域の行政・図書館・公民館・学校・PTA・企業等のネットワークを形成し、それぞれの地域に応じ必要な取組を展開することで、子どもの読書活動の推進体制を整備し、同計画の策定を促す。

・子ども読書地域スクラム事業(47箇所)

  〔実施体制〕

実施体制図

3.「子ども読書情報ステーション事業」(拡充)

  「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」に基づき、家庭や地域等に対して、子どもの読書活動を推進するための情報等の提供を目的として、全国的な情報サイトの運営や啓発ポスターの配付等を通じて、子どもの読書活動の効果的な普及・啓発を展開し、子ども読書活動の推進の社会的気運の醸成を図る。
  具体的には、読書関係の全国的な団体又は青少年の健全な育成の観点から子どもの読書活動に取り組める全国的な団体を対象として、一般競争入札(総合落札方式)を実施し、事業の企画提案を受けて、有識者等からなる事業企画評価委員会で審査し、その結果を踏まえ、委託決定された団体が創意工夫して全国的な情報サイトの運営等を行う。


  〔実施体制〕

実施体制図

4.「子ども読書推進に関する評価・分析事業」(新規)

  平成20年3月に新たな「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が策定され、市町村における「子ども読書活動推進計画」を本計画期間中に50パーセント以上の市町村において策定されることや図書館に登録している読書ボランティアの数を平成17年度の約7万人から、本計画期間中に約10万人に増やすこと等を目標としている。
  市町村における「子ども読書活動推進計画」の策定率は平成18年度末現在において24パーセントにとどまっているが、その原因についての究明を行うための十分なデータが蓄積されていない状況にある。また、これらの目標が達成されているかについての統計等は、毎年の蓄積がなく、単発的に行われているので、これらを使うことでの子どもの読書活動に関する事業の評価・分析を行うことが難しい。さらに、子どもの読書活動が促進されているかについて、より総合的に判断するためには、さらなる指標の設定を行う必要がある。
  そこで、子ども読書推進に関する体制整備が図られているか等についての評価・分析を、評価・分析を専門とする民間団体等に委託することにより、子どもの読書活動に関する事業の評価・分析を行う統計データの集積及び新たな指標作りを行うものである。

子ども読書推進に関する評価・分析事業(1箇所)

  〔実施体制〕

実施体制図

4.指標と目標

指標

  • 平成21年度末時点における「市町村子ども読書活動推進計画」の策定状況の伸び率を平成19年度と比べて30パーセント以上とするよう努める。
  • 「子ども読書応援プロジェクト」各事業において、参加者数を前年度以上とするよう努める。

参考指標

  • 「1日当たりの読書時間(読書を全くしない児童・生徒の割合)」〔「全国学力・学習状況調査」(文部科学省調べ)〕の改善を目指す。

目標

  • 「子どもの読書活動推進に関する基本的な計画」期間中に「市町村子ども読書活動推進計画」の策定率を50パーセント以上とするよう努める。(「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」における目標(平成18年度:24パーセント))
  • 「子どもの読書活動推進に関する基本的な計画」期間中に読書ボランティア団体の図書館への登録数を10万人へ増加させるよう努める。(「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」における目標(平成17年度:7万人))

効果の把握手法

  • 本事業を実施した都道府県等の教育委員会を中心として組織された実行委員会(任意団体)に対して、参加者数等の実績を事業報告させるとともに、参加者等にアンケートを実施するなどして、子どもの読書活動の推進についての本事業に関する効果・課題等を広く聴取し、検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  「達成目標2‐4‐6」の「今後の課題及び政策への反映方針」において、「子ども読書活動推進計画」を策定した市町村数は全体として増加しているものの、未だ未策定の市町村も多く、また、平成20年3月に閣議決定された「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の中で、国は、本計画期間中に、50パーセント以上の市町村において推進計画が策定されるよう取組を促していくこと,国及び地方公共団体は、子どもの自主的な読書活動の重要性を踏まえて、その推進を図ること等を踏まえ、今後も「子ども読書応援プロジェクト」の更なる推進と発展を図ることとしており、本事業の拡充は不可欠である。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものである。また、子どもたちが、社会を構成する一員として、主体的に社会の形成に参画していくために必要な知識や教養を身につけるとともに、真理を求める態度を養う礎となるものであり、社会全体でその推進を図っていくことは極めて重要である。
  平成13年に成立した「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき、平成14年8月の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」閣議決定から5年が経過し、新たに平成20年3月に「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定された。その中では、学校段階が進むにつれて子どもたちが読書をしなくなる傾向にあること、地方公共団体の取組状況に大きな差が見られること、平成19年に公表された「OECD生徒の学習到達度調査」により、我が国の子どもたちの読解力の向上が課題であることなどの課題が明らかとなった。
  このような課題等を踏まえて、今後は乳幼児期から発達段階に応じて読書に親しめるように配慮すべく、読書活動への理解や関心を深めるために指導・助言できる人材の養成・育成を全国に広く行うために、読書ボランティアの質的及び量的拡充のための各事業を、それぞれ都道府県を単位として47箇所に展開することを目指す。また、本事業において開設した、子どもの読書活動を応援する全国的な情報サイトの運営及び新規コンテンツの追加によって、子どもの読書活動の推進に関する情報の提供等を通じて、子どもの読書活動の普及・啓発を図る。また、発達段階に応じた読書に親しむための本の普及等により家庭・地域における読書活動の推進体制を整備する。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  子どもの読書活動の推進に関する法律(平成13年法律第154号)第3条では「国は、基本理念にのっとり、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」と規定されており、また、第4条では「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、子どもの読書活動の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」と規定されている。
  さらに、平成20年3月に閣議決定された「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の中でも、国は「必要な財政上の措置を講ずるよう努めるとともに、地方公共団体が地域の実情に応じて自主的に実施する子どもの読書活動の推進に関する施策のための費用について、必要な財政上の措置を講ずるよう努める」こととなっている。
  そのため、国からも子どもの読書活動を推進する事業を発信し、地方公共団体と連携してその事業を行う必要があると考えられる。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策

  ○学校図書館の活性化推進総合推進事業(達成目標2‐1‐3)
   学校図書館の一層の活動に向けて、児童生徒の自発的・主体的な学習活動の支援。教員のサポート機能の強化、児童生徒の読書習慣の定着等に資する有効な取組をモデル的に実施し、その成果の普及を図る。

2.関連施策との関係(役割分担・連携状況)

  「子ども読書応援プロジェクト」は、子どもが自主的に読書活動を行うことができる環境を整備するため、1学校、図書館、公民館等へ地域の読書ボランティアの派遣等を行う「子どもの読書応援団推進事業」、2市町村「子ども読書活動推進計画」の策定率の進捗のために、地域の行政・図書館・学校・PTA・読書団体・民間企業等によるネットワークを形成して、地域に応じた必要な施策を行う「子ども読書スクラム事業」、3子どもの読書活動を応援する全国的な情報サイトの運営等を行う「子ども読書情報ステーション事業」等によって、子どもの読書活動を推進・普及させていくものである。
  一方、「学校図書館の活性化推進総合推進事業」は、1学び方を学ぶ場としての学校図書館機能の強化、2教員のサポート機能強化に向けた学校図書館の活性化、3地域に根ざした学校図書館の放課後解放など、学校図書館の活用高度化に向けた実践的な調査研究を実施するとともに、学校を中核としつつ地域や家庭と連携して読書活動の推進を図るモデル事業を実施し、さらに、これからの学校図書館活動のあり方に関する調査研究と学校図書館活用に向けた広報啓発を行うものである。
  このように、読書ボランティア等の団体を核とした子どもの読書活動を推進するための取組と学校図書館を中心とした子どもの読書活動や学習活動の推進方策に関する調査研究であり、目的や対象等が異なる。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(平成20年3月11日閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  第3章 基本的方針

  1 子どもの自主的な読書活動の推進
  「国及び地方公共団体は、子どもの自主的な読書活動の重要性を踏まえて、その推進を図る。」

「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる

  2.規範意識を養い、豊かな心と健やかな体をつくる

   ◇体験活動・読書活動等の推進
  「豊かな感性や情緒をはぐくむとともに、豊かな言語力を育成する観点から、朝読書をはじめとする読書活動の実施を促す。」

「国民読書年に関する決議」(平成20年6月6日衆参両院決議)

  記載事項(抜粋)

  「様々な読書に関する市民活動の活性化など、読書への国民の意識は再び高まりつつある。この気運を更に高め、真に躍動的なものにしていくため、・・・政官民が協力し、国をあげてあらゆる努力を重ねることをここに宣言する。」

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  読書ボランティアについての図書館への登録数については、平成17年度において約7万人となっているが、平成19年度「子ども読書応援プロジェクト」事業において、参加数のうち、ボランティア関係者が69,674人であり、他に「発達段階に応じて読書活動への理解を深める取組の調査研究」の参加者が23,526人、前年度の子ども読書地域フロンティア事業における読書フェスティバル参加者数が12,800人となっているため、本事業によって、子どもの読書活動に興味及び関心のある人が読書ボランティアの活動をするための支援を行うことにより、平成23年度までに読書ボランティアについての図書館への登録数を10万以上にすることは可能と思われる。
  「子どもの読書活動の推進に関する法律」第9条では、都道府県及び市町村は、それぞれ「子ども読書活動推進計画」を策定するよう努めなければならないとされており、平成18年度末時点で、47都道府県(平成18年度において全ての都道府県で策定済)、市町村においては昨年度より136市町村増えて567市町村で策定され、前年度と比較して伸び率は約32パーセントとなっている。本事業によって、子ども読書応援団推進事業で各地域における子どもの読書活動推進体制の下地をつくり、子ども読書地域スクラム事業によって、「市町村子ども読書活動推進計画」の策定率の進捗を図り、子ども読書情報ステーション事業によって子どもの読書活動の情報を各都道府県及び市町村に提供すること等を通じて、この伸び率を維持していきたい。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業を通じて、子どもが読書に親しむきっかけづくりや親子のふれあいにも有効である「読み聞かせ」、ブックスタート等を行う読書ボランティアが図書館へ多数登録すること、各都道府県等の担当者等及び読書ボランティア団体をはじめとした様々な年代の人々が多数参加すること、子どもの読書活動についての全国的な情報サイトによる情報提供、発達段階に応じた読書に親しむための本の普及を行うこと等により子どもの読書活動が各地域においてより活発に行われることで、地域における子どもの読書活動の推進体制の整備、子どもの読書活動に関する社会的気運の醸成が図られていく。
  このため、本事業の実施により、地域における子どもの読書活動の推進体制が整備されるとともに、子どもの読書活動に関する社会的気運の醸成が図られるため、達成目標2‐4‐5にある「子どもの読書活動に関する社会的気運の醸成を図るとともに、地域における子どもの読書活動推進体制の整備を推進する」に必要な効果を得ることができる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は、488百万である。

  (内訳)

  • 諸謝金 313千円
  • 職員旅費 977千円
  • 委員等旅費 392千円
  • 庁費 10,749千円
  • 初等中等教育等振興事業費 476,054千円

2.アウトプット

  本事業では、ブックスタートの推進(64箇所)、子ども読書応援団の派遣(10箇所)、子ども読書ボランティアリーダーの育成(64箇所)、子ども読書地域スクラム事業(47箇所)、子ども読書情報ステーション事業、子どもの読書推進に関する評価・分析等を行うことにより、地域における子どもの読書活動の推進体制の整備、や子どもの自主的な読書活動を推進する社会的気運の醸成が図られることを考えると本事業は、効果的・効率的に実施されると判断される。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(488百万円)に対するアウトプットとして、都道府県等の教育委員会を中心として組織された実行委員会等に委託することを通じて、1読書ボランティアの質及び量の充実、2中・高生への読書意欲の喚起、3子どもの読書活動を発達段階に応じて効率的に推進、4地域における子どもの読書活動推進体制の整備及び子どもの読書活動の推進の社会的気運の醸成、5家庭をはじめとした各方面への子どもの読書活動等の情報発信及び普及・啓発等が行われることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  各地域における読書ボランティア等が単独で事業を行った場合には、個別に小規模で行われるために、子どもの読書活動に関する社会的気運の醸成を図り、地域における子どもの読書活動推進体制の整備を推進することに十分な効果を期待できない。
  本事業を国が行うことで、様々な具体的施策を連携して行う手法をとることにより、子どもの読書活動に関する社会的気運の醸成を図るとともに、地域における子どもの読書活動推進体制の整備を推進する効率的な施策となっていると考えられる。

E.公平性の観点

  本事業は、都道府県等の教育委員会を中心として組織された実行委員会(任意団体)等に公募を行い、専門家による審査を経て、実施団体を決定する予定であり、また、子どもの読書活動を応援する全国的な情報サイトの運営等については、一般競争入札を行う予定であるため、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点

  本事業は、「子どもの読書活動の推進に関する法律」において、国及び地方自治体は、子どもの読書活動の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有するとされており、また、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が平成20年3月に閣議決定され、子どもの読書活動の推進が求められている。さらに、依然として学校段階が進むにつれて子どもたちが読書をしなくなる傾向にあることや地域における子どもの読書活動の推進に格差が見られること、「OECD生徒の学習到達度調査」により、子どもたちの読解力の向上が課題であることが指摘されている。
  また、平成20年6月6日に、2010年を国民読書年とする国会決議が採択されたこと、平成20年7月に「教育振興基本計画」が閣議決定され、子どもの読書活動の実施を促すことが盛り込まれたこと等をかんがみ、優先性があると判断される。

G.総括評価と反映方針

  平成19年度「子ども読書応援プロジェクト」事業評価においては、同プロジェクトは、前述したデータから一定の成果を上げていると考えられるが、一方では、市町村における「子ども読書活動推進計画」の策定率が上がっていない地域があることなどから、地域における子どもの読書活動推進体制の整備が十分になされているとはいえないこと、また、本事業の公募に対する応募状況等から、子どもの読書活動の社会的気運が醸成されているとはいえない地域の存在が考えられることなどから、これからも同プロジェクト等を通じて子どもの読書活動を推進していかなくてはならないと考えられる。
  したがって、読書ボランティアの質的及び量的拡充、地域における子どもの読書活動の推進体制の整備及び子どもの読書活動を推進するための情報の発信のための全国的なHP等の拡充等を21年度概算要求に反映させるものとする。
  今後は同プロジェクトの内容を更に充実させ、引き続き、子どもの読書活動に関する社会的気運の醸成を図るとともに、地域における子どもの読書活動推進体制の整備を図ることとしたい。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --