平成21年度要求額:6,378百万円
(平成20年度予算額:5,040百万円)
事業開始年度:平成20年度
事業達成年度:平成23年度
多様な教育機会やきめ細やかな教育の実現、教員の負担軽減による子どもと向き合う時間の確保
地域住民自らの知識や経験を生かす場の拡充
学校を核とした地域の活性化
学校が様々な課題を抱える中で、学校に過剰な期待が寄せられるとともに、教員の多忙化が指摘され、教育活動により専念できる環境を整えることが求められている。
平成18年に改正された教育基本法では、新たに、学校、家庭、地域住民等の相互の連携協力について規定(13条)されている。本事業は、その具体的方策の柱の一つである。
たとえば、「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)では、基本的方向性1で「社会全体で教育の向上に取り組む」ことが挙げられ、その具体的方策として学校支援地域本部事業が挙げられている。また、「経済財政改革の基本方針2008」(平成20年6月27日閣議決定)において、新たな時代に対応した教育上の諸施策として、「教育振興基本計画」に基づき学校支援地域本部事業に積極的に取り組むこととされている。
本事業は、文部科学省から都道府県・指定都市等に委託、そこから市区町村等に再委託をして実施する。再委託を受けた市区町村は域内に学校支援地域本部を設置する。
また、域内の効果的な事業展開を図るため、都道府県・指定都市においては運営協議会を設置するとともに、市区町村においては実行委員会を設置するものとする。
原則として、中学校区(標準:1中学校、2小学校)に学校支援地域本部を設置する。本部は、地域コーディネーター、学校支援ボランティア及び地域教育協議会で構成される。
コーディネーターが学校側とボランティアの連絡調整を行い、学校のニーズに応じてボランティアを派遣する。地域教育協議会は、学校、地域、コーディネーターやボランティア等で構成され、学校支援の方向性について議論し、情報共有、共通理解を図るものである。
特になし
地域住民が学校を支援することで、多様な体験活動やコミュニケーション能力、規範意識の醸成を図ることができる。「教員の勤務実態調査」(平成18年度文部科学省委託調査)においては、教員の超過勤務時間で月平均34時間であるなど、教員の多忙化が指摘されており、教員が教育活動により力を注げる環境を整えることが重要である。
地域の連帯感の形成や活性化が図られ、これにより地域の教育力が向上し、学校を核とした地域づくりが図られると考える。
「地域の教育力に関する実態調査」(平成18年度文部科学省委託調査)で保護者を対象に行ったアンケートにおいて、自身の子ども時代と比べて地域の教育力が低下していると回答している人が過半数を占めており、地域の教育力の向上に取り組む必要がある。一方、各地域における地域の教育力に差があることから、国が事業として実施し、普及・啓発をしていくことが必要不可欠である。
地域住民が自らの知識や経験を子どもの教育に生かすことで、生涯学習の成果を生かす場が拡がるものである。本年改正された社会教育法においても、教育委員会の事務として「社会教育における学習の機会を利用して行った学習の成果を活用して学校、社会教育施設その他地域において行う教育活動等の機会を提供する事業の実施等の事務」が規定(第5条15号)されたところであり、学習成果を活用する場の充実に向け、取り組む必要がある。
また、20年度は各市町村に学校支援地域本部が設置されることを目標に1,800ヶ所で実施したところだが、未実施の市町村もあることから、本事業をより広く学校を支援する仕組みづくりを普及させるため、各市町村の地域の実情等を踏まえた事業実施箇所数を拡充することが必要である。
本事業は、義務教育の条件整備の一環であることから、全国的な普及、向上を図る必要がある。このため、各市町村に実践例を設け、それぞれの地域の取組を先導する必要がある。
また、教育振興基本計画の基本的方向性の一つである「社会全体で教育の向上に取り組む」ための方策であり、成果を普及し情報共有を通じ、各地域の取組を促す必要がある。
国は、全国に「学校支援地域本部」の実践例を設けること、地方公共団体は全国の例を参考に地域に根ざした取組を実施することを役割とする。
特になし
(3)基本的方向ごとの施策
基本的方向1 社会全体で教育の向上に取り組む
◇地域ぐるみで学校を支援し子どもたちをはぐくむ活動の推進
学校と地域との連携・協力体制を構築し,地域全体で学校を支え,子どもたちを健やかにはぐくむことを目指し,「学校支援地域本部」をはじめ,地域住民のボランティア活動等による積極的な学校支援の取組を促す。こうした取組の成果をすべての市町村に周知し,共有すること等を通じ,広く全国の中学校区で地域が学校を支援する仕組みづくりが実施されるよう促す。あわせて,民間団体を活用し,学校と地域住民や民間団体をつなぐコーディネーター育成の取組を促す。
(4)特に重点的に取り組むべき事項
○地域が学校を支援する仕組みづくり
学校と地域との連携・協力体制を構築し,地域全体で学校を支える「学校支援地域本部」などの取組を促す。こうした取組の成果をすべての市町村に周知し,共有すること等を通じ,広く全国の中学校区で,地域が学校を支援する仕組みづくりが実施されるよう促す。
2.未来を切り拓く教育
教育基本法の理念の実現に向け、新たに策定する「教育振興基本計画」に基づき、我が国の未来を切り拓く教育を推進する。その際、新学習指導要領の円滑な実施、特別支援教育・徳育の推進、体験活動の機会の提供、教員が一人一人の子どもに向き合う環境作り、学校のICT化や事務負担の軽減、教育的観点からの学校の適正配置、定数の適正化、学校支援地域本部、高等教育の教育研究の強化、競争的資金の拡充など、新たな時代に対応した教育上の諸施策に積極的に取り組む。
各市町村に実践例を設けることで、各地域における本部の設置が進み、全国的に拡がっていくことが見込まれる。これにより、地域住民による学校支援ボランティアの取組が進み、前記の目標の達成が見込まれる。
地域住民がさらに学校を支援することで、学校教育の充実が図られる。
また、このような活動を通じて、地域の連帯感が形成され、地域の教育力の向上や地域の活性化につながると考える。
なお、実施している学校からは「授業準備にかけられる時間が増え、充実した授業ができるようになった」「子どもたちの表情が良くなった」など、学校教育の充実や教員の負担軽減に関する声が聞かれるとともに、参加した地域住民からは「子どもたちから挨拶をされるようになった」「他のボランティアの方々と顔見知りになった」など、地域の連帯感の形成、地域の教育力の向上に関する声が実際に聞かれているところである。
1つの学校支援地域本部あたり150万円程度で150人のボランティアが登録され、学校支援活動が行われる。
また、コーディネーター(週4時間かける3日かける3人を想定)の配置により、より円滑な支援活動ができるとともに、学校側の連絡調整業務が軽減される。
ボランティア保険料やコーディネーター活動経費等、学校支援活動を行うための経費を措置することにより、学校支援地域本部の設置が促進される。よって、インプットとアウトプットの関係は適切である。
学校支援地域本部事業は義務教育の条件整備の一環であることから、全国的な普及、向上を図る必要がある。
本事業は全国で実施する事業であるが、補助事業として実施するよりは、文部科学省の委託事業として全市町村を対象とするモデル事業として取り組むこととし、それぞれの地域の取組を先導するなどして、全国的な展開を図っていく手段が効率性の観点から適当である。
本事業は全国各地域の学校を対象とし、省内に事業選定委員会を設けて事業の選定を行っていることから、公平性を担保しているといえる。また、各市町村に実践例を設けることで、各地域における学校支援地域本部の設置が進み、全国的に拡がっていくことが見込まれる。
「経済財政改革の基本方針2008」において、新たな時代に対応した施策として、「教育振興基本計画」に基づき学校支援地域本部事業に積極的に取り組むこととされており、教育振興基本計画では、基本的方向性の一つに「社会全体で教育の向上に取り組む」ことが揚げられ、その具体的方策として学校支援地域本部事業が挙げられていること等より、優先して事業を実施する必要がある。
今回のヒアリングを踏まえ、21年度概算要求に反映するとともに、事業の効果をなるべく正確に把握するために意識調査を行い、データの収集に努めることとする。
政策効果に着目した指標の設定を検討する。
指摘を踏まえ、事業の効果を把握するための意識調査を行い、データの収集に努める。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --