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3.各事業の評価

(a)キャリア教育実践プロジェクト

1.事業の概要

(1)キャリア教育実践プロジェクトの推進

 近年,少子高齢化社会の到来,産業・経済の構造的変化や雇用の多様化・流動化等を背景として,将来への不透明さが増幅するとともに,就職・進学を問わず生徒の進路をめぐる環境は大きく変化している。こうしたことから,児童生徒が「生きる力」を身に付け,社会の激しい変化に流されることなく,それぞれが直面するであろう様々な課題に柔軟にかつ,たくましく対応し,社会人・職業人として自立していくことができるようにするキャリア教育が強く求められている。
 キャリア教育に関して,学校教育においては,児童生徒の発達段階に応じて,勤労観・職業観を身に付けさせ,主体的に進路を選択・決定する能力を育成することが重要である。特に中学校段階においては,職場体験を行い,職業を肌で体験することが有効であるとともに,この活動が1週間(5日間)程度のまとまった期間行われることにより,高い効果が期待されているところである。
 このため,特に全国の公立中学校で5日間以上の職場体験を「キャリア・スタート・ウィーク」として行うとともに,地域の協力体制を構築する施策を「キャリア教育実践プロジェクト」として実施することにより,生徒の将来の職を見据えた進路選択の意識付けを図ることとした。
 具体的には,全国の中学校における職場体験を推進するため,都道府県及び域内の複数の市町村において5日間連続した職場体験活動を実施するためのシステムづくりを支援するため,関係行政機関やPTA,商工会等の関係者等で構成される支援会議及び実行委員会の設置・運営や円滑に取組を推進できるようにするための学校への支援を行っている。(平成19年度予算額232百万円,平成19年度事業対象生徒数92,045人)

図1−1.キャリア教育実践プロジェクトの取組イメージ

2.必要性,有効性,効率性

(1)必要性

 近年の産業・経済の構造的変化や,雇用の多様化・流動化等を背景として,就職・進学を問わず児童生徒の進路をめぐる環境は大きく変化している。学校から職業への移行のプロセスが複雑化し,多くの若者にとって,その移行が極めて困難な状況になっている。
 また,職業の選択や決定を先送りし,進路意識や目的意識が希薄なまま「とりあえず」進学したり,せっかく就職しても長続きせず,早期に離職したり,安易にフリーターを選択したりする若者が,結果として,ニートや,フリーターなどの増加の要因になっているのではないかと懸念されている。今後,少子高齢化社会を迎え,「日本の将来推計人口」によれば生産年齢人口(15歳〜64歳まで)は2050年には2004年よりも約3千万人減少による,社会全体の活力の低下が予想される中,ニート62万人,フリーター181万人(2007年現在)は,減少傾向にあるものの,今後,これ以上増大させないための予防策としても,キャリア教育を実施する必要がある。
 さらに,Benesse教育研究開発センターと朝日新聞が共同で企画・実施した「学校教育に対する保護者の意識調査2008(速報データ)」(平成20年3月)における「学校にどのような教育や指導を期待しますか」の問に設定された21の質問項目から,「将来の進路や職業について考えさせる」ことを期待すると回答した保護者は,小学校段階で67.3パーセント,中学校段階で87.4パーセントあった(「とても期待する」プラス「まあ期待する」のパーセント)。前回の同調査(平成15年12月〜16年1月)では,それぞれの回答が59.2パーセント,84.2パーセントであり,小中学校とも増加が確認される。このことから,キャリア教育に対する保護者のニーズが近年高まってきていることが伺える。

(参考)
  • ニート(15歳〜34歳で非労働力人口のうち,通学も家事もしていない者)
    • 2006、2007年 62万人
    • 2002〜2005年 64万人

    (資料出所:総務省統計局「労働力調査」)

  • フリーター(15〜34歳で,男性は卒業者,女性は卒業者で未婚の者とし,
    • 1 雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者
    • 2 完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
    • 3 非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で,家事・通学等していない者の合計。
      • 2007年:181万人
      • 2006年:187万人
      • 2005年:201万人
      • 2004年:214万人
      • 2003年:217万人

    (資料出所:総務省統計局「就業構造基本調査」労働省政策調査部で特別集計(〜1997年),総務省統計局「労働力調査(詳細結果)」(2002年〜))

  • 早期離職率が高い(いわゆる7・5・3問題)
    (2004年度卒業生)
    新規中学校卒業者の3年以内の離職者 69.4パーセント
    新規高等学校卒業者の3年以内の離職者 49.5パーセント
    新規大学卒業者の3年以内の離職者 36.6パーセント

    (資料出所:厚生労働省職業安定局「職業安定業務統計」)

  • 人口構造の推移
    • 人口のピーク(2006) 12,774万人
    • 将来推計値(2020) 12,411万人
    • ↓(毎年,現在の鳥取県または島根県1県分(年間70万人台)で減少)
    • 将来推計値(2050) 10,059万人

 このような背景にあって,キャリア教育は学校教育において,児童生徒の勤労観・職業観を身に付けさせるとともに,主体的に進路を選択・決定する能力を育成するものとして実施される必要があり,中学校段階では職場体験,特に,一定期間(5日間)連続した職場体験が有効であることからこれを推進するための事業の実施が必要である。

(2)有効性

 このようなキャリア教育の実施により,学校教育においては,児童生徒の発達段階に応じて,勤労観・職業観を身に付けさせ,主体的に進路を選択・決定する能力を育成する必要がある。特に,中学校段階においては,生徒が5日間など一定期間の職場体験という具体的な体験活動を行うことによって,働くことの素晴らしさや喜び,厳しさなどの理解が進むとともに職場体験先との人間関係が深まるなど,様々な効果が期待されることから,一定期間(5日間程度)の連続した職場体験の実施が求められ,その推進を図る本事業の実施が有効である。例えば,緊張の1日目,仕事を覚える2日目,仕事に慣れる3日目,仕事を創意工夫する4日目,感動の5日目など,一定の時間の長さの体験活動が生徒一人ひとりの意識に変容を与えることが考えられる。
 さらに,これらの一定期間(5日間)の職場体験が円滑に実施されるためには,学校,PTA,教育委員会,地方労働局・ハローワーク,経済産業局,地方公共団体,地域の経営者協会,商工会議所等の関係者による地域レベルでの協議の場を設置するなど,関係機関等の連携・協力による支援システムづくりが必要である。そのためには,文部科学省が関係府省と連携し,都道府県・市町村レベルの取組支援を行うとともに,学校が円滑に取組を推進できるようするための関係者の意識の醸成と環境の整備を行う事業の実施が有効である。
 なお,平成10年度から兵庫県では「トライやる・ウィーク」を実施しており,平成19年度に10年目を迎えた。その検証において,1自己認識の深まりや人間関係などの深まり,2生活への積極的な姿勢,3勤労観・職業観の育成,4社会との接点を意識することなどの課題に対しても大きな成果を上げている。さらに,登校の改善につながっている不登校や特別支援学校の生徒への成果だけではなく,将来の夢や展望を抱いている生徒,時を経て振り返る生徒など,その好影響は長期的に継続するものとなっており,教育的効果は高いものである。

(3)効率性

 キャリア教育は,平成16年1月の「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議」で定義付けられた用語であるとともに,職場体験は一定のまとまった期間受け入れる企業,事業所やPTA等の理解が得られなければ成り立たない活動である。
 こうした中,児童生徒が「生きる力」を身に付け,社会の激しい変化に流されることなく,それぞれが直面するであろう様々な課題を柔軟にかつ,たくましく対応し,社会人・職業人として自立していくことができるように,特に,職場体験活動は,生徒を受け入れる企業や行政機関があって初めて成り立つものである。そのため,関係府省が連携・協力するとともに,文部科学省は教育委員会に対し,また,厚生労働省は地方労働局に対し,経済産業省は地方経済産業局や経済団体等に対して,職場体験を行うための協力を,それぞれ要請しているところである。
 一方,各地域の実情は,1職場体験先が学校から遠い,2域内の中学校全てで取り組むことによる受入企業の重複化などによる場の確保の困難等の理由により,必ずしも職場体験が円滑に行われていないのが実情である。
 このため,まずは,国が都道府県レベルによる職場体験を推進するためのシステム及び取り組み成果・課題の蓄積を分析・活用し,各地域で職場体験を行う体制を構築することが必要である。
 また,全国の公立中学校での職場体験を一斉に促すため,国が都道府県・市町村レベルでの支援会議及び実行委員会の設置・活動経費や学校活動経費を措置することにより,キャリア教育に対する関係者の意識の醸成や,一定のまとまった期間受け入れる企業,事業所やPTA等の理解が早期に深まったりするなどの効果が見込まれる。こうした取組を,全国数カ所で開催する地区別協議会等を通して,各地域へ普及させ,その後,各自治体が独自に活用し,効果的に活動できるよう支援することは,全国の中学校における職場体験を推進するための手段として適切であると考える。
 なお,平成17年度に本事業の地域指定を受けた滋賀県,広島県,京都市では,平成19年度において,域内の全公立中学校で5日間以上の職場体験活動を実施していることが,国立教育政策研究所生徒指導研究センターの職場体験実施率調査の結果から明らかになった。また,同調査の期間別実施状況(3.(2))において,職場体験期間の長期化が進んでいることからも,事業の意図や成果の普及が着実に図られていると考えられる。

3.施策の効果及び貢献度(ロジック・モデルとの関係)

(1)キャリア教育実践プロジェクト(実施状況)

表1−1.キャリア教育実践プロジェクトの指定地域数・学校数

  指定地域数 学校数
平成17年度 138(地域) 757(校)
平成18年度 209(地域) 1,009(校)
平成19年度 193(地域) 896(校)

(2)公立中学校の職場体験の実施状況等

国立教育政策研究所生徒指導研究センター調べ

図1−2.公立中学校の職場体験の実施状況の推移

図1−3.公立中学校の職場体験の期間別実施状況の推移

(3)事業評価を実施するに当たってのアンケート調査結果等

 本事業の実施校を対象に,平成20年6月に,学校,教師,生徒,保護者,卒業生の区分でアンケート調査を実施した。

[内訳:学校200,教師400,生徒800,保護者800,卒業生400]

○生徒アンケート(回答数:524)
〈調査結果1〉体験の期間についてどのように感じたか。(図1−4)

 8割の生徒は,5日間という職場体験期間について肯定的に捉えている(「短かった」「少し短かった」「丁度よい」)ことが伺える。
〈調査結果2〉心の変化はあったか。(図1−5)

 本事業を通じ,生徒の81.5パーセントは「6 働くことの大切さ,厳しさ,楽しさを感じることができた」と回答しており,また,52.3パーセントの生徒が「7 与えられた仕事に責任を感じた」,30.7パーセントの生徒が「1 将来を見据えた進路を考えるきっかけとなった」と回答していることも特徴的であり,本事業により,働くことに対する生徒の意識の変化が伺える。
〈調査結果3〉後輩も同様の経験をした方がよいか。(図1−6)

 9割近くの生徒が後輩に対しても経験を望んでおり,体験した生徒自身も満足した体験活動であったことが伺い知ることができる。
○学校アンケート(回答数:167)
〈調査結果4〉学校が考える成果(図1−7)

 本事業を通じ,49.7パーセントの学校が「6 生徒の将来に対する目的意識の向上につながった」と回答しており,49.1パーセントの学校が「2 教員のキャリア教育に対する意識の向上につながった」,47.9パーセントの学校が「4 受入れ事業所等,地域企業や社会との距離が縮まった」と回答している。また,37.1パーセントの学校が「1 学校でキャリア教育に取り組むきっかけとなった」と回答していることも特徴的であり,本事業の大きな効果が伺える。
 なお,「2 教員のキャリア教育に対する意識の向上につながった」(49.1パーセント)と「5 生徒の学習意欲の向上につながった」(21.0パーセント)との結果をふまえ,学校としては,教員はキャリア教育に対する意識・啓発を図っているが,生徒にはキャリア教育の効果が浸透していないのではないかと捉えていると伺える。
○教師アンケート(回答数:391)
〈調査結果5〉教師が考える成果(図1−8)

 〈調査結果4〉の学校に対するアンケート結果と傾向が類似しているが,教師についても「6 生徒の進路意識の向上につながった」との回答が40.7パーセントにのぼり,「4 受入れ事業所等,地域企業や社会との距離が縮まった」とする回答も38.4パーセント見られた。また,「2 教員のキャリア教育に対する意識の向上につながった」とする回答も34.0パーセント,「1 学校でキャリア教育に取り組むきっかけとなった」と回答した教師も30.9パーセントという結果となった。
 これらのことから,教師にとって,本事業が有効な手段・取組として捉えられていることが明らかである。

4.成果事例

【事例1:新潟県燕市立小池中学校】(平成19年度報告書より)

 小池中学校では,本事業を通して,平成19年度においてキャリア教育の充実を図るために,以下のことを取り組んだ。

・小池中学校のキャリア教育

 「基礎的な学力とスキル」「コミュニケーション能力」「人としてのモラル」を育むことを目標に,

  • 肯定的自己理解と自己有用感の獲得
  • 興味関心に基づく職業観・勤労観の獲得
  • 生き方や進路に関する現実的探索

を目指して,第2学年による「キャリア・スタート・ウィーク」事業(5日間の職場体験学習)を実施した。

・キャリア・スタート・ウィーク事業の活動概要
(1)学校組織・職員に関して
  • 「キャリア教育全体計画」の作成
  • 総合的な学習の時間の見直し
  • 校内キャリア・スタート・ウィーク実行委員会の立ち上げ
  • 新潟大学との連携による近隣小中学校を含む職員へのキャリア教育研修会の実施
  • 保護者への啓発
  • 訪問先事業所への説明会(燕市の実行委員会との連携)の実施
  • 生徒の割り振り
  • 「職場体験ノート」の作成
  • 実施期間中の巡回指導
  • 事前・事後のアンケート調査(評価)
  • 新潟大学と連携した教育効果の診断
(2)生徒の学習活動
  • 働くこと,進路についてのガイダンス
  • 資料VTRを視聴しての職業観に関するワークシート学習
  • 職業適性検査の実施とマナー講習会
  • グループ編成,リーダーの選出,訪問事業所の所在地確認
  • 仕事内容・事業所についての事前調査学習 質問事項の洗い出し
  • 出発式の実施 訪問,あいさつ,打ち合わせ(第1日目)
  • 訪問・体験学習(第2〜4日目)
  • 事後訪問,あいさつ,新たな質問 帰校後の振り返り学習 礼状書き(第5日目)
  • 事後学習:学習成果のまとめ 発表会に向けた発表練習
  • 学習成果発表会の実施:事業所,保護者を招いて,ポスターセッション形式
・生徒の勤労観・職業観に対する意識の変容について
(観点別に見た教育効果の分析)

 (参考資料)に掲載したものが,事前及び事後(合計2回)に生徒に実施したアンケートである。これにより「(1)教育進路成熟」「(2)職業進路成熟」「(3)人生進路成熟」「(4)進路選択に対する自己効力」「(5)自己肯定感」についてキャリア・スタート・ウィーク事業の前後で生徒の意識を,5段階評価で比較することで変化を確かめた。その際,「T検定(事前事後の平均値の差の検定)」を用いた。その結果,5つの指標による生徒の事前と事後の成長を確かめることができた。以下にその結果および分析を記す。

(1)教育進路成熟測定尺度について

 この尺度(15項目)の合計得点の平均値の差は統計的に有意ではなかった。しかし,平均値自体は増加している。つまり,生徒たちは職場訪問体験学習を通して,職業や人生についてより多くのことを考えるようになった,と分析できる。
 15項目を個別に見ると,「20」「32」に有意差が認められた。つまり,事業の実施前に比べて実施後の方が生徒はより志望校を意識して,進学のための準備を進めるようになったといえる。

(2)職業進路成熟測定尺度について

 この尺度(15項目)については,事前よりも事後の方が統計的に有意に高くなっているといえる結果となった。
 項目別に見ると,次の6つの項目において有意に上昇したといえる。

  • 「2 希望する職業につくための筋道が,わかっている」
  • 「9 自分を生かせる職業について,調べている」
  • 「12 将来,職業につくための計画を立て,準備している」
  • 「14 将来どんな職業につくのか,見通しを立てている」
  • 「19 職業の内容や就職方法は自分で調べている」
  • 「31 将来の職業の準備は,自分からすすんでしている」
(3)人生進路成熟測定尺度について

 この尺度(15項目)についても,(2)と同様,事前よりも事後の方が統計的に有意に高くなっているといえる結果となった。
 項目別に見ると,次の6つの項目において有意に上昇したといえる。

  • 「7 これからの人生のことを考えて,自分なりの人生設計を立てている」
  • 「13 人生のことについて,人に尋ねたり,本で調べたりしている」
  • 「15 人生の意味について考えている」
  • 「17 これからの人生を豊かにするために努力している」
  • 「22 これからの人生について,見通しを立てている」
  • 「36 自分に相応しい生き方を,いろいろと考えている」
(4)進路選択に対する自己効力について

 この尺度(15項目)については,事前よりも事後の方が有意に高くなっている。つまり,職場体験活動を通して生徒たちは自分の進路選択について,さらに「自信をもつ」ようになった,と考えられる。
 項目別に見ると,次の5つの項目において有意に上昇したといえる。

  • 「2 自分なりに就職するまでの見通しを立てることができる」
  • 「5 進路先に関する情報を得ることができる」
  • 「8 将来の目標に向かって,数年先までの計画を立てることができる」
  • 「9 自分の能力が最も発揮できる進路先を,自分で決めることができる
  • 「14 現在考えている進路先の中から,少しずつ1つにしぼっていくことができる」
(5)自己肯定感測定尺度について

 この尺度(7項目)については有意差は見られなかった。しかし,項目別に見ると「6 私は,自分に自信がある」が,事前平均値2.01から2.29へと上昇した。この結果から,生徒たちは職場体験活動を通して,自分への自信が高まった,という教育効果が明らかになった。

(参考資料)新潟県燕市立小池小学校において実施したアンケート
◎進学や職業,人生や生き方について、あなたの考えを教えてください。
教育進路成熟 5 進学のことについて、人にたずねたり、本で調べたりしている。
10 志望校に進学するための道筋が、わかっている。
16 自分を生かせる上級学校について、調べている。
18 何のために進学するのかを考えている。
20 進学のための勉強は、自分から進んでしている。
21 どんな上級学校を選ぶかを、自分で考えている。
23 志望校の校風や特徴などは、自分で調べている。
29 将来どんな学校に進学するのか、見通しを立てている。
30 進学先は、自分で責任をもって決めている。
32 志望校に進学するための計画を立てて、準備をしている。
33 どんな種類の学校や学科があるのか、気にしている。
34 進学の目標を立てて、それに向かって努力している。
37 進学先について、いろいろと比較し検討している。
39 進学先は、自分の意思で決めている。
42 進学や進学先のことについて考えている。
職業進路成熟 2 希望する職業につくための道筋が、わかっている。
4 職業につくための目標を立て、それに向かって努力している。
8 職業を選ぶことについて、人にたずねたり、本で調べたりしている。
9 自分を生かせる職業について、調べている。
12 将来、職業につくための計画を立て、準備している。
14 将来どんな職業につくのか、見通しを立てている。
19 職業の内容や就職方法などは、自分で調べている。
24 将来の職業や就職先のことについて考えている。
25 何のために就職するのかを考えている。
27 どんな種類の職業や産業があるのか、気にしている。
31 将来の職業の準備は、自分から進んでしている。
38 どんな職業を選ぶかを、自分で考えている。
41 将来の職業や就職先は、自分で責任をもって決めている。
43 将来の職業については、自分の意思で決めている。
45 将来の職業や就職先について、いろいろと比較し検討している。
人生進路成熟 1 これからの人生について自分なりの目標をもっている。
3 どんな人生や生き方があるのか、関心がある。
6 自分で責任を持ってこれからの人生を送っていく。
7 これからの人生のことを考えて、自分なりの人生設計を立てている。
11 どんな生き方をしたらよいのか、自分で考えている。
13 人生のことについて、人にたずねたり、本で調べてたりしている。
15 人生の意味について考えている。
17 これからの人生を豊かにするために努力している。
22 これからの人生について、見通しを立てている。
26 これからの自分の人生は、自分の力で切り開いていく。
28 これからの人生での出来事を自分なりに予想できる。
35 これからの人生では、自分の意思と責任で生き方を決めていきたい。
36 自分にふさわしい生き方を、いろいろと考えている。
40 いろいろな生き方を比べたりして、自分の生き方を探している。
44 これからの人生のことについて考えている。
進路選択に対する自己効力 1 もし自分が選んだ進路先でする内容(学習など)に疑問を感じたら、それを理解し解決しようと努力することができる。
2 自分なりに就職するまでの見通しを立てることができる。
3 自分の興味や関心に合うと思われる進路先を選ぶことができる。
4 将来の生き方について自分なりの考えをもつことができる。
5 進路先に関する情報を得ることができる。
6 自分の能力に合うと思われる進路先を選ぶことができる。
7 将来の仕事において、どんな免許や資格が役に立つのかを考えることができる。
8 将来の目標に向かって、数年先までの計画を立てることができる。
9 自分の能力が最も発揮できる進路先を、自分で決めることができる。
10 自分の理想の仕事を思い浮かべることができる。
11 周りの人(親・友達・先生など)がすすめる進路先であっても、自分の適性や能力に合っていないと感じるものであれば断ることができる。
12 本当に好きな進路先に進むためには、親を説得することができる。
13 将来のために、進路先で何がやりたいのか、自分なりの考えをもつことができる。
14 現在考えているいくつかの進路先の中から、少しずつ一つにしぼっていくことができる。
15 進路先で、勉強などが思い通りにいかないときでも、最後までねばり強く続けることができる。
自己肯定感 1 私は、今の自分に満足している。
2 私には、いくつかの長所があると思う。
3 私には、人に自慢できることがあると思う。
4 私は、他の人のためになれる人間だと思う。
5 私は、価値のある人間だと思う。
6 私は、自分に自信がある。
7 私は、自分のことが好きだ。

 このアンケート票にある項目は、松井賢二先生(新潟大学教育人間科学部教授)のご指導をいただいて作成した。
 職場訪問・体験学習の前後にわたり、合計2回、生徒に実施したものである。いずれも5段階評価で、「教育進路成熟」「職業進路成熟」「人生進路成熟」「進路選択に対する自己効力」 は75点満点。「自己肯定感」に関する項目は35点満点である。

【出典・引用文献】
●「教育進路成熟・職業進路成熟・人生進路成熟」について
 坂柳恒夫(1992)「中学生の進路成熟に関する縦断的研究」愛知教育大学教育センター研究報告16 299〜308
●「進路選択に関する自己効力」について
 松井賢二・奈良井啓子(2001)「中学生の学校適応と進路(キャリア)成熟・進路選択に対する自己効力との関係」新潟大学教育人間科学部紀要 第3巻第2号 363〜373
●「自己肯定感」について
 松井賢二(2001)「中学生の学校適応と進路(キャリア)成熟・自己肯定感との関係(2)」新潟大学教育人間科学部紀要 第4巻第1号 237〜247

【事例2:岐阜県高山市内の実施校】(平成19年度報告書より)

実施校における児童生徒の勤労観,職業観に対する意識の変容等について

平成19年度 2年職場体験自己評価

(1)職場体験で得るものが大きいのはどちらか(実施後の生徒の感想)

(2)働くことの意義について理解したか

(3)5日間で生徒の様子に変化があったか

(4)事業所にとって有益だったか

  • (1)の中で生徒は,初めは大変そうだという思いが大きかったが,5日間に伸びたことで次のような感想が出てきた。
    • 1 仕事に対する気持ちが変わってきた。
    • 2 4,5日目は仕事が慣れてきて,いろいろ考えて行動することが増えた。
    • 3 5日間だと社員として働いているようで,大変勉強になった。
    • 4 日にちが多くなれば,コミュニケーションも多く取れる気がする。
  • 生徒は5日間の体験を有益なものととらえている。
  • (3)(4)は事業所からの意見であるが,非常に好意的にとらえている反面,5日間は期間が長すぎて受け入れが大変である,受入体制が取れなくて難しい等,5日間の受け入れに難色を示す面もある。
  • 今後,この5日間の職場体験学習を定着させていくためには,教職員の努力のみならず,受け入れている事業所の理解と,生徒の効果的な意識付けによる労働意欲の向上,教師,事業所との綿密な連絡が必要である。

【事例3:新潟県上越市立城北中学校】

 3日間の職場体験を実施した中学2年生(平成17年度)と,5日間の職場体験を実施した中学2年生(平成18年度)を対象としたアンケート調査結果である。

3日間の職場体験の生徒

5日間の職場体験の生徒

 どの項目についても,肯定的な評価(「4(よくできた)」「3(まあまあできた)」)では,5日間の職場体験の生徒(平成18年度)が3日間の職場体験の生徒(平成17年度)を大きく上回っている。
 「たくさんの人たちとふれあうことができましたか」「あいさつはよくできましたか」「話をしっかり聞くことができましたか」という態度面だけでなく,「働くということについて考えることができましたか」「仕事の喜びや楽しさを感じることができましたか」「仕事の厳しさやつらさを感じることができましたか」という見方や考え方についても,肯定的な評価が大きくなっている。

5.まとめ

(1)評価のまとめ

 本事業の目的は,生徒が明確な目的意識を持って日々の学業生活に取り組み,児童生徒が「生きる力」を身に付け,主体的に自己の進路を選択・決定できるなど,社会人・職業人として自立していくことができるようにするため,公立中学校が5日間の職場体験を円滑に実施できるよう都道府県・市町村レベルの取組支援を行うとともに,各地域で職場体験を行う体制を構築することである。上述の各評価結果などから,事業の目的は概ね図られているといえる。

(2)今後の課題等について

 職場体験活動は,受入先である企業等や保護者の理解・協力等,様々な課題があるが,本事業を通して,生徒に主体的に進路を考えさせる5日間の職場体験活動は一定の成果があり,多くの学校が長期化の方向に進んでいる。
 一方,職場体験活動は,目的を達成するための手段(手法)であるが,それが目的化してしまい単なる体験活動で終わらないようあくまでも生徒の将来を見据え,職場体験活動の事前及び事後指導をどのような方法・内容で行うかが課題である。
 また,職場体験活動を通して,生徒の職業観・勤労観に対する意識や将来に対する目的意識等がどのように変容したか等,本事業による生徒への効果をどのように把握・活用するかが課題である。
 さらに,中学校に特化して事業を推進してきたが,今後は,小学校,中学校が連携することにより,小中一貫したプログラムの開発,指導の重複の回避など,より効率的で効果的な活動を行えるよう支援していく必要がある。なお,本事業の指定後も引き続き,確実に5日間の職場体験活動を行うとしているのは,平成19年度指定校総数896校中約200校(未定は含まない)であるが,それらの学校は市町村教育委員会が中核となって,当該自治体ぐるみで職場体験学習を実施する場合が多く,今後は,地域の特性を生かしつつ,学校を中心とした地域単位での職場体験活動,それを含めたキャリア教育の効果的・効率的な在り方を検討することが必要である。

-- 登録:平成21年以前 --