事案概要一覧 (和解事例2001以降)

公表番号 事案の概要

和解事例2001

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に自宅があり、原発事故時は会津地方に単身赴任していた申立人について、単身赴任中の生活状況や、自宅から通勤可能な部署への異動の内示を受けていたことなどを考慮して、自宅住所地を基準として、中間指針第五次追補の目安額どおりの日常生活阻害慰謝料(合計180万円)及び生活基盤変容慰謝料(50万円)の賠償等が認められた事例。

和解事例2002

居住制限区域(浪江町)から避難した申立人夫婦について避難交通費及び引越費用が賠償されたほか、電気工事業を営んでいた申立人夫についての事業用動産に関する損害(避難の際に搬出することができなかった工具等の財物損害を申立人の陳述や写真等の資料から認定した。)及び申立人妻についての就労不能損害(直接請求手続で賠償を受けた期間以降の平成26年3月から平成28年2月まで)がそれぞれ賠償された事例。

和解事例2003

避難指示解除準備区域(川内村)に居住していた申立人が長年にわたり趣味として買い集めて育ててきた植物のイワヒバについて、原発事故に伴う避難のため、水やりをすることもできず全て枯れてしまったことから、財産的価値に対する賠償では賄いきれない精神的苦痛に対する賠償として、一時金として20万円を認める和解が成立した事例。

和解事例2004

自主的避難等対象区域(いわき市)から避難した申立人(大人1名)について、精神症状を発症して心身が不調であったこと、母と別離が生じたことなどを考慮して、中間指針第五次追補第3記載の自主的避難等に係る損害のうち、精神的損害(平成23年3月から同年12月まで)を7万円増額することが認められるなどした事例。

和解事例2005

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)から近居の孫3名(うち2名は避難開始時において未就学)と一緒に避難した申立人について、避難先において孫らの風呂、食事、洗濯等の身の回りの世話や通学、通園の際の送迎等を恒常的に行ったことを考慮して、日常生活阻害慰謝料(増額分)として、未就学児が2名であった平成23年3月から平成24年3月までは月額5万円に申立人の育児負担割合5割を乗じた額が賠償されるとともに(避難先で発症した病気を抱えながら育児した平成23年5月から同年8月までは月額1万円を加算)、未就学児が1名となった平成24年4月から平成26年3月までは月額3万円に申立人の育児負担割合5割を乗じた額が賠償されるなどした事例。

和解事例2006

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)から避難し、原発事故に起因する精神的損害の賠償を求める訴訟の確定判決を有する申立人について、成人である娘との別離を余儀なくされたことを考慮して、日常生活阻害慰謝料(増額分)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2007

自主的避難等対象区域(郡山市)から避難した申立人母子(母及び原発事故当時2歳の双子)及び仕事のため事故時住所に残った申立人父につき、家族別離が生じたこと及び未熟児で出生し、発育上の経過観察を要する申立人子らの世話をしながらの避難であったことを考慮して、申立人母子に各5万円の精神的損害の増額分(一時金)の賠償が認められるとともに、平成24年1月から平成27年3月までの面会交通費、二重生活に伴う生活費増加分及び避難雑費の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2008

原発事故当時、福島県外に住居があったが、平成22年末から里帰り出産(第二子)のため自主的避難等対象区域(福島市)内の実家に滞在し、平成23年6月に出産した後、同年夏頃に帰宅した申立人母及び子(第一子)について、上記事情を考慮し、それぞれ自主的避難等対象区域に住居があった者と同等の額(各40万円)が賠償されるとともに、原発事故後に出生した申立人子(第二子)についても同等の額が賠償された事例。

和解事例2009

居住制限区域(飯舘村)において農業及びドッグブリーダー業を営んでいた申立人らについて、同区域所在の土地(登記上の地目は原野)の財物損害につきその一部を事業用地と認定して算定した損害額の賠償を認めるとともに、農機具等の事業用動産の財物損害、原発事故当時開業準備中であった事業に係る受託業務に関する損害等の賠償を認めた事例。

和解事例2010

県南地域(白河市)において福島県が開発した水稲(販売開始は平成23年とされている。)を栽培する農家である申立人の風評被害による営業損害について、上記品種に原発事故前の価額が存在しないことから、他品種の値動き等を考慮して、令和元年9月から令和3年10月までの逸失利益(ただし、東京電力の直接請求手続における既払金を控除した額。)等が認められた事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2011

居住制限区域(浪江町)から避難した申立人夫婦について、原発事故後にそれぞれの勤務先の移転に伴って別離を強いられたことを考慮して、夫に対し、平成23年3月から平成30年3月まで月額3万円の日常生活阻害慰謝料(増額分)の賠償が認められるとともに、原発事故により自宅の太陽光発電設備が稼働不能となり売電収入を得られなかったことを考慮して、夫に対し、直接請求手続で支払われた期間以降である平成24年6月から平成29年11月までの売電収入相当額の逸失利益の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2012

避難指示解除準備区域(葛尾村)において養蜂業を営み、生体の日本蜜蜂と蜂蜜を巣箱ごと販売していた申立人について、棚卸資産である巣箱の財物損害が原発事故の影響割合を7割として賠償されるなどした事例。

和解事例2013

原発事故当時、福島県外に自宅を有していたものの、避難指示解除準備区域(楢葉町)所在の自身が経営する会社の工場に継続的に出入りし、自宅と当該工場近くの社員寮とを行き来しながら生活していた申立人について、生活の本拠が一定程度当該社員寮にあったと認定し、一時金として85万円の精神的損害の賠償が認められた事例。

和解事例2014

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住しつつ、特定避難勧奨地点の設定のあった行政区である同市鹿島区橲原地区に別荘を所有する申立人ら家族(父、母及び子)について、申立人子に関し、原発事故前は別荘で休日を過ごしていたことを踏まえ、同地区の住民に準ずるものとして、平成24年9月分から平成27年3月分まで月額3万円の日常生活阻害慰謝料が認められた(父及び母については前回の申立てにおいて同内容が認められている)ほか、申立人らにそれぞれ生活基盤変容慰謝料(中間指針第五次追補の緊急時避難準備区域における目安額である50万円)の賠償が認められた事例。

和解事例2015

大分県で原木乾燥しいたけの集荷販売等を取り扱う農業協同組合である申立人(以下「申立人組合」という。)及び申立人組合の組合員である申立人ら(以下「申立人組合員ら」という。)の風評被害による営業損害について、原発事故後の原木乾燥しいたけの価格下落の状況、集荷販売量の動向、買い控えの発生状況及び商品の特性等を考慮して、①申立人組合員らの申立人組合を通じた平成25年2月から平成27年1月までの出荷販売に関し、原発事故前の販売単価との差額に基づき算定した逸失利益(原発事故の影響割合を2割5分として算定。)及び②申立人組合が申立人組合員らの出荷販売額に応じて取得する平成25年2月から平成27年1月までの組合手数料に関し、原発事故前の販売単価との差額に基づき算定した逸失利益(原発事故後に大分県において申立人組合での集荷販売の割合が増加したことを考慮し、原発事故の影響割合を1割として算定。)が認められ、さらに、③申立人組合による原木乾燥しいたけの放射性物質検査費用(平成23年6月分から平成27年1月分まで請求額全額、平成27年2月分から平成28年1月分まで原発事故の影響割合を5割として算定。)が認められた事例。

和解事例2016

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人長男、申立人長男の妻及び被相続人(申立人長男らの母、申立人長男らが相続。)について、被相続人が要介護の状況で避難したことを考慮して平成23年3月から平成24年8月まで月額3万円ないし5万円の日常生活阻害慰謝料の増額分の賠償を、申立人長男の妻が被相続人の介護をしながら避難し、自宅に帰還後も被相続人が入所する施設に通って必要な物を持参するなどしていたことを考慮して平成23年3月から平成24年8月まで月額3万円ないし5万円の日常生活阻害慰謝料の増額分の賠償をそれぞれ認める(ただし、直接請求手続における既払金を控除した額。)などした事例。

和解事例2017

帰還困難区域(双葉町)に居住していた申立人(原発事故時62歳)について、平成24年以降避難生活を送っていた県外のアパートの家賃助成金の給付期限が令和5年3月までとされ、それ以降に転居する物件を探すことは年齢的に難しいと考えて、令和3年12月に福島県内の団地に転居するに至ったことを考慮して、その際の引越費用が賠償されたほか、原発事故以前は野菜の栽培や養鶏をして生活していたものの、避難先でそれらを行えなくなったことを考慮して、平成30年3月分までの生活費増加費用(自家消費野菜・鶏卵)等が賠償された事例。

和解事例2018

自主的避難等対象区域(いわき市)に居住していた被相続人(夫。申立人らが相続。)、申立人妻及び申立人長男について、被相続人の透析治療のために被相続人及び申立人妻が福島県外に避難したこと等を考慮して、平成23年分の避難費用、二重生活により増加した生活費増加費用、家財購入費及び精神的損害(一人当たり10万円)の賠償が認められ、さらに、被相続人が透析患者であったこと、申立人妻がその介護をしていたこと等を考慮して、被相続人及び申立人妻の精神的損害(一時金として被相続人につき10万円(ただし、既払金を控除した額。)、申立人妻につき5万円。)の賠償が認められるとともに、自家消費野菜を収穫できなかったことによる生活費増加費用については平成24年分まで、自家消費山菜を収穫できなかったことによる生活費増加費用については出荷制限等に係るものとして令和5年分までの賠償が認められた事例。

和解事例2019

帰還困難区域(大熊町)から避難した申立人について、看板等を設置する目的で土地を貸していたところ、原発事故によって借地人が避難するなどしたため地代が支払われなくなったことを考慮して、将来分も含むものとして6年分の営業損害(賃貸借契約書が存在しないなど客観的な資料が十分ではないものの、立証の程度を考慮して、3割の限度。)の賠償が認められるとともに、持病に係る通院交通費が避難先から通院することによって原発事故前より多くかかることになったことを考慮して、平成28年9月から平成30年3月までの通院交通費増加分の賠償が、また、障害(身体障害等級1級)を抱えながらの避難であったことを考慮して、平成28年12月から平成30年3月まで月額3万円の日常生活阻害慰謝料の増額分の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2020

いわき市(自主的避難等対象区域)から避難した申立人ら(夫婦、子4名)のうち、妻について、避難先で原発事故時0歳、1歳、3歳及び5歳と低年齢の子4名の世話をしていたことを考慮して、中間指針第五次追補第3記載の自主的避難等に係る損害のうち、精神的損害を10万円増額することが認められるなどした事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2021

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住し、不妊治療を受けていた申立人夫婦について、原発事故後に担当医が避難して戻らず、不妊治療再開のために平成27年9月から遠方の病院への通院を余儀なくされたことを考慮して、同月から平成30年8月までの生活費増加費用(通院交通費の増加分)及び精神的損害(一時金50万円)の賠償が認められた事例。

和解事例2022

避難指示解除準備区域(浪江町)に居住していた申立人ら(母及び成人の子)の日常生活阻害慰謝料(増額分)として、申立人母について、平成23年3月から同年9月まで夫婦間で別離が生じたことを考慮して、上記期間につき月額3万円の賠償が、申立人子について、平成23年3月から平成24年2月まで両親との別離が生じたこと及び消防職員として救急業務に従事していたことを考慮して、一時金50万円(ただし、既払金12万円を除く。)の賠償がそれぞれ認められた事例。

和解事例2023

避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した被相続人(申立人らが相続)について、昭和60年代から浪江町に居住して大工として働き、その後自ら建設を手掛けた自宅に居住していたこと、浪江町及び自宅への愛着が強く、県外の避難先から平成29年に福島県内の復興住宅に移動したものの、原発事故前に透析治療のために通院していた病院が原発事故に伴い閉鎖されたため、浪江町の自宅には帰還できずに平成30年に逝去したこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害として中間指針第五次追補の定める目安額250万円から150万円増額した400万円の賠償が認められたほか、被相続人の障害及び持病を理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(平成23年3月から被相続人が逝去した月まで状況に応じて月額10万円ないし月額3万円、ただし既払金を控除した額。)、申立人妻及び申立人二女の被相続人の介護を理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(平成23年3月から被相続人が逝去した月まで状況に応じて月額5万円ないし月額3万円、ただし既払金を控除した額。)、被相続人及び申立人妻の過酷避難状況による精神的損害各30万円、申立人妻の生活基盤変容による精神的損害250万円の賠償が認められた事例。

和解事例2024

帰還困難区域(大熊町)に居住していた申立人らに対し、自宅敷地内に所在していた氏神様(祠)につき、直接請求で賠償済みの庭木・構築物の価格に含まれないとして、取得価格から経年減価を考慮した金額が財物損害として賠償されるなどした事例。

和解事例2025

避難指示解除準備区域(浪江町)において同居していた被相続人(申立人長男の母)及び申立人長男のうち、1.被相続人について、過酷避難状況による精神的損害、生活基盤変容による精神的損害に加えて、平成23年3月から平成29年3月までの日常生活阻害慰謝料の増額分として、家族別離が生じたこと、平成24年12月から要介護状況になったと認められること及び具体的な症状経過等を考慮して月額3万円ないし8万円の賠償が認められ、2.申立人長男について、過酷避難状況による精神的損害、生活基盤変容による精神的損害、自主的避難等対象区域に滞在していたことに係る損害、葬儀関連費用、平成23年3月から平成28年12月まで及び平成29年1月以降の自家消費米・野菜に関する損害(10年分の米・野菜購入費用相当額として算定)に加えて、平成24年12月から平成29年3月までの日常生活阻害慰謝料の増額分として、被相続人を介護したことを考慮して月額3万円の賠償が認められた事例。

和解事例2026

原発事故当時、福島県外に住居があったが、里帰り出産のため自主的避難等対象区域(いわき市)の実家に滞在していた申立人母について、自主的避難等に係る損害として40万円の賠償が認められたほか、出産を間近に控えた時期に避難したことを考慮して、精神的損害(一時金)として10万円の賠償が認められた事例。

和解事例2027

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)から避難した申立人妻について、原発事故当時、合計約39年間にわたって南相馬市小高区に居住していたことや、地域社会等との関わり合い(近所の人々との交流状況、各種催しへの参加等)等を考慮して、生活基盤変容慰謝料として290万円(中間指針第五次追補の定める目安額250万円から40万円の増額)の賠償等が認められた事例。

和解事例2028

避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人母について、浪江町のいわゆる豪農の家庭に生まれ育ち、原発事故時まで約78年にわたり浪江町に居住していたこと、地元で勤務しつつ兼業農家を営んでいたこと、種々の地域活動に参加していたこと等を考慮し、生活基盤変容慰謝料(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として100万円の賠償が認められるなどしたほか、原発事故時は福島県外の賃貸住宅に居住していた申立人子について、定年退職(平成26年)以降は浪江町の実家に戻って申立人母と同居することを予定していたものの、避難指示解除(平成29年4月)後まで戻れなかったこと等を考慮し、上記賃貸住宅の家賃の一部(定年退職した月の分から平成29年4月分まで原発事故の影響割合を2割ないし3割として算定した額)の賠償が認められた事例。

和解事例2029

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人ら(夫婦)のうちの申立人妻について、原発事故当時の居住期間が70年以上であったことや、地域社会等との関わり合い等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害として中間指針第五次追補の定める目安額50万円から30万円を増額した80万円の賠償が認められたほか、自主的避難等対象区域に滞在していたことに係る損害の賠償が認められた事例。

和解事例2030

大熊町(帰還困難区域)から避難した申立人ら夫妻について、居住期間(夫は約50年間同町に居住、妻は婚姻前は双葉郡内に居住して大熊町の職場に勤務し、婚姻後は約30年間同町に居住)、就労状況(夫婦とも同町内で就労していた)及び地域社会等との関わり合い(地域での種々の活動への参加等)を考慮し、生活基盤喪失による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額700万円)の増額分として各30万円の賠償が認められるなどした事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2031

原発事故時、居住制限区域(浪江町)にて4世代で居住していた申立人らのうち、曾祖父母について、山間部の土地を開拓して自宅を建て、農作物を栽培し家畜を飼育するなどして自給自足の生活基盤を確立し、約60年にわたり家族とともに生活してきたことを考慮して、生活基盤変容慰謝料(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分としてそれぞれ150万円の賠償が認められるとともに、両名及びその他の申立人らに対し、家族別離、介護等の事情にもとづく日常生活阻害慰謝料の増額分及び生活費増加費用(水道代等増加分及び自家消費野菜)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2032

自主的避難等対象区域(須賀川市)において稲作農業を営む申立人につき、令和2年分から令和4年分の風評被害による逸失利益として、令和元年に賃貸していた田の一部が返還されて自作に転じた分も加えた作付面積を前提として算出した販売数量に、事故前後の販売価格の価格差を乗じる方式で算出した金額(ただし、令和2年分及び令和3年分は直接請求手続での既払金を控除した額)の賠償が認められた事例。

和解事例2033

地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)から避難した被相続人(申立人らが相続)について、原発事故時に入院していた病院及び周辺の医療機関による患者の受入れが十分でなく、帰還が困難であったことを考慮して、平成23年10月から被相続人が逝去した月まで月額10万円の日常生活阻害慰謝料の賠償が認められるとともに、家族別離が生じたこと及び要介護状態にあったことを考慮して、平成23年3月から被相続人が逝去した月まで月額5万円の日常生活阻害慰謝料の増額分の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2034

居住制限区域(南相馬市小高区)から避難し、原発事故に起因する精神的損害の賠償を認める訴訟の確定判決を有する申立人ら夫婦について、それぞれ、中間指針第五次追補に基づく精神的損害の合計額(過酷避難慰謝料、日常生活阻害慰謝料(基本分)及び生活基盤変容慰謝料の各目安額に加えて、妻については、日常生活阻害慰謝料の介護による増額分185万円(平成23年3月から平成30年3月まで)を含む。)から、確定判決に基づく既払金を控除した金額の賠償が認められた事例。

和解事例2035

原発事故当時、緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人ら(父母及び原発事故当時乳幼児であった子2名)について、原発事故以前から避難指示解除準備区域(浪江町)の実家に転居することを予定し、実際にその準備をしていたことを考慮して、それぞれ、平成26年6月分から平成30年3月分まで月額10万円の日常生活阻害慰謝料の賠償を認めるとともに(直接請求手続及び前件申立てにおいて平成26年5月分までは賠償済み)、生活基盤変容による精神的損害として中間指針第五次追補の定める緊急時避難準備区域についての目安額50万円から30万円を増額した80万円の賠償を認めたほか、申立人らのうちの子2名について、避難の過程で計画的避難区域(飯舘村)に滞在(車中泊)したことを考慮して、それぞれ、相当線量地域滞在慰謝料5万円の賠償を認めた事例。

和解事例2036

自主的避難等対象区域(大玉村)から避難した申立人夫婦及び成人の子(二男)について、平成23年3月から同年12月までの避難費用、生活費増加費用及び精神的損害が賠償され(ただし、既払金は控除。)、申立人子(二男)に対しては、歩行困難等(身体障害者等級2級)の状態での避難生活を強いられたことを考慮して、精神的損害の増額分として20万円が賠償され、申立人妻に対しては、二男を介護しながら避難生活を送ったことを考慮して、精神的損害の増額分として20万円が賠償されるとともに、避難に伴い退職を余儀なくされたことを考慮して、平成23年4月から同年9月までの就労不能損害が賠償され、また、自主的避難等対象区域(二本松市)に居住しており、原発事故発生当時、大玉村の実家に帰省していたため、上記申立人らと一緒に避難した申立人子(成人、長男)についても、平成23年3月から同年12月までの避難費用、生活費増加費用及び精神的損害が賠償された(ただし、既払金は控除。)事例。

和解事例2037

自主的避難等対象区域(郡山市)から避難した申立人夫婦及び成人の子(長女)について、平成23年3月から同年12月までの避難費用、生活費増加費用及び精神的損害が賠償され、原発事故当時、同じく自主的避難等対象区域(同市)に所在するグループホームに入居しており避難した被相続人(申立人夫婦が相続)についても、上記期間における同様の損害が賠償されるとともに、身体障害等級1級及び要介護2の認定を受け、要介護状態での避難生活を強いられたことを考慮して、精神的損害の増額分として10万円が賠償され、また、原発事故発生当時は福島県外に居住していたものの、郡山市の実家の家業を継ぐため平成23年3月に同市に転入する予定であった申立人子(成人、長男)について、他の家族同様、郡山市で暮らすことができず避難生活を送らざるを得なかったことを考慮して、平成23年3月から同年12月までの精神的損害が賠償されるなどした事例。

和解事例2038

避難指示解除準備区域(双葉郡)に居住していた被相続人(申立人らが相続)について、居住期間が80年以上であること、地域社会等との顕著な関わり合い、原発事故に伴う介護サービス休止や親族の避難により被相続人が帰還できずに逝去したこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害として中間指針第五次追補の定める目安額250万円から250万円増額した500万円の賠償が認められたほか、被相続人の要介護状態、障害及び持病を理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(平成23年3月から平成30年3月まで月6割から10割に漸増)、家族別離を理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(別離期間につき月額3万円)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2039

帰還困難区域(大熊町)から避難した被相続人亡母(申立人らが相続)について、原発事故時の居住期間(約55年)や年齢(80歳近い)、地域社会等との関わり合い(農業を営み、地域中心の人間関係を築くなどしていた。)を考慮して、生活基盤喪失による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額700万円)の増額分として、70万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2040

帰還困難区域(大熊町)から避難した申立人ら(父母、乳幼児を含む子3名)の日常生活阻害慰謝料の増額分として、原発事故が原因で、第一子が避難先の学校でいじめを受け県外の中学及び高校(全寮制)に進学したことや、父が転勤したことによって、家族別離が生じたことを考慮して、別離期間につき子らの年齢等の事情を踏まえて算定された金額が賠償されたほか、乳幼児(末子)を連れての避難であったことを考慮して、末子が小学校に入学するまでの期間につき月額3万円が賠償されるなどした事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2041

東北地方の地方公共団体である申立人について、平成23年度から平成25年度の間に原発事故の対応業務により生じた測定経費、除染経費及び人件費が賠償された事例。

和解事例2042

自主的避難等対象区域(いわき市)から避難した申立人妻及びその母である被相続人(被相続人の子である申立人らが相続)について、平成23年3月から同年12月までの精神的損害として、中間指針第五次追補が定める目安額を踏まえた金額に加え、透析治療を要する状態(身体障害者等級1級)で避難をし、通院及び治療への負担が増加した被相続人に係る一時金として30万円の増額分が、被相続人を介護しながら避難していた申立人妻に係る一時金として15万円の増額分がそれぞれ賠償されたほか、避難費用及び生活費増加費用が賠償された(ただし、既払金は控除。)事例。

和解事例2043

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住し、原発事故後も避難しなかった申立人の亡父(平成24年5月死去。申立人が相続。)及び申立人について、生活基盤変容による精神的損害(各50万円)、自主的避難等に係る損害(各20万円)の賠償が認められ、また、亡父について、精神疾患等の持病を抱えていたことを考慮して平成23年3月から平成24年5月まで月額4万円の日常生活阻害慰謝料の増額分の賠償が、申立人について、亡父の介護を恒常的に行ったことを考慮して上記期間につき月額4万円の日常生活阻害慰謝料の増額分の賠償が、それぞれ認められた事例。

和解事例2044

被申立人の従業員であり、原発事故時に居住していた社員寮(大熊町)から避難した申立人について、平成23年9月に仮設社員寮(広野町)に入居した時点で避難が終了したとする被申立人の主張を排斥し、申立人が、避難指示解除準備区域(浪江町)の実家で生まれ育ったこと、被申立人への就職を機に社員寮に入寮したものの、1~2年の入寮期間を終えた後は実家に戻り、実家から通勤する予定であったこと等を考慮し、原発事故時に避難指示解除準備区域に住居があった者と同様に、平成23年3月分~平成30年3月分(中間指針第五次追補の定める同区域についての目安期間)の日常生活阻害慰謝料合計852万円及び生活基盤変容による精神的損害250万円(中間指針第五次追補の定める同区域についての目安額)の賠償等が認められた事例。

和解事例2045

避難指示解除準備区域の行政区である申立人が管理していたプレハブ倉庫、みこし、はっぴ、テント等の財物損害について、直接請求に関して東京電力が用いている類型的な使用可能年数ではなく、実際の使用年数等を踏まえて認定された使用可能年数を基礎とした減価をして損害額が算定された(ただし、既払金は控除。)事例。

和解事例2046

原発事故時は海外赴任中であり、平成23年6月に帰国を予定していた申立人について、帰国後に生活拠点となり得る場所は川俣町(避難指示解除準備区域)の実家しかなく、帰国後一定期間は実家に居住する予定であったものの、避難指示等によって帰国後も実家に戻れず避難生活を余儀なくされたことを考慮して、平成23年6月から同年12月までの日常生活阻害慰謝料55万円(単身で再避難先に移った後は月額5万円として算定)及び一時立入費用等のほか、生活基盤変容慰謝料25万円(中間指針第五次追補の定める目安額の1割)、自主的避難等に係る損害15万円(同目安額の約9分の7)等が賠償された事例。

和解事例2047

避難指示解除準備区域(浪江町)において3世代(祖父母、父母及び子2名。なお、祖父母及び父は原発事故後に死亡した。)で同居していた家族について、生活基盤変容による精神的損害各250万円(中間指針第五次追補の定める目安額)及び家族別離を理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分合計170万5000円の賠償等が認められたほか、亡祖父母について、いずれも、居住期間が約80年であったこと、農業を営んでいたこと、地域社会と強い関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害について各30万円の増額分の賠償が認められ、亡父について、原発事故後の避難等によりがん治療が遅くなったことから精神的損害(一時金)として5万円の賠償が認められた事例。

和解事例2048

自主的避難等対象区域(福島市)に居住していた申立人夫婦について、原発事故当時、申立人夫が指定難病(身体障害等級1級)にり患していたため、避難を実行したかったもののできなかったという事情を考慮して、申立人夫に対し、平成23年3月から同年12月までの精神的損害(一時金)として5万円が賠償された事例。

和解事例2049

避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人夫婦について、過酷避難状況による精神的損害(各30万円)、生活基盤変容による精神的損害(各250万円)、自主的避難等に係る損害(夫につき20万円。妻は直接請求手続で賠償済み。)の賠償が認められるとともに、日常生活阻害慰謝料の増額分として、夫に対し、家族別離が生じたことを考慮して別離期間につき月額3万円、妻に対し、原発事故当時に第一子を妊娠中であったこと並びに原発事故後に第二子及び第三子を妊娠したことを考慮して一時金90万円、乳幼児であった第一子ないし第三子の世話をしたことを考慮して子1名につき事情に応じて各月額3万円又は1万円の賠償が認められるなどしたほか、原発事故後に出生した申立人子らについて、東京電力令和5年3月27日付けプレスリリースに従い、生活基盤変容に準じる精神的損害(出生月から平成29年3月まで各月額3万円)の賠償が認められ、また、原発事故から6か月以内に出生した第一子については、東京電力プレスリリース(中間指針第五次追補を踏まえた追加賠償のご案内)に従い、過酷避難状況による精神的損害(30万円)の賠償も認められるなどした事例。

和解事例2050

北海道で水揚げされたホタテ貝等の海産物を韓国へ輸出している申立人らの平成26年1月から令和4年12月までの水産物の放射線検査費用について、原発事故の影響割合を5割として算出した金額が賠償された事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2051

地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)に居住していた申立人ら(父、母及び子)について、緊急時避難準備区域内にあった申立人子の学校が平成24年3月まで他自治体に移転し、その間申立人子のみが移転先の自治体に避難したことを考慮して、申立人子の避難継続の合理性が認められ、平成24年3月までの申立人子の日常生活阻害慰謝料月額10万円、家族別離を理由とする日常生活阻害慰謝料増額分月額3万円及び家族間面会交通費の賠償が認められたほか、自宅周辺の除染状況等を考慮して平成27年3月までの生活費増加費用(自家消費野菜)の賠償が認められた事例。

和解事例2052

原発事故当時、福島県外に住居があったが、里帰り出産のため地方自治体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)の実家に申立人子(原発事故当時1歳)を連れて滞在していた申立人母について、日常生活阻害慰謝料合計22万円(平成23年3月及び4月分)の賠償が認められたほか、日常生活阻害慰謝料の増額分として、乳幼児の世話を恒常的に行っていたことにより合計6万円(平成23年3月及び4月分)、原発事故当時に妊娠中であったことにより30万円(一時金)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2053

帰還困難区域(大熊町)に居住していた申立人について、申立人が所有する自宅周辺の立木の財物損害として、立木の種類や所在地を踏まえ統計資料を基に材積や単価を認定するなどして、直接請求手続を上回る損害額の賠償が認められるとともに、墓地の移転に係る費用(墓地使用料、墓石代等。ただし、直接請求手続における既払金を控除。)、家族別離を理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(別離期間につき月額3万円として算定。)の賠償が認められた事例。

和解事例2054

原発事故時は自主的避難等対象区域(いわき市)に居住していたが平成23年3月12日に避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)の実家に戻ったところ、原発事故により両親らとともに同年4月上旬まで避難生活を余儀なくされた申立人(原発事故時20歳)について、避難指示解除準備区域から避難し、体育館における避難生活を強いられたことや、避難生活の期間等を考慮し、日常生活阻害慰謝料合計24万円(同年3月及び4月分)及び過酷避難慰謝料15万円(中間指針第五次追補の定める目安額30万円の半額)が賠償され、また、実家に置いていた家財道具の財物損害が賠償されたほか、避難生活が終了した後は自主的避難等対象区域で生活していることを考慮して、中間指針第五次追補の定める自主的避難等に係る損害の目安額20万円(ただし、既払金は控除。)が賠償された事例。

和解事例2055

原発事故当時、住民票上の住所は須賀川市であったが、平日は緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住し、週末にのみ須賀川市で暮らしていた申立人について、生活の本拠地が南相馬市原町区にあったと認めて、平成24年8月から平成27年3月まで月額5万円(上記のような生活状況等を考慮して中間指針等の定める目安額の5割として算定。)の日常生活阻害慰謝料のほか、生活基盤変容慰謝料として中間指針第五次追補の定める緊急時避難準備区域の目安額50万円、及び自主的避難等に係る損害として同追補の定める目安額20万円から既払金12万円を控除した8万円が賠償された事例。

和解事例2056

原発事故当時地方公共団体が一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)に居住しており、自主的避難等対象区域に避難した申立人ら(父母及び子供2名)のうちの父母に係る自主的避難等に係る損害について、直接請求手続における母に対する既払額を12万円とする東京電力の主張を排斥し、中間指針第五次追補の目安額20万円から既払金4万円(平成24年12月5日付け東京電力プレスリリースに基づく賠償である追加的費用等)を控除した額の賠償がそれぞれ認められた事例。

和解事例2057

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人父母及び子2名(原発事故当時4歳の長男及び2歳の二男)について、原発事故直後、申立人母及び子2名が福島県外に避難したものの、申立人長男が幼稚園でいじめに遭うなどしたため、平成23年8月に会津若松市へ転居したこと、申立人父が申立人母らと同居するため、勤務先に申し入れて平成24年3月に会津若松市に転勤したばかりであったこと、申立人父及び二男が障害を有していたことなどから、同年9月以降も避難継続の合理性があったとして、同月から平成26年9月まで各自月額10万円の日常生活阻害慰謝料の賠償が認められたほか、日常生活阻害慰謝料について、申立人父及び二男の障害を考慮して月額合計4万円の増額、申立人母が乳幼児である申立人長男及び二男の世話を恒常的に行ったことを考慮して月額合計1万円ないし4万円の増額、家族別離が生じたことを考慮して月額合計6万円の増額並びに申立人長男が避難先の幼稚園でいじめに遭うなどしたことを考慮して10万円(一時金)の増額が認められるなどした事例。

和解事例2058

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人について、所有する畑で野菜を栽培し自家消費していたものの、原発事故により作付けができなくなり、平成28年末に行政による農地除染がなされるまでその状態が継続したこと及び除染後も直ちに原発事故前と同等に栽培ができるわけではないことを考慮して、平成27年及び平成28年につき年額8万4000円、平成29年についてはその8割である年額6万7200円の生活費増加費用(原発事故の影響により自家消費野菜の栽培ができなくなったことにより増加した野菜購入費用)の賠償が認められた事例(平成26年分までは支払済み)。

和解事例2059

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住し、他自治体に避難した被相続人(申立人が相続)について、かかりつけ医院が原発事故により休院したため同医院での受診ができず、再開した同医院を平成24年3月に受診したことを契機に進行性の病気が見つかり、同年6月に死亡したなどの事情を踏まえ、原発事故の影響割合を1割として死亡慰謝料200万円、葬儀費用及び逸失利益の賠償が認められたほか、病気発覚後の期間につき重度の持病を理由とする日常生活阻害慰謝料増額分月額3万円の賠償が認められた事例。

和解事例2060

原発事故当時大学生で福島県外に居住していたものの、長期休暇には帰還困難区域(富岡町)の実家に帰省するなどしていた申立人子について、原発事故前の生活状況、大学卒業後の進路(福島県内に戻り就職したこと)等を考慮し、将来的に実家に戻る蓋然性があったと認めて、生活基盤喪失による精神的損害として、210万円(中間指針第五次追補の定める目安額700万円の3割)の賠償が認められるなどした事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2061

緊急時避難準備区域(南相馬市鹿島区)に居住していた被相続人(申立人が相続)について、居住期間が60年以上であったこと、地域社会等との関わり合い、原発事故時に入院していた地元の病院から遠方の病院への転院を余儀なくされ帰還できずに逝去したこと等を考慮して、生活基盤変容による精神的損害及びその増額として、合計70万円(中間指針第五次追補の定める目安額50万円を20万円増額)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2062

原発事故時は緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)の実家に居住し、平成23年4月から県外の大学に進学した申立人について、日常生活阻害慰謝料として、進学開始以降の期間に関しては原発事故がなければ一定程度実家への帰省が見込まれたことを考慮して割合的(2割5分)に認定した額(平成23年3月から平成24年8月まで合計62万円)の賠償が認められたほか、生活基盤変容慰謝料として中間指針第五次追補の定める目安額50万円の賠償が認められた(ただし、既払金は控除。)事例。

和解事例2063

原発事故当時、居住制限区域(飯舘村)に居住していた申立人ら及び被相続人(亡祖父。申立人らのうち4名が法定相続分の限度で相続。)のうち、申立人父について、原発事故後、避難先が見つからず、平成23年4月の計画的避難区域の指定から更に2か月程度にわたり同村に滞在を強いられたこと、原発事故前よりも長い時間にわたって屋外活動を強いられたこと等を考慮して、中間指針第五次追補第2の3に基づく健康不安に基礎を置く精神的損害(目安額30万円)の増額分として20万円の賠償が認められるとともに、申立人祖母及び被相続人について、申立人父と同様に計画的避難区域の指定から更に2か月程度にわたり同村に滞在を強いられたこと等を考慮して、中間指針第五次追補第2の3に基づく健康不安に基礎を置く精神的損害(目安額30万円)の増額分として各10万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2064

帰還困難区域(大熊町)から避難した被相続人(申立人らのうち3名が相続)について、原発事故当時の居住期間が80年を超えていたこと、原発事故以前から足の状態が悪く、杖や車いすを使用したり家族の介助を受けたりして生活していたことなどを考慮し、生活基盤喪失による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額700万円)の増額分として30万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2065

居住制限区域(南相馬市小高区)に居住していた申立人ら(祖母、父母、長女、二女及び長男)及び亡祖父(父が相続)について、生活基盤変容による精神的損害として各250万円(中間指針第五次追補に定める目安額)の賠償がそれぞれ認められるとともに、その増額分として、亡祖父及び祖母につき、いずれも居住期間が約80年であったこと、農業に従事していたこと、地域社会等との関わり合い等を考慮して各50万円の賠償が、父につき、居住期間が約55年であったこと、農業に従事しており、同区の自宅に帰還後に農業を再開するも農業の再開にあたって多くの苦労があったこと、地域社会との関わり合い等を考慮して30万円の賠償がそれぞれ認められるなどした事例。

和解事例2066

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた被相続人(申立人らが相続)について、南相馬市原町区で生まれ育ち、原発事故当時の居住期間が90年を超えていたこと、地域社会等との関わり合い、自宅に帰還することなく逝去したこと等を考慮して、生活基盤変容による精神的損害及びその増額分として、合計70万円(中間指針第五次追補の定める目安額50万円を20万円増額)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2067

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)から避難した申立人父、被相続人母(申立人らのうち4名が相続)及び申立人長男夫妻について、生活基盤変容慰謝料各50万円(中間指針第五次追補の定める目安額)の賠償が認められるなどしたほか、申立人父が、南相馬市原町区で生まれ育ち、原発事故当時の居住期間が75年を超えていたこと、農業に従事し、行政区の長を務め、地元の消防団員として30年以上活動する(うち4年は団長を務める)などしたこと、被相続人母が、申立人父との結婚を機に南相馬市原町区に転居し、原発事故当時の居住期間が55年を超えていたこと、申立人父と共に農業に従事し、地域の会合に積極的に参加して地域社会や住民らと交流していたことなどを考慮し、申立人父及び被相続人母について、生活基盤変容慰謝料の増額分合計30万円の賠償が認められた事例。

和解事例2068

原発事故当時、居住制限区域(浪江町)の自宅兼店舗に居住し建設業を営んでいた申立人が、平成20年頃、自宅兼店舗から1キロメートルほど離れた同区域内の所有地に仕事仲間の職人と共に建築した作業小屋(未登記、非課税)の財物損害について、作業小屋の写真等の資料に加え、建築にかかった日数や上記職人に支払った作業日当等に関する申立人の陳述内容を考慮して、50万円の賠償が認められた事例。

和解事例2069

居住制限区域(富岡町)に居住していた申立人妻について、日常生活阻害慰謝料の増額分として、1.原発事故時、申立人長男の切迫早産のため、いわき市の病院に入院していたが、原発事故の影響により退院を余儀なくされ、自家用車で東京都に避難せざるを得なかったこと等を考慮して40万円(中間指針第五次追補の目安額30万円から10万円増額)、2.申立人二男を妊娠中であったことを考慮して30万円(同目安額)、3.乳幼児の世話を恒常的に行ったことを考慮して合計279万円(平成23年3月から平成30年3月まで)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2070

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)から避難した申立人について、約200年続いていた妻の実家(同区所在)を存続させるため、継続的に資金援助をした後、申立人の自宅(福島県外所在)を処分した上で妻の実家を購入し、南相馬市小高区に移り住んだこと、原発事故当時の居住期間が40年を超えていたことなどを考慮し、生活基盤変容慰謝料合計300万円(中間指針第五次追補の定める目安額250万円及びその増額分50万円)の賠償が認められるなどした事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2071

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)に居住していた申立人父、地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)に居住していた申立人母及び原発事故後に婚姻した同人らの間に出生した申立人子ら(長男、長女及び二女)のうち、1.申立人父について、平成26年7月から平成30年3月までの日常生活阻害慰謝料の増額分として、いずれも乳幼児であり、障害者認定を受けているのと同等の状態にあることが確認できる申立人長男及び長女の世話をしたことを考慮して月額3万円ないし7万円の賠償が認められ、2.申立人長男について、生活基盤変容に準じる精神的損害に加えて、平成26年7月から平成30年3月までの日常生活阻害慰謝料及びその増額分として、上記の特性を有していることを考慮して月額13万円の賠償が認められ、3.申立人長女について、生活基盤変容に準じる精神的損害に加えて、平成28年7月から平成30年3月までの日常生活阻害慰謝料及びその増額分として、上記の特性を有していることを考慮して月額13万円の賠償が認められた事例。

和解事例2072

避難指示解除準備区域(浪江町)に居住していた申立人ら(夫、妻及び妻の母並びに原発事故後に出生した長女及び長男)に関し、1.申立人夫、妻、妻の母及び長女について、過酷避難慰謝料として、中間指針第五次追補の定める目安額30万円の賠償を認めたほか、申立人夫、妻及び長女について、原発事故当時出産のため入院していた申立人妻が、帝王切開により申立人長女を出産したところ、術後の処置を十分に受けることもできないまま避難を余儀なくされ、申立人夫及び出生後間もない申立人長女とともに複数箇所にわたって避難したこと等を考慮して、過酷避難慰謝料の増額分として、申立人妻及び長女に各30万円、申立人夫に15万円の賠償を認め、2.申立人妻について、妊娠中を理由とする日常生活阻害慰謝料増額分(申立人子らにつき各30万円)、乳幼児の世話を理由とする日常生活阻害慰謝料増額分(平成23年3月から同年7月までは避難先の状況等を考慮して月額5万円、同年8月から平成30年3月までは同目安額に基づく金額)の賠償を認め、3.申立人妻及び妻の母について、家族別離を理由とする日常生活阻害慰謝料増額分として、別離期間につき各月額3万円の賠償を認め、4.申立人夫、妻及び妻の母について、生活基盤変容慰謝料各250万円(同目安額)の賠償を認め、5.申立人子らについて、生活基盤変容慰謝料に準じる精神的損害として、出生から平成29年3月まで月額3万円の賠償を認めたほか、原発事故にごく近接した時期に出生した申立人長女について精神的損害(一時金)の賠償を認める(上記生活基盤変容慰謝料に準じる精神的損害との合計額256万円)などした事例。

和解事例2073

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた被相続人父(被相続人母及び申立人らのうち2名が相続)及び被相続人母(申立人らのうち2名が相続)について、被相続人父の南相馬市原町区における居住期間が約60年にわたっていたこと、地域社会との関わり合い、原発事故時に入院していた病院から遠方の病院への転院及び介護施設への入所を余儀なくされ自宅に帰還できずに逝去したこと等を考慮して、被相続人父の生活基盤変容による精神的損害及びその増額分として合計70万円(中間指針第五次追補の定める目安額50万円を20万円増額)の賠償が認められ、被相続人父が避難区域所在の病院から避難したことを考慮して、被相続人父の過酷避難状況による精神的損害として30万円(中間指針第五次追補の定める目安額)の賠償が認められ、被相続人母の南相馬市原町区における居住期間が約70年にわたっていたこと、教員時代の教え子との交流等による地域社会との関わり合い等を考慮して、被相続人母の生活基盤変容による精神的損害及びその増額分として合計70万円(中間指針第五次追補の定める目安額50万円を20万円増額)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2074

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた被相続人(申立人が相続)について、原発事故前に足を骨折し、避難先の病院でリハビリを続けたものの歩行困難な状態であったこと、自宅周辺の医療インフラが十分に回復していなかったこと等を考慮して、避難継続の必要性を認め、平成27年3月までの日常生活阻害慰謝料や平成28年3月までの入院雑費等の賠償が認められたほか、原発事故当時の年齢(80歳代)、居住期間(約65年)、体調、自宅に戻ることができないまま逝去したこと等も考慮して、生活基盤変容による精神的損害及びその増額分として、合計70万円(中間指針第五次追補の定める目安額50万円を20万円増額)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2075

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)に居住していた申立人について、原発事故当時の居住期間が80年を超えていたこと、当該地域で生まれ育ち、友人・知人とのつながりや趣味・ボランティアの活動範囲も当該地域を中心としたものであったこと、原発事故後は友人・知人の多くが避難先で亡くなるなどして当該地域に帰還しなかったことなどを考慮して、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として100万円の賠償が認められた事例。

和解事例2076

避難指示解除準備区域(浪江町)に居住していた申立人について、高齢者や出産直後の子を含む多人数の親族を伴って各所への避難を余儀なくされたこと等を考慮して、過酷避難状況による精神的損害として、中間指針第五次追補の定める目安額30万円から10万円を増額した40万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2077

原発事故後、原発事故前に帰還困難区域(双葉町)内の実家から緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)内の自宅に転居していた旨の住民票上の住所の移転手続を行ったものの、原発事故当時はまだ実家で生活していたとして、実家住所地を基準とする賠償を求めた申立人について、原発事故前の生活状況や原発事故後に上記手続を行った経緯等に関する申立人の説明内容等を踏まえ、原発事故当時は実家で生活しており、生活の本拠は実家住所地にあったと認め、実家住所地を基準とする過酷避難慰謝料30万円(中間指針第五次追補の定める目安額)及び生活基盤喪失慰謝料700万円(同目安額)の賠償が認められた事例。

和解事例2078

帰還困難区域(浪江町)から川俣町に避難した家族(申立人父及び長男ら)について、申立人父が、通勤に利用している道路が冬季は雪の影響で封鎖されるなどして避難先から南相馬市の勤務先までの通勤が困難であったため、平成24年2月、単身で同市の仮設住宅に転居したこと、申立人父が、平成30年8月下旬、同市の仮設住宅から同市の復興住宅に転居し、同年9月分から復興住宅の賃料を支払うようになったが、復興住宅に転居した当時、勤務先を定年退職となるまで残り数年であり、再就職も難しかったため、同市にとどまらざるを得なかったこと等を考慮し、避難費用として、同月分から令和3年1月(申立人父が勤務先を退職するとともに復興住宅を退去し、家族との同居を再開した月)分までの復興住宅の賃料及び平成30年4月から令和3年1月までの家族間交通費(ただし、いずれも原発事故による影響割合を3割として算定した額)の賠償を認めたほか、住居確保損害として、平成30年4月分から令和5年6月分までの避難先の賃料等(ただし、福島県から支給された助成金を控除した額)の賠償を認めるなどした事例。

和解事例2079

関東地方の大学に進学して同地方に居住していた申立人(原発事故当時19歳)について、大学に進学するまでの約18年間、居住制限区域(富岡町)内の実家で生活していたこと、原発事故前には週末や長期休暇の際に実家に戻っていたこと等を考慮して、生活基盤変容による精神的損害として、中間指針第五次追補の定める居住制限区域についての目安額250万円の4割に当たる100万円の賠償が認められた事例。

和解事例2080

①県南地域(白河市)に居住していた申立人ら(申立人祖父、父母及び長女)について、野菜栽培のための畑(白河市所在)周辺の放射線量等を考慮して、平成24年1月から平成25年5月までの生活費増加費用(原発事故の影響により自家消費野菜の栽培ができなくなったことにより増加した野菜購入費用)の賠償が認められ(平成23年中の損害は直接請求で賠償済み。)、②稲作用の水田(白河市所在)において、原発事故以降放射性物質の吸収を抑制するために行ってきた塩化カリウム散布に代わるものとして令和3年3月頃に行った土の入替えに要した費用を支出した申立人父について、入替工事実施の合理性の程度を考慮して上記費用の5割の限度で賠償が認められ、③平成23年4月からの就職に備え、同年2月中に転出届を提出していたため、原発事故時の住民票上の住所が福島県外にあった申立人長女について、申立人ら提出に係る資料等に基づき、同年3月末まで白河市の住居に滞在していたことを認め、東京電力プレスリリース(令和5年1月31日付け)に基づく自主的避難等に係る損害10万円の賠償が認められた事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2081

帰還困難区域(浪江町)に居住していた被相続人(申立人らのうち1名が相続)について、当該地域で育ち、原発事故当時の居住期間が約70年にわたっていたこと、林業を生業とし、長年にわたって地域に根ざした事業を営んでいたこと等を考慮して、生活基盤喪失による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額700万円)の増額分として100万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2082

帰還困難区域(双葉町)に居住していた被相続人父(申立人母が相続)について、居住期間が70年以上であること、代々続く地域に根ざした商店を営んでいたほか、数十年にわたって社会福祉活動に積極的に取り組み、非常勤の公務員の職も長年務める等、地域の中心的人物として多大な貢献を果たし、地域社会等との関わり合いが非常に強かったこと等を考慮して、生活基盤喪失による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額700万円)の増額分として140万円の賠償が認められ、また、申立人長男が所有する帰還困難区域(双葉町)所在の土地のうち、原発事故当時の地目が登記簿上も課税台帳上も雑種地である土地2筆について、整地済みであったこと等を考慮して価値を算定し、原発事故当時の地目が登記簿上も課税台帳上も畑である土地1筆について、原発事故後に宅地見込地であることを前提とした金額で売買されていたこと等を考慮して価値を算定し、それぞれ東京電力が認容した額を上回る額の財物損害の賠償が認められた(なお、東京電力の賠償金の支払にかかわらず財物の所有権は移転しない旨も合意された。)事例。

和解事例2083

帰還困難区域(双葉町)内の自宅に居住していたが、平成19年から、身体障害等級1級の状態で居住制限区域(富岡町)内の病院に入院していた原発事故当時80歳代の被相続人(申立人が相続)について、原発事故後に自衛隊のヘリコプターで体育館への避難を余儀なくされて上記障害等が悪化し、肺炎を繰り返し発症して平成23年12月に死亡したなどの事情を踏まえ、原発事故の影響割合を5割とした死亡慰謝料1000万円(近親者慰謝料を含む。ただし、既払金は控除。)、過酷避難慰謝料60万円(中間指針第五次追補の定める目安額30万円から30万円を増額。)及び日常生活阻害慰謝料の増額分月額6万円(ただし、既払金は控除。)等の賠償が認められたほか、自宅での居住期間が50年以上にわたっていたこと、農業を営んでいたほか、双葉町の学校に通う学生の世話をしていたなど、地域社会との関わり合いもあったことを考慮して、自宅住所地を基準とする生活基盤喪失慰謝料700万円(中間指針第五次追補の定める目安額)の賠償が認められるとともに、同慰謝料の増額分50万円の賠償が認められた事例。

和解事例2084

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた被相続人父(被相続人母、申立人及び申立外2名が相続)について、先祖代々続く実家で生まれ育ち、原発事故当時の居住期間が80年以上にわたっていたこと、行政区長や漁業組合の役員を務めるなど、地域社会との強い関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害を70万円(中間指針第五次追補の定める目安額50万円から20万円増額)と認め、また、被相続人父と同居していた被相続人母(申立人及び申立外2名が相続)について、南相馬市原町区で生まれ育ち、原発事故時の居住期間が80年以上にわたっていたこと、被相続人父の両親が営んでいた農業に従事し、農業を通じて地域住民との交流を深めるなど、地域社会との強い関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害を70万円(中間指針第五次追補の定める目安額50万円から20万円増額)と認め、被相続人父母の上記各損害につき申立人の法定相続分に応じた賠償が認められた事例。

和解事例2085

避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人夫婦について、重度又は中程度の持病があることによる日常生活阻害慰謝料の増額分として、月額各3万円の賠償が認められるとともに、申立人夫について、居住期間が60年以上にわたっていたこと、自宅兼事務所で建築士事務所等を営み、25年以上の間、浪江町を中心とした地元の顧客を獲得して業務を行っていたほか、種々の地域活動に参加していたなど、地域社会等との関わり合いが強かったことを考慮して、生活基盤変容による精神的損害として、中間指針第五次追補の定める目安額250万円から50万円増額した300万円の賠償が認められた事例。

和解事例2086

避難指示解除準備区域(富岡町)に居住していた申立人ら(父子)の生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として、申立人父(原発事故当時70歳代後半)について、富岡町で生まれ育ち、単身赴任中も富岡町の自宅に帰宅するなど、生活の本拠は原発事故時まで継続して富岡町にあったと認められること、定年退職後は農業に従事し、近所で農作物を分け合うなどしていたこと等を考慮して、50万円の賠償が認められ、申立人子(原発事故当時50歳代)について、富岡町で生まれ育ち、原発事故当時の居住期間が通算して40年以上にわたっていたこと、消防団に所属し、農業用機械の修理等の仕事を幅広くこなすなど地域中心の生活をしていたこと等を考慮して、25万円の賠償が認められた事例。

和解事例2087

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していたものの、ペットを自主的避難等対象区域(相馬市)の親族宅に預けて福島県外に避難した申立人妻について、上記避難後も1年以上にわたって定期的に上記親族宅への一時立入り(1か月に二、三回、1回二、三泊程度の滞在)を続けていたこと等を考慮して、中間指針第五次追補の定める自主的避難等に係る損害(20万円)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2088

自主的避難等対象区域(郡山市)に居住していた申立人夫婦について、原発事故後福島県外に避難していた申立人妻が平成23年7月に一旦事故時住所に帰還した後、同年10月に再度夫婦で福島県外の別の避難先に避難したところ、当該時期に再度避難を開始することに合理性を認め、再度の避難に要した費用、平成23年11月から平成24年3月までの避難費用及び生活費増加費用、令和3年4月頃に再度郡山市に帰還した際に要した費用並びに中間指針第五次追補に基づく精神的損害等の賠償が認められた事例。

和解事例2089

避難指示解除準備区域(浪江町)内の自宅を離れて海外で単身赴任をしていた申立人(原発事故当時60歳)について、浪江町で生まれ育ち、長年にわたって妻子と共に自宅に居住していたこと、原発事故当時は海外で生活していたものの、平成22年7月から5年間の予定で単身赴任をしていたにすぎず、平成24年3月には避難生活を送っている妻子のために会社を退職して日本に帰国し、避難生活を経て現在は自宅に居住していること等を考慮し、自宅の所在地を基準とする生活基盤変容慰謝料250万円(中間指針第五次追補の定める目安額)の賠償を認めた事例。

和解事例2090

関東地方の大学に進学して同地方に居住していた申立人二男(原発事故当時23歳)について、大学に進学する以前の約19年間、緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)内の実家に居住し、大学進学後も長期休暇等の際は実家に帰省していたこと、平成24年3月に大学を卒業した後、関東地方で就職したが、平成25年12月に転職して実家に戻り、約9年間、実家に居住していたこと等を考慮し、実家の所在地を基準とする生活基盤変容慰謝料50万円(中間指針第五次追補の定める目安額)の賠償を認めるとともに、平成23年3月から平成24年3月まで月額3万円の日常生活阻害慰謝料の賠償を認めた事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2091

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人(原発事故当時68歳)について、居住期間が約45年にわたっていたことのほか、同区において仕事をしていたこと、隣組に加入して地域住民との交流があり、同区に友人がいたこと等の地域社会等との関わり合いを考慮し、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額50万円)の増額分10万円の賠償等が認められた事例。

和解事例2092

宮城県において海産物の卸売業を営む申立人について、ALPS処理水の海洋放出に伴い、取引先に香港への輸出用として販売する予定だった宮城県産ホタテの販売ができなくなったことにより生じた逸失利益(令和5年8月分から同年10月分まで。ALPS処理水放出前の当該取引先への販売状況及びALPS処理水放出後の販売の蓋然性を考慮して、原発事故の影響割合を7割5分として算定し、直接請求手続での既払金を控除。)の賠償が認められた事例。

和解事例2093

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人について、原発事故当時の居住期間が60年以上にわたっていたこと、農林業を営んでいたほか、地域の各種団体の会長を務めるなど、地域社会との強い関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額50万円)の増額分として20万円の賠償が認められるとともに、営んでいた養蜂業の棚卸資産(蜂蜜)に関する損害として20万円の賠償が認められた事例。

和解事例2094

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人母について、原発事故当時の居住期間が80年以上にわたっていたこと、亡父(申立人母の夫)の営んでいた農林業を手伝っていたほか、地域の婦人会の会長を務めるなど、地域社会との強い関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額50万円)の増額分として30万円の賠償が認められ、申立人母と同居していた申立人妻について、原発事故当時の居住期間が40年程度にわたっていたこと、申立人夫の営んでいた農林業を手伝っていたほか、PTAや地域の婦人会等の活動を通じて地域住民と交流していたなど、地域社会と相当程度の関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額50万円)の増額分として10万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2095

徳島県において、水産物の冷蔵・冷凍保管業を中心としつつ、国内産冷凍魚を中国へ輸出するなどの加工水産物販売業等も営む申立会社による請求(令和5年8月24日に開始されたALPS処理水の海洋放出に伴う中国政府の日本産水産物輸入停止措置によって国内産冷凍魚を中国へ輸出することができなかったため、損害が発生したとしてその賠償を求めるもの。)について、申立会社全体では減収が生じておらず損害が発生していないとの東京電力の主張を排斥し、申立会社のうち国内産冷凍魚を中国へ輸出する部門における令和5年8月から同年10月までの逸失利益(原発事故の影響割合は10割として算定。)の賠償を認めた事例。

和解事例2096

長女の家族(長女、長女の夫、孫(原発事故当時5歳))らと共に緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)から避難した申立人について、避難先で孫の世話をしていたことから、乳幼児の世話を行っていたことを理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分合計21万円(平成23年3月から平成24年3月分まで。平成23年3月分は3万円、同年4月から平成24年3月分までは負担の程度を考慮して月額1万5000円。)の賠償を認めるなどした事例。

和解事例2097

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)所在の病院に入院していた亡母(申立人ら及び申立外1名が相続。)について、要介護状態で避難したことを考慮して、平成23年3月から亡母が死亡した平成29年8月まで月額3万円の日常生活阻害慰謝料の増額分(ただし、直接請求手続における既払金を控除した額。)の賠償が認められたほか、緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人二女について、持病を抱えていたことを考慮して、避難先から自宅に戻った後である平成23年8月から平成24年8月まで月額2万円の日常生活阻害慰謝料の増額分の賠償が認められた事例。

和解事例2098

会津地方でしいたけの植菌及び栽培事業を営む申立会社の令和6年1月から同年3月までの間に購入した原木に係る営業損害(追加的費用)について、原発事故後の原木の価格高騰の状況、経過年数、原発事故当時の事業計画等を考慮して、原発事故前の原木の単価と上記購入した原木の単価の差額に上記購入した原木の本数を乗じ、更に原発事故の影響割合として3割を乗じて算定した額の賠償が認められた事例。

和解事例2099

原発事故当時空き家であった居住制限区域(飯舘村)内の申立人父の実家について、①申立外祖母が、平成20年に亡くなるまで実家に居住していたこと、②双葉町の自宅に居住していた申立人父母が、祖母の死亡後も実家に立ち寄って管理をしていたこと、③平成30年に実施された実家の解体工事の記録に、室内に家電等が残置されている旨の記載があること等を考慮し、実家に残置されていた家財(家電等)の財物損害として、申立人らに対する40万円の賠償が認められた事例。

和解事例2100

自主的避難等対象区域(いわき市)に居住していた申立人ら家族(父母及び子3名)について、①仕事のため自宅に残った申立人父と原発事故直後に避難を開始した申立人母子との間で家族別離が生じ、申立人母が、自宅に戻るまでの約3か月間、未就学の子3名を連れて苦労の多い避難生活を送らざるを得なかったこと、申立人母子が避難開始当初に数日間滞在した申立人父の実家が、後に計画的避難区域の設定を受けた地域に所在していたため、相当量線量の放射線被曝による健康不安が生じたこと等を考慮して、申立人母及び申立人子3名に対し、一時金として、それぞれ10万円の精神的損害の賠償が認められるとともに、②原発事故前は上記実家の両親が実家周辺で栽培した米を譲り受けていたものの、原発事故後は両親の避難等によりそれが叶わず、米の購入を余儀なくされたことを考慮して、申立人らに対し、平成23年3月から平成30年3月まで月額3000円の生活費増加費用(自家消費米)の賠償が認められるなどした事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2101

帰還困難区域(大熊町)に居住して兼業農家を営んでいた申立人夫らについて、平成23年3月から令和元年12月までの自家消費米・野菜の購入費用に係る農業損害(ただし、既払金を控除。)の賠償を認めるとともに、高額家財の財物損害に関し、その使用状況等も踏まえて算定した実質的耐用年数(着物及びテーブル等は50年、ピアノは40年)を用いて算出した金額(ただし、既払金を控除。)による賠償を認めるなどした事例。

和解事例2102

居住制限区域(富岡町)から避難した申立人らのうち、原発事故当時70歳代後半の専業主婦であった申立人母について、富岡町に60年近くにわたって居住しており、それ以前も富岡町に隣接する地域(楢葉町)に居住していたこと、親族や友人が富岡町や楢葉町に集中していたが、原発事故によって離散したこと等を考慮して、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として、30万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2103

避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した原発事故当時75歳の亡父(令和4年死亡。申立人らが相続)について、浪江町に約50年間居住していたこと、勤務先の会社を退職した後は、畑仕事をしたり、地域の仲間とゲートボールや歌等の趣味を楽しんだりするなど、地域社会と一定の関わり合いを持っていたこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として30万円の賠償が認められるとともに、亡父と同居していた原発事故当時70歳の申立人母について、浪江町に約50年間居住していたこと、原発事故が起きるまで浪江町の自宅で理容店を営んでいたほか、亡父の畑仕事を手伝ったりするなど、地域社会と一定の関わり合いを持っていたこと等を考慮し、生活基盤変容による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として30万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2104

帰還困難区域(双葉町)に居住していた被相続人について、先祖代々続く農家の実家で生まれ育ち、原発事故当時の居住期間が80年以上にわたっていたこと、農業を営み、地域の農業の中心的役割を担うなど地域社会との強い関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤喪失による精神的損害(中間指針第五次追補の定める目安額700万円)の増額分として120万円の賠償が認められる(申立人が相続)などした事例。

和解事例2105

自主的避難等対象区域(玉川村、石川町)で飲食店を営む申立会社の営業損害について、東京電力の平成27年6月17日付けプレスリリースに基づく同年8月分以降の営業損害として、直接請求手続による既払金(年間逸失利益の2倍相当額)を超える損害の賠償が認められた事例。

和解事例2106

地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)に居住していた申立人ら(母及び原発事故時未就学の子2名)について、平成23年3月に亡父と共に福島県外に避難し、同年5月に亡父のみ仕事のため同区域に戻ったが、申立人らは平成24年秋まで避難生活を継続したという経過を考慮して、①申立人子らに対し、家族別離を理由とする平成23年5月から同年9月までの日常生活阻害慰謝料の増額分(各自月額3万円)の賠償を認めるとともに、②申立人母に対し、同年5月から平成24年8月までの家族間交通費の賠償を認めるなどした事例。

和解事例2107

自主的避難等対象区域(いわき市)から福島県外に避難した申立人母子について、原発事故時0歳であった申立人子を連れての避難であり、避難先において苦労が多かったことを考慮して、申立人母に対し、精神的損害の増額分として5万円の賠償を認めるとともに、申立人らに対し、平成24年11月に帰還した際の費用(移動交通費及び引越しに係る交通費)の賠償を認めた事例。

和解事例2108

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人長男(原発事故当時61歳)について、原発事故が原因で精神科に通院するようになった亡母(平成25年9月死亡)を介護するため平成24年9月に勤務先を退職せざるを得なかったことなどから、同年10月分から平成27年3月分までの就労不能損害として319万0200円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2109

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)から福島県外に避難した申立人夫婦について、平成23年4月22日に緊急時避難準備区域が指定された後も避難先から同区域内にある勤務先に通勤していたことなどから、自主的避難等に係る損害として各20万円の賠償が認められた事例。

和解事例2110

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人らについて、原発事故の影響により自宅近くの田畑で栽培していた野菜や米の自家消費ができなくなり、これに代わる購入費用の支出を余儀なくされたと認め、平成23年3月から平成28年3月までの生活費増加費用として、原発事故の影響割合を考慮して算定された自家消費野菜・米購入費の賠償が認められるなどした事例。

公表番号 事案の概要

和解事例2111

避難指示解除準備区域(浪江町)に居住していた申立人ら(母及び成人の子)について、申立人子が、特別な支援を要する勤務先施設の入所者ら(百名超)を避難させるため、入所者らを伴って関東地方所在の施設を含む避難先を転々とするなど、過酷な避難状況にあったことを考慮して、申立人子に過酷避難状況による精神的損害30万円(直接請求手続において賠償済み)とは別に精神的損害(一時金)30万円の賠償が認められたほか、申立人らに家族別離を理由とする日常生活阻害慰謝料増額分として別離期間中月額3万円の賠償が認められた事例。

和解事例2112

避難指示解除準備区域(楢葉町)に居住していた申立人ら(父母及び原発事故当時胎児であった1名を含む子4名)について、申立人らによる精神的損害の賠償の請求は、東京電力から申立人らに対して支払われた既払金額を超える精神的損害は認められないとして申立人らの東京電力に対する請求をいずれも棄却した確定判決(中間指針第五次追補の策定前に口頭弁論が終結したもの。)と矛盾・抵触するから、東京電力令和5年3月27日付けプレスリリースに基づいて東京電力が算定した金額を超える賠償金の支払には応じられない旨の東京電力の主張を排斥し、申立人母に対し、妊娠中であることを理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(30万円)、乳幼児の世話を恒常的に行ったこと理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(平成23年3月から平成29年3月まで合計269万円)の賠償を認めるとともに、申立人らに対し、家族別離を理由とする日常生活阻害慰謝料の増額分(平成23年3月から同年5月まで各自9万円)の賠償を認めるなどした事例。

和解事例2113

自主的避難等対象区域外である宮城県伊具郡丸森町筆甫地区に居住していた申立人らについて、居住地の福島第一原子力発電所との位置関係、避難指示等対象区域との近接性、放射線量に関する情報、原発事故後の申立人らの生活状況等を踏まえ、中間指針第五次追補で定められた自主的避難等対象区域の住民に対する賠償と同水準の賠償(大人1人当たり20万円、子供1人当たり40万円)が認められるなどした事例。

和解事例2114

緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)から申立人夫及び子2名(うち1名は原発事故後に出生)と共に避難した申立人妻について、妊娠中であったにもかかわらず、原発事故後約1か月間は体育館での避難生活を余儀なくされ、一時は体調が悪化するなど、苦労の多い避難生活を送ったことを考慮し、日常生活阻害慰謝料の増額分として、平成23年3月から同年9月まで妊娠中であったことを理由とする一時金50万円(中間指針第五次追補の定める目安額30万円から20万円増額)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2115

自主的避難等対象区域(古殿町)から平成24年11月頃に避難した申立人ら(父母及び子2名)について、申立人らの自宅周辺の山林において一定の空間放射線量が測定されていたにもかかわらず、同月時点で未だその除染がされていなかったこと、申立人子らがいずれも未就学児であったこと等の事情を考慮して、上記避難開始に合理性を認め、平成24年11月から平成25年12月までの避難費用(引越費用)、生活費増加費用(家財道具購入費用、二重生活に伴う生活費増加分)及び避難雑費の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2116

特定避難勧奨地点の設定を受けた川内村所在の申立人夫所有の土地建物について、特定避難勧奨地点の設定期間等を踏まえて一定の価値減少を認め、財物損害が賠償された事例。

和解事例2117

避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)に居住していた申立人父について、原発事故時の住所地である実家で生まれ育ち、原発事故当時の居住期間が70年以上にわたっていたこと、地域の祭典の役員を務めるなど、地域と強い関わり合いがあったこと等を考慮し、生活基盤変容慰謝料(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として80万円の賠償が認められるとともに、申立人父と同居していた申立人母について、南相馬市小高区で生まれ育ち、原発事故当時の同区での居住期間が70年以上にわたっていたこと、婚姻後は申立人父の実家の農業や地域の会合の手伝いをするなど、地域と相当程度の関わり合いがあったこと、原発事故後は友人・知人の多くが避難先で亡くなるなどして当該地域に帰還しなかったこと等を考慮し、生活基盤変容慰謝料(中間指針第五次追補の定める目安額250万円)の増額分として80万円の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2118

自宅が特定避難勧奨地点に指定された申立人ら(夫婦及び原発事故当時未成年の子2名)について、原発事故後、福島県外に避難し、平成23年3月末頃に申立人ら夫婦の仕事の関係で自宅に戻り、未成年の子らも含め自宅にて生活していたが、同年11月下旬に自宅が特定避難勧奨地点に指定されたため、同年12月下旬に再び避難したという経過や、自宅周辺の放射線量が比較的高く、放射線被曝による健康不安を感じていたこと等を考慮し、相当量線量地域滞在者慰謝料(申立人夫婦につき各30万円、申立人子らにつき各60万円)及び精神的損害(一時金)(申立人夫婦につき各10万円、申立人子らにつき各20万円)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2119

東京都において日本産冷凍水産物の中国への輸出販売業等を営む申立会社(令和5年2月設立)のALPS処理水の海洋放出に伴う中国政府の日本産水産物輸入停止措置による営業損害について、①輸出売上の減少により生じた逸失利益(令和5年8月分から令和6年10月分まで)として、前年同月の売上実績がない期間があるなどとして直接請求手続では賠償が認められなかったものの、会社設立後からALPS処理水放出までの輸出売上の実績及び申立人の事業態様等を考慮して設定した基準売上高によって算定した金額(ALPS処理水放出後の取引規模維持の蓋然性等を考慮して、原発事故の影響割合を8割として算定。)の賠償が認められたほか、②追加的費用として、輸出ができなかった水産物の保管料(令和6年8月分から同年10月分まで。原発事故の影響割合を10割として算定。)の賠償が認められるなどした事例。

和解事例2120

熊本県で原木乾燥しいたけの集荷販売等を取り扱う農業協同組合である申立人(以下「申立人組合」という。)及び申立人組合の組合員である申立人ら(以下「申立人組合員ら」という。)の風評被害による営業損害について、原発事故後の原木乾燥しいたけの価格下落の状況、集荷販売量の動向、買い控えの発生状況及び商品の特性等を考慮して、①申立人組合員らの申立人組合を通じた平成24年7月から平成26年6月までの出荷販売に関し、原発事故前の販売単価との差額に基づき算定した逸失利益(原発事故の影響割合を2割5分として算定。)及び②申立人組合が申立人組合員らの出荷販売額に応じて取得する平成24年7月から平成26年6月までの組合手数料に関し、原発事故前の販売単価との差額に基づき算定した逸失利益(原発事故後に熊本県において申立人組合での集荷販売の割合が増加したことを考慮し、原発事故の影響割合を1割として算定。)が認められ、さらに、③申立人組合による原木乾燥しいたけの放射性物質検査費用(平成23年12月分について請求額全額。)が認められるなどした事例。

お問合せ先

原子力損害賠償紛争解決センター

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(原子力損害賠償紛争解決センター)