原子力損害賠償紛争解決センター和解仲介業務規程

総括委員会
(平成23年8月26日決定)
(最終改正:平成24年3月28日一部改正)

第1章 総則

  (目的)

第1条 この規程は、原子力損害の賠償に関する紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」という。)の和解の仲介の手続(以下「和解仲介手続」という。)を実施するための組織として設けられた原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」という。)が、その業務を的確に遂行するために必要な事項を定めることを目的とする。

  (定義)

第2条  この規程において使用する用語は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)、原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令(昭和 54年政令第281号。以下「政令」という。)及び原子力損害賠償紛争審査会の和解の仲介の申立の処理等に関する要領(原子力損害賠償紛争審査会平成23 年8月5日決定。以下「要領」という。)において使用する用語の例による。

 (和解仲介手続において用いる名称等)

第3条 政令第7条、第8条、第9条第1項、第2項及び第4項、第10条並びに第11条第1項の規定により審査会が行うこととされている業務については、原子力損害賠償紛争解決センターの名称を用いて行うものとする。

2 政令第5条及び第9条第3項に規定する申立書は、センターに提出されたことをもって審査会に提出されたものとする。

  (和解仲介手続の実施場所)

第4条  和解仲介手続に係る業務は、センターの東京事務所及び福島事務所において実施する。ただし、申立ての受理に関する業務及び仲介委員の指名その他総括委員会に関する業務は、センターの東京事務所において実施する。

2 前項の規定にかかわらず、口頭審理期日の開催は、第24条に定めるところによる。

  (代理人)

第5条  和解仲介手続については、法令により他人の法律事務を取り扱うことを業とすることができる者又はセンターが承認した者でなければ、代理人となることができない。

2 代理人の権限は、書面をもって証明しなければならない。

  (代表者の選定)

第6条 申立てに係る当事者が多数である場合における代表者の選定又はその変更については、政令第6条の定めるところによる。

  (未成年者等の手続)

第7条 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ和解仲介手続を行うことができない。ただし、未成年者が独立して法律行為を行うことができるときは、この限りでない。

2 法定代理人の権限は、書面をもって証明しなければならない。

3 被保佐人が手続を行う場合には、保佐人の同意を得なければならない。

4 法定代理人が本人に代わって手続を行う場合であって後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

 (手続の受継)

第8条 和解仲介手続における当事者が死亡、手続を行う能力の喪失その他の事由により手続を続行することができないときは、法令により手続を続行する資格のある者が、手続の受継を申し立てることができる。

  (指定通知場所の届出)

第9条 当事者は、センターから通知を受けるべき場所(以下「指定通知場所」という。)を、センターに対し、書面をもって届け出なければならない。

2 当事者は、前項の指定通知場所を変更したときは、センターに対し、速やかに、その旨を届け出なければならない。

第2章 和解の仲介の申立て等

  (申立必要書類)

第10条 原子力損害の賠償に関してセンターに和解の仲介の申立てをしようとする者は、次に掲げる書類(以下「申立必要書類」という。)をセンターに提出しなければならない。

 一 申立書

  二  申立てを基礎づける証拠書類があるときは、その証拠書類の写し

  三 当事者(当該事件において損害賠償の請求を受ける原子力事業者を除く。)が法人であるときは、その代表者の資格を証明する書面

  四 代理人によって申立てをするときは、その代理権限を証明する書面

  五 政令第6条の規定により代表者を選定するときは、その事実を証明する書面

2 申立必要書類については、センターが定める数の副本を併せて提出しなければならない。

3 第1項各号に掲げる書類は、郵送によりセンターの東京事務所に提出するものとする。

  (申立書)

第11条 申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

  一 政令第5条に定める事項

  二 第9条第1項に定める指定通知場所

  三 代理人によって申立てをするときは、代理人の氏名及び住所

  四 前各号に定めるもののほか、総括委員会が定めた事項

 (申立ての補正及び却下)

第12条  センターは、申立てが前2条の規定に適合しないと認められるときは、当該申立てを却下する。ただし、その不備を補正することができると認められるときは、相当の期間を定めて、申立人に補正を求めることができる。

2 前項ただし書の規定により補正を求められた申立人が、指定された期間内にその補正をしないときは、センターは、当該申立てを却下する。

3 センターは、申立てを却下するときは、申立人に対し、書面をもって、その旨を通知するものとする。

  (申立ての受理)

第13条  センターは、申立てが第10条及び第11条の規定に適合することを確認したときは、これを受理する。

2 前項の規定にかかわらず、センターは、当該申立てが政令第10条第1項に規定する事由に該当すると認めるときは、当該申立てを受理しないことができる。

3 前項により申立てを受理しないこととしたときの当事者に対する通知は、政令第10条第2項の定めるところによる。

第3章 和解仲介手続

第1節 和解仲介手続の開始

  (申立ての受理による和解仲介手続の開始)

第14条 和解仲介手続は、センターが申立てを受理した時に開始する。

2 和解の仲介の申立てが当事者の一方からされたものであるときは、政令第7条第2項の規定に基づき、センターは、申立書の写しを添えて他方の当事者(以下「被申立人」という。)に対し、遅滞なく、書面をもって、申立てを受理した旨を通知するものとする。

  (総括委員会による和解仲介手続の開始)

第15条 前条第1項に規定する場合のほか、政令第7条第1項の規定に基づき、総括委員会は、事案の性質等にかんがみ和解仲介手続を開始する必要があると認められ、かつ、当事者双方が和解仲介手続に応じることが見込まれると思料されるときは、和解仲介手続の開始を決定するものとする。

2 前項の決定がなされたときは、政令第7条第2項の規定に基づき、センターは、当事者双方に対し、遅滞なく、書面をもって、その旨を通知するものとする。

第2節 仲介委員の指名等

 (仲介委員の指名)

第16条 総括委員会は、和解仲介手続を開始するときは、政令第7条の2第1項及び要領第2条第2項の規定に基づき、審査会の委員又は特別委員(以下「委員等」という。)のうちから当該事件について仲介委員となる者を1名又は2名以上指名する。この場合において、事件ごとに指名される仲介委員の少なくとも1名は、弁護士とする。

2 センターは、前項の指名があったときは、当事者に対し、遅滞なく、指名された仲介委員の氏名その他総括委員会が定める事項を通知するものとする。

3 総括委員会は、和解仲介手続中においても、必要に応じて新たな仲介委員を追加して指名することができる。

  (仲介委員の不適格事由)

第17条 総括委員会は、委員等が、次の各号のいずれかに該当することが明らかなときは、仲介委員に指名することができない。

 一 委員等又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、当該事件の当事者であるとき。

 二 委員等が、当該事件の当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。

 三 委員等又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、当該事件について当事者と共同権利者、共同義務者又は償還義務者の関係にあるとき。

 四 委員等が、当該事件の当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。

 五 委員等が、当該事件について証人又は鑑定人となったとき。

 六 委員等が、当該事件について当事者の代理人又は補佐人であるとき、又はあったとき。

  七 委員等が、当事者の役員又は被用者であるとき、又はあったとき。

 八 前各号に定めるもののほか、委員等に関し、手続の公正を妨げるべき事情があると総括委員会が認めるとき。

2 指名を受けた又は受けようとする委員等は、前項各号のいずれかに該当するおそれがある場合その他自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実がある場合には、総括委員会に対し、その旨を開示しなければならない。

  (仲介委員の忌避)

第18条 仲介委員について和解仲介手続の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、その仲介委員を忌避することができる。

2 仲介委員の忌避についての決定は、当事者の申立てにより、総括委員会が行う。

  (仲介委員の辞任)

第19条 仲介委員は、心身の故障により継続して仲介委員としての職務を行うことができない事由がある場合その他正当な理由がある場合には、総括委員会の承認を得て、辞任することができる。

  (仲介委員の解任)

第20条 総括委員会は、仲介委員を指名した後に、当該仲介委員が第17条第1項各号に掲げる事由のいずれかに該当することが明らかになった場合又は心身の故障により継続して仲介委員としての職務を行うことができない事由がある場合には、当該仲介委員を解任しなければならない。

第3節 和解仲介手続の実施

 (仲介委員の準則)

第21条 仲介委員は、法令、要領、この規程その他総括委員会の定める規則を遵守し、中立かつ公正な立場で事案の究明及び紛争の迅速かつ適正な解決に努めなければならない。

2 仲介委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。

3 仲介委員は、第17条第2項の事実があるときは、当事者に対し、当該事実を開示しなければならない。

4 仲介委員は、センターの調査官に命じて、和解仲介手続に関する必要な調査を行わせることができる。

  (合議体による場合の準則)

第22条  当該事件について2名以上の仲介委員が指名されているときは、合議体により和解仲介手続を実施するものとし、仲介委員の互選により、当該合議体の長(以下「仲介委員長」という。)を選任するものとする。

2 仲介委員長は、当該合議体による和解仲介手続を指揮するものとする。

3 合議体で和解仲介手続を実施するときは、政令第7条の2第2項の規定に基づき、和解仲介手続に関する事項は、当該合議体を構成する仲介委員の過半数で決するものとする。

4 合議体を構成する仲介委員に和解仲介手続の一部を行わせるときは、仲介委員長がその仲介委員を指定する。

  (答弁書等の提出)

第23条  和解の仲介の申立てが当事者の一方からされたものであるときは、被申立人は、仲介委員が指定する期限までに、紛争の問題点その他和解の仲介に関し参考となる事項を記載した答弁書を提出しなければならない。

2 当事者は、早期に紛争の問題点に関する主張及び証拠を提出しなければならない。

3 仲介委員は、当事者に対し、主張の整理補充、又は証拠書類その他必要な書類の提出を求めることができる。

4 前3項により当事者が提出する書類については、センターが定める数の副本を併せて提出しなければならない。

5 仲介委員は、第3項の規定により主張の整理補充等を促すときは、センターの調査官に命じてこれを行わせることができる。

6 仲介委員は、当事者に対し、本条に規定する和解仲介手続に関する書類等を直送(相手方に対する直接の送付をいう。)するよう求めることができる。

  (口頭審理期日)

第24条  仲介委員は、当事者の双方又は一方から面談により直接に意見を聴く必要があると認めるとき、又は当事者が協議する場を設ける必要があると認めるときは、口頭審理期日を行うものとする。

2  口頭審理期日は、当事者の希望及び事案の性質等を勘案して、センターの東京事務所又は福島事務所のいずれかの場所において開催するものとする。ただし、仲介委員が適当と認めるときは、適宜の場所において開催することができる。

3 前項の規定にかかわらず、口頭審理期日は、仲介委員が適当と認めるときは、当事者双方の同意を得て、仲介委員及び当事者が音声の送受信により同時に通話をする方法により開催することができる。

4 仲介委員は、口頭審理期日において、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的知見を有する者、当事者以外の利害関係人その他参考人からその意見又は事情を聴取することができる。

5 当事者は、口頭審理期日において、仲介委員の許可を得て、関係する公私の団体又は個人の補佐を受けることができる。

  (期日調書)

第25条 仲介委員は、口頭審理期日ごとに期日調書を作成しなければならない。

2 前項の期日調書には、日時、場所、出席者の氏名及び期日の概要等を記載する。

 (申立ての分離又は併合)

第26条 仲介委員は、和解仲介手続を分離し又は併合することを適当と認めるときは、総括委員会に対し、その旨を報告するものとする。

2  前項の報告があったときは、総括委員会は、和解仲介手続の分離又は併合をするか否かを決定するものとする。

3 和解仲介手続の分離又は併合の当事者に対する通知については、政令第8条第2項及び要領第3条第2項の定めるところによる。

 (利害関係者の参加)

第27条 和解仲介手続における参加については、政令第9条及び要領第3条第2項の定めるところによる。

  (和解案)

第28条 仲介委員は、要領第3条第1項の規定に基づき、和解案を作成し、当事者に提示することができる。

2 仲介委員は、和解案の作成に当たり、総括委員会に助言を求めることができる。

3 和解案の提示は、原則として、書面によるものとする。

4 当事者は、和解案に対して諾否の自由を有する。

5 当事者が和解案の受諾を拒否したときであっても、仲介委員は、更に和解仲介手続を継続することができる。

 (和解の成立)

第29条 和解仲介手続において当事者間に合意が成立したときは、仲介委員は、当事者に当該和解の内容及び成立の年月日を記載した和解契約書を作成させ、その写しの交付を受けるものとする。

 (和解仲介手続の非公開及び結果の公表)

第30条 和解仲介手続は、公開しないものとする。ただし、次の各号のいずれにも該当するときは、仲介委員は、和解仲介手続の全部又は一部を公開することができるものとする。

 一 当事者双方が同意したとき。

 二 仲介委員が、事案の性質上、和解仲介手続を公開する意義があり、かつ、和解仲介手続の進行に支障がないものとして公開を相当と認めたとき。

2 総括委員会は、適当と認めるときは、仲介委員及び当事者の意見を聴いた上で、和解仲介手続の結果の概要を公表することができる。

第4節 和解仲介手続の終了

  (和解成立による和解仲介手続の終了)

第31条 第29条の規定により仲介委員が和解契約書の写しの交付を受けたときは、和解仲介手続は、終了するものとする。

  (申立ての取下げ)

第32条 申立人は、和解仲介手続が終了するまでの間、書面をもって、いつでも申立てを取り下げることができる。

2 前項の場合には、センターは、被申立人に対し、書面をもって、和解仲介手続が終了した旨を通知するものとする。

 (和解仲介手続に適さない事由の判明による終了)

第33条  仲介委員は、 和解仲介手続を開始した後、政令第10条第1項に規定する事由があると認めるときは、和解の仲介をしないものとすることができる。

2 前項の場合には、仲介委員は、総括委員会に対し、その旨を報告するものとする。

3 第1項により和解の仲介をしないものとしたときの当事者に対する通知については、政令第10条第2項及び要領第3条第2項の定めるところによる。

  (和解仲介手続の打切り)

第34条  仲介委員は、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、政令第11条第1項の規定により、申立てに係る紛争が解決される見込みがないものとして、和解仲介手続を打ち切ることができる。

 一 当事者が正当な理由なく、和解仲介手続に応じないとき。

  二  当事者が和解仲介手続において和解により解決する意思がないことを明確にしたとき。

  三  当事者が、仲介委員の指示に従わないため、和解仲介手続の実施が困難であるとき。

  四  前各号に定めるもののほか、仲介委員が和解仲介手続の実施が困難であると認めるとき。

2 前項の場合には、仲介委員は、要領第3条第3項に基づき、総括委員会に対し、その旨を報告するものとする。

3 第1項により和解の仲介を打ち切ったときの当事者に対する通知については、政令第11条第2項及び要領第3条第2項の定めるところによる。

附則
 1 この規程は、総括委員会が決定した日から施行する。

 2 第25条第1項の規定に基づき仲介委員が作成することとされている期日調書については、和解の仲介の手続の迅速な処理を図るため、当分の間、同項の規定にかかわらず、これを作成しないものとする。この場合において、当該事件を担当する調査官は、期日の審理の要点を記載した書面を作成するものとする。

附則(平成24年1月18日一部改正関係)
 第24条第5項の規定は、平成24年1月19日から施行する。

附則(平成24年3月28日一部改正関係)
 附則第2項の規定は、平成24年3月29日から施行する。

お問合せ先

原子力損害賠償紛争解決センター

電話番号:0120-377-155

(原子力損害賠償紛争解決センター)

-- 登録:平成21年以前 --