図書及び定期刊行物の出版についての統計の国際化な標準化に関する勧告

図書及び定期刊行物の出版についての統計の国際化な標準化に関する勧告(仮訳)


1964年11月9日 第13回ユネスコ総会採択


 国際連合教育科学文化機関の総会は、1964年10月20日から11月20日までの間パリで開催された第13回会期において、
 国際連合教育科学文化機関は憲章第4条4の規定に基づきその権限内の諸問題を国際的に規制するための文書を作成し、かつ、採択することができることを考慮し、
 国際連合教育科学文化機関憲章の第8条が「各加盟国は、総会が決定する様式で、教育、科学及び文化の活動及び機関に関する自国の法令、規則及び統計について、並びに第4条4に規定する勧告及び条約に基づいて執った措置について、定期的にこの機関に報告しなければならない。」と規定していることを考慮し、
 図書及び定期刊行物の出版についての統計を収集し、及び通報する責任を有する国内機関がこの統計の国際的比較性を改善するために、定義、分類及び製表様式の問題についての一定の基準に従うことがきわめて望ましいと確信し、
 この会期の議事日程の第15.3.2議題である図書及び定期刊行物の出版についての統計の国際的な標準化に関する提案を審議し、
 第12回会期において、これらの提案は加盟国に対する勧告の形式をとる国際的文書に具体化されるべきであることを決定したので、
 1964年11月9日にこの勧告を採択する。
 総会は、国際的統計を作成するため、加盟国が国内法その他の形式により、この勧告に定める基準及び原則を自国の管轄下にある領域内で実施するための措置を執ることにより、図書及び定期刊行物の出版についての統計の定義、分類及び製表様式に関する次の規定を適用することを勧告する。
 総会は、加盟国に対し、図書及び定期刊行物の出版についての統計を収集し、及び通報する責任を有する当局及び機関にこの勧告を周知させることを勧告する。
 総会は、加盟国が、この勧告に対して執った措置に関する報告を、総会が定める期限及び様式により総会に提出することを勧告する。

I 範囲及び一般定義

1 この勧告にいう統計は、いずれかの一国で発行され、かつ、公衆の利用に供される印刷された定期刊行物及び非定期刊行物で一般に諸国の国内出版物目録に記載されるものを対象とするものとする。
2 次の出版物は、この勧告にいう統計から除外されるものとする。
 a 広告の目的で発行された出版物で文学的又は学術的説明が付随的であり、かつ、無料で配布されるもの
 (i)商業用カタログ、案内書並びに他の様式の商業用、工業用及び観光用の広告類
 (ii)工業又は商業のある部門における活動又は技術の進歩について述べ、また、発行する者が自己の提供する製品又はサービスについて注意を引く出版物
 b 次の種類に属する出版物で一時的性格のものと考えられるもの
 (i)時間表、定価表、電話帳等
 (ii)演芸、展覧会、見本市等のプログラム
 (iii)法人の約款及び事業報告、会社の指令、回章等
 (iv)カレンダー、暦本等
 c 次の種類に属する出版物で文章が最も重要な部分でないもの
 (i)音楽作品(楽譜又は楽譜集)で楽譜が文章より重要であるもの
 (ii)地図書以外の地図及び海図。たとえば、天文図、水路図、地勢図、掛図、道路図、地質調査図及び地形図
3 この勧告にいう統計を作成する場合には、次の定義が用いられるものとする。
 a 各巻が一度に又は間隔をおいて出版され、かつ、一般にその数が前もって確定している出版物は非定期刊行物とみなされる。
 b 同一表題の下に規則的又は不規則的間隔を置いて期限を定めずに出版されるシリーズの一号をなす出版物は、シリーズの各号に一連の番号が付され、又は各号に日付けが付されるときは、定期刊行物とみなされる。
 c 印刷という用語は、方法のいかんを問わず、各種の機械印刷による複写を含む。
 d 出版物は、出版物統計が作成される国に出版者が登記された事務所を有している場合には、印刷地又は配布地には関係なく、その国で出版されたものとみなされる。2以上の国に登記された事務所を持っている1又は2以上の出版者によって出版された出版物は、それが出版されたそれぞれの国で出版されたものとみなされる。
 e 購入又は無料配布により入手することができる出版物は、公衆の利用に供されているものとみなされる。ある種の政府出版物及び学会、政治団体又は職業団体の出版物等で限られた読者のためのものも公衆の利用に供されているものとみなされる。

II 図書出版統計

範囲
4 この勧告にいう図書出版統計は、1及び3に定める標識及び定義に該当する非定期刊行物を対象とするものとする。ただし、2に掲げる出版物を除く。
5 特に次の種類の出版物は、図書出版統計に含められるものとする。
 a 政府出版物、すなわち、行政機関又はそれに従属している機構が発行した出版物。
 ただし、秘密のもの又は部内配布のみを目的とするものを除く。
 b 学校教科書、すなわち、1958年12月3日に総会が採択した教育統計の国際的な標準化に関する勧告の中で定義されている初等又は中等学校生徒用に定められた図書
 c 学位論文
 d 抜刷り、すなわち、すでに出版された図書又は定期刊行物の一部を再び印刷したもので、表題及び別個のページ付けがあり、かつ、別個の作品であるもの
 e シリーズの一部をなす出版物で図書目録上別個の単位を構成するもの
 f 絵入り本
 (i)版画、美術作品の複製、図案等の収集で、ページ付けがある完全な本として作成されており、かつ、その絵に作品又は作者に関してどんなに短文でも説明が附されているもの
 (ii)写真集並びに逸話を表わす絵のついた一貫した物語の形で書かれている絵入り本及び小冊子
 (iii)児童用の写真集及び絵本

定義
6 次の定義は、既存の国際協定に使用されている定義を害するものではなく、この勧告にいう図書出版統計を作成する特別の目的のために用いられるものとする。
 a 図書とは、国内で出版され、かつ、公衆の利用に供される少なくとも49ページ(表紙を除く。)以上の印刷された非定期刊行物をいう。
 b 小冊子とは、いずれかの一国で出版され、かつ、公衆の利用に供される少なくとも5ページ以上48ページ以下(表紙を除く。)の印刷された非定期刊行物をいう。
 c 初版とは、最初の著作物又は翻訳物の最初の出版物をいう。
 d 再版とは、内容又は形式(割付け)に変更が加えられて、前の版と区別される出版物をいう。
 e 増刷り(重版)とは、前の版の誤植の訂正を除き、内容又は形式(割付け)に変更を加えられないものをいう。最初の出版者以外の出版者による増刷りは、再版とみなされる。
 f 翻訳書とは、原語以外の言語で作品を複製した出版物をいう。
 g 表題とは、一冊で出版されると数冊で出版されるとを問わず、完結した体裁を備えている印刷された出版物を示すために用いる用語である。

計上方法
7 図書出版統計は、出版された作品の表題の数及び可能なときは部数を示すものとする。出版部数に関する情報を提出することができない国は、暫定的措置として、販売部数又は配布部数に関する情報を提出することができる。
 a いずれかの作品が数年間にわたって数巻(別個の表題を有しない。)の出版物として出版される場合には、その作品は、同一年に出版される巻数には関係なく、毎年一つの単位として数えられる。
 b もっとも、次の場合には、表題よりむしろ各巻が統計の単位とされる。
 (i)別個の2以上の作品が同一の表紙で出版されて単一の出版物を構成している場合
 (1人の著者の全集、諸作家の脚本の選集等)
 (ii)一つの作品が数巻にわたっており、各巻が異なった表題を有し、かつ、それぞれ完結した体裁を備えている場合
8 増刷り(重版)は、表題の数として数えられるものではなく、11a及びbに定めるとおり部数としてのみ数えられるものとする。

分類
9 図書出版統計は、第一に主題部門別に分類されるものとする。他の分類法が作成されかつ採用されるまでは、国際十進分類法(UDC)に基づき、かつ、23 の主題部門(かっこ内の数字はUDC の項目との対応を示す。)からなる次の分類が用いられるものとする。
 1一般事項(0)、2哲学、心理学(1)、3宗教、神学(2)、4社会学、統計学(30-31)、5政治学、経済学(32-33)、6法律、行政、福祉、社会救済、保険(34、351-354、36)、7軍事技術及び軍事学(355-359)、8教育(37)、9商業、通信、運輸(38)、10 人類学、風俗習慣、民俗学(39)、11 語学、言語学(4)、12 数学(51)、13 自然科学(52-59)、14医学、公衆衛生(61)、15工学、工業、手工業(62、66-69)、16農業、林業、畜産業、狩猟、漁業(63)、17家政(64)18商事及び企業管理技術、通信、運輸(65)、19都市計画、建築、造形美術、工芸美術、写真、音楽、映画、演劇、ラジオ、テレビジョン(70-78、791-792)、20娯楽、遊戯、競技、運動(790、793、799)、21文学(8)、(a)文学史及び文芸批評、(b)文芸作品、22 地理、旅行(91)、23歴史、伝記(92-99)
 前記の主題部門にすでに分類されている学校教科書及び児童図書は、また、(a)学校教科書及び(b)児童図書の2つの追加部門に別個に数えられるものとする。
10 これらの各部門は、次のとおり細分類されるものとする。
 a 出版物のページ数による細分類、(i)図書、(ii)小冊子
 b 言語による細分類、(i)すべての出版物について、出版されたときの言語、(ii)翻訳書についてのみ、原語。2以上の言語で書かれた作品は、別個の部門、すなわち、「2以上の言語で書かれた作品」を構成する。
 c 出版物の出版順位による細分類、11a及びbに定めるところに従い、(i)初版、(ii)再版

統計表
11 次に掲げる種類の資料を含む統計表を毎年作成するものとし、その情報は、前諸項に定める定義及び分類に合致するものとする。それらの定義及び分類と国内で慣習的に使用されているものとの間のいかなる相違にも注意するものとする。
 a 表題の総数に関する統計  主題別に分類し、かつ、各主題ごとに、第一に図書と小冊子別に、次に初版と再版別に区別する。
 b 総出版部数に関する統計  主題別に分類し、かつ、各主題ごとに、図書と小冊子別に区別する。さらに、できるかぎり初版(増刷りを含む。)と再版(増刷りを含む。)とに分類することが望ましい。
 c 表題の総数に関する統計  出版物の主題別及び言語別の双方に分類する。
 d 総出版部数に関する統計  出版物の主題別及び言語別に分類する。
 e 翻訳書に関する統計  主題別及び原語別の双方に分類された表題の総数
 f 翻訳書に関する統計  主題別及び原語別の双方に分類された総出版部数

III 定期刊行物統計

範囲
12 この勧告にいう定期刊行物統計は、2に掲げる出版物を除き、1及び3に掲げる標識及び定義に該当するすべての定期刊行物を対象とするものとする。
13 特に次の種類に属する出版物は、定期刊行物統計に算入するものとする。
 a 政府定期刊行物、すなわち、行政機関又はそれに従属している機構が出版した法令、規則等の編集物を含む出版物。ただし、秘密のもの又は部内配布のみを目的とするものを除く。
 b 学術雑誌、すなわち、大学の発行する定期刊行物、調査研究機関その他の学術又は文化団体等の出版物
 c 職業団体、労働組合、政治又はスポーツ団体等の定期刊行物(それぞれの会員にのみ配布されているものを含む。)
 d 年一回又はそれ以下の回数で発行される出版物
 e 教区雑誌
 f 校内雑誌及び学校新聞
 g 社内報、すなわち、工業若しくは商業又は同様の企業の被雇用者若しくは取引先のための出版物
 h 演芸、ラジオ及びテレビジョンのプログラムであって文章が重要な部分をなすもの

定義
14 次の定義は、この勧告にいう定期刊行物統計を作成するために用いられるものとする。
 a 一般紙とは、一般公衆のために発行されるもので、おもに公共的な事柄、国際問題、政治その他に関する時事問題について文字で表現した情報の一次的な源となることを目的とする定期刊行物をいう。これには、また、文芸その他の記事並びにさし絵及び広告を含むことができる。この定義は次のものを含む。
 (i)日刊であると非日刊(たとえば日曜新聞)であるとを問わず、印刷に付される前の24時間以内に起った出来事をおもに報道するすべての一般紙
 (ii)24時間より長期間にわたるニュースを提供するが、地方的性格その他の理由により、一般情報の一次的な源を読者に提供する非日刊の一般紙
 b その他の定期刊行物とは、きわめて一般的な主題に関するもの又は、立法、金融、商業、医学、流行、運動等のような専門的な主題に関する研究及び情報をおもに報道するものをいう。この定義は、専門誌、評論誌(一般紙がすでに報道した事実について選択し、要約し又は論評することを目的とする時事評論誌を含む。)、雑誌および一般紙以外のすべての定期刊行物を対象とする。ただし、この勧告の2に掲げる出版物を除く。

計上方法
15 定期刊行物統計は、総点数及び可能なときは発行部数を示すものとする。
16 定期刊行物総点数の計算にあたっては、次の方法が採用されるものとする。
 a 次のものは、別個の出版物とはみなされない。
 (i)ニュース又は編集内容に実質的な相違のない同一出版物の地方版。単なる表題又は地方ニュース面の相違では、その出版物は、別個の新聞とはみなされない。
 (ii)別個に販売されていない付録
 b 一方、次の種類に属する出版物は、別個の出版物とみなされる。
 (i)ニュース又は編集内容が本版と実質的に異なる地方版
 (ii)別個に販売されている付録
 (iii)特別版(日曜新聞等のようなもの)
 (iv)日刊の朝刊と夕刊。ただし、別個の表題を有するもの又は別個の法的地位を有するものに限る。
 (v)いずれかの一国で発行されている同一出版物の異なる言語版
17 発行部数は一日平均発行部数、又は非日刊の出版物の場合には発行毎の平均発行部数で示されるものとする。これらの数字は、国の内外を問わず、直接又は予約によって販売した部数に定期的に無料で配布する部数を加えた数を含み、売れ残った部数を除くものとする。発行部数が不明の場合には印刷部数を示すものとする。

分類
18 定期刊行物は、まず、一般紙とその他の定期刊行物の2種類に分けるものとする。
19 一般紙  一般紙に関する統計は、可能な限り次のとおり分類するものとする。
 a 言語別  2以上の言語で発行される出版物は、別個の種類に入れる。
 b 回数別
 (i)少なくとも週4回発行される新聞 朝刊紙及び夕刊紙の区別もつける。
 (ii)週3回又はそれ以下の発行回数の新聞 週3回、週2回、週1回、それ以下の回数のものの区別もつける。
20 その他の定期刊行物 この種類に関する統計は、次のとおり分類するものとする。
 a 言語別  2以上の言語で発行される出版物は、別個の種類に入れる。
 b 回数別
 (i)少なくとも週4回
 (ii)週1回から3回まで
 (iii)月2回又は3回
 (iv)年8回から12回まで
 (v)年5回から7回まで
 (vi)年2回から4回まで
 (vii)年1回又はそれ以下
 (viii)不規則
 c 主題別 定期刊行物の国際的統計を作成するにあたっては、他の分類法が作成されかつ採用されるまでは、国際十進分類法(UDC)に基づき、かつ、23の主題部門(かっこ内の数字はUDCの項目との対応を示す。)からなる次の分類が用いられるものとする。
 1一般事項(0)、2哲学、心理学(1)、3宗教、神学(2)、4社会学、統計学(30-31)、5政治学、経済学(32-33)、6法律、行政、福祉、社会救済、保険(34、351-354、36)、7軍事技術及び軍事学(355-359)、8教育(37)、9商業、通信、運輸(38)、10人類学、風俗習慣、民俗学(39)、11語学、言語学(4)、12数学(51)、13自然科学(52-59)、14医学、公衆衛生(61)、15工学、工業、手工業(62、66-69)、16農業、林業、畜産業、狩猟、漁業(63)、17家政(64)、18商事及び企業管理技術、通信、運輸(65)、19都市計画、建築、造形美術、工芸美術、写真、音楽、映画、演劇、ラジオ、テレビジョン(70-78、791-792)、20娯楽、遊戯、競技、運動(790、793-799)、21文学(8)、22地理、旅行(91)、23歴史、伝記(92-99)
 d 次の分類にはいる出版物は、前記の23部門に従って計算されず、別個の分類に数えるものとする。
 (i)青少年雑誌
 (ii)漫画及び娯楽雑誌
 (iii)教区雑誌
 (iv)校内雑誌及び学校新聞
 (v)社内報

統計表
21 次に掲げる種類の資料を含む統計表を毎年作成するものとし、その情報は、前諸項に定める定義及び分類にできる限り合致するものとする。それらの定義及び分類と国内で慣習的に使用されているものとの間のいかなる相違にも注意するものとする。
 a 一般紙その他の定期刊行物  回数別及び主要言語別に分類した総点数及び発行部数の統計
 b その他の定期刊行物  主題部門別及び回数別に分類した総点数及び発行部数の統計


  以上は、パリで開催され、1964年11月20日に閉会を宣言された第13回会期において国際連合教育科学文化機関の総会が、正当に採択した勧告の正文である。


  以上の証拠として、われわれは、1964年11月21日に署名した。

  総会議長
  ノライル・M・シサキアン
  事務局長
  ルネ・マウ


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