持続可能な開発のための教育円卓会議(第2回)議事録

1. 日時

平成28年2月8日(月曜日)10時00分~11時57分

2. 場所

虎ノ門SQUARE 4階 会議室

3. 出席者

(委員)
及川幸彦(議長)、秋葉莉緒、阿部治、今井清、加藤久雄、上條直美、川上千春、佐藤真久、篠塚肇、柴尾智子、諏訪哲郎、辰野まどか、棚橋乾、手島利夫、中村利雄、安田充年〔敬称略〕

(環境省)
総合環境政策局長、総合環境政策局環境教育推進室長、総合環境政策局環境教育推進室室長補佐

(事務局)
山脇良雄日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、
福田和樹日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4. 議事

【池田室長補佐】
それでは、定刻となりましたので、ここからの進行は及川議長にお願いいたします。

【及川議長】
皆さん、おはようございます。
本日は、ご多用のところをお集まりいただき、大変ありがとうございます。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回ESD円卓会議を開催いたします。
議事に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、事務局よりご紹介をお願いいたします。

【鈴木室長】
昨年7月に、総合環境政策局長が異動になりまして、三好総合環境政策局長が着任されました。

【三好局長】
三好でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【及川議長】
ありがとうございました。
それでは、本日の会議に移りたいと思います。
本日は、我が国における「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム」実施計画(案)ついて、パブリックコメントを踏まえた検討状況について事務局からご報告をいただき、その後、意見交換を行うとともに、加えて、最近のESDに関する動きについて情報を共有し、ご意見をいただきたいと思います。
それでは、本日の配付資料について、事務局から資料確認をお願いいたします。

【福田国際戦略企画官】
それでは、資料のほうでございます。
配付資料の資料1がパブリックコメントの結果についてでございます。
その次、資料2-1と2-2でございますが、この実施計画の案の2-1が見え消し版、2-2がクリーン版でございます。その後、2-3として一枚物、実施計画の点検・見直し・評価の進め方についてというものがございます。
その次、これも一枚物でございますが、資料3、平成28年度予算案におけるESD関係予算について。
その後、資料4、ユネスコ/日本ESD賞について。
その次が、資料5、「ESD」実践の手引(仮称)」の作成に向けての検討状況。
以上が、メーンの資料でございます。
その後ろに、参考資料として、1が、この本会議の開催について、参考2が前回の議事録、そして、参考3がこれまでの実施計画、そして、参考4は、この関係省庁連絡会議の開催についてというものでございます。
このほか、今日は委員の皆様から提供いただいた資料といたしまして、手島委員のほうから、八名川小学校の取組に関する冊子の資料、それから、棚橋委員のほうから、東京都教育委員会のESDに関する資料というものが、机上配付のほうでご提供いただいております。
以上でございます。

【及川議長】
ありがとうございます。
今回初めて参加される委員という方はいらっしゃらないという認識でよろしいですか。
新しい委員の紹介は、前回欠席になった委員ということで。

【佐藤委員】
おはようございます。佐藤真久と申します。2回目からの出席になりますが、どうぞよろしくお願いします。

【及川議長】
はい、ありがとうございます。

【阿部委員】
それについて、私も。
阿部ですが、前回、欠席しておりますので、よろしくお願いします。

【及川議長】
はい、よろしくお願いします。あとはよろしいでしょうか、いいですか、はい。
それでは、議題のほうに入りたいと思います。
それでは、議題1に入ります。
我が国における「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム」実施計画(案)について、先日行われましたパブリックコメントの結果、及び、そのコメントを踏まえた検討状況について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。

【福田国際戦略企画官】
それでは、改めまして、文部科学省国際統括官付の福田と申します。ご説明申し上げます。
まず、この実施計画でございますけれども、ご承知のとおり本実施計画は、最終的には国のほうの関係省庁連絡会議で最終的に定めると、このようにされているものでございます。このパブリックコメントに先立ちまして、各委員の皆様方には、一度この中身について紹介をさせていただき、そして、いただいたご意見というものもできるだけ踏まえた形で、このパブリックコメントを実施させていただいたところでございます。
今回、この資料の1にありますとおり、パブリックコメントの結果についてということでございますけれども、昨年の12月18日から本年の1月17日まで1カ月間、この文部科学省、それから環境省で共同で報道発表をさせていただくとともに、各関係者に周知させていただきまして、その結果といたしまして、この2ポツにありますとおり、提出意見の総数ということで99件のご意見をいただいたところでございます。
まずもって、多数のご意見を皆様からいただいたことに関しまして、事務局といたしまして、改めて感謝申し上げたいと思っております。
その上で、このパブリックコメントの結果を踏まえた考え方ということ、それから、このパブリックコメントでどのような意見があったかということにつきまして、この資料1の2枚目でございます。この別紙という形で、やや字が小さくて恐縮でございますが、主立った意見について、事務局のほうでまとめさせていただき、それに対する事務局としての対応ということについて記載させていただいたものでございます。
主立った意見について、幾つか申し上げたいというふうに思います。
まず、番号の1番でございますけれども、意見といたしまして、この文章の主語ですとか主体、そういったところが明確でないような箇所がある、それをより改善するということが必要ではないかということ。
それから、2では、関係省庁の連絡会議で定めるというものでございますけれども、その関係省庁の連絡の視点がやや弱いのではないかといったようなこと。
それから、3にありますような、ステークホルダーという言葉を多数使っているわけでございますけれども、その記載の仕方をそろえるべきではないか、また、そのステークホルダーが幅広く参画するような推進体制、これを構築すべきではないかといったようなこと。
同じく、こういったステークホルダーあるいはNPOなどの参画に関しまして、4、5、6などで記載されている意見というものがあったということでございます。
次に7番でございますけれども、この記載の中身のほうでございますけれども、環境に関するウエートというのがやや高過ぎるのではないか、ESDというものが本来持っている多様性、さまざまな概念といったようなものを踏まえた記載というものをもう少し考えてはどうかといったようなこと。
そしてまた、そのESDが持っている教育的な意義に関するものについても、より強調してはどうかというものが、この8番。
それから、失礼しました、番号が一つ飛んでおりますけれども、そのほか、ESDの中身として、防災に関するもの、あるいは公害に関するものなどについてもご意見があったほか、このESDというアルファベット自体がどうしてもわかりにくいので、再検討すべきではないかといったようなご意見などがあった。これが表のほうでございます。
次に、裏のほうをお開きいただきたいというように思います。
次に、この実施計画でございますが、これがGAP(グローバル・アクション・プログラム)を踏まえて設定されているわけでございますけれども、そのGAPにおける優先行動分野、これ以外の視点ですとか、あるいは、その行動分野それぞれを横断的につなぐ仕組みなどについても記載してはどうかといったようなこと。
それからまた、その体裁のあり方として、14番の中にありますような、よりわかりやすい記載ですとか、あるいは15番として、取組例というように記載しているところについて、政府の役割をさらに記載すべきではないかというご意見。
それから、この後は、個々の計画案に記されている内容についてのご意見ということでございますけれども、例えば、ODAの扱いであるとか、あるいは、その下の17番、教育に関して、学習指導要領の位置づけの扱い、あるいは、18番にある大学、あるいは教員養成におけるその位置づけ、あるいは、19番にあるさまざまな多様な教育施設の扱いですとかに関するご意見。
その後、20番に関しましては、ESD活動支援センター(仮称)というものの、現在、この設立に向けた検討というものが進められているところでございますけれども、この役割について整理をして、明確にすべきではないかというようなご意見がありました。
最後に、この実施計画のそのモニタリング、それをどのように実施していくかということに関しまして、21番以降において、その達成目標というのを明確にすべきである、あるいは、その点検・見直しのあり方について、より詳細に記載すべきであるということ。
また、22番にあるような点検、モニタリングというのをどこまで、政府はもちろんでございますけれども、それ以外の主体、ステークホルダーの方々にご協力をお願いできるかといったようなこと。
それから、最後に、実際に点検を行うに当たって、参考になるような情報というものも発信してほしいと、概ねこういったようなご意見があったというところでございます。
事務局のほうで、この対応というものを右のほうに記載させていただいておりますが、細かく一つ一つは申し上げませんけれども、基本的には、いただいたご意見について何らかの形でそれを反映するように、事務局で必要に応じて関係省庁とも協議しながら、検討をしたところでございます。
また、一部のご意見につきましては、これはまた、その実施計画における位置づけというよりは、政策に対するご意見ということで承らせていただき、また今後の施策の立案の参考とさせていただきたいと考えているものでございます。
また、ここに記載しているこのご意見以外にも、一つ一つの細かい点についてのご意見も多数いただいているところでございます。
資料2-1のほうをご覧いただきたいと思います。
修正点について、カラーでないので若干見にくいかもしれませんけれども、見え消しで消されているところというのを削除して、この下線部のところを追記したいというものでございます。
この中で、これも個別の修正点については申し上げませんけれども、先ほどご紹介した意見以外にもさまざまなご意見をいただいたものについて、この中で反映しているものというのが多数ございます。
この中で、主立った修正について、幾つか申し上げたいというように思っております。
まず、2ページ目をお開きいただきたいと思います。
2ページ目の(2)の(イ)DESDにおける我が国の取組というものでございますけれども、このDESD、この10年の中の取組というものについて、当初の案では、個人の育成、それからネットワーク化というのを目指して取組を進めてきたと記載しているところでございますけれども、ESDにおける主体というところからすると、この教育的な意義がより網羅的に書かれているのではないかというご指摘をいただいたところでございます。こういったところを踏まえて修正したところでございます。
次に、5ページのほうをお開きいただきたいと思います。
5ページの真ん中の辺り、大きく修正させていただいております。
ここも、先ほど概要の中でいただいているご意見というのをできるだけ反映する形で、まず文章として読みやすくするということ、そして、その趣旨というのを明確にするということ、そしてまた、例えば、GAPにおける優先行動分野の相互関係、あるいは連携といったようなこと、そしてまた、ESDに関わる、関連する各省庁が、それぞれの所管する分野において、その普及や推進に努めるといったようなこと、そして、この実施計画の実施においては、例えばパブリックコメントであるとか、そういった形で、できるだけ幅広い関係者の意見を聴取しながら、それを実施していくべきであるといったようなことなどを記載させていただいたところでございます。
次に、6ページから7ページのところをお開きいただきたいというように思います。
ここから、具体的なその優先行動分野における概要として、政府を含むそのステークホルダーの取組というところが記載されているわけでございますけれども、例えば、7ページの上のところで、「あわせて」という言葉がございます。
ここで、このESDというものが、環境以外にも、さまざまな多様な取組分野というのがあるということを改めて記載させていただき、例えば、ここにあるような環境の保全、経済の開発、人権の尊重、社会の発展、こういったことを調和のもとに進めていくことが重要である。したがって、この下に書いてある政府の方針、それから取組でというのは一つの例示でございまして、これにとどまるものではないということに留意する必要があるということを改めて明確にさせていただいたところでございます。
次に、個別の修正につきましては、またご覧いただくといたしまして、14ページのほうをお開きいただきたいと思います。
14ページのところで、5)の地域コミュニティというところがございます。
この中で、ESDの活動支援センターについても記載して出されておりますけれども、この中で、この活動支援センターのハブ機能を生かしながら、地域や分野を超えた横断的なネットワークを構築していくということで、このネットワークの形成という点を明確にさせていただいたところでございます。
それで、最後に、15ページから16ページに掛けての点検・見直し・評価のところでございます。
この点でございますが、基本的には、ここに関して、先ほど概要で申し上げたとおり、複数のご意見をいただいたところでございます。
具体的にどう点検を行っていくのかですとか、あるいは、その参考になる情報というのを提供してほしいという意見をいただいているところでございますが、現時点におきまして、この案においては特段の修正というのを行っていないところでございます。と申しますのは、結局、これをどのように点検、そして、また見直し、評価というのを考えていくかという点につきましては、改めまして、本日お集まりの各委員の皆様方のご意見もいただく形で、そして、今後実施していくということが重要であろうというように考える次第でございます。
その点につきましても、あわせてご説明を申し上げたいというふうに思います。
資料2-3のほうをお開きいただきたいと思います。この一枚物でございます。
この実施計画の、点検、モニタリングというものでございます。これをどのように進めるべきかということでございます。
現在、実施計画の案の中には、特に明確にこれを記載するということはしていないところではございますが、ご承知のとおり、これまでのその10年の実施計画におきましては、基本的には、国、関係省庁が、どういった、これに関連して取組をしているかということを適宜取りまとめる形で情報提供をさせていただくということで、そのモニタリングに書いていたところでございます。
他方で、この度、新たに策定するこの実施計画においても同様の形の点検でいいのか、あるいは、ここに記載しているように、政府のみならず各ステークホルダー、もちろんこれは、ステークホルダーのお考え次第ということでございますが、任意でモニタリングというものにご協力をお願いしたいというように記載しているわけでございますので、その点検のあり方についても、より詳細に、あるいは具体的に考えていくべきではないかというような論点があり得ようというふうに思っております。
あくまで、それをどのように考えるかというのは、当然、また、この後のご議論というのを踏まえて、また事務局のほうでも検討したいというふうに思っておりますけれども、例えばということで、例といたしまして、まず、GAPの優先行動分野それぞれに対しますフォローアップというのを行っていくですとか、あるいは、この実施計画に書かれている記載、あるいは必ずしもそれにとらわれるものではないかもしれませんが、特筆すべき取組などについて情報収集を行っていくということ、そしてまた、関係省庁における取組状況の報告といったようなこと、そして、三つ目は、これは、もちろん各委員へのお願いというふうなことにはなるかもしれませんけれども、円卓会議として、またそれをモニタリングしていく、また、各委員のほうから何らかの形で定期的に情報を提供いただくといったようなこと、そして、このステークホルダーによる自発的な点検結果ということでございますけれども、当然、それはあくまで自発的な取組ということではございますけれども、それに重ねて、もちろんこれは自発的な扱いという前提にはなりますけれども、その結果について、何らかの形で情報提供を依頼、お願いするといったようなこともあり得るのかどうかといったようなこと。
そして、そういったことに関しまして、先ほど申し上げたとおり、ESDの活動支援センター、現時点では仮称でございますけれども、これが近日中に設立されるということでございます。こういったセンターにおけるこの取組、先ほど申し上げたとおり、このセンターはネットワーク的な機能というものを担うということでございますので、実施計画のモニタリングに関しても何らかの形で協力を得るということがあり得るのかどうかといったようなことが、「例えば」の例として挙げられるかというように思っております。
参考ということで、このGAP(グローバル・アクション・プログラム)におきましては、以下のとおり記載されているということでございますけれども、実際、この中でも、定期的にモニタリングを行うということ、そしてまた特定のターゲットやベンチマークを含む根拠をエビデンスに基づくモニタリングの必要性、また、インパクトというのを志向した報告の必要性などなど、こういったようなことを考慮しつつ設けるものとするというように書いてございます。
ここで、当然、必要性というのが書いてあるということは、例えば、このベンチマークですとか、あるいはインパクトといったようなものを必ず設定しなければならないというのを前提としているということではなくて、そういったものを設ける必要があるかどうかというのも含めて検討した上で、それをモニタリングしていくというように、これは解釈すべきものというふうに思っておりますが、ユネスコにおいて、このグローバル・アクションというものの具体の実施というもの、これは日本に限らず世界各国における取組というのを、ユネスコ全体がまとめていくわけでございますけれども、現時点で、このユネスコにおいて、このグローバル・アクション・プログラムをどうモニタリングしていくか、もちろん検討というのは、いろいろと行われているというように承知はしておりますが、具体的にモニタリングをこのようにしていくですとか、あるいは、ベンチマークをこのようにしていくということが、現時点でユネスコのほうから示されているということではないというように承知しております。
他方で、このGAPというのが、ユネスコに関わって今後指導するということで、2014年の末にできたわけでございますが、そのモニタリング、また全体の総括というものが、GAPは5年間でございますので、2019年に行われる。そして、その中間年におけるその実施状況の総括というものを2017年、したがって、本年から考えれば来年ということになりますけれども、来年に行う予定である。
したがいまして、そこに向けて、今後いろいろな形でモニタリングというものを行っていく、その検討というものが進んでいくものというふうに考えております。先ほど申し上げたとおり、現時点において、具体のターゲットあるいはベンチマークといったものが示されているということではないということでございます。
以上が点検に関する点でございます。
次に、二つ目の白丸ということで、見直しということでございます。
もちろん、実施計画をこれから固めるというところで、その見直しというのをどう考えるかというよりも、まずは、しっかりとした実施計画をつくるということに尽きるということではないかとは思いますけれども、他方で、その見直しというのが、今後どのようなときにあり得るかということについても整理をしておくということが必要というふうに思っております。前の10年の実施計画におきましては、その前半の5年度評価に基づいて、2011年に改定をしたということでございます。
また、先ほど申し上げたGAPにおきましても、必要に応じて、その優先行動分野の変更もあり得るというような記載があるところではございます。現時点で、どういったときにこの見直しが必要になるということに関しまして、特段、事務局として確たる考えを持っているわけではございませんけれども、今後のさまざまな動きに関して、どういったときに見直しというのが考えられるのかということに関しましても、委員からご意見などがございましたら、また、それを受けてご議論いただければというように思っております。
そして、最後の白丸でございますが、評価、これはいってみれば全体の評価ということになるかと思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、ユネスコにおいては、その最終年にある2019年にこのレビューを行う。そして、その途中年度、これが来年ということでございますけれども、フォローアップ会議を行うということでございます。
したがいまして、点検というものを、この一番上の白丸で考えていく際には、当然、その点検結果というのを、例えば何らかの形で定期的に行うとして、そして、それを、この実施の最終年においてどのように取りまとめていくか、そして今後につなげていくかということについても、ある程度それを見据えた形で点検を行っていくということが、恐らくは有益ではないか。そしてまた、実際に協力をお願いする方々、ステークホルダーですとかそういった方々についても、そういった道筋がついた形でのお願いということをさせていただいたほうがよろしいのではないかというように思っております。
以上、こういった点などを踏まえて、この点検・見直し・評価というものについて、どのように考えていくかということについてもあわせてご議論をいただければというように思っております。
そして、最後でございますけれども、一番最初に申し上げたとおり、この実施計画は、基本的には関係省庁連絡会議で最終的に定めるというものでございます。
したがいまして、本日の円卓会議におけるご意見というものも、もちろん事務局としても参考とさせていただくということではございますが、最終的には、この省庁連絡会議においてこれを決める。そして、既にGAPというのが策定されて、結構な年月を経ているということに関しましても、できるだけ早くこの実施計画を確定することがまずは重要であろうというように考えております。
現在、関係省庁と調整しておりますが、今月中に、この省庁連絡会議を開催して確定するという方向で、現在調整をしているところでございます。
したがいまして、本日の円卓会議を踏まえまして、できるだけ早い形でこれを確定して、そしてまた関係者の皆様にお知らせする方向で作業を進めてまいりたいと、このように考えております。
事務局からは以上でございます。

【及川議長】
ありがとうございました。
多くのパブリックコメントが寄せられたというふうなことで、それを踏まえてといいますか、それに対する対応、あるいは、それを反映した形での、この実施計画案についてのご説明をいただきました。その後、プラス、実施計画の点検・見直し・評価についても含めて、今ご説明をいただきました。ありがとうございました。
ただいまのご説明を踏まえて、委員の皆様からご意見を頂戴したいと思いますが、皆様ご存じのとおり、6月でしたか、第1回の円卓会議がございまして、委員の方々から多くの意見をいただきました。それを踏まえて、この案を改善して、その後、また委員の皆様に照会をして、そして、それをパブリックコメントに出した。先ほど説明があったとおりです。
そのパブリックコメントが99、100近く集まり、そのパブリックコメントを、また精査いただいて、この実施計画案に反映しているのが、今、皆様のお手元にあるというふうなことですので、事前に配付されたということもありますので、話し合いの進め方としましては、これを一括で皆様にお諮りしたいというふうに思っております。
そういう意味で、皆様、どの観点からでも構いませんが、この実施計画案につきましてご意見を頂戴したいと思います。
もちろん、できれば、いろいろとある方は最初のほうから話していただければ、それにこしたことはありませんけれども、そこは別にこだわらないということでお願いしたいと思います。
では、どなたかご意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。

【諏訪委員】
最初に確認させていただきたいんですが、今日の円卓会議の位置づけなんですけれども、今回のパブリックコメントに反映されたもの以外に、新たな加筆の提案というようなことも行ってよろしいんでしょうか。
その位置づけについて、これから、さらに発言を加えることはやめてほしいということなのかどうか。

【及川議長】
それにつきましては、円卓会議ということですので、ご提案等があれば、ここで言っていただいて結構ですが、皆様のご意見を一度頂戴した形でこうやってつくり上げていますので、これを根本的にもう一回つくり直すとかいう話では、今のスケジュールでは当然間に合いませんし、今までのプロセスからいって皆さんの意見も反映されているということなので、新たにもっと改善すべきとか、こういう点を新たにやると、もっとすばらしい案になるとか、そういう形で建設的なご意見を賜れればというふうに思っております。よろしくお願いします。
では、そういうふうなスタンスで、皆様方どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【諏訪委員】
じゃあ、言いかけたところで。根底から覆す気はさらさらございません。
日本環境教育学会会長の諏訪です。
今日、八名川小学校の手島先生のほうから、「対話で育てるアクティブラーニング」という大変すばらしい冊子が配付されておりまして、「あ、そういえば」というふうに気づいたんですが、今回の実施計画の中に、このアクティブラーニングという言葉が出てないというのが気になりました。
このアクティブラーニングは、ご承知のように一昨年の11月の次期指導要領の諮問以来、教育界、学校教育の世界では中心になっている言葉でして、最初のうちは、中教審の審議の中で、どういうふうになるか、よくわからない部分もあったんですが、昨年の12月に出たさまざまな答申等でも、このアクティブラーニングということがかなり頻繁に出ておりまして、今回の実施計画の中に、特に教育者という部分の中に、アクティブラーニングという言葉が何らかの形で出てくる必要があるのではないかということを感じたので、最初に発言をさせていただきました。

【及川議長】
ありがとうございました。
今、アクティブラーニングという、中教審の審議でも出ている、そういうふうな言葉をつけ加えるべきではないか。特に二つ目の、プライオリティ2の教育者に関することだとおっしゃいましたけれども、これについて何かご意見、関連してある方はいらっしゃいますか。
手島委員、どうぞ。

【手島委員】
諏訪先生、どうもありがとうございました。
アクティブラーニングって大変大切な学び方の方法だと思うんですが、文部科学省は、アクティブラーニングだけを今回の学習指導要領の改訂で中心にしているわけではないと思うんです。やはりESDということを深く意識して、学習指導要領の改訂に向けた作業を進めていただいていることを大変うれしく思っております。
それは、どういうところに表れているのかというと、この冊子を見ていただくと、6ページを開けていただくとわかるんですが、これは、私がということではなくて、学習指導要領の構造化のイメージ図というのが6ページのところに出ています。
これは、文部科学省の初等中等教育局教育課程課で論点整理をしてきた中に、資料として出されていたものです。その中で、アクティブラーニングがどこに位置づくのかというと、総合的に育成する学習プロセス、もともとそういう言葉で、四角の中で丸が示されていたんですが、具体的にアクティブラーニングの視点に立った深い学びと、対話的な学びと、主体的な学びの実現とこういう言葉で示されるようになりました。この中のアクティブラーニングなので、アクティブラーニングだけが大事なんじゃないと思います。つまり、主体的な学習プロセスが大事なんだと、その中に体験だとか、いろんな活動だとか、発信だとかを入れていくことが求められている、そういうことです。
それと、もう一つ大事な視点は、この図の左側端のところに、少し太い字で書き直してあるんですが、教科等の往還(カリキュラムマネジメント)と書いてあります。
つまり、今までは、教科や領域の中で知識・理解を順番に教えていけばよいという学びのスタイルだったものが、教科等を行ったり来たりしなさい、そして、往還の中で学びを深めていきましょうと、こういう学習のあり方をここで提案されているわけです。それはどういうことなのかというと、教科横断的な学びなんだということです。
具体的なイメージを見ていただくには、同じ冊子の30ページ、31ページをご覧いただくとわかると思うんです。
31ページの上の図を見ていただくと、例えば、緑のところは環境の視点で教科領域をつないでいるんです。そのつながりの中でカーボンマイナスという活動をやったり、それから社会科で工業のことを学んだり、国語でいろんな、わかりやすく伝えるという内容を入れていく。今度は環境の視点で工業を見直そうという単元をつくっていくと、より学びが深まってくるんだと、それを発信する場を、例えば八名川まつりという形でつくっていくと、これが学んだだけじゃなくて発信し合い、それをお互いに深め合うというような学びの構造をつくるということが大事なわけです。
ESDを進めるということは、今言った二つの視点はどうしても欠かせないんだということです。
つまり、同じことになりますが、95ページで、これは都政新報という新聞社のところで書かせていただいた記事なんですが、学校を丸ごと総合化していくんだということ、その中にESDカレンダーなんかも位置づけていくと。それは、学校という組織を挙げて取り組んでいくんだというようなことでありますので、機関包括型につながる話なんです。
でも、機関包括型というのは、いろんな学校の関係する中の、内部あるいは外部の機関がつながっていけばいいというだけじゃなくて、学びそのものをつなげていくことが大事なんだと、教科横断的に、しかも、子どもが主体的に学んでいかなければいけない。これがESDを進める上でどうしても欠かせない視点になるわけです。
それは、今回のESDの国内実施計画の中に、そのことをきちっと位置づけて、それで国内にきちっと発信すると同時に、日本から発信する中身として大事なのは教科横断的に学びをつなげて深めていくんです、そういう学びのあり方をESDの10年で開発してきたんですということと、それを主体的に学ばせることが大事なんです。そういう論点を入れていくことが私は欠かせないと思っています。
そういう意味で言うと、今回の国内実施計画そのものの案なんですが、ちょっと後退してしまったような感を感じております。
具体的な、どこでという話をしますと、実施計画(案)の中の11ページに当たると思うんですが、機関包括型アプローチというところがあります。
そこのところに、学校における機関包括型アプローチの推進というふうになっているんですが、そこで、その前に書かれていた「教科横断的なカリキュラムづくり」という言葉が消されちゃっているんです。そうすると、教科横断的な学習のあり方を発信する機会が全然なくなってしまうんです。これはもう、この実施計画の価値そのものが失われるように私は思います。それと、主体的な学びをどうするのかということ、問題意識を持って学ぶということをきちっと位置づけていく必要があると思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。
ただいま、アクティブラーニングという言葉からまた広がって、カリキュラムマネジメントとか、教科横断論とか、それと、学校における機関包括のアプローチの概要として、カリキュラムの編成、教科横断型の学びというものを入れるべきではないかというご提案だったと思います。
そういうことで二つの、アクティブラーニング、それから、もう一つ、教科横断型という活動、キーワードが出ていますが、それについて、関連して何か。
棚橋委員、お願いします。

【棚橋委員】
棚橋です。
手島委員が、今おっしゃっていた教科横断型なカリキュラムづくりのことですとか、先ほど諏訪委員がおっしゃっていたアクティブラーニングについてですが、実施計画全体を通して見たときに、学校教育の位置づけというのは物すごく薄く見えます。
これを、例えば正式に出したときに、委員の1人の私として、学校教育に関わる他の先生方から、これをもって学校をどうしたらいいのかと言われたときに、ほとんど答えられない。
つまり、教育が変わっていくという大きなESDの狙いの中に全然フィットしてないということを私は感じます。
ですから、さらに、この11ページで教科横断的なカリキュラムを削除するとなると、ますます学校教育の中でどうしていくのか、となってしまいます。具体的なことはこういう文言には表せないまでも、柱だけはちゃんととっておく必要性があると思います。
それから、学習指導要領と円卓会議で議論すべきESDの方向性が、フィットしてくれれば、よりよい事ですが、アクティブラーニングの前に言われていた主体的・協働的な学びというのは、これはもう日本語で言ってもわかりやすいし、ESDにとっても重要な学び方です。
アクティブラーニング自体は、ほとんど高等教育をターゲットにしたものでした。
しかし、主体的・協働的学びというのは、小・中学校、高等学校でも十分に理解して進めていける、むしろ、これまで以上に充実させなければならない学びです。
この言葉をぜひ盛り込んでいただき、ESDの頭の「E」が小・中、高等学校、学校教育でのEducationということをもう少し色濃く出していただきたいなと考えます。
それから、私が持ってまいりました東京都教育委員会のESDの資料ですが、内容としては十分ではありませんが、徐々に教育委員会のアクションも始まっているんだということを皆さんにわかっていただきたいなと思っています。
それから、15ページのところですけれども、先ほど諏訪委員から話のあった、追加はできるのかということについて私もお願いしたいと思うんですが、さまざまな、例えばUnivNetのこととか書いてありますけれども、今、ユネスコスクールの中でも全国ネットワークをつくって、お互いを支えて力をつけていこうという動きがありますので、そのこともここに触れていただけるとありがたいなと思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。
今の棚橋委員の後半の部分につきましては、また別な問題なので、また確認したいと思います。
前半の部分で、教育関係の委員の皆様から、学校教育として、その骨組みという言葉を使われましたけれども、教科横断であるとか、あるいは主体的・協働的な学びというふうなフレーズをぜひ入れて、先生方に共感を持っていただくような形にしてはというご提案をいただきましたが、これに対して、皆さん、どうお考えでしょうか。
阿部委員、お願いします。

【阿部委員】
ありがとうございます。阿部です。
今、数人の委員の方々から、学校教育、ESD自体は学校だけじゃなくて、あらゆるステークホルダーでやっていくものですが、これは、学校教育は非常に重要な主体になる。これは小・中・高を含めて。そういうことを考えたときに、委員の方々がおっしゃった視点が、もっと強化したほうがいいだろうというふうに私も思っております。
それと関連して、これはまた後ほどのことになるかと思いますが、例えば、今は機関包括型のところだったんですが、政策的支援のところに関しては、そこで、持続可能な開発に関する政策へのESDの支援というところで、b)で環境教育等促進法の例が出ております。
これは今までも、ESDと言うと、環境が特に強調されるということがありまして、これは当然のことながら、私たちの生活は環境が原則ですので、それは当然のことだと私も思っておりますが、ただ、ここに今回、新たにこの計画案に盛り込んでいただいたように、本当にあらゆる課題が入っていますということなんですね。
そうしますと、国内の政策的な支援についても、この環境教育等促進法はもちろんですが、例えば、人権教育のことや、あるいは消費者教育推進法。
消費者教育推進法自体が、このESDがかなり影響してつくられたもので、消費者支援ということで、消費者教育をやっていく上で、環境教育や国際理解教育等々と連携していくんだという、そういうことが盛り込まれているということ。
また、これは、リオ+20から始まった持続可能な消費と生産という国際的な活動、さらに、そこからSDGsですね、2030アジェンダなどでも、持続可能な消費と生産が非常に重要であるというふうに入っているわけで、そんなようなことを考えると、ぜひ、環境だけで、私は本当にいい対応になっている。これは先ほど企画官のご説明にもあったように、いろんな省庁がいろんな取組をやるぞという、そういうふうに書いてあるので、それはわかるんですが、例えば、もう一つ、二つ、入れていたほうが具体的かなというふうに思っております。
全体としては、本当にすばらしくまとめていただいておると思います。本当に、事務局には大変なご苦労をされたのではないかと思っておりますが、そんなようなことを新たに加えていただければと思っております。
また、評価については、後ほど発言させていただければと思っております。
以上です。

【及川議長】
はい、ありがとうございました。

【上條委員】
先ほどから加藤先生が手を挙げていらっしゃるので。その後、私もお願いします。

【及川議長】
わかりました。加藤先生、お二人の意見に関連する話ですか。
じゃあ、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】
7ページのa)です。
ここに、学習指導要領という言葉が出ていて、ここの書きぶりがあって、何が実現できなきゃいけないかというと、8ページの黒丸のESDに関する教員研修の実施ですよね。それから、体験活動を通じたESDの、「通じた」とありますけれども、ESDの推進。エージェントというか、主体者は児童・生徒だと思うんですけれども、これが推進できる書きぶりに、7ページのa)も、しておかなきゃいけないんです。
ESDが先なのか、学習指導要領が先なのかという大前提が悩ましいんですけれども、私も具体的に申し上げると、このa)の4行目の次の「一方で」と、こういう論理構築でいくと、書いてあるけど、一方で、やれてないよねというのでは、わかりにくいかもしれませんけど、私は、コンソーシアムとか、小・中学校教育委員会に行って、ESDを増やして実施をやっていこうというときに、「その一方で」は、論理的にはつらいものがある。
書かれているけど、やれていないよねということなんですけれども、わかりにくい言い方をしていますけれども、こうなってきているから、もっとやりましょうという、そういう書きぶりのほうがいいんじゃないか。強力に書いてもらったほうがいいんですけれども。
端的に読むと、書かれているけど、やっていないよねと教育委員会に向かって言うわけです。なかなかつらいものがあります。そこら辺りを考えていただければと思います。
この学習指導要領と、要するに、どっちが先かという大きな問題がありますけれども、本当に児童・生徒の活動がどうしてもベースになると思いますので、もう少し、これまでのご意見を踏まえて前に出していただければと思います。

【及川議長】
ありがとうございます。
上條先生のご発言を聞いてから、あと、全体を整理したいと思います。お願いします。

【上條委員】
ありがとうございます。
半分関連して、先ほど棚橋先生がおっしゃったESDの全体の目的は何かというところを、一つだけ具体的なご提案なんですけれども、案の5ページの基本的な考え方のところに、優先行動分野の推進のところ、「GAPの目的に沿って」というふうに書いていただきました。
先ほどおっしゃった、教育全体を変えていこうというところで、もちろん学校教育も社会教育も含まれるんですけれども、ここをせっかく入れていただけたので、前述の目的というのが見当たらなかったので、ここに教育のそういう方向づけということと、教育を通した持続可能な開発の推進ということが目的であるということも、せっかくなので一緒に入れていただけるといいかなというふうに思いました。

【及川議長】
確認すると、5ページのどの部分でしょうか。

【上條委員】
5ページの下段、基本的考え方。

【及川議長】
何番のところ。

【上條委員】
2番の基本的考え方の(1)優先行動分野の推進、1行目。

【及川議長】
推進という、その前文のところですね。

【上條委員】
はい。

【及川議長】
ということであります。ありがとうございました。
ただいま、ご意見が出て、どんどん広がってきているので、若干整理して確認したいと思います。
棚橋委員、手島委員のほうから、教育現場の立場から、教科横断であるとか、主体的・協働的、あるいは諏訪委員のほうからアクティブラーニングという言葉も出てまいりました。
その辺の文言をどのように盛り込むかということですけれども、先ほど、11ページの2)機関包括型アプローチのところでそういう議論が出ましたが、ここの部分なのか、それとも、もっと全般の政策的な部分なのか判断が必要です。
ここはあくまで機関包括型アプローチというふうな視点ですので、そういう教育的な部分、側面のことを、どれだけそこに入れたほういいのか。もっと前のほうがふさわしいのかというような議論もありますでしょうから、それも踏まえて、文部科学省のほうからお願いします。

【福田国際戦略企画官】
ご意見をありがとうございます。
まず、手島先生、棚橋先生、諏訪先生からおっしゃった点に関しまして、まさしく手島先生がご指摘のとおり、そのアクティブラーニングだけがこのESDというわけではないと、そのとおりでございまして、お示しいただいた図に沿う形で、アクティブラーニングあるいはカリキュラムマネジメント、そういったことを総体的に考えて、そして今、学習指導要領の見直しというのが中教審において検討されているというところでございます。
したがって、常に全体を見据えて検討を進めていかなければならない、ある特定の分野であるとか、教科であるいうことではなく、全体を常に見ながら検討が進んでいるということでございまして、実際に、指導要領の見直しを担当している部局とも相談したんですけれども、なかなか個別具体のことについて、したがって、現状では記載するのがやや難しい状況にあるというところがございますので、その点をご理解いただければというように思っております。
他方で、だからといって何も書けないというわけでは当然ございません。
その上で、この11ページの中で、手島委員からご指摘いただいた教科横断的なカリキュラムづくりというのを削除した点でございますが、決してこれを否定するものではございません。その上で、全体を通じて、できるだけ表側を合わせるべきであるという観点で修正した際に、機関包括型アプローチというのが、2)の表題でございます。
したがって、要は、表題ときちんと合わせたほうがいいのではないかというようなことを踏まえて修正したものでございますが、決して、その中で教科横断的なカリキュラムづくりというものを否定するものではございません。
したがいまして、いただいたご意見を踏まえて、より教科横断的カリキュラムづくりというものが、この中で極めて有益であるということを、もう少し見えるような形で例えば記載してはどうかというような形で捉まえれば、何らかの形で、ここに追記するということは可能かなというようにも思うところでございます。
その中で、関連して、棚橋委員からありました主体的あるいは協働的な学びでありますとか、そういったところについても織り込んでいくというのはあり得るというように思っております。
また、あわせて棚橋委員からございましたユネスコスクールの全国協議会の件でございますけれども、当然これは、関係者の方々の発意に基づいて進んでいる側面もございます。それを国の実施計画の中でどのように取り込んでいけるかというところについては、いろいろな関係の方々のご了解というか、ご理解というのも必要というふうに思っておりますけれども、もし、そういった点も含めて考えていくということで、関係者の方々がご了解いただけるのであれば、何らかの形で記載するということは、これは私どもの日本ユネスコ国内委員会の特別分科会の中でも、この全国協議会の件は記載されているところでございますので、何らかの形で記載するということは可能ではないかというように思っているところでございます。
もう一つ、教育の関係でお話のありました加藤委員のほうから、7ページのほうで、一方で、論理構成に関するご指摘があったところでございます。
この点は、もともとこれが記載されておったのは、いろいろな位置づけというのはされていたけれども、その現場のほうでは必ずしもなかなかご理解いただけないような側面というのもあるのではないか、そこをきちんと明確にした上で、だからこういうのを教育委員会とかそういったところでしっかりやってほしいというのを浮き立たせるために、これが記載されたというような経緯であったというふうに承知しております。
他方で、逆に、それを書いてしまうと、まさしく今ご指摘があったように、じゃあ現場ではやっていない人もいる、あるいは、今後もやらなくてもいいのかというように理解されてしまう恐れというのも当然ある。
これもまたご指摘のとおりということで、なかなか難しいところがあろうというふうに思っておりますけれども、加藤委員からあった、現状でも必ずしも十分ではないかもしれないが、こういうところまで進んできた、それをさらに今後こういうふうにやっていきましょうというふうに、よりポジティブに、肯定的に、能動的に書いていったほうがいいのではないかというご趣旨と捉えれば、もし本日、各委員さんのほうで概ねそのご理解がいただけるのであれば、その方向で事務局のほうでも記載をぜひ検討させていただきたいというように思っております。

【及川議長】
ご説明ありがとうございました。
ということで、先ほどの教育関係の文言等につきましては、今、企画官のご説明があったとおり、そこも重要だということは、この場で皆さんと認識しまして、その書き込み方につきましては、事務局と議長のほうに預けていただいて、それを反映させるような形で省庁関係に報告するということで、よろしいでしょうか。
特にアクティブラーニングにつきましては、最近、現場でかなりインパクトが強くて、国内委員会総会でも、その辺の議論が先にあったんですが、要は、アクティブラーニングすることがESDだというふうなことに、すりかわるようなところがなきにしもあらずだと。
学習手法が、本当の価値・目的であるESDに取ってかわるような形になってしまうということも、これまた危惧としてあるわけです。目的と手段が逆になっては、それはいけないわけで、そういうこともきちっと踏まえた上で、このESDを進める際にとってアクティブラーニングが有効であるとか、主体的学び、協働的学びが重要であるというような書き込み方を、どの部分に、どういうふうに入れたらいいのかというのを、若干こちらでも検討させていただくということで、よろしいでしょうか。
そのことに関連して、お願いします。

【柴尾委員】
関連して。
ありがとうございます、柴尾です。
今、大変きれいに整理していただいてから、企画官からもご説明があったんですが、ひょっとしたら、懸念としまして、棚橋委員のご指摘、それから上條委員のご指摘を矮小化するような記載になりはしないかなという懸念が若干ございます。
お二人のおっしゃってくださったことというのは、アクティブラーニングとか、教科横断的のこととか、主体的・協働的な学びを、どこかの文章に位置づけておくというよりは、どちらかというとESDの意義、もしくは、その基本的考え方と、かなり前のほうで教育の側面が少し弱く語られているのではないかというご懸念だというふうに理解いたしました。
ESDは、当初から大変難しくて意義があると言われていましたのが、SD型で教育が貢献するという部分と、SDのことを学ぶことで教育が再方向づけされていくと、双方あるということがずっと言われており、そのことが大変重要なことであり、難しいことであり、だけど重要なことであるという議論が、ここ十何年続いてきたように理解しております。
それでいいますと、ESDの意義とここに書かれていることが、どちらかというと、SD主体であり、教育の再方向づけについての記載が少し緩いのかなと私も考えておりましたので、議長と事務局のほうで議論を整理していただくときに、そのような観点でも考慮していただけるとありがたいと思ったところです。

【及川議長】
柴尾委員に質問して恐縮ですが、今のようなところは、どこの部分に、どういうふうにというイメージは、具体的におありですか。

【柴尾委員】
私は、パブリックコメントの前の、委員のコメントのときにも少し申し上げたかと思うんですけれども、意義の「我が国は東日本大震災から復興途上にあり」の後か前、もしくは、第1パラグラフの後です。

【及川議長】
そういうふうなご意見を承りましたが、それに関連して、いかがですか。
じゃあ、短くお願いします。

【棚橋委員】
短くやります。理解者がいてよかったというふうに私は思います。
先ほど、上條委員がおっしゃった教育の再方向づけ、それから持続可能な社会づくりへの価値観と実践力の育成という大きな目的が、全体にしみ渡るようになってほしいなという意味では、前のほうに書いていただくということが大事かなと思います。
それから、及川議長がおっしゃっていた目的と、それから手法等のすりかわりという意味では、8ページの黒丸の二つ目に、体験活動を通じたESDの推進。ここにこうやって体験活動を出すと、体験活動をすればESDなんだと誤解される心配があります。
体験活動は大事です、地域活動も大事ですよ。でも、それは目的ではないということを明確にする必要があるように感じます。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございます。
その辺は意識しながら、事務局のほうでもまとめられたと思うんですけれども、その辺で、もし、まだそういう危惧があるというところについては、ご指摘を踏まえて、事務局と検討してみたいというふうに思っております。
柴尾委員から出された大きな話につきましては、先ほどの上條委員の話ともリンクすると思いますが、ESDのEの部分とSDの部分の融合というような、こういう必要性がずっと言われてきました。
ただ、Eだけを強調しますと、これまたESDでもなくなるし、SDだけでもというのは、またEducationの部分が薄くなるという悩ましいところもあるわけですが、そういうところがどの程度、今言ったご示唆やご提案を踏まえて、前文といいますか、Eの部分か、あるいは、2の基本的な考え方の部分に、大事な教育のイノベーションとか、そういう方向づけが十分な形でなればいいという趣旨のご意見だと思います。
もちろん、この政策的支援のa)の部分は、教育政策へのESDの位置づけに関することともに、再方向づけのことを書いてありますので、ここの部分に関しての若干の補足等もあり得るかと思います。その辺は申し訳ありませんが、ここで議論してもなかなかすぐに、これというのは出ないと思いますので、預からせていただいて、事務局と調整したいと思います。
あと、阿部委員から出された部分につきましては、ご意見を賜って、その辺の書き込み方として、もっと例示が必要だというふうなご意見だと思います。その辺につきましては、また適宜改良したいと思います。
では、佐藤委員、お待たせしました。お願いします。

【佐藤委員】
私も、この10年のプログラムに関わってきて、ジャパンレポート等でもいろいろと議論を深めてきましたけれども、今の話を踏まえて、柴尾さんのご指摘もおっしゃるとおりで、今までの10年の中では結構教育の話があったんですけれども、この10年がたったときに、非常に教育の話から学習論のほうに変わってきている状況があるんです。
そのときに、当然、教育というのは、学習を深める一つのアプローチであるわけですけれども、決して教育の新たな方向づけだけをするものではなくて、社会の地域づくりをしながら、我々がそこから学んでいくこともできるといったときに、非常にESDの後半部分で議論されてきた、ソーシャルラーニング(社会的学習)の議論が出てきているわけです。
そういったときに、従来の教育論を超えて、地域活動を通した学びの話とか、そういうものも、うまく前段部分に組み合わせていっていただけるといいのかなと思います。
教育という言葉を使うことによって、逆に地域活動の中で、全てがその個人の教育に特化してしまう状況もありますけれども、実は、この10年を踏まえた学びというのは決して個人の学びだけではないわけです。そこには組織の学びがあり、カリキュラムのマネジメントもあるわけですし、あとは社会の地域づくりに参画することによって我々が学んでいくとか、そういうようなLearning to Transform Oneself and Societyというのは、個人の変容の学びというようなものだけではなくて、社会変容の学びと連関があるといったときに、10年の話を踏まえると、まだまだ教育論で終わってしまっているのかなという印象があるので、私は、ぜひもう少し、学習という側面をもっとしっかりと据え置きながら、その一つのアプローチとして教育はあるけれども、それだけではない。
例えば、環境省がやられているような協働取組というのは、地域の中で活動しながら人が育ち、組織が育ち、市民が育つという論理の中で進んでいるわけです。
このようなことを考えたときに、ぜひ、従来のESDを超えた中でのラーニングの側面、それはまさに五つ目の学習の柱で言われているような個人変容と社会変容の学習の連関のところで、もう少し位置づけて考えていただければなと思います。これが1点。
2点目が、評価に関してですけれども、2011年にユネスコでは、政策レビュー・ツールであったり、学習のレビュー・ツール、そして実践のレビュー・ツールというものを出しているわけです。こういうものをうまく生かしながら、うまく見せていくようなものというのもある、進捗と達成度を生み出す手段として評価を使っていくということと、あとは、そのGAPの五つだけをやるのではなくて、それを生み出す相乗効果をどういうふうに見せていくかというようなことも、ぜひ評価の中で考えていく必要があるかなと思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。地域活動とか、地域でのSocial Learning(社会的学習)という言葉が出てきましたが、学校教育、あるいは個の教育だけじゃないというふうなお話の趣旨だったように思います。
その部分をどういうふうに書き込むかということで、いろんなご意見を検討してまいりたいと思います。できる部分とできない部分があると思いますがその辺は斟酌しながらやっていきたいと思います。
また、評価についてもご提案いただきましたので、その辺はぜひ参考にさせていただきながら、今後進めていきたいというふうに思います。
辰野委員、お願いします。

【辰野委員】
GiFTの辰野です。よろしくお願いいたします。
私は、ユースの部分についてお話しさせていただきたいと思います。
項目といたしまして一つ、可能であれば付け足していただきたいところが、53ページにありますユース、ESDへの若者の参加の支援の部分なんですけれども、ESDユース・ネットワーク・プラットホームの構築、そして連携という、この文章の中にも、少しずつニュアンスというのは含まれてはいるんですけれども、それを構築していき、そして連携していくということを明文化していただければと思っております。
と申しますのも、昨年10月10日、11日に、ESD日本ユース・コンファレンスというものが開催されまして、あちらにいらっしゃる秋葉委員を初めとする50名のESDのユースリーダーが集まりまして、ワークショップ形式でこの話をいたしました。
先日、1月23日には、それのフォローアップ会合という名前のもと、プラットホームの形成のための会議が行われまして、千葉大学の岩本先生、そして、文部科学省の岡本さんにも、たくさんのご所見やフィードバックをいただきながら、ユースが知り得ない過去10年のたくさんの活動や団体も、皆様のご紹介をいただきながら、ユースだけではなく、さまざまな取組、団体とつながって、よりESDを活性化させていこうという思いを新たにいたしました。
そのときに話されていましたのが、ユースネットワークがきちんと構築されることによって、先ほどお話にもありました、いわゆるコミュニティで学んでいくということで、例えばESDの活動をしている団体にインターンシップをしたり、ボランティアをユースがしていく、そうした橋渡しになったりですとか、ユース自身が発信して協力を求めることもできると思います。
そうした意味で、2019年までに、そういったことを強化して、ユースの発信、そして今までの活動の助成をしていくプラットホーム構築というのも記載をいただければと考えております。
以上です。ありがとうございました。

【及川議長】
ありがとうございました。辰野委員、ユースのプラットホーム構築は、13ページの4)のユースのところに1項目入れていただきたいというお話しですね。

【辰野委員】
はい。

【及川議長】
その辺は預からせていただいて、検討させていただきたいと思います。
では、ほかにございませんでしょうか。
川上委員、お願いします。

【川上委員】
ありがとうございます。
先ほど、阿部先生がおっしゃったことにも関連してくるんですけれども、5ページ目で、「日本が、我が国のESDをより一層推進していくために、世界のESDをリードしていくため」というふうに書かれていますので、7ページ目のグローバルな視点を書いていただいたのは大変ありがたいと思うんですが、ここの書きぶりが、すごく遠慮されているような印象を受けました。
加筆されたところなんですけれども。4行目です。
「重要であることから、ここに記載された政府の方針や政府の取組例のみにとどまるものではないことに留意する必要がある」というふうに書かれてあるんですけども、進めていくことは「重要である」というふうに言い切ってしまってもいいのではないかなというふうに感じました。

【及川議長】
書きぶりの問題と、あと、意志の表し方の問題ということで、参考にさせていただきます。
ほかに。お願いします。

【中村委員】
中村でございます。最初のころは出ていまして、その後、全然出ていなかったので、場違いかもしれない。
改めて、この紙を見ていまして、ESDのいいところが書いてあって、要は、条件に掲げたさまざまな問題を解決するための取り組みの姿勢、自ら考える、ましてや思いつく、行動するということであるわけでして、先ほどの手島さんとか棚橋さんの話にもあったように、非常に総合的といいますか、先に課題を設定して、子どもが考えるというか、地域が考えるとか、そういう課題がこういうふうに、さっき提示されていたというふうに思っているわけです。
そういう視点から、もう一度、同じことになるかもしれませんが、ほかのところでも総合性というのは消されたりしているんですけど、総合性とか横断的という視点で、まず目的を、それぞれいろんな地域で問題があるんでしょうけど、そこから一つずつ、自分はどうすればいいのか、地域はどうすればいいのかとか、各企業はどうすればいいのかとか、そういうふうに落としていくと、教育というのは別に学校教育だけではないです。学校教育も同じですけれども、そういう視点で、一度その辺は、強調していただくといいかなというふうに私は思いますけれども。
私がなんで出ているかというと、万博の事務総長をやりまして、その時の万博がESDのキックオフのイベントだと位置づけて阿部先生と御一緒に仕事をしました。
その位置づけた理由は、学校教育もありますけども、社会の仕組みとか、人々の意識を変えなきゃいけない、こういう意識でやってきたわけでして、その三つを置いて、社会のシステム・意識・教育、学校教育、全体を学ぶという意味での教育ですから、そういうようなところをどう大きな目的にブレイクダウンしていくという視点を整理していただいたら、ありがたいなというふうに思います。

【及川議長】
ありがとうございました。
先ほど、佐藤委員のほうから、社会の変容ということがご指摘されましたが、個人の変容、社会貢献、社会変革というふうなことの部分に、非常にESDが重要な取組だというふうな趣旨だと思います。中村委員ありがとうございました。
では、安田委員お願いします。

【安田委員】
13ページの地域コミュニティのところなんですが、ESD活動企画運営準備委員会のほうの議論を聞いていると、ネットワーク機能体制整備ということで、黒ポツの一番後ろから二つ目にあるのは、この文脈からいっても一番上なり、地方環境パートナーシップオフィス等におけるコーディネートの推進の前に来るべきじゃないかなと思うんですが。

【及川議長】
ただいまのご指摘は、15ページの優先行動分野、地域コミュニティの部分の、黒ポツの後ろから二つ目、いわゆるESD活動支援センター(仮称)の部分、これが非常に大きな取組であるし、今後の施策の中で、5)地域コミュニティ、ネットワークキングの中で非常に重要な位置を占めるので、この順番を先に、つまりトップに持ってきたほうが、その後が個別的というか、つながる取組として整理されるんではないかというご意見だと思います。
その辺については皆さん、どうですか。皆さん、頷いていらっしゃいますね。
そういうことで、これからも文科省、環境省が連携して行う非常に大事な施策ですので、この黒ポツの具体的な施策の中でも、特に優先順位を上げてほしい。要は、順位制の問題ですけど、上げてほしいというご意見だと思います。
柴尾委員。

【柴尾委員】
ありがとうございます。
2.基本的考え方の中の6ページ、ステークホルダーのコミットメントの促進の一番最後のパラです。その後半が、ESDが批判的思考力、分析的問題解決、云々の部分なんですが、これは文脈のつながりからを見ると、「あいち・なごや宣言」の8からの引用のように見えてまいります。
私は、ここが好きでよく引用するんですが、そうしたときに、一つか二つ抜けている要素があるように見えました。
一つは、批判的思考力、分析的問題解決の後に、創造性への関与ということ。クリエイティビティですね。
それから次は、私の英語の理解が間違いでなければ、不確実なことに直面した際の判断とあるんですけれども、不確実なことに直面した際の協働的ワーキングコラボタル、コラボラティブリーという、そこが抜けていまして、その協働的に判断をしていく。我々にとって大変難しく、また重要な学びの要素かと思います。不確実な、本当に直面する毎日、日常と世界でありますので、それを協働的に判断を下していくのだということを、原文を引いて書いていただけるとありがたいと思います。

【及川議長】
ということで、「あいち・なごや宣言」の引用のところで、大事なキーワード二つを入れていただきたいという、これはテクニカルという部分と理念の両方を含むと思うんですけども、この辺は事務局のほうで検討をよろしくお願いします。
では、お待たせしました。どうぞ、手島委員。

【手島委員】
細かい話になりますが、12ページをご覧いただいて、教職員研修のところなんですが、ちょうど中ほどの辺りで、大学の教育学部等において、その自主的な判断のもと、ESDについて取り上げることを推奨すると書いてあるんです。これは何なんだろうと思います。
つまり、そんな自主的な判断を尊重するだけじゃなくて、これはどんどん助言するとか、指導するとか、そういう立場でやっていただかないと学校の教育は変わらないんです。教員が変わらない限り、授業は変わらないし、子どもは変わらないわけですから、ここは物すごく大事なところなんです。それを、もうちょっと、きちっと指導して進められるような話にしていただけたらなというふうに思います。
以上です。

【及川議長】
加藤委員。大学の立場として、いかがでしょうか。

【加藤委員】
同感なわけです。それで、大変申し訳ないことになるかもしれませんけれども、それを大学の教育学部等においてやっていける錦の御旗が欲しいのです。そんなものは自分でつくれと言われたら、それはやるんですけども、その錦の御旗に、こういうものがなっていけばいいなと、ありがたいなという次第です。

【及川議長】
ありがとうございます。
今、先ほど企画官がおっしゃいましたように、これら全体が教育改革のプロセスの途上にありますので、その中で、どれだけそういう部分が出せるかという部分につきましては、いろいろと調整等も含めてあるかと思いますので、それらは、我々議長と事務局にお預けいただいて、可能な限り対応するということで、ご了解いただければと思います。ありがとうございました。
じゃあ、阿部委員、お願いします。

【阿部委員】
ありがとうございます。
基本的考え方の(3)国際アジェンダへのESDの反映というところですが、ここで、先ほど2030アジェンダのゴール4を引用されて書いていただいているんですが、これはこれでよろしいと思うんですが、もっと強調していいのかなと思うんですね。
これは、教育、学校教育、それから生涯学習が、このゴール4に入っていますけれども、そもそも、この2030アジェンダの17目標を達成していくためには、教育が、本当に一つには大事なわけですよね。ベースにあるわけですよね。
ですから、そういう意味では、ただ、ここに持続可能な開発の促進に必要な知識とスキルの習得の保証が掲げられているという、ここだけではなくて、2030アジェンダをこれから本当に全世界で、あるいは本来全ての省庁が、あるいは地方を含めて取り組んでいくべき課題ですので、そういう意味では、本当に2030アジェンダを達成していくためには、ESDが決定的に重要なんだというぐらいの、そういうニュアンスで入れていただいたほうがいいのかなと。
そうすることによって、今、文科省、環境省が、この政府では中心的にESDに取り組んでいるんですが、他の省庁も連絡会議がありますけども、当然このSDGsは、各省庁も視野に入れているわけで、ESDが大事だと。また、地方公共団体も、あるいは他の主要なステークホルダーがこれに取り組んでいくという、そういう意味で大きく強調されていいのかなと思います。
あと、評価のことなんですが、先ほど佐藤委員もおっしゃったような、非常に幅広い評価が多分必要なんだろうと。つまり、フォーマルエデュケーションだけではなくて、フォーマル、ノンフォーマル、インフォーマルというか、そういった中での学びという、そういうことが必要なんだろうと思います。
つまり、今までのユネスコのレビューを参考にしながら、日本では特に持続可能な地域づくりというか、そういったことを踏まえて学習という、つまり市民の学習という、あるいは多様なステークホルダーの学習という、そんなふうなことが非常に重要なんだろうと。
そのときに、今、文科省、環境省も含めて多様なところから、あるいは民間なども含めて、このESDの進捗状況と言いますか、あらゆる取組をやっていらっしゃったとこがいっぱいあって、いろんな成果が出てきている。
その成果が、例えばESDをやって、岡山などが10年以上たっている。そういった中で、子どもたちがこんなふうに変容してきている、あるいは地域の住民がこんなふうに変容してきている。そういった、いわゆるエビデンスというのは、いろいろ出てきているんです。
ところが、そういったエビデンスの共有がなされていない。要するに、個別に、それが手に入るところでしかなかなか使えない。
ですから、こういったエビデンスを何とか集めていく、あるいは共有していくことが非常に重要だろうと。恐らく、それが例えばESD活動支援センターが今度できることによって、そういったところが、そういうエビデンスを集めていく。つまり、そこにいろんなデータを送っていくというふうなことが、そんなふうな仕組みができるといいのかなと思っています。
つまり、非常に多面的な評価ということで、点から線へと、そんな形で広がっているという、そういう、いろんな取組を、今日も八名川の取組がまとまっておりますが、本当に、こういった取組がいっぱいあるんですよね。ところが、それが積まれていくだけで、ちゃんと見られて、そうして、その中でエビデンスはどうなのかというところがまだまだだと言える。そういう意味で、そういうふうなことを蓄積していく場が必要だろうと。
それと、あとは実際に、その研究者を含めて、いろんな評価をなさっている方がいらっしゃるわけで、そういったデータも合わせて、これはネットで見ればいいという話もあるんですが、なかなかネットで見るといっても難しいですよね。
ですから、そういったこともまとめていくようなところがあっていいのかなと。そんなことを実施計画で位置づけていただけるといいのかなと思っています。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。
評価・点検・見直しにつきましては、先ほど冒頭に企画官から、ご説明あった中に、ESD活動支援センターを活用するであるとか、事例を収集するであるとか、そういうことも念頭の中においていらっしゃるようなので、我々として、その部分について、円卓会議としてどういうふうに協力できるのか。
あるいは、棚橋委員からあった、全国のユネスコスクールの協議会等も、評価点検のところで情報収集、あるいは意見として貢献できるのか、その辺をみんなで意見を出していただきながら、今後その評価の仕組み、枠組みと、そのサイクルみたいなのをつくっていければというふうに思います。
皆様の熱い議論であっという間に時間が過ぎていきまして、この後は報告等もありますので、そろそろこの議論を収束していきたいと思うんですが。
まだ、ご発言いただいていない委員の皆様がいらっしゃいますので、ぜひ、この機会ですので、よろしくお願いします。
今井委員、お願いします。

【今井委員】
高等学校の今井です。よろしくお願いします。
3)教育者の育成というところに、私は大きな期待をしております。裾野を広げていくということからすると、まだまだ足りないということになります。
そして、さまざま補助教材、どのようにしたら適切なESDの推進ができるかという資料、参考資料については、ぜひデータベース化するということが必要だと思いますし、3)の最後の黒ポチには、それが書かれているかと思います。
愛知県の取組について紹介させていただきますと、面として広げるということで、今年度からユネスコ支援会議というものが、自治体として愛知県教育委員会の生涯学習課が音頭を取って、かつ学識経験者としてUnivNetが中部大学の宮川先生の座長に開かれている。
年3回開かれましたが、一つには、ESDを推進している学校を中心に、希望する学校に対して講師を派遣する。国際理解、環境、ESDそのものに対する啓発的なもの。今年度は15校実施しました。
それから、国内において、小・中・高の各1校ずつが、他県へ出かけて行って交流したということ。
それから、愛知県は10年前に万博が開かれまして、その跡地を利用して、そこで全県的な取組としてユネスコスクール、ESDを推進している学校の発表を行った。
さらに、UnivNetのほうから、さまざまな義務教育、県立、さまざまな働きかけをしていただきまして、教育者あるいは児童・生徒が参加する機会を得たというところであります。
それをもって、ESDを推進している学校の支援プラス裾野を広げるという意味から、そうでない学校への啓発活動がなされたのではないかなというふうに考えております。
紹介ということで、発言させていただきました。
以上です。

【及川議長】
情報提供をありがとうございました。
今後また、この教育者の育成が進むということに、この実施計画が役に立つような形で、地域におりてくるようになることを期待しております。どうぞよろしくお願いします。
じゃあ、秋葉委員お願いします。

【秋葉委員】
エコ・リーグの秋葉です。よろしくお願いします。
私からは、一点ご提案させていただきたいと思います。
先ほど辰野委員からもありましたとおり、ESDに関わるユースのネットワークの構築というのを追加できたらしていただきたいと思っております。
と言いますのも、13ページの4)ユースのところの黒ポツの一番下に、「全国ユース環境ネットワーク促進事業」の実施ということで、環境活動を行うユースのネットワークというのが記載されていると思うんですけども、私自身は、エコ・リーグという、全国の環境活動を行っている大学生や若者をネットワーキングするNPOで活動しておりまして、そこでの活動であったり、あとは10月に開催されましたESDのユースコンファレンスなどを通しまして、ESDに関わるユースというのは、本当に環境活動問わず、本当にいろんな分野で活動しているESDのユースがいますので、ここには環境活動を行う高校生・大学生のネットワークというふうに記載がありますけども、これだけではなく、環境活動にとらわれない、さまざまなESDに関わるユースのネットワークの構築というものも検討していただけたら幸いです。よろしくお願いします。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。
13ページ、ユースの下ポツの部分で、環境というふうなことで掲載されているわけですが、環境に限らず、さまざまな活動を行うユースのプラットホーム、先ほど、辰野委員からありましたけれども、ネットワークがあるということを考慮していただきたいというふうなお話だと思います。よろしくお願いします。
じゃあ、篠塚委員からお願いしたいと思います。

【篠塚委員】
所用で遅れまして申し訳ございませんでした。
既に前半のところで皆さんからご意見が出ていたかもしれませんけれども、私のほうから一点だけ。
事前に資料いただいておりましたので、週末に拝見させていただいた感じでは、これは非常に重要な取組であるということで、いわゆる総論的なんですが、ことが教育ですので、関係者といいますか、それは非常に幅広くなるのであろうということで、せっかくこういった取組を、計画をつくって、点検・見直し・評価する、PDCAを回していこうということでやろうとしているわけですから、これを広く広報していくということが重要ではないかということ。
それは、このテーマにかかわらず、よく指摘される視点だと思いますが、この問題固有に、どうしたらいいかというところまでは、私は、すぐアイデアが浮かびませんが、そういった広報活動をもっときちんとして、広く社会の皆様に知っていただくというために、ここにいらっしゃる委員を初め、いろんな方のお知恵を集めてというところが必要かなと思った次第でございます。
以上でございます。

【及川議長】
ありがとうございました。
非常に総括的な実施計画ですので、さまざまなステークホルダー、多様なセクターが参画するということの中での、それを裾野を広げるための広報、あるいはそのエビデンスを共有するための広報ということの話だと思います。
5番目の地域コミュニティのところの中に、そういう広報・発信・共有というみたいな、そういうところの部分も、もし、記述があればというふうなところを思いながら、お聞かせいただきました。
参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

【佐藤委員】
手短に。
今の篠塚委員を踏まえてなんですけれども、評価そのものが、いろんな活動の結果としての評価ではなくて、先ほどからありますように、形成的にこれを見せていくといったときに、ESDというものが、ESDの進捗と達成を生み出す手段として評価というのを機能させていくといったときに、評価というものを、ただやって、それを見直しにするのではなくて、評価そのもの一つの達成といったこと、見せていく広報と連携させていくという、そういう評価の使い方というのは、決して今の進捗だけを把握するものではない、見せ方やアプローチは、表に対する出し方とか周知の仕方と組み合わせてやっていくことがよろしいのかなと思います。
この評価の中に、周知・広報というようなことと関連づけて書いていただければと思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。
評価の取組ということで、ご助言だと思います。参考にさせていただきながら、評価の枠組みを事務局と相談していきたいと思います。
では、柴尾委員。最後ということで、よろしくお願いします。

【柴尾委員】
手短に申し上げます。
11ページ、機関包括的アプローチなんですが、これは大変耳なれない言葉で、わかりにくいところかと思います。
この中で、先ほどの教科横断的なカリキュラムづくりや、主体的、行動的な学びが恐らく復活されてくるようなところもあるかと思うんですけれども、さらに、ユネスコの資料によりますと、その機関包括というのは、カリキュラムと内容だけではなく、例えば調達、水やエネルギーの利用、ごみ管理、それから組織の運営方針等々が含まれるわけで、そのことを一言書いていただくと、この機関包括的取組のイメージもわきやすいのではないかと思います。
例えば、本日ここにエコ・バック商品というのが配られているのは、例えば政府の調達において、機関包括的にESDを考えていらっしゃるという、一つの証左かと思います。

【及川議長】
ありがとうございます。
そういうマネジメント的な部分が、例えばサステイナブルキャンパス的なところが出てきてほしい。そういうふうなところの部分の脈絡だと思いますが、そういうところでの機関包括型、ホールスクールなのか、という問題があるかと思うんですが、そういうところだったと思います。
ありがとうございました。
皆さんからたくさんの意見をいただきまして、大変ありがとうございます。
それをできる限り汲みとった形で、今後、国内計画案の改訂に向けて、レビュー、ブラッシュアップということがあるかと思うんですけども、事務局におきましては、関係省庁連絡会議での正式決定に向けて、引き続き、今のご意見を踏まえながら調整等をお願いしたいと思います。
また、後半にご議論いただきました実施計画の点検・見直し・評価のあり方につきましては、本日いただいたさまざまな知見、それからご意見を踏まえて、具体的な進み方について、事務局において引き続き検討し、それから各委員に適宜ご相談いただいた上で進めていただくように、どうぞよろしくお願いします。
その中でも、円卓会議が評価の部分で役割を担うということもここに記載されていますので、今後、そういう円卓会議の定例的な開催の部分につきましては、よろしくご配慮いただければというふうに思います。
それでは、司会の不手際で大分時間が過ぎてまいりましたが、次に議題2のほうに移りたいと思います。
どうしても、さらにご意見発言したいという方は、最後にまた聞きますので、そのときご発言いただけたらよろしいかと思います。
議題2、ESDに関連する最近の取組についてということで、事務局より、ご説明をお願いしたいと思います。
鈴木室長さんからお願いします。

【鈴木室長】
環境省でございます。
資料は用意していないのですが、先ほどの資料2-1の9ページをご覧ください。
全国的なESD支援のためのネットワーク機能の体制整備ということで、ESD活動に取り組むさまざまな主体が参画・連携し、地域活動拠点の形成とともに、地域が必要とする取組支援や情報・経験を共有できる「ESD活動支援センター」、これを今整備しておるところでございます。
これは、環境省のみならず、文科省さんとも連携を取りながら進めております。
昨年の10月20日でございますが、ESD活動支援センターの運営業務ということで、事務局を担っていただく事業者の選定、こちらのほうを企画競争により公示させていただきまして、企画書を10月23日に締め切りまして、省内の手続、そういったものを経まして12月1日に契約を締結させていただきました。
現在、センターのほうの受託団体が決まりましたということもございまして、東京の青山、これは国連大学のそばにあるんですが、コスモス青山というところのビルの一角に事務局を設置しまして、今後、センターとして発足するためのもろもろの準備がございます。そういったことに今取りかかろうとしております。準備のためのスタートを切らせていただいたというところでございます。
今後、4月を目途にセンターを開設しようと、関係省庁あるいは地域の方のご意見なども伺いながら、地域の実態を踏まえた具体的な運用、こういったあり方について検討していきたいと考えております。
センターの関係は、以上でございます。

【及川議長】
ありがとうございました。
それでは、続きまして、ESD関係予算についてご説明いただきたいと思います。

【福田国際戦略企画官】
資料3のほうをご覧いただきたいと思います。
資料3と記載されている表面が文部科学省、裏面のほうが環境省さんの予算案に関するものでございます。
私どもの文部科学省関係の予算でございますが、失礼しました「予算(案)」でございます。現時点では、まだ案でございまして、国会でご審議いただいているところでございますが、ここに記載されているのがESD、そして、その中核となるユネスコの教育関係の予算案でございます。
ここの一番上にある総額を見ますと、若干減ということになっておりますけれども、この中核となります、一つ目の白丸である日本/ユネスコパートナーシップ事業。それから、二つ目のグローバル人材の育成に向けたESDの推進。これは、いずれも国内向けの事業でございますけれども、この二つの事業につきましては、財政事情が厳しい中ではございますが、増額を確保したということでございまして、引き続き、さまざまな形で、現場で取り組んでおられる方々を支援してまいりたいというように考えております。
詳細は割愛させていただきます。

【鈴木室長】
続きまして、裏面のほうでございます。
環境省でございます。
「持続可能な開発のための教育」(ESD)関連予算案額ということで、大きく二つ。
全体としては2億1,800万円。
まず、1番のほうなんですが、先ほどご説明させていただきましたESD活動支援センターの運営等経費ということで3,500万円を計上させていただいております。
これは、文字どおりセンターの維持費ということで、建物の借料であるとか、光熱水料、清掃の関係、通信、運搬という施設の基本機能の維持のための経費。こちらのほうを計上させていただいております。
中身的には、ほかにも情報の収集であるとか、ESDの普及啓発事業、センター業務の関係、そういったものもこの中に含めてございます。
二つ目の環境教育・ESD基盤強化(人づくり・拠点づくり)促進事業ということで、こちらのほうは1億8,300万円。ESDの推進を図る上で課題とされる「人材の育成」であるとか、「教材・プログラムの整備」、あるいは「連携・ネットワーク化」、こういったものを計画的に進めていくというものの経費、これについて計上させていただいておるというところでございます。
以上でございます。

【及川議長】
ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、ユネスコ/日本ESD賞及び「ESD実践の手引(仮称)」について、文科省からお願いします。

【福田国際戦略企画官】
資料4と資料5のほうをご覧いただきたいと思います。
資料4のユネスコ/日本ESD賞。こちらは、広告と、それからご案内も兼ねたものでございます。
このユネスコ/日本ESD賞につきましては、既にご承知の方も多いかと思いますけれども、ESDに関するユネスコ世界会議におきまして創設を発表したものでございまして、我が国の財政支援により、ユネスコにおいて、こういった賞を授与するというものでございます。
二つ目の白丸のところにございますけれども、初めての授賞式というものを、昨年に開かれましたユネスコ総会において、合わせてこの表彰式を実施したところでございます。
これは総会ということもございましたので、ユネスコのトップであるボコバ事務局長、そして、この総会に出席しました馳文部科学大臣の出席の下、この表彰式というものを行ったところでございます。
この授与者につきましては、下にある三つの国の団体というところでございます。
そして、このESD賞でございますが、一番上の白丸の期間のところにございますが、このGAP(グローバル・アクション・プログラム)が実施される5年間、毎年行うということになっております。したがいまして、本年もこの賞というものを授与することになっておりまして、現在、国内公募というものが行われているところでございます。
先月末に、この公募を開始したところでございまして、公募の締め切りを3月22日ということにしております。
もちろん、これはESDということではございますけれども、学校関係ではなくて、ESDに関わるさまざまな方々の取組について応募することが可能になっておりますので、ぜひ幅広い方々の公募をご検討いただければ幸いというように思っているところでございます。
この公募の詳細につきましては、文部科学省のホームページのほうにあるところでございます。
なお、スケジュールに関しましては、3月22日に公募を締め切った後、国のほうで選考作業というものを行い、そしてユネスコのほうに推薦を行い、そしてユネスコのほうで、さらに、それが集まり、日本以外の国から来たものも含めて選考というのが行われるということでございます。
ユネスコのほうが決定するのが、今のところは7月末というように聞いております。これは予定でございます。
そして、仮に受賞ということになれば、表彰式が昨年と同様、本年末、11~12月ごろに行われるのではないかというものでございます。
これが、ユネスコ/日本ESD賞でございます。
もう一つ、資料5でございます。
「ESD実践の手引」これも仮称でございますけれども、これは実施計画(案)のところでも記載させていただいているものでございますけれども、教育関係の取組として、こういった手引を作成する。これはユネスコ国内委員会の特別分科会におきましても、この手引の作成というものが提言されているところでございます。
現在、これに関しまして、部内で作業というものを行っているところでございまして、これに関しましては、当然、事務方だけでできるものではございませんで、本日お集まりいただいている方の中でも、何人かご協力いただいている委員の先生方がいらっしゃいますけれども、さまざまな方からご意見をいただきながら、作成作業を行っているところでございます。
現時点での構成については下にあるとおりでございまして、私どもといたしましては、先ほど、来年の予算案をご説明したところでございますが、この予算案に沿って、さまざまな取組、研修などが行われる際に、ぜひ、この手引を活用する形で、この研修というのが行われるようにできればということで、現在作業を進めているところでございます。
また、これは作成され次第、円卓会議の委員の方々も含め、さまざまな形で周知したいというふうに思っております。
以上でございます。

【及川議長】
ありがとうございました。
ただいま、(仮称)支援センター、それから予算案、それからESD賞、それから「ESD実践の手引」ということで、ご説明いただきました。
せっかくですので、以上の説明について、質問等があれば、お受けしたいと思います。
佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】
ありがとうございます。
「ESD実践の手引」なんですけれども、非常にこれは重要な取組なのかなと、私は思っております。
私は、国研の仕事で、ESDの報告書等でも関わらせていただいたんですが、ああいうようなガイドラインなり、方向づけというようなものが、学校現場だけではなくて、地域の中でも非常に大きな役割を果たしていることを考えると、この実践の手引というのが、学校の現場だけではなくて、非常にほかの地域でも活用し得るものなのかなという実感を得ております。
今後、この活用方策については、あくまでも学校の管理職、教職員を対象としたものなのか、それそのものが、よりほかのところでも活用できることを想定としてつくられているのか、そこら辺の方向性をご指摘いただければと思います。

【及川議長】
それでは、事務局お願いします。

【福田国際戦略企画官】
この検討状況の一番上の白丸でございますけれども、もともとの特別分科会報告書におきましては、全ての学校におけるESDの実践を推進するため、ここにありますような事柄について作成すべきということで、基本的には、学校教育に対してこういったものをつくるべきというふうに提言をいただいているところではございます。
また、この手引の中で盛り込むべき内容につきましては、手引と言えば、その趣旨からしても、ある程度は中身を精選してつくっていく必要があるというところではございますので、その中で、どういったところができるかというところは、また検討したいというふうに思っておりますが、他方で、いずれにいたしましても、このESDというのを行っていく際に、学校というのが一つの大きな主体であることは間違いないところでございまして、その中でどういった活動をしていくか、そしてまた、その活動のあり方、やり方、中身などについて、さまざまな学校外の方々のご理解をいただくということは大変重要なことでございますし、そういった形で、学校の実情などをご理解いただく中から、よりよい実践というのが、学校側も含めて生まれてくるものであろうということでございますので、周知ですとか、あるいは、それをどのようにいかしていくかということについては、さまざまな方にもご協力を、あるいは、いただけるように、ぜひ工夫していきたいというふうに考えてございます。

【佐藤委員】
ありがとうございます。

【及川議長】
ありがとうございます。
個人的な見解で大変恐縮ですけども、ESDは学校現場だけでできるものではないというのは実践者はみんな全て認知しているところでありまして、当然、学校対象の手引であっても、地域との連携の仕方であるとか、専門機関とどういうふうにつながってESDを豊かにするであるとか、そういうふうなことも、この中身に含まれるというふうに勘案すれば、それは裏を返せば地域の方々が、学校に対するどのような貢献ができるか、地域とどういうふうにコラボレーションができるかということの写し鏡でもあるというふうな意味合いの上で、ぜひ積極的に地域にも発信していただければというふうに思った次第です。
そのほか、何かご質問は。
辰野委員から、お願いします。

【辰野委員】
「ESD実践の手引」に関してなんですけれども、実は、私は過去に国際理解教育のハンドブック作成に関わったことがありまして、その際に起きたことが、ハンドブックは非常に内容はいいものではあったんですが、どのように使っていくかということが、よくわからないということで、結局その事業の中身を実際の実践の場に生かすことが難しかったというフィードバックをいただいたことがありました。
そういう意味で、この手引ですけれども、どのように使っていくかというワークショップや研修会などのご予定がありますでしょうかと、伺いたいです。

【及川議長】
これは、実施計画でそういうふうなことが盛り込まれていますが、具体的な今後の普及プランとしての見通しだと思います。よろしくお願いします。

【福田国際戦略企画官】
先ほど申し上げたとおり、私どものほうで研修というのをさまざまな形でお願いしている中で、この手引を使っていく。つまり、ある種その活用というのが前提になっている面というのがございます。
ただ、他方で、それを実際にどのようにやっていくのか。これは当然、それぞれの研修をお願いする先生方、あるいは、そこに参加される教職員、あるいは学校外の方もいらっしゃるかもしれませんが、そういうニーズですとか、いろいろな実情を勘案する必要があるかというように思っております。
なので、そういった方々の主体性というものも大事にしつつも、ただ、結果的にそれがいい形で使われないというのであれば、それは無駄になってしまうというのは、まさしく委員ご指摘のとおりでございますので、私どもといたしましても、できるだけ現場に寄り添う形で、積極的にそういったことを提案していきたいというように思っております。

【及川議長】
ありがとうございます。
活動の見通しが、かなりこういう具体的な施策になっているということで、ご理解いただければと思います。
それでは、棚橋委員お願いします。

【棚橋委員】
日本ESD賞について、お願いです。
多額の税金を使って表彰している。
パリでは、ユネスコ本部では華やかな表彰式であったと思うのですが、我々日本にいる者にとっては一体どういう内容なのか、ほとんど見えてこない。
できたら、この表彰された代表の方を日本に呼んで、日本で講演会なり発表会もしてほしいと思うのです。そうでないと、表彰されました、でも、このグァテマラの方もインドネシアの方もドイツの方も、どういうことをしていたのか、ホームページを見て、英訳して自分で勉強しなさいということになるわけで、ESDを広め充実させることにならないと思います。
それは、広報するという本当にいいチャンスを逃しているように私は思います。
これだけのお金をかけているわけですから、ぜひ、国内で広報に使っていただきたいと思います。

【及川議長】
いかがでしょうか。

【福田国際戦略企画官】
ありがとうございます。具体的な提案ということでございまして、どういったことができるかは、ぜひ私どものほうも考えていきたいというふうに思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございます。
3月22日が締め切りだそうですから、皆さんも、団体あるいは関連する団体に広報いただいて、日本からのESD賞をもらえるような形になればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ご意見。手島委員お願いします。

【手島委員】
さっきの手引のほうに戻るんですが、今まで自分がいろんな企業の方ですとか、それからNPOの方ですとか、そういう人たちと連携しながら事業をつくってきたときに非常に問題だなと思うことを一つお伝えして、手引の際に、少し反映していただけたらと思うんです。
というのは、いろんな方が協力してくださる姿勢はよく感じるんですが、実際に授業をやっていくと、最終的に自分たちのノウハウを教えるだけに終わってしまって、子どもの学びを壊してしまう。つまり、子どもの学ぶ気持ちを高めて終わればいいのに、答えを教えて帰ってしまうということがよくあるんです。
ですから、そういう学校に協力する場合、授業に協力する場合は、必ずしも答えを教えることが協力ではないんだということを、しっかりそういう中に書き込んでおいてほしい。
これをしないと、いろんな現場に、いろんなところが入ってくることはいいんだけれども、結局は教えてもらう学習スタイルから、日本の教育がどこまで行っても抜け出せないということになりかねないと思います。
ぜひ、お願いいたします。

【及川議長】
そういうふうなご提言ということで、受け止めていただければと思います。
あと、付け足しで恐縮ですが、私のほうからも一つお願いがあるんですが。
手引ということの拘束力といいますか、力というのは、かなり強いものになるかと思うんです。教育現場というのは、文部科学省が生み出す、そういう手引であるとか、報告書とか、そういうことに対応して、非常に真面目にといいますか、一生懸命取り組むという日本の教育のすばらしさがあるという反面、ESDというのは、地域課題に則して、さまざまなアプローチ、多様性がある。今の話と、ある程度つながる部分があります。
子どもの創造性というのは、非常に重要なポイントである。そこの部分を十分担保するというか、保障するような形での手引であってほしい。ESD的な手引であってほしいなと思います。「これをやるとESDですよ」みたいな画一的な手引きを求めるのも、また日本の教員傾向としてあるので、優良事例とかそういうのが載ると、「そのとおりやればESDなんだ」みたいなことになってしまったら、せっかくこれまで高まってきた積み重ねてきた様々な取組が、逆の意味でもったいないことになってしまうと思います。そこは老婆心ながら、よろしくお願いしたいと思っております。
佐藤委員。

【佐藤委員】
今度は、活動支援センターの件なんですけれども、地域の中で、面のプロデュースという意味の中では、支援センターというのは非常に重要な役割を持つと、私も思っております。
その一方で、その地域には、例えば学校現場の教育委員会、社会教育施設、さまざまな、ある面ハブ機能を持っていたときに、これが、支援センターが抽象的なものをするというよりも、それがまた、ほかの中間支援とうまくつながり合うような、それがこの状況に応じてというところと、指摘はされていると思うんですけども、ぜひ一律なものというよりも、その地域の状況に合わせながら、ハブ機能同士の連関というのも、ぜひ、ご検討いただければなと思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございます。
鈴木室長さん、それについて、コメントをいただければ。

【鈴木室長】
今、先生がおっしゃいましたとおり、こちらのほうも、全国センターのみならず、地域の実態というものを踏まえて活動していかないといけないというところもございますので、地域センターの今後を目指していきたいと思っております。
そういう中で、地域の課題解決に向けてESD活動に取り組む団体、そういったところに対しまして、活動支援を広くやっていきたいと、このように考えています。

【及川議長】
ありがとうございます。
そちらのほうは、ESD活動支援センター企画運営準備会から委員会になりまして、ますますそれが詰めて行かれるということで、阿部委員を座長にしながら、今進めているところで今のような議論がされていますので、それを踏まえてやられると思います。よろしくお願いします。
それでは、よろしいでしょうか。

(はい)

【及川議長】
ありがとうございます。
本日予定していた議題は以上で終了いたしましたが、最後に特段のご発言があれば、お願いしたいと思いますが、どなたかございますでしょうか。よろしいですか。

(なし)

【及川議長】
それでは、今日はたくさんの意見を頂戴しました。
ESDの国内実施計画案につきまして、前向きなご発言、ご提案、ご助言をいただきまして、大変ありがとうございます。それを踏まえて、最終的に完成するということで、事務局のほうで、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これで本日の円卓会議を閉会いたします。ご多忙のところ、ご出席ありがとうございました。

―― 了 ――


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