第36回日本ユネスコ国内委員会科学小委員会政府間水文学計画(IHP)分科会 議事録

1.日時

令和4年4月13日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

(委員)
沖主査(国内委員会委員)、道田委員(国内委員会委員)、小熊委員、小野寺委員、風間委員、鼎委員、久保委員、小杉委員、小林委員、佐山委員、立川委員、近森委員、辻村委員、檜山委員、古市委員
(事務局)
岡村事務総長(文部科学省国際統括官)、堀尾事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4.議事録

【堀尾国際統括官補佐】  委員の皆様、今日はお忙しいところを御参加いただきまして、ありがとうございます。
 10時の定刻になりましたので、日本ユネスコ国内委員会科学小委員会第36回政府間水文学計画(IHP)分科会を開始いたします。
 本日の議題1の新主査の選出までは、事務局において進行いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 本日は、出席委員が14名で、委員の過半数を満たしておりますので、定足数を満たしております。
 なお、本日は報道関係者の取材を受け付けておりまして、朝日新聞の方に傍聴いただいておりますので、あらかじめお知らせいたします。また、関係省庁からも傍聴いただいております。
 それでは、ただいまから第36回IHP分科会を開催いたします。
 本日の議題のうち議題1及び4に関しましては、事前にお伝えしておりますとおり、非公開とさせていただきます。非公開の部分を除いて、御発言は議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 続きまして、前回の分科会以降、委員及び事務局に交代がございましたので、御報告いたします。
 配付資料の参考1を御覧ください。資料につきましては、事前にお配りしておりますPDFでしおりをつけておりますので、そちらを御活用いただければと思います。
 まず、令和3年12月1日付で、沖大幹東京大学大学院工学系研究科教授、道田豊東京大学大気海洋研究所教授が着任いただいております。
 また、立川康人京都大学大学院工学研究科教授は、11月30日付で日本ユネスコ国内委員会の任期が満了になりましたが、引き続きIHP分科会で御参加、御協力いただくため、調査委員として12月1日付で着任いただいております。
 次に、令和4年4月1日付で、小熊久美子東京大学大学院工学系研究科准教授、久保純子早稲田大学教育・総合科学学術院教授が御着任いただいております。
 それでは、まず、新たに本分科会に着任された委員の皆様方から、一言いただきたいと思います。まず、沖委員からお願いいたします。
【沖委員】  皆様、こんにちは。沖と申します。私は、グローバルスケールの水循環と世界の水資源という研究をしておりまして、IHPに関しましては、第8期のアイデア出しのときに少しお手伝いした覚えもございますし、20年ぐらい前に、IHP5や6のレビューの会合に行った記憶もございますが、本格的に関わりますのは初めてで、大変光栄です。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。
 次に、道田豊委員、お願いいたします。
【道田委員】  改めまして、東京大学大気海洋研究所の道田でございます。どうぞよろしくお願いします。専門は海洋物理学ですが、最近は海洋政策といったほうに軸足を若干移しております。ユネスコ関係では、同じ科学小委員会の下の政府間海洋学委員会(IOC)分科会の主査を仰せつかっております。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、小熊委員、お願いいたします。
【小熊委員】  東京大学の小熊と申します。初めましての皆様が多いかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。私自身、水環境の調査とか水処理の技術の開発といったところを専門にしておりまして、水文と伺うと、もしかして分野外かなと最初は感じたところもございましたが、この機会に、しっかり勉強させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、久保委員、お願いいたします。
【久保委員】  早稲田大学の久保と申します。自然地理学専攻で、地形学、平野の地形とか川の地形とかを研究しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、事務局の異動について御報告いたします。
 本年4月1日より、文部科学省国際統括官、日本ユネスコ国内委員会事務総長として岡村直子が、国際戦略企画官、日本ユネスコ国内委員会事務局次長として白井俊が、また、ユネスコ第三係長として氏師大貴が着任しております。
 また、私、国際統括官補佐の堀尾多香と申しますが、以前から国内委員会の事務局にはおりますが、今年4月より、こちらの科学担当をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、開会に際して、日本ユネスコ国内委員会事務総長である国際統括官の岡村より、一言御挨拶申し上げます。
【岡村国際統括官】  ただいま御紹介にあずかりました岡村でございます。4月1日付で着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は御多忙のところ、IHP分科会委員及び関係省庁の皆様におかれましては、本分科会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。新型コロナウイルス感染症の流行が拡大してからもう3年目の春を迎えた、こういう状況でございますが、ユネスコでの会議も、オンラインとかハイブリッドなどの開催が続いてまいりました。そのような中で、昨年11月には第41回ユネスコ総会が対面で開催されまして、IHPの第9期戦略計画の策定も、総会で報告をされました。この場をお借りいたしまして、計画の策定や実施に関するタスクフォース、専門家会合ですとか様々な作業部会、また、加盟国の意見照会に御協力をいただきました委員の先生方や関係省庁、機関の皆様に、改めて御礼を申し上げます。
 本年は、これからの8年間をターゲットとした、IHPの第9期戦略計画の開始年でございまして、IHPの新たなフェーズに入る非常に重要な年でございます。また、IHPの第9期戦略の策定期がコロナ禍だったこともございまして、衛生面でも管理面でも、水の重要性を唱える声が高く上がっておりまして、科学的アプローチによって持続可能な社会の構築を目指すIHPの役割は、世界的にも注目をされております。
 本日は、最近のIHP関係の動向に関する報告とともに、今月の23日、24日に熊本市で開催される第4回アジア・太平洋水サミットについての情報共有をいただきまして、その後、今月26日から29日にユネスコで開催されます第25回のIHP政府間理事会の対処方針について、御議論をいただくこととなっております。
 日本ユネスコ国内委員会の事務局といたしましても、国内外の様々な動きを踏まえながら、IHPをはじめとしたユネスコ科学分野の推進に尽力してまいりますので、委員の方々、関係省庁の皆様におかれても、一層の御指導と御鞭撻、御協力を賜りますようにお願いいたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございました。
 
<議題1.政府間水文学計画(IHP)分科会主査の選出【非公開】>
 日本ユネスコ国内委員会科学小委員会分科会設置要綱第4条に基づき、本分科会所属委員の互選により沖委員が主査に選出された。 

 (傍聴者等の参加)

<議題2.前回会議以降の活動報告等について>
【沖主査】  それでは、議題の2、前回会議以降の活動報告についてに入りたいと思います。
 本議題では、昨年6月に開催されました前回分科会以降のユネスコ本部や地域事務所での主な動きの報告と、国内での取組について御説明いただきたいと思います。報告、説明は、できればそれぞれ3分、あるいは長くとも5分程度でよろしくお願いいたします。また、それぞれの活動に関する補足や質問は、全ての御報告を受けた後で、最後に伺いたいと思います。
 まずは、本件について、事務局から報告をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。それでは、資料1を御覧ください。こちらは、昨年の6月9日開催の前回のIHP分科会以降のIHPに関する活動につきまして、各委員及び機関で取り組んでいただきました活動をまとめております。詳細は各委員から後ほど御報告いただきますので、私から概略を報告いたします。
 まず、第24回IHP政府間理事会が昨年、2021年6月28日から30日に、こちらはコロナの関係でオンラインにて開催されました。我が国からは、IHP分科会より立川主査、鼎委員、小林委員、佐山委員、辻村委員、春山委員、村瀬委員のほか、寶京都大学教授、小池ICHARM(International Centre for Water Hazard and Risk Management under the auspices of UNESCO:ユネスコ後援機関水災害・リスクマネジメント国際センター)センター長ほか、担当官が参加いたしました。ここでは、第9期IHP戦略の策定や、第8期IHP戦略計画の中期評価について、議論が行われました。
 このIHP第9期戦略計画につきましては、こちらの政府間理事会のほかに、また9月に臨時会合が行われまして、11月の第41回ユネスコ総会において報告がされたところです。こちらの第9期計画の策定につきましては、運営実施計画についても議論がされまして、運営実施計画策定のためのオープンエンド作業部会が開催され、作業部会には立川主査が副議長として選出され、御尽力いただいております。
 2ページに行きまして、第41回ユネスコ総会で、正式にユネスコとして、ユネスコ全体の中期計画と、こちらのIHPの第9期戦略計画について報告がされております。そのほか、ユネスコ総会の下部機関選挙として、こちらのIHP政府間理事会の理事国の選挙がございまして、日本も選挙に立候補し、2025年までの4年間という形で理事国に選出されております。
 次に、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)について、こちらは、2021年5月12日に第5回ICHARM運営理事会がオンラインにて開催されております。そのほか、新型コロナウイルス感染症拡大防止を考慮した洪水被害リスク軽減に関する取組についても、各種行われております。
 4ページに行きまして、第4回アジア・太平洋水サミットが令和2年10月19日から20日の日程で開催される予定でしたが、こちらもコロナウイルスの感染拡大を受けて延期がされ、本年、令和4年4月23日から24日の日程で開催される予定になっております。
 次に、京都大学を中心とした研究機関等により、ユネスコチェアWENDI(水・エネルギー・災害研究に関するユネスコチェア)の取組が幾つかございます。そのほか、ユネスコチェアとしては、筑波大学においてもモンゴルにおける持続可能な地下水マネジメントに関する取組が行われております。
 5ページに行きまして、IHP政府間理事会第5回臨時会合が行われており、こちらでIHP政府間理事会の議長及び副議長が選出され、今期より新議長には中国のYu Zhongbo議長が選出され、副議長にはスペイン、ロシア、パナマ、ウガンダ、レバノンからそれぞれ選出されております。執行部の任期は2023年までとなっております。
 次に、文部科学省からユネスコジャカルタ事務所に拠出しております信託基金によって行っている事業について、5ページにて紹介させていただいております。水文学分析カタログや、IHPアジア太平洋地域運営委員会の開催、IHPオンライントレーニングコースについて実施されたことを記載させていただいております。名古屋大学でのIHPトレーニングコースにつきましては、コロナウイルスの感染症を受けて今回は延期をしておりますが、コロナが落ち着いたら実施される予定と伺っております。
 以上でございます。
【沖主査】  ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、資料の順番に沿いまして、各委員から御報告いただきたいと思います。
 まず、IHP第9期の戦略計画につきまして、運営実施計画作業部会の副議長を務められている立川先生から、現在の状況について御共有、よろしくお願いいたします。
【立川委員】  沖先生、どうもありがとうございます。
 今、御紹介がありましたように、まず、第24回のIHP政府間理事会の場で戦略計画が提案されて、その後、その臨時会合がありまして、ここでIHPとしてはそれを承認という形になって、その後、ユネスコ総会に出されたというような手順で進んでいきました。この間、まず先ほど御紹介申し上げましたけど、鼎委員には、最初のゼロドラフトの作成から、このタスクフォースメンバーとしてアジア地域から参画いただきまして、このような大変すばらしい計画ができたというところです。
 この間、大変短期間でしたが、我々で、出てきた案についていろいろコメントを出したり、あるいは修正案を出したり、それから、分科会の委員の皆様には、非常に短い期間ですけど、意見集約という形でお伺いしまして、それを反映させました。ですので、この第9期の戦略計画には、日本から提案したことがかなりいい形で盛り込まれたという状況になっていると思います。
 その後で、戦略計画ができたものですから、それを実際に運用していくオペレーショナルプランの策定が、昨年の11月以降、開始されまして、つい今年の2月まで、そのオペレーショナルプランの計画を策定していきまして、やっとそれが成案をほぼ見たということで、次の第25回の政府間理事会でアジェンダの一つとして上がってくる予定でございます。
 沖先生、以上です。
【沖主査】  立川先生、ありがとうございます。
 続きまして、ICHARMの活動につきまして、よろしくお願いいたします。
【松木グループ長】  松木です。ICHARMから発言させていただきます。
 先ほど概略の説明もいただきましたが、このコロナ禍の状況におきまして、ICHARMとしてはeラーニング、それから、オンラインのワークショップという活動を続けております。フィリピン、インドネシア、アフリカにおきましてそれぞれ活動しておりまして、その成果を出してきているところです。先ほどの資料の3ページ、4ページに詳細がありますので、御確認いただければと思います。
 また、IHP9の議論が、昨年来ずっと熟度が高まってきておりまして、ICHARMとしますと水防災の主流化ということを、前々から必要性をアピールしておったところですが、昨今の気候の変化でその必要性が、大分認知が深まってきていると思っております。このようなことに対応して、ICHARMは今年から6年間の新しい中期行動計画、ICHARMプログラムを今策定しておりますので、これもIHPの議論をよく踏まえながら、また世界各国での実務に役立つような形で、プログラムをまとめたいと思っております。
 以上です。
【沖主査】  松木グループ長、どうもありがとうございました。
 水分野に関する国際的な動きに関しましては、この次の議題3でアジア・太平洋水サミットについて情報共有いただくことになっておりますが、それ以外の動きに関しまして、国交省、古市委員から御報告がございましたら、よろしくお願いいたします。
【古市委員】  国交省水局国際室長の古市でございます。よろしくお願いいたします。
 サミットについては、後ほど時間をいただきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 私ども、ただいまサミットの準備にほぼ100%注力をしておりますけれども、最近の動きといたしましては、協力覚書等に基づく2国間、インドネシアですとかその他ベトナム等との防災協働対話での2国間での取組、それから、国連等とのマルチでの取組というところで、私ども、水防災の主流化というところを目指して取り組んでおります。
 後ほどまたお話をさせていただきますが、来年は国連の水の国際行動の10年の中間レビュー、国連水会議に合わせて、それと、仙台防災枠組みの中間レビューも予定されておりますので、後ほど御説明をさせていただきますアジア・太平洋水サミットの成果も踏まえて、引き続きマルチ、バイ、両方の観点で日本の考え方を語りかけていくというところを、目下、重要なミッションとして取り組んでいるというところでございます。
 私からは以上でございます。
【沖主査】  ありがとうございました。
 引き続きまして、ユネスコチェアの京都大学並びに筑波大学の動向につきまして、佐山委員並びに辻村委員から、何か補足はございますでしょうか。
【佐山委員】  京都大学の佐山と申します。ユネスコチェアWENDIという活動を2年前から進めております。基本的には、京都大学の大学院の学生に参画してもらって、様々な講義を受けて、水、それからエネルギー、防災に関する講義を受けて、サーティフィケートを出すというプログラムを行っております。今年の3月に寶先生が退職されるのに伴って、今年の4月からユネスコチェアが立川先生に変わっております。
 以上です。
【沖主査】  ありがとうございます。
 辻村先生、いかがでしょうか。
【辻村委員】  ありがとうございます。筑波大の辻村でございます。
 本件は、モンゴル科学アカデミーの地理学・地生態学研究所との共同によって行っておりますが、両者とも、モンゴル側のチンゾリク博士、私とも、IAEA(International Atomic Energy Agency:国際原子力機関)の地域協定に基づくプログラム、「同位体技術による地下水資源の効果的マネジメントに関する地域人材育成の強化」のメンバーでもあるために、これとの共同も含めて、本年2月22日にオンラインでのワークショップを行うとともに、本学から、「同位体技術を水文研究に用いる手法」について、人材育成用のオンラインコンテンツを作成して共有をしているところでございます。
 以上です。
【沖主査】  ありがとうございました。
 次に、IHP Regional Steering Committee(IHP-RSC:アジア太平洋地域運営委員会)につきまして、事務局長に見事再任されました立川委員から、補足がありましたらよろしくお願いいたします。また、Catalogue of Hydrologic Analysis(CHA:水文解析手法カタログ)につきましても、情報提供をよろしくお願いいたします。
【立川委員】  沖主査、どうもありがとうございます。
 この2年間、RSCは残念ながら対面での会議ができておりませんで、2020年は当初、ベトナムで対面開催の予定だったのですが、残念ながらかなわず、2020年は実際、開催せず、ただオンラインで何かやろうということで、ジャカルタ主催でオンラインの会合を、特別会合という形で実施いたしました。
 それで、昨年は、1年延期して、ベトナムで何とか対面で開催しようと企画していたのですが、残念ながらこれも実施できず、ハイブリッドで開催をいたしました。ベトナム国内の水文関連の研究者、技術者、また行政の方々は集まって、アジア地域からはオンラインで参加してという形で、ベトナムで第28回のRSCミーティングを開催いたしました。
 その中で、特にこれまで、先ほど沖主査からのお話もあった、恐らく第4期のIHPの計画があったときに、熱帯における水循環ということで、たしかそのとき沖先生も私も、タイとかマレーシアとかに行かせていただく機会がございました。もう30年近く前ですが、当時、高橋豊先生とか竹内邦良先生がこのRSCというものを立ち上げてくださいまして、その後ずっとやっている中で、ただ単に集まって話しているのではなくて、みんなで一緒にやろうよという何か企画がないと、みんなやっぱり汗を流してやるという雰囲気が醸成されないので、当時、河川カタログというものを開始されました。合計全部で第6巻まで出まして、私、それから、本日出ておられます近森委員も、この中の第6巻の主査をしてくださいました。
 その後、121河川がそのカタログに収録されましたので、河川に対する情報は十分集約されているだろうということで、次のアジアみんなでやっていける活動ということで、ここにありますCHAというものをRSCの中で皆様で考えて、4年前からこの活動をしております。この中身としましては、アジア地域に限りませんが、非常に重要な水文に関する科学、あるいはウォーターリソーシングに関する技術について、必要となることは一体何が重要なのかということをまずみんなで話し合って、いろいろその技術を公表し合って、それをドキュメントにまとめていこうというものです。2年に1回、1年目はワークショップ、2年目はその結果をドキュメントとしてまとめるということを、6年ぐらい前にこういうことをやろうということがやっと決まりまして、アジア域のブラッド・ハザード・マッピングということについてボリューム1を出しまして、今、RSCのホームページ、それから、ユネスコのホームページからもダウンロードできます。
 それから、次のボリュームとして何をやるかということを議論し、ダムの管理が大事だということになりまして、ダムの管理について、いろいろ皆様で意見発表会とか、いろいろ技術共有とか、最新のこと、どういうことをやっていかなくてはいけないかということを議論して、それぞれの国々のダム管理についてドキュメントをまとめたのが昨年でございました。日本からも野原様が、日本のダム管理、それから、どういうことを将来やっていかなくてはいけないかという非常に立派な論文を、そこで披露してくださいました。
 今、ボリューム3の議論を開始するところでして、グラウンドウォーター、地下水のことについてまとめたらどうかというような意見がいろいろな国から出ていまして、今後、詰めていくところなのですが、テーマによって、このIHP分科会の中で専門家の先生方がいらっしゃいますので、また御相談を申し上げたいと思っております。そのような形で、今、RSCのほうは進めております。
 もう1点、今年度、RSCについて、ICFM9(The 9th International Conference on Flood Management:第9回洪水管理国際会議)がつくばで開催されますので、通常11月ぐらいにやっていることが多いのですけど、ICFM9でせっかく多くの方が日本に2月に来られるとしたら、それを機会に日本でやるのもどうかと、ジャカルタ事務所、それから、昨年度ですが、このIHPの事務局の方々とも少し御相談申し上げて、今はまだ腹案を練っている最中ですが、そういった計画も今、持っております。
 以上、御報告申し上げます。ありがとうございます。
【沖主査】  ありがとうございました。
 事務局で把握されています御報告は以上となるようですが、もし委員のほかの先生方から、この間の活動につきまして何か御報告、共有できるイベントなどございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【立川委員】  このCHAはボリューム1、ボリューム2が出ているのですが、いずれも、今日御参加であります神戸大学の小林委員が編集長を務めて、大変御尽力くださいました。
 以上、御報告申し上げます。
【沖主査】  ありがとうございます。
 それでは、トレーニングコースにつきましての御報告、名古屋大学と京都大学から、京都大学はもうおっしゃっていただいたかもしれませんが、佐山先生、檜山先生、いかがでしょうか。
【佐山委員】  では、先に失礼いたします。第31回のIHPトレーニングコースが、昨年の12月に京都大学防災研究所の水資源環境研究センターを中心に開催されました。オンラインで実施するということもあって、非常に希望者がたくさんありまして、約130名の応募があって、各国1から4名程度になるように参加者を選抜した上で、最終的には21か国27名の受講者が修了したということで、これまで以上に、非常にたくさんの関心を持っていただいていると考えております。
 今年度も11月28日から12月8日にかけて、オンラインで、同じような形式で実施する予定になります。また各国から参加いただけるように募集をかけますので、また御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【沖主査】  ありがとうございます。
 檜山先生、いかがでしょうか。
【檜山委員】  檜山でございます。名古屋大学は、水文学と気象学、あるいは雪氷学に関わるようなトレーニングコースを開催してきたわけですけれども、実際、気象レーダーとか分析器械を研修生の皆様に見ていただいて、操作していただくようなトレーニングも兼ねておりますので、なかなかオンラインだけでは効果が上がらないということで、今のところコロナの蔓延が収まるまでは見合わせております。収まりましたら、実際にいろんな方々を日本にお迎えして、トレーニングコースを開催したいと考えております。
 以上です。
【沖主査】  ありがとうございます。 ただいまの御報告で、事務局のほうで準備していた御報告は終わったようですが、ほかに共有していただけます情報がございましたら、いかがでしょうか。
【立川委員】  沖先生、一つよろしいでしょうか。
【沖主査】  はい、お願いします。
【立川委員】  1点、御報告申し上げます。5ページの一番上のIHP政府間理事会の第1回の臨時会合について、追加で御報告申し上げます。
 第5回の臨時会合は、基本的には次の執行部を決める選挙でした。このときに議長を出すということで、日本からも寶名誉教授を、これまでも多大な御貢献がございますし、寶先生でしたらもう多くの方が支持されるところですので、選挙として寶先生に日本から出ていただきました。通常、リージョンで会合を持って、それぞれのリージョン、各地域からの代表を出していくというところで、リージョンでは、今ここに最終的に選出されたYu Zhongbo河海大学教授、この方をアジアリージョンから出すか、あるいは寶名誉教授を出すかというところで、最終的に調整がつかず、二人とも推薦するという形になりました。結局、パリのヘッドクオーターでの選挙になりまして、そのときは、我々は行くことができなかったものですから、パリの代表部の方々が御対応くださって、そのときはほかのユネスコの重要業務も並行してあったときで、非常に大変なときだったのですが、この選挙のほうにも行ってくださいました。残念ながら、結果としてはYu Zhongbo教授が選出されたということです。
 以上、経過だけ御報告申し上げます。
【沖主査】  ありがとうございました。
 松木グループ長、お願いします。
【松木グループ長】  松木です。今後の予定を一つ申し忘れました。先ほど立川先生に一言触れていただきましたが、ICFM9という会合を来年2月に予定しております。現在、準備作業中ですが、実際の会議等々、またこの分科会の皆様にもお声がけもさせていただきますし、いろんな面で御協力いただければと思っております。
 以上です。
【沖主査】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 それでは、ただいまの御報告に関しまして、どなたの御報告に関してでも結構ですので、御質問、確認事項等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、私から立川先生にお聞きしたいのですが、最後のRegional Steering Committeeで、リバーカタログがあって、Hydrologic Analysisのカタログがあって、次はグラウンドウォーターという話も出ているというお話がございました。考えてみますと、確かに水文循環、水循環を考えたときに、河川寄りになるというのは、そういう研究者、あるいは実務の方が多いから当たり前かもしれないのですが、地下水であったり、あるいは湖であったり、また量だけではなくて水質であったり、いろんなところがあると思うのですが、IHPは、やはりサーフェスウォーターの方が関心のある方が多いのでしょうか。
【立川委員】  沖先生、ありがとうございます。必ずしもそうでもないように思います。これをやるときに、どういうテーマがいいかということで、結構、議論百出で、まず何についてみんなで議論しましょうかというところで、いろんな意見が出てきます。渇水というのも非常に出てまいります。ですので、次は、皆様のいろんな意見を伺っていますと、渇水、あるいは地下水あたりに大きな関心が寄せられているように思いますので、これは今年度というか、もうできれば前半ぐらいに定めて、またしかるべき方に日本の状況を取りまとめていただいて発表いただくようなことを、企画することになるかなと思います。まだテーマは決まっておりませんが、いろいろです、本当に。
【沖主査】  それは、パリでの政府間理事会、あるいはIHP9の策定でもそのような感じでしょうか。
【立川委員】  ごめんなさい。パリの状況は、ここのところ、あまりそういう議論の場におりませんのでので、ちょっと分からないです。
【沖主査】  鼎先生、いかがですか。IHP9のストラテジックプランをつくられた経緯からして、そのバランスといいますか、水循環の中でいろいろな見方がありますでしょうか。
【鼎委員】  はい。耳学問かつ私の主観的な頭を通してのフィルターにはなりますが、IHPは地下水がずっと昔から、全部に対してというわけではなく、ある一部分という言い方かもしれませんが、かなり強いというところもございまして、正直、ストラテジックプランから地下水という言葉をあまり表に、いや、地下水もサーフェスウォーターもウォーターなので、グラウンドって抜かなくてもウォーターならいいだろうというので書いたりしている部分がありましたら、その一つの原因は、ストラテジックプランを書いた5人か6人の中にグラウンドウォーター専門の人が誰もいなかったので、それほど強調しなかったというのもあるのですが、外したわけでもないのですが、とにかくグラウンドを入れろと。入れないと表に出ないからみたいな強い要請が各方面からあり、グラウンドウォーターは大きな一つのセクションです。
 サーフェスウォーターといっても、川の方はエコハイドロロジーに近い方が、やはりかなり勢いとしては強い部分があろうかと思います。あとは、もうちょっと水資源の実務に近いようなもので、一方、洪水関係は、正直そんなにいらっしゃらなくて、すぐ忘れられるので、アジアからの代表として、何かあったら洪水ディザスターを忘れずに入れるようにというのが私の役目かなと思って、数少ない発言をするとき、あるいは書き足すときに、ディザスター・ブラッドを入れておりました。それ以外に、比較的お年上の方は、小流域での水文観測、基本的な科学みたいなことを着目されている方がいらっしゃいました。
 それから、歴史的には、あるいはごく最近でも、雪氷に関して、IHPから特別な、世界を代表するような報告書が出たりすることもあるということで、IHPの中で雪氷というのも比較的重要なところだと思うのですが、今回のストラテジックプランのときは、書いているメンバーの中にも、あと、外からいろいろ意見を言う人にも、そんなに強く言う方がいらっしゃらなくて、私自身は忘れていないので多少は入れたのですが、雪氷は今回、多少、インプリメンテーションのほうでどうなったか、詳しくは把握していないのですが、歴史と、そういう割には忘れられがちだったと、そういったバランスかなと思います。
 以上です。
【沖主査】  ありがとうございます。大変勉強になります。
 
<議題3.第4回アジア・太平洋水サミットについて>
【沖主査】   では、議題の3に移りたいと思います。
 議題の3、第4回アジア・太平洋水サミットにつきまして、本議題では、もう10日後に迫りましたが、今月の23日と24日に熊本で開催されます第4回アジア・太平洋水サミットにつきまして、国土交通省の古市委員より御説明、よろしくお願いいたします。
【古市委員】  改めまして、国土交通省水・国土局河川計画課国際室長の古市でございます。昨年の夏より着任をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料3に沿いまして、来週末、熊本で開催されます第4回アジア・太平洋水サミットについて、御説明させていただきたいと思います。
 まず、最初にお断りなのですけれども、今、まさに最終局面で、様々な調整、準備等を行っているところで、まだ確定的でない部分が多々ございます。一方で、今、主催者のほうで、もうホームページが公開されていまして、そこでスケジュール等が出ているのですけれども、事前の資料登録の段階ではまだ公表されていなかったというところで、若干古い資料、それから、総論的な資料になっているところもございますので、口頭でお話しできる範囲で補足をさせていただきながら御説明させていただきたいと思っております。
 それでは、資料3の1枚目を御覧ください。日時、場所等については記載のとおりでございますが、来週の土曜、日曜、熊本市の熊本城ホールというところで開催予定です。当初は一昨年の10月の予定でしたけれども、コロナの関係で延期となって、このたび開催の運びとなっております。
 開催形式につきましては、対面形式をベースに、オンラインも併用してという形で開催いたします。開催形式については、オミクロン株の感染状況等もありまして、直前まで開催形式の判断、議論がありましたけれども、こういった形で、海外からも人をお招きしてやるという形になっております。
 それで、このサミットが何なのかということでございます。名前のとおりでございまして、アジア・太平洋地域の首脳級を含むハイレベル参加の下で、地域の水循環ですとか流域治水ですとか、そういったものも含む水問題について、世界的な議論を行うということでございます。日本開催の狙いとしましては、書いてありますとおりでございまして、SDGsですとか気候変動対策ですとか、水に関連する世界的な課題について、日本がこのサミットを契機にリード的な役割を担いながら、そういった解決に向けた成果を出して、貢献をしていくというところを狙おうとしているというところでございます。
 ちなみに、主催者は国土交通省ではなく、アジア・太平洋水フォーラムという組織、それから、熊本市の共催という形になっております。このフォーラムについては、下で書かせていただいておりますけれども、日本主導で設立をしておりまして、NPOの日本水フォーラムが、実務的には事務局機能を持っているというところでございます。会長は森元総理ということでございまして、これに関して関係省庁で協力をするという閣議了解等も出ておりますので、今、国土交通省としても、特に海外からの要人の対応ですとか、日本からのハイレベルの参加される方に対して、どのような発信をするのかというところを中心に対応しているところでございます。その部分だけでも、相当に膨大な作業とミッションが発生しているというところでございます。
 ちなみに、第1回は2007年、第2回は2013年、第3回は2017年と、資料の下のほうに書いてあります開催地で開催されておりまして、第1回大分県別府市で開催されたときには、当時の皇太子殿下、それから福田総理大臣、冬柴国交大臣が現地で参加をされているというところでございます。今回の参加者については、まだ調整中のところがございます。また、確定している部分についても、この場で公にできる状態にはありませんので、お話しできる段階にはございませんが、第1回はこういった形で御参加をいただいているということ、また今回につきましても、海外の幾つかの国の首脳ですとか、あと多数の閣僚の方に現地参加をいただく、また、多くの首脳の方にリモートでも御参加をいただけないかというところで、現在調整をしているところでございます。今お話しできるところは、そこまでかなと思っております。
 資料には当日のプログラム等をつけておりませんでしたが、このアジア・太平洋水サミットの公式ホームページを検索等していただきますと、ウェブページで見ることができまして、そこで、初日、2日目のプログラムですとか、その内容について公開がなされているところでございます。
 簡単にお話をしますと、初日は、午前中に開会式がありまして、午後に首脳級会合、その後、午後の遅い時間で分科会、特別セッションといった個別の会議が設けられます。分科会は九つの分野で予定されております。2日目午前中に、初日から続きで分科会の特別セッションが行われまして、昼食を挟んで午後から、統合セッションと呼ばれます分科会の内容を横断的にやります。ガバナンス、ファイナンス、科学技術、それから、それらを束ねた統合の統合セッションという四つのセッションが予定されていまして、そこでのアウトプットを踏まえて、夕方から閉会式が行われます。そのほか、サイドイベントやブース展示なども予定をされているということです。
 既に現地参加の登録、申込みは締め切られておりますけれども、オンラインでの参加登録については直前まで可能でございますので、是非、御関心のある方は、ホームページから御登録をいただければと思っております。
 続きまして、2枚目を御覧ください。こちらはEM-DAT(The international disasters database:国際災害データベース)を基に整理をしたものですけれども、水関係の災害のEM-DATでの登録数というのは、近年、増えてきています。これは、登録そのものが増えている可能性がありますので、この結果をもって、アジア・太平洋で水害が増えていると言い切れるものではありませんけれども、近年においても影響人口の多い水害が多数発生しているということをお示しするものでございます。日本で開催ということもありますので、水サミット、水の広範な範囲も扱いますけれども、やはり水災害対策、それから、気候変動の適応策といったようなところも軸にやっていくことになろうかと思っております。
 次のページをお願いします。日本開催の狙いということで、少し前に作った資料でございますので、ちょっと最新の状況とは違うところもありますけれども、大きな流れとしてはこのような形になっております。一番上の黄色いところに目を通していただければと思います。今お話ししたように、水問題を、気候変動とかSDGsとか、そういったところと結びつけて議論をしたり、アウトプットを出したりしていくのかなと思っております。それにおけるアジア・太平洋の影響の大きさというか、存在の大きさみたいなところと、日本が持っている科学技術やノウハウ、経験といったものをどう展開していくのかというところが、我々の狙いになると思っております。
 下の緑と白いところは、下から上に見ていただければと思いますが、一番下に日本が持っている様々な技術とかノウハウの一覧が書いてあって、それらを科学技術やインフラ展開において展開していくことで、質の高いインフラ整備、質の高い成長といったところにつなげていけないか。また、そういったものもSDGsの目標達成につながっていきますので、水の問題、ひいては防災の問題といったところでどう打ち込んでいけるのか。先ほど少しお話をしましたが、そういったところを意識して、今、中身の詰めを行っているところです。
 当然、当日の意見交換、議論ですとか各分科会の成果というところも踏まえてサミットの成果はまとめられていきますので、蓋を開けてみればというところであろうかと思っておりますけれども、今のところ、そういう狙いを考えているところでございます。
 ということで、まだ具体的にこういうことを打ち出しますとか、誰が何を話しますということはお話しできる段階にないのですけれども、こういったものをベースに、現在急ピッチで準備を進めているところで、御関心ある方は是非、御参加いただいて、御関心の部門の分科会セッション等を聞いていただければと思っております。
 私からは以上です。よろしくお願いします。
【沖主査】  古市委員、どうもありがとうございます。ただいまの御説明に関しまして、御質問等いかがでしょうか。
 私から聞いてよろしければ、最後の3枚目にも書いてございますが、2023年3月、来年3月に国連水会議が、国連水の日に合わせて、ニューヨークの国連本部で2日にわたって開催されるということなのですが、これは、主体はどこが握っていて、古市委員たちのチームはいかにそこに食い込もうとされているかというのが、もしお話しいただける範囲で教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【古市委員】  今、UN-Water(国連水関連機関調整委員会)と、あとUNDESA(United Nations Department of Economic and Social Affairs:国際連合経済社会局)ですね。国連の部局のほうで、どういったテーマ分けでどういった検討をするのかというようなことを議論がなされていると把握をしております。外務省等とも連携しながら、日本としての意見を出したりしているところでございますけれども、私ども、今、国交省から、そちらのUNDESAの組織のほうに河川系の人間が一人、派遣で行っておりますので、そちらの者とも連絡を取らせていただきながら、まだ具体的にどんどん仕込めているという状況ではないですけれども、今後、進捗の状況等も、そちらのチャネルも使って把握をしながら、日本の考え方が少しでも反映されるようにということで働きかけていきたいと思っております。
 一方で、必ずしも世界の潮流として、水防災というのが水の問題の中心というわけではないというところもありますので、そちらの動きと併せて、日本の考えに賛同いただけるアジアの国々ですとか、オーストラリア、ドイツなど、これも仕込みはこれからですけれども、相手国からも関心、こっちに目を向けてもらっているような国が幾つかありますので、そういったところとも連携をしながら臨んでいくのかなと思っております。
 私からは以上です。
【沖主査】  ありがとうございます。

 (傍聴者等退席)

<議題4.第25回政府間水文学計画(IHP)政府間理事会の対処方針等について【非公開】>
 第25回政府間水文学計画(IHP)政府間理事会の対処方針等について、審議を行った。
 

── 了 ──

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