資料1 第29回ユネスコMAB計画国際調整理事会について(概要報告)

日時

2017(平成29)年6月12日~15日

場所

ユネスコ本部・パリ(フランス) 

日本からの出張者

(日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会)
礒田 博子 日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会主査/筑波大学教授

(政府及び関係機関)
秦  絵里 文部科学省国際統括官付・国際統括官補佐

(エコパーク関係自治体等)
 「祖母・傾・大崩」及び「みなかみ」関係者(8名)

概要

6月12日(月曜日)
1. 開会
 ババンMAB計画国際調整理事会議長(フランス)が開会挨拶を行った。

2. ユネスコ事務局長の挨拶
 事務局長に代わり、シュレーゲルADGが挨拶を行った。

3. 国際調整理事会議長からの報告
 ババン議長が最近のMABについて報告を行い、研究及び若者を含むステークホルダーの参加の重要性等を指摘した。

4.議題とタイムテーブルの採択
 議題案とタイムテーブルが、原案どおり承認された。

5.MAB計画事業に対する事務局報告
 ハン・チュンリ生態学・地球科学部長より、前回の国際調整理事会(2016年3月)以降の主な動きについて説明があった。

6.リマ行動計画を踏まえた加盟国/地域及び地域的・テーマ別MABネットワークによる活動報告
 各国、東アジア、アラブ、南米、ヨーロッパ、アフリカの各地域ネットワーク及び島と海岸BRネットワークから、活動状況の報告が行われた。

7.出口戦略の実施状況【12日~15日継続審議】
 第25回理事会(2013年)で承認された、世界BRネットワークの信用性と質向上を目的とした出口戦略にかかるその後の実施状況と方向性について、事務局から説明があった。

・出口戦略の予定は、30か月間で、2015年12月30日までに各BRサイトは報告書を提出し、基準を満たしているか確認する計画だった。基準を期日までに満たさないサイトについては、登録から除籍される取り決めとしていたが、この期限で報告できていなかったサイト等に対しては、2017年5月15日までに報告提出予定や追加情報を求めていた。
・この2年半の間で126サイトは基準を満たすことが確認できた。そのほか締切後に報告書を提出してきた58のBR、報告書の提出がないBRの取扱い、基準を満たしていないBR(紛争地域や国境をまたぐBR)の取扱いについて検討する必要がある。
・国境をまたがるサイト(欧州3、アフリカ1)については、共同報告の提出か、国の報告書の提出が必要なのか混乱を招いたため、新たに今年の9月30日までに国レベルの報告書を提出するよう理事会として求めることとしたい。

 事務局の説明を踏まえ、出口戦略は質の改善に一定の効果をもたらすと評価する意見が大半だったが、各国により意見が分かれた点もあったため、議長の提案により、これらを検討するワーキンググループ(英が議長)が同日の夜に設置され、検討された。

 理事会2日目(6月13日)では、直前の朝に開催されたビューロー会合において、再度、出口戦略の対象サイトをカウントし直した結果について議長から報告があった。
・自主的除籍対象となるBRが20サイト(米国17、ブルガリア3)
・紛争地域のBRが3サイト
・国境をまたがるBRが7サイト
・出口戦略の対象となるBRが85サイト
 
 理事会4日目(14日)に、ワーキングで草案された決議案が配布され、現在、「出口戦略」対象となっている85サイトについての取扱いを定め、2020年には「出口戦略」を終了させる案が提示され、最終議論は、理事会の最終日(15日)に持ち込まれた。

 そして、理事会5日目(15日)に、本決議案では、同戦略は戦略自体の名称は行わず2020年で完了することとし、並行して継続的な質の改善を行う戦略を立ち上げていく方向性が確認された。出口戦略としては、現在、戦略の対象となっている残りのサイトのリスト公表は行わずに、それぞれの状況に応じた取り決めに関する決議案が採択された。


6月13日(火曜日)
8.前回の国際調整理事会以降に関する定期報告及びフォローアップ【13日~14日継続審議】
 53の国から184の定期報告が事務局に提出された旨の報告があり、2017年1月の諮問委員会での定期報告に関する勧告についての説明があった。基準を満たしていないBR、要求されている追加情報の提出がないBR、出口戦略の対象になっているBRについては、議題7の議論を受けて、ワーキングでの継続協議の対象となった。これ以外の勧告が採択された。

12. BR管理のためのMichael Batisse賞【13日~14日継続審議】
 5か国6名の応募者から国際諮問委員会により選ばれたVladimira Fabriciusova氏(スロバキア)による発表の後、スロバキア大使から謝辞が述べられ、授賞式が行われた。
 また、理事会2日目(6月13日)に、応募数が少ないこともあり、質の確保のために、次回から同賞は毎年の理事会ではなく、2年に1度に授賞し、賞金も1万2千ドルに増額されることが承認された。(次回の授賞は第31回国際調整理事会となる)なお、事務局からは同賞は通常予算で措置されている旨の説明があった。

11.MAB若手研究者奨励スキーム
 35か国の国内委員会から提出された55名の候補者から、7名の受賞者の決定を採択した。
翌日14日に、同スキームにおける選考基準について、リマ行動計画並びにSDGsに関して含めた申請を対象とすることについて提案され、採択された。
また、理事会2日目(6月13日)の最後に、9月にイタリアで開催予定のユース・フォーラムに関する案内があり、更なる登録の呼びかけがあった。(現在、18~35歳の若手160人の登録があり、あと500人くらいの登録を目標としている。)

6月14日(水曜日)
9.新規BR及び拡張・修正BRの提案
 BR国際諮問委員会の勧告が報告され、新規登録として23サイトの登録、国境をまたがる4サイトの登録、拡張・修正登録として12サイトの登録が採択された。
 また、ブラジル政府の要請により、既存サイトのBata Atlantica BRとSao Paulo City Green Belt BRはかつて一つのサイトだったが、2つの別々のサイトに分けることが認められた。さらに、米国から17件、ブルガリアから3件の既存サイトの自主脱退の申し出が採択された。

10.MABコミュニケーション戦略と行動計画
 事務局からグローバル・コミュニケーション戦略と行動計画の進捗状況について報告があった。国際諮問委員会においてキックオフ会合が開催され、ユネスコ全体のグローバル戦略の成果目標に即した形で準備している旨の説明があった。今後、アフリカとアジア地域でワークショップを開催するとともに、ステークホルダー同士のコミュニケーションの障壁にかかるオンライン調査などの実施予定についても触れられた。数か国の理事国から進捗状況を歓迎する発言があった。

13.リマ行動計画の施行
 事務局から、リマ行動計画に基づいて加盟国が2年ごとに報告をすることになっている手続きに関連し、事務局が準備している報告書の様式案について説明があった。リマ行動計画については、各国の取組みの共有が重要である旨の発言が多かった。

14.MAB事業とBR世界ネットワーク(WNBR)に関する運用ガイドラインのプロトタイプに関する発表
 事務局から、WNBRに関する運用ガイドライン策定に関する進捗状況の説明があり、骨格案にかかる意見交換が行われた。事務局から示されたプロトタイプの内容はおおむね歓迎されたが、これらガイドラインづくりについては、極力、国際諮問委員会には負担をかえずにWGを立ち上げて対応する方向の意見が出された。

15. MAB事業のガバナンス
 事務局から、ユネスコ全体で行われているガバナンス・ワーキングについて報告があり、それに沿った方向性について示された。国際試問委員会、国際調整理事会、執行委員会とのコミュニケーションをオンラインによりさらに促進、MABの支援グループの最大限の活用、分野横断型の議論の受入れなどMAB事業のガバナンス強化に関する決議案が採択された。

16.第30回MAB国際調整理事会の期日・場所
 インドネシアから、政府との正式交渉が終わってないものの、次回理事会誘致について関心が示された。(具体的日時・場所の決定はなし)

17.その他
 特になし。

18.報告書の採択
 修正意見を反映し、事務局案が採択された。(1両日中に修正について事務局とのやりとりを行った後、最終版が送付されるとのこと。)

19.閉会
 議長からの閉会挨拶が行われた。議長のリーダーシップに感謝を述べる加盟国発言に続き、ハン・チュンリ生態学・地球科学部長が8月に退任することに伴って、彼の功績について加盟国から賛辞が述べられ、閉会した。

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国際統括官付