日本ユネスコ国内委員会第515回運営小委員会議事録

1.日時

令和5年7月14日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省12階国際課応接室(対面とオンラインのハイブリッド形式での開催)

3.出席者

〔委員〕
濵口委員長、井上委員、沖委員、佐藤委員、道傳委員、道田委員※、吉田委員
(※専門小委員会委員長代理)
〔運営小委員会に属しない委員・外部有識者〕
治部委員、次世代ユネスコ国内委員会小林委員長、沖田副委員長、日本政府観光局中山理事
〔事務局〕
岡村事務総長(文部科学省国際統括官)、匂坂副事務総長(同省国際交渉分析官)、小野事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、原事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、八田事務総長補佐(同省国際統括官付ユネスコ協力官)、その他関係官
 

4.議事録

【濵口委員長】  本日は御多忙中にもかかわらず、お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず、議事に入ります前に、事務局に定足数の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【小野補佐】  本日は、出席の委員が6名で委員の過半数になっておりますので、定数を満たしてございます。
【濵口委員長】  ありがとうございます。それでは、ただいまから日本ユネスコ国内委員会第515回運営小委員会を開会いたします。本日は令和4年11月29日にまとめました『「これからの時代におけるユネスコ活動の推進等について」今後の検討に向けた論点整理』」を元に、より議論を深めてまいりたいと思います。これに当たり、日本ユネスコ国内委員会運営規則第21条に「委員長は、必要と認めるときは、運営小委員会に属しない委員、その他の関係者を会議に出席させ、その意見をきくことができる」という規定がありますので、今回及び次回は運営小委員会のメンバーに加えて、各専門小委員会の委員長代理にも議論に参加していただくこととしたいと思います。よろしくお願いします。
 このため、本日は科学小委員会の委員長代理であります道田委員に御出席いただいております。またヒアリングを実施するため、治部委員と次世代ユネスコ国内委員会の小林委員長、沖田副委員長、日本政府観光局の中山理事に御出席いただいております。
 本日は前回同様、対面とオンラインのハイブリッドでの開催となります。傍聴及び取材の希望者に対しては、国内委員会の規定に基づきYouTubeを通じて公開いたします。御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますのでよろしくお願いします。
 それでは、続きまして事務局の異動について報告をお願いいたします。
【小野補佐】  失礼いたします。本年4月1日付で、匂坂文部科学省国際統括官付国際分析交渉官/日本ユネスコ国内委員会副事務総長が着任しております。また6月1日付で私、小野文部科学省国際統括官付国際統括官補佐、日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【濵口委員長】  ありがとうございます。それでは、本日の会議の配付資料について事務局より説明をお願いいたします。
【小野補佐】  失礼いたします。今、オンラインで画面に今日の席次、議事次第を表示させていただいております。
 資料1から4、附属資料1と2、参考資料が一つという構成になってございます。
 このうち、附属資料2について簡単に御説明させていただきます。ページ番号が47ページになります。ユネスコによるプレスリリースで、今週の火曜日11日に出たものですけれども、米国が今週月曜日付け、現地時間で7月10日にユネスコに再加盟いたしました。具体的な手続としましては、憲章の受託書を、それを受け取る寄託機関の英国政府に提出して正式に再加盟したということになってございます。
 米国が戻ってきた事情ですけれども、3月にブリンケン国務長官も発言がありましたが、米国がいない間、中国が最大の拠出国で約20%の分担金ということになっていましたけれども、そういった中で近年、新興技術の分野、例えばAIやニューロテクノロジーといった規範の設定、ルール作りが行われておりまして、そういった場に米国がいないのはどうかというところで、米国もそういった議論に関わっていくということが大きな目的の一つになってございます。
 このように、ユネスコでは今までなかったような動きになるかと思いますので、この点も踏まえていただきまして今日の御議論を深めていただければと思います。
 以上です。
【濵口委員長】  それでは議題に入ります。議題1は「これからの時代におけるユネスコ活動の推進等について」であります。本議題については今後、今年度末の国内委員会総会での取りまとめに向けて、9月の総会でも御議論いただきたいと存じます。その始まりとして、本日はまず道傳委員から昨今の国際情勢について御発表いただき、その後、附属資料2ページ目の「③ユネスコ活動に関する広報・普及戦略の強化・発信の支援」を中心に関係者の方々から御発表いただきます。委員の皆様からの御意見、御質問等については全ての発表の後、改めてお願いしたいと思います。
 それでは御発表に入ります。初めに道傳委員、よろしくお願いいたします。
【道傳委員】  濵口委員長、どうもありがとうございました。皆様、こんにちは。道傳愛子でございます。今日はディスカッションの大事なキックオフということで、お役目をいただきまして恐縮しております。「今日の国際情勢とこれからのユネスコ活動」というタイトルにしておりますけれども、どちらもとても大きいテーマでございますので、どうぞ委員の皆様からも御指導いただきたいと思っております。
 国際情勢と一言で言いましてもコロナ、気候変動、ロシアによるウクライナの侵攻、シリア、スーダンなど内政による難民の発生、民主的な選挙で選ばれた政権が軍によって倒されて、市民への弾圧が続いて出口の見えないミャンマー情勢まで短時間では語り切れないほど世界は動いています。今日はこの時間の中で初めに、一体、私たちは今どのような世界を見ているのか、最近の取材を通して感じたことをお話し申し上げて、その上でそうした世界でユネスコ活動に求められること、日本の役割は何か、私見でございますが考えたことを御共有したいと思っております。
 次のページでございます。申し上げましたようにコロナやウクライナ侵攻、気候変動など、グローバルな課題は山積しています。そして、それらの問題は例えばコロナではより弱い立場にある人たちが一層弱い立場に追いやられる、途上国ではワクチンが十分に行き渡らないなど、以前からあった課題をグロテスクなほどに浮き彫りにしましたし、2020年には極度の貧困層はこの数十年で初めて増加し、世界では1億人以上の子供が読解力の最低基準を下回っているという調査結果もあります。これも気候変動やコロナ、紛争は脆弱層を更に追いやることを表している数字ではないかと思っています。
 ウクライナ侵攻では、私たちも生活の中で感じておりますようにエネルギーや穀物の価格の高騰は各国を直撃していますし、資源の武器化ということも言われています。ロシアが戦術核の使用にも言及するなど核の威嚇がリアルになり、核のない世界を創る取組にとても重大な試練となっています。先頃のNATOの加盟国会議では、日本や韓国なども参加して結束を強調しても、ロシアを過度に刺激するのを嫌ってウクライナには安全の保障を約束するに留まるなど、国際社会はなかなか一枚岩にはなれていないという、そうした状況と思います。
 そうした中で、グローバル・サウスが存在感を増しています。インドの人口が中国を抜いて世界一になり、IMF国際通貨基金は、インドのGDPは2027年には日本とドイツを抜いてアメリカと中国に次ぐ世界3位の経済規模になるとの見通しも示しています。インドネシア、ベトナム、タイ、シンガポールなど、東南アジア10か国から成るASEANの経済規模も2027年には日本を上回るとの予測があることからも分かるように、世界の経済成長の推進力としての期待が高まっています。
 次のページです。こちらは、いずれも英文の国際情勢専門誌、FOREIGN AFFAIRSとTHE Economistの最新号ですけれども、FOREIGN AFFAIRSは5月6月号でNonaligned World、これは非同盟にかけているんだと思いますが、まとまらない世界、欧米とそのほかと新しい世界の無秩序という副題で特集を組んでいます。そして右側のEconomist誌は更に容赦なく、アメリカのバイデン大統領と虎が配置されていますけれども、アメリカの新しい親友、なぜインドがどうしても必要なのかということを、最近のモディ首相のアメリカでの厚遇ぶりやG20ホスト国として存在感を増しているインドなしではアメリカもやっていかれないことを表紙でも端的に表現しています。
 いずれも、広島のG7サミットにグローバル・サウスの首脳が招待されたように、今日の世界ではもはや欧米、つまり、日本も含めますけれどもG7だけでは問題は解決できないことを、解決できない現状認識を示しています。つまり私たちが今、見ている世界というのはG7が物事を決めていくのでもなく、アメリカが大国、そして秩序の守り手として世界を引っ張っていくのではなく、The West、欧米に対して、The Rest、そのほかの国と言われた国々の意向を無視しては決まらない世界となっていることを表していると思います。
 それでは今、言及しましたグローバル・サウスとは何か、次のページです。一般的には、古くは南半球の発展の遅れた途上国の集まりと定義されてきて、ブラジルや南アフリカなどの新興国も入ります。しかしサウス、南という地理的な概念というより地政学的な位置づけが重要で、つまり先進国ではないかもしれないが、キャスティングボートを握っている国という解釈が近いのではないかと思います。だからこそ第2次大戦以降、国際秩序を作り守ってきたアメリカや、新たな国際秩序の構築を新たに標榜しようとしている中国にとって、グローバル・サウスをどのように自分の陣営に取り込めるのか、しのぎを削っているのが今日の世界のありようです。
 日本のメディアの報道を見ますと、NATO加盟国会議でも、あるいは私が取材しました6月のシンガポールのシャングリラ安全保障会議でも米中の対立、そして日本はどのような立ち位置に立つのかというバイナリーな視点に終始しているように感じました。御存じのようにバイデン大統領はウクライナの戦争は民主主義対専制主義との戦いと定義付けても、実際にはウクライナ侵攻後の2022年の4月、ロシアを国連人権理事会から排除する国連総会の決議でも、例えばASEANは10か国中、賛成はミャンマーとフィリピン、反対はラオスとベトナム、そしてシンガポールとタイなど6か国は棄権、インドやブラジルも棄権したことからも明らかなように、グローバル・サウスも政治的には一枚岩ではないことが分かります。
 そして、そのグローバル・サウスは今の世界のありようをどのように語っているのでしょうか。6月のシャングリラ安全保障会議で取材した識者の声を一部御紹介しますと、例えばインドは、アメリカ、中国などどちらかの陣営に囲い込めるという期待は荒唐無稽、インドネシアは、マルチラテラリズムを基軸とし、アメリカであろうと中国やロシアであろうと、法の支配を言いながら自らにその原則は当たらないとする考え方は認めない。
 ベトナムは、イデオロギーありきで関係を構築する時代ではない、中国の関係は維持する、インド太平洋構想を掲げるアメリカとの関係も重視したい。
 フィリピンは、グローバル・サウスは一昔前とは格段に国力が増している。グローバル・ノース、先進諸国には付き従わないし、思いどおりにはならない。世界は多極化している中で、国益を考慮して複数のアライメントを取るのは当然のこと。日和見との批判は当たらない、それは合理的な選択であると。そういった声が聞かれました。
 そして選択するのは我々グローバル・サウスであると、国力に裏打ちされた自信にあふれた主張が目立ちました。そして、それも米中どちらかにつくとも限らないし、両方を選ぶかもしれない。どちらにもつかないかもしれない。その時々のイシューに即して立ち位置、アライメントを取るという主張を展開していたのが印象的でした。
 そうした国々の立ち位置は、彼らのほうは明らかにアップデートされている中で、私たちの世界観もアップデートが求められているのではないかと。どちらにつくのか、つかないのか、選択する十分な力を蓄えつつある国々に対して、こちらからは途上国の集まりと言われるような、上から目線で見て外交や協力を語ってしまっていることはないのか。世界観のアップデートが今、改めて求められているように感じております。
 そしてさらに、皆様に御関心があるところかと思うので指摘していきたいことは、世界の成長エンジンと言われて期待されているグローバル・サウス自身も課題を抱えているということです。例えばASEAN域内では、シンガポールの1人当たりのGDPは8万3,000ドルあまりで、最下位のミャンマーの1,050ドルに対して83倍、インドネシア国内でもジャカルタと最下位の都市では10倍近い開きがあります。インドでは、経済成長で貧困率が改善されたのも事実で、ジェトロによる21年の調査によりますと、初等教育や中等教育にアクセスできる人口は増えてきたものの、高等教育への進学率は25%に留まっているという数字もあります。域内格差や国内格差が深刻なのもグローバル・サウスの現実と言えます。そして、更にコロナによる失業率ですとか、経済への負の影響を及ぼしていることも注視する必要があるかと思います。
 次のページです。これが最後から2枚目のパワーポイントですが、そうした中で求められるユネスコの活動、日本ならではの役割は何か考えたいと思います。まず日本は開発協力の柱として、人間の安全保障を掲げていることを確認しておく必要があります。安全保障といいますと、昨年末に発表された国家安全保障戦略など防衛3文書がメディアでは大きく取り上げられてしまいましたけれども、先頃6月に改定されて発表された日本の開発協力大綱でも、日本はこの複合的な危機の時代において課題が複雑に絡み合う中で一人一人に注目し、保健、栄養、教育を含む分野における人への投資が重要であるとの方針に変わりがないことが分かります。
 そして次のページにまいります。G7教育大臣会合では、日本から子供たちのウェルビーイングに資する学びや教育についての提案があり、内外に発信されたことの意味は大きいと考えています。ウェルビーイングとはOECDやWHOなどでも議論が進められてきた考え方で、経済成長中心から価値観の多様化、問い直しが進む中で一人一人の身体や精神、社会的に満ち足りた状態に注目する考え方と理解しています。同様の考え方は、インドにあるユネスコのカテゴリー1の機関であるユネスコ MGIEPマハトマ・ガンジー平和と教育のための研究所も研究の中心的な考え方として挙げています。私は理事を務めており、4月にはアナンタ・デュライアパ所長が文科省を再訪され、岡村統括官をはじめ文科省の皆様とも大変有益な意見交換の機会を持たれました。
 MGIEPによる教育現場での取組には、この真ん中あたりに書いておりますHappier Classrooms、生徒も教師も幸せ度が高い教室という考え方があって、それは実現しているのかという問いかけがあります。教室にウェルビーイングはあるのか、学校は全ての生徒や教師にとって安全な学びの場なのかという問いです。子供の、例えば自殺や不登校、いじめや教師への過度の負荷は、日本に限らず多くの国で課題として共有されていることでもありますし、紛争や貧困、差別の中にある子供たちにもどのように教育の機会を提供していくのかという問いかけでもあります。つまり、教育の質を高めるためには、学力だけではなく心の健康も大切であるという理解が根底にあります。
 日本は、かつて途上国であった経験から教育を普及させ、質を高めるという実績があることに加え、各国の教育現場で教師や子供たちが今、直面している課題にも共感できるという立場にあるのではないかと思います。ウェルビーイングはそうした意味で大事なキーワードであり、内外に積極的に発信し、日本はパートナーとして課題解決に向けた協調を働きかけることができる立ち位置にある、数少ない国であるのではないかと考えています。
 以上でございます。ありがとうございました。
【濵口委員長】  道傳委員、ありがとうございました。
 それでは続きまして、治部委員から御発表をお願いいたします。
【治部委員】  御指名ありがとうございました。道傳様の非常に格調高いお話の後、私は少し、よりちょっと目先の話になるかもしれません。頂いておりますお題が、ユネスコやユネスコ活動の普及における広報施策のよりよい在り方についてということでした。まず、最初に私、こちらの委員会に関わるようになったのが非常に最近なので、バックグラウンド、自己紹介等々と、今日のお話の内容に関わることを少し御紹介させていただきたいと思っております。
 まず前提として私自身のこととメディアとの関係、それから私が最近、こちらに関わるようになったということで、少し外から見た場合のユネスコの価値が何なのかということ、また私自身が活字メディア出身ですので、日本語のメディアが伝えているユネスコというものがどういうものであるかということの現状の確認、それから記者経験を踏まえまして、どういったことをするとより事実に近いというか、より望ましい報道につながるのかなというアイデアを書かせていただきました。主にこの青で示した3点になります。
 次のスライドお願いします。私、今、東京工業大学の文系の教養部門で教員をしておりますが、一番長いキャリアは経済雑誌の記者になります。途中からはウェブメディアと紙と両方書くようになってきまして、人々がどういう形で報道とか文字情報を摂取するかということが、紙からインターネットに大きく変わるということを自分自身も仕事の中で経験をしてきました。
 また直近で東工大に着任する前、7年ほどフリーのジャーナリストをしておりまして、その中で主に男女共同参画、ジェンダー多様性に関連するような行政の委員ですとか執筆、講演等々をしております。海外という観点ではフルブライトでアメリカに1年ほどおりまして、プライベートでは子供がおりますので、ユネスコの中でも特に教育に関わる活動は個人的にも関心があります。
 現在の公職ですけど次のページをお願いします。ユネスコに関することをさせていただくようになったことと、今日のお話に関わるメディアに関連するものだけ、緑に色付けをさせていただきました。日本メディア学会、これ、もともと新聞学会だったものがマスコミュニケーション学会、昨今の状況を踏まえてメディア学会と名前が変わってきているんですけれども、そちらで昨年からジェンダー研究部会というものが新しく立ち上がって、その部会長をしております。様々な分野でジェンダー平等に関する関心が高まっている中で、学会でもこのような新しい動きがあるということになります。
 あともう一つ、テレビ関係ですと番組審議会委員ですとか、あと、新聞の外部委員等々をしているところがございます。
 次のスライドお願いします。あと、過去に公共広報に関わる様々な仕事をしているんですけれども、JICAのアドバイザーを少しやっていたことがあります。あと、ユネスコとも少し通じるかなと思うのは、文化外交といいましょうか、政府として有識者を海外に派遣して話をいろいろするということ、皆様も行かれたことがある方がいるのではないかと思うんですが、そういった中でもアメリカに行ったり、フランスに行ったりといったことをしております。
 また、先ほど道傳様からお話がありましたとおり、グローバル・サウスということも踏まえますとG7だけではなくてG20が非常に重要になってきます。日本で2019年に大阪サミット、G20のサミットがあった際に公式エンゲージメントグループの一つに女性政策をG20に提言するW20、Women20というのがあるんですが、これの日本の委員会をやっていたことがあります。G20そのものが一般の人にそれほど知られていなかったりとか、またエンゲージグループがあること自体も全く知られていなかったので、主にこの委員会の中でも広報回りを手がけていたところがあるので、もしかしたらそんな経験も少しお役に立つところがあるかもしれないなと思ったりします。
 また官公庁ですとか、そういったところの広報関連の研修もたくさんやっております。ということを前提にお話をさせていただこうと思うんですけれども、まず私、新しくこちらに関わらせていただいた、外から見るという観点から、ユネスコの価値ってどういうことかなというのをいろいろホームページを拝見しました。次のページをお願いいたします。
 いろいろなページを拝見していた中で、飛鳥・橿原ユネスコ協会さんのページの中に、ユネスコとはという説明がありました。非常に端的で分かりやすく良いなと思いました。
 次のスライドお願いします。大事だなと思ったところを色に付けてあります。このユネスコ憲章前文の最初の部分に「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」とありますと、こういったこと自体は様々な国際機関で手を替え、品を替え言われているところであるんですけれども、この築かなければならない心の中の平和とは何であるかということを、教育・科学・文化・マスコミュニケーションの分野で探し求めるのがユネスコの活動の目的ですと書いてある、私はこの赤くした部分がとてもすばらしいなと思いました。
 一体何をすればいいのかということを、私が関わっていたようなマスメディアというのは比較的、短期的な視点で回答を提示するみたいな、そういうコンテンツ作りも数多くやってきたんですが、このユネスコの活動というのはどうすればいいかという答えを与えるのではなく、どういった活動を通じて長期的にそれを探していくかということなのであることを謳ってあって、すごくいいなと思ったんですけれども、今日、私が申し上げたいのはこういったすばらしい部分というところが、では果たして日本語がネイティブの人たちにメディアを通じて十分に伝わっているだろうかというのが私の問題意識ということになります。
 伝わっているかどうかというのをどういうふうに調べるかって、いろいろな方法があるんですけれども、先ほど申し上げましたように今、インターネットでいろいろな情報を取る人が多いので、まずニュース、報道がどうしているかということを端的に検索してみました。
 次のページお願いいたします。Yahooニュースで今、ニュースを摂取する人がすごく多いです。新聞等々のニュースも、これは何々新聞の記事であると認識して多くの一般の方は読むというよりも、YahooであるとかLINEであるとか、そういったプラットフォームやSNS経由で流れてくるものを見て、これはYahooで見た、LINEで見たといったような認知をすることが多くございます。ということで、ここではYahooを見てみました。少し前になるんですけれども、今日の12時半にも再度同じところで検索をしてみたところ、件数はさほど変わらなかったです。「ユネスコ」で片仮名で検索してみると845件出てきます。
 どういったものが多いかというと、これ多分、皆さん御想像つくとおり、圧倒的多数が世界遺産に関する記事になってきます。それからタイミング的に、先ほど事務局からお話がありましたとおり、アメリカのユネスコ復帰というのもこの7月5日の時点では20件ほど記事が出ておりました。また、ユネスコスクールであるとか、政府間海洋学委員会の次期議長が日本の道田様になったことであるとか、そういったこともあります。あと、文楽の継承者がすごく見つからなくて困っているようなことが新聞でも報道されていますので、こういったこと。それからジオパークのこと等々が出てくるんですけれども、果たして、これは飽くまでもサンプリングがこの日であったので直近のニュースしか拾っていないということはあるんですけれども、この露出の仕方というのは関係者が発信したユネスコとはこのようなものであるというものと、どのぐらい合っているでしょうか。もしくはどのようにずれているでしょうかということを一緒に考えられたらと思いました。
 ここで私、仕事の中で記者の経験が一番長いので、記者がどんなふうに情報摂取をするかということを、その視点から考えてみたいと思います。次のページお願いいたします。普通、これって何だろうと思ったときにGoogleで検索をするんですけれども、日本語でユネスコとGoogle検索をすると公益社団法人日本ユネスコ協会連盟のページにヒットしますと。これは、それはそうだなということですけれども、そこでアバウトアス、私たちについてというものを見ますと、これはざっくりと教育を通じた平和を目指す団体だなという印象を持ちます。これ自体はそれほど間違った印象ではないかなと思います。ですので、ユネスコについては特に知識がない記者が初見で日本語で検索をかけたときに、例えば持続可能な開発のための教育等々はこの枠組みである程度、認知はできるのではないかなと思います。
 では一方、英語で検索すると何が起こるかというと、ユネスコの本部のページにヒットするんですけれども、これはトップがバイオダイバーシティーに関する大きな写真が出てきます。次にアメリカの復帰のニュースが出てきて、どちらかというと、こちら、文化外交の色合いとか、もう少しサイエンスの色合いを強く受けるような気がいたします。もちろんこれも7月のある日に検索したものということにすぎませんので、別な日に検索をするとまた違う印象を受けるのではないかなとは思います。このように、日本語検索したときと英語検索したときで受ける印象は違うのかなと思うんですけど、これについてどう捉えるかということも広報を考える上では重要ではないかと思います。
 次のページお願いします。記者視点で見て、広報があまりされていなくてもったいないかなと思うことがございます。これは調査レポートですけれども、ユネスコの英語サイトには膨大なパブリケーションがありまして、ただ、それが少なくとも私の認知している範囲では、日本語の活字メディアではそんなにたくさん取り上げられていないような印象を持っております。特に教育ですとかAIに関する調査というのは今、すごく報道も増えていて国内でも関心が高いと思いますし、関連する非常に良いレポートがユネスコから出ています。私は仕事の関連でジェンダーのことをやっていますので、AIとジェンダーバイアスに関する3年前に出たユネスコのレポートは結構読んで、周りの人にも話をしていて、そんなものがあったのか、知らなかったみたいな反応が多いので、例えばですけれども、主なもののエグゼクティブサマリーだけでも和訳して何か日本語のページに載っていたりすると、もう少しユネスコの持っているナレッジベースというものが生かされて、日本語空間にそれが広まっていくのではないかなという感じはいたしました。
 最後に2つ御提案ですけれども、じゃ、どうするかと。これ、リソース、どこにあるかという、文科省予算かもしれませんけれども、2つ御提案したいと思います。次のページをお願いいたします。国際機関で日本に拠点があるようなところの場合は、そこがハブになって日本語空間に情報発信をしていくんですけれども、例えばOECD東京センターとかUN Womenの日本事務所、それからILO駐日事務所等々、様々な日本語での発信をしております。その多くは基本的な情報ですとか、出版物の和訳というものがすごく大事になってきます。
 私も長年記者をやっておりまして、最近では取材を受ける側の立場になってくるんですけれども、残念ながら日本のマスメディア関係者の人で皆さん、すごく高い教育は受けているんですけれども、配布される資料が英語オンリーになった途端、突然到達率がすごく下がるということはあります。これは、恐らく今日の委員の先生の中で科学者の方いらっしゃったりするとすごく分かると思うんですけれども、日本語でサマリーとかを提供するだけで、例えばそれはヘッドラインになり得るかもしれないですが、英語の論文をそのまま渡してもなかなかニュースにはなりにくいということは御存じのとおりかなと思います。そういう意味では、何かユネスコの関連で調査統計であるとか外交の関連するようなことが分かる日本語のページがあると、そういった方面での報道ももう少し増えるのではないかなとは思いました。
 最後に御提案ですけれども、よく私も何回かプレスツアーに行ったことがあります。実際に現物を見るとか、先ほどの奈良の協会のすごく良い定義に即してというと、マスメディアの活動も平和の心のとりでを築くものの一端であることを考えますと、何かそういったことをマスメディアも一緒に考えていく、単に外から報じるだけではなくて、そういった記者の活動であるとか、場合によってはほかの国の記者との交流といったようなものも平和を創る活動に資するんですよといったような趣旨でプレスツアーを組んでみるのもいいのではないかなと御提案したいと思います。
 そのときのポイントとしては伝統的なメディア、新聞とかテレビとかだけではなくて今、インターネットの世界に高い専門性を持つフリーランスの記者の人がいます。先ほどのYahooの検索でもユネスコに関してかなり突っ込んだ記事を書いている海外在住の日本人の、恐らくフリーランスとおぼしき記者の人が何人か見つかったんですけれども、そういう方たちに対しても情報提供していくようなことも有効なのではないかなと考えます。
 ありがとうございました。以上になります。
【濵口委員長】  治部委員、ありがとうございました。それでは続きまして、次世代ユネスコ国内委員会の小林委員長、沖田副委員長から御発表をお願いいたします。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】  皆さん、こんにちは。次世代ユネスコ国内委員会委員長の小林真緒子と申します。今回はこのような機会をいただき、ありがとうございます。私自身は2021年に次世代ユネスコ国内委員会が組織されたときからこの委員会に所属させていただいておりまして、今年度から委員長として活動させていただいております。
 私たちからは、これからの時代におけるユネスコ活動の推進について、ユースの視点から課題であったりとか、あと私たちの考える解決策というところでお話しさせていただければと思います。今回は教育と科学の分野についてお話しするんですけれども、これは私と沖田が昨年度までの活動の中で特に関わってきた分野になりますので、今回はこの2つの分野についてお話しさせていただきます。
 では次のページお願いいたします。私からは教育分野についてお話しいたします。全体としては、ユースをよりESDの活動にどうしたら巻き込んでいけるかというところで、まず課題のところで言いますと、ユースとユネスコ関連団体や個人とのアクセスというのが現状はあまりよくないのかなと思っております。これは昨年度までの活動で、今は大学生ですけれども当時高校生だったユネスコ団体、次世代ユネスコ国内委員会のメンバーの中で高校生のときにユネスコスクールの活動の一環でESDの活動をしているときに、その中でユネスコの関連団体の方に取材をしたりだとか、何かフィールドワークをしたりだとかというところで何かアプローチしたいとなったときに、自分たち高校生たちから連絡を取るのはなかなか難しくて、学校だったりとか市役所を通さないと話を進められなかった。これが結構なタイムロスになったりだとか、少しやり方に戸惑ってしまった経験があったというお話を聞いて、こちらは一つ課題として挙げさせていただきました。
 2つ目のユースにおけるESDの認知度が低いというのは、こちら、私が別で一般社団法人で中高生にSDGsをテーマとした授業を提供したりというところで活動している中で、かなりSDGsというところは認知度が高まっているのかなと思う一方で、それを教育に落としたESDの活動、ESDという名前自体がユースの中であまり浸透していなくて、ユースとしてはESDに関するような活動をしているけれども、ESDの中に自分たちの活動が含まれているというところの認識は低いのかなと思いまして、そこはもったいないかなというところで、より認知度を上げていきたいなと考えております。
 理想としては、そういうユースとユネスコ関連団体がつながるようなプラットフォーム、こちらは現在、次世代ユネスコ国内委員会としてもACCUの皆様と一緒にユネスコ未来共創プラットフォームでユースのアクセスを特に歓迎する団体リストというのを今、絶賛準備中ですけれども、そういうところでつながりをつくる仕組み作りであったりとか、またESDに関しても今は現状、教師の方や大人の方々がESDのプログラムを作ってというところですけど、もう少しユースが主体でESDについて考えたりだとか、知って考えるような機会があることでより広い、既に多様な分野において活躍しているユースだったりも更にESDの活動に巻き込めるのかなと考えております。
 下に解決策として幾つか、2つ課題があって解決策として挙げさせていただいてるのは結構具体的なものになってしまうんですけれども、現実性とかを考えずに私が自由に考えたもので言いますと、ユース主体の全国ESDアイデアソンみたいな、現状でESDの事業内容を考えたりだとか、それを成果発表したりという全国大会があると思うんですけれども、そこにユース自身も入っていってユース自身がこういうESDの活動をしてみたいだとか、何かこういう活動したいから誰かとつながりたいみたいなところで、自分たちのESDの活動に関する考えを発表したり、それに教師の方とかユネスコ協会の方とかNPOが手を差し伸べられるよう、何かイベントごとみたいなのがあると、プラットフォームという、連絡を取るためのホームページだけではなくて、実際にリアルでユースと助けを差し伸べる大人の方と実際に手を取り合って連携できるような場ですとか、あとはESDの活動も結構ローカルなものが多いと思いますので、その上でユース同士で地域を超えたつながりをつくって、より全国的にユースのESD活動というのを促進するようなきっかけ作りというのができたら、とても面白いのではないかなと思っております。
 私からは、こちら教育分野についてお話しさせていただきましたので、次のページから沖田副委員長に説明をお願いいたします。
【沖田次世代ユネスコ国内委員会副委員長】  承知しました。副委員長の沖田と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 私からは特に科学分野、ここで申し上げたいのはユネスコ世界ジオパークやユネスコエコパークがどう若者の間で認知度を上げていくかといったような観点から、現在の姿と今後目指すべき姿、それに対して今何が課題でこういった方法があって解決していけばよろしいのではないでしょうかというところでの、基本的な考え方のフレームワークは先ほど小林が説明したものと同様で簡単に御説明させていただきます。
 今現状として科学分野のユネスコ団体というのは一体、どういったポジショニングになるかといったところですけれども、昨年度までいろいろ活動してきて、いろいろな関係者の皆様から御意見を伺ったり、実際に現場に行って見てきたところの知見から申し上げますと、関わっているステークホルダーがかなり限定化されている、もう固定化されているがために関係人口、裾野がなかなか広がっていないような現状にあるのかなと考えております。
 例えばというところで、このジオパークの皆様であったりエコパークの関連団体でのお話をいたしますと、ほかの組織と横連携を進めていっているというのは実際に現状かと思います。ただ、その連携先自体が同じような共通のトピックを持っている、例えばほかの組織だったり、研究機関といったところにかなり限定されていって、分野を超えてとか業種業態を超えて、例えば民間企業様と連携するとか、ほかの分野のユース組織と連携するような事例はなかなか多くはないのかなといったような現状にあるかと考えています。
 故、若い世代であったり、一般の市民から見ると、ジオパーク、エコパークと言われたときに、専門家集団といったような認知であったり、ニッチ過ぎてなかなか足を踏み込みにくいとか、何か門外漢、素人がこれに関わっていいのかどうかといったようなところで懸念を抱かれるような声が多いのかなと考えております。
 こうした現状の中、今後あるべき姿はどういったものなのかといったところで考えていきますと、一般にもう既に広く認知されているような多様なステークホルダーと連携していくことによって裾野が広がり、そしてその活動自体が広く一般的に認知されているような状態があると望ましいのではないかなと考えております。例えばユネスコとかエコパーク、ジオパークといったような領域にこれまであまり関わってこなかったような団体さんであるとか市民組織、民間企業とかとコラボレートしていく、それによってユネスコのエコパーク、ジオパークなどの活動をされているような組織の事業規模をそもそも拡大していくところに加えて、新しいプロジェクト、これまでとはまた異なったようなプロジェクト、プログラムが創出されて、そこでの認知度が広がり、それにより科学分野といっても、ジオパーク、エコパークは、一般の市民の方々と内容を深掘りしていくと身近なものではあると思いますので、身近なものとしての認知度が広がって関係人口が増加していくような流れになると望ましいのではないかなと考えております。
 ただ、こうした未来のあるべき姿に向かって、現状の課題といたしましてどのようなものがあるのかと、こちらもこれまでのヒアリングを通じた仮説になるのですけれども、一つ述べさせていただきたいと考えています。それは、現場レベルの人からすると組織全体としてはあるべき姿に向かっていくべきというのは皆さん認知しているものの、ただ足元の活動自体に手一杯である。もうリソースが不足しているがために、新たな主体とどんどん連携をして、どんどん裾野を広げていこうといったところまでのリソースがないのが現状かと思います。
 深掘りをしていくと、例えば組織の高齢化が進んでいるだとか資金が足りない、人材が足りないという慢性的なリソース不足があって、こういった状況の中でいつもとは異なるステークホルダーと連携をしていくことは、コミュニケーションも違いますし、習慣も違いますしというところでかなり労力がかかってくる。ここにもう一歩踏み込むほどの余力は、多くの現場で動かれている組織ではなかなかないのではないかなというところが一つ課題かと考えております。
 こうした現状の中で、ではどのような解決策が求められるのかといったところで、現場レベルで活動している組織に頑張ってくださいっていったような問いかけをするのは、一つあまり得策ではないのかなと考えております。ただ資金を投入するとかというよりも、新たな連携を促進して裾野を広げていきましょうといったような、そういったミッションを負ったような、人を派遣するとかっていったような解決策も一つ考え得るのではないかなと、こちらでは提案させていただきました。
 ということで今後、ユネスコの科学分野において若者を含めて裾野を広げていくためにはこうした課題があって、こうした解決策があるのではないかというところで、次世代国内委員会からの御説明はここまでとさせていただきます。ありがとうございます。
【濵口委員長】  ありがとうございました。小林委員長、沖田副委員長、的確なお話を頂きました。それでは続きまして、日本政府観光局の中山理事から御発表をお願いします。
【中山日本政府観光局理事】  ありがとうございます。日本政府観光局、理事の中山でございます。本日は、私からは訪日観光の促進に向けたJNTOによります海外向けの情報発信の取組と、関係省庁との連携状況などについてお話をさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、簡単に日本政府観光局の御紹介でございます。日本政府観光局、JNTOは、国際観光の中でも海外から日本へのインバウンド観光を専門に業務を行う独立行政法人でございまして、現在、世界の主要都市25か所に海外事務所を設置しまして各市場で訪日観光の誘致を行ってございます。
 具体的には、様々な業務を行っておりますけれども、この中でも大きなポーションとなりますのが、正に海外向けに日本の観光の魅力を情報発信していくところがございまして、本日はそういったところに恐らく御関心を頂いて、この場にお呼びいただいたのかなと理解しております。
 次のページお願いします。最初に、何を発信しているかということでございます。今、御覧いただいておりますスライドでございますけども、こちらはコロナ前の2019年に実施しました、実際に日本に来られた方を対象にしましたアンケート調査の結果でございます。訪日前に期待していたこと、訪日中にしたことのランキングになります。これはいろいろな国の方が混ざっておりますけれども、傾向値を見ますと、いずれも日本食を食べることというのが大体どこでもトップになるんですけれども、ショッピング、繁華街のまち歩きといった都市型観光、そして自然・景勝地観光、歴史・伝統文化体験といった、ある意味、日本らしさを楽しむような観光、そして旅館、温泉といった日本の生活文化を実際に体験してみたいと、そんなところがざっくり言いますと訪日観光に期待されるもの、実際に楽しんでいただいていると御理解いただけるのではないかと思います。
 次のページお願いします。そしてこのコロナ禍を経まして2年半ぶりに今、インバウンド観光、本格再開しておりますけれども、私どもが積極的に発信している内容というのが、このサステナブルな旅行先としての日本の魅力を発信したいというものでございます。その背景としましては、サステナブルであるためには日本の経済を潤していただく、消費額を増やす、そしてまた地方を発展させるためには地方に行っていただきたいという観点から、このサステナブル、消費額を増やす、地方誘客という、この3点を重視して海外発信を行うということをやっております。
 今、御覧いただいているのはサステナビリティに関するものでございますけれども、いろいろと議論いたしまして、日本のサステナビリティって何なのかなと考えたときに、自然と自然に根差した文化というのをコンセプトにいろいろ発信していくのが良いのではないかと考えておりまして、そしてコンセプトの下に、日本の地域の環境、文化、経済を守り、育むことに資するような、そういった観光をコンテンツの対外発信に努めております。具体的にはここに10個列記しておりますけれども、主なものを申し上げますと、豊かな生物多様性、自然風土に根差した食文化、伝統的な地域・文化財での宿泊体験、あるいは地域の伝統芸能、祭りを楽しむといったものを取り入れております。
 次のスライドお願いします。これ50個のコンテンツを選んでおりますけども、その中から2つだけ、これ、具体例を掲載しておりますけれども、例えばユネスコということでございますので、ユネスコに関係するものと申しますとユネスコのジオパークである阿蘇山周辺でサイクリングを楽しむ、あるいは世界文化遺産である熊野古道でトレッキングを楽しむといったようなものを御紹介しています。
 次のスライドお願いします。また、サステナビリティはもとより、消費額を増やす、そして地方に行っていただくと、そういった観点から今、私どもが有望視しているのがアドベンチャートラベルと呼ばれる旅行形態になります。具体例を挙げてございますけれども長野の古道めぐり、屋久島でのトレッキングといった自然豊かな地方部に滞在していただいて、専門のガイドとともにしっかりその地域のことも理解していただきながら、アクティビティや文化体験を楽しむと、そういったものが典型例として挙げられます。
 今年は実は9月に北海道でアドベンチャートラベルの世界大会、ATWS2023というのが開催される予定となっておりまして、アドベンチャートラベルのプロフェッショナルが北海道に集まる機会がございますので、こういった機会を利用して私ども、このアドベンチャートラベルのデスティネーションとしての日本の魅力を発信していきたいと考えているところであります。
 次のスライドお願いします。ここからはどうやってそれを発信するのかというところでございます。これはある意味、マーケティングのモデルになるんですけれども、一般的に海外の人々が訪日に至るまでというのは、それを細分化していきますと、まず旅行先として日本を認知する、そして興味関心を持つ、実際、日本に行こうかどうかと考える、比較検討の段階に入る、実際に計画しようかということの段階に入りまして最後、航空券を買ったり、旅行商品を買ったりということで訪日されると、そんなプロセスをたどると、頭の中でですね、考えられます。
 私ども、これを「訪日ファネル」と呼んでおりますけれども、JNTOにおきましては、このファネルのどの段階からどの段階で、例えば日本のことをあまり知らない方に認知していただくのか、あるいは日本のことを知っている方に実際に旅行の計画に入ってもらうような、そういうことを促進するのか、どの段階からどの段階で移ってもらうのかといった目的を明確化した上で様々な媒体、手法により情報発信を行っているところでございます。
 まずは私ども自身が管理運営するオウンドメディア、24種類15言語のウェブサイト、SNSを持ってございますけれども、こういったものを使いまして主として既に日本を認知している、あるいは関心を持っている方々に向けて日々訪日観光に関する様々な情報発信を行っております。
 次のスライドお願いします。また、あくまでオウンドメディアは自分で自分のことを宣伝する手法になりますので、より第三者の目から発信してより信頼性を高めてもらおうということで、国内外のメディアとの連携による情報発信にも力を入れてございます。例えば古典的なメディアでいいますと新聞、雑誌、テレビというのもありますし、また最近ですとネット上のブロガーさんだとかユーチューバーだとか、そういった様々なメディアの方々と連携をしております。具体的な手法としましては、定期的に国内外の海外メディアの方々向けにニュースレターを送って関心を持ってもらうということから、こういったメディアの方々が関心を持っていただいたときの取材の御支援をする、取材のアレンジから一部金銭的な御支援をする場合もございます。
 また、先ほど治部委員からもお話がありましたけれども、私ども自身が取材ツアー、調整事業を仕組んで実際に取材に行っていただいて記事を書いていただくといったことにより、メディアさん自身による記事化、露出というのを促進する活動も行っております。
 次のスライドお願いします。こちらは実際に行ったメディア招請の例でございます。昨年度はまだ水際規制がございましたので、これは在日の海外メディアの方々を対象に行ったものでございますけれども、例えばこのときはテーマを先ほど申し上げたアドベンチャートラベル、ガストロノミーツーリズム、それからサステナブルツーリズム、それぞれテーマ設定をいたしまして、行き先としましては岐阜、長野、奈良、北海道等々、かなり日本各地、広い範囲で取材ツアーを企画実施いたしまして、結果、フランスのフィガロ紙ですとか、米国のJapan Timesさんとか、そんなところで記事掲載につながっております。
 次のスライドお願いします。また、こういった発信による効果の精度というか、効果を高めるためにもJNTOにおきましては各市場、国、地域ごとに大体3つから4つぐらいのターゲットセグメント、有望なセグメントというのを設定いたしまして、プロモーション事業を行うに当たりましては、どのターゲットを狙うのかということを明確にした上で、その興味、関心や情報収集に実際にそういった方々が使用するメディアを踏まえて情報発信の内容やメディア選択を行っております。
 例えばスライドにございます、英国の例ですけれども、一つの我々のターゲットというのが20代から30代の大体、中高所得層ということでございますけれども、例えばこういった方々をターゲットにするということであれば、こういう方々は、食か、豊かな自然や伝統文化というものに興味関心があるということで、かつ、情報収集は大体オンラインであることが調査から明らかになっておりますので、そういった内容をオンライン媒体で発信するなどより精度を高めていくようなことを行っております。
 次のスライドお願いします。実際、関係省庁様におかれましても様々な観光資源、お持ちでいらっしゃいますので、各担当省庁様と御相談しながら同様の考え方、手法で情報発信を行っております。
 例えばJNTOのSNSでは農泊、ウポポイ、国立公園、酒蔵ツーリズムといった関係省庁様の案件も積極的に発信しております。
 次のスライドお願いします。更に本格的な情報発信を御希望される場合は、これは有償での受託事業になっておりますけれども現地に実際に取材に入りまして、これは広告の形になりますけれども記事広告を作成しまして発信する、あるいはデジタル広告を打つような連携をさせていただいているところであります。
 次のスライドお願いします。そして関係省庁様以外に日本の各地の自治体様とも常日頃連携をとっておりまして、地域の観光情報をこちらにお寄せいただきましてJNTOの多言語サイトで発信したり、あるいは実際のJNTO各種事業、先ほど申し上げたような招請事業だとか、そういったもので活用するようなことをさせていただいております。
 次のスライド、17は今、申し上げたことのまとめになります。ターゲットの設定、そしてそれにターゲットに即した効果的なメディア、手法を使って情報発信することと、それから他省庁さんともしっかり連携をさせていただいていると、そういった話でございました。
 駆け足になりましたけど、私からは以上となります。ありがとうございます。
【濵口委員長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御発表について御意見、御質問等がございましたら挙手をお願いします。オンラインにて御参加の委員におかれましては、挙手ボタンを押していただければと思います。よろしくお願いいたします。どなたからでも結構です。
 佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。私は最初に伺いましたユネスコの理念について考えていることを述べさせていただきたいと思います。道傳委員の発表、たくさんの示唆をいただきましてありがとうございます。言わずもがなですが、ユネスコの究極の目的は平和な社会の実現にあります。今の国連も、軍事力を持った大国の振る舞いの下では、これを抑止することができていないのが現状であります。
 しかし、政治家といえども国民の支持がなければ戦争は持続できないと思います。ロシアの軍事、政治面は別としても、ロシアの国民の動きというのは私が想像した展開とは異なる点が幾つもあります。ユネスコと関連するということで、教育、科学、文化面の問題では大義のない侵略戦争、ネオナチから国民を守るためと説明されましたけれども、これはプーチンの偏った民族観、歴史観に基づく野心であることは、ある程度の人には理解されていたと想像できます。しかし、知識人や国民の大きな反対運動にはなっておりません。
 2つ目は、コミュニケーションの問題では言論や報道の規制があります。SNSなどの手段があっても、情報の統制が可能だということを証明されたと思っています。また、この前提には周到な法律の改正等がありました。更に最近ですけれども、ワグネルの反乱を一部の国民が支持している理由というのは崇高な正義や友愛の精神ではなくて、プーチン政権への腐敗、汚職への反発だと説明されております。
 このように、過去には帝政ロシアとか旧ソ連を崩壊させた歴史を持つロシアの国民の動きは全く現在では見られておりません。権威主義の国でも今後、同様な事態が懸念されます。教育、科学、文化、コミュニケーション分野で何が問題なのか、分析する必要があると思います。
 そして発想は変えますけれども、現実的な発想としてユネスコの理念は理想を表したものであり、現実性は別として理念を共有することは戦争の抑止になるという考えで意義があると考えるという考え方はあると思います。今後ロシアの国力は衰退し、代わって先ほど御指摘あったように中国、インドが台頭してきます。世界は民主主義と権威主義、更にはグローバル・サウスなどの新興国に分断されている時代になっております。この中で、日本が立脚する民主主義というのは全体の中では少数派です。しかし日本の文化は、キリスト教とかイスラム教の正義と悪に2つに分ける二項対立の世界とは異なっています。駆け引きによる交渉ではなくて、信頼できる国という評価が認められていると考えております。新たな時代のユネスコ活動も様々な考え方に基づいて柔軟に展開していく必要があると考えます。
 取り留めのない話でありますけれども、私の私見を述べさせていただきました。ありがとうございます。
【濵口委員長】  ありがとうございます。大変示唆に富むお話でございました。ほかいかがでしょうか。先ほどのグローバル・サウスの問題、俗にVIPといいますがベトナム、インドネシア、フィリピンで実は人口7億あります。平均年齢が30前後であったと思いますし、インドが中国を抜いて14億に達するのではなかろうかと、そのうちですね。13億超えていると思います。両方合わせると20億。
 それからアフリカ、いろいろな国がありますけど、実は例えば南アフリカの首脳陣が常に使う言葉はour continent、我々の大陸という言葉でありまして、アフリカは全体としては主義主張を捨てながら、大陸全体としてまとまって西側に対抗するような勢力になろうとしている動きがあります。非常に世界が多極化している現状があります。その中で日本がどういう活動をしていくのか。ユネスコの理念を現代的な意味でどういう活動に翻訳していくかということは大きな課題だと思います。
 沖先生、お願いします。
【沖委員】  ありがとうございます。お話ありがとうございます。私からは、間もなく我々のグループでやった研究発表がプレスリリースされる、そこで分かったことが、ちょうど当てはまると思いますので御紹介させていただきたいと思います。それは、気候変動の悪影響と悪影響を削減するための費用というのを足した気候変動の総費用というのを考えましたときにどうなるかという論文ですけれども、皆様方、気候変動で世界の全球平均気温が上がれば上がるほど被害が増えるのは、もうIPCC気候変動に関する政府間パネルの報告で御存じだと思います。ですので、できるだけ低い温度上昇に抑えようというパリ協定で2度を目標とし、できれば1.5度に向けた、できるだけ低い温度上昇に抑えようということですが、抑えようとすればするほど温室効果ガス排出削減の費用がかかるわけですね。それらを足したときに何度ぐらいが費用最小になるか、という論文です。
 ここで申し上げたいのは何度の目標が最小になるかということよりは、実は気候変動の悪影響というのはどんな未来社会になるかによって全然違ってくる、という点です。持続可能な社会なのか、それとも分断化された前途多難な社会なのか。ロッキーロードと英語では呼ばれていますけれども、そういう社会になったときには同じような温度上昇でも非常に世界全体の被害が増えることが分かっています。
 また今回、治部委員がおっしゃっていた日本語でのプレスリリースがあると違うって話ですが、ちゃんとそれも準備して間もなく解禁されるはずですけれども、生物多様性や人間の健康にどの程度の価値を置くのか、またそれらの将来の損失をどのぐらい重要だと考えるのかというのによって実は大きく変わるということも分かりました。
 ここで申し上げたいのは、どんな社会が持続可能な社会なのか、これもIPCCの世界共通の新社会経済シナリオとしてストーリーテリングということで、具体的な数値というよりはどんな社会という、正に定性的な記述がなされているんですけれども、一つが多様なステークホルダーの協調によってグローバルコモンズの管理がなされている。それから環境を尊重したインクルーシブな開発を重視している。資源やエネルギー強度が低下、それから小林委員の御発表に関係しますけれども、教育と健康への投資が増える。そして人口の増え方が抑えられていて、経済成長重視から人間の健康を重視する方向にシフトする、正に道傳委員がおっしゃった話、そして国内外で不平等も縮小するといったことが、持続可能な緑の社会ということで提案されています。
 正に皆様方、おっしゃったとおり、こういう持続可能な社会をつくることにユネスコ活動を通じて貢献することこそが、気候変動の総費用を最小限に抑える意味でも非常に重要であるということを申し上げていきたいと思いました。
 また、中山様のインバウンドの推進に関しましては、これは私の私見になるかもしれませんが、SDGsでもオーバーツーリズムを避けて持続可能なツーリズムと書いてありますとおり、今は日本の国内のオーバーツーリズムに対する準備が整わないままに、円安とCOVID後のインバウンドの増加に対して若干ひずみが生じていますので、ここで何かまた新しい適切な持続可能なツーリズムを目指した動きがあるのではないか、あるいは必要なのではないかと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
【濵口委員長】  ありがとうございます。発表していただいた方々に対して沖委員から御意見いただきましたが、何か御意見ございますでしょうか。発表された方、特にユースの方いかがですか。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】  ありがとうございます。そうですね。教育のところでおっしゃってくださったと思うんですけれども、教育に対する投資というところはユースとしては、そこはもちろん望んでいるところで、また多様なステークホルダーとつながるというところで多分、私と沖田さんで教育と科学で別々の分野についてお話しさせていただいたんですけれども、文化も含めてどの分野においても学生という視点だと、教育を受ける場自体にもウェルビーイングが必要だというところにもつながると思うんですけど、何か学校という環境と家族とか友達という、コミュニティ自体、自分、学生の所属しているコミュニティが限定化されているのはあまり健康的ではないのかなと思っていて。先ほどの話にもあったような多様なステークホルダーとつながるところに対する投資であったりとかというのが、生徒にとっても様々な所属に属していろいろな人とつながる中で価値を広げていってというのが、何か学生というか、ユースのウェルビーイングにもつながっていくのかなと考えております。ありがとうございます。
【濵口委員長】  ありがとうございます。沖田さん、いかがですか。
【沖田次世代ユネスコ国内委員会副委員長】  では、私からも。コメントいただきましてありがとうございます。
 私ですと、少しユースの視点というところもありつつ、私ふだんはコンサルティング会社で民間企業さん向けに割とサステナビリティのサービスだとか、気候変動対応に向けた企業変革みたいなサービスを中心的に届けておりまして、そういったときに民間の企業様もこれまでは投資家とか、金融機関に対してこういう企業経営をしていきますとか、企業変革をしていますといったところではメッセージ性を出していたものから、今、ステークホルダー資本主義というところでも一般の消費者様であったり、あとはもう取引先とか、もう発信していくステークホルダーの数と裾野がかなり大きく広がっているのは特徴なのかなと思っています。
 そういったときに気候変動とか生物多様性とかって、もう限られた人たちのアジェンダというよりも世界で地球市民全員が取り組まなければ解決できないような課題になっていると思っていまして、そういったような発信をこれからどんどん続けていくようなことで、自分事として認識いただけるような発信の方法であったり、取組というのをユースの世代を含めて今後、積極的にうまくやっていけるように、ユネスコ活動自体も何か変革をできればなと考えているところでありました。
 私からは以上でございます。
【濵口委員長】  ありがとうございます。余談になるんですけど8月頭に実は急に韓国に呼ばれていまして、なぜ呼ばれたかというと、あるテーマのミーティングがあるんです。タイトルは、We are future、我々は未来である。どんな会かというと、韓国のファンディングエージェンシーがサポートしているんですけど、10代の子たちに50年後の自分の未来の欲しいもの、あるいは実現したいことを絵に描いてもらって、それを集めて全国で選別して、10項目か選んで、それに対して20代、30代の研究者がこういうプロジェクトで実現しますという提案をするんですよ。結局、2題選ばれたらしいんですけど、そこへ来てくれと。
 なぜ来てくれと言うかというと、実はJSTでムーンショットというプログラムをやっていまして、大きな科学的にすさまじいことをやるだけでは我々物足りないなというので、大分いろいろ議論があったんですけど。
 2つだけ新しいプログラムをやっていただいたのは、30代の方々にテーマを提案していただいて、たしか40チームぐらい選んだんですね。半年間ずっとディベートとコミュニケーションを行って、最終的にそこから7題選んで、更に絞り込んで2題をもう今、走らせているんです。それがどんなテーマかというと、1つ目は台風をコントロールするというテーマで、2050年に実現したいと。地球温暖化というとどうしてもCO2を減らす話ばっかりになってくるんですね。ワンパターンですよね。経済を抑えるような話ばっかりですよね。これでは産業はどう活動してくのかという、だから我々は若い人たちと議論していると視点が全然違うんですね。今、直面している問題を解決しなきゃいけないのではないかと。それは、台風の巨大化であり線状降雨帯であると、これをどうやって科学の力でコントロールするか。
 それから、もう一つ選んだテーマが日本人を元気にするというようなテーマです。テーマの詳細は忘れましたけど、どうしてかというとコロナで鬱病がすごく増えているんですよ。2倍以上になっています。それから自殺も増えているんですよ。それから小学生の鬱状態が増えている。これを何とか元気にしたいと。それも薬を飲ませて鬱状態から解放するんじゃなしに、もっと人間の内在的な力で元気にするにはどうしたらいいんだろうという、30代の研究者が四苦八苦してやっております。代表は京都大学の准教授のお寺の跡継ぎの人がやっておられるんですけど、この方、面白くて、実は仏教はお経が物すごくいろいろあるんです。言い換えると、いろいろな悩みに対してそれぞれの解決方法が実は書いてあるというんです。本当かどうか知りませんけど。それでそれをIT化してオンラインで乗せるという作業からずっとやっているんですね。どんな悩みにもお経で答えられるだろうと彼は言うんですけど、本当かしらと思いながらいろいろ話している。
 結局、さっきの韓国の話に戻りますけど、近未来は若いあなた方なんですよね。何かこのプレゼンスが本当に弱いな、どうしたらいいのかなと思うんだけど、ずっとこれを考えている。
 先日、2,3日前まで中央アジアのウズベキスタンという国に行っていたんです。これ、国連の要請で大統領選挙をやるときの国際監視団を派遣しないといけないことになって、私も引っ張り込まれて行ってきたんです。ずっとそことはもう30年近い付き合いになってくるんですけどポイント、言いたいことは国の副首長だとか副大臣が、これが40前後なの、みんな。30代からやっている、若い。彼らが国を引っ張っていっているんですね。インドネシアも同じですね。平均年齢30代ですよ。だからその人たちがぐっと引っ張っている。
 日本、どうかなと考えてみると、明治維新のときは20代の日本人が、あの幕府から明治への転換を全部設計していったんですよ。20代です。どうしたらいいのかなと。だから、もっとさ、表に出る道ないのかなと。主体者として日本はこうすべきだということを君たちの世代が言える場を作るにはどうしたらいいんだろうなというのは感じるんですよね。何というかな、ESDだとかSDGsといったとおり、学校の勉強の中でしか動かないでしょう?もうちょっと何かやらなきゃいけないんだけど、そこが私も見えないんですけどね。
 と問題意識ばかりですいませんね。どうぞ御発言ください。吉田先生お願いします。
【吉田委員】  ありがとうございます。今の濵口委員長のお話もすごく腑に落ちるんですけど、最近の世の中の世間話から始めて恐縮ですけど、先が見えなくて将来に不安があって、そのために今元気がなくなってしまっているのがすごく一般化した風潮になっていますよね。よくよく考えるまでもなく、先が見える試しはいまだかつてないわけで、将来こうなりたい、こういう社会を創っていきたいと、その強い思いがあって、そこに共鳴する力が合わせれば、そうなっていきますよね。ですから今言われた韓国の取組というよりは韓国で議論されるものであったり、JSTで支援されているようなものというのは正にそういうところを先取りしていて、そこを中心に世の中の核を作っていく、こういう作業というのは非常に大事であって、そこに希望が見えてくるということになるのかなという気がしました。
 今日、御発表いただいた皆さんの中に少しずつ関連づけて感想を申し上げたいんですけど、最初に道傳副会長が言われた国際情勢の大分大きな変化がいろいろ続いていますよね。特にグローバル・サウスという国々の人たちが明確に自分の意見を持って、それをあらゆる場で表明して、行動するようになっていると。これは本当にこの数十年の中でも比較的最近の大きな傾向で、それが一つ。
 それと、一方で我々がずっと信じて、そしてそこに向けて行動してきた国連憲章の核になるような普遍的な価値観ですよね。平和、それから人権、自由であったり、こういう普遍的な価値というのは、時代とか世界情勢が変わってきたからといって普遍的な価値そのものが変わったのかというと、私はそこは変わっていないんだと思うんです。ただ、そういう普遍的な価値というものを掲げながらも、それをどう理解して実践していくかというところになると大分、人それぞれ、国で申し上げるのは避けたいんですけど、場合によってはかなり自分勝手に解釈をして、いや、これはちゃんと平和のためなんだといって大分外れたことを平気でしていると。こういうのがかなり随所に見られるようになってきていると。これが国際情勢の複雑化というのと、普遍的な価値を実施していく国際的な合意というものが危うくなっていることが同義語であれば、かなり深刻な状況だと考えるべきだと一つ思いました。そこが、最初に感じたところです。
 それから治部委員が言われた、心の中に平和のとりでを築くといったときの心の中の平和って何なんだというのを一人一人が考えて、それを実践に移していかなければいけないのは本当に重要な役割であって、私は教育分野でずっと仕事をしていますものですから、教育の分野においてはそれはどういう意味があるのかということは本当に考えています。それにしても、今のそれも含めて普遍的な価値観というものをどう解釈して実施していくのかというのには、非常に重要だけれども大変な課題というのが付きまとっているというのが一つあると思います。
 あと、治部委員から言われて、はたと思ったのは、実は私の大学のセンターでユネスコのグローバルエデュケーションモニタリング(GEM)レポート、毎年、要約版を日本語にしているんですけど、あれ、御存じなかったのかなという。だとすると広報の仕方ですよね。情報はあっても、ここにあるのにそれをどう皆さんの目につく形で提供するか、そういうところの努力というのが実は弱いかなというのは改めて感じました。反省するところもあると思います。
 先ほどのGEMレポートの翻訳というのはACCUさんであったり、NGOの教育分野の団体であるJNNEさんとかJICAさんとかとも協力してやっているので、それぞれ広報もしていただいているんですけど不十分だったのかなと感じました。
 それから、次世代の方々からの御発表でそれにも関連するんですけど、実は先般、ユネスコ/日本ESD賞という、世界の賞を選考する委員としてユネスコ本部での議論に参加させていただいて、そこにはかなり100近い応募数があって世界からいろいろな案件が出てくるわけですね。非常に様々です。そのESDというコンセプトを中心にしていても実施主体は学校中心であったり、ユースであったり、地域社会であったり、またそこに民間が関わっていたりと、本当に様々な活動が非常に優れた成果を出しているんですね。これは日本はその言い出しっぺであるわけですから、もっともっとこういうすばらしい試みが世の中にあちこちにあるんだぞということをもっと精力的に発信していく必要があるなと思いました。ただ単に最優秀です、これが最優秀ですというようにするだけではなくて。
 我々審査委員の中で議論していて、これは申し上げてもいいと思うんですけど、各委員がいくつか良いと思ったものを出してくださいといったときに、委員によって考え方が大分違うんです。それぞれの委員の意見を聞くと、なるほどねと、そういうところがすばらしいと思うんだと、交流することによって対話することによって、また新たな気づきがそこから出てくると。こういうプロセスがあって、本質的にいい行いというものの本当の意味というのがより見えてくる。こういう意味では勝手に誰か偉い人が解釈して、これがいいんですという、そういう葵の御紋のような使い方はしないで皆さんの中からそういう議論が出てくるような、そういう仕組みというのがあっていいかなと思いました。
 それから御発表の中ではジオパークとか、ESDとかあたかも別個のような、お二人で発表したからですけど、全然実は別個ではないわけですよね。非常に密接につながっていて、もっと言えばユネスコが認証したようなジオ何とかではなくても、日本には里山であったり、もっと普通に身近に大切にすべきもの、自然だけでなくて様々な価値のあるものというのがあるわけですから、こういうものと地域社会がどう関係付けられているのか、どう社会が資産的な価値のあるものを生かしているのか、そしてそれを世代を超えてどのように大切にしていくのか、こういうことが実践されているのが実は日本の強みだと思うんです。
 そうすると、最後に御発表いただいた中山理事のお話も全部つながってくると思うんですけど、日本のツーリズムの魅力って日本が面白そうだから来るというだけではなくて、最近本当に活動を中心に、染物を本当にやってみたり、陶器とかを自分で作ってみたり、それからネイチャーといっても自然の中に入っていって専門家の話を。
【濵口委員長】  こんなところにいるのっていうところにいますね。
【吉田委員】  そうなんです。そういう本当に見直すべきものというのが随所にあると。ですから、ツーリズムとしてのサステナビリティというよりも日本の中にある様々なサステナビリティをもっと前面に出していく。サステナビリティをツーリズムの下に置いてもらうと、こういうようなところも日本政府のメッセージの中にもうちょっと強くあってもいいのかなということを感じました。
 最後にすみません。そういうことをとにかくESDの活動にしても、身近な場における人々の関わり方にしても、日本が本当に魅力的な国である理由の一つが身近なところに社会、世界が評価してくれるようなすばらしいものがたくさんあると。こういうことをどう発信するかなんですけど、実際に行っている人がそれを発信してくださいというのは非常に酷な話で、そういう点では例えば、道傳委員の分野であるメディアの方々がそこにある価値をどのように認めて、それをどのように社会に発信していくか、そういうところはいろいろな人が関わってきてよい部分であって、そこをもっともっと強くしていかなければいけない。
 そういうことによって、最初に触れました理念と実践、それから実践の中にある意義あるメッセージ化、こういうことができていって、結果的にはESDであったりサステナブルディベロップメントであったり、それから合わせて内包されているトランスフォーメーション、どういうものをどのように維持しながら見直しながら変えていかなければいけないのか。こういうことを本当に様々な場で体現しているのが日本の社会のいいところだということを固く信じているんです。であれば、それをもっと外に出していく。そしてそれを基に皆さんを呼び込んで一緒に対話をしていく、こういうところを深めていくのが、ユネスコ活動そのものにも非常につながっていく部分かと思います。
 長くなって失礼しました。
【濵口委員長】  ありがとうございます。最初に言われた国際的な合意というのが結構壊れているという話は、それこそ佐藤さんの言われた国単位の信頼が壊れているような感じがしますね。それをどう戻していくかというところで、日本の立ち位置としてはユネスコ活動的な展開がかなり力を持つのかなと改めて今、お話を伺っていて実感しました。それには広報が足りない。どうやったらいいんだろうということも考えております。いろいろ事務局でも検討していただかないといけないかなと思っていますけど。
 道田先生、どうぞ。
【道田委員】  ありがとうございます。科学小委員会で委員長代理を仰せつかっております東京大学、道田でございます。
 先ほど治部様のスライド中に私の名前が突然出てきまして、驚きましたがそこにありましたように先月行われた第32回のユネスコ政府間海洋学委員会、IOCの総会において今期の議長に選ばれ、任期が2年ございますので引き続き皆様方の御支援と御指導いただきながら何とか務めたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 今日お話をお伺いして2点ほど科学の視点からということになろうかと思いますけど、感想みたいなことを申し上げたいと思いますが、一つは先ほど来話題になっていますグローバル・サウスの各国ですが、幾つかの国は海洋大国なんですね。例えば典型的にはインドネシアは非常に大きな管轄海域を持っておりますし、更にブラジル、そういったところがIOC政府間海洋学委員会の議論の中でも存在感、昔からありますけれども、ますますそれを増しているのは事実であります。
 そういう国との協力関係なしにはIOC活動の的確な展開が難しいということがございますので、私、議長になりましたのでそこら辺も見つつ、しっかり務めてまいりたいと思うんですが一方、先ほど来御指摘ありますようなロシア情勢ですね。ロシアも海洋大国なんです。IOCにおいてもロシアのこれまでの、戦争、侵略が始まる前の貢献というのは小さくない、むしろ大きいものがありましたので、そこが今回の選挙でもロシアは今期の執行理事国から落選しておりますので、ロシアが執行理事国にない状態でのIOCの運営ということで、その辺りを非常に気を遣う場面がございますので、何とかIOCの、ここ数年使っております標語でありますワンプラネット、ワンオーシャン、地球は一つ、かけがえのない海と私、と訳しておりますけど、それに向けて加盟国の協力を得つつ頑張っていきたいと思います。
 その中で、先ほど来指摘あります科学の、次世代の方から御指摘ありましたね。科学のことを身近なものに、これ、科学も共通の課題かもしれませんけど海は特に大きな課題。海洋が大事であるということは、そうですねと皆さんおっしゃいますけど、残念ながら海は多くの方にとって生活の場ではないので、なかなか実感が湧かないことがございます。
 ですが地球上の7割を占める海洋が地球の関係にとって非常に大きな役割を果たしていることはこれ、事実ですので、海洋のことをもっと皆さんに知っていただく活動、展開してきていますけれども、更にそこは力を入れようとIOCでもしております。IOCの今期、あるいはその次にかけての大きな重要な課題の一つが広報コミュニケーション戦略の構築ということになっておりまして、皆さん御承知とも思いますけれども、国連海洋科学の10年というのが2021年に始まっていて2030年までで、私の任期中にちょうど中間期を迎えるんですね。ですので何とか皆様の力を借りつつ、その辺も力を入れていきたいなと思っています。
 その文脈で言いますと、ユネスコの私はIOCの担当ですけど、ほかにMAB(人間と生物圏)計画、それからIHP(政府間水文学計画)がありますので、前々から申し上げているんですけど、3者で何か協力して重なり合う部分はそれぞれあるわけですね。IHPは水ですし、MABは生態系の保全ということですのでIOCと重なり合う部分があるので、その辺りについて日本から発信して、3者共通の何か課題解決に向かったプロジェクトなのか、プログラムなのか、あるいは委員会なのか分かりませんけど、そういったことをやっていくといいのかなと思っておりまして。私、幸いかどうか分かりませんけどIOCの中枢に今度まいることになりましたので、議長としてIOC全体を取りまとめる立場になりましたので、是非沖先生等とも御相談しつつ、科学の分野でまとまって何か一つの目標、それはひいては科学のビジビリティを上げることにつながると思いますので、そのためにやっていきたいと思いますので、是非さきほど御指摘のあった次世代の方々の御意見も含めて、御意見を頂戴して進めてまいりたいと思います。
 以上です。
【濵口委員長】  ありがとうございます。今、お名前上がりました沖先生、あるいは中山さん、いかがでしょうか。
 中山さん、お願いします。
【中山日本政府観光局理事】  御指摘いただきました件ですけれども、まずオーバーツーリズムについてということでお話しいただきましたけれども、確かにコロナで水際明けてある意味、思った以上に早いペースで外国人観光客が戻ってきていて、必ずしもその準備が十分整わないままスタートしてしまったところはあるかと思います。
 実際ただ、オーバーツーリズムが非常に問題なっているのは京都市だとか、ある意味、局所的なところでございまして、そこは各地域の方々とお話をしながらどういった発信の仕方がいいのかということを対症療法としてはやっているのが一つあるんですけれども、ただ、もともとコロナ前、2019年までインバウンド観光客が急激に増えたということで、いろいろなところでひずみが発生していたのは事実でございまして、ある意味、そういった反省からコロナが明けてインバウンドを再開するときに、どうやって再開するのがいいのかいろいろ議論した上で、持続可能な観光というのを最重要にしましょうねということで今、始めていることが一つと。
 そういう反省からというのもあるんですけど、あともう一つは今、そもそもなんで日本政府としてインバウンドをやるんだということに立ち返ったときに、これは日本の経済の活性化のためということと、あとは地域、今後いろいろな少子化、人口減少の中で放っておくといろいろな地域の資源が、例えばいろいろな建造物とか古民家だとかお寺とかってどんどん誰も引き継ぐ人がいなくなってなくなってしまうのではないかと。そういったものを観光客に使ってもらうことで、いろいろな地域の資源、それは建物、建造物っていう物理的なものであったり、あるいは各地域にある伝統文化であったりとか、そういったものを観光に使ってもらうことでうまく維持していくことが重要ではないかということで、そういう意味での持続可能性、そしてその地域に行ってもらう、そして実際にお金を落としてもらうといったところを大切にして観光を進めていきましょうねということで今、我々再スタートしているところであります。
 また、十分それが、思ったように循環し切っていないところはまだまだあるかと思うんですけれども今、全体の方向性としてはそういった観光、単にたくさん来てもらうということではなくて、正にこの持続可能な日本の地域だとか、社会を回していくための、あるいは手段として観光を使っていきましょうねということを我々も心がけていますし、また我々が一緒にお仕事をする地域の方々にもそういう発信をしながら進めているところは御理解いただければなと思いますし、御指摘を受けてしっかりと取り組んでいるところでございます。
 以上です。
【濵口委員長】  ありがとうございました。大分お時間も押してきましたが、改めて道傳委員、いかがですか。なかなか世界が多極化している中でどう日本から進んでいくべきかというところ、難しい点がいろいろあるとは思うんです。
【道傳委員】  ありがとうございます。ユネスコ活動が大変に今、教育や科学や幅広いので、そういった中でどう日本らしさを出していくのかということも課題の一つかなと思いました。
 そういうユネスコ活動を実際に若いユースの立場で続けておられる委員のお話を伺って、ここでもそうかと思ったのは、現在の姿として例えば学校とか市役所などを通さないと話を進めることができないケースがあったのは、恐らくほかの国と簡単に比較することはできないとは思いますけれども韓国の事例なども御紹介いただいた中で、もしかすると古い世代が邪魔をしないという、そういったこともよくよく考えて応援をしていかないとかえって障壁になってしまったりするのかなと。ですから、このあるべき姿としてプラットフォームを作っておられる。ですから、それが本当に何て言うんでしょうか、ワンストップのような形で活動を阻害しないで推進するプラットフォームとしての役割を果たすものであればいいなと思いました。
【濵口委員長】  ありがとうございます。今日、本当にいろいろな御意見いただいておりますけど。どうぞ、佐藤委員。
【佐藤委員】  今の道傳委員の指摘のテーマですけれども、小林さんからユースからのアクセスが難しいとお叱りを受けましたけれども、願ってもない問題提起だと思っています。我々、民間の日本ユネスコ協会としても、若い人にユネスコ活動に参加してもらうことは非常に重要な課題、テーマだと考えています。そして、そのために今、我々が現実考えているのは若い人が多く活躍している、一つはユネスコスクールとの協力体制の強化が必要だと考えています。地域、ユネスコ協会の現場のユネスコスクールの、これは小中高校生だと思いますけれども、それと教員との関係強化を図っていくために、ユネスコスクールを運営する団体と我々協会との連携を今以上に強力に図っていきたいと考えています。
 もう一つは大学生ですけれども、大学にあるユネスコクラブというのはたくさんあるんです。ただ、我々の協会には入られてないんです。障壁の一つは会費が、我々は会員制度なもので会費があるんですけれども、この会費なしで参加してもらえるような制度を今検討しています。そして会員になると、それに加盟すると我々のいろいろな大学のユネスコクラブへの支援が受けられるメリットがあります。それから協働していろいろなことが展開できるメリットがあると思います。多くの大学生の参加を期待しています。
 社会人になるとなかなか仕事が忙しくてユネスコの活動が難しくなるケースは多いとは思いますけれども、活動した経験というのは消えないと思っています。地道に経験者の分母を拡大して普及させていきたいと考えておりますので、是非よろしくお願いします。
【濵口委員長】  ありがとうございます。小林さん、何か御意見あります?
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】  そうですね。ありがとうございます。ユネスコスクールとユネスコ団体との連携というのもとても大切なことで、是非進めていただきたいなと思いました。
 ユネスコクラブについても実は先日この間の総会でお会いした奈良教育大学の先生にアポを取って、たまたま奈良に行く機会があったのでお食事をさせていただいたんですけど、その時は奈良教育大学のユネスコクラブの団体の代表の子と副代表の子とも一緒にお話をして、奈良教育大学は100人ぐらいのメンバーがいて、それぞれ活動されているということで物すごく大きいサークルだと聞いたので、それだけ、ユネスコ活動に関心のある大学生はとっても多いですし、おっしゃっていただいたように、本当に大学生のときにしかできないことだったりとか時間だったりとかはとてもたくさんあるのではないかなと思うので、それをより充実させて、よりローカルに地域に根差したものにしていく意味でも、何かユネスコ協会に大学生が入れるのはとても大きなことではないかなと聞いていて思いました。今後ともよろしくお願いいたします。
【濵口委員長】  ありがとうございます。数多いユネスコスクールとうまくつなぐことがかなり大きな課題ですね。どうやってネットワークをつくるか、知恵が要りますね。
【佐藤委員】  期待しておいてください。
【濵口委員長】  分かりました。よろしくお願いします。
 ほか御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。井上先生、お願いいたします。失礼しました。
【井上委員】  まずは今日、御発表いただきました各委員の方々、本当にありがとうございました。改めて勉強になりました。そして各委員の方々からのコメントを聞きながら、本当に感想ということをお話させていただきたいと思います。
 まず、沖委員がおっしゃいました持続可能な社会、これがどんな社会なんだろうかということ、これは本当にそのとおりでございまして、これをどのように作り上げるのかと、これが本当の根本的な問題だろうなと思います。そして道傳委員が最後におっしゃいました、教育の質というものを高めることが非常に重要であるということにも触れていただいていました。それが心の教育につながるんだということもおっしゃっていました。これも本当に重要なことだろうなと思うんですけれども、これに対しても教育の質というものをいかに高めるか、どうしたら高めることができるのかということ、これが我々の問題ではないだろうかと思います。
 そして治部委員が引き合いに出されました、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と、このユネスコ憲章の前文でありますけれども、これは本当に極めて重要で重い言葉だろうとは思っています。しかし、その問題というのは、この平和の砦というものをいかに築くかであると思います。というより、本来はこの砦などないほうがいいわけですよね。これに関しては同じような考えを東北大学の芳賀満先生もお持ちですけれども、砦のない世界、その世界全体が平和であるべき、これがユネスコの望みでもあると思うんですね。そして世界の人々がもっと心のバリアフリーを推し進めることこそが、本当に大切なことなのではないかなと思います。
 そのためには、民主主義に基づく教育というものが必要不可欠になろうかと思います。そしてその在り方こそが現代社会、そしてユネスコに突きつけられた大きな課題だろうと思っております。
 以上でございます。それで最後に一言、先ほどユースの方、御発表くださいました。その発表の中で、ESDにおける認知度が低いということもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、これは恐らくはユースだけの問題ではない、これは一般社会全体がこの認知度がまだまだだろうと思います。この認知度をなんとか上げていくためには、吉田委員がおっしゃっていました広報と、この広報戦略をもって臨むことが重要なのではないかなと思います。
 以上でございます。
【濵口委員長】  ありがとうございました。ほか御意見ございますでしょうか。
 今、先生がおっしゃった民主主義に基づく教育というのは本当に大事だと思いますけど、結局フランス革命以降、G7が掲げてきたものが法による支配、民主主義、人権この3つだったと思うんですね。それがスウェーデンにある民間団体で民主主義のスコアを出している団体かあるんですけど、そこの調査なんか見ていましても、このコロナの3年間で世界の民主主義スコアが大分低下しているんですね。本当にしっかりした民主主義の国に住んでいる人類は10%前後だったと思います。パンデミックを抑えるために強権的なことをやることが最も即効性がある道だというところで、世界のほとんどの国がそれを採ってきたわけですけど、結局データで見ると日本って結構良かったんです。死者が少なかった。ヨーロッパの国と比べると大体5分の1ぐらいなんですよね。人口が男性はドイツ、イギリスは日本の半分から6割ぐらいですので、死者はヨーロッパのG7の国の10分の1なんですよ。しかもポイントはロックダウンやらなかったこと、3密の回避を自発的にやっていただいた。マスクをしろという脅迫的な視線はいっぱいありましたが、意外と日本の持っている価値は高いように実は思うんですよね。
 そこであまり尊大な態度になってはいけないと思うんですけど、もう少しこういう価値を世界に広げて、今の危機的な状態を軌道修正していくような作業が要ると思うんですけど、日本の持っている手段は信頼を勝ち得ることだということですね。佐藤委員がおっしゃったとおりだと思います。それを言葉でしっかり説いていく、それから行動にあると思うので、ユースの方には国際的にも頑張ってもらわないといけないなと、ふと思ったりしてはおるんですけれども。
 いろいろ検討課題ありますけれども、今日はお時間も来ましたので水入りにさせていただいて、来月8月4日の運営小委員会においてヒアリングを含めた議論を更に重ねたいと思っております。活発な御議論ありがとうございました。言い残したこと、いっぱいあるかもしれませんが、次回に楽しみ残していただいてと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
 それでは、議論の2、その他について審議すべき案件ございますでしょうか。いかがですか。ないですか。ありがとうございます。
 それでは、これで第515回運営小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

 

 

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