文化委133・コミュ97・普及委97-1 第125回文化活動・第96回コミュニケーション合同小委員会議事録

日時

平成26年2月17日(月曜日)10時00分~12時00分


場所

文部科学省 旧文部省庁舎 2階 文化庁第2会議室


出席者

(委員)
内永ゆか子、岡田保良、長有紀枝、川井郁子、河野俊行、吉見俊哉、林原行雄
(関係省庁)
外務省:笠井国際文化協力室長ほか関係官
文化庁:中野文化庁長官官房国際課国際文化交流室長ほか関係官
(事務局)
加藤国際統括官、岩本国際交渉分析官、籾井国際戦略企画官、堀尾ユネスコ協力官ほか関係官


議事

【西園寺委員長】  皆様、おはようございます。定刻をちょっと過ぎましたので始めさせていただきます。本日は御多忙の中、お集まりをいただきましてまことにありがとうございます。
それでは、まず事務局から定足数の確認をお願いいたします。
【堀尾ユネスコ協力官】  本日は、現在御出席の委員が、文化活動小委員会4名、コミュニケーション小委員会4名で、委員の過半数、文化小委員会が6名以上、コミュニケーション小委員会が6名以上ということで、定足数は満たしていないのですけれども、吉見委員、林委員、川井委員の方からは御出席の旨の連絡を頂いておりますので、最初の部分は報告事項が続きますので、このまま始めさせていただければと思います。
【西園寺委員長】  それでは、ただいまから第125回文化活動・第96回コミュニケーション合同小委員会を始めたいと思います。
第131回総会──これは昨年の9月13日に開催されたものでございますけれども──において、会議の公開手続が改正をされ、同手続は小委員会等においても準用することとされておりますので、本小委員会においても原則、インターネット等で開催の案内を行うとともに、本小委員会は原則として公開とするとされております。会議の報告書については公開部分は議事録となりますのでよろしくお願いをいたします。
また、同規則は、委員長が認める場合には非公開とすることができるとされております。本日はユネスコ記憶遺産及びクリエイティブ・シティーズ・ネットワークの審査等に関する審議に関して公開規則第4項に基づき公開とすることにより、会議の公平かつ中立な実施に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められますので、議題6及び7については議事を非公開とさせていただきます。
議題5「東アジア子ども芸術祭について」が終わりましたら、文化活動小委員会審議案件であります議題6及び議題7に入る前に、先に議題8「その他」を行った後に、次の議題6の開始前に文化活動小委員会及び事務局関係者以外の傍聴の皆様には恐縮でございますが、御退席をお願いいたします。よろしいでしょうか。
なお、今回の議事進行につきましては、前半をコミュニケーション小委員会の委員長であります私が行い、後半を文化活動小委員会の河野先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に先立ちまして、昨年9月10日の総会以降、委員の異動がありましたので事務局から御報告をお願いいたします。
【堀尾ユネスコ協力官】  それでは、配付資料の参考1及び参考2を御覧ください。委員の異動といたしまして、本日は所用により御欠席となっておりますが、昨年3月1日付で萩生田光一衆議院議員及び村上政俊衆議院議員が国内委員に御就任されております。また、昨年9月10日の日本ユネスコ国内委員会におきまして、萩生田光一委員は文化活動小委員会に、また、村上政俊委員はコミュニケーション小委員会に配属となっております。
続きまして、昨年12月1日付で文化活動小委員会について新任委員として内永ゆか子委員。長有紀枝委員。本日は御欠席となっております。また、島谷弘幸委員。こちらも本日は御欠席となっておりますが、新任委員として御就任されました。また、再任として川井郁子委員に御就任いただいております。
続きまして、コミュニケーション小委員会につきましては、新任委員として青野由利委員。本日は御欠席となっております。また、井手明子委員が新任委員として御就任いただいております。また、再任として川井郁子委員、林梓委員、観山正見委員に再任として御就任いただいております。以上でございます。
【西園寺委員長】  ありがとうございました。
続きまして、本日の会議の配付資料について事務局から御説明お願いいたします。
【中馬ユネスコ第3係長】  それでは、お手元にお配りしております資料、一番上の議事次第、半分に配付資料をリストで記載しておりますので、それに基づいて御説明申し上げます。
まず、資料の右肩に番号を振ってございますので、そちらを御覧ください。文化委125・コミュ96-1(1)「日本ユネスコ国内委員会第112回文化活動小委員会・コミュニケーション小委員会懇談会議事録」。数字だけ読み上げます96-1(2)「日本ユネスコ国内委員会第95回コミュニケーション小委員会議事録(案)」です。96-1(3)「日本ユネスコ国内委員会第123回文化活動小委員会議事録(案)」です。96-2「日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告」、96-3(1)「第37回ユネスコ総会 文化小委員会主な議論の概要報告」、96-3(2)「第37回ユネスコ総会 コミュニケーション・情報委員会主な議論の概要報告」、96-4(1)「文化遺産及び自然遺産を世界遺産登録に向けて推薦する場合の取扱い等について」、96-4(2)「ユネスコ無形文化遺産保護条約『人類の無形文化遺産の代表的な一覧表』への記載に関する審議結果について」、文化庁の報道発表です。96-5「ユネスコ東アジア子ども芸術祭の対応について」、96-6「ユネスコ記憶遺産事業について」、96-7(1)「クリエイティブ・シティーズ・ネットワークの概要」、96-7(2)「ユネスコクリエイティブ・シティーズ・ネットワークへの申請にかかる国内委員会における手続について(案)」です。
参考に移ります。参考1「日本ユネスコ国内委員会文化活動小委員会委員名簿」、参考2「日本ユネスコ国内委員会コミュニケーション小委員会委員名簿」、参考3「第37回ユネスコ総会について(結果概要)」、参考4「ユネスコ記憶遺産事業への我が国からの推薦物件の決定について」、文部科学省報道発表です。参考5「今後の日本ユネスコ国内委員会関係行事について」、参考6「ユネスコ関係略語対訳表」。
漏れている資料などございましたら事務局までお申し付けください。以上です。
【西園寺委員長】  それでは、早速議題1に入りたいと思います。昨年7月に開催されました文化活動小委員会及びコミュニケーション懇談会会議の議事録、また、その後、8月にメール審議にて開催されたコミュニケーション小委員会の議事要録、さらに10月にメール審議にて開催された文化活動小委員会の議事要録をお手元に配付させていただきました。既にこれらの議事要録は事前に紹介し、内容を確認させていただいておりますが、さらにお気付きの点があれば、後ほど事務局まで御連絡をお願いしたいと思います。
続きまして、議題2「日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告について」に入りたいと思います。前回の国内委員会総会、昨年の9月10日以降の日本ユネスコ国内委員会の文化・コミュニケーション分野の活動に関して、事務局から御報告をお願いしたいと思います。
【堀尾ユネスコ協力官】  それでは、資料、文化委125・コミュ96-2を御覧ください。こちらについて、詳細についてはまた後ほど各担当の方から説明がございますので、それ以外の部分について御報告させていただきます。
無形文化遺産と世界遺産条約については、後ほど報告を頂きますので飛ばさせていただきます。
4ページ目の文化多様性条約につきましては、文化多様性条約締約国会議が昨年12月10日から13日、ユネスコ本部で開催されております。
また、5ページ目、クリエイティブ・シティーズ・ネットワークにつきましては、メディア・アーツ分野で、文化小委員会の方でメール審議をいただきまして、国内委員会から承諾書を出しました札幌市が登録が決定されております。ユネスコ記憶遺産につきましては、すみません、ここの最初の部分は日付が間違っておりますので、後ほど修正版を送らせていただきたいと思います。申し訳ありません。
6ページに行きまして、記憶遺産の選考委員会の委員の人事がありましたので、こちらについては文化小委員会の方にメール審議をさせていただきまして、青柳委員長が文化庁長官の就任に伴う辞任と、あと、佐藤禎一委員、西村幸夫委員が国内委員会の任期満了に伴う委員交代がありました。新任として足立直樹委員、また、島谷委員が文化小委員会からこちらの選考委員会に就任いただいております。また、新たに有識者として、芳賀満東北大学高等教育開発推進センター教授が新任委員に選任されております。また、委員長につきましては、委員の互選により島谷委員が互選されております。
あと、そのほかの会議につきましては、資料を御覧いただくことで割愛させていただきたいと思います。以上です。
【西園寺委員長】  ありがとうございます。
世界遺産、無形文化遺産、及びクリエイティブ・シティーズ・ネットワークについては後の議題で各担当から御説明を頂くことにしております。
今の御報告までで何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいですか。特にございませんようでしたら、次の議題に移らせていただきたいと思います。それでは、議題3の「第37回ユネスコ総会 文化、コミュニケーション・情報関係議論の概要」に入ります。昨年11月に行われました第37回ユネスコ総会について、全体の結果、文化、コミュニケーション・情報関係議論等について事務局から御報告をお願いいたします。
【堀尾ユネスコ協力官】  資料の文化委125・コミュ96-3(1)と(2)を御覧ください。それから、資料の参考として配付しております参考3の方にユネスコ総会の全体についてまとめさせていただいております。
まず、文化委員会の議論といたしまして、主な議論としては、こちらの2014年から2017年の事業・予算案について審議が行われまして、主要事業と戦略目標、主要活動ライン、期待される成果について、ここの枠組みのような形で採択がされました。また、ユネスコ全体として507万ドルに予算が減少されており、文化局としては4,100万ドルの予算、また、予算の減少による24ポストが減少になるということが事務局から報告されました。
これに対して各国からの主な発言といたしましては、文化条約につきましては、既存の文化条約というものの重要性が多数の国から発言がありました。それに対して事務局からは、文化条約につきましては世界遺産や無形文化遺産というのはユニバーサル級でビジビリティがある一方、文化多様性条約は半数ほど、文化財不法輸出等禁止条約や水中文化遺産条約、ハーグ条約については締約国数が非常に少ないことなどが回答されています。
また、条約に対する予算が4分の1に削られているために、これまでどおり加盟国にサービスを提供できるものではなくなっているので、加盟国からの支援が必要であるということが事務局からの回答で発言されました。
そのほか、持続可能な開発における文化というものに対して、多数の国から、開発における文化の役割が評価される旨の発言があったほか、ポスト2015年開発アジェンダに係る議論に文化が含まれる旨希望する旨の発言が多数ありました。
それに対して事務局からは、多くの国からユネスコが推薦している持続可能な開発と文化に係る方向性への支持に対して感謝が述べられるとともに、国連総会にてペルーにより提出されている文化と開発に係る決議案への支持依頼がありました。
また、我が国も参加しておりますクリエイティブ・シティーズ・ネットワークにつきましては、チェコ、ギリシャ、ポーランド、レバノン、クロアチア等から重要性と継続を希望する旨の発言がありました。
そのほかの主な議題としまして、博物館・収蔵品の保護及び促進に関する規範設定文書の必要性に係る技術的、法的及び博物館額的側面に関する予備的研究というのがありまして、こちらの方につきましては、最終的に今後、勧告について議論をしていくということで可決されております。
次に、コミュニケーション・情報委員会の報告に移らせていただきます。こちらの方の主な議題としまして、同じく2014-2017年事業・予算案について議論が行われ、主要事業についてこの枠組みのような形で採択がされております。なお、以前、ほかの部局への移転が議論されておりました記憶遺産事業、教育・科学・文化のICT、公開教育リソース事業、グローバル・オープン・アクセス事業につきましては、コミュニケーション・情報委員会事業の方に戻されております。
それに対してこの事業予算案に対して各国からは表現、メディアの自由、ジャーナリストの自由、知識へのアクセスに対する取組やICT事業の重要性について指摘される一方、表現の自由やジャーナリストの安全等に関する事業への低い予算配分に対して懸念が表明されております。
次の議題としまして、世界情報社会サミットの実施に関する事務局長報告がありまして、このファイナルステートメント「万人のための情報と知識:拡大ビジョンと新たなコミットメント」を支持する発言が多くなされております。
また、2ページ目に行きまして、文書遺産の保護及びアクセスに関する規範設定文書の必要性に係る技術的、財政的及び法的側面に関する予備研究の議題におきましては、こちらの方はもともと記憶遺産事業の強化のための法規範設定の必要性について、これまで執行委員会等で議論されておりますが、その議論の結果を受けて、今回の総会において、新たな法規範の設定の必要性の有無や勧告という形での設定の可能性についての議論が行われました。その結果、文書遺産の保護及びアクセスに係る勧告案を、次の第38回総会にかけるようにということで決議案が採択されております。
そのほか、インターネット関連問題としまして、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル等の途上国の方から、「サイバースペースにおける倫理とプライバシー」というものが議題として上げられ、こちらの方がユネスコのマンデートとして支援を行っていくべきではないかというような案が出されたのですが、かなり議論が行われて、決議案については作業部会が設置され、そこでのコンセンサスを得た形での決議ということで、ユネスコのマンデートにおけるインターネット関連についての包括的調査の準備を進めるということ、また、進捗状況について第196回執行委員会において報告すること等が決定されております。
次に、参考3の方で、ユネスコ総会全体としましては、こちらの方は政府代表演説として上野政務官が出席しております。また、国内委員会からは田村会長、佐藤副会長、金澤副会長が出席し、それぞれの議題において積極的に御発言いただきました。また、ボコバ事務局長が2期目の再選を決定されております。
また、国内委員会としても推薦しておりますESDにつきましては、次期中期戦略案及び事業・予算の中で明確に位置付けられ、「国連ESDの10年」の後継プログラムとして採択されております。以上でございます。
【西園寺委員長】  ありがとうございました。
次の議論に入る前に、事務局の方から定足数に関して御報告をお願いします。
【中馬ユネスコ第3係長】  それでは、御出席予定委員がそろわれましたので、現在、文化活動小委員会6名、コミュニケーション小委員会6名で、委員の過半数、文化小委員会6名、コミュニケーション小委員会6名、以上になっておりますので定足数を満たしていますことを御報告させていただきます。
【西園寺委員長】  今の堀尾さんの方からのユネスコ総会に関する報告で、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
【岡田委員】  御説明ありがとうございます。ちょっと私の認識不足なのかもしれませんが、ユネスコの文化委員会とコミュニケーション委員会で、文化委員会の方は事業とか予算のところには文化局として予算の数字も出ておりますけれども、コミュニケーション・情報委員会の方は文化局との関係があるのかないのか、それから、予算の数字が出ていないのは何か理由があるのか、ちょっと教えてください。
【堀尾ユネスコ協力官】  特に文化局の方がかなり条約が多数あって、それに対する義務的会議とかいろいろな会議がある中で、予算の減ということがかなり取り上げられたということもあって、ちょっと数字は載せさせていただいておりますが、コミュニケーション局につきましても、予算については削減されておりますが、少しその辺り、事業面の方で議論が行われていたため、予算についてちょっと省略させていただいておりますが、必要であれば後ほど御用意します。
【岡田委員】  必要があるということではなくて、何か……。
【堀尾ユネスコ協力官】  特に文化局の方ではそういった条約での義務的な会議が多い中、予算の減少やポストの減少というのがかなり議論。
【岡田委員】  それで、コミュニケーションの方は文化局と同等の局がユネスコ内にあるということですか。
【堀尾ユネスコ協力官】  はい、局としては。ただ、規模としてはやはりコミュニケーションの方が小さい。
【岡田委員】  ありがとうございました。
【岩本国際交渉分析官】  おしなべて2014-17年度事業予算につきましては、アメリカの不払いという問題が予算で出てきますので、全体に比しまして22%減ぐらいになっております。その影響はそれぞれの局で受けるわけで、ユネスコの事務局の中で一番大きいのは教育局でございます。教育局もそれなりに二十数%程度の、そこら辺が、数%の誤差はそれぞれのところであるわけでございますが、文化のところは条約の事務局機能等抱えているものですから、余計シリアスな問題として捉えられて議論されているということでありまして、もちろん、一番小さな局として、例えば人文社会科学局なんてありますけど、そこではさらに厳しい局面を迎えているというのが一般的な状況でございます。
【岡田委員】  ありがとうございます。
【林委員】  質問ですけれども、総会のときにシリアの情勢と文化財の方、それをちょっとユネスコは勧告を出したことがありますけれども、その議論は出たんでしょうか。レバノンやシリアでね、私も前から言っていますけれども、大変な遺産が失われているという。文明の揺りかごなんて言われて、日本も非常に力を入れた地域ですよね。だから、できればそういう有志の国と協力しながら、ユネスコで議論を展開してもらいたいという希望がありますが、この前の総会では全然出ていないんですか。レバノンとかシリアとかイラクの遺跡とかそういう保護の問題は。
【笠井国際文化協力室長】  すみません、私は外務省の者ですけれども、私自身は出ていたわけではないのですが、記録を今、頭の中で何があったのかなと思い出しつつ、たしかなかったような感じがしますけれども。
【林委員】  結構です。
【笠井国際文化協力室長】  よろしいですか。岩本さん、出られたんでしたっけ。
【岩本国際交渉分析官】  みんなで手分けしていたのであれなんですけど、特にシリアという固有の問題として話は出ていたことはなかったと思います。すみません。
【西園寺委員長】  いつもその点、林大使の方からコメントがありますけれども、その点は何か発言の機会を見付けて、日本から是非コメントすべきだと思います。
【林委員】  気にしている国は物すごく多いと思いますよね。子供たちの難民の問題ね、かわいそうな問題がいっぱいあるからね。しかし、遺産といっちゃすごい遺産ですよね。重要な遺産ですよね。
【岩本国際交渉分析官】  いろいろな議論の中で文化局のバンダリン局長からの発言として、紛争及び災害に関する文化遺産保護活動については、マリ、リビア、シリア等で行っており、紛争及び災害の前後及び最中にサービスを提供する独自の経験を積んでいるが、多くの財源が必要だと。加盟国の支援が必要だということが事務局の方から言われております。
【林委員】  マリ、リビア、シリア。
【岩本国際交渉分析官】  マリ、リビア、シリア等ということで言われております。
【林委員】  等。
【岩本国際交渉分析官】  はい。
【林委員】  結構です。
【西園寺委員長】  総会ではアメリカの分担金の不払いについては何か議論の中で出てきたんですか。
【岩本国際交渉分析官】  未払いの問題についてということでの議論は出てきていませんけれども、いろいろな場ではやはり加盟国からはアメリカが早期に考えを変えてほしいという雰囲気は出ておりますけれども、なかなか正規の会議の場では余りなかったように。
【加藤国際統括官】  すみません、補足いたします。アメリカは不払いを続けている結果として、総会での議決権を失いました。今回の総会で。そのような決定が行われております。ただ、他方、執行委員会の議席は依然として続いているという状況ですし、また、民間資金を使ったりした活動でユネスコに関わりを持っていまして、そういったアメリカの活動については事務局長も評価しているので、総会での議決権はなくなったけれども、ユネスコとの関わりは引き続き続けてもらいたいという事務局長からははっきりした発言があり、また、アメリカの代表大使からそのようにしっかり対応するという発言がございました。
【西園寺委員長】  ほかにございますか。
なければ次の議題4の「ユネスコの主な文化活動について」に移りたいと思います。ここではユネスコの主な文化活動に関する最近の活動について、各担当省庁から報告を頂き、案件ごとに質疑応答の時間を取らせていただきたいと思います。
まず(1)の世界遺産関係として、外務省外務報道官・広報文化組織の笠井国際文化協力室長から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【笠井国際文化協力室長】  よろしくお願いします。笠井でございます。
ただいま御紹介にあずかりました世界遺産条約締約国総会ですけれども、昨年11月においてユネスコ本部において第19回世界遺産条約締約国総会が開催されました。この総会で世界遺産委員会委員国選挙が行われまして、21議席中の12議席が改選となりました。そして、その選挙の結果、クロアチア、フィンランド、カザフスタン、韓国、レバノン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、トルコ、ベトナム、ジャマイカが新たに委員国となりました。日本につきましては2011年の11月に選出されておりますけれども、2015年に開催の世界遺産条約締約国総会、これは11月頃だと思いますけれども、その総会までは委員国を務める予定でございます。ただ、もう一つ、副議長を今やっていまして、これは今年6月の第38回世界遺産委員会終了時まで副議長職を務めます。
それから、一昨年の2012年11月には京都において世界遺産条約採択40周年最終報告最終会議を開催いたしましたが、今回の世界遺産条約締約国総会においてはその成果である京都ビジョンが今後の世界遺産条約の在り方を示すものとして、改めて締約国に向けて紹介されました。
それから、これは日本の世界遺産一覧表記載のための推薦というのもここで言っていいんですかね。もう一つ、国内の動きでございますけれども、今年1月15日の世界遺産条約関係連絡省庁会議においては、明治日本の……。
【堀尾ユネスコ協力官】  すみません、それは内閣府の方から。
【笠井国際文化協力室長】  あ、そうですか。ごめんなさい。
以上でございます。
【西園寺委員長】  今の御報告について何か御質問等ございますでしょうか。
続きまして、日本からの推薦物件2件について、担当官から御報告をお願いします。まずは内閣官房地域活性化統合事務局、岩本内閣参事官から御報告をお願いいたします。
【岩本内閣参事官】  資料が2つほどございまして、一つは先ほど引用されました「日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告」という、写真の付いている資料があったと思いますが、その中で3ページ目ということで、世界遺産条約の関係の要約がされております。そして、もう一つ、96-4の(1)ということで、「閣議決定」というものが最初に書いてある資料がございますが、その2枚目以降、この明治日本の産業革命遺産の関係で資料が付いております。
世界遺産の推薦に関しまして、世界文化遺産に関しては毎年1件の推薦をすることが可能だという状況になっておりますが、今年の1月末の段階での推薦書の正式版の提出に係る推薦案件に関しましては、前回この小委員会が行われた後に選定プロセスが国内で行われまして、昨年9月に、この資料にもございますように、関係省庁連絡会議でも御了承いただいておりますけれども、今年度につきましては「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の推薦が決定いたしました。そして、本年1月17日に閣議決定という資料の次のページに閣議了解の資料がございますけれども、閣議の場におきまして推薦書の正式版を提出するということが決定いたしております。それに基づきまして1月29日にユネスコの方に世界遺産センターの方に推薦書の正式版を提出した次第でございます。
内容に関しましては、その次のページ以降に簡単に要約が付いておりますけれども、従前、平成21年の段階で、2009年の段階で、九州・山口近代化産業遺産群ということで暫定一覧に載っていた案件でございます。これはその後、岩手県釜石の製鉄の発祥の地でございます釜石の遺産が入ったり、それから、韮山の反射炉といったものも入り、九州・山口地区以外の関連遺産も含めて構成をいたしております。
趣旨としましては、全体8県11市に地理的に分散しております、23の構成資産によって構成される、いわゆるシリアルノミネーションと言われる形式をとっております。全体で1つの遺産としての価値を体現している案件でございます。明治時代にかけまして、特に1850年代、これは幕末の時期、1850年代から1910年といった、約半世紀、日本におきまして、特に重工業分野におきまして造船、あるいは製鉄、鉄鋼、それから石炭といった産業が急速に西洋技術を取り入れて産業化を成し遂げました。その1910年の時点におきまして、特に西欧諸国以外の諸国でそういう産業化を成し遂げたというところは日本が一番最初ということもございます。歴史的に重要な段階を迎えたということで価値があるということで出しております。特に1850年代から1910年という約半世紀ということで、非常に世界的にも短期間のうちにこれらの分野におきまして、西洋から非西洋への産業化の移転が成功したという、非常に稀有な事例でございます。評価基準の2と3と4というものを該当させております。
構成資産に関しましては、2ページ目以降にございますけれども、幕末の遺産としては、例えば萩の産業遺産群ですとか、鹿児島の集成館、韮山の反射炉、あるいは釜石の、初めて高炉で製鉄ができるようになったという、橋野鉄鋼山・高炉跡、そして佐賀の三重津海軍所跡などがございます。そして、幕末から明治にかけて、長崎では小菅修船場が置かれ、蒸気機関を用いた修船施設が導入されましたし、それから高島炭鉱というところでは蒸気を用いた海洋炭鉱の技術が導入されたという新しい段階を迎えております。その後、産業化が進みまして、最終的には1910年の時点におきましては、鉄で申し上げますと、いわゆる官営八幡製鉄所が一定のレベルに達しております。そして、民間の造船業も国内の造船ソウエイ法で奨励をいたしまして、民間企業が育ち、そして三菱長崎造船所ということで一つの造船の拠点ができました。そして、炭鉱に関しましては幾つか、北海道あるいは筑後炭鉱もございますけれども、我が国においては残存状況のよい、今も残存している遺産としましては三池地区における三池炭鉱、そして積み出し港である三池港、これは現役の産業遺産でございますけれども、それらが適正な保全ができるということで、これらを遺産として全体組んで、一つの価値を表しているものでございます。
私は内閣官房の参事官でございますけれども、この案件につきましては、稼働中の遺産を含むということで、政府内で検討が一昨年5月25日まで行われまして、企業の経済活動と、それから遺産の保全ということをいかに調和していくのかということを実現するために文化財保護法以外の保全手法も用いることになりました。その関係で、関係省庁はいろいろ協力し合って、遺産を推薦することになりますので、内閣官房の方では私が取りまとめさせていただいておりまして、今、説明をさせていただいている次第でございます。シリアルノミネーションにふさわしい管理保全の枠組みも作っております。万全の保護措置も講じておりますので、そういうことで国内選定の段階におきまして地方自治体や企業との調整の詰めがまだ十分じゃないじゃないかという御指摘も頂いておりましたが、それらにつきましてもこの1月までの段階で全て関係自治体との間で極めて円満に話し合いができまして、前向きに遺産の保全についての万全の体制を構築することができました。企業とも十分その辺りの話ができまして、問題は解消しております。そういうことで、1月29日の推薦書の正式版の提出ということになりました。以上でございます。
【西園寺委員長】  ありがとうございます。
続きまして、文化庁記念物課、北山世界文化遺産室長から御報告をお願いいたします。
【北山世界文化遺産室長】  資料、コミュ96-2の4ページのところを御覧いただけますでしょうか。平成24年度我が国推薦物件「富岡製糸場と絹産業遺産群」について御紹介申し上げます。
この案件でございますけれども、平成25年1月末日、昨年の1月末にユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出しております。富岡製糸場と絹産業遺産群につきましては、昨年の9月24日から26日にかけて現地調査が行われました。現地調査では、中国国立シルク博物館館長のツァオ・フェンさんが来られまして、この2日間、調査を行われたところでございます。この調査には、本日御出席の岡田委員にも同行をいただいていたところでございます。
この現地調査におきましては、調査員からは資産緩衝地帯への確保、適正の実施をどういったプロセスで行うのかといったようなことが聞かれたり、各構成資産の保全の在り方、関係者の役割分担はどういうことなのか、あるいは絹の生産プロセスの全体像が広く理解されるような方法で展示を実施する必要があるのではないかみたいな御指摘が行われているところでございます。
これにつきましては、今後、平成26年、今年の6月15日から25日にかけて、カタールのドーハで開催されます第38回世界遺産委員会におきまして、その一覧表への記載可否について審議が行われる予定となっております。なお、この富岡製糸場につきましては、この週末の大雪でちょっと建物に被害が出ているというような報告も今、届いておりまして、県庁で普遍的な価値に影響を及ぼすような大規模なものではないというふうに現段階では聞いておりますが、まだちょっと雪が深くて現地にたどり着けないというようなこともあったりするようでございまして、この辺りにつきましては適宜情報を速やかに入手しつつ対応していきたいと考えております。以上でございます。
【西園寺委員長】  ありがとうございました。
なお、これらの2つの推薦物件につきましては、現在審議中でございますので、ここでは御報告のみとさせていただきたいと思います。ただ、個別の御質問等ございましたら、後日、事務局あるいは担当の方まで御連絡を頂ければというふうにお願いを申し上げます。
次に、議題4の(2)「無形文化遺産関係について」、文化庁伝統文化課、守山文化財国際協力室長補佐から御報告をお願いいたします。
【守山文化財国際協力室長補佐】  文化庁の守山でございます。お手元の資料96-2の1ページ目に沿って御報告をさせていただきます。
無形文化遺産に関しましては、まず、無形文化遺産保護条約の枠組みでの動きといたしまして、昨年12月、アゼルバイジャンのバクーにおきまして第8回政府間委員会が開催されました。この委員会において日本から推薦をしておりました「和食;日本人の伝統的な食文化」を含めまして25件、新たに無形文化遺産代表一覧表というリストに記載が決定されております。日本からは和食で22件の登録がなされたこととなります。
無形文化遺産の場合は、条約上、代表リストというもの以外にもリストが幾つか規定されておりまして、代表一覧表以外にも、まず緊急保護一覧表という、緊急に保護する必要のある案件の一覧表に新たに4件、それからベスト・プラクティスというリストもまた別途あるのですけれども、これにも1件の登録が決定されております。全体的に代表一覧表への記載は25件と多かったのですけれども、本来、無形文化遺産保護条約ですので、この条約の趣旨からすると、緊急保護一覧表はベスト・プラクティスが非常に重要だというふうに条約の会議では何度も議論されているにも関わらず、なかなか件数が伸びないというところが今回の委員会では非常に問題、課題として認識をされておりまして、今後、各国において提案書を作成するノウハウをどうやってキャパシティビルディングを行っていくかといったことが課題として話し合われました。
また、新規の登録が注目を一番集めたのですけれども、それ以外に、今後、条約の運用をどうしていくかということでもいろいろな議論がなされまして、ここにちょっとまとめたのですけれども、まず、今後、審査件数をどうしていくか、これは条約上、無形文化遺産保護条約においては代表一覧表の提案件数、審査件数というものは、今の世界遺産条約の内容と違いまして、最初は制限を設けないというところからスタートしておりますけれども、やはり審査のキャパシティが限られるということから、現在は1年につき各国1件審査されるということで運用されております。
ところが、さらにアメリカの拠出金ストップの影響もありまして、事務局の予算、それから、人員がさらに削減されるという事態を受けまして、2015年、16年については、それぞれ50件。それぞれ50件としますと、各国が出したもの全部を見ようとすると七十何件見ないと間に合わないということなので、既にたくさんの件数を登録している国なんかはプライオリティ順でいくと後回しということで、最大2年に1件という審査件数がさらに絞られるという、そういうことが今回決定されております。
また、幾つか条約の運用に関して審査機関を、今は代表一覧表と、それからそれ以外の一覧表リストについては別々の審査機関が担当するということになっているんですけれども、これを効率化等の観点から一本化するといったようなことを時期締約国会議、これは今年の6月に開催予定ですけれども、そこに提案をするということが決定されております。条約に関しては以上です。
2ページ目を御覧いただけますでしょうか。ユネスコの中でカテゴリー2センターという制度がありまして、ユネスコが直轄するユネスコ世界遺産センターのような直営のセンター以外に各ユネスコ加盟国が自国内に設置しまして、その国が運営し、ユネスコとの間で協定を結んで、ユネスコ何々センターという名前を冠するという、そういった制度がありますけれども、日本はカテゴリー2センターの一つとして、無形文化遺産保護に関するカテゴリー2センターを大阪堺市に設置しております。これは平成23年に開設されました。このセンターの運営理事会、これはユネスコとの協定上、2年に一遍開くことになっておりまして、それが昨年10月に開催されております。きょう御出席の河野先生にも御出席いただいておりますけれども、ここで新たな、この先の中期戦略に沿った長期・中期計画、それから予算案等が決定されております。今後につきましては、予算の範囲内で毎年開催をするということ、それから有識者による助言機関を設置するということが決定されております。
このセンターでは特にアジア地域における無形文化遺産保護の調査研究等を中心にして、様々な事業が実施されておりますけれども、その一つとして、アジア地域の人材育成ということを目的としまして、先日は東ティモールの行政の担当者9名を対象にしたスタディーツアーが開催されております。いろいろ、実際の無形文化遺産保護に携わる現地の視察等も含め、いろいろなプログラムをこなして帰国いただいたということになります。以上です。
【西園寺委員長】  ありがとうございます。
無形文化遺産関係について、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
1か国1年1件ということは、いつからそういうふうになっているんですか。もうずっとそういうルールで、今度、新たな縛りとして、全体で50件。
【守山文化財国際協力室長補佐】  全体で50件。もともと全体の数を絞るところからスタートしまして、その全体の数を最小、例えば60件ですとか、委員会のたびにそういう決議がなされておりまして、最小何十件以上見るということで、その範囲内で事務局で、年によっては1件以上見てくれた年もあったんですけれども、だんだん加盟国が急激に増えておりますので、提出する国もどんどん増えてきていて。
【西園寺委員長】  そうすると、そこに70件、もし来たときには優先順位というのは向こうが判断して、今年はこれは審査しませんよということになるわけですか。
【守山文化財国際協力室長補佐】  優先順位は、前に委員会総会で話し合われた優先順位としまして、まだ1件も登録がない国を優先すると。それから、あと、マルチナショナルノミネーションというんですけれども、複数国で提案した案件を優先すると。それから、登録があるけれどもまだ少ない国、それから登録数が多い国と、そういう優先順位でやろうということが。
【西園寺委員長】  そうすると日本なんかはプライオリティが低い方になってくるわけですね。
【守山文化財国際協力室長補佐】  一番低い方の部類に入りますね。登録数が多いのは、日本、中国、韓国の3か国ですので、この3つが一番プライオリティが低いということになってしまいます。
【西園寺委員長】  ほかに何か御質問ございませんか。
【岡田委員】  今、御報告があった中で、堺のカテゴリー2センターですが、なかなかそのスタッフについても予算についても苦労されているというふうに伺っているんですけれども、今ここの専任の方はいらっしゃるのかどうかっていうことと、それから、これ、実質、予算の出どころはどこになるのかということをちょっと伺っておきたいのですが。
【守山文化財国際協力室長補佐】  専任のスタッフはおります。このセンター自体は国立文化財機構の中の一つの機関として発足しておりまして、その国立文化財機構の定員の中で、人数的には少ないのですけれども、常勤の定員としてのスタッフがいまして、それプラス非常勤で賄っているということになります。また、予算につきましては、国立文化財機構の中の予算、それから、あとは文化庁、文科省のそれぞれ無形文化遺産保護、あるいはユネスコの交流の目的の予算を、毎年公募なんですけれども、それがあてがわれるというところでやっております。
【岡田委員】  ありがとうございます。
【西園寺委員長】  ありがとうございました。
それでは、これ以降の議事進行につきましては、文化活動小委員会の委員長でございます河野委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【河野委員長】  それでは、後半の議事進行を担当させていただきます河野でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、議題5「ユネスコ東アジア子ども芸術祭への対応について」に入りたいと思います。このユネスコ東アジア子ども芸術祭というのは、松浦事務局の時代に、東アジア5か国の子どもたちが音楽、舞踊、その他の舞台芸術を通じて交流を図り、相互理解を促進することを目的に、2年に一度、東アジア5か国で持ち回り開催をしているものでございます。今年は中国で開催予定でございますが、中国への参加、あるいはそろそろ日本が開催する順番でございます2016年のホストに関しまして御審議を頂きたいと思う次第でございます。
審議に先立ちまして事務局の方から説明をお願いしたいと存じます。
【堀尾ユネスコ協力官】  それでは、資料の文化委125・コミュ96-5を御覧ください。「ユネスコ東アジア子ども芸術祭の対応について」ということでまとめさせていただいております。
まず、東アジア子ども芸術祭につきましては、先ほど、委員長からも御紹介いただきましたとおり、松浦事務局長時代の2001年に「世界の子どもたちのための平和の文化と非暴力のための国際の10年」の一環として、東アジア地域の子どもたちが音楽、舞踊、その他の舞台芸術を通じて交流を図り、相互理解を促進することを目的として開始されました。対象としては東アジア域内の5か国が対象となっており、域内の各国で持ち回りによって開催をしております。2010年までは毎年開催をしていたのですけれども、最近は2年に1回、隔年開催となっております。
前回、2年前はモンゴルで開催されたのですが、本年は中国で開催されることが決定しており、開催時期、都市については、現時点ではまだ未定で、連絡待ちの状態ではあるのですが、大体、毎回夏に子どもたちの夏休みを利用して開催されることから、そろそろこちらへの派遣団体を決定していく、決めていく必要があるということで、本日、どういった団体の選定を、どういった方法で行っていったらいいかということについて御意見を頂きたいと思っております。
また、日本の開催については、まだしばらくあるのですが、前回は2009年に奈良県で開催、ホストをしたのですが、そろそろまた日本の番ということで、2016年のホストについての提案を次の中国での開催のときにしていきたいと思っており、それに向けてのホスト地の選定について、こちらについても御審議いただきたいと思っております。
具体的な進め方としましては、3の「今後の進め方」(1)に案を挙げさせていただいておりますが、まず派遣団体につきましては、条件としまして当該事業を通じてユネスコの理念及び目的の実現や、ユネスコ活動への積極的な参加といった団体や、あと、本年11月にESD世界会議が開催されることを踏まえ、ESDの実践に取り組むユネスコスクールなどを対象にしてはどうかという案を出させていただいております。
また、もう一つの条件としまして、派遣についてやはり子どもたちの参加ということですので、所属校、団体等からの支援、引率を含めて理解・支援が可能であることなどを挙げさせていただいております。
進め方としましては、3月中旬に選考委員会設置要綱、審査要領の決定を行い、審査委員の指名、3月下旬に公募をかけまして、5月頃に派遣校、団体を決定というような形で進めてはどうかという案でございます。
次に、2ページ目に行きまして、2016年の国内開催都市の選定につきましては、条件として、案としては、当該事業を通じてユネスコの理念及び目的の実現や、広く国民のユネスコ活動への参加の促進、さらにはユネスコ活動の普及と理解の促進を図ることを実践する意欲のある自治体であることや、そのほかの2017年に「東アジア文化都市」が開催されますので、その前年、プレイベントとして位置付けとかの連携が可能である等を入れさせていただいております。
進め方としましては、少しどういった条件が適切か等の御意見を頂きまして、審査要領等を決定し、3月下旬に募集を開始、7月頃に開催都市を決定し、8月の中国の東アジア子ども芸術祭においてホストの表明を行っていきたいということで考えております。以上でございます。
【河野委員長】  ありがとうございました。
それでは、今の御説明と手元の資料を参考に御意見、御提案等を頂戴できればと存じます。派遣団体につきましては選定基準、それからホストをする場合の開催都市の選定に関するアイデア、あるいは選定基準等について御自由に御意見等を頂戴できればと思いますが、いかがでございましょうか。
仮に公募をして、どこも手が挙がらないという状態も一応想定しておく必要があるかなという気がするのですが、それについて事務局の腹案とかは、まだそこまでは考えておられませんか。
【堀尾ユネスコ協力官】  一応、ユネスコスクールでもそういった伝統芸能等をやっているところとか、あと、日本ユネスコ協会連盟さんの方でもそういった活動を行っている団体がありますので、そういったところに少し声を掛けつつ……。すみません、派遣の方?
【河野委員長】  どちらもあり得ると思います。
【堀尾ユネスコ協力官】  派遣の方についてはそういった団体で、あと、ホストの方につきましては、もう少しこちらの方でもそういった文化に積極的だとか、何か国際的なイベントのホストに関心を持っているようなところも引き続き情報収集しながら、そういったところにも声を掛けさせていただき、ただ、最終的にはやっぱりホストの自治体にも予算負担が生じますので、応募を頂くというような形になるかとは思います。
【河野委員長】  今回ホストは初めてですか。
【堀尾ユネスコ協力官】  いえ。こちらの方は、3ページに直近の実績概要として載せさせていただいておりますが、2009年の8月に奈良県の方でホストをしております。
【河野委員長】  なるほど。奈良ですね。分かりました。
【堀尾ユネスコ協力官】  それから、第2回の2002年に福岡の方でホストをしております。
【観山委員】  今のホストの件ですが、これは手を挙げた自治体の完全な責任でやるということになるんですか。それとも、何か援助とかそういうものがあるんですか。
【堀尾ユネスコ協力官】  各国からの参加費については、日本と中国と韓国の方が少し拠出金というのを出して、参加費、旅費等については補助をしているんですけれども、現地の会場費とか、あとエクスカーション等については3か国間からの拠出金の中から若干補助というか、サポートはあるんですけれども、全くそれでカバーできるわけではないので、ある程度財政負担は生じることになります。
【内永委員】  私、きょうが初めてなのでまだよく分かっていなくて、ちょっと教えていただきたいんですけれども、前回、2009年で奈良県でホストをされたわけですよね。その結果、どんなことがよかったのか。その自治体にとって。これ、ホストをした結果、どういうことが子供たちにとっても、それから日本にとっても、何がよかったのか。ないしは、何をもうちょっとこうすればよかったのかとか、そういったことが、もうちょっと明確になってきて、それを一つのバリューとしてどこかほかに手を挙げ……。まあ、私が知らないだけで、ほかの都道府県の方もすごく御存じだということであるならばあえて言う必要はないと思うのですが、ここに、こういうことをやりましたってだけ書いてあるんですけれども、まあ、それはそれで大事なんですが、それプラス、これによって何がよかったのか、ないしはこういうことを学んだ、ないしはこの辺をやるとよかったよねということが明確に出されて、それをベースにほかの自治体にっていうことをしないと、ちょっと難しいんじゃないかなという感じが個人的にはしたもので。既にやられているんだったらごめんなさい。私はちょっとよく分かっていないことなんですけれども。
【堀尾ユネスコ協力官】  その辺りはもう少し情報を出していきたいとは思うんですけれども、実際に奈良県で行われたときには、翌年、奈良の遷都1,300年記念のイベントが2010年にあって、それのプレイベント的に実施されたと。県としては、そういった大々的な大きなイベントの前にこういったユネスコの国際会議をするということで、少し県の職員もそういった国際会議対応の準備ができたということや、あと、ホストの国には参加者は大体1か国1団体と限定があるのですけれども、ホスト国についてはもう少し枠が広げられておりますので、地元の子どもたちがそういった各国から来る代表者の前で、自分たちがふだん練習している芸術を披露できるということで、非常に練習にも身が入ったし、実際にパフォーマンスをすることで自信にもつながったというようなことは聞いておりますが、もう少しその辺り、メリット、どういったバリューがあるのかというようなことはまとめさせていただきたいと思います。
【河野委員長】  無形遺産条約の観点で申しますと、無形あるいは保護、伝承を教育にどうやって反映するかというのは前から重要課題の一つなので、何かそういう観点からも一つ切り口ができれば、もうちょっと有機的なことができるかなという感じは個人的にはいたしますけれども。
あと、もう一方ぐらい、もし何かございましたら伺いたいと思いますが。よろしゅうございますでしょうか。
そうしましたら、御意見どうもありがとうございました。本日頂きました御意見を基に、今後の進め方につきましては、西園寺委員長と私に御一任いただけますでしょうか。
ありがとうございます。では、そのようにまとめさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、冒頭で西園寺委員長からお話しいただきましたように、この後の議題6及び議題7は非公開となります。先に議題8に入りたいと思います。事務局から今後の国内委員会関係行事についての御説明をお願いしたいと存じます。
【堀尾ユネスコ協力官】  資料は参考5になります。こちらの方に今後の国内委員会関係行事についてまとめさせていただいております。まず、ESDに関するユネスコ世界会議が本年の11月に愛知県名古屋市、岡山市で開催される予定です。また、ユネスコ関係の会議といたしましては、本年の4月2日に194回執行委員会があり、6月の「人間と生物圏国際調整理事会」におきましては、我が国から推薦しております新規の只見と南アルプス、また、拡張の志賀高原についてのユネスコエコパークの申請についての審議結果が行われる予定です。そのほか科学関係で幾つか会議がございます。8月に、先ほど御審議いただきました第11回ユネスコ東アジア子ども芸術祭が開催予定です。
国内委員会の会議といたしましては、3月18日に第134回国内委員会の総会が開催予定になっておりますので、こちらについては全員の御出席をお願いしておりますところ、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
【河野委員長】  ありがとうございました。
そのほか特に報告、審議すべき案件はございますでしょうか。
特にございませんようでしたら、先ほど申し上げましたように、議題6、7はユネスコ記憶遺産及びクリエイティブ・シティーズ・ネットワークの審査等の審議になりますので、議事を非公開にしたいと存じます。文化活動小委員会委員及び事務局関係者以外の傍聴の皆様には、まことに恐縮でございますけれども、御退席いただきますが、文化活動小委員会ユネスコ記憶遺産選考委員会委員である西園寺委員長及び関係省庁の皆様には御同席をお願いしたいと存じます。文化活動小委員会の皆様、そういう扱いでよろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、文化活動小委員会委員、西園寺委員長、関係省庁及び事務局関係者以外の傍聴の皆様は、恐縮でございますけれども、御退席をお願いいたします。それ以外の方はしばらくお待ちくださいませ。

(コミュニケーション小委員会委員及び傍聴者退席)

※以下、非公開議題のため議事要録を掲載。

<議題6>ユネスコ記憶遺産への推薦について(報告・審議)
ユネスコ記憶遺産の平成26年申請に対する方針(案)及びユネスコ記憶遺産の平成26年申請案件絞り込み基準(案)、ユネスコ記憶遺産選考委員会設置要綱(案)について報告・審議が行われた。
結果、審議時間内に議論がまとまらなかったため、本件は議論を整理の上、持ち回りにて再度審議することとなった。

<議題7>クリエイティブ・シティーズ・ネットワークについて
審議時間が不足したため、後日持ち回り審議とされた。


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