資料1-1 ユネスコスクールの更なる活性化に向けて

 

ユネスコスクールの更なる活性化に向けた取組について

1. 前回の教育小委員会で出た委員からの主なコメント

(1)今後のユネスコスクールの意義・役割等の在り方について

  • 調査結果から、ESDがSDGs全体の実現に繋がっていることを知っている先生は87%、4.7のことについて知っている人は78%だが、裏を返せばユネスコスクールの中にあっても2割近くの先生がこれらの理解が余り十分でないということをどう解釈するか。ユネスコスクールの役割ということをもう一度再認識する必要があるのではないか。
  • 日本のユネスコスクールがユネスコの定める基準と要件から大きく外れていないか懸念がある。ユネスコ基準のユネスコスクールをそれぞれどのように扱うことが、日本にとって理想的な体制につながるのか、一度整理したうえで議論を始めなければ、更なる乖離が生じ、リスクが増大してしまうのではないか。
  • 日本のユネスコスクールは、その目的や設置基準をはっきりさせないまま数を増やし続けてしまったという印象がある。まずは、この国におけるユネスコスクールの理想的なあり方を示すことが必要ではないか。その理想的な姿を念頭に置いた上で、現状との乖離を埋めるための具体的な施策に関する議論に移るべきと思う。
  • ユネスコスクールとしてESDを推進する時、他の学校とはどこが違うのか、全般として、その重要性、良い意味での差別化をもう少し明確にしておかないと、数が増えた、それでよいということになってしまっては、日本のモデル的な位置付けにあまり説得力がなくなってしまうのではないか。

(2)政策の方向性や目標について

  • 1か国あたり最も多くユネスコスクールを持っている国として、全体のUNESCO Associated Schoolsの中のベストプラクティスを提供できるようなモデル的な国であり続けたいという意思がもっと明確にあってよいのではないか。
  • 数の問題について、どこまで増やしていくのかについて、ユネスコスクール登録の地域の差が解消されるまでは広げていく必要があるのではないか。
  • 個々の学校の取組ということではなく、日本のユネスコスクールとしての全体の評価を何らかの形ですることが必要ではないか。その結果を基に、今後のタイムスパンをある程度3年とか5年くらいの期間で区切って、当面の重点課題、活動上の重点というものを示すというやり方もあるのではないか。
  • 報告書の未提出校が多いというのは、ユネスコスクールとしての活動が実はあまりできていないのではないか。ある程度の数、地域格差をなくすということも大事だが、実質を伴わないところで数だけ増えるのも問題かと思う。
  • ユネスコスクール担当者が50代、60代が45%。次の世代を育てていく仕組みが課題ではないか。

(3)ユネスコスクールの支援策・メリットについて

(a)ユネスコスクールに関わるネットワーク機能の強化

  • ユネスコスクールに入るメリットとして、学習指導要領に入った持続可能な社会の創り手造りへの対応するための支援がユネスコスクール大学支援ネットワーク(UnivNet)から得られやすくなる。
  • ユネスコスクールのメリットや期待として海外のユネスコスクールとの連携が容易になる点を挙げている学校が多い。
  • ユネスコスクールの調査結果の中で、どういった資質を育みたいか、特に変化が見られたところに、知識ではなく、思考力とか学びに向かう力とか、人間性が成果として挙がっていくことが大事だと感じている。サステイナビリティを考えた時に、課題解決力、変化への対応力、想像力といったことが大事であり、このコロナによって更に必要な資質というところが明らかになってきている。いかに多様な経験を積むようにしていくか、そういったことができるようなサポートをユネスコも文科省のほうからもしっかりしていくことが大事ではないか。
  • プラットフォームを活用した、国内外の交流促進や企業の巻き込みなどの促進が必要。児童生徒のうちからSDGsの視点というのは、生活活動、消費活動にも結び付くという視点を育むうえでも、企業と学校を結び付けての活動がもっと広がっていくことを期待。企業側の認知度を上げていく取組も必要ではないか。
  • どのような支援があるのかという情報も現場は見ている。

(b)ユネスコスクールの情報発信について

  • ユネスコスクールの活動が多様に展開されているにも関わらず、ビジビリティが低いのは、学校の先生たちにとっては教育活動の一環とてやっているのだからそれでいいのではないかという思いもあるので、国内委員会や大学などが後押しをして連携も含めてビジビリティをあげていくための支援が必要ではないか。
  • 学校以外の団体との協働について、55%になっていること、またPTAにおいてユネスコスクールのことについて特段課や話題に上がることが少ないことに課題を感じている。
  • スーパーグローバルハイスクールといった研究指定校は成果の共有が義務付けられている。ユネスコスクールもシェアしたり冊子を作って公表する機会を設けるなど、取り組みが外部に見えやすいような仕組みができると良いのではないか。
  • 大学入試の準備として、ポートフォリオというものがあり、高校時代の実績を蓄積していくことが最終的に大学入試でも評価されるようになりつつある。子どもたちの成長につながるような活動が、結果として実績に繋がるのであればニーズはある。ユネスコスクールの活動の内容、その結果生徒がどう成長したかということがシェアされていくと魅力が増し、参加校が広がっていくのではないか。
  • 新学習指導要領で、教科横断的な学習でESDをやるとか、SDGSをやるというのは必須で、現場でESDやSDGsを知らないところはないと思うが、その時にユネスコスクールが出てくるとは限らず、知らない人も多い。マスメディアでの登場がどれくらいあるのか、広報効果を考える必要があるのではないか。
  • 学校現場では、教科横断型のカリキュラムとか、課題解決型学習とか、新たな要請があり、それに対してどのように対応していけばよいか分からない。ユネスコスクールのアンケートからこれらに対するヒントがある。具体的な事例(どのようなことをどのようにして、どのような問題点があったのか、担当の先生は何人いる等)があると、他校でも応用しやすく普及しやすい。
  • 調査結果から、40%は中々組織的に取り組む体制になっていないのではないかということが読み取れる。ユネスコスクールの活動が、負担ではなく、質の高い教育活動を促進するための有用なツールになっていくためには、マネジメントの理解が重要。マネジメントの観点から分析を進めるのが良いのではないか。

2.本日の検討事項

(1)ユネスコスクールの意義や期待される役割について(活性化の方向性)

  • 我が国におけるユネスコスクールの意義について、これまでのESDの推進拠点としての方向性は維持しつつも、他国との違い、日本の特色をどう出していくか。

(2)数値目標をどう考えていくか。

  • 地域的な偏在はありつつも当初目的は大幅に達成。

→今後、量的に確保できたユネスコスクールの次の目標として、質の向上や多様性の確保といった視点を入れるべきときに来ているのではないか。
→地域バランス解消を目指す数値目標を設定する必要はあるか。(地域に集中している場合も当該地域の特徴と捉えられないか)
→学校種毎に大きくばらつきがある事をどう考えるか。

(3)ユネスコスクールの活動を活性化するための仕組みについて

  • ユネスコスクールとなるメリットとして、ユネスコスクールに関する様々なネットワークにアクセスできることがあげられる。

→国際登録に時間がかかる中、実質的なメリットと理解される国内外のネットワーク活動に参加することでインセンティブを維持する仕組みが必要ではないか。例えばユネスコスクールと同様に様々なネットワークへのアクセスを可能とする工夫が必要ではないか。
→海外とのネットワーク構築について強化する方策としてどのようなことが考えられるか。

  • ネットワーク強化を図るためにも、ユネスコスクール自身が様々な情報発信を行っていく 事が必要となる。

→何を目的として、どのような情報をどのようなターゲットに伝えていくことが必要か。
→国内向けと国外向けで情報発信の在り方をどう変えていくか。等
 

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