資料2-2 2019年度ユネスコスクール活動調査の結果

2019年度ユネスコスクール活動調査の結果(概要)

令和2年7月 

 公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)では、文部科学省から委託を受け、ユネスコスクールとESD(持続可能な開発のための教育)の推進を目的として、ユネスコスクール活動調査を毎年おこなっています。この度、平成31年度の調査結果を取りまとめましたので公表します。

1. 調査結果から見る主な成果

(1)SDGs(国連持続可能な開発目標)目標4ターゲット4.7の認知度は約8割。

 回答者(教員)の78%がSDGsの目標4ターゲット4.7の存在を知っていると回答した。加えて、回答者(教員)の87%がESDの推進がSDGsの17の各目標達成に大きく関わっていることを知っていると回答した。

(2) SDGsの17の各目標に対する取組が進められている。

 SDGsの17の目標のうち、教育活動に取り入れた特に関連する目標上位5つは下記の通りである。

  •  目標11(持続可能な都市)―53%
  •  目標3(保健)―30%
  •  目標4(教育)―26%
  •  目標16(平和)―20%
  •  目標12(持続可能な生産と消費)・目標15(陸上資源)―18%

(3) ユネスコスクール活動を通して最も変化の見られた児童生徒の資質・能力は「学びに向かう力、人間性等」である。

 新学習指導要領にて育みたい「資質・能力の三つの柱※1」のうち、ユネスコスクール活動を通して最も変化の見られた資質・能力は「学びに向かう力、人間性(54%)」という回答を得た。
※1 新学習指導要領にて育みたい「資質・能力の三つの柱」とは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」のことである。

(4) 持続可能な社会づくりを構成する6つの視点のうち、ユネスコスクール活動を通して最も児童生徒の変化が見られたのは「相互性」「多様性」「連続性」である。

 国立教育政策研究所が示す「持続可能な社会づくりの構成概念(例)※2」のうち、最も変化が見られたのは、「相互性(43%)」「多様性(26%)」「連携性(22%)」である。
※2 国立教育政策研究所が示す「持続可能な社会づくりの構成概念(例)」の6つの視点とは、「多様性」「相互性」「有限性」「公平性」「連携性」「責任性」のことである。

(5) ユネスコスクールへ加盟後、ESDを実践したことによる教員の主な変化(上位3つ)は下記の通りである。

 ○カリキュラム・教授法の変化

  •  教科領域を超えて横断的に取り組むなどカリキュラムマネジメントを工夫するようになった―54%
  •  持続可能性に関する価値観をもとに授業等を見直す機会をもつようになった―49%
  •  授業の教材や資料、発問を工夫するようになった―45%

 ○学校運営の変化

  •  教員が積極的に地域の方々と交流し、双方の信頼関係が深まった―53%
  •  学校全体でESDに取り組む機運が高まった―42%
  •  ユネスコスクールの活動を継続的に実施できるような仕組みづくりをするようになった―35%

2. 調査結果から見る主な課題

(1) 国内外のユネスコスクールの情報を取得できるICT環境が十分ではない。

 校内における国内外のユネスコスクールの情報を取得できるPC環境が整っていないと回答した学校は全体の13%にのぼった。ユネスコスクールは国際的・全国的なネットワークであることからもICT環境の整備は急務である。

(2) 学校間交流の実績が十分ではない。

 学校間交流を実施していない学校は全体の38%にのぼり、海外の学校と交流したと回答した割合は昨年度と比べ約2割減少し27%となった。ユネスコスクール公式ウェブサイトの情報や他校の交流事例を参考に、また、ASPUnivNetなどの既存のネットワークを活用しながら、ユネスコスクールの特長を活かした教育活動を展開していくことが求められる。  

(3) ESD推進拠点としての活動成果の発信が十分ではない。

 学校の活動の成果を学校外へ発信することに「努めていない」と回答した学校が17%にのぼる。ユネスコスクールは地域でのESD推進拠点と位置付けられていることから、すべての学校に対して、評価指標を定め、取組を振り返り、OTAやユネスコスクール公式ウェブサイトなどを活用し、積極的に情報を発信し、成果を共有することが求められる。

3. 調査の概要

 公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)が文部科学省の受託調査として令和元年12月13日~令和2年1月31日に実施。調査内容は平成31年度の学校の取組(平成30年12月~令和元年11月)を対象としている。国内のすべてのユネスコスクールに対してウェブによる回答協力を依頼し、578校(回答率約57%)から回答を得た。

(調査実施元)

公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)
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ユネスコスクール公式ウェブサイト(ウェブサイトへリンク):http://www.unesco-school.mext.go.jp/

 

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