資料1-2 ユネスコにおける教育分野の取組について

令和2年8月
国際統括官付  

1.SDG4の実現に向けた取組

○ユネスコはSDGsゴール4(教育)の国連システムにおける主導機関として、世界的な議論を主導しており、2016年に、ユニセフなど他の国連機関も含めた「SDG-教育2030ステアリング・コミッティ(SC)」がユネスコを事務局として設置され、年2回程度会合が開催されている。広島大学・吉田和浩教授が、ジャンニーニ・ユネスコ教育担当事務局長補とともに2019-2020年の共同議長を務めている。

○アジア太平洋地域では、文部科学省信託基金拠出金での支援により、ユネスコバンコク事務所が、アジア太平洋地域教育2030会合(APMED)を年1回開催。アジア太平洋地域におけるSDG4実現に向けた議論を実施。

○最近の動きとして、SDGs推進に向けた国連加盟国間の情報共有を目的とした国連「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」がオンラインで開催され、ユネスコ関係では、SDG-教育2030 SC及び「教育及び生涯学習に関するフレンズ・グループ」の共催によるサイドイベント「ポストCOVID-19における教育」を主催。また、8月4日付けで、国連事務総長による教育に関するポリシーブリーフ「COVID-19禍及びその後を見据えた教育」(主にユネスコがドラフト)が公表された。【附属資料1 (PDF)を参照】

○2020年7月、SDG-教育2030 SCが、2021年秋に公表予定の「教育の未来」国際レポートに含まれるべき提言内容を、報告書としてまとめ公表。SCの下に設置された特別ワーキンググループには、日本からは、SC共同議長の吉田和浩 広島大学教授・日本ユネスコ国内委員会委員及び杉村美紀 上智大学副学長・日本ユネスコ国内委員会教育小委員会委員長が参画した。【附属資料2 (PDF)を参照】

2.「持続可能な開発のための教育(ESD)」

  • 持続可能な社会の創り手を育むため、現代社会における地球規模の諸課題を自らに関わる問題として主体的に捉え、その解決に向け自分で考え、行動する力を身に付けるとともに、新たな価値観や行動等の変容をもたらすための教育。
  • 国際理解、環境、文化多様性、人権、平和等の個別分野を持続可能な開発の観点から統合した分野横断的な教育。

○日本政府の提唱により、2005年から、ユネスコを国連における主導機関として開始(2014年には、日本政府とユネスコの共催により「ESDに関するユネスコ世界会議」を愛知県名古屋市及び岡山市で開催)。

○加盟国のより強力な関与を促すため、我が国やドイツ、ケニア等のイニシアチブで「持続可能な開発のための教育:SDGs実現に向けて(ESD for 2030)」が2019年11月に第40回ユネスコ総会で、また、同年12月に第74回国連総会で採択された。2021年5月17日-19日にドイツ・ベルリンにてESD for 2030世界会議が開催予定。

○ESDはSDGsのターゲット4.7に明確に位置付けられている。ESDの推進は、ターゲット4.7の実現のみならず、持続可能な社会の創り手の育成を通じ、SDGsのすべてのゴールの実現に寄与する。

○最近の動きとして、2020年9月から2021年4月までの間、2021年5月にベルリンで開催されるESD for 2030世界会議に向け勢いを保つため、シリーズのESDオンラインワークショップを開催予定。

○ユネスコのカテゴリー1センターであるマハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発研究所(MGIEP)が、2020年7月に「社会・情動的教育及びデジタル教育にかかる政府グループ」を立ち上げ、文部科学省も参画している。また、同時に、教育システムにおける社会・情動的能力育成に関するレポートを公表した。
 資料ダウンロード(MGIEPウェブサイトへリンク):https://mgiep.unesco.org/

3.教育の未来

○高まりゆく複雑で、矛盾した、不確実な世界における教育の再考の要望や、教育の未来に関する議論でのユネスコのリーダーシップ発揮に関する国連事務総長の要望を受けて、アズレー・ユネスコ事務局長のリーダーシップにより立ち上げられたプログラム。教育の未来に関するグローバル・レポートを準備中(2021年11月に公表予定)。

○各国有識者による国際委員会が設置されており、日本からは元文化庁長官の青柳正規(東京大学名誉教授)が選出。議長は、サーレワーク・ゼウデ エチオピア大統領が務める。

○「教育の未来」国際委員会の使命の重要性を認識し、コロナ危機の状況を踏まえ、4月に特別会合をバーチャルで開催。地球規模で急速に変化する状況とも関連した教育の在り方について議論を行い、「Protecting and Transforming Education for Shared Futures and Common Humanity」のタイトルによる共同声明、及び、同国際委員会各委員の個別声明を公表。また、同年6月に、国際委員会として「Education in a post-COVID world: Nine ideas for public action」を公表し、コロナ禍で今後教育において世界の人々が行動する際の助言となり得る9つの考えをまとめた。【附属資料3 (PDF)を参照】
 

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