日本ユネスコ国内委員会 第152回教育小委員会 議事録

1. 日時

令和5年9月7日(木曜日)13時00分~15時00分

2. 場所

オンライン開催/文部科学省会議室

3. 出席者

(委員)
吉田委員長、伊藤委員、大濱委員、萱島委員、鈴木委員、髙橋委員、竹村委員、田代委員、田中委員、中澤委員、藤本委員、細田委員、山口委員

(事務局)
渡辺事務総長(文部科学省国際統括官)、匂坂副事務総長(同省国際統括官付国際交渉分析官)、本村事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、小野事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、原事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4. 議事

【吉田委員長】  本日は、皆様、御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、事務局はまず定足数の確認等の事務連絡をお願いいたします。
【岩村係長】  事務局でございます。本日は、出席の委員が13名の予定となっております。ただいま11名の出席となっておりまして、委員の過半数ですので、定足数は満たしております。
 また、本日は議題2で御説明いただく予定の公益財団法人ユネスコ・アジア文化センターの大安部長に御出席いただいております。さらに、本日は報道関係者の取材及び一般からの傍聴も受け付けており、YouTube配信にて御覧いただいております。なお、御出席の委員におかれましては、カメラをオンにしていただき、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 委員の皆様方には、お手数ですが、御発言の際には、名のってから御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 また、オンラインで御出席の皆様にWebexの画面レイアウトの設定について御案内いたします。事務局の参加につきましては、1台のマイクスピーカーを複数名で使用しておりますことから、発言者だけをフォーカスしてWebex上で表示する機能に対応しておりません。つきましては、画面のレイアウト設定については、参加者を表示するグリッドビューにしていただきますよう、お願いいたします。
【吉田委員長】  それでは、ただいまより、第152回教育小委員会を開催いたします。本日の議事進行をいたします、教育小委員会委員長の吉田でございます。
 本日の議事につきましては、全て公開とさせていただきます。御発言は、議事録としてホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 議事に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、事務局から御報告をお願いします。
【岩村係長】  それでは、事務局より異動を報告いたします。まず、4月1日付で、匂坂克久国際統括官付国際交渉分析官、日本ユネスコ国内委員会副事務総長が着任いたしました。続きまして、5月1日付で着任いたしましたのが、小野憲一国際統括官付国際統括官補佐、日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐でございます。続きまして、8月8日付で、渡辺正実国際統括官、日本ユネスコ国内委員会事務総長が着任いたしました。同じく、8月8日付で、本村宏明国際統括官付国際戦略企画官/日本ユネスコ国内委員会事務局次長が着任いたしました。
【吉田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の会議の資料について、事務局より御説明をお願いいたします。
【岩村係長】  それでは、配付資料の説明をさせていただきます。本日お配りしている配付資料の議事次第を御覧ください。本日の議事につきましては、議題1からこのとおりになってございます。
 まず、議題1、ユネスコ関係の主な動き(教育関係)に対応する資料といたしましては、配付資料の1から4となってございます。
 続きまして、議題2、ユネスコスクールに係る最近の動きについて、こちらについて対応する資料といたしましては、資料5-1と資料5-2になります。
 また、議題3、第42回ユネスコ総会に向けた答申案(教育分野)についてでございますけれども、こちらに対応する資料は、資料6-1と6-2になってございます。
 議題4、国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について(骨子案)でございますけれども、こちらは資料7となってございます。
 また、併せて、参考資料といたしまして、参考1から3をつけてございます。
 なお、本日の議題につきましては、議題の1と2は報告事項となっておりまして、議題の3と4につきまして、皆様から御意見を伺いたいと思っております。資料について不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 以上でございます。
【吉田委員長】  どうもありがとうございました。
 
<議題1.ユネスコ関係の主な動き(教育関係)>
【吉田委員長】  それでは、議事に移ります。議題1「ユネスコ関係の主な動き(教育関係)」につきまして、事務局から報告、御説明をお願いします。
【原国際統括官補佐】  国際統括補佐の原と申します。教育関係のユネスコの主な動きとして4件、御報告させていただきます。
まず、表紙をめくっていただいて2ページ目、資料1「第216回ユネスコ執行委員会の結果等について」を御覧ください。ユネスコ執行委員会は、2年に一度、全ての加盟国が参加するユネスコ総会に次ぐ、意思決定機関となります。第216回は、本年5月にパリのユネスコ本部で開催されました。通常は、3月末から4月頃に開催されることが多いのですが、今回5月となったことで、富山・金沢で開催されたG7教育大臣会合と重なったことから、文部科学省からは補佐クラスが出張して対応いたしました。
 一つ目の議題は、ユネスコのユースフォーラムに関するものです。ユースについては、ユネスコでは人文・社会科学セクターが担当しておりますが、ユースは教育を含めた全ての分野に関係し得るものということですので、今回御報告させていただきます。本議題では、特に1999年以降、ユネスコ総会の機会に合わせて開催されているユースフォーラムについて、その開催方法や、テーマを気候変動の社会的影響とすることが示されました。また、ユースの選考方法、例えば国内委員会からの推薦の場合、推薦された18歳から35歳の3名のうちから、1名をユネスコが選考することや、併せてその選考方法については、次回以降のユースフォーラムにおいても適用することが合意されました。
 なお、その後、日本からの3名のユースをユネスコに推薦し、そのうちから次世代ユネスコ国内委員会のメンバー1名がユネスコに選考され、11月のユースフォーラムに参加する予定です。
 二つ目は、SDGsの4番目の目標である「質の高い教育をみんなに」に関してとなります。ユネスコは、SDG4、教育の国際機関における主導機関としての役割を担っております。昨年、国連教育変革サミットが開かれ、また、今後国連においてSDGサミットや未来サミット等のハイレベルイベントが予定されており、それらに教育を戦略的に位置づけることが重要であるとの認識から、ブラジル及びチリが中心になり提案された議題です。議論の結果、ユネスコに対し、来年春の第219回執行委員会以降、SDGsの達成目標年である2030年までの全ての執行委員会において、SDG4の進捗について報告を求めることが合意されました。
 議題46と47は、ともにユネスコスクールに関するものです。議題46は、ロシア等による提案議題であり、本年がユネスコスクール事業の設立から70年となることから、ユネスコスクールのユネスコの理念促進のための重要な役割を認識し、ユネスコに対し、70周年を祝うイベントを開催する可能性を検討することや、スムーズな新規加盟校の加盟申請プロセスなどを求めるものです。本議題については、議論なしで決議案が採択されましたが、採択後、ウクライナのフレンズ・グループを代表して、ドイツから、ロシアに対するウクライナ侵略に関する非難声明が読まれたところです。
 次のウクライナ提案の議第47についてです。こちらは、この段階で、既に深夜11時半を回っていたということから、翌日に議論が持ち越されました。こちらは、ユネスコスクール70周年を踏まえ、ユネスコスクールの生徒の中から選出したヤング・アンバサダーという制度の設立に関する提案となります。決議案が採択されたことから、ユネスコ事務局に対し、来月10月のユネスコ執行委員会までにヤング・アンバサダーの推薦ですとか、任命方法などの制度の検討が求められ、執行委員会でそれらが合意された場合には、本年11月のユネスコ総会において、新たにヤング・アンバサダー制度の設立が議論される予定です。
 最後に、行財政及び事業・対外関係合同委員会の議題です。議題5となりますが、新たに中国・上海に、科学・技術・工学・数学(STEM:Science, Technology, Engineering, Mathematics)分野の教育に関するユネスコのセンターを設置することに関して、ユネスコが実施した実現可能性調査の結果が報告されました。決議案が採択されたことから、本年11月のユネスコ総会に新たなセンターの定款の案などがかけられる予定です。
 執行委員会の報告は以上となります。
 続きまして、資料2「国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告(通称1974年勧告)の改正について」です。本勧告は、教育を取り巻く環境の変化に対応するため、一昨年のユネスコ総会で改正に向けて検討を進めることが合意されたものであり、改正に当たりましては、昨年より、世界の各地域や国際専門家会合などにおいて、様々な検討が行われました。本件については、昨年11月の本小委員会においても、勧告改正案について御意見をいただいたところです。その後、本年5月から6月にユネスコ本部で政府間特別委員会が開催されました。当初予定の一度の会合では、全文の合意ができなかったため、さらに7月に2回目の政府間特別委員会が開催され、勧告案文について最終案としての合意がなされました。本勧告案文については、11月のユネスコ総会において採択に向けた協議がなされる予定です。なお、現段階の最終案文につきまして、御関心がありましたら、資料に示しましたユネスコホームページに掲載されましたので、御覧ください。
 改正による、ある意味象徴的な変更としましては、勧告のタイトルに新たに「グローバル・シチズンシップ及び持続可能な開発」が追加されております。また、非常に長いタイトルということで、通称として使用するタイトルも提案されております。仮に訳しますと、「平和、人権、持続可能な開発のための教育に関する勧告」となっております。
 次ページに、御参考までに、構成の新旧対照表をつけさせていただいております。昨年11月の小委員会の時点の案からは、構成については、あまり変更がないのですが、1974年勧告から大きく変更がなされており、教育段階ごとの要点なども示されております。なお、昨年11月の本委員会では、持続可能な開発ではなく、持続可能な開発のための教育とESDが明示されていることも重要との御意見をいただいているところでございますが、前文や定義、本文の中にも記載されることとなっております。
 続きまして、資料3「ESD for 2030グローバルネットワーク」に関するものです。持続可能な開発のための教育(ESD)は、2002年のヨハネスブルグサミットで日本が提唱して以降、2005年から「国連ESDの10年」、2015年からの5年間は「グローバル・アクション・プログラム」として推進され、現在、2020年から2030年の国際的な枠組みとして、「ESD for 2030」が世界中で推進されております。
 このたび、ESD for 2030のロードマップに示された「ESD-Net 2030 グローバル会合」の第1回目の会合が、東京の国連大学で本年12月に開催されることになりましたので、御報告いたします。本会合は、各国のESDに関する政府関係者や実践者、200名程度が参加いたしまして、各国のESDに関する国内イニシアティブの策定や実践活動の共有、今後のアクションプランの検討などが予定されております。
 本会合の会場での参加については招待者のみとなっておりますが、全体セッションにつきましては、日本語通訳もつきまして、オンラインでの配信を予定しております。日本の学校での活動事例の紹介なども予定しておりますところ、詳細が決まりましたら、委員の皆様にも御案内させていただきますので、是非御覧ください。
 最後に、資料4「米国のユネスコ再加盟」に関するものです。本議題につきましては、9月21日の国内委員会総会で、外務省から御報告いただく予定ではありますけれども、ユネスコにおける非常に大きな動きとして、この場でも、本年7月10日に米国がユネスコの194番目の加盟国として再加盟した際に、ユネスコから出されたプレスリリースを共有させていただきます。
 御報告は以上となります。
【吉田委員長】  ありがとうございました。なお、出席委員のアップデートがございまして、本日、出席予定の13名の皆様の参加が確認されました。欠席は2名となっております。
 それでは、ただいまの事務局からの御報告、説明について御意見、御質問等ある方は、挙手ボタンを押していただきますようお願いします。
 指名は事務局からお願いいたします。
【原国際統括官補佐】  大濱委員、お願いいたします。
【大濱委員】  箕面ユネスコ協会の大濱です。74年勧告の改正についてなんですけれども、前回までの報告では、タイトル案が、たしかグローバル・シチズンシップから始まっていたと思うのですが、今回、平和、人権から始まるようになったことで、ユネスコが平和、そして人権から出発するという意思がより伝わるように思いました。
 質問ですけれども、以前の小委員会でも発言させていただいたことがあるのですが、私はこの改正のチャンスに、できるだけ多くの方に、少なくとも教育関係者には、このユネスコの意思とか、改正の理念をしっかりと受け止めてもらえるようにしなければならないと思っています。
 ここにある資料には、ユネスコのホームページに掲載される予定とありますが、日本での普及の仕方についてどういう見通しを持っておられるか。それが今分かれば、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【吉田委員長】  ありがとうございます。今、御発言の中に、この1974年勧告の改正の広報について、日本国内での予定についての御質問がございました。こちら、事務局からお願いできますでしょうか。
【原国際統括官補佐】  1974年勧告に関しまして御関心を持っていただきまして、ありがとうございます。非常に重要な勧告だと、私どもも思っているところです。こちらにつきましては、今回はまだユネスコ総会でこれから議論し、最終版になるということで、資料をお付けしていないのですけれども、私ども、ユネスコの勧告に関しては、必ず採択後1年以内に閣議報告もしなければいけないということもございます。また、ユネスコ国内委員会の場においても、どういう内容であったかということですとか、御報告させていただきたいと考えております。
 また、ユネスコの方としましても、英語でいうと20ページを超えるような長い勧告ということもあって、これをどのように普及していくかということを課題と考えております。このため、ユネスコとも普及というところで協力していきますし、それを更に日本にフィードバックするようなことを考えておりますので、また、御協力いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【大濱委員】  ありがとうございました。
【吉田委員長】  今の事務局の御説明と、その先になるかとも思います。ちょっと私が感じている部分なのですけれども、この新しい勧告の改正によって、特にSDG4の4.7の部分に対応するユネスコの、そして加盟各国の取組がしっかりモニターもされていく、そういう部分が非常に重要視されている改正になっていると思いますので、この国内委員会、教育小委員会の中でも、そういった部分について、改正を周知させるだけでなくて、実質的な動きが伴うようなものとして、またフォローしていくべき内容になっているかと思います。どうもありがとうございました。
【原国際統括官補佐】  山口委員、お願いします。
【山口委員】  ありがとうございます。今月半ばに国連本部で開催される「SDG Summit 2023」の一環として、9月16日にMobilization Dayが企画されています。その場でサイドイベントとして、「Leveraging Postgraduate Education for Sustainable Development」という、ドイツ政府、バングラディシュ政府、国連大学共催の高等教育と気候変動に関するイベントが開催予定となっています。私は高等教育専門家としてアジアにおけるGlobal South collaborationに関して発表する予定ですので、情報共有までお知らせします。よろしくお願いします。
【原国際統括官補佐】  中澤委員、お願いいたします。
【中澤委員】  先ほどの、この1974年勧告の改正に関することですが、改正された後、教員などの教育関係者に周知することが重要です。周知方法や改定された1974勧告に関する研修計画など、決まっていることがございましたら御教示ください。
【原国際統括官補佐】  ありがとうございます。実際の周知が重要という点については、私どもも非常に重要視しております。ただ、非常に大部になるものをお送りして、読んでくださいと言っても、なかなか読んでいただくのは難しいだろうということもありますので、どういう形で周知ができるかというのは、また先生にも御相談しながら検討していきたいと思います。ありがとうございます。
【吉田委員長】  ありがとうございます。いずれにしても、それを読み解くという作業と、それから国内の実践において、これまでとの違いも含めて、どういう点が重要かというところをあらかじめ整理しておいて、何らかの方法、そして必要であれば、研修といったような実践につながるような仕組みづくりというところが非常に大事になってくるかとも思いますので、その辺りも含めて、この小委員会でもしっかり見届けていく必要があるかと感じました。どうもありがとうございます。
 そうしましたら、今いただきました御意見も含めまして、これらを集約して、今後の検討の参考にしていただきたいと思います。
 
<議題2.ユネスコスクールに係る最近の動きについて>
【吉田委員長】  続きまして、議題2「ユネスコスクールに係る最近の動きについて」の報告に移ります。ユネスコスクールにつきましては、昨年度よりユネスコスクールの定期レビューが開始されております。ユネスコスクールの定期レビューの結果、及び年次活動調査の結果につきまして、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センターの大安教育協力部長から、御説明をお願いします。
【大安部長】  先ほど御紹介いただきました、ユネスコスクールの事務局を担当しております、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU:Asia-Pacific Cultural Centre for UNESCO)の大安です。私の方から、ユネスコスクールの定期レビュー、それから活動調査について御報告いたします。よろしくお願いいたします。
 まず、資料5-1にあります、昨年度、令和4年度ユネスコスクール定期レビューの結果から御報告します。この定期レビューというのは、そもそもがユネスコスクール自身で活動を振り返っていただいて、それに外部からの気づきとか、助言をいただくと、あくまで、ユネスコスクールが主体的に振り返っていただくと、そういう性質のものです。
 実際のプロセスについては、この資料の3枚目のところにありまして、自己評価からピアレビュー、そして有識者レビューというように進めてまいります。
 それでは、1枚目に戻りまして、どういう形で進めていったか、昨年度の流れを御説明します。まず、令和4年6月から7月にかけて、定期レビュー対象校にチェックシートに基づく自己評価をお願いしました。それで、7月、8月ぐらいに出てくるということなんですが、それと並行しまして、ここにありますオンライン研修会、昨年度は、対象校が215校ありましたので、それを50校に分けて、4回、この研修会を実施しました。
 そこでは、ユネスコスクールの説明とか、レビューアドバイザーの方の講演、そして実践発表、グループディスカッション、そういった形でお互いに情報交換をしていく。このレビューアドバイザーの方々というのは、ユネスコスクールの経験者とか、ASPUnivNet(ユネスコスクール支援大学間ネットワーク)の先生方とか、そういう有識者による講演、それからディスカッションへの参加をいただいています。
 そして、大体この活動チェックシートが出てくるというのが8月末あたりということで、9月にレビューアドバイザーによって活動評価シートに基づいて、書面審査を行っています。そして、11月に全体評価のための合議を、有識者により全部で九つのグループに分かれて行いました。その結果を、12月にレビュー対象校に書面レビューの結果と、それから、中期活動改善計画提出校に該当する学校には通知をしました。
 この中期活動改善計画の対象校というのは、プロセスの中にも書いておりますが、自己評価、または有識者レビューの評価が2以下の学校、昨年は約40校ありました。その通知を受けて、改善が必要という学校については、今年の3月までに改善計画を出していただく。これが一連の流れです。
 先ほど言いましたように、自己評価から始まって、外部の評価も含めて、最終的に自分たちで改善していくという形となります。その結果なのですけれども、先ほど言いました40校のうち、活動、加盟を継続希望しないと、例えばコロナで活動が十分できなかった、そして、業務量を考えると、ユネスコスクールの質の担保というのはなかなか難しいというようなところがあって、3校が希望しないと。約30校が活動改善計画を出して、評価が3以上の学校と合わせてユネスコスクールの加盟継続を続けると、それが全部で205校となります。そして、留保、これは、今現在、その活動改善計画を作成中という学校が7校あります。
また、資料の参考のところにありますとおり、自己評価の結果は、やはり4、3辺りが多い。それから有識者レビューも4、3辺りが多い結果となっております。
 次のページのユネスコスクールにおける主な成果として、今回、定期レビュー研修会でグループディスカッション等を行いまして、日本全国の様々な地域と校種の学校が意見や経験を共有できました。そこでの議論では、ユネスコスクールとして自分たちのやってきた活動の成果と課題、それからネットワークをどのように活性化するか、強化するかというところで、自由にお話をしていただきました。
 そこにその結果があります。成果としては、校内でプロジェクトチームを展開し、組織的、継続的な取組ができている。それから、児童生徒が活動を通じて地域の良さを再発見し、地域の方とのつながりを持つことで、地域・社会へ貢献するような意識が高まった。それから、ESDの視点を取り入れたカリキュラム設計や授業づくりができるようになった。それから、国際交流、国際理解に関する取組に力を入れるようになって、海外に興味を持つ児童生徒が増えた。そして、日本国内、それから国外との交流機会があって、他校の実践からの学びが良い刺激になっている。
 こういったところが、ユネスコスクールの先生方の成果と考えておられるところとなります。
 同時に、やはり問題、課題というところについても指摘がありました。三つに分かれております。一つは、学校のホームページなどがうまく活用できていなくて、発信というところ、これが必要であるという課題。ホームページ以外にも、広報紙などを通じて、子どもの学習の発表などの取組の発信、この情報発信がなかなかできないというようなところが指摘されています。
 それから、ユネスコスクール自体や定期レビュー制度への理解が不足していると。これは、やはり教員の異動というのがありますので、そこでなかなかうまく引き継がれていないというようなところが、その次の校内の体制整備が不十分というところも併せて、なかなか学校全体、ホールスクールでできていない。それから、イベントをやって終わりというふうな形で、継続的な活動をなかなか組織として維持するのが難しいと。
 それから、外部との連携というところで、近くにユネスコスクールのないところもたくさんあるということから、同じような視点とか、同じような考え方で取組を行っている学校との関わりが少ない、そのため交流が難しいというようなところをもあります。
 さらに、国際デーについてハードルが高い。国際デーと言われても、何をしたらいいのか分からないと。そういったところは、事務局としても、こういった国際デーについて、メール、ホームページ等で発信して、そしてユネスコスクールがグローバルなネットワークの一員であると再認識していただけるような情報発信をしていく必要があるというふうに感じています。
 それから、最後のポイントなのですが、資料の「なお」というところにありますが、レビューアドバイザーの方に中期活動改善計画策定の支援をしていただいておりまして、中には現地を訪問していただいた方もおります。
そこで、校長先生と面談をして、持続可能なユネスコスクールとしての今後のことを一緒に考えて、アドバイスしたと。面談を通して、実情が良く分かり、そして、具体化するということを実感できた。それから、いろいろ地域のトラブルがあるということもあるけれども、前向きに改善していただくことになったということで、一方的にアドバイザーから指導するというよりも、一緒に考えて話し合っていくという、双方向な学びがあったというふうに言えると考えております。
 以上が、定期レビューに関する報告です。
 引き続きまして、資料5-2のユネスコスクール活動調査結果の概要案として、9月上旬に公開予定ですが、現時点での調査結果の案を御報告します。
 まず最初に、概要の2枚目の一番下、3に調査の概要というのがあります。そこに記載のとおり、今回の調査は、2022年12月20日から2023年3月31日にかけて実施しました。したがって、今回の報告は2022年の学校の取組についてまとめております。
 全校に対してウェブによる回答協力を依頼しておりますが、回答数は約56%ということで、これが調査の概要であります。
 それでは、最初に戻って、調査結果の主な成果から御報告します。まず、調査結果から見る主な成果として、SDGsに関することです。SDGsの認識、認知度全体というのは95%になっておりまして、ほとんどのユネスコスクールはそれを分かっていると。その中でどういった取組、17の目標を教育活動に取り入れているかというところを調べましたところ、目標11の持続可能な都市、それから、目標12の生産と消費、目標3の保健、目標4の教育と、やはり自分たちの身の回り、生活に関する目標というものが取り入れられているんですが、あわせて、目標16の平和に関するところも昨今の国際情勢も踏まえて上位に入っております。
 次に、マル2の新型コロナの影響なのですけれども、これについては、昨年85%あったのですが、今年は65%と大分下がってまいりました。ICTの環境が進んできたので、コロナの影響は、まだ規制はあるとしても、オンラインの授業や交流が浸透してきたと推測できます。今報告しています、今年というのは、昨年、2022年のことです。ここで言う昨年というのは2021年のことです。
学校間交流に関しては、国内の学校と交流したというのは46%、海外とは24%ということで、両方とも増加傾向にあります。特にオンラインの浸透というのが大きな理由と考えられます。ただ、交流しなかったという学校は減ったものの、まだ40%以上と高い数字にとどまっております。
 マル4のユネスコスクールの教育活動に対する評価について、評価に関する認識、それから、必要性というのは、年々認識が高まっているということで、昨年度は56%、今年度は68%が評価をしているということです。また、評価方法、昨年までは、振り返りとか、ポートフォリオは、その他という項目に含まれており、項目としてはなかったのですけれども、それを入れてみると、評価の方法として、一番はプレゼンテーションなのですが、アンケートや振り返り記述とか、ポートフォリオというのが上位に入っております。こういう形で、試験だけではない形で評価を行っているという学校がたくさんあることが分かりました。
 マル5の教員の主な変化について、カリキュラム・教授法の変化と、それから学校運営の変化、この二つに分けて、上位の三つについてここに記しています。
 カリキュラム・教授法の変化については、まず、教科領域を超えて横断的にカリキュラムマネジメントを工夫するようになった。これは6割になっています。それから、児童・生徒自らが問題意識を持って課題を発見できるようなカリキュラムを開発するようになった。それから、持続可能性に関する価値観をもとに授業を見直す機会になったとのことです。
それから、学校運営としては、学校全体でESDに取り組むようになった。そして、教員が積極的に地域の方々との交流し、それにより信頼が深まった。そして、教員同士で持続可能性に関する価値観を話し合うことが多くなったというような成果が上げられています。
 一方、課題としては、日常の業務もある中で、校外でのESD・ユネスコ活動に関する研修への参加がなかなか難しいと、64%が研修の参加の有無について「いいえ」と回答しています。
 それから、マル2のユネスコスクール事務局の利用状況というのは40%が特に利用していない。それから、ASPUnivnetからの支援は、特には受けていないというのが78%に上っています。
 こういった状況で、ホームページでお知らせするということだけではなくて、先ほど申しました定期レビューにおいて、ユネスコスクールの内容や、それを支援するネットワークがあるというところを周知していく。そういったことで、またASPUnivNetの皆様にもいろいろなイベントに参加いただいて、事務局の方でも、地方大会、全国大会、それから毎月、意見交換会等をやっておりますので、そういった機会を増やして、こういう研修や活動支援の枠組みを知っていただいて、参加いただくと、そういった形を今後とっていきたいと思っております。
 私からの報告は以上です。
【吉田委員長】  ありがとうございました。では、議題2につきまして、ただいまの大安部長からの御説明につきまして、御意見、御質問がございます方、挙手ボタンをお願いいたします。
 指名は事務局からお願いいたします。
【原国際統括官補佐】  大濱委員、お願いします。
【大濱委員】  箕面ユネスコ協会の大濱です。説明にありましたけれども、調査への回答率が上がっているということで、定期レビューの成果もあって、前向きに活動されている学校が少しずつ増えてきているのかなと思いました。取りまとめ、ありがとうございました。
 説明にもありましたけれども、私、一つ気になることがあります。国際デーについての十分な取組がなされていないという、アドバイザーからの指摘が気になりました。国際デーというのは、世界との連帯を感じることのできる貴重なイベントのように思いますし、あまり構えなくても、写真の提示とか、簡単な取組からスタートできるように思うのです。
 ACCUのホームページにも積極的に案内していますというお話がありましたけれども、たしかユネスコスクールでは年に2回はというような仕組み、約束事になっているというふうに聞きましたので、このアンケートの中にその項目があってもいいのかなと思いますが、読み取れるような問いがあったのでしょうか。
 もしなかったら、項目が増えていくのは答え手にとってはしんどいかもしれないのですけれども、一度検討していただけたらと思いました。
 以上です。
【原国際統括官補佐】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。交流したいと思う学校がユネスコスクールに加盟していないことが多かったりするということが出されていたんですけれども、ユネスコスクールの役割というのは、私は、地域に存在して、地域のほかの学校とか、地域全体に影響を及ぼしていくというか、巻き込んでいくということも、一つ大きな役割としてあるのではないかと思います。
 そういう意味では、ユネスコスクール以外の学校とも交流が持てるような方向性というのを、今後探っていってもいいのではないかと思います。その意味では、企業との連携とかというのも、地域との連携を図られているというようなアンケート結果は結構あったんですけれども、そのうち企業が2割程度です。取り組んでいる項目が、11番の住み続けられるまちづくりをというところが一番大きいということであれば、やっぱり企業との連携というのも非常に重要です。地元企業では、まだまだその意識が足りないというところが正直ございます。持続可能なまちづくりにしていくためには、やっぱり子どもからの働きかけというのが非常に大きいと思うんです、次の担い手を地域で育てるという意味でも。彼らから、SDGsに関して教えていただくことで、企業も変わっていって、また、企業が、彼らが将来担い手になることを想定して、彼らにとって魅力ある企業に成長していくということも求められているので、その意味では、ユネスコスクールが中心になって地域全体を巻き込んでいくという方向性が今後必要で、アンケートにもそういう部分が出てくるといいのかなというふうに思いながら、見ておりました。
 以上です。
【原国際統括官補佐】  萱島委員、お願いいたします。
【萱島委員】  今回、大変包括的な定期レビューの結果を報告していただいて、ありがとうございます。全体像がよく分かり、とても興味深く拝見しました。
 200校の調査結果ということなんですけれども、割と多くの学校が自己評価においても、有識者のレベルでも高い評価を得ているということで、それなりの活動が行われており、継続希望も大変多いということで、ユネスコスクールの活動がある程度地道に行われているんだなというところを、非常に感銘を受けつつ伺ったところです。
 その上で、1点、質問なんですけれども、今の学校現場の課題は、やはり教師の過重労働というか、教師が忙し過ぎる、大変だというのが毎日のように報道もされているような状況なわけです。こういったユネスコスクールの活動の評価、もしくは現場での調査において、教員の労働環境との関係でどのような指摘があったのか、なかったのか、教員が忙し過ぎる、業務が多過ぎるということと関連して、ユネスコスクールについての、例えば課題みたいなものが指摘されたようなことがあったか。それと関連しての、例えば改善例や、改善希望のようなものがあったのかというようなところをお伺いしたいと思います。
 ユネスコスクールは、特に小学校、中学校あたりでの国際理解教育の推進において最も伝統があり、メインストリームでもあると思うんです。ユネスコスクールの活動だけが独立してあるわけではなくて、日々の教員や生徒の学校教育の活動の中で行われているものですから、やはり学校活動、教育活動の中でどのように持続的に行われて、効果を上げていくかということを考える必要があるだろうと思うと、やはり学校が置かれている様々な課題と、どのように組み合わせながら課題解決していくかということが非常に重要かなというふうに思っております。
 そういう意味で、教員の労働環境というのが今盛んに言われておりますので、それと関連するようなことについて、どのような議論や、指摘や、発見があったかについて、教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【吉田委員長】  ありがとうございます。ここで幾つか質問点、御意見いただいていますので、一旦、大安部長に御反応、御回答をお願いしたいと思います。
【大安部長】  御質問ありがとうございました。まず、大濱委員からの御指摘ですけれども、国際デーについては、定期レビューの方は、ユネスコスクールがやるべきことというのを中心に項目を立てておりますので、入っているんですが、年次調査で必ずしも聞いておりません。
 毎年、調査項目というのは、文科省をはじめ、事務局と、委員の方々と内容を検討しますので、その件については検討したいと思います。確かに定期レビューや、調査に入っていますと、ああ、こういうこともやらないといけないのだというようなことを認識していただけるということがありますので、それは大事な指摘だと思います。
 それから、次に、伊藤委員からのお話で、まさにそういう企業との連携、27%というのがありましたけれども、地域の人たちといっても、様々な職業の方がいらっしゃって、特に地域の地場産業、そういったところと、例えば総合学習の中でうまく取り入れていくとか、そういった形の面白い事例は幾つか出ていますので、そういうのがうまく広がって、SDGs推進と併せて、子どもたちから大人も学ぶと、そういう生涯学習も含めた視点で今後展開できればと思います。
 続きまして、萱島委員からのところで、確かに御指摘のとおり、過重労働とか、いわゆる働きがいに対して働きやすさというところを、どこまでこのユネスコスクールの中で担保しているかと。直接働きがい、働きやすさというようなところは聞いておりませんが、一つは、学校全体で、ホールスクールで活動に取り組んでいる体制ができているか、環境ができているか。
 そして、議論の中で出てきたのは、やはり少数の先生に、そういうユネスコスクールに関係することについて、業務が集まってしまっていると。そういったところをどう改善していくか。そして、御指摘のありましたように、既に国際交流も含め、ESD、SDGsの活動をやっているから、自分たちの活動をユネスコスクールの視点から捉え直すとか、意味づけると、そういうことが今回できたなと、そういうような議論はありました。
 ただ、教員の負担について、それに特化した議論というのは、ちょっと今手元にはありませんので、また調べさせていただきます。
 以上です。
【吉田委員長】  引き続き、事務局から御指名をお願いします。
【原国際統括官補佐】  藤本委員、お願いいたします。
【藤本委員】  秋田ユネスコ協会の藤本でございます。定期レビューの御報告、どうもありがとうございました。大変関心深く聞かせていただきました。
 全体評価が2以下の学校は、様々な理由からそのような状態になっていると理解できますが、担当の先生だけで解決するのは限界があるように感じました。私は秋田ですが、秋田のユネスコスクールを見ても、地域とどう関わるか、地域でどのような活動をするかは、重要な課題と考えています。
 それで、地域や学校をある程度知る、身近で、顔の見える地域アドバイザーがいたらよいのではと思っています。
 ユネスコスクールに、いつでも気軽に相談できる地域のアドバイザーがいたら、より具体的な実践につながる可能性がある。そのような環境を作っていくことが大事だと感じました。
 ありがとうございます。以上です。
【原国際統括官補佐】  田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  ありがとうございます。NPO法人青少年自立援助センターで、外国にルーツを持つ子どもたちの支援を主に担当している田中と申します。よろしくお願いいたします。
 定期レビューについてなんですが、御報告を拝見しました。ふだん、業務で学校の先生方と関わることも少なくないので、やはり萱島委員が御指摘のとおり、御多忙の中で定期レビューの評価に取り組むのも非常に大変だったのかなと思っています。
 質問としては、気になった点が、自己評価結果と有識者評価結果に大分差があるところが見られました。特に、例えば自己評価の結果を2とした学校が10校ある中で、有識者の評価を見ますと、同じく2とつけた学校は28校に増えているという結果となっています。ここの乖離がどのように生じているのかという点、もし詳しいことが分かりましたら、教えていただけたらなというふうに思います。
 また、ユネスコスクールの加盟校を地域的に見ますと、やはり特定の自治体からの加盟が多いなという印象を受けています。自治体から、市区町村からのサポートや協力体制みたいなものの有無が、様々な点でもしかしたら大きく関わっているんじゃないかなという気がいたしました。自治体による関わりについても、もしアンケート等で、何か具体で自治体からのこういうサポートがある学校については評価が高く出ているというような、何か見えてくるものがあれば、教えていただけたらと思います。
 以上です。
【原国際統括官補佐】  中澤委員、お願いいたします。
【中澤委員】  奈良教育大学の中澤です。大安部長、御報告どうもありがとうございました。教えていただきたいことが二つあります。
 一つ目は、今回のレビューで評価の低い学校に関しまして、校種の偏りはございませんでしょうか。本学はユネスコスクールですので、報告書を作成しました。報告書の作成は、根拠資料の整理など、結構な時間がかかりました。また定期レビューにも参加いたしました。評価の低い学校に聞き取りに行くと、小学校などは授業数も多く、働き方改革の影響もあり、落ち着いて報告書に取り組める時間がなかったという声を複数の学校から聞きました。学校種による自己評価の偏りはございませんでしたでしょうか。
 二つ目は、研修に参加する教員が少ないことについてです。学校長にその原因について聞きましたところ、働き方改革について教育委員会からの指導があり、学校長から教員に研修への参加を言い出しにくい状況がある、とのことでした。
 悉皆研修でなくてもいいので、休日あるいは、授業の合間に参加できるオンデマンド型研修、家族も参加できるエクスカーション型研修、意欲の高い教員には、休日や夜間などのオンライン交流型研修など、多様な研修スタイルで、研修チャンスを提供していただければと思います。
 以上です。
【原国際統括官補佐】  鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】  ACCUの大安部長、どうもありがとうございます。多くのこれだけの調査データをうまくまとめていただきました。本当によく分かりました。ありがとうございます。まずはお礼申し上げます。
 私からは、実は2点、質問があります。1点は、先ほど大安部長が御説明いただいた評価の5から1までの中で、定期レビューの中で指導の先生が行かれたときに、校長先生が継続が難しいというような御発言をいただきました。その理由は、先ほどからちょこちょこ出ておりますが、やはり学校の先生方の転勤というのが大きな課題ということで存在しているのか、または、ほかにも何か理由などがあるのかいうところを、お教えいただけたらと思います。
 それから、2点目です。定期レビューで指摘された課題というのが2枚目のところにございました。そこのところで、真ん中から下に情報発信について、学校の体制、取組等について、外部連携について等、書かれてあります。定期レビューの学校に対する調査項目というか、レビュー項目等みたいなものが、私不勉強なのでよく分からないのです。そういう審査項目がもし何かあるようでしたら、またちょっとお教えいただけたらありがたいのですが。
 それから、私、民間ユネスコをやっておりますので、先ほど伊藤委員が言われましたように、企業も巻き込んで、一緒になってユネスコスクールを盛り上げたらいいのではないかというのも大賛成でございます。
 以上、私の方からの発言を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
【吉田委員長】  1回、大安部長から手短にお願いします。
【大安部長】  たくさんの御質問ありがとうございます。藤本委員からの御指摘ですけれども、顔が見えるアドバイザーというので、先ほどちょっとお話ししました、大学の支援ネットワーク、ASPUnivNetが、東北ですと宮城教育大学、それから東北大学とあります。そういったところに気軽に相談できるというような仕組みを、今、ホームページからも検索できるのですけれど、なかなかそこまで情報が行き渡っていない。それから、支援が気軽に受けられないということもありますので、そういったところを、これから近くでアドバイスしていただけるようなことを周知していきたいと思います。
 それから、田中委員からありました自己評価と有識者の点数の乖離というのは、去年は評価に当たって、関連の情報提供をお願いしますというお願いベースだったんです。そうすると、なかなかその資料を提供できないというようなことがありまして、こちらも、あまり負担をかけてはいけないという配慮もありまして、資料を絶対提供してくださいという形にしていなかった面もありますので、有識者の方で情報が足りないから、これは情報がないから、やはり評価は2だねというような感じのことも多々ありました。
 ということで、今年度の調査は、根拠と内容の確認資料とか、URLをきちんと提出してくださいということはお願いしておりますので、その乖離は少なくなっているんじゃないかと思います。
 それから、特定の自治体ということで、教育委員会の政策にもよるというところもありますので、例えば大牟田市とか多摩市のような、たくさん加盟している学校では、その自治体の中での研修があったりして、そういった形でユネスコスクールに対しての支援が行われております。
 それは、次の中澤委員のお話でもありました、研修になかなか参加できないというところで、こういう自治体が中心になってやっているという研修は参加しやすいですけども、それ以外の研修となると、やはり自主的な研修になってしまうということはあるかと思います。
 それから、2以下の学校の分布なんですが、すみません、今ちょっと手元に資料がなくて、また後ほどお知らせできればと思います。
 それから、鈴木委員からの御質問で、転勤というところで、やはり引継ぎが難しいということもあります。それから、今回、こういう定期レビューをすることによって、このレビューの質問項目にも関連しますが、質問項目というのは、ユネスコスクールのメンバーズガイドとか、ユネスコスクールはこういうことをやってくださいということがありまして、例えば学校全体でやるとか、ユネスコが重視している平和、それから、ESDとか、GCED(Global Citizenship Education:地球市民教育)、そういったところをやっているかとか、それから、地域とつながっているか、国際デーを祝っているか、発信をしているか、そういったようなところを、主に質問項目として、チェックシートの項目として挙げています。
 こういったところを見て、やはり今の業務と人員では質の担保ができないと感じる学校もあって、継続がちょっと難しいと、そういった状況にあるというふうに考えます。
 以上です。
【吉田委員長】  大分時間が押してきておりますので、今手を挙げているお二人までということで進めさせていただきたいと思います。
 お願いします。
【原国際統括官補佐】  ありがとうございます。では、竹村委員、お願いいたします。
【竹村委員】  ありがとうございます。Peatix Inc.の竹村と申します。活動調査は、非常に広範囲のことを調査いただいたので非常に理解が高まりました。ありがとうございます。
 5点ほど質問とコメントをさせていただきたいと思います。一つ目なんですが、ユネスコの担当の皆様の年齢層が割と高めたなという感じがしたんです。こちらは、一般の教員の方の年齢分布と近いのか、それとも若干年齢が高めなのかというところは、代替わり、継承みたいなところが課題になってくるというところで、大丈夫なのか、ちょっと心配かなと、個人的に感じました。
 二つ目なんですけれども、国際交流、国際理解、協力というところの理念のユネスコ活動というところで、海外交流というのは非常に大切かなというふうには感じているんですが、実際、実施されたところが24.2%と。これから、東京を中心として海外とつながっていくというよりは、各地域、地域でもダイレクトに様々な海外とつながっていくという時代になっているかなというふうに思うので、国内交流だけじゃなくて、海外交流もこれから進んでいくといいなというふうに感じています。
 ユネスコの事務局、もしくは地域のユネスコ活動の中で、海外交流の支援というのは、今後、あとどういったようなことが支援対象として可能になってくるのか、みたいなところのお考えがあれば、是非お伺いしたいなと思ったのと。
 あと、オンラインの活動であれば、昨今ですと結構、翻訳であるとかのテクノロジーとかもかなり便利なものとか、無料で使えるものとかも増えてきているので、例えばそういったリソースみたいなものを、事務局からも、研修という形ではなくても、リソースであるとか、ツールとかといった簡易に使えるものをどんどん紹介されたりしていくと、もしかしたら、少し先生方も不安を感じずに海外交流に挑めたりするのかな、なんていうことを思いました。
 研修に参加される方がちょっとまだ限られている、お忙しいという中で、バイトサイズといいますか、簡単にちょっとずつ国際交流の仕方への理解というものが、Howのところを深めていけるようなサポートとかも、今後御検討いただけるとうれしいなというふうに思いました。
 三つ目なんですけれども、評価のところで、自己評価とアドバイザーの方の評価の差があるというお話もありました。評価の軸みたいなところというのが、どういったところになっているのかが、ちょっとレポートだけでは分からなかったので、今日でなくてもいいんですが、何か資料などあれば、教えていただきたいなと思いました。
 あと、四つ目なんですけれども、先生方、お忙しいということで、リソースの問題があるということがありました。こちらの調査では、PTA、地域の方の協力というのが、かなり講師みたいな形では得られているというデータが見られたんですけれども。特にPTAとか、保護者の方々って、結構力になっていただけるのではないかなと思うのですが、その辺、保護者の方が例えば海外交流のコーディネーター的な役割ができる、英語ができる方とかいうのも、学校によっては結構そういった方が活躍されているみたいなお話も伺うことがあります。
 ですので、そういったことを、もう少し組織的に、全国で共有知として、どういった形でPTAの方に関わっていただくと、国際交流がもっと広げられるのかとか、ベストプラクティスみたいなものとかも共有いただけると、もしかしたら、そこも少しハードルが下がってくるのかなというふうに感じました。
 最後なんですが、子どもたちというのが、ユネスコユースの方々、先般はすばらしいスピーチなどもしていただいていたと思うんです。小学校・中学校という子どもではあると思うんですけれども、例えばホームページでの情報公開みたいなところがまだできていない学校とかも結構あったと思います。
 子どもたちがもう少しユネスコ活動を牽引する役割みたいなところというのが、事務局や地域のユネスコとかで、何か支援されたりとかすることで、子どもたちが、より自分事としてユネスコ活動に関わっていけるみたいなチャンスがあるのではないかと、データからちょっと感じたので、コメントさせていただきます。
 以上5点です。ありがとうございます。
【原国際統括官補佐】  それでは、山口委員、お願いします。
【山口委員】  ありがとうございます。では、1点だけ、コメントと事務局への質問になるんですけれども、大安部長、大変詳細な分析をありがとうございました。大変勉強になりました。
 私、この中で特にすばらしいなと思ったのが、教員の意識の変化という部分です。特にカリキュラムが横断的なものになったという、59.6%、あと問題解決を目指すカリキュラム開発が54.3%、そして、持続可能性に関する価値観を基に授業を見直すが48.6%。学校運営の変化に関しても、学校全体でESDに取り組む機運が高まったが54.3%なんです。
 この結果というのは、やはり日本が今まで取り組んできたユネスコスクールが本当に事業が構築されていて、質の高いものになっているという評価の一環だと思いますので、是非これを、アジア地域はもちろんのこと、世界的に情報発信をしていくべきかなと考えております。
 そこで、一つ質問なんですけれども、事務局としては、これを例えばユネスコ本部のユネスコスクールを、全体でマネージしているところにフィードバックするような計画があるのかということ。
 あと、一番最初の今後の活動予定というところで、12月に国連大学でESD-Netの大きな会議が開かれるに当たって、ユネスコ本部の教育局から専門家の方々が来日するということで、例えばそういうところで発表するような機会を持てると、大変強い情報発信になってよろしいのかなと思っておりますが、この辺はいかがでしょうか。
 以上です。
【吉田委員長】  ありがとうございました。大安部長、お願いします。
【大安部長】  分かりました。竹村委員からの御質問のありました、海外交流に関連して、確かに東京だけじゃなくて、オンラインで地方からもつながるということで、事務局としてはそのマッチングを行ったり、それから意見交換会というのを毎月やっていまして、その中でもICTをいかに使うか。例えばオンラインに限らず、ビデオレターで交流するとか、そういったところの優良事例も共有しながら、海外交流、余りハードルを高くせずにやっていくということを考えております。
 それから、評価の軸としては、これはユネスコスクールのメンバーシップの認定解除ですので、メンバーズガイドの中の求められることというのを中心に、軸というのは、先ほど鈴木委員にも御説明しましたような観点、そういったホールスクールでやっているとか、それから、ユネスコの特に重視している分野、地域、それから国際デー、そういったところの項目を軸にして、ESDも含めて行っております。
 それから、おっしゃるとおり、PTAとか、保護者との関わり、そういったところは優良事例を共有しながら、各学校が取り組んでもらえるようにしたいと考えています。
 それから、山口委員からの御指摘とも関連するんですが、こういった日本の取組をユネスコスクールの担当の本部、それからアジアの地域へのフィードバック、発信、これは、先ほど申しました意見交換会、プラス、ユネスコスクールの全国大会にもそういった発信の機会を得る、そして、その中でオンラインをいかにうまく使うか、それから、ユネスコ未来共創プラットフォームもありますので、今回は全国大会とユネスコウィークという会合で、国内外の方にユネスコスクールのことをもっと知っていただこうというような取組を、この12月のESD-Netグローバル会合に合わせて、それと連動させて行っていきたいというふうに考えております。
 以上です。
【吉田委員長】  どうもありがとうございました。大変活発な御意見、拾い切れなかった部分、大安部長から御返事を必ずしもいただかなかった部分につきましても、非常に示唆に富んだ御意見がたくさん出てきたかと思います。
 また、ほかにも御意見ある方、いらっしゃるかと思いますので、メール等で事務局にお寄せいただければと思います。どうもありがとうございました。
 
<議題3.第42回ユネスコ総会に向けた答申案(教育分野)について>
【吉田委員長】  続きまして、議題の3に移らせていただきたいと思います。「第42回ユネスコ総会に向けた答申案(教育分野)」についてです。本議題は、本年11月にユネスコの最高意思決定機関であるユネスコ総会が開催される予定のところ、文部科学大臣からの諮問に基づき、日本ユネスコ国内委員会において検討するものです。
 それでは、事務局から御説明をお願いします。
【本村国際戦略企画官】  国際戦略企画官の本村と申します。よろしくお願いします。
 時間がちょっと押しておりますので、できるだけ簡潔に説明させていただければと思います。
 まず、資料の6-1を御覧ください。令和5年8月18日付で、永岡文部科学大臣から、濱口日本ユネスコ国内委員会会長宛に出された諮問でございます。これは、ユネスコ活動に関する法律に基づきまして、今回、第42回のユネスコ総会における2024年・25年の事業・予算案に関する方針についての質問となります。
 次の資料6-2を御覧ください。こちらが、濱口会長から永岡文部科学大臣に宛てました答申案、事務局が作成しました案になります。まず、総論のところですけれども、1)として、本年7月10日に米国がユネスコに再加盟して以降、初めて開催される総会であると。今後、2か年の方向性を示す予算案が議論される重要な意思決定の機会となります。
 次の2ページを御覧ください。少し飛ばしまして、6)ユネスコの事業実施に当たりまして、「持続可能な開発のための教育(ESD)」の推進ですとか、日本がこれまで主導してきた取組を含めて、その知見を生かした国際貢献を行うとしております。
 また、8)ですけれども、限られた予算の中でユネスコ事業を効果的に推進するため、各国のユネスコクラブ・協会、NGO、学校・教育機関等の協力を一層強化していくよう求めるとしております。
 2ポツの3ページの教育分野、特に先生方には、こちらについて御意見をいただければと思いますけれども、教育分野の1)としまして、国連教育変革サミットの成果等を踏まえたSDG4の推進ということで、新型コロナウイルス感染症拡大により、既に進捗が遅れていたSDG4の達成が更に遠のいていると。ユネスコが更なるリーダーシップを発揮し、SDG4を強力に推進していくよう求めるとしております。
 また、先ほど山口先生からも言及がありました、2022年9月に開催した国連教育変革サミットにおきまして、持続可能な開発のための教育、ESDに基づき、気候変動に関する教育を推進するグリーニング教育パートナーシップ及び質の高いデジタル教育コンテンツへのアクセスのためのデジタルラーニングゲートウェイ等について、ユネスコが主導的に推進し、2024年9月に国連で開催される未来サミットの議論においても、積極的に貢献するよう求めるとしております。
 続いて、2)でございますけれども、こちらが持続可能な開発のための教育、ESDの推進となっております。2020年から開始した新たな国際枠組みであります、持続可能な開発のための教育:ESD for 2030の国連決議ですとか、先述しました国連教育変革サミットにおいても、ESDはSDG4のみならず、SDGsの17の全ての目標実現の鍵であるということが再確認されており、このESDの考え方を一層広く普及していくことを求めるとしております。
 少し下っていただいて、今御議論いただきましたけれども、ユネスコスクールを引き続きESDの推進拠点とし、ユネスコスクール以外の学校でもESDの実践が図られていくよう推進していくと。日本においても「定期レビュー」プロセスを導入し、新たな審査方法での加盟審査の実施による質の担保を進めており、ユネスコに対しても適時の加盟認定等、適切な対応を求めるとしております。
 以下、多分野、自然科学、人文・社会科学分野、文化分野、情報コミュニケーション分野とございますけども、こちらは、今回、省略させていただきます。
 以上でございます。
【吉田委員長】  ありがとうございます。では、ただいまの事務局からの御説明を受けまして、答申案について御不明な点、更に付け加えるべき点につきまして、御意見、御質問等いただければと思います。
 挙手ボタンを押していただきますよう、お願いいたします。
【原国際統括官補佐】  中澤委員、お願いいたします。
【中澤委員】  2の教育分野についてです。気候変動に関する教育の推進が記載されていますが、一方で、日本は二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電を今後も推進していくと言っています。そのため、気候変動に関わる授業実践が難しいという声が聞かれます。
【原国際統括官補佐】  続きまして、伊藤委員、それから細田委員の順番に手が挙がっております。
 伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  私は、先端技術の部分の5ページの2)の先端技術に関して、積極的に取り入れていく、AIなども今後の教育には入ってくると思うんですけれども、それと同時に、やはり情報リテラシーだとか、それから、むやみやたらにネット上で人権侵害をしてくるようなことは、世界共通の課題にもなっているので、そういう教育というものも必要になってくるのではないかなと思うんです。
 そこと併記するような形で入れられた方がいいのかなと、個人的には思ったんですけれども、いかがでしょうか。
 以上です。
【原国際統括官補佐】  それでは、細田委員、お願いいたします。
【細田委員】  よろしくお願いします。ちょっと先ほどから、どこで申し上げていいかなと思って少し悩んでいたところなんですけれども、ちょうどこの4ページのところの2)のところで、ちょうどパラグラフ4ぐらいのところにあるんですけれども、ユネスコスクールを引き続きESDの推進拠点とし、ユネスコスクール以外の学校でもESDの実践が図られるよう推進していくというところで、実は私、この6月までさいたま市の教育長を拝命しておりました。
 さいたま市教育委員会といたしましては、自治体全体でESDの教育活動、大変重要なものとして168校全校が大変熱心に取り組んできて、その様々な活動が自治体全体でESD、SDGsフォーラムとか、今年については様々な全ての学校での取組の成果を、みんなで持ち寄ってアワードを決めるとか、あと模擬国連で、日本政府代表部にいらっしゃる尾池大使の基調講演を伺ったりとか、そんな様々な取組をしているところです。
 是非自治体レベルで活動しているところ、自治体レベルの活動についても言及していただけるような部分があれば、大変ありがたいなというふうに思っているところです。
 ちょっと、どこでお話をしていいか分からなかったので、ここでお話をさせていただきました。ありがとうございます。
【吉田委員長】  ありがとうございます。3委員からの御意見、御質問について、事務局からお願いします。
【本村国際戦略企画官】  では、私から回答させていただきます。まず最初の中澤委員からの気候変動に関する教育に、日本で使われている石炭火力の部分が現実としてあって、学校現場としてはやりにくいというお話です。これは、日本政府全体の問題になりますので、国内委員会事務局のみで即答できる話ではないですけれども、現場でそういう問題意識があるということは、留意させていただきたいと思います。
 それから、2番目の伊藤委員からいただいた御指摘、大変貴重だと思います。こちらは、どちらかといいますと、今回、今度のユネスコ総会における日本政府の対処方針案になりますので、どちらかというと、今の先生の御指摘は、この後議論いただきます、ユネスコ国内委員会のユネスコ活動の推進についての部分の中に盛り込めるのではないかなと思っております。
 対処方針、今のお話ですと、盛り込むとしては教育の中でございますけども、この中にちょっと入れられるかどうか検討をさせていただきます。ありがとうございます。
 3番目の細田委員からの御意見ですけれども、さいたま市では自治体を挙げてESDに取り組んでこられたということで、我々としても大変心強く感じたところです。本当にありがとうございます。自治体レベルの、実際、学校現場で取り組んでこられている活動、取組をどこかで盛り込めないのかという御意見だったかと思います。
 こちらも、この答申案に入れられるかどうかも含めまして、また、後ほど御説明しますユネスコ活動の提言の中にも共通する課題になってくると思いますので、盛り込めるかどうか検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【渡辺国際統括官】  1点だけいいですか。
【吉田委員長】  お願いします。
【渡辺国際統括官】  国際統括官の渡辺です。先ほどの1点のみ、補足なのですが、エネルギー源として石炭火力をというお話でした。確かに、今の日本原子力発電所は大部分が止まっている状態の中で、恐らく気候変動という世界的な、グローバルな問題と、日本国内におけるエネルギーの安定供給という話、これはものすごく大きな話で、多分石炭ということだけにとらわれてしまうと、なかなか説明がしづらいと思うのですけども、むしろ、日本が、資源がない国がどうやってエネルギーを安定的に、国際的に供給していくのか。
 そういう中で、気候変動のことをにらみながら、あるいは自然エネルギーを活用していくこともにらみながら、どうやってこの社会問題を解決していくのかというふうに、恐らくこれは、ものすごく勉強というか、教育の観点からいうと、大きな問題を議論できるような、むしろ良い素材ではないかと思うのです。
 今、政府も一生懸命いろんな取組をしている一方で、なかなかこの問題というのは一筋縄ではいかないので、むしろ一方的に教えるというよりは、生徒も一緒になって議論、考えていただくような大きなテーマとして、うまく教材として提供できないかなということを考えています。以上、補足でした。
【吉田委員長】  ありがとうございました。
【原国際統括官補佐】  もう一つ議題がございますところ、今、萱島委員、山口委員、田中委員から、お手が挙がっております。
【吉田委員長】  ごく手短に伺って、先に進めさせていただきたいと思います。基本的に御意見をいただいて、この答申案が改善する方向に向かえばありがたいと思っておりますので、その趣旨の御発言に限ってお願いできればと思います。お願いします。
【原国際統括官補佐】  萱島委員、お願いいたします。
【萱島委員】  すみません、ありがとうございます。大変しっかりした答申案をまとめていただいてありがとうございます。
 私からは1点だけです。教育の分野については、SDG4の推進と、ESDの重点化ということが挙げられています。一つ目のSDG4の推進についてなんですけども、日本も第4位のODA拠出国として、教育分野では今までも様々な協力を行ってきておりますので、今年新しく採択されました開発協力大綱においても、教育というのが日本のODAの重点分野の一つとして掲げられておりますので、そういったODAを通じて、日本も教育分野を非常に重点的に支援しているというところを若干入れていただいて、また、そういった場合での援助とユネスコに対する拠出や、ユネスコで行われている教育への取組とを連携させていくという視点、観点を少し入れていただいても良いのかなと思いました。
 よろしくお願いします。
【原国際統括官補佐】  山口委員、お願いします。
【山口委員】  ありがとうございます。私も1点だけ、教育分野へのインプットなんですけれども、国連教育変革サミットがあり、SDGsサミットがあり、それで先ほど言及されていらしたSummit of the Future(未来サミット)がありますので、そのSummit of the Futureにもつなげていくような書きぶりにするのがよろしいのかなと思います。
 と申しますのも、この国連教育変革サミットにおいても、ユネスコのフラッグシップであった教育の未来、Futures of Educationのパブリケーションと、その中のコンテンツが大変話題になっておりました。教育の未来に関しましては、日本からもエキスパートが国際委員として出ていたと記憶しておりますので、是非ここは、日本からのインプットということで、教育の未来のパブリケーションにも言及して、Summit of the Futureまで、日本は促進していくというような書きぶりにするのがよろしいのかなと思いました。
 以上です。
【原国際統括官補佐】  田中委員、お願いします。
【田中委員】  ありがとうございます。私も1点だけ、総論の部分で、7)のところ、ユースについての言及があります。若者という表現が入っています。若者についての定義が注釈で最下部に入っていますが、この7)のパラグラフの若者の最後の行から2番目、若者が、働く世代や退職後のシニア層と協働する活動の充実を図るという一文があります。若者自身も働いている世代が多く交ざっているという定義の中で、じゃあ、ここで言う若者とはどういったものなのかというところが少し曖昧なように感じます。
 若者という表現で一くくりにしていいのか、あるいはユネスコの活動の中で言及するユースについては、より明確な定義というか、イメージみたいな、こういったユースを対象としているというような部分があれば、より具体の記載が必要なんじゃないかなというふうに思いました。
 以上です。
【吉田委員長】  どうも皆様、ありがとうございました。答申案につきましては、本日の御議論を踏まえて、事務局と調整の上、加筆・修正していきます。文言につきましては、私、委員長に一任いただいてもよろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【吉田委員長】  どうもありがとうございます。本日の御議論を踏まえて修正された答申案につきましては、9月21日の日本ユネスコ国内委員会の総会でも議論される予定となっております。
 
<議題4.国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について(骨子案)>
【吉田委員長】  続きまして、議題4「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について(骨子案)」に移ります。
 事務局から御報告、御説明をお願いします。
【本村国際戦略企画官】  続きまして、資料7について御説明いたします。こちらは、これまで、日本ユネスコ国内委員会の委員会におきまして議論してまいりましたけれども、その議論を踏まえて、濱口会長と事務局の方で最終の打合せを行いまして、まとめた骨子案になります。
 この骨子案、そもそも誰に向けたものなのかというところですけれども、基本的には国内でユネスコ活動に関わっておられる方々、また、今まであまり関心がなくて関わっていなかった方々に対しても、今後是非関わっていただきたいということで、そういう方々を巻き込むためのメッセージ、提言という形で、今後まとめていきたいというふうに考えております。
 その前提の下で御説明いたします。1ポツの直近の国際情勢の変化及びユネスコの普遍的な使命というところです。まず、直近の様々な国際情勢の変化につきまして、例えばロシアのウクライナ侵略ですとか、グローバルサウスの台頭等に伴い、国際的な合意形成が更に複雑化していることですとか、紛争、貧困、気候変動等への対応や、世界経済の安定等、地球規模の課題に対する加盟国間の連携の必要性の増大、デジタル化の進展による情報の偏在と即時的な流通、普及等の大きな変化があるというふうに記載しております。
 また、この一方で、ユネスコの普遍的な使命は、このような国際情勢の変化にかかわらず、創設以来ずっと普遍のものであるということで書かせていただいております。教育、科学及び文化を通じて、諸国民の間の協力を促進することにより、平和及び安全に貢献すること、これはユネスコ憲章にうたわれているところでございます。
 次のページですけれども、人間の尊厳、幸福の尊重もユネスコの使命として掲げられております。このような前提に基づいて、2ポツ、ユネスコにおける日本のリーダーシップの発揮ということで、例えばユネスコにおける規範設定に関する議論の主導ですとか、ユネスコに対する、例えば若手研究者の参画を含む人的貢献、あるいはユースの積極的な関与、派遣等を通じた人的貢献の強化、また日本のプレゼンスの向上を図ると記載しております。
 また、ユネスコの事業に対する日本の戦略的、かつ積極的な関与、これは日本から、これまでも任意拠出金、JFITを出してきておりますけれども、単に拠出金を出すだけではなくて、これを戦略的にいかにユネスコに活用してもらうかという視点が大事だという趣旨で、書かせていただいております。
 また、その下の3ポツですけれども、国内活動における留意点といたしまして、ユネスコ活動のネットワークの更なる活性化、登録・加盟のみを目的とするのではなく、その後の取組強化の重視と。この登録・加盟のところですけれども、次のページの上の方に、今ざっとユネスコが行っております登録、あるいは加盟の事業が記載されております。
 世界遺産とか、エコパーク、ジオパーク、世界の記憶、創造都市ネットワーク、ユネスコスクール等を念頭に置いております。それらの登録・加盟のみを目的とせず、その後の取組が重要であるという趣旨で書かせていただいております。
 また、産業界及びユースを含めた、多様な主体、年代との連携強化で、次のページに戻りますけれども、ユネスコ登録事業等における関係者の役割の明確化、最後に、日本のユネスコ活動の認知度の向上、及び多様な主体との連携強化のための戦略的な広報の強化としまして、例えばESD等、日本が強みを有する分野のユネスコ活動及びユネスコ登録事業等の好事例を収集し、海外に発信、共有するということですとか、最後に書いております、ユースを含めた多様な年代間での連携強化を促進するための広報の充実ということを、伝えさせていただいております。
 今後、この骨子案を委員の方々から、また総会でも御意見をいただいた上で、今年度、次回の国内委員会総会までに文章化をして、冒頭申し上げたような提言のような形でまとめさせていただきたいというふうに、事務局としては考えております。
 私からは以上でございます。
【吉田委員長】  ありがとうございます。では、ただいまの事務局からの御説明について御意見、御質問等ある方、挙手をお願いします。
【原国際統括官補佐】  田代委員、竹村委員の順番でお願いします。
 田代委員、お願いいたします。
【田代委員】  田代でございます。御説明ありがとうございました。業界としては、いつも報告書等を読ませていただいて、非常にすばらしい活動をしていらっしゃるなと思っております。
 それで、今の御説明の中で、特に日本のプレゼンスというところと、最後の活動の認知度のところで、広報活動を通してというコメントが、やり方として広報活動というのが多かったと思います。ユネスコスクールのところでも御発言がありましたけども、やはり連携とか、どこかと一緒に共同でやるとか、そういう取組も広報活動に入るのかもしれないんですけども、もう少し、例えば私ども企業の中でも、非常に興味を持っている人間もいると思いますので、そういったところとの連携。
 あとは、国際業務の中では、広報もそうだと思うんですけど、ほかの国のユネスコに取り組んでいる方と一緒に何かするとか。私が知らないだけで、既にやっていらっしゃるのかもしれないんですけども、様々なやり方があるのかなと思って、やっていらっしゃいますかという質問も含めて、発言させていただきました。ありがとうございます。
【原国際統括官補佐】  竹村委員、お願いいたします。
【竹村委員】  ありがとうございます。骨子案の方、非常に勉強になります。ありがとうございます。
 1点、気になったのが、米国はAI等に関する国際的な規範設定への参画を重視し、再加盟という記述がありました。AIの国際的な規範設定というのはすごく重要なテーマだと思うんですが、割と今のところ、米国であるとか、英国であるとか、欧米がAIのアルゴリズムといったところの研究とか、開発で先行されている部分が多いなと感じる中で、人権であるとかということを考えた場合に、世界にたくさんの国がある中、この国際的な規範設定というのは物すごく重要なテーマだなあと思います。
 逆に、日本は先進国ですが、AIのそういったところでは少し遅れをとっているという部分もあるので、半ば中立的な立場でリーダーシップを発揮できる部分もあるのではないかなというふうに思いまして、ユネスコ活動の中で日本のリーダーシップを発揮する一つの分野として、是非御検討いただけるとありがたいなと思いましたので、発言させていただきました。
【原国際統括官補佐】  大濱委員も手が挙がっておりますので、大濱委員、お願いします。
【大濱委員】  何度もすみません。ユネスコ活動をしている人たちへのメッセージという意味もあるというふうに説明されたので、私はこの文の中のどこに入れたらいいか分からないのですが、学び合う姿勢というか、学び合う場づくりのような視点を盛り込めないかなというふうな意見を持ちました。
 私たちが学校と協働学習を作るときも、先生方とお互いに考えを尊重し合って、そこから学び合おうとする姿勢があって、初めて信頼のネットワークが作られて、ESDが前に進んでいっていると思いますので、ローカルであれ、世界的なことであれ、学び合うという、そういう姿を見せていけたらいいかなと思って、ちょっと漠然な意見で申し訳ないんですけれども、発言させていただきました。
 以上です。
【原国際統括官補佐】  細田委員も手が挙がっております。細田委員、お願いします。
【細田委員】  ありがとうございます。国際情勢を踏まえたユネスコの活動、ユネスコの普遍的な使命を考えたときに、分断と、それから国際平和が揺るがされているようなこの現状を見ますと、私たちは、やはり子どもたちがどんな未来を志すかということが大変重要だというふうに常々思っているところです。
 となりますと、やはり、そこから転じて国内のことをもっと足元のことをからしますと、このユネスコの普遍的な使命について、学校教育の中でどこまで本気で考えていけるかということは、足元としてとても大切だというふうに思います。
 そうやって考えますと、どうしてもユネスコのこの取組について、じゃあ、学校が、もっと言えば教育委員会のトップである教育長がどこまで理解をしているかという辺りのところが、甚だ不安な気持ちが湧いてきます。ですので、是非、この骨子案についてどうこうではありませんけれども、どこかでそういった足元の学校教育全体に向かって、何か強いメッセージをユネスコ国内委員から出せるような、そんな手段がないのかなというのをつくづく思っておるところでございます。
 ここで申し上げることかどうか分かりませんけれども、取りあえず申し上げます。よろしくお願いします。
【原国際統括官補佐】  鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】  最後のページのところに、国内向けのことで、日本のユネスコ活動の認知度、及び連携強化というところの部分ですが、実はOECDの先進国でも、日本の中はいわゆる相対的貧困というのが今すごく課題になっています。そういうところを、もう一つ、何か産業界と多様な主体との連携を強化するというのがあるんですが、学校教育、ユネスコスクールの中にも相対的貧困の立場の子どもがいると思いますので、こういうところをもう少し前に出していただけたらありがたいかなというふうに考えている次第です。
 どうもありがとうございました。以上です。
【原国際統括官補佐】  今、委員の手は挙がっていないようです。
【吉田委員長】  よろしいですか。ありがとうございました。
 前半のユネスコスクールの定期レビューのところもそうでしたけれども、連携、協働、学び合い、交流、そういう、この本日の議論に通じて、共通しているところは、もう少しその実践の部分での支援の方策、体制づくり、そういったところにも踏み込んだ議論をここでして、それが実際に行われていくような方向づけに向かっていけば、そういうような御意見、たくさんいただいたと思います。どうもありがとうございました。
 この議題の御意見につきましては、今後、運営小委員会、国内委員会総会にも報告させていただきます。
 
<議題5.その他>
【吉田委員長】  議題5に移ります。議題5「その他」として、事務局から何かございますでしょうか。
【岩村係長】  事務局より御説明します。今後のスケジュールでございますけれども、9月21日の15時から、ユネスコ国内委員会の総会がございます。
 以上でございます。
【吉田委員長】  ありがとうございました。
 その他、御意見、御質問等ございましたら、挙手をお願いします。よろしいでしょうか。
 最後に、本年11月末で任期が満了する委員につきましては、引き続いて1年間、日本ユネスコ国内委員会の特別委員として、総会及び小委員会に参加する予定となっております。私事ですが、委員長としての出席が今回で最後となりますことから、この場をお借りして、手短に一言だけ御挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。
 ちょっと振り返って、2014年にEFA(Education for All:万人のための教育)のステアリング・コミッティー、アジア・太平洋地域代表委員として、そして共同議長としてSDG4の策定に関わって以来、ユネスコとの長いお付き合いが始まりました。そして、その後、この日本ユネスコ国内委員会も2期務めさせていただきまして、特に国内のユネスコ活動の裾野の広さ、そのすばらしさを皆様の意見交換を通じて、非常に多くのことを学ばせていただきました。特にESDに対する思いは個人的にも非常に強いものがございます。ただ、ただ学ぶことばかりで、本当に充実した期間だったと思います。
 今年の2月、教育小委員会の委員長に選出いただいてからは、全く各委員の皆様、事務局の皆様のお世話になりっ放しで、本当に心からお礼申し上げる次第です。どうもありがとうございました。こういうコロナ禍が収束に向かって、今後、対面での議論もできていくことになると思います。そういう良い方向に動く一方で、ロシアによるウクライナ侵攻、東アジア地域の緊張感の高まりですとか、不安要素があります。こういったものは、教育の活動にも少なからず影響してくるものと思います。
 教育、科学、文化を通じて平和で持続可能な社会を作っていくことの大切さを、ますます痛感している次第です。是非今後もユネスコ活動が国内で一層盛んに行われることを願ってやみません。
 本当にこれまでどうもありがとうございました。
 

―― 了 ――

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