日本ユネスコ国内委員会 第142回教育小委員会 議事録

1. 日時

令和2年8月21日(金曜日)13時00分~15時00分

2. 場所

オンライン開催

3. 出席者

(委員)
秋永委員、漆委員、翁委員、加治佐委員、萱島委員、古賀委員、杉村委員、道傳委員、野村委員、東川委員、日比谷委員、見上委員、山口委員、吉田委員

(SDGs推進円卓会議構成員)
三輪敦子構成員

(事務局)
田口康日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)
亀岡雄日本ユネスコ国内委員会副事務総長(文部科学省文部科学戦略官)
石田善顕日本ユネスコ国内委員会事務局次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)
堀尾多香日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐(文部科学省国際統括官付国際統括官補佐)
植村正樹日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐(文部科学省国際統括官付国際統括官補佐)
その他関係官

4. 議事

【杉村委員長】   本日は、御多忙中のところ、お集まりいただきありがとうございます。
 定刻になりましたので、事務局の方から、まずは定足数の確認をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】   本日は出席の委員が14名で、委員の過半数ですので、定足数を満たしております。なお、本日は報道関係者の取材を受け付けておりまして、共同通信社の方が取材をされますので、あらかじめお知らせいたします。
 また、一般からの傍聴は御遠慮いただいておりますが、今回の議題に関係の深い機関として、外務省及び環境省、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟の方々に、オブザーバーとして傍聴いただいております。
 また、前回の教育小委員会においても報告させていただきましたが、今回より教育小委員会をSDGs推進円卓会議の分科会としての機能を有する会議体として位置づけることとしております。そのため、本日は分科会メンバーとしてSDGs推進円卓会議の構成員である三輪敦子構成員にも御出席いただいております。後ほど、御挨拶を含めて御発言をいただければと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、ただいまより、第142回教育小委員会を開催いたします。
 本日の議事を進行させていただきます、教育小委員会委員長を務めさせていただいています杉村と申します。至りませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、事務局の方から異動がありましたので、御報告をお願いしたいと思います。
【植村国際統括官補佐】   事務局の異動を御報告いたします。本年8月1日付で、田口康国際統括官/日本ユネスコ国内委員会事務総長、並びに本年7月28日付で、石田善顕国際統括官付国際戦略企画官/日本ユネスコ国内委員会事務局次長が着任しております。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、田口国際統括官から一言御挨拶を頂戴できれば幸いでございます。
【田口国際統括官】   どうもありがとうございます。
 委員の皆様におかれては御多忙のところ本日お時間を頂き、ありがとうございます。8月1日付で、大山の後任として国際統括官に着任いたしました田口でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、コロナウイルス感染予防のために、杉村委員長と山口委員におかれましては、事務局とともに本会議室で御出席いただいておりますが、その他の委員につきましてはオンラインでの参加というハイブリッド形式の開催となっております。ちょっとまだ不慣れなところがございますので、御不便をおかけすることもあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
 この世界的なコロナ禍で、特に危機的状況に陥っている教育につきまして、ユネスコは、大臣級会合を数次にわたって開催する、あるいは、関係機関との協同により学校再開ガイドラインを策定するといった形でいち早く対応して、その存在感を高めていると認識してございます。
 今後、ポストコロナにおける教育の在り方も含めた、教育の未来に向けた活動がますます活発になり、我が国としても、積極的な貢献が求められると思います。同時に、ESDにおける我が国のイニシアチブをより確かなものとし、GIGAスクール構想などの我が国の教育活動の発展のためにユネスコを活用していく、これもまた重要だと考えてございます。来年、我が国はユネスコ加盟70周年の節目を迎えますが、我が国のユネスコ活動について、これまでの活動を踏まえながら、新しい世の中の動きにも合わせた、次の時代の活動へと発展させていくために尽力をする所存でございますので、委員の皆様の御指導、御鞭撻をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、前回6月に開催されました教育小委員会で、様々な事柄について多くの委員の方から貴重な御意見を頂戴してございます。その中から今回、ユネスコスクールのさらなる活性化や、ESDに関する国内の取組などについて、先日頂いた御意見も踏まえて事務局で資料を用意しておりますので、それを基に御議論を深めていただきたいと考えてございます。委員の皆様の忌憚なき御意見を頂戴できますよう、お願い申し上げます。
 最後に改めまして、委員の皆様方に、文科省及び日本ユネスコ国内委員会の活動に対して、一層の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
【杉村委員長】   田口国際統括官、御挨拶どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の会議の配付資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】   本日、議題1から4でございますが、そのうち議題1に関しましては資料1-1から1-2、議題2に関しては資料2-1から2-2、議題3に関しては資料3-1から3-3を用意しております。
 また、附属資料として1から6、及び参考として1から5をそれぞれ用意しております。以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。

<議題1.第209回ユネスコ執行委員会(教育分野)の結果等について(報告)>
【杉村委員長】   それでは、議題に移らせていただきます。まず議題1、第209回ユネスコ執行委員会、教育分野の結果等につきまして、まずは事務局から御報告をお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】   よろしくお願いします。事務局の石田でございます。先ほど御紹介いただきましたけれども、7月28日付で着任しております。至らないところがあるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは資料1-1を御覧いただければと思います。まず、第209回ユネスコ執行委員会の結果についての報告でございます。
 開催概要にございますように、6月29日から7月10日、ユネスコ本部で行われました。ユネスコ執行委員会の概要についてはそこにありますとおりでございます。総会に次ぐユネスコの意思決定機関でありまして、春と秋の原則2回行われます。一番下にございますように、パリのユネスコ日本政府代表部の尾池大使が、行財政委員会の議長を務めるというような役割も果たしているものでございます。
 次に概要でございますけれども、教育についての関係議題、幾つもございますので、少しピックアップして御紹介させていただきますけれども、まず全体として、コロナ禍の状況を踏まえて、多くの国から、教育の重要性が改めて言及されたということがございます。
 その中で、議題5.I.A、教育の未来ということでございますけれども、この議題におきましては、教育の未来のイニシアチブに関して、最近のその議論の状況についての御報告が行われております。例えば昨年9月に、国連本部でキックオフイベントがあったりとか、あるいは1月に国際委員会が立ち上げられたと、こういった紹介がなされた上で、教育の未来の内容については加盟国としっかり協議を行うというような、過去の決議を指摘しながら、決議案が採択されたところでございます。
 それから、議題の6でございますけれども、SDG4グローバルレベル・地域レベルの調整及び支援の進捗状況という議題がございましたけれども、これについても取組の状況報告がなされて、例えば、事務局が実施するイニシアチブの報告書を求めるという旨や、あるいは南南協力の重要性について追記するべきだと、こういった議論がなされた上、決議案が採択されております。
 あと、2ページ目に行っていただきまして、議題の12でございますけれども、IBEの未来がございます。これは、多くの議論がなされたと伺っておりますけれども、IBEと申しますのは、スイスのジュネーブに設置されておりますカテゴリー1センターでございまして、各国の教育のカリキュラムに関するカテゴリー1センターでございます。
 議題になりましたのは、このIBEの再編成についてということでございまして、IBEのマンデートについての採択がなされました。議論がなされたといいますのは、中国がこのIBE、今ジュネーブにございますけれども、これを中国に誘致したいというような話があり、そこについての議論があったということでございますけれども、これについては議論が継続となり、2021年に開催される次の総会での採択をもって正式決定されるということでございました。
 以上、簡単ではございますけれども、執行委員会の結果についてでございます。
引き続きまして、資料1-2の方に移らせていただきまして、ユネスコにおける教育分野の取組についてまとめさせていただいております。
 SDG4の実現に向けた取組と、それからESD、最後に教育の未来ということで大きく3つの柱で業務がなされております。御承知のところも多かろうとは思いますけれども、改めて御紹介をさせていただければと思います。
 まずSDG4の実現に向けた取組ということで、まず枠組みとして、ユネスコといいますのは、SDGsゴール4の国連システムの主導機関、リードエージェンシーということになっておりまして、世界的な議論を主導しております。そこで、ほかのユニセフなどの他の国際機関も含めて、ステアリング・コミッティがユネスコの中に設置され、会合がなされており、我が国からも吉田先生が共同議長を務めていただいているという動きがまずございます。
 それから、アジア太平洋地域におきましても、文部科学省の信託基金、この拠出金の支援によりまして、アジア太平洋地域教育2030会合、APMEDと呼んでおりますものを開催しているという状況になっておりまして、こういった枠組みの中で推進がなされております。
 最近の動きといたしまして2つほど取り上げさせていただいておりますけれども、まず1つはそのSDGs推進に向けた国連加盟国間の情報共有を目的として、こういった、持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムがオンラインで開催されたということでございます。ユネスコの関係ではサイドイベントということで、ポストCOVID-19における教育というテーマで主催したというような動きがございました。
 もう一つの動きといたしましては、ステアリング・コミッティの方で議論されておりますけれども、2021年秋に公表予定の、教育の未来の国際レポートに含まれるべき提言内容、これが報告書としてまとめられて公表されておりまして、この議論に関しては、ステアリング・コミッティの下にワーキンググループが設置されておりまして、吉田先生、それから杉村委員長にも御参加をしていただいているということになっております。
 それぞれ関係する資料、大部でございますけれども資料1、資料2として、附属資料として付けておりますので、また御参照いただければと思います。
 2つ目の柱、ESDでございます。ESDについては御案内のとおりでございますけれども、ここにありますように、地球規模の諸課題を自らに関わる問題として考えて、その解決を自分で考え、行動する力を身につける、新たな価値観や行動等の変容をもたらすという教育でございます。また、持続可能な開発の観点から、統合した分野横断的な視点を持った教育でございますけれども、これは日本政府の提唱によりまして、2005年から、ユネスコを国連における主導機関として開始しております。我が国のリーダーシップによって動いているものでございます。
 この動きにつきましては、最近の動きとして日本やケニア等が中心になりまして、ESD for 2030という、2020年から2030年までの新しい計画が、ユネスコ総会で、あるいは国連総会で採択されたというところでございまして、これに関しては、来年の5月にドイツにおいて、キックオフの世界会議が予定されているという動きになっております。
 それから、ESDとSDGsの関係ということで少々書いておりますけれども、ESDはSDGsのターゲット4.7に位置づけられておりますけれども、4.7だけではなくて、持続可能な社会の創り手の育成を通じて、全てのゴールの実現に寄与するのだという位置づけがなされているということが留意すべき点でございます。
 今申し上げたのが大きな枠組みでございますけれども、最近の動きとして、これも2つほど御紹介させていただきますけれども、先ほど申し上げたように、2021年5月にベルリンで開催されますESD for2030の世界会議のキックオフ会合がありますので、それに向けてのモメンタムを維持するということで、ESDのオンラインワークショップを開催予定という動きがございます。
 それから、ユネスコのカテゴリー1センターの一つに、「マハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発研究所(MGIEP)」というものがございますけれども、このカテゴリー1センターにおいて、プログラムとして、社会・情動的教育及びデジタル教育に関する政府グループというものを立ち上げておりまして、これに文部科学省も参画しております。この動きの中で、そういった動きに関するレポートが公表されておりまして、ここに挙げられておりますホームページでも御覧いただけるような状況になっております。
 最後に、教育の未来ということでございますけれども、中長期的な教育の未来の姿を議論するということで、国連事務総長の要望を受けて、ユネスコのアズレー事務局長のリーダーシップにより立ち上げられたプログラムでございまして、先ほど少し触れましたけれども、グローバル・レポートを来年の11月に公表予定ということで準備しております。
 各国の有識者による国際委員会が設置されておりますけれども、日本からは、元文化庁長官の青柳長官が選出されておりまして、議長としては、エチオピアのサーレワーク・ゼウデ大統領が務めておられます。
 この動きにつきましては、4月に特別会合をバーチャルで開催するということが行われておりまして、地球規模で変化する状況と、それに関連した教育の在り方についての議論がなされました。共同声明、それから、個別の声明が公表されているという動きがあるとともに、国際委員会としてEducation in a post-COVID worldといったものを公表して、コロナ禍での助言となり得る9つの考え方が紹介されているということでございます。これも附属資料として付けさせていただいております。
 事務局からは以上でございます。
【杉村委員長】   石田企画官、ありがとうございました。
 ただいまの報告を受けまして、御意見、御質問ございますでしょうか。御意見、御質問あります場合、恐れ入りますがその場で手を挙げていただきますと、こちらの画面で拝見させていただき、指名させていただきます。
 古賀委員、お願いします。
【古賀委員】   コロナ禍が教育分野へ与える影響を考える際、以前よりも強調されるべき点、変化の必要性が高まっている点について、何か特徴的な議論があれば教えていただきたいと思います。
【石田国際戦略企画官】   石田でございます。今お話しいただいた件については、現地でやはりCOVID-19により、学校がクローズになるということがございますので、そういったことによる教育への影響をどう考えるかということ、特に、途上国の場合では学校に行けないということによって、労働しなければいけないということ等、一旦教育から離れてしまうとなかなか帰ってこられないということで教育の格差を生むというような大きな問題があるというような話もございます。あるいは、そういった文脈で例えば女性問題がクローズアップされるというような動きもあるということで、様々な問題があるということについてどう考えるかを科学的に御議論されているというようなことであろうと理解しております。
【杉村委員長】   石田企画官、ありがとうございます。
【杉村委員長】   吉田先生、もしよろしければ、今の御質問でステアリング・コミッティの方の様子で何か補足等おありになりましたら、付け加えていただければと思います。
【吉田委員】   今、御質問にあった、COVID-19の対応として特徴的なことは、やはり学校が閉鎖されることによって、教育の機会が閉ざされている人が非常に増えていること。そのことの危機感というのは非常に強く共有されているというのが一つあると思います。
 そして、それに対応するいろいろな方策を考える際に、既に学校に通えていない人、そしてその人たちが代替の手段としての教育の機会を得ようとする際に、これまで既に弱者だった人たちが、更に弱い立場になるというリスクが非常に高まっている。
 例えば日本の中でも、オンラインでの学習ということを試みていますけれども、同じようなことを皆さん想像しても、アフリカの奥地にある学校でしようと思ってもとてもできないわけですね。そうすると、既に様々な面で不利な立場にあるような地域、あるいは子供たち、そういう人たちがますます取り残されてしまう。こういうことをどのように、何とか最低限の犠牲にとどめるかということが、もう一つあると思います。
 それから、いずれにしても、このコロナ禍に対応する際に、これまで以上に相当の資金と知見が必要になってくる。この資金と知見の動員をどのようにするのかということで、ユネスコをはじめいろいろな方面と、国際機関と連携をして、そのような課題に対処しようとする動きが強く広がっている。この3点を御指摘したいと思います。
【杉村委員長】   吉田先生、ありがとうございました。的確にまとめていただきました。
 私の方から特に補足はないのですが、今日既に附属資料2、3に、最近出されたレポートをまとめていただいたのを付けていただいています。附属資料2は吉田先生が共同議長を務められたステアリング・コミッティから出された、Futures of Educationの国際委員会への提言書になっていて、附属資料3の方が、今度その国際委員会が出した9つのアイデアというのが盛り込まれています。教育全体について書かれたものですので、よろしければ御参照いただければと思います。ありがとうございました。
 道傳先生、お願いいたします。
【道傳委員】   今の古賀先生の御質問への補足のようなことになりますけれども、実際の学校現場で、このSDGsについての捉え直しみたいなことはどのくらいありますでしょうか。このコロナの感染拡大を通して。
 と申しますのは、どちらかというと途上国の支援であったりという視点が強かった、MDGsからSDGsになっても、なかなか我が事として、例えば教育とか格差ということを特に引き寄せて考えることというのは簡単ではなかったと思うのですけれども、このコロナによって、例えば働きがいであったり、経済成長とか健康とか、あるいは気候変動とか教育の格差というようなときは、誰一人取り残さない、インクルーシブネスということとともに、より我が事として感じることができるようになっているという、大きな災いではあるのですけれども、これが何か転機や契機になるような兆しというのは、どなたか感じていらっしゃることがあるようでしたらば御教示いただきたいと思いました。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 ただいま、道傳委員の方から、学校現場で具体的にSDGsとの兼ね合いで取組があるかという御質問が出ました。どなたか情報お持ちの方などおられましたらと思いますが、いかがでしょうか。
 その意味では、山口先生、国連大学で今回、SDGsに向けて今ちょっと動きを取ってくださってますけれど、もし言っていただいてよければと思いますが。
【山口委員】   その前に先ほどの議論に少し追加したい部分があるのですが、よろしいでしょうか。
【杉村委員長】   併せてお願いいたします。
【山口委員】   まず、吉田先生の御意見に大変賛同いたします。今年の6月に第2回のユネスコにおけるFutures of Education、教育の未来に関する第2回国際アドバイザリーの会議というのが開催されました。私は、国連大学の方を代表して、国際アドバイザリーメンバーとして入っておりますが、杉村委員長が言われたように、9つの観点からコロナ禍における教育の重要性について議論がなされました。その中で特に3点、強調されたものがあります。
 まず1点目は、あっという間にパンデミックが拡大をした中で、教員の役割の再定義、その役割の多様化が取り上げられました。それを鑑みまして、教員の再研修の重要性を強調することで、ユネスコがますます力を発揮していけるのではないかと思われます。
 2点目には、教育へのアクセスが各国又は各地域で異なる中で、やはりパブリックグッズとしての教育提供のためのインフラの整備が各国でプライオリティを持つべきだという議論が出てまいりました。それに加えて、やはり質の高いオンライン教材の開発というのが急務であるということです。その点では、SDGs17のグローバル・パートナーシップを促進する意味での、国で開発したものを各地域で共有できるような取組がなされる必要があるという点が強調されました。
 もう一つは、ジェフリー・サックス教授が大変強調していた議論ですが、吉田先生もおっしゃっていたように、教育のファイナンスの在り方において今後ますます国際協調が重要視されてくると。これは国内だけの予算案ではなくて、このコロナ禍で、オンラインや遠隔インフラを持っている企業というのが莫大な利益を手に入れているという事実にも言及されました。それをどのように社会でモビライズしていくかを考えるのが大変重要だという観点から、多様な教育のファイナンスの在り方というのが議論されました。
 9つの観点がどれも重要である中で、特に教員の役割、それから質の高いオンライン教材の共有、そして、教育のファイナンスの在り方の多様性というのが特に強調されたと感じました。
 以上です。よろしくお願いします。
【杉村委員長】   山口委員、ありがとうございました。道傳委員の先ほどの御質問、ちょっと直接もあれですけども、やはり教員の役割のあたりはとても学校教育と結びつく、一番観点になるかと思います。併せて財政と、質の高いオンライン教育の提供あたりが議論になっているのかと思います。
 ありがとうございました。ユネスコの議論が進んでいる中での論点を整理していただきました。
 もしこの最初の議題につきましてこの辺でよろしければ、次の議題に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。この後の議題とも今の論点は大変深く結びついてまいりますので。

<議題2.ユネスコスクールのさらなる活性化について(討議)>
【杉村委員長】   では引き続きまして議題2の議論に移らせていただきます。
 議題2は、ユネスコスクールのさらなる活性化についてでございます。これにつきまして、まず事務局から、その後、ユネスコスクール事務局を御担当いただいております、ユネスコ・アジア文化センターの大安部長の方から、ユネスコスクールの調査結果について御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】   国際統括官補佐をしております堀尾と申します。この議題につきまして、私の方から報告させていただきます。
 まず資料でございますが、資料2-1、資料2-2、また附属資料4、5、6を準備させていただいております。附属資料の4は、前回の教育小委員会で出したものと同じものでございます。附属資料5については、前回の委員会で、チャレンジ期間終了後のチェックシートとはどういったものがあるかというところを御質問いただいておりましたので、資料として付けさせていただいております。また附属資料6につきましては、ユネスコ本部の方が、各国のユネスコナショナルコーディネーター向けに出しておりますガイドラインに、ユネスコスクールに求められる基準とか要件、そのほかのことが記載されておりますので、それらを抜粋して参考につけさせていただいております。
 私の方からは資料2-1に基づいて説明させていただき、その後、前回少しデータ等があったほうがいいのではないかという御指摘や、どういったことがメリットにつながるかという御意見を頂いておりましたので、資料2-2でユネスコスクール事務局のACCU、ユネスコ・アジア文化センターの方で文科省委託事業として実施いただきました調査結果を付けさせていただき、これについては後ほど大安部長の方から説明を頂く予定です。
 まず資料2-1でございますが、前回の御議論を踏まえて、ユネスコスクールの状況が分かるような形で、データ等を少し付けさせていただきました。まず、ユネスコスクールの現状と課題としまして、手続が止まっている学校がどれくらいあるかというのが1ポツでございます。2018年6月にチャレンジ期間を終了して、ユネスコに申請を出そうとしているところで止まっているのが20校、その翌年の49校も止まっております。2020年3月に終わって、その前のところが止まっておりますので、少し待機中のところが32校、そして今年の9月にチャレンジ期間終了をする予定で手続を止めているのが76校、合計177校が、手続が現在、止まっているところでございます。
 その次に、2ポツでユネスコスクールの登録状況でございますが、登録数の推移につきましては、前回と同じ数字でございます。地域によるばらつきというのも前回御指摘いただきまして、少し例を挙げさせていただきますと、登録校が多い県として愛知県がトップで163校。一方で、登録が少ない県というのがそれぞれ青森、岩手、鹿児島の1校。また地域の中でも、例えば九州地域では69校、登録があるのですけれども、そのうち49校が福岡県に集中しているというような、少し地域バランスにばらつきがあるというところで、ユネスコスクールの活動を全国的に広めていくためには、こういった広がっていない県・地域をどのように強化、支援していくかということが課題になっているかと思います。
 3ポツで登録後の活動状況ということで、登録された後に、どうやって質を担保していくかとか、どうやって活動を継続していくかというところで、現在は登録している加盟校については、事務局の方に、年次報告書と、認定継続・解除意思確認というものを、これは義務的に出していただき、それに加えて、年次活動調査、これは任意で出していただいております。年次報告書について、2年連続提出のないところというのは、事務局の方からまたリマインドをして、どうしても出てこないという場合は登録解除の手続に入るというような流れになっております。
 実際に、報告書の提出状況なのですが、次のページに移りまして、平成30年度には10校が出てきてない。昨年度、平成31年度、令和元年度については44校ということで、この差については、事務局の方に確認したら、平成30年度は文科省から教育委員会の方にも提出を依頼するというような形でしていたので提出状況がよかったようなのですけれども、昨年はしなかったら、またちょっと未提出の学校が増えたということになっております。
 また、近年の登録解除希望校というのも調べたところ、平成30年度が18校、31年度が12校、継続希望の有無については、これ以上活動は無理だということで登録解除の申出があったところがございます。その理由としまして大きく分けて4つに分類したのですけれども、その中で特に気になるのが、活動の継続が困難になったという理由を挙げているところが少し具体例を挙げて、下に挙げております。
 その中で見ていきますと、環境の活動ができなくなったので、ユネスコスクールの活動が困難になったと。要はESDの活動は環境じゃないと駄目だと、少し誤解をされているような感じも受けるところとか、保護者や企業の連携が十分に図れず、思うような活動ができないというところとか、あと、最近のユネスコからのリクエストが、以前よりも少し新たな取組を取り組まなければいけない業務が増えてきたので、教員の負担が増えるということで、ちょっと活動が困難になったというような理由が挙げられております。
 こういったところの活動が困難と感じている学校に対して、これらは既にもうやめたいと、登録を申し出てきているのですけれども、活動を継続している学校の中にも同様の課題を感じているところがあるかと思いますので、今後、こういった困難と感じている要件に対して、どのようなサポートが考えられるかというところを検討していく必要があると思っております。
 次のページ、7ページに行きまして、今後の方向性というのを、先日の教育小委員会で委員の皆様から頂いた御意見を基に、大きく4つ挙げさせていただき、今回も御意見を伺いながら更に詳細を詰めていきたいと思っております。
 まず1つは、現状の質と量を踏まえた期待される役割ということで、前回委員の方からESDやユネスコスクールを取り巻く環境というのがこれまで変わってきている中で、少しどういうふうにきちんと捉える必要があるかということを御指摘いただきましたので、どのような変化があったかというところを整理させていただきました。
 その中で、ESDの活動についても、最初の国連ESDの10年から始まって、現在はESD for 2030という形で発展してきておりますし、国内においても、ユネスコスクールの活動拠点として、国内委員会の提言を受けて、平成19年の24校から、現在では1,120校に増加してきている。この中で、質の向上としての取組で、ユネスコスクール全国大会の開催とか、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet) のコンソーシアムの構築などの支援体制がつくられてきております。また、新学習指導要領や第3期教育振興基本計画に、ESDの目的である、持続可能な社会の創り手の育成というところが入ったのも、大きな変化かと思います。
 こういった中で、今後ユネスコスクールに求められる役割というところをどのように設定していくかというところで、考えられるものとしては、基本的な考え方はユネスコスクールに求められることに加えて、ESDの実践のモデル校とか、ネットワーク活動による点から面への広がりというのが期待されるのではないか。あとは、ユネスコスクールという国際的なネットワークを通じて、国際的な視野の醸成が期待されるのではないかというところが考えられますが、こちらについても御意見をいただければと思っております。
 また2ポツとして、ユネスコスクールの活性化の仕組みの検討というところで、まず初めに様々なアプローチで、ユネスコスクールの理念の実現、ESDの推進が図られる制度というのがどういったことがあるかというところで、現在は国際登録のみになっているのですけれども、例えば韓国やドイツなどは国内登録というのも作っておりまして、そういったことで活動の質の維持とか、向上とか、あとバリエーションを持つような仕組みが作られているというのも一つ、今後、導入の検討になるのではないかと。また国際登録の手続の遅れによる加盟校のインセンティブというのをどうやって下げないように、維持していくかというところが少しあります。前回も御指摘いただきましたが、基準をどういうふうに明確化していくかというところで、先ほどの継続が困難になった理由の中でも、少し基準について誤解をしているようなところも感じられますので、そこのところの基準の具体化と、その理解促進を図っていく必要があるのではないかと考えております。
 次に、あとは支援と審査の役割分担をどのように構築していくかというところで、現在はASPUnivNetという大学間支援ネットワークの方で、支援と審査をしていただいているのですけれども、ここのところを支援と審査の担当機関を分けたほうがいいのではないかという意見も出てきておりますので、その場合、どういった体制を組むかと、審査をどこが担当するのかというところを検討していく必要がございます。
 また、メンバーシップ期間というのが、これも前回指摘をいただきましたけれども、現在ユネスコの方の設定では3年から5年というのがメンバーシップ期間で、活動がきちんとされていれば、更新をしていってもよいというところになっておりますので、なのでそこを3年から5年の間で、どういうふうに、何年に設定していくか。その際に、その更新の評価をどうしていくかというところの仕組みを作っていく必要があると。
 また、加盟校の活動の発展や継続をしていくために、直面している課題の支援の仕組みをどう作っていくかというところを、今後詰めていきたいと思っております。
 関係機関の役割の整理というところでは、今、ユネスコスクール関係ではこの国内委員会とナショナルコーディネーター、そしてユネスコスクール事務局のACCU、また大学間支援ネットワークASPUnivNet等がございますが、そこの役割を少し整理していきながら、より有効な支援体制を活用し、作っていく。そのほか、ユネスコ活動やESD活動支援として、ユネスコ協会や、未来共創プラットフォーム、ESD活動支援センターなどがございますので、こういったところを有機的にどうつなげていくかを整理していきたいと思っております。
 こういった制度を少し作っていくに当たって、移行措置として、現在、冒頭述べましたとおり177校の申請が止まっておりますので、その学校の関心と意欲が下がらないように留意しながら、この制度改正を進めていく必要があるというところがございます。
これらについて、本日、委員の皆様から少し御意見をいただいて、今後ユネスコスクール事務局やユネスコスクールの関係者と、もう少し詳細について詰めていきたいと思っております。よろしくお願いいたしします。
【杉村委員長】   堀尾補佐、ありがとうございました。
 それでは続きまして、ユネスコ・アジア文化センターの大安部長から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大安部長】   ユネスコ・アジア文化センターの大安と申します。よろしくお願いします。
 初めに、この調査の背景を申しますと、この調査は、当初は文科省の方で行われていまして、2015年からACCUがユネスコスクールの事務局として委託事業の中で行っております。昨年の調査は昨年の12月から1月にかけて、2019年度の活動についてウェブサイトを通して実施されました。
 この調査の前に、事前に文科省とACCUがワーキンググループを開いて、調査内容を作成しました。そこには、大学関係者とか、ESD学会からの研究者、専門家、更には学校教員の方々にも入っていただいて、調査の内容を作成しました。それで調査の結果、これは9ページ、10ページの調査結果の概要に沿って御説明したいと思います。詳細は、その後の横長のページにあるので、詳細についてはそちらを見てください。それと、概要とその調査の長いほうは、必ずしもその流れが一緒ではないので、ちょっと構成が違っておりますが、まずその概要の主な成果のところから説明したいと思います。
 マル1のところで、どれだけSDGs、特にESDに関連する目標4ターゲット4.7が知られているかというところで、8割以上の教員が知っていて、9割近くがその各目標に何らかの形で関わっているということで、認知度はかなり高いと言えます。
 マル2のところで、17の目標はどういった活動をやっているかというと、これは目標の11、やはり身の回りの生活圏、都市のテーマ、それに続いて保健、教育、平和、こういう形でSDGsの目標を取り入れていると。
 続きまして、3番、4番が、児童生徒の変化。まず3番の方は、新学習指導要領で育みたい資質・能力の三つの柱の中から、どれが変化が大きかったですかということで、学びに向かう力、人間性が高いという回答が得られました。4番目の方は、国研の方で、持続可能な社会づくりの構成概念ということで6つの視点、この中では、相互性、多様性、連続性が高いという結果が得られました。
 5番目と6番目は、教員と学校運営のことについてなんですけれども、5番目のところ、カリキュラムと教授法にどういう変化があったか。これは1つ目のポツで、カリキュラムマネジメントを教科横断的にやっているというところと、次のページに行きますと、そういった価値観を授業に入れられるようになった。それで授業を工夫するようになった。学校運営では、地域との交流が増えた。それから、学校全体で取り組むということで、それが継続的に行われるようになったというような成果が報告されています。
次に2番目に、調査結果から見る課題ですね。これが3つ挙げてみますと、まず1つはICTの環境が十分でないと。これはコロナの状況でも、一般的にも言われていますが、ユネスコスクールでもこういうことが調査で分かりました。
 それから、そういう環境が不十分、それから語学ということもあって、国内外の交流があまり行われてないというようなところで減少したというのがありますが、これはきちんと原因を調べているという状況じゃないのですけども、恐らく、その教員の方が異動されたりとか、そういうところで継続されてないところがあるのではないかと考えております。
 3番目に、発信が十分に行われてないというところが課題として挙げられています。
 調査の概要はこういうところですが、ユネスコスクール事務局として、私は、4年前に日本に帰国するまで約20年間、ユネスコのバンコクとダッカ事務所で仕事をしておりました。ユネスコスクールは直接の担当ではなくて、2年前にこのACCUの事務局でユネスコスクールに関わるようになりました。
 そこから見えてきたこととして、ESDという、どちらかといえば理念的な、抽象的なところを実際の学校のカリキュラムマネジメントとか学校運営に生かしているということは、割と先進的であり、日本からの好事例としてどんどん発信していける可能性が大きいというふうに考えます。一方で、地元でESDをやっていれば、特に環境関係をやっていればユネスコスクールであるというふうな理解もまだまだあるので、国際交流、国内外の交流をもっと進めていく必要があるのではないかと。実際にそのICTの環境が整ってない、それから語学の壁があるという調査結果もありますので、最近そのユネスコの本部が、コロナの状況でオンラインの交流会とか、そういうのを設けていますので、そういったところにどんどん参加して交流をしていく必要があるのではないかと考えております。以上です。
【杉村委員長】   大安部長、ありがとうございました。とても長い御経験に基づいて、また調査結果に基づいて御報告いただきました。ありがとうございます。
 それでは、ただいまのユネスコスクールの活性化について、ぜひ委員の先生方からいろんな御意見をいただければと思います。御意見、御質問あります方、どうぞ挙手をお願いできればと思います。見上先生、お願いします。
【見上委員】   失礼いたします。御指名ありがとうございます。
 まず初めに、ユネスコスクールの数の問題について、皆さんと意見交換したほうがいいかなと思って発言させていただきました。
 当初は50校でもいいからということで、一生懸命皆さん努力されたわけですが、結果として、今、幸いなことに1,100を超えました。それで、この先一体どこまで増やすんだということが一つあるかと思うのですね。増えればいいというものなのかということはもちろん、増えて広く広がることはいいのだと思うのですが、私個人的には、先ほど事務局から御説明あったように、やはり地域差がいろいろある。少ない県はほとんどないけれども、活発な県は幾つもの市が、全市挙げてユネスコスクールになっているという状況がありますので、少なくとも、地域差がなくなるまではやっぱり、広げる必要があるのではないかなというふうに感じております。これは私の意見です。
 それで、じゃあ何で広げるかということなのですが、学校の先生方に、今、大変いろんな仕事で忙しい中、ユネスコスクールどうですかって言った場合に、必ず返ってくるのは、とても忙しくて新しいことはできないということが来るのですね。じゃあその後来る質問は、ユネスコスクールに入ると何かいいことあるのですか、そういう御質問があります。答えられるのは今とにかく、小学校からの学習指導要領の中に、まず前文にも総則にも、持続可能な社会の創り手という形で、理念的なところでしっかり入れていただいたので、そういうものを実現できるという、しやすいということですね。それから、今ESD以上に有名になってしまいましたが、SDGs、これについても、よりやりやすくなると。じゃあ一体どうやってやりやすくなるかというと、やっぱり、高等教育機関、特に大学のサポート、ASPUnivNetというのがあるので、そういうサポートが得やすい。あるいは場合によると、そういういろんな団体が、学校の申請できるお金を紹介してくれて、手伝ってくれる、そんなところがあるのだろうと思うのです。
 そんなことをしながら、恐らく広げられるのだろうと思うのですが、ただ現実的には、先ほど資料2-1の下の方にありますように、地域によるばらつき、これは、ユネスコスクールを支援する大学の分布のばらつきもあるのですね。現在国立の教員養成系単科の大学も半分ぐらいはこれに入って、どこの大学にそれをお願いしても受けていただけるような形には近づいているのですけれども、そういった形で、1,200近い学校をどうやってサポートするかというのはもう少し丁寧に考えておかなければいけないのかなと、そんなところが、こういった会で、特にこれから未来共創プラットフォームというのがスタートしますので、それを活用しながら、どんなふうなビジョンを描けばいいのかなというようなものを今、考えながら伺っておりました。以上でございます。
【杉村委員長】   見上先生、ありがとうございました。大変具体的なポイントを突いていただいたと思います。漆先生、お願いいたします。
【漆委員】   品川女子の漆です。
 ユネスコスクールの普及のお話を聞いておりまして、学校現場が受ける難しさも分かる一方、例えばスーパーグローバルハイスクールといった研究指定校の場合、成果の共有が義務化されているのですね。発表会を設けて、シェアをしたりとか冊子を作って公開したりとか。義務というとまた参加校が減ってしまうかもしれないのですけども、取り組みが外部に見えやすいような仕組みができるといいと思います。
 学校現場では、今、教科横断型のカリキュラムとか、課題解決型学習とか、新たな要請があるのですが、どうやっていけばいいのか分からないというのが現状なのですね。この点で、ユネスコスクールのアンケートを見ますと、ヒントがいろいろあります。さらに、具体的にどんなことをどんなふうにやって、そのときどんな問題点があったのかとか、担当者の先生は何人いてどうだったのかとか、詳しい記載がありますと、他校でも応用しやすく、普及しやすいかなと思います。
 もう一点、今、大学入試の準備として、Eポートフォリオというものができ、学業成績や大学入試の成績だけではない高校時代の実績を蓄積していくことが、最終的に大学入試でも評価されるようになりつつあります。このポートフォリオに書けるようなものをというとちょっと本末転倒してしまうのですが、子供たちの成長につながる活動が結果として実績にもなるのであれば、ニーズがあります。
 ユネスコスクールの活動の内容、その結果生徒がどう成長したかということがシェアされていくと、魅力が増し、参加校が広がっていくのではないかなと、現場の感覚で感じました。以上です。
【杉村委員長】   漆先生、ありがとうございました。現場の先生のお声です。
 加治佐先生から、まずお願いします。
【加治佐委員】   加治佐ですけど、よろしいですか。
 このユネスコスクールですけれども、ともかく見上先生が学長をされていた宮城教育大学と違いまして、我が校、これは入っておりませんし、附属学校も入っておりません。
 地域による差が非常に大きいということですけれども、ただ全体的には数値を見ますと増えておりますよね。いろんな課題はあっても増えてはおりますので、それほど低調ということではないと思うのですね。ただ地域差があるのですよね。
 誰か熱心な大学の先生とか、熱心な自治体、教育委員会関係者がいたところは多分、たくさん加盟校が増えたのだと思うのですね。何でかよく分からないが、私のいる兵庫県ではあまり聞かないのですね。加盟校が少ないですものね。大学はもういっぱいあります。だけど、大学は全然入ってないですね。非常に不思議なのですけどね。国際学部はいっぱいありますからね。非常に不思議です。
 その理由を考えてみたところ、先ほど言ったように、たまたま誰か熱心な方とか熱心な自治体とか、そういう偶然性もあるのかもしれませんが、先ほども漆先生もおっしゃっていましたけど、やはり今は、教科横断的な学習でESDやるとか、SDGsをやるというのは必須なのですよね、新しい学習指導要領で。だからどこもそういう認識は持っています。ESDとかSDGsを知らないところはないと思う。ところが、そのときに、このユネスコスクールが出てくるかというと、必ずしもそうじゃない。正直申し上げて、私自身もあまりその認識なかったわけです。
 だから、何かといいますと、いわゆるマスメディアでの登場がどれぐらいあるのかなと思います。一般のマスメディア、専門誌じゃなくて。例えば大手の新聞とか、あるいは大きな教育雑誌とか、そういうものでESDとかSDGsが、ユネスコスクールとの関わりで出てくるのを、あまり見た記憶がない。学校もそうですけど、我々は広報効果というのを非常に考えますので。そういうところに出るとなると、全然話が変わってきます。これが1つです。非常に俗っぽい話なのですが。
 もう一つは、これも出たかもしれませんが、調査結果を見ますと、地域の団体が助成してくれたとかありましたけれど、この活動資金というのは、これ全部自前なのですか。何か事業化されていて、ユネスコの方からそういう活動資金が出るということではない。そこが分からないのですが、そういう何か活動資金があって、一定期間その事業を推進して、それで当然報告は義務化するということになると思いますが、ちょっとそういうところがあると、また大分変わってくるのかなとは思います。ただ、せっかくの機会ですので、本学や附属学校も、あるいは付近の公立学校も含めて、これを機会に、前向きにいろいろ考えていきたいというふうには思っています。
 どうもありがとうございます。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
【堀尾国際統括官補佐】   今の質問の、活動資金があるかということですけれども、ユネスコの方からとか文部科学省の方から、ユネスコスクールになったからといって活動資金があるわけではないのですけれども、例えば補助金がESD活動補助金とか、あと、今回のプラットフォームでも、学校が、若しくは教育委員会の方が応募して、採択されれば、そういった資金もございますし、大学の方での支援ネットワークがそういった補助金なりを獲得して、そこに教員や学校の方々が参加していただくというような形での間接的な補助という形にはなっております。
【杉村委員長】   ありがとうございます。大安部長、お願いします。
【大安部長】   先ほどの資金の話で、堀尾補佐から説明がありましたように、直接の資金はないのですけれども、ユネスコスクールの事務局としても、例えばサステナブルスクールとか、教員主体の教材開発とか、それからユネスコのバンコク事務所と協力して、ユネスコスクールのプラットフォームを使っての活動を幾つかやっております。
 それから今回、先ほどの具体的にとか、それからこの費用ということで、学校の教員の方にその質問票、この調査の作成に入っていただいたということで、やっぱり学校現場から、この費用はどういうふうに集めているのかとか、実際にどういう活動をやっているのかということを知りたいということで、今回、この費用の項目はこういうところから入っていますというところで質問項目に入れました。以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 では先ほど手が挙がっていました、野村先生、お願いいたします。
【野村委員】   野村です。今、先生方からお話がありました問題意識とほぼ重なるのですけれども、活性化のための仕組みづくりということで、2点申し上げたいと思います。
 1つは、今、大安さんからユネスコスクールのプラットフォームというお話があったので、ちょっと私、その詳細を存じ上げてなくて、もし既にやられていたら恐縮なのですが、やはりこのユネスコスクールのいい事例を紹介して、そのノウハウを共有するというようなことを、オンライン上でもっともっと進めたほうがいいのではないかと思っています。
 それは、やはりこの報告書とか拝見しますと、先ほどから出ていますように、恐らく担当する教員に対する負荷がすごく大きくて、属人的なものになってしまうのではないか。こういうPBL的なものが得意でお好きな先生が中心になっていて、その先生が異動すると、ちょっと活動が停滞しちゃうということになりかねないようなものだなというふうにも感じましたので、先ほど漆先生がおっしゃったように、課題解決型授業とか総合的な学習の時間に、どのようなプログラムで取り組めるかという、そのプログラムの詳細までもオンラインで見られる。更には、その教材までもそのプラットフォームに行けばダウンロードできて、その動画教材なんかをその授業で直接、生徒・学生に見せて使えるという、そこまでの何か丁寧なノウハウ共有ができるような仕組みがあると、量・質ともに確保できるのではないかと思いました。
 それからそういうプラットフォームがあれば、先日来出ている国内外のスクールをつないだ交流というようなことにもやりやすくなっていくのではないかなと思います。
 2点目ですが、今、少し弱いかもと思うところが、企業の巻き込みで、多様なステークホルダーに協力を仰ぎながら、その教育プログラムというようなことがうたわれているのですけど、恐らく大学や自治体などとは組みやすいと思うけども、企業との協力というのが少し弱いのではないかなというふうに感じています。
 というのが、先ほど御紹介いただきましたアンケートでも、SDGsの目標の12と15の持続可能な生産と消費ということをテーマに取り組んでいるという割合が低いのですよね、ほかに比べると。というようなこともありまして、やはり、児童生徒のうちからSDGsの視点というのは生産活動、消費活動にも結びつくという視点を育む上でも、企業と学校を結びつけてのスクールの活動というのがもっと広がるといい。そのためは、企業と学校をつなぐためのNPOなどにも活躍してもらうといいのではないかなと思います。
 今、企業は、このあたりは古賀委員の方が詳しくていらっしゃると思うので、私が偉そうに申し上げるのは恐縮なのですけれども、SDGsの活動を進めていることとして、健康系銘柄とかなでしこ銘柄とか、環境に優しいこういう活動をしているということを積極的に発信していますけれども、その中の一つとして、ユネスコの教育にこういうふうに貢献していますというものが、企業にもうたってもらえるような、そういう認知度を上げていくといいのではないかなと思います。以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それではまずは、翁委員、お願いします。
【翁委員】   この年次での調査を非常に興味深く拝見いたしました。特に28ページ、29ページあたりで、どういった効果をアウトプットというか、アウトカムというか、どういった資質を育みたいかということを順不同に挙げておられて、特に変化が見られたというところに、知識とかではなくて、思考力とか学びに向かう力とか人間性、こういうところが成果が上がっていくということが、私もとても大事だというふうに思っております。
 特に感じておりますのは、今回コロナのような大きな、人類を脅かすようなショックがありまして、やはりそのサステナビリティというのを考えたときに、いかに課題解決力、それから変化への対応力、想像力、こういったことが大事かということだと思っています。ですので、やはりこのユネスコスクールとか、こういった初等中等教育での非常に重要な、特に育みたいところとして、やはりこういった課題解決力、このコロナによって更に必要であるという資質というのが明らかになってきていると思いますので、そういったところを伸ばせるようなこともぜひ考えていくことが大事ではないかなと思っています。
 その意味では、もちろん今、野村さんがおっしゃったようなデジタル教材とか、そういったものを生かしていくということも大事ですし、いかに多様な経験を積むようにしていくかというようなことも考えて、そういったことができるようなサポートを、ユネスコも文科省の方からもしっかりやっていくということが大事ではないかというふうに思っております。以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、本当に皆さんありがとうございます。あとお三方、手を挙げていただいていますので、着々と進めたいと思います。じゃあ、日比谷先生、お願いしてよろしいでしょうか。
【日比谷委員】   ありがとうございます。1つ質問をさせていただきたいのですけれども、頂いた資料で、報告書などの提出というところがございまして、未提出校数というのが1年で4倍以上に膨れ上がっているのですけれども、この平成30年より前はどうだったのかということがお分かりになれば教えていただきたいということ。
 それから、提出なさってない学校は、アンケートの調査の結果を見ますと、大変に忙しいからと、これはどこでも言われていることですけど、あまりに忙しいので報告書が出せないのか、あるいは、ちょっとこれはネガティブに捉え過ぎているかもしれませんが、ユネスコスクールにはなったものの、あまり積極的に活動もしてない、幽霊校というのはあまりにも失礼ですけれども、ユネスコスクールとしての活動が実はあまりできてないのかなということもちょっと危惧するところです。
 で、一番初めでしたか、見上先生の御質問にも通じる点でございますけれども、数、やっぱりある程度の量をつくるということ、それから地域の差をなくすために、全国的に増やしていくということは大事だと思うのですけれども、実質を伴わないところで数だけが多いというのもちょっと問題かなと思いますので、そのあたりのことを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   そうしましたら、大安部長、平成29年度以前の報告書提出状況ってお分かりになりますか。
【大安部長】   すみません。今、手元にないのですが、先ほど堀尾補佐から説明があったように、以前は報告書と調査は別にやっていたのですね。それを2年前から一緒に頼むということになりまして、その平成30年の場合は、文科省から教育委員会に出してくださいという通知が出ました。その関係で、未提出の数が減ったと。恐らく、この報告書についても一緒に出してくださいということなので、そういうことだと思います。
 去年は文科省からそういう通知が教育委員会に出なくて、事務局の方から教育委員会に依頼しました。少しその差が出ているのかなと思います。こちらとしては、平成30年が割と未提出が少なかった、前年(平成31年度)は元の状況に戻ったのではないかというところはあります。
 それと、この出してないという理由の中で一つあるのが、例えば学校でセキュリティの関係でメールが使えないという状況もあるのですね。それで、こちらでは、電話とか郵送とか、そういうふうなところで、何度も督促というかリマインドをしまして、それでやっとこの数になってきているという状況です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
【堀尾国際統括官補佐】   あと、活動の幽霊部員的なのというところが、ここの活動の継続が困難になったための具体例のところの一番下に挙げさせていただいているのですけれども、先ほど見上先生からも御紹介がありましたが、当初は正に、20校を切っているというところから、500校を目指してというところで、2009年の加盟当時は、学校で計画する教育計画の活動の中で重なる部分を取り上げて、無理のない範囲での活動をしていくということで、どんどん加盟の推進を行ってきたというところで、そういったところが学校の中でも人事異動があって変わってきて、少し活動が停滞しているというようなところもあるのかなというのを感じているところです。
【杉村委員長】   ありがとうございます。活発な御議論ありがとうございます。
 それでは、山口先生、吉田先生、東川先生、古賀先生の順で進めさせていただきます。
 すみません。今日、実はもう一つ議題がありまして、今、時間が押しておりますので、若干手短にお願いしまして、そして、この議題は、皆様の御意見を今日伺った後、再度また教育小委員会にかけさせていただく議題でございます。継続して審議してまいりますので、その点お含みおきいただければと思います。
【山口委員】   大安先生、データに基づいた大変詳細な分析、どうもありがとうございます。データの解析から見られる課題について簡単に述べたいと思います。
 まず1点目ですが、このデータから、「学校全体で組織的継続的に取り組むための工夫をしているかどうか」という質問で、「学校経営方針に取り組まれている、または学校経営方針には示されていないが、推進活動、活動推進のための仕組みがある」と答えている回答者が60%ほどに留まっています。これは、残りの40%は、なかなか組織的に取り組む体制になっていないのではないかということが読み取れます。
 ユネスコスクールの活動が、負担ではなく、質の高い教育活動を促進するための有用なツールになっていくためには、やはりマネジメントの理解が重要なので、マネジメントの観点より少し分析を進めると良いかと思います。
 2点目ですが、ユネスコスクールのビジビリティが、活動としては多様に展開されているにもかかわらず、比較的低いのではないかという点です。わたくし自身、数校のユネスコスクールに訪問する経験がございまして、大森第六中学など大変活発に活動を実施している学校の先生方と会話をしていると、先生方はすばらしい取り組みをおこなっているにもかかわらず、「これは当たり前の活動だから、それを宣伝する必要はない」とおっしゃっていました。要するに、普通に教育活動の一環としてやっているのだから、それでいいのではないかという先生方の声が、色々なところで聞かれたということがあります。
 ですので、我々ユネスコ国内委員会や大学などが後押しをして、我々との連携も含めて、ビジビリティを上げていくための支援を強化していくことが重要かと思います。
 もう1点、少々驚きましたが、ユネスコスクール担当者の年齢層というデータを見るとで、50代、60代が45%となっています。これは、比較的高齢化が進んでいることを示しており、若い世代の先生方の間でのユネスコスクールの理解や、次のジェネレーションを育てていく仕組みが学校や地域によって異なるという点が、このデータから浮き彫りになっていると思います。次の世代をどのように育成していくのかというのも一つの課題ではないかと思います。以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。続きまして、それでは吉田先生、お願いできますでしょうか。恐れ入ります。短めにお願いできればと思いますが、ありがとうございます。
【吉田委員】   重複の点をなるべく省いてとは思うのですが、まずはACCU大安さんの御報告の中の最初に、ESDがSDGs全体の実現につながっているということを知っている先生は、ユネスコスクールの87%。その一方で、その4.7のことについて知っている人は78%。若干ですけど少ないのですよね。そうすると、そのESDということは今までずっと知っているけれど、SDGsの状況下におけるESDという認識が少し足りないという部分が見られるのではないかというふうな、私の個人的な印象を持ちました。
 それと、その両方の数字を逆から見ると、ユネスコスクールの中にあっても2割近くの先生はこれらについての理解があまり十分でないというのは、どういうふうに解釈するべきかというのもあると思います。それは、そもそもユネスコスクールがどういう役割を果たすべきなのかという、大きな問題ともつながってきますし、見上先生が、もうこれは前回から指摘されていたことと理解していますけれども、日本の中でユネスコスクールは、どこまで増えるべきなのかということとも重なりますが、そもそものユネスコスクールの役割ということを、もう一回再認識する必要があるというのが一つだと思います。
 それから、ともかくも日本はユネスコスクールの、1か国当たり最も多くを持っている国として、全体のユネスコスクール、UNESCO Associated Schoolsの中のベストプラクティスを提供できるようなモデル的な国であり続けたいという意思がもっと明確にあっていいと思います。
 それに関連して、例えばこれまでの、今日の議論の中にも出てきました、ポストコロナ禍の学校現場での対応というのは、ESDとどういう関係があるのかということをテーマにするであるとか、新しいESD for SDGsは今までのESDとどう違うのかであるとか、それから新学習指導要領で「持続可能な社会の創り手」といっているとき、全ての学校が対象になっているわけですよね。それに対して、このユネスコスクールとして、ESDをプロモートする時、他の学校とはどこが違うのか。全般として、その重点性、差別化、いい意味でのですけれども、そういうものをもう少し明確にしておかないと、数が増えた、それでよいということになってしまっては、日本のモデル的な位置づけにあまり説得力がなくなってしまうのではないかと思います。
 それに対応することで、前回でも申し上げたかと思うのですけども、個々の学校の取組ということではなくて、日本のユネスコスクールとしての取組としての、全体としての評価を、何らかの形ですることが必要なのではないかと思います。そして、恐らくその結果出てくると思いますけども、今後のタイムスパンをある程度3年とか5年ぐらいの期間で区切って、その間、当面の重点課題、活動上の重点というものを示すとかするということも一つ、やり方としてはあるのではないかと思いました。以上です。
【杉村委員長】   先生、ありがとうございました。それでは、続きまして東川先生、お願いできますでしょうか。
【東川委員】   お時間もないところですので、端的にお伝えしたいと思います。ACCUの大安様の活動調査を拝見しまして、2点、反省と課題を非常に持ちました。
 9ページ、10ページですかね、学校以外の団体との協働に関してということで、図の18に示されております、地域の協力者が78%、PTAが55%。この55%というのが多いのか少ないのか、ちょっと判断がつかないところではありますが、やはり地域と非常に密接に関わるPTAとしては比較的関わっているほうなのかなというふうに一定の評価をする一方で、ただ、全国的にこのPTAというのは、公立の小中私立、国立大学附属、高等学校等と、特別支援学校も含めて1,300万人から1,400万人ぐらいの会員が恐らくいるはずなのですけども、先ほど加治佐委員がおっしゃったように、そのユネスコスクールのことについて、特段課題や話題に上がることが非常に少ないかなという課題を感じております。
 一方で、このように関わりとしては50%強あるということについては評価すべきことかなと思いますので、ここの好事例をもっと拾ってお伝えしていくことによって、質と量もバランスよく広がっていくのではないかなというふうに感じました。以上でございます。
【杉村委員長】   東川先生、ありがとうございました。PTAの大事な役割を御指摘いただきました。
 お待たせしました。古賀先生、ぜひお願いいたします。
【古賀委員】   日本のユネスコスクールは、その目的や設置基準をはっきりさせないまま数を増やし続けてしまったという印象を受けています。その結果、他国と比較して二桁違うレベルにまで加盟校数だけが増加した現状があります。
 まずは、この国におけるユネスコスクールの理想的なあり方を示すことが必要ではないでしょうか。その理想的な姿を念頭に置いた上で、現状との乖離を埋めるための具体的な施策に関する議論に移るべきだと思います。
 ここまでの議論から、日本ユネスコスクールの現状にリスクを感じる点がありました。附属資料6「ユネスコスクールについて」はナショナルコーディネーター用ガイドとのことですが、日本におけるナショナルコーディネーターは日本ユネスコ国内委員会かと思います。ここに記載されているユネスコスクールの基準や要件を読んでみると、日本にはそれらの条件を満たしていない加盟校が一定数以上存在するようです。要件となっている年次報告書すら提出していない加盟校は、ユネスコスクールの基準からは大きく外れているのではないでしょうか。したがって、そのような先は本来、ユネスコスクール加盟校リストから除外しなければならないにも関わらず、日本では除外せずにそのまま残してしまっています。結果的に、この国のナショナルコーディネーターである日本ユネスコ国内委員会が職責を全うしていないと国際的にみなされてしまうのではないか、という懸念を抱きました。
 現状では「日本のユネスコスクール」と、ユネスコが国際的に定めている「ユネスコスクール」の定義にギャップがあります。まず、このギャップをいかに是正するか。次に、「日本のユネスコスクール」とユネスコ基準の「ユネスコスクール」をそれぞれどのように扱うことが、日本にとって理想的な体制につながるのか。これらを一度整理した上で議論を始めなければ、更なる乖離が生じ、リスクが増大してしまうのではないかと危惧しています。
【杉村委員長】   非常に大事な御指摘ありがとうございました。
 それでは、まだ御意見あると思うのですが、今日は大分時間が今、遅れてしまっているのと、それから今日いただきました御意見は事務局の方でまとめていただきまして、ユネスコスクール事務局等関係者の方々とちょっと相談をした上で、再度この教育小委員会に御議論いただく形で進めたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 また、本件につきましては9月に開催を予定されている、日本ユネスコ国内委員会の総会の方でも、一部進捗を報告させていただきたいと思っております。活発な御議論、本当にありがとうございました。

<議題3.ESD及びSDGsに関する取組について(討議) -SDGs推進円卓会議との協力等について -ESD推進の手引の改訂について>
【杉村委員長】   それでは、少し押してしまって大変恐縮でございますが、議題の3の方に移らせていただきます。議題の3は、ESD及びSDGsに関する取組についてでございまして、1点目、SDGs推進円卓会議の方の話になります。
 それでは、冒頭事務局から御説明いただきましたとおり、本日、SDGs推進円卓会議構成員である、一般財団法人アジア太平洋人権情報センター所長を務めておられまして、また一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク共同代表理事もしておられます、三輪敦子構成員が御出席いただいておりますので、まず一言、頂戴できればと存じます。三輪様、どうぞよろしくお願いいたします。
【三輪構成員】   こんにちは。今日は、SDGs推進円卓会議の分科会ということで、こちらに参加させていただきまして、大変ありがとうございます。推進円卓会議の方では、山口委員とも御一緒させていただいております。いつも大変お世話になっております。
 SDGs推進円卓会議は、日本政府によるSDGsの推進の主体であるSDGs推進本部、こちらは首相が本部長になっていますが、SDGs推進本部によって設置された会議です。市民社会、労働組合、経済団体、消費者団体、有識者等の14名から構成されています。今回、分科会が設置されましたのは、SDGsがうたっております「誰一人取り残さない」ということを丁寧に実施していくためには、各分野における課題を丁寧にきちんと理解して、それに対して対応していくことが重要であろうということで、まず環境、教育、広報、進捗・モニタリングの4つの分科会が立ち上がったという経緯になります。
 先日、7月30日になるのですが、円卓会議の全構成委員が緊急提言を作成し発表しました。この提言は、SDGsでコロナ危機を克服し、持続可能な社会をつくるための提言です。そちらでは、公教育の機会における格差や所得格差がオンライン教育へのアクセスの格差につながり、更なる教育格差につながることへの懸念等が記されております。
 これに関しては、たまたま昨日、京都府内の公立中学で講演する機会があったのですが、そちらでオンライン教育についてお尋ねしましたら、「いやいや、とてもとても」ということで、一般的にはオンライン教育の採用によって教育の保証がされているようなイメージもあるのですけれども、それは非常に恵まれた地域、あるいは限られた学校だけであって、昨日、私が行ったのは京都府下の市部ではあるのですが、決して遠隔地というわけではない場所なのですが、そこでもそういう状況だということを聞いて、改めてコロナ禍における教育格差の拡大について、現実を突きつけられた気がしたところでした。
 SDGs市民社会ネットワークでは、3月の末に一度声明を出したのですが、8月12日に新たな声明を出しました。SDGs市民社会ネットワークのウェブサイトでも御覧になっていただけるのですが、そちらでは、未来世代を含めた経済的・社会的包摂のための施策の導入を提言しております。その背景には、ユニセフ、ユネスコ等が発表しているデータにありますように、13億7,000万人の子どもが学校に通えなくなるとする見通しに基づいた声明になっております。
 また国内でいいますと、全国的にも報道されているかもしれませんが、つい最近、立命館大学新聞の調査結果として報告されたところによりますと、学生の1割が退学を検討しているというようなことも報道されています。
 ですので、学校現場において、あるいはこのパンデミック禍において、教育機会をどのように保証していくかというのは非常に重要な問題だと思っています。それとの関連では、コロナ対応でESDどころではないと考える学校も多いと伺っているのですけれども、ですが、私たちSDGs市民社会ネットワークは、「今こそSDGs」ということを熱心に呼びかけています。
 また、それに関しましては、SDGsというのはESDの裾野を広げるものだというふうに信じております。目標4は言うまでもありませんし、目標5のジェンダー平等につきましても、教育におけるジェンダー格差は皆さん御承知のとおりです。それから目標の6、安全な水とトイレ等の衛生設備、これも特に女子の教育機会を奪う要因になっていることは、皆さん御承知だと思います。目標10の人と国の不平等、あるいは目標12のつくる責任つかう責任、これらは教育と非常に深く関係していると思います。消費者教育の観点からも、私たちが使っているものがどんなところでどのように作られて、そして私たちの使い方というのがどのように環境負荷に影響しているのかということは、持続可能な開発を考える上で非常に重要です。そして、言うまでもなく、目標1の貧困もESDに深く関係しています。
 そのような観点から、ESDというのはダイレクトにSDGsに貢献すると思っておりますし、更にSDGsもESDにダイレクトに貢献すると思っております。ですので、今回のこのコロナの危機を、ESD、そして誰一人取り残さないというSDGsの理念を丁寧に実現していく場を拡げ、それを地域の隅々にまで確実に浸透させていけるような、そういう機会になればと願っているところです。
 少し長くなりましたが、自己紹介に加え、教育分科会にお願いしたいことをお伝えさせていただきました。どうもありがとうございます。
【杉村委員長】   三輪様、ありがとうございました。
 それでは続きまして、このSDGs推進円卓会議の活動状況報告として、資料3-1に基づき、同じく円卓会議の構成員でいらっしゃいます、また教育分科会との調整役を務めていただいています、山口委員の方から御説明をお願いいたします。
【山口委員】   三輪先生、どうもありがとうございました。大変詳細な御発言で、提言に関する内容もありがとうございます。
皆さんのお手元の資料に沿って簡単に御説明差し上げたいと思います。今回、SDGsでコロナ危機を克服し、持続可能な社会をつくるための提言ということで、3部構成になっております。2ページにわたる提言ですが、簡単に内容を説明させていただきたいと思います。
 まず、緊急提言を行った背景としまして、既に2019年の、昨年の国連SDGsサミットでは、既にSDGsの進捗状況に遅れが見られていることが議論されました。あと10年しか時間がない中で今後どうしていくのかと、既に危機を迎えているという理解の下、話合いが進められました。そして、それに輪をかけるように、この今回の新型コロナウイルス感染症拡大の中で、これまで限られた成果すら失いかねない状況に直面することとなりました。ここはもう一度、原点に帰って、コロナ禍を克服する取組についてSDGs推進の観点から、緊急提言を行うというのが背景です。
 3つの緊急提言の第一点目です。今回のこのコロナ禍の経験により、現在の日本の社会・経済システムが持続可能でないということが明るみに出た。それを再認識した上で、SDGsを軸にして経済再生計画を構成する必要がある。これが急務であるというのが第1点目です。
 2点目は、政策の具体化です。では政策の具体化としては、第1次・第2次補正予算の執行にSDGsを取り入れるとともに、SDGsアクションプラン2021、来年のアクションプランの策定に関しても、コロナ禍の克服とSDGs推進の両立を図ることが重要であるというのが2点目です。
 第3点目では、今後、withコロナ社会においてのレジリエンス、またはSDGsの達成された持続可能なAfterコロナ社会を目指す、その国家戦略を策定すべきであるという点が強調されています。要するにSDGsとコロナ対策は切り離して考えてはいけないのだという点が、緊急宣言の大きな観点となっております。
 現状分析に関しましては、三輪先生より詳細に説明がありましたので、ここは割愛させていただきたいと思います。
 3セクション目で政策提言がなされておりますが、皆さんも御存じのように、ビルド・バック・ベター、要するに、よりよい復興でなくてはならないという点が強調されています。以前と同じような社会は望むことはできないという観点から、コロナ禍の克服とSDGs達成が両立した戦略とはどういうものかを議論し、8つの政策提言を行いました。
 簡単に申し上げます。まずは、エビデンスに基づいた意思決定を促進するためのガバナンスの仕組みの構築。
そして、一般市民に分かりやすい広報を徹底するという意味で、科学的・定量的に、把握・評価する仕組み、SDGsの複数ゴールへの貢献を評価する仕組みの構築が必要である点。
 加えて、レジリエンス強化という意味で、都心インフラのレジリエンス向上に加えて、地域循環型経済圏の創生、これをどのように今後、構築していくかを考えていくことの重要性。
 4点目は、先ほどの議論でも取り上げられた、教育格差、ジェンダーの不平等という社会的な課題に、公・共・私の協力で市民の生活を支える必要性を重要視し、それを法的に支えるための整備が必要であるという点です。
 5点目は、誰一人取り残さない社会、新しい社会・経済モデルへの移行には、SDGsに基づいたグリーン・ジョブの創出や、社会的なインクルージョンを伴ったデジタル・トランスフォーメーションなどの大きな仕組みの導入が必要であると。
 6点目、新しい社会・経済モデルの柱となるのは、やはりデジタル技術、それから脱炭素化社会、エネルギーの推進、働き方改革など、大変多様な観点から成るものであること。そして、これを構築し、実現していくためには、やはり人間中心のアプローチが必要不可欠である。ですので、全てのステークホルダーによる建設的な対話ができる、それを確保する仕組みが必要であることが強調されています。
 7点目は、現在、我々が直面するパンデミックの状況をどうするかということが最重要視され、気候危機という課題が後回しになってしまっていると。これは国連総長も繰り返し発言していますが、気候変動に関わる重要性、パリ協定への取組の強化や気候変動に関わる新規技術の導入は、待ったなしの状況にあるので、その気候危機に関する問題・課題に関しては、実直に進めていかなくてはいけないという点です。
 最後ですが、コロナ禍はやはり世界共通の課題であり、一国のみの解決はあり得ない。これはSDGsの各目的が示唆しているものなのですが、特に、このグローバルな危機にグローバルな解決をという立場から、日本としてもこれらの枠組みに積極的な貢献と関与を行う必要があるという点です。
 以上、8つの政策提言から成っております。構成員の皆様の名前からもお分かりになると思いますが、研究所、大学のみならず国連機関、そして市民社会ネットワークなど、大変広範囲の分野にわたる有識者から成る構成となっております。本提言は、2ページにまとまっておりますが、かなりの量のものを短期間でまとめたという背景があり、総花的な提言になっている可能性は少々危惧しているところではあります。限られた時間の中で、多様な意見をまとめようとした努力の下に成り立っている提言であるという点を付け加えさせていただきます。
 以上です。よろしくお願いします。
【杉村委員長】   山口先生、ありがとうございました。
 それでは続きまして、資料3-2に基づきまして、事務局から説明をお願いします。すみません。時間が大分押しておりますので、もう端的にお進めいただけますでしょうか。
【石田国際戦略企画官】   それでは、端的に御説明させていただきます。
 資料3-2でございますけれども、今の御紹介いただきました提言を踏まえて、教育分野でどういうことをするかということを少しまとめさせていただいております。
 1ポツの部分につきましては、これまでの経緯でございますので、2ポツの方を御覧いただければと思いますけれども、具体の方向性として4つ挙げさせていただいております。1つは、やはりこの中においても誰一人取り残さないということが大きなポイントでございましたので、こういった教育の実現への貢献をまとめさせていただいております。
 1つは、ユネスコはやはりフォーラムとして機能しておりますので、こういった各種会合等を通じて各国の状況や取組が共有されております。ここで、今議論いただきましたユネスコスクールとか、そういった日本の学校における実践事例の提供を通して貢献を行うということ。
 2番目の丸でございますけれども、コロナを契機とした教育危機への対応とか、あるいは中長期的な展望をまとめていただいておりますけれども、この教育の未来プロジェクト、こういったものに関する支援を行うということ。
 それから、ユネスコの方では国際機関だけではなくて、民間企業等との連携を深めるための国際教育連合、こういった枠組みづくりをしておりますので、これに積極的に参加していくということ。
 最後に、これは国内でも、こういったコロナ禍においても、誰一人取り残すことなく最大限に学びを保障するための取組を促進していくというようなことを書いております。
 2番目でございますけれども、ESD for 2030を着実に推進していくということで、これに向けて1つ目の丸ですけども、各国において取組が進められるように、国際的な支援を検討するということ。
 それから、国内においても、こういった人材を育成するということが重要でございますので、ESD推進の手引の改訂、この後御説明させていただきますけれども、そういったものや、あるいは各学校の事例の横展開を図っていくということをまとめております。
 3番目、先ほどの提言の2つ目の項目にもございますけれども、分かりやすい発信というのが大変重要でございます。特に今年はユネスコ加盟の70周年でございますので、こういった契機をうまく活用して、国内外に向けて分かりやすく発信するということを挙げております。
 最後でございますけれども、先ほどの御説明でも公・共・私の連携というようなお話がございました。多様なステークホルダーがしっかり連携していくということが重要でございますので、昨年いただいた建議も踏まえて、ユネスコ未来共創プラットフォームという事業を今やっておりますので、こういったプラットフォームを使ってこの連携を促進していくということをまとめております。以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。急がせてしまってすみません。
 ただいまの資料3-2等々を含めて、何か御意見、御質問ございますでしょうか。秋永先生、お願いします。
【秋永委員】   ありがとうございます。リバネスの秋永です。御説明ありがとうございました。
 こちら、取りまとめていただいた3-2の資料なのですけれども、全体的な方向性というのはこれまで皆さんとで議論いただいている内容を包括していただいていると思うのですが、一方で、例えば(4)番の連携促進を例に取りますと、多様なステークホルダーが連携することがゴールになっているのではないかという懸念も少しありまして、連携した先に何を実現したいのかといったところまで踏み込んで、こういった案を出していけるとよりよいのではないかというふうに考えております。
 同様に、例えば2ポツの(1)の1つ目で、日本の教育実践例の提供をというところもあるのですが、それも実例の発信にとどまってしまってはもったいないなという気もしていまして、日本が中心となって、コロナ禍における、例えば環境問題であるとか社会の課題を、何か具体的なプロジェクトを立ち上げて、例えば教育と大学、民間企業、そしてほかの国のユネスコスクールを巻き込むような、そこから解決策を生み出せるようなプロジェクトをつくっていくとか、もっと具体的に課題を解決できるようなところまで踏み込んだ意見を発信できるといいかと思いました。
 コロナと環境とか、ユネスコ活動って関係ないと思う方もいるかもしれないですが、例えば、ある土壌の専門家の方に言わせると、そういったウイルスだとか下水道であるとか、農地であるとか、そういった環境に伝播しているおそれがあると。まだそこまで現況は進んでいないのですけれども、例えばユネスコ活動の中で身の回りの自然からサンプルを取ってきて分析をしているような学校もあるでしょうし、そういったところを結びつけていくと、教育活動の中からも世の中の課題を解決したり、ほかの国の子と一緒に同じテーマに対して、教育とか研究を進められるというものも生み出せるのではないかなと思いました。
 そういったところを、先進的な日本がリーダーシップを取って旗揚げできるといいのかなと思っております。以上です。
【杉村委員長】   本当にありがとうございます。急がせてしまうので申し訳ないのですが、この今の御議論につきましては、実は次のESD推進の手引の改訂というところとも何か少し関わるのかなと、今の秋永先生の御発言を聞いていて思いました。では三輪様、お願いをしてよろしいですか。ちょっと時間が押しておりますので、大変恐縮です。
【三輪構成員】   時間がないところで申し訳ありません。短く質問とコメントをさせてください。
 1点目はESD for 2030ですね。これにつきましては日本の実施計画というのが検討されていたかと思うのですが、この見通しについて教えていただけるとうれしいです。
 それから、これとも関連するのですけれど、ESDの円卓会議です。この開催予定についても教えていただけると幸いです。
 もう一つはコメントなのですが、ESDは私の周りの様々な教育関係のNGOや、あるいは学校の先生たちも意識して取り組んでおられます。それは必ずしもユネスコスクールだけではないんですね。なので、ユネスコスクールの枠を広げるということも考えられるのではないかと思っていて、それがESDの裾野を広げることにもなるのではないかと思います。そして、最初の方でACCUの大安様からありましたように、そういった取り組みには好事例として発信できる実践もたくさんあると思いますので、よろしければ御検討いただけたらと思っております。時間がないところで申し訳ありません。
【杉村委員長】   大変大切な点を言っていただきました。実はその点、正にESDの手引の改定の話とつながるところかと思います。
 それでは、申し訳ないのですけども、この議題につきまして、また今の御意見を少し入れて、後ほどまたメールで皆様にお諮りしたいと思います。最終的には、大変恐縮ではございますが、僭越ですが、委員長一任で資料を確定させていただければと思っておりますが、正にもう一つ残っている今日の議題、ESD推進の手引の改訂というところで、具体的にどういうふうにESDが推進されてきたのか、あるいはESD for 2030に向けての具体的な国内の動きということともこれは関連いたしますので、もしよろしければ、まず石田企画官の方から資料3-3に基づいてちょっと御説明をいただき、そしてその後、先程三輪様から頂いた御質問も含めてと思っております。
 それでは、急がせて本当に申し訳ありませんが、3-3に基づきまして、今度は石田企画官の方から、まず事務局説明お願いしたいと思います。ありがとうございます。
【石田国際戦略企画官】   申し訳ございません。それでは資料3-3を御覧いただければと思います。
 ごく簡単に御説明させていただきますけれども、これまでESDの推進、あるいはユネスコスクールでSDGs実現を目指すための教育のためのガイドブックといったものを作ってございました。これにつきまして、改訂の目的のところにございますように、2020年度から、小学校からでございますけれども、順次、学習指導要領が新しくなりまして全面実施していきますので、こういった新しい学習指導要領で盛り込まれた、持続可能な社会の創り手の実現のために、教員がESDを実践するための手がかりとなる手引については新しく改訂する必要があるだろうということ。
 それから、縷々御議論いただいておりますけれども、正にユネスコスクールの役割がESDの中でどういうふうに位置づけられるのか、また推進拠点としてどういう役割を果たしていくのかということを踏まえた新しいガイドブックをつくる必要があるだろうということで、こういった、今ある手引、それからガイドブックについて改訂させていただきたいということを御提案させていただいております。
 検討方法でございますが、ごく簡単に書いておりますけれども、様々な有識者の方から御意見をいただきながら作成に当たるということで、こういった検討方法を考えておりまして、実際のスケジュールとしては、来年3月にガイドブックが完成されるというようなスケジュール感で作業を進めていきたいという御提案でございます。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。今、改訂の方の主な流れをまず説明していただきました。この大きな流れについて何か御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。吉田先生お願いします。
【吉田委員】   やはり今日の議論の中で、ユネスコスクールの今後、そして何が理想形かという、非常に根本に関わる問題提起がなされている中で、この手引を改訂するという日程が今、示されていますので、このスケジュールで本当にいけるのかどうか、そして、それをそれでもこの改訂日程で実現するということが、この国内委員会、そして文科省の合意された総意であれば、どういうふうにそれを実現するのかということを併せて早急に議論する必要があるなと感じました。以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
【石田国際戦略企画官】   事務局でございます。正に先生御指摘のとおりだと思います。スケジュールありきということではなくて、やはりユネスコがどうあるかということをベースに、ガイドラインのつくり方についても考えなければならないと思っております。
【杉村委員長】   ありがとうございました。では、そこを検討しなくてはということになりますでしょうか。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。この大きな方向性と日程の部分についてということですけども、よろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。萱島先生、すみません。お願いします。
【萱島委員】   私から、小さな確認です。資料3-3で、ESD推進の手引及びSDGsのための教育ガイドブックの改訂ということで、この2つをそれぞれ別々に、それぞれをそれぞれ改訂するということでしょうかという質問です。
【石田国際戦略企画官】   今、2つの手引とガイドブックの話を同じように御説明させていただきましたけれども、それぞれ別のものでございますので、それぞれを改訂していくというようなことでございます。説明が不足しておりました。失礼いたしました。
【萱島委員】   分かりました。ありがとうございます。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 それでは、まだ少しお聞きになりたいところあるかと思うのですが、この方向は、特に今、吉田先生から日程のことを要検討という御指摘が出ましたので、併せて今後の課題とさせていただき、この議題を終わらせていただきます。

<議題4.その他>
【杉村委員長】   本当に、今日はすみません、私の不手際からちょっと押してしまいましたので、最後にその他として、事務局から何かございますか。御指摘いただければと思います。
【石田国際戦略企画官】   事務局から2点だけ御紹介させていただきます。
 1点は、前回の教育小委員会において、次期ESD国内実施計画に関しまして、事務局にて草案を作成の上、今後、教育小委員会の委員の御意見を頂戴させていただく予定でございますので、これについて御承知おきいただきますと幸いでございます。
 もう1点は、今のコロナ禍の状況、それから来年、ユネスコ加盟70周年を迎えるということに当たりまして、日本ユネスコ国内委員会として、濱口会長名で何かメッセージを発してはどうかという議論がありまして、9月2日の国内委員会の総会での議論に向けて、委員の皆様にもこのメッセージの案をお送りさせていただいて御意見を頂戴する予定でございますので、御承知おきいただければ幸いでございます。以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。事務局から追加していただきました。
 それでは最後に、事務局から今後の予定についてお知らせいただきたいと思います。
【植村国際統括官補佐】   本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。
 今後の予定ですが、次回、第147回日本ユネスコ国内委員会総会を、令和2年9月2日水曜日に開催予定でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。それでは、これで今日用意させていただきました議事、本当に最後、急かしてしまいまして恐縮でございましたが、本日の教育小委員会を閉会したいと思います。
 今日御出席の先生方全員から御発言を活発にいただきましたこと、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。御多忙の中、御出席賜りまして、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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国際統括官付