日本ユネスコ国内委員会 第135回教育小委員会 議事録

1. 日時

平成29年7月31日(月曜日)15時00分~17時00分

2. 場所

文部科学省国際課応接室(12階)

3. 出席者

(委員)
見上一幸、秋永名美、阿部宏史、及川幸彦、杉村美紀、寺本充、野村浩子、早川信夫、日比谷潤子〔敬称略〕

(事務局)
川端和明日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、池原充洋日本ユネスコ国内委員会副事務総長(文部科学省大臣官房付)、小林洋介日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4. 議事

【見上委員長】
 それでは、お集まりのようですので、会議をスタートさせていただきたいと思います。
 本日は、御多用の中、本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、事務局の方から定足数の確認をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 本日は、教育小委員会の委員8名の方に御出席いただいております。委員の過半数でございますので、定足数を満たしております。

【見上委員長】  
 それでは、ただいまより第135回教育小委員会を開催いたします。本日の議題進行をいたします委員長の見上でございます。改めましてどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに、人事異動がございましたので、事務局から御紹介をいただければと存じます。

【鈴木国際統括官補佐】  
 平成29年3月に文部科学省国際統括官日本ユネスコ国内委員会事務総長でございました森本浩一が退任いたしました。4月から後任といたしまして川端和明が着任しております。

【川端国際統括官】  
 川端です。よろしくお願いします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 それから、本年7月に、文部科学省大臣官房付でございますが、日本ユネスコ国内委員会副事務総長といたしまして、池原充洋が着任しております。

【池原大臣官房付】  
 池原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。それでは、まず川端統括官から一言御挨拶いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

【川端国際統括官】  
 4月1日付でJAXAからこちらに戻ってきました川端と申します。よろしくお願いします。
 ユネスコの教育については、日頃より御協力賜っていると承っております。今日は、暑い中来ていただきまして、ありがとうございます。
 ESDについては、この委員会でいろいろな御議論を頂きまして、それを私どもの施策に反映させてまいりました。本日は、ESDに現場で取り組んでこられた皆様に向けて、この小委員会からメッセージを出したらよいのではないかということで、これについて御議論いただきたいと考えております。一昨年に持続可能な開発目標、SDGsが策定されて、昨年末には国内の実施指針が発表されました。今年の3月には新しい学習指導要領等の公示がありましたりして、ESDの推進にとっては重要な文書がこのところ続けて発表されています。そういったものを受けて、SDGsとESDの関係など、現場の方々に一部場合によってはよく分からないことがあるという声もあるようですので、現場のためになるようなメッセージを、ということでございます。
 また、今回は、これまで余りこういった場で御紹介しておりませんでしたESDやユネスコスクール以外の教育関係の活動についても御報告させていただくということを考えております。
 あと、最近のニュースとしましては、去年ユネスコ/日本ESD賞を受けた岡山市が、御案内のとおり、ユネスコ学習都市賞を今年9月に受賞することになりました。これも岡山市が市全体でESDに取り組んできたことが評価されたと思っておりますが、今後も国内でのユネスコ活動の推進に取り組むと同時に、日本の取組を国際的にも積極的に発信していければと考えております。
 委員の皆様には、引き続き御支援と御協力を賜りたいと思っております。本日はどうもありがとうございます。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。それでは、引き続き本日の会議の配付資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 議事次第にありますとおり、資料1から4まで枝番の資料もございます。それから、パンフレットを2点ほど付けてございます。1つ1つこの場で確認いたしませんが、落丁等がございました場合は事務局の方にお申し付けください。その場で対処いたします。

【見上委員長】  
 それでは、議題1の「ESDの推進について」に移りたいと思います。本日の資料を御覧いただきますと、川端統括官も挨拶で触れておられましたけれども、「ESDの推進に関する日本ユネスコ国内委員会教育小委員会からの発信について(案)」という資料が資料1-マル1 にございますけれども、こちらにつきましては、新学習指導要領と議題1のそのほかの内容及び議題2の「ユネスコスクールについて」の内容を踏まえて御議論いただきたいと考えておりますことから、議題1と2の終了後に御議論をお願いしたいと思います。
 それでは、まず新学習指導要領等における持続可能な社会づくりに関する記載について、事務局から説明をお願いいたします。

【小林国際戦略企画官】  
 それでは、御説明をさせていただきます。新学習指導要領がこの3月に公示されたことを受けまして、ESDに関わる記載について、日本ユネスコ国内委員会事務局での理解について御説明をさせていただきます。
 昨年12月に中央教育審議会にて「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」という答申が取りまとめられたところでございますが、この内容につきましては、前回の教育小委員会におきまして、ESDが教科等を越えた教育課程全体で取り組んでいくものであることが示されている記載などを御紹介させていただいたところでございます。
 昨年12月の答申を受けまして、本年3月に公示された新しい学習指導要領の中で、持続可能な社会づくりについての記載を抜粋したものが資料1-マル2 でございます。資料1-マル2 を御覧いただければと思います。その資料にございますとおり、持続可能な社会づくりについての記載は一番上の前文、その下の総則をはじめ、各教科の各所で見られております。
 一番上の前文は、このたびの改訂で新たに設けられたもので、学習指導要領等改訂の基本方針の理念を明確にし、社会で広く共有されることを目的としたものです。ここに、これからの学校に求められることとして、「一人一人の生徒が持続可能な社会の創り手となることができるようにする」ということが明記されております。
 また、その下の総則におきましては、今回の改訂の趣旨が教育課程の編成や実施に生かされるようにする観点から改善が行われたものですが、ここにも、「持続可能な社会の創り手となることが期待される児童に、生きる力を育むことを目指すに当たっては、学校教育全体並びに各教科、道徳科、総合的な学習の時間及び特別活動等の指導を通じて、どのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら、教育活動の充実を図るものとする」との旨の記述がございます。
 このような前文、総則に掲げられた記述は、答申にございました持続可能な開発のための教育、ESDは、次期学習指導要領改訂の全体において基盤となる理念であるという考え方に基づいたものだと理解できます。
 そのほか、御紹介は省略いたしますが、複数の教科において持続可能な社会づくりについて記載がございます。新学習指導要領にESDという単語が見当たらないと御心配されている声も耳にいたしますが、日本ユネスコ国内委員会事務局では、今回の改訂はESDの持つ教科横断的な特性を十分に踏まえた上で、持続可能な社会の担い手を創る教育であるESDが新学習指導要領全体において基盤となる理念として教育課程全体に組み込まれた改訂であったと理解しております。
 以上で御説明を終わらせていただきます。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。それでは、続きまして、3月にカナダ・オタワで開催されましたGAPレビューフォーラムについて、事務局から報告をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  御報告を申し上げます。資料1-3を御覧ください。
 前回の教育小委員会で、GAPレビューフォーラムの開催予定について御紹介をさせていただきました。「国連ESDの10年」の後継の5か年計画でありますグローバル・アクション・プログラム(GAP)の中間年に当たりまして、ユネスコがカナダでその振り返りを行うフォーラムを実施したものでございます。
 これは、加盟国が招待されるものではなくて、グローバル・アクション・プログラムの優先行動分野それぞれに指定されたGAPキーパートナーというところに招待が掛かりました。すなわち、実践者間のネットワーク作りというのが狙いとされた会議でございました。日本では、ポリシーの分野でキーパートナーになっております文部科学省/日本ユネスコ国内委員会のほか4つの団体が招待されまして、出席をしてまいりました。全体会合、分科会、展示発表という構成になっております。文部科学省/日本ユネスコ国内委員会の枠からは、木曽大使、門司大使という日本政府のユネスコ代表部でかつて大使をお務めになった方々、それから、国内委員会から及川委員、そのほか文部科学省の担当官で出席してまいりました。
 日本といたしましては、「国連ESDの10年」の提唱国として、開会式でも元大使から御挨拶をさせていただきましたほか、日本と同じようにESDを推進するポリシーの分野で教育省がGAPのキーパートナーに指定をされているドイツ、ケニアに呼び掛けて分科会を主催いたしました。この資料の裏面の方の「並行セッション」というところにございますけれども、「How can policy support ESD practice?」と題するセッションを主催いたしまして、分科会としては中規模であります40名程度の参加者を得ました。
 それから、日本から参加した5団体で日本の取組を紹介する展示も実施してまいったところでございます。
 これらを通じまして、日本のESDの取組の強みである学校を中心に連携した取組、それを支える政策的な支援、教育の質の向上に貢献するESDという点を、様々な機会を通じて総合的に発信するように努めてまいったところでございます。
 以上です。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。この委員会のメンバーとしても及川委員がお出になっているということで、後ほどまた御発言いただければと思います。
 それでは、続いてユネスコ/日本ESD賞について、事務局から報告をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 失礼いたします。資料1-4「ユネスコ/日本ESD賞について」を御覧ください。
 ユネスコ/日本ESD賞につきましても、前回の会議において賞の概要と岡山市の受賞、それに合わせて実施いたしましたフォローアップイベントについて御紹介をさせていただきました。賞自体は、日本政府の支援でユネスコに設置した賞でございます。毎年世界で3件の好事例を表彰するとともに、表彰された団体に対しては、好事例として広く自ら広めていく活動を推奨しております。受賞はゴールではなくてスタートですというのが、この賞のキーワードになっており、また、評価もされている賞でございます。
 こちらは、各国、公式のNGOから最大3件が毎年推薦できて、国際審査委員会による審査で選ばれるのですが、各国からの推薦案件ということで国内公募を実施いたしました。本日の御報告はその点でございまして、5件の応募があった中から、資料の6番にあります2件を今年度のユネスコ/日本ESD賞への推薦団体として我が国から推薦をしております。1件が「アートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト」でございます。こちらは、芸術活動とESDの融合のユニークさというところで推薦をしてございます。それから、2件目が北九州の「地域に根差し・花咲く」という公害克服運動に端を発したホールシティーによる人材育成の取組について推薦をしております。この2件を本年日本からの推薦案件としてユネスコに推薦していることを御報告いたします。
 以上です。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。それでは、一連の報告を受けまして、ここで何か御意見、御質問がございましたらお願いしたいと思いますが、終わりの部分で詳しい議論の時間を取っておりますので、今の段階では簡単な質問をいただけると有り難いです。何かございますでしょうか。
 新学習指導要領の方につきましては、ユネスコスクールのメンバーの方々からも、ESDという言葉がないということで御不満を私も聞きました。ただ、今御説明があったように、ESDという言葉ではなくて、持続可能なという形で表現されているのも一つの理由かなと思います。私も、教育課程課の方に特に総合的な学習の時間を中心として関わっていたものですから、パブリックコメントのときに大分ESDという言葉で申し入れたんですが、全体の方針としてはそれが表に出てこなかったというのが結果かなと思っております。パブリックコメントでも、このメンバーにもいろいろ御意見を頂いているのではないかと思います。
 よろしいでしょうか。それでは、最後のところで併せて御質問、御意見をいただければと思います。
 では、先に進めさせていただきまして、議題2の「ユネスコスクールについて」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 資料2-1から御覧いただければと思います。
 ユネスコスクールでございますけれども、資料の中にも緑色のパンフレットの原稿(案)が付いてございますが、こちらにありますとおり、ユネスコスクールとは、ユネスコの理念の実現のために平和又は国際的な連携を実践する学校について、ユネスコが認定している学校でございます。日本では、これをESDの推進拠点と位置付けて活動しておりまして、世界で約1万校の学校が認定されているうち1割が日本にあるという状況でございます。
 前回の会議の場で、ユネスコスクールの加盟申請について、ユネスコの方で加盟申請が止められてしまっている状況と、その背景にユネスコ本部の方で制度改革が行われていることを御紹介いたしました。具体的には、ユネスコスクールの実質的な活動の充実を図ろうということ、それから、そのためにオンラインシステムを導入しようという2つが肝になっておる制度改革でございました。それらの制度改革に合わせて、国内の手続の改定についても考えていることを、前回の会議で御紹介させていただいたところでございます。
 資料2-1を現状を御報告させていただく資料としてございます。現在、前回御報告をしましたラインで加盟申請手続の改正、制度化等を進めております。また、1の(1)にございますとおり、止められていた加盟申請が全て4月までの間に認められまして、現在1,037校が日本でユネスコスクールと認定されております。
 それから、「2.今後の取組」の方でございますけれども、今後の短期的な取組といたしましては、改定したばかりの手続を適切に実施していくという点のほか、12月にユネスコスクール全国大会を今年度は福岡県大牟田市で予定しております。これを上手に活用してまいりたいと思っております。また、中長期的な検討事項といたしましては、様々な取組を通じた活動の質の確保、質の向上という点、それから、特に海外に向けた日本のユネスコスクールの活動を紹介するというところをきちんとやってまいりたいと思っております。
 裏に返していただきましたところに、本年度のユネスコスクール全国大会の概要を紹介させていただいております。
 以上でございます。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。ユネスコスクールにつきましては、皆様方のサポート、御努力もあって、今1,037校というところまで行ったようでございます。いろいろありがとうございます。
 それで、ユネスコスクールの活動につきましては、1つは数の問題、もう一つは質の問題があろうかと思います。どちらの観点でも結構ですので、どうぞ御意見をいただければと思います。まず数、申請についてはいかがでしょうか。特に初めの段階では、UnivNetもかなり関わっているんでしょうか。

【阿部委員】  
 そうですね。

【見上委員長】  
 そういう点では、問題ないかもしれません。質の点ではいかがでしょうか。

【早川委員】  
 質問です。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【早川委員】  
 現場の状況がよく分からないので質問させていただくんですけれども、ユネスコスクール自体が持続可能なものになっているかどうかという点は、今どうなんでしょうか。よく校長が替わると前の校長のやることをひっくり返すなんていうのが世の中的にはあるわけですけれども、ユネスコスクールに一旦加盟して、それが先細ってしまうようなことはないのかということが懸念されるわけですが、そこは大丈夫なんでしょうか。

【見上委員長】  
 非常に大事な質問をしていただいたと思いますけれども、現在どうでしょうか。学校の状況を御存じの委員の方がおられましたら。前は、校長先生が替わると、その後引き続いてという難しさもあり、また、中心になる先生が転勤されてしまうと、なかなかうまくいかないとか。

【鈴木国際統括官補佐】  
 事務局からよろしいでしょうか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【鈴木国際統括官補佐】  
 そういう問題が一部にあるというのは聞いております。一方で、事務局の方では、それを放っておかないように、毎年の御報告やアンケート等を活用し、エンカレッジする形で学校で活動が続いていくようにということを最大限やっております。ただ、人に付いてその活動が動いてしまうという問題はあるようでございます。そういうところも、地域との連携等で補っていくことが必要なのかなとも事務局としては考えております。

【及川委員】  
 よろしいですか。

【見上委員長】  
 及川委員、どうぞ。

【及川委員】  
 長くユネスコスクールに関わってきて、自分もその当事者だったりしていたものですから、今のポイントについて皆さんで共有したいと思うのですが、学校や取組を孤立させないということが非常に重要なポイントかと思います。孤立している学校というのは、どうしてもガバナンスの持続可能性というのが難しくなるので、管理職が替わったり、意欲のある先生がいなくなったりすると、その時点で衰退するというのは、早川委員がおっしゃるとおりのことだと思うんですね。
 ですから、それをカバーするために、そのような学校をサポートする仕組みというものをきちんと戦略的に立てていかなきゃいけない。その1つは、地域の自治体、地域レベルでそういう学校を支える、例えば研修会であるとか、情報交換会みたいな交流会であるとかが必要で、それが地域でできているところ、具体例を挙げれば大牟田だったり気仙沼だったり、そういうところは10年以上ずっと取組が続いています。ただ、そういう自治体ぐるみでやっているところが全てではありませんので、そうなったときに、少し広域で支え合っていく。そのために、文部科学省のESDコンソーシアムや、環境省、文部科学省が共同で進めている、ESD活動支援センターというところのサポートが重要になります。さらに、全国的に見れば県ごとにでこぼこがあるのは皆さんお分かりのとおりで、ユネスコスクールが100近くある県もあれば、1個か2個、あるいは空白の県もある。そういう少数派の県については、全国的なレベルでサポートしていく必要があると思います。
 ユネスコスクール全国大会が毎年1回ありますけれども、それも一つの手ですし、それ以上に、日常的に何かそういうところに情報提供なり、先ほど取組へのエンカレッジという言葉がありましたけれども、ドライビングフォースへのエンパワーメントが必要になってくるので、その辺は国内委員会としても気を付けてというか、きちんと見ていく必要があるのかなと思います。1,037というのはかなりの数ですから、これを持続可能にしていくというのはそれくらいの覚悟がないとなかなか難しいだろうなと思います。
 以上です。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。ほかの委員で何かそういう情報をお持ちでしょうか。
 これは質に関わることかもしれませんが、それぞれの学校、学区の中でのESD活動は非常に充実してきているけれども、学校間がどうしても少ない、ネットワークができていないという課題がございました。そういうところも、隣の学校、あるいは遠い学校とのネットワークができて、お互いに毎年コミュニケーションをやっていれば、そこの学校だけ急にやめてしまうというわけにもなかなかいかないので、そういうネットワークをうまく生かすというのもとても大事なのかなと思います。
 なかなか1つの学校の中で継続が難しくて、私のお膝元でお恥ずかしい話なんですが、小学校が非常に早い時期にユネスコスクールに入ったんですが、担当が毎年受け継いでいる間にバトンタッチを間違えたということで、非常にESDが理解不足になってしまったんですね。それで、附属小学校はどうしたんだろうという話で、大学の方でアプローチしたら、それを聞き付けて、ユネスコスクールとは何だと中学校が今度関心を持って、そんなことならうちもやろうかなという話が出てきたりしたケースもありまして、うまく掘り起こしをやると思わぬ広がりも見せるのかもしれません。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ、秋永委員。

【秋永委員】  
 ありがとうございます。今見上委員長がおっしゃったように、学校にとってどんなメリットがあるのかというのがどれほど強くうたわれているかというところに質問があるんですけれども、例えばこのパンフレットは直接学校の先生方に参加を促すために使われている資料の一番主だったものでしょうか。
 もしそうだとしましたら、学校に対する支援、学校が参加することで享受できるメリットというのは多分開いた右下のところに書いてあるものだと思うんですけれども、今見上委員長がおっしゃったように、年に1度大会があって、そういった場所で研究、プロジェクトの発表ができて、ほかの学校ともつながりが得られるであるとか、若しくは大学の先生から助言がもらえるであるとか、もう少し具体的な学校の先生や生徒にとってのメリット、若しくは生徒がどう変わるかなんていった事例も入ってくると、参加を促したりその質を高めたりすることができるんじゃないかなと思いました。

【見上委員長】  
 なるほどね。ユネスコスクールに入ると何かいいことがあるんですかといった質問は、昔からずっとあるんですよね。それをうまく生かすというのは、今御指摘の点は大事だと思いますね。例えばこういうパンフレットの欄に、ユネスコスクールに入ってよかったことみたいなのがあると、非常に初歩的でも、こんなことがあるのかというのがあるかもしれません。ありがとうございました。大変重要な点だと思います。

【鈴木国際統括官補佐】  
 先生、よろしければ。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【鈴木国際統括官補佐】  
 こちらですが、ちょうど今改訂をしている最中ですので、今のような御意見が頂戴できましたら生かしてまいりたいと思います。これは、ユネスコスクールとESDに関して一番基本的といいますか、必ずしも学校向けではないんですが、御説明の際に使っている資料ですので、御意見を頂戴できましたら、併せて参考にさせていただければと思ってございます。

【杉村委員】  
 その点で1つよろしいでしょうか。

【見上委員長】  
どうぞ、お願いします。

【杉村委員】  
 先ほど冒頭に出ていたSDGsとの関係についてですが、私も、SDGsとESDの関係についての質問が、特にESDをこれまで推進された先生方やコミュニティーの方々から出ているということを伺っております。ここにもSDGsとの関係はゴール4が教育だからと書いてくださっているわけですが、改訂されるときに、先ほどの第1の議題で出ていましたように、今までのESDの活動が基盤になって、SDGsにつながっているというのが見える形にするといいのかなと思いました。
 今は大学に所属しておりますが、大学でもすごくSDGsに取り組もうとしており、またいろいろな企業もSDGsと国連グローバル・コンパクトなどの活動に関心をもつようになっています。その際に、ESDは大変大事であり、そこで作り上げられた蓄積というのを日本の場合はうまく生かして、SDGsにつなげていくのがベストかと思いますので、両者の連続性が見えるようなアピールができるといいように思います。

【見上委員長】  
 SDGsがスタートするので、今タイミング的には非常にいい。ただ、私の印象なんですけれども、ESDという言葉があって、GAPがあって、SDGsがあって、何だかアルファベットがいっぱい踊っているんだけれども、一体何だろうというのがまだよく御存じない方の感想だと思うんですね。だから、これからまたメッセージのところで御議論を深めていただくことになると思いますけれども、ESDとSDGsは別物みたいな取り方をされると一番いけないので、そのあたりですよね。ESDはESDで変わらないというところがしっかり押さえられることが大事だと思います。

【野村委員】  
 よろしいですか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【野村委員】  
 今秋永委員と杉村委員がおっしゃったことに全く同意、同感でして、後で提案書について議論されるのかもしれないんですけれども、私はこの資料を拝見して、SDGsとESDの相関概念図みたいな、それを見れば関係性が分かるというものが入るようにすると、分かりやすいかなと思いました。

【見上委員長】  
 なるほどね。

【野村委員】  
 それと別に、秋永委員も先ほどおっしゃったように、ESDはなぜやるんですかというと、教育現場にとっては、生徒がこう変わる、教育効果が上がるということが最大のメリットだと思いますので、生徒がこう変わったというのがあると、相当取組のモチベーションが高まるんだろうなと思います。

【見上委員長】  
 ESDの一番の課題は、どう評価するかというのが長年課題だったと思うんですね。ただ、これだけ時間がたってみると、子供たちがこう変わってきているとか、子供の変容が表現できると、すごくESDに対する理解が深まるんじゃないかなと思います。
 どうぞ、秋永委員。

【秋永委員】  
 メリットに関しては、おっしゃるとおりだと思います。例えばユネスコスクールであるということの最大のメリット、世界中の同じユネスコスクールとつながれるということが一つだと思います。今年ある中高生向けの国際学会をシンガポールで開いたときに、シンガポール、マレーシア、日本から学校を集めたんですけれども、学校現場のニーズとしては、ほかの国の学校とつながりを得たいときに、どのようにつながったらいいか分からないというニーズをよく聞きます。
 ただ、一度つながると、その後は訪問してパートナーシップを組んで、例えば修学旅行で訪問したいなんていった行動が生まれているので、きっとユネスコスクールのグローバルプラットフォームも、年に一度の全国大会を一つの旗印のようなイベントとして、1年間続く長期的な活動であるということとか、ここで国を超えて教育連携を生み出せるなんていったことは、是非強調していただきたいなと思います。多分事例がたくさんあるとは思います。

【早川委員】  
 いいですか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【早川委員】  
 子供たちの変容が分かるというのはとても大事だと思うんですけれども、最近は短期的な変容をすごく求める世の中の傾向があって、がらっと変わった、革命的に変わったみたいなことを求めがちなんですが、恐らくユネスコスクールであるとかESDというのは、短期的というよりも後になってじわっと効いてくるという、そこの評価をうまくできないのかなと思うんですね。そんなに長い歴史ではないけれども、これだけ歴史があり、取り組んでいるわけで、そこの教育を受けた子たちがその後どんな活躍をしているであるとか、及川先生とかたくさん事例をお持ちだと思うんですが、そうしたユネスコスクールに取り組むことによって後でこんなに効いてくるんですよ、そのときが大事なんですよということをきちんと表記できたら、メリットというのがよく分かるんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【見上委員長】  
 及川先生、お名前が出ましたけれども。

【及川委員】  
 おっしゃるとおりで、私も早川委員と非常に同じ考えを持っておりまして、短期的なスパンでの変容と長期的なスパンでの変容というのは当然あり得ると思います。教育的には多分両方必要なんでしょう。ESDの場合には、感受性であったり、観察力であったり、コミュニケーション能力であったり、短期でも変わる部分はたくさんあります。ただ、価値観に関わる部分、あるいは行動の変容の部分という非常に最終的なアウトプットの場合は、醸成期間というのは当然必要なわけですよね。そういう意味で、変容を見るのであれば、近視眼的なところと遠視眼的というのはおかしいですけれども、そういう視点で捉えるべきだろうというのは一つ思っています。
 それから、今の議論の中で関連して2つほど感じたことなんですが、1つは、先ほどネットワークの議論が出ましたけれども、この資料で分かるように、日本のユネスコスクールの特徴というのは、半分以上が小学校なんです。小学校ではまだ全国のネットワークとか交流自体も満足にできていない状況の中で、いきなり国際交流をうたったからといって、どれほどのメリットがあるのかというのが疑問であります。だから、高校生とか大学であればそういう国際交流をメインに、小学校であれば、地域の課題とか地域との結び付きが非常に強くなって、様々な豊かな学びや地域課題にコミットした学びができるようになりますとか、そして、中学生であれば、アクティブに行動することによって社会の変容に貢献できるようになりますとか、そういう発達段階というものを考えないと教育というのは語れないので、そういうところは大事にしなきゃいけないと思います。
 最後に、これに盛り込むかどうかは別にして、先ほど事務局からも説明があり、既に提案としても出されていることですけれども、先生方にとって一番の現在の関心事は、ESDと学習指導要領がどう関わるんだろうということです。つまり、ただでさえ忙しい先生方が、新たに追加的な、プラスでESDをやるのはなかなか負担が大きいというのは、先生はみんな恐れていることです。ところが、先ほど事務局の説明にあったように、ESDが一つの傘、アンブレラとなって、教育課程全体に影響するような時代に来ているわけですよね。そういうことを正面切って現場に訴えることが、現場の先生方の恐れ、負担感の2つを除去して、ESD実践のやりがいとモチベーションを高めていくということになっていくんだと思うのです。できれば概説の資料の中にも学習指導要領の関連的なところはきちんと入れると、先生方はそこはぱっと見ます。変容と今ある教育課題への貢献ということは2つの大きなポイントかなと私は思っていました。
 以上です。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。大分最初の議題と重なる部分が出てきましたので、それでは、まず先に進んで、総合的に御意見を頂きたいと思います。では、ESDに取り組んでいる関係者の皆様に向けた日本ユネスコ国内委員会教育小委員会からのメッセージについて、事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 資料1-1からのところにお戻りいただければと思います。
 先ほどから話題となっておりますとおり、SDGs、新しい学習指導要領など、ESDに関連する様々な重要な事柄が立て続けに発表になっており、実践者の皆様がそれぞれに学ばれている中で、大変迷っておられるというお声も耳にいたします。前回こちらの委員会は普及活動小委員会と合同でさせていただきまして、民間運動を実施している皆様の中からも、そのような御意見がありました。ESDではなくSDGsに取り組むということですかというように、切り離して考えてしまったり、学習指導要領に結局ESDという単語が入っていなかったんだけれども、これは後退しているということですかという御感想を頂いたりということ等もございました。
 そこで、基本的な事柄について、できるだけみんなの仲間である学校からの好事例を紹介しつつ、前向きな捉え方を小委員会による一つの見方として出すことで、実践者の皆様が安心して取り組めるよう、そして、今後もっと進めていくために考えるヒントとなるようなメッセージを出せればと思いまして、案を委員の皆様にも御相談しつつ事務局で作成したものでございます。
 資料1-2の2にございますとおり、SDGsとESD、ユネスコスクールとESD、教育の質の向上とESDという3本の大きな柱で構成をしてみたものでございます。
 1点目として、SDGsとESDにつきましては、教育はSDGsのゴール4にあり、また、4.7というターゲットにESDというものが入っているけれども、それぞれ単にゴールの中の一つというだけではなくて、17のゴール全ての達成のために教育が人材育成を通じて重要な役割を果たすものであるということ、そのため、ESDがSDGs達成の観点からも引き続き重要であるということを明記いたしました。その上で、ESDの推進にSDGsを活用するということを是非次のステップとして取り組んでいただきたいということを盛り込んでございます。具体的には、東京の小学校で行われております学校での、ESDの実践を17のゴールに当てはめてみるという、これ自体は大変進んだ取組の事例を紹介しつつ、それを一部やることであっても大変意味があるのだということを説明したのがSDGsとESDのパートでございます。
 それから、2点目といたしましては、ユネスコスクールとESDでございます。ESDの推進拠点としてのユネスコスクールの役割を再確認しつつ、昨今の先進的な取組として、世界遺産ですとかエコパーク、ジオパークといったほかのユネスコ活動との連携によるESDの学習推進について、意味も含めて御紹介をしております。また、今後の方向性といたしましては、そういう好事例をユネスコスクールのネットワークへの主体的な参加を通じて広げていってほしいというところを発信するメッセージになってございます。
 それから、3点目が教育の質の向上とESDという大きなパートでございます。学習指導要領の前文や総則の記載から、ESDが学習指導要領全体において基盤となる理念として組み込まれたんだという理解をきちんと示してございます。また、これまでの実践の中で、ESDが教育内容や学習スタイル両方の変革や向上に寄与してきたという例を紹介いたしまして、そのようなESDによって変わってきた教育のスタイルというものが、新学習指導要領に示されております主体的、対話的で深い学びという改訂の方向性ととてもよく合致しているということを説明しております。このパートでございますけれども、学習指導要領につきましてはこう書いてありますという記載に係る事実関係と、ESDの観点からはこのように捉えることができますという当委員会の解釈の部分というのを、パラグラフを分けて示すようにしております。
 本日は、この形で案を作成させていただきましたので、御覧いただいて、こちらは飽くまで案ですので、御意見を頂戴できればと思っております。
 今後の予定といたしましてはきょう御議論いただいた内容、また、お持ち帰りいただいて、少し時間を取ってコメントも頂戴できたらと思ってございます。大体8月半ばまでにコメントを頂戴いたしまして、事務局の方で見上委員長と御相談しながら取りまとめをさせていただき、9月初めに開催されます国内委員会総会に御報告できればと考えております。その後、ホームページ等に掲載をして、広く見ていただけるようにしたいと思っております。
 大変簡単ではございますが、以上です。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。それでは、この発信の案に基づきまして、先ほどの議論を続けていただきたいと思いますが、どんな御意見でも結構ですので、どうぞお願いいたします。

【日比谷委員】  
 よろしいですか。

【見上委員長】  
 お願いいたします。

【日比谷委員】  
 今御説明いただきました「持続可能な開発のための教育(ESD)に取り組んでいるみなさまへ」という文書の2ページの上のところ、この小学校の事例は大変興味深いなと見たんですが、細かいところの字が読めないので、これはホームページに掲載ということですから、幾つも載せられるんですよね。

【鈴木国際統括官補佐】
 はい。

【日比谷委員】  
 そうすると、これは大変すばらしいもので、全て17のゴールに当てはめているんだけれども、網羅した総合的な取組でなくても、特有なものについて幾つかでもいいというそちらの方のいい事例とか、特に地域性、地域特有の課題は日本全国で全然違うと思うんですけれども。たとえ1つとか2つであっても、この課題についてこう結び付けられますという事例が示せると、具体性があるということと、さっき敷居が高いんじゃないかというお話があったんですが、これだけ見せると17全部やらなくちゃいけない、これは大変だというネガティブな反応もあろうかと思うんですが、いろいろなケースを取り上げて、参照できるようにしていただけるといいのかなと思いました。

【鈴木国際統括官補佐】  
 ありがとうございます。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。

【早川委員】  
 内容的な議論に入る前に、全体の感想なんですけれども、タイトルがこれでいいのかというのが第一。それはなぜかというと、「持続可能な開発のための教育(ESD)に取り組んでいるみなさまへ」ということで、取り組んでいない皆様は関係ないということになってしまう。

【見上委員長】  
 そうですね。

【早川委員】  
 そこは発信する相手のイメージをもっと広げた方がいいんじゃないかというのが1つ。
 それからもう一つは、全体に文科省文書としてはこれで多分いいんでしょうけれども、内容に異論があるわけじゃないんですが、大変読みにくいというか、専門的に扱っている先生なら読めるんだと思うんですけれども、これからやろうかなという先生に呼び掛けるとすると、なかなか分かりにくい。つまり、先ほど補足の説明であったように、ESDが消えてしまったのかとか、SDGsとどう関係するのかというあたりのことが1枚ぱっと見れば分かるというものがまずあって、その中で、実はこれこれでと書いてもらった方が多分見る側としては分かりやすいんじゃないかなというのは、中身うんぬんの前にとても大事な点じゃないかなと私は思うんですけれども。

【見上委員長】  
 これは、取り組んでいる方という表現になさった趣旨は何かあるんですか。

【鈴木国際統括官補佐】  
 実践者の皆様にまずは届けたいというのが最初ございました。広げた方がというのも一つの御意見かと思います。

【川端国際統括官】  
 長いことは事実ですよね。今おっしゃったようなことを1ページにもっと短く、まずすとんと答えだけ書いておいて、後でこっちを読んでもらうみたいな方がいいような気がしますね。

【早川委員】  
 補足でしゃべっていただいたようなことをぽんと書いていただければ、多分理解できるんだと思うんですね。

【及川委員】  
 いいですか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【及川委員】  
 ここの「メッセージ(案)概要」に1、2、3と項目だけ載っていますけれども、項目だけというよりも、これを少し文章化して、訴えたいことを要点としてまず1ページにアブストラクトとして書いて、あとは詳しく中身の補足としてこの文章があると多分読んでいただけると思います。また、項目のある部分に興味のある先生もいらっしゃると思うので、ある部分をこちらの本文で詳しく読むということもあってしかるべきだと思ったりしますので、ダイジェスト版が1枚あるということは非常にいいし、そこに関係図とかが入れば、それはそれで可視化できるんだと思いますけれども。

【見上委員長】  
 そうすると、実践されている方も、まだやってない方も、ますますこれからESDが重要になってくるんですよという趣旨が冒頭のところに出てくるといいんですかね。

【野村委員】  
 よろしいですか。

【見上委員長】  
 お願いします。

【野村委員】  
 繰り返しですが、私も最初これを拝見したときに、ESDを熟知している方向けで、例えば新任の先生とか初めて取り組もうとする方には訳が分からないだろうなと思ったんですね。そういう意味もありまして、先ほど申し上げたようなESDとSDGsの概念図みたいな何かがあるといい。ESDに初めて取り組む人には、ひょっとしたら項目すら分かってない方もいるかもしれないぐらいの前提で書き起こした方がいいだろうなと思いました。
 それから、早川委員がおっしゃったように、1つ1つの項目、小見出しのようなものも、もう少しキャッチーといいますか、やわらかく、引き付けるようなものがあった方がいいかと思いますし、事例もこれが全てではないと思いますので、幾つかあった方がよいかと思います。

【見上委員長】  
 秋永委員、どうぞ、お願いします。

【秋永委員】  
 ありがとうございます。今早川委員に頂いた、対象は誰なんだろうという御質問があったと思います。同じことを感じまして、提言の中に誰一人として残さないというコンセプトを入れているということは、これを最初読んだときは、主に学校の先生向けに書かれているものなのかなと感じたんですけれども、担い手というのは学校だけではなく、小中高、そして大学、企業、地域社会、ユースと幅広く様々なステークホルダーになっていく。ですので、それぞれに対してどういった行動を促したいのかというふうに項目や構成が分かれてくるといいのではないかなと感じました。
 もう一点、先ほど野村委員から、熟知している人であれば読みやすいんじゃないかというお話がありましたが、いつもこのような文書を拝見するときに、持続可能な社会というものが当たり前のように出てくると私は思います。SDGsという言葉も、もちろんキーワードではありますし、今世の中で当たり前のように語られているんですが、その意味や定義を明言しないままに使ってしまうことが多いのではないかということが実は危険だなと感じておりまして、例えば今回は、世の中の地球規模課題というものに対して、それを解決しながら、先進国も含めて誰一人残さず発展していくという社会を目指しているんですという分かりやすい一言がダイジェスト版のところにあることが重要だと思います。
 SDGsというのは地球規模課題を17に分けたものであり、教育を通して17の地球規模課題の重要性や解決の方法の考え方を伝え、子供たちを巻き込んで解決に取り組んでいくのがESDですというように定義付けができると、大変分かりやすいんじゃないかと考えます。

【見上委員長】  
 ありがとうございます。寺本委員、お願いします。

【寺本委員】  
 ずっと先ほどから議論をしていただいていますけれども、どうしても教育をする側の話とか先生の話というのがメインになっているんですが、教育なので当然児童生徒とか学生とか受け手があるわけですよね。もっと言うと、学校教育とかユネスコスクールといった教育部分だけではなくて、学校だけではできない社会教育とか生涯学習という部分でも地域の力をかりないと、恐らくこれを1つ1つ実現しながら、しかもサステナブルに継続していくということは難しいんじゃないかなという感じがするので、そういったことも何か分かるような書きぶりがあると有り難いと思っています。

【見上委員長】  
 阿部委員、どうぞ。

【阿部委員】  
 秋永委員がおっしゃったことで、SDGsというのは、今持続可能社会に向けて世界の国々が抱えているいろいろな問題を体系的に整理したものだと思うんですよね。これまでESDを進めるに当たって、こういった持続可能社会に向けた課題が十分に整理されないままに実施されてきたところがありまして、例えばこのパンフレットを見ますと、一番上のところに我々がいろいろ議論してきた課題が幾つか書かれていて、この課題はそれぞれの学校が着目する点に従って設定するものであるという流れで来ています。結局ESDのテーマとしてそれぞれの学校が何をしたらいいのかが、十分に情報として示されてなかったところがあるのと思います。
 今回のSDGsは、そういった重要な課題が網羅的に示されているという意味で、非常に意義があるのではないか。先ほど来お話が出ていますように、この課題に基づいて、ESDでテーマとすべき具体的な内容、社会の課題というのを改めて再整理して、ESDの中で取り組んでいく具体的なテーマをもう一度議論して、取り組んでいくという方向があるのではないかなという気がいたします。
 その意味で、私が気になっていますのが、この絵がよく出てくるんですけれども、ユネスコスクールのパンフレットの絵とSDGsのテーマとの関係が十分に説明されていないのではないかなという気がします。現場の先生方が見られたときに、ESDでこれまで取り組んできたテーマとSDGsの17のゴールがどうつながっていくのかというところで、何らかの情報をお示しする必要があるのではないかという気がします。

【見上委員長】  
 このパンフレットに出ている一番冒頭のところの環境破壊、貧困、テロというのが、SDGsの中の17項目にかなり重なってくるんだと思うんですけれども、今御指摘のように、確かに整理はしていないかと思います。

【及川委員】  
 いいですか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【及川委員】  
 これは長らく伝統的といいますか、ずっと使われてきたもので、阿部委員がおっしゃるとおりだと思うんですけれども、こちらの部分は飽くまでも学校の○○教育という窓口で言っている部分であって、SDGsはゴール、つまり課題、イシューですよね。課題としてやっている。だから、そもそも性格的に違う部分なんですよね。ただ、今おっしゃったように、だからといって違っていいというわけじゃなくて、整合性を図るというのがまず我々の課題の一つだろうというのが1点。
 それから、2つ目は、おっしゃるとおりで、この提案というかメッセージでも、先ほど阿部委員がおっしゃったことは随分書かれていると私は思っているんですけれども、長らくESDのSDの部分が曖昧というか、やっている人たちはそれぞれをフォーカスしながらやってはいるのですが全体としての捉え方が少し漠とした何でもありみたいな形があったのを、17のゴールで整理していただいた。整理したゴールでこれまでの取組を再評価というか、再価値化というか、もう一回価値付けしてやって、更に地域の身近な、日常的な取組が世界の課題にリンクしていく、そういうことをもって各地域の方々に元気と勇気を与えようというメッセージがここに込められていると私は思って読ませていただいたんです。
 そもそもSDGsとESDの関係というのは、ある意味20世紀後半のリオのサミットとかヨハネスブルクのサミットの原点に戻って考えるべきだと思います。持続可能な社会を構築するためにはエデュケーション、人づくりが必要だということでESDが始まったわけです。ですから、この関係性もその文脈で見れば、SDGsの部分は持続可能な社会を作るための達成すべきゴールであり、その達成のために人づくり、すなわち、エデュケーションが重要だということがESDです。それは20年前と何ら変わっている部分はなくて、Education for SDGsみたいに、ESDの中にSDGsを入れ込んで考えることが重要で、ゴール全てを対象というか、度追い求める部分という大枠の認識が必要だと思います。
 最後に、だからといって、ここにある学校のSDGsの取組例がありますけれども、これだけを出すと、各学校がこの分類図を作成することがSDGsだと勘違いしてしまって、このプロットに入れてしまう感じになり形骸化してしまうことが懸念される。学校では小中高全てが地域の課題、あるいは自分たちの課題に向き合ってずっとESDをやってきているわけなのですが、それが17のゴールのどこなのかということを意識することが重要なのです。それが、17全てである必要はなくて、それが1個であっても2個であっても3個であってもいいんですけれども、その部分についてきちんとコミットし、日々取り組み、地域レベルでも国レベルでも世界レベルでも貢献に資することになっているんだということ示すことで、現在ESDをやっている方々を励まし、これからやろうとしている方にいざないといいますか、お誘いをするという形でいいんじゃないかと思います。

【杉村委員】  
 よろしいでしょうか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【杉村委員】  
 今の及川委員の意見に大変賛成です。今回私もこの素案を読ませていただいて、大変興味深かったのは、1ページ目の下から2段落目に「しかし」から始まる一節がありますけれども、2行目のところにこう書いてあるわけですね。「『教育が全てのSDGsの基礎』であるとともに、『全てのSDGsが教育に期待』している、とも言われています」ということから考えると、今、正に及川先生がおっしゃったことがこの2行に集約されているように思われます。私もこの小学校の例はすばらしいと思うと同時に、これだけがモデルで独り歩きしてしまうとよくないのではないか、というのが一つです。
 それから、これも先ほど及川先生がおっしゃったことなのですが、今日、グローバル化とか国際化が言われる一方で、日本社会の非常に大事な課題は地域創生ということがあると思います。1000校のユネスコスクール、あるいはこれからESDに取り組もうとする学校が全国にあるわけですけれども、今おっしゃったとおり、17のゴールを実践することが目標なのではなくて、それぞれがある地域社会と学校が結び付いていることを考えたときに、この提言を実践したときに、どのゴールでもいいのですけれども、グローバルな課題と自分の地域の課題が結び付いているということを各小学校や中学校が考えることはすごく大事なのではないかなと思います。どんな小さなことでもよいと思うのですが、例えば環境の問題を考えるとき、地球規模の環境の解決に一気に行くのではなくて、小中学校の現場で身の回りの環境教育に取り組んでいる場合に、地域創生の一つにつながるような観点を考えるとよいのではないでしょうか。3ページ目の「地域の課題と結びつけた学際的で実際的な学び」という言葉にもこの点を上手に含めていただいているような気がするのですが、そういうところが目立つような形で、いろいろな取組が多様にあっていいのだという形で発信できると、更に現場の先生方は取り組みやすいのではないかと思います。
 その2点が気になりました。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。大事な御指摘だと思います。新学習指導要領の検討の中で、総合的な学習の時間のところの議論で、校長先生を中心として学校全体が地域の教育課題を探して、それを総合的な学習の時間にテーマとして設定しましょうというコンセンサスがあったように思うんですね。
 そうすると、地域の課題に持続可能な形で取り組んだとして、それが17の項目の中のどこに入るんだろうかとか、無理に1個か2個に入れてしまうとか、そうではないんだろうと思うんですね。だから、今お二人から御意見が出たような形で、SDGsというのはあるゴール、あるいは領域があって、その中で大事なことは、地域の課題を解決するというか、担ってくれる教育、子供たちを育てるということが基本であるということでしょうかね。そのように私はお伺いしたんですが。

【阿部委員】  
 1点いいですか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【阿部委員】  
 この小学校の絵ですけれども、これはESDを共通の基盤にして、目標を整理してあるということではないのですか。ESDが一番上にあって、あとは環境、人権、多文化理解ということで、それぞれのゴールを整理し直して、ESDというのは全てに関係するものですよという書き方ではないかなと。そうすると、非常に網羅的で、うまく整理されてすばらしいのではないかなと思います。

【見上委員長】  
 ESDで全体を考える。

【阿部委員】  
 例えばこういう形で示してあげるということが重要なのではないかなと。そうすると、ESDの位置付けもよく分かってくるのではないかなという気がします。

【及川委員】  
 ただ、学校とか地域レベルに関しては、これだけが事例として出ると、17のゴールこれを満遍なくやるという方向にどうしても先生方は行ってしまうと思うのです。
 国全体とか世界全体ではそういう見せ方をしますが、飽くまで取組ベース、実践ベースでいくならば、さっき野村委員、日比谷委員もおっしゃっていますけれども、例えばある学校のグッドプラクティスがこの中のこの目標の部分にコミットしているとか、そうすると、事例的にもいっぱいあるでしょうし、そういう形で小中高でも入れられるでしょうし、また、うちはこう頑張ってみようかなとか、こことここはうちはやっているなという話になると思うんです。
 
【阿部委員】  
 及川先生がおっしゃるように、確かに学校のレベルでは荷が重くなるようなところがあるんですけれども、逆に総合大学の場合は、社会に対してどう貢献するのか、どう出していくのかということを整理し直す上ですごくいい絵ではないかなと思うんですね。

【及川委員】  
 それはあるでしょうね。

【阿部委員】  
 特に大学全体の中でESDに対する認知度というのはそれほど高くないですから、改めてSDGsの中で位置付けて、大学の中で考え直していくというのも一つかと思います。私が以前から申し上げているように、高等教育の中でのESDの導入というか流れというのはすごく薄い、弱いところがありますから、これをきっかけに進めていければと思っていますので、是非よろしくお願いいたします。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。お二人の意見は両方から見た場合ということで、今SDGsとESDを並べたときに、別物ではなくて、こういう関係ですよという図としては非常にいいんじゃないかなという感じもいたします。ただ、1つ1つの学校の地域の課題に当てはめて、SDGsを意識してESDを進めようといった場合は、この中のどれかということが出てくるんだと思います。ありがとうございます。
 ほかにございませんでしょうか。

【杉村委員】  
 あともう一つだけ、よろしいでしょうか。

【見上委員長】  
 どうぞ。お願いします。

【杉村委員】  
 これはESDに焦点を当てたという文章ですので、これでよいと私も思うのですが、SDGsの観点から見たときに、恐らくESDがこれから新たに考えなくてはいけない観点があるように思っていることがあります。それは、SDGsのゴール4の最大のキーワードであるインクルージョンとエクイティという二つの言葉です。
 インクルージョン、包摂的なということをどう捉えるかですが、これは非常に大きな課題です。今、日本の社会ではダイバーシティということが随分言われるようになっています。これまでESDというのは通常の学校では取り組んでこられた。しかしながら、これからはもしかしたら特別支援教育とかインクルーシブ教育といわれる分野が対象とする障がいを持ったお子さんとか、そういった方たちがこれに取り組むことも想定していくべきではないかと考えます。それが持続可能な社会につながるのではないかと思います。
 そうなったときに、さっき阿部委員がおっしゃった資料の丸い図の中に、例えば環境とか防災とか生物多様性ということが挙げられており、それらはもちろん大事なわけですけれども、別の意味での多様性もこれからの学校教育は考えていかなければいけないのかと考えます。このことはとても重い大切な課題であり、大学もそれに取り組まなくてはいけないのに、まだできておりませんので、自戒を込めて申し上げるわけですけれども、SDGsとの関連で考えると、その点をどうするかがこれからの大きな課題だと思います。きょうの議論の論点ではないかもしれませんが申し添えさせていただきます。
 以上です。

【見上委員長】  
 必ずしも17のゴールを全てカバーしてないという点ですよね。

【杉村委員】  
 そうですね。それが非常に大きなところですね。

【見上委員長】  
 そのあたりも含みを残して、それをやっていてもESDだということになるといいですね。

【杉村委員】  
 おっしゃるとおりですね。そうだと思います。障がいのある方たちとかマイノリティーの方々とどう一緒に取り組んでいくことができるか、それがESDであるというところを是非アピールすることはすごく大きな励みになっていくと思います。また特に途上国などでは取り組みにくい部分もあるかと思いますが、日本だからできるところもあるような気がしております。

【及川委員】  
 すいません。

【見上委員長】  
 どうぞ、及川さん。

【及川委員】  
 それに関連して1つだけ。まさしく今おっしゃったことは常々感じまして、包摂的な部分で、学校教育とか公教育、そういうところで考えた場合に、ゴールの具体的な取組、実践が子供たち、親にもすとんと落ちるというか、そういうことが必要なんですね。だから、グローバル目標であるけれども、先生方に学校でやってもらう際には、同じ目線というか、本当に共感できるゴールにしなきゃいけない。
 その場合には、先ほど出てきましたけれども、地域に特化するという部分もあると思うんですが、もう一つは、子供たちの身の回りにある、あるいは学校が抱えている課題とリンクしなきゃいけない。それは、例えば先ほどハンディキャップを持っている方の話が出ましたが、人権とか差別のない世界というと、いじめとかでたくさんの子供たちが悩み、命を落としている中で、そのことを見ずしてSDGsとか世界の目標という話にはならないじゃないですか。日本のいじめという問題が、日本の人権とか差別の問題であるという意識を持ってやっていかなきゃいけないということが大事だと思うんですよ。
 そうすると、先生たちは、いじめ問題であるとか不登校であるとか、子供たちが持っている心の闇、そういう部分に今本当に一生懸命向かい合って大変な思いをしているんですね。SDGs、あるいはそれを追い求めるESDをやることによって、そこの部分に貢献して、学校の中で子供たちが自己肯定感なり、共生の意識なり、今言った社会的、人間的な多様性も学べるという形に行ってほしいと思います。ESDの推進の手引きにも、学力的な資質、能力の向上と、積極的な生徒指導に寄与するという部分にESDの効果があるという話を入れてもらったんですけれども、ここの部分もそういう観点で見ていくことが重要かなと思います。
 どうしても我々はすぐ貧困というと海外のことであると思ってしまいますけれども、今子供たちは6人に1人が貧困という状況ですから、満足に給食費を払えないとか、進学さえも閉ざされるような子供たちがいる中で、また、被災地であれば被災したことによってたくさんのハンディキャップを持っている子供たちもいるわけで、そういう国内の影の部分に光を当てて、子供の目線と国内の課題にも光を当てるSDGsになってほしいなと思います。
 以上です。

【日比谷委員】  
 今の御意見に関してよろしいですか。

【見上委員長】  
 どうぞ。

【日比谷委員】  
 いじめとかは非常に大きい問題だと思いますけれども、私が大変気にしていることが、日本の子供は国際比較でも非常に自己肯定感が低いんですよね。それはなぜかというのはいろいろな理由があると思うんですけれども、ESDのような取組を進めていくと、もっと自己肯定感のある子供たちが、育っていくんではないかと思うんです。例えば人権とか平和で公正な社会というのは、この国とこの国にギャップがあるみたいなことで捉えがちですけれども、例えば教室の中で本当に平和で公正なのかというと、そうじゃないから余り肯定感を持てない子供が出るんだと思うんです。このことが世界ではこうかもしれないけれども、一番身近なことではこうなんだよというつながりが分かるような図を示すというのは難しいと思うんですけれども、余り大きなことばかり考えずに、先生もそうなんですが、本当に身近なところでこれを達成していくにはどうしたらいいかという視点をどこかに入れられるとよいのではないかなと思います。

【見上委員長】  
 確かにそうですね。一番教育の根本で、今日本の場合は自己肯定感の問題がありますけれども、どうしたら肯定感が出てくるかがあるかと思いますね。それで一つ考えられているのがアクティブラーニングのようなことで、自分の考えていることを深めることでお互いに認め合えたらいいのかなということも出てくるかもしれません。

【及川委員】  
 日本におけるESDの実践の中でも、自己肯定感がかなり高まったというエビデンスは全国から出ています。ですので、そういうことを拾い集めてまとめていければ良いかと思います。

【見上委員長】  
 いいですね。ESDをテーマにやりさえすればいいのではなくて、本当はそれをどうやったかが大事なんだと思いますね。なかなかそれをこれに書いてまとめるのは大変なことですが。

【野村委員】  
 ESDに10年間で取り組んだところと、いじめの発生率とかの相関関係みたいなのは見られるんでしょうか。

【及川委員】  
 それはまだ調査する部分だと思いますが、実践事例としては、それでいじめがない学校になったとか、学力が高まったとか、様々な効果は報告されていますよね。それを調査としてきちんとデータにしているかというと、なかなかそういうところまではいってないので、今後我が国のESDの成果を世界に発信する意味でも、きちんとデータ化する必要があるんだと思いますけれども、事例報告ではたくさんそういうのが出ていますね。実際自分がやってみてそう思います。

【野村委員】  
 そうですか。

【及川委員】  
 人間関係の問題だったり、自然体験の問題だったり、子供にとって情操を育むような、あるいは人と人とのコミュニケーションだけではなくて、痛みも共有できるような様々な活動をしていますので、それはさっき言ったようにESDで確かに醸成されていて、先ほど早川委員がおっしゃったような長いスパンでの成果の一例になるんだと思います。

【見上委員長】  
 ただ、今出たような意見をこの文章に生かすとすると、大変かなと思うんですけれども。

【及川委員】  
 一大レポートになりますね。これは飽くまでも議論ですから。

【川端国際統括官】  
 もともとはやっている人がやや混乱しているから直しましょうということから始まった文章ではあるものの、今の議論は非常に本質的な今後の話になったので、そのうち取り込めるところは取り込んで、ということでよろしいでしょうか。

【見上委員長】  
 はい。ただ、本質的には非常に大事な御意見を頂いたと思いますので、御意見を参考にしていただいて、少し大変ですけれども、事務局で御努力を頂くと。

【川端国際統括官】  
 そうですね。ありがとうございます。

【見上委員長】  
 それでは、これだけは言っておきたいということはございませんか。どうぞ、早川委員。

【早川委員】  
 細かいことで申し訳ないんですけれども、せっかく作った「今日よりいいアースへの学び」を使わない手はない。全然出てこないので。

【見上委員長】  
 そうですね。

【早川委員】  
 分からない人も分かる人も、この言葉で共通理解をしようということで作ったものですから、何かあれば中に入れ込んで、度々に思い出すということが大事じゃないかなと思います。

【見上委員長】  
 これが出てくると、少しやわらかい感じがしますよね。

【早川委員】  
 やわらかい方がいいなと思います。
 全体が公文書みたいな感じなので。

【見上委員長】  
 御意見ありがとうございました。それでは、少し前に進めたいと思います。次に、議題3といたしまして、「ユネスコの教育関係事業について」ということに移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 これまでこちらの委員会は、割とESD、ユネスコスクールを中心に御議論いただくことが多かったのですが、ユネスコは教育の関係でもほかに多くの事業をやってございます。また、教育以外でも多くの事業をやっておりますことから、御紹介をさせていただきたいと思いまして、資料を作成いたしました。
 資料3-1を御覧ください。こちらは、特に自治体等が中心になってユネスコ関係事業に登録をしている事業を地図に落としてみたものでございます。この後御説明をするユニツイン/ユネスコチェア、ユネスコ学習都市というもののほかにも、クリエイティブ・シティズ・ネットワークというんですが、創造産業を核に持続可能な都市を造ろうという事業ですとか、御案内の世界遺産、エコパーク、ジオパークといった事業、特に自治体、地域を単位に登録されているものがこんなにあるんだという御参考に、こんな地図を作ってみましたというものでございます。
 それから、資料3-2に行っていただければと思います。同じユネスコの教育事業の中でも、高等教育分野でのユネスコの事業活動で、1992年から実施されておりますユニツイン/ユネスコチェアという事業の御紹介をさせていただきます。すごく簡単に申し上げると、ユネスコが推進する分野でのアカデミックな実践と、実践のネットワークにユネスコの名前を冠することでビジビリティを高めて、更に活動を活性化させようというものです。複数の大学が連携して実施するものがユニツイン、単独の講座として実施されているものがユネスコチェアでございます。
 この資料を裏にめくっていただきますと、日本のユニツインとユネスコチェアですが、ユニツインの方が京都大学を中心とするものと広大を中心とする2件が実施されております。それから、ユネスコチェアは今4件が動いておりますが、今年登録申請を募集いたしましたところ、4件が新しくユネスコチェアを始めたいということで、今ユネスコに申請中でございます。ユネスコの方から登録が認められないケースもあります。しっかりとユネスコとの関わり、また、持続発展性などを評価された上でユネスコチェア、ユニツインに認められています。
 それから、もう一つ御紹介させていただければと思いますのが、資料3-3のユネスコ学習都市でございます。こちらは、ハンブルクにあるユネスコ生涯学習研究所が構築をしようとしている生涯学習に取り組む都市のネットワークでございます。今42か国の188都市が入っているということでございまして、こちらも都市間のネットワークということで、生涯学習に関して事例の共有などの国際会議等を行っております。日本では、岡山市、それからつい最近佐賀県多久市が加入をいたしました。情報共有のための国際会議等が行われておりますほか、2年に1回すぐれた取組や顕著な進展のあった都市を表彰しておられまして、先ほども御紹介がありましたが、ESDへの市を挙げた取組というのが評価されて、岡山市が2017年ユネスコ学習都市賞の表彰を受けることが決定しております。
 私からは以上でございます。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。では、続けてユネスコチェアの方をいいですか。岡山大学の阿部先生、お願いいたします。

【阿部委員】  
 それでは、先ほど御紹介いただきましたけれども、岡山大学が2007年に、ESD推進のためにユネスコチェアの設置認可を受けております。一つの事例として御紹介させていただきたいと思います。当日配付の資料で、パワーポイントで4枚物の資料を御用意しております。
 岡山大学のユネスコチェアの申請でありますけれども、申請のきっかけとしましては、2005年に「国連ESDの10年」が始まりまして、岡山地域が国連大学が進めておりますESDの推進拠点であるRCEの最初の1か所として認定されたということで、これに対して大学としてもきちんと貢献していきたい、それから、RCE岡山の運営主体であります岡山ESD推進協議会の会長といったトップのメンバーが岡山大学関係者ということもありまして、申請に至ったというものであります。これは1枚目に示しています。2006年に申請をいたしまして、かなり長い交渉の期間があり、2007年4月に設置認可を受けております。
 2枚目のスライドに書いておりますけれども、目的と事業概要は、主たる実施部局が環境関係の大学院ということがありまして、国際的に活躍できる環境専門家を国連機関等と連携しながら養成していこうということです。それから、特に開発途上国への貢献ということを意識して事業を推進してまいりました。
 先ほど御紹介がありましたけれども、ユネスコチェアの認可を受けて財政支援があるかというと全くなく、お金は自分で工面しないといけないということで、こちらも当初はかなり熱心にやりまして、2枚目の真ん中に緑で書いております大学院関連のGPプログラムですとか、大学から概算要求する経費などの採択を受けまして、最初の間は財政的に余裕がございました。ただ、現在は非常に厳しい状況です。
 それから、ESD関係の大学ネットワークも2005年以降いろいろと設立されまして、例えば国連大学をやっておりますProSPER.Netですとか、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク、あるいはESD関係の文部科学省GPプログラムに採択された大学で作りましたHESDフォーラムといったところに当初から参加しまして、人材育成、カリキュラム開発等を行ってまいりました。
 それから、3枚目のスライドに参りまして、大学の中の組織としては、下の枠のところに書いております。岡山大学ユネスコチェアは全学組織でありますけれども、主として環境分野の大学院と学部が運営しております。それからもう一つ、教育学部の関係が、ユネスコスクールの支援ですとか学校教育へのESD導入ということで、ESD協働推進室を2010年度に立ち上げまして、先ほど御紹介しましたユネスコスクール支援大学間ネットワークの主たる運営組織ということになっております。それから、岡山は地域を挙げてESDを推進してきておりまして、2)のところに書いております岡山ESD推進協議会ですとか、京山地区ESD推進協議会、岡山県国際団体協議会、岡山ユネスコ協会といった地域のESD関係の組織に対して連携しているという以上に、それぞれの協議会の会長、副会長を務めるといった形で、運営自体にも実質的に関わっています。
 最後に取組を踏まえてということで、先ほど委員会の資料としてまとめていただいた内容とも絡むところがございますけれども、ユネスコチェアの利点ということで、これまでの経験を踏まえてまとめてみますと、ユネスコという機関の海外での知名度とか信用度といったことが挙げられるかなと思います。外国の大学に行って岡山大学と言っても、なかなか通用しないんですけれども、ユネスコチェアと言いますと、ユネスコですかという感じで、世界で通用する組織ということです。それから、ユネスコチェアのロゴを示しておりますが、こういったロゴを大学のコミュニケーションマークなどと併用して作成することができるということですね。我々のところはESDをテーマにしておりますので、ユネスコがESDの主導機関ということで、ESD関係のネットワークとか会議への参加にも随分協力していただきまして、そういう意味では、テーマの面で非常にメリットがあったかなと思います。
 課題としては、先ほども申し上げた設置認可に時間を要するということ、認可のハードルが高いということがございます。それから、資金的な援助がありませんので、自分たちで活動資金を確保しないといけないということです。また、大学の中で見た場合に、全学組織として設置されてはいるんですけれども、学内での認知度が低く、ユネスコチェアの名前は知っているけれども実際には何をやっているかよく分からないというところもございます。
 我々のユネスコチェアの特徴としては、地域のESD推進組織と緊密な関係があるということ、それから、認可当初に岡山市と推進に関する協定を締結しまして、それ以来協働して地域のESDの推進に努めていることです。もう一つは、ESDを進めるに当たって、大学はかなり専門性が強いことから、なかなかESDに対する理解を得られないということがありますが、我々のユネスコチェアの場合は環境分野ということで、SDということ自体は共通の認識になっておりますので、そういう意味では、部局内での理解が得やすいということがあったかなと思っています。
 簡単ですけれども、以上でございます。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。事務局の方から、我が国のユネスコ関係事業ということで説明いただきましたが、特にユネスコチェアにつきまして、岡山大学がユネスコチェア事業を進めておられますので、阿部委員の方から詳しい御説明を頂きました。
 これまでの御説明に対して御質問をお願いしたいと思います。
 まずは、これらの事業なんですが、ユネスコ国内委員会としては、この事業をもう少し活発に展開したいとか、日本としてはこういうものが特徴的なのでということはございますでしょうか。特に今のところそれぞれのところにお任せするという形でしょうか。

【鈴木国際統括官補佐】  
 事務局といたしましては、数を増やしたいという意図が特別にあるものではありません。

【見上委員長】  
 ユネスコ関係の事業は大変いろいろあるものですから、いきなり聞いたときはあれ何だっけという感じに私自身もなったりするんですけれども、それぞれの目的があって、いろいろな活動がなされているんだろうと思います。
 どうぞ、何か御質問がありましたらお願いいたします。

【阿部委員】  
 1点。

【見上委員長】  
 お願いします。

【阿部委員】  
 ユネスコチェアとかユニツインの関係は、もう少し広まってもいいかなという気がするんですけれども、文科省の方で何か大学に対してPRはされているんですか。

【鈴木国際統括官補佐】  
 ユニツインとユネスコチェアに関しましては、問合せも多く、また、今年度は突然4件も申請が来たということ、また、高等教育分野でもESDをというお話もございましたので、まずホームページの中にきちんとユニツインとユネスコチェアについて御説明し、登録の方法等についても紹介をするページを作ったところでございます。今は特にそれ以上の広報活動の予定はありませんが、一歩前進させたところでございます。

【及川委員】  
 質問をいいですか。

【見上委員長】  
 どうぞ、及川委員。

【及川委員】  
 資料3-3の「ユネスコ学習都市に関するグローバルネットワークについて」ということで1つ御質問なんですけれども、ある自治体がこれに非常に魅力を感じ、先ほど出た地域創生にこれを生かしたいというモチベーションを持っていらっしゃって、相談を受けたというか、情報提供を受けたときがあったんです。ですが、そこでネックになったのが1の参加資格で、おおむね人口1万人以上の自治体と書いてありますが、あいにくその自治体は町なんですが1万人に達してなかったということで、これについて何とかなりませんかという御相談を受けたんです。この辺の幅といいますか、おおむねと書いてありますけれども、いかがなものなのでしょうか。ある程度の幅があるのか、これは厳格なものなのかという部分なんですけれども。

【鈴木国際統括官補佐】  
 「おおむね」でございますので、ある程度の幅はあると考えられますが。明言はされておりませんが、直接御相談いただけましたら、こちらからユネスコの本部に個別のケースとして御相談することは可能です。

【及川委員】  
 それでは、そのようにお話しして、事務局に相談するように伝えますので、その節はよろしくお願いします。

【見上委員長】  
 活動が、非常にオリジナリティーがあるとか、ユニークであれば。

【及川委員】  
 ESDも非常に一生懸命やっていますし、あと、全部の学校をユネスコスクールにしようと申請して、認定されていますし、ユネスコ・エコパークの活動等もきちんとやっているところなんですね。そういう意味で、本気になってESDで地域創生、まちづくりをしようというところなので、この趣旨に非常に合致するところではないかなと思っていますが、判断につきましては事務局とユネスコの本部にお任せしようと思います。

【見上委員長】  
 エコパーク、ジオパークについては、ほかの小委員会がございますよね。

【鈴木国際統括官補佐】  
 そうです。自然科学小委員会の方の御担当になりますけれども。

【見上委員長】  
 そちらの方から何かありますかね。教育の観点からも大事だということですね。

【鈴木国際統括官補佐】  
 特にジオパークの方が最近熱心なんでございますけれども、教育との連携をしたいという御希望をよく伺っております。実際ジオパーク、エコパークとESDの活動が連携したものというのが昨今よく見られているところでございます。

【見上委員長】  
 エコパークもジオパークも、ここに名前が載っているもう一個スケールの小さなものがありましたか。

【鈴木国際統括官補佐】  
 ジオパークに関してはユネスコ世界ジオパークの他、日本ジオパークがございます。

【見上委員長】  
 そうですね。

【及川委員】  
 三陸とか。

【鈴木国際統括官補佐】  
 世界の方に認定されていないけれども、日本ジオパーク委員会で認定している日本ジオパークがたくさんあります。

【見上委員長】  
 ユネスコスクールが、近くにそういうものがあるのに、全く無関心なんですね。

【及川委員】  
 お互いにですね。

【見上委員長】  
 この間も、教育長さんがわざわざポスターを張っていらして、片方はユネスコスクールで、片方はジオパークだったかな。これはつながっているんですよと申し上げたんですけれども、いろいろまだ啓発の努力がありそうですね。
 何か御質問等ございますでしょうか。

【日比谷委員】  
 1つよろしいですか。

【見上委員長】  
 お願いいたします。

【日比谷委員】  
 阿部先生に教えていただきたいんですけれども、ユネスコチェアを設置なさって、前半でいろいろ議論しましたが、ユネスコスクールの支援というのは非常に重要だと思うんですけれども、具体的にどのようなユネスコスクールへの支援をなさってきたか教えていただけますか。

【阿部委員】  
 ユネスコスクールについては、先ほど来話も出ておりますけれども、岡山大学はユネスコスクール支援大学間ネットワークのメンバーになっておりまして、その一員という形で加盟申請ですとか、学校の中におけるESDの取組の支援を行っています。私自身は環境学分野の人間で学校教育には詳しくないということがありまして、教育学部の先生方が中心になってユネスコスクール支援を行っていただいております。

【日比谷委員】  
 そうすると、地域の学校が加盟したいというときに、そのプロセスを支援なさるということもしていらっしゃるんですか。

【阿部委員】  
 ユネスコスクール支援大学間ネットワークで地域分担を決めまして、それぞれの地域の中の学校の加盟申請ですとか活動支援をしているということです。

【日比谷委員】  
 分かりました。

【見上委員長】  
 もうちょっと大学の方も発掘したいところです。

【日比谷委員】  
 そうですよね。

【見上委員長】  
 ほかにございますでしょうか。それでは、ないようですので、議題のその他の方に進んでよろしいでしょうか。
 議題4のその他に移りたいと思います。事務局からユネスコ教育関連会議・事業等の今後の予定について御説明をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】  
 資料4にユネスコの教育関係の今後の主な事業を表にいたしました。先生方は皆様御関係のあるところでは、9月12日にユネスコ国内委員会総会を開催予定でございますので、是非御出席をお願いいたします。
 それからその5つ下ですけれども、今年10月30日から11月半ばまでユネスコ総会開催年となっております。国内委員会総会はその準備の関係の議題が入ってくるかと思います。
 それから、先ほども御紹介いたしましたように、12月2日にはユネスコスクール全国大会を大牟田市で開催の予定でございます。
 また、来年1月以降は全て未定となっておりますが、ESDの関係の円卓会議、関係省庁連絡会議、こちらの委員会も開催させていただくことになろうかと思います。
 それから、2番の方でございますが、きょうも御紹介をいたしましたESD賞、ユネスコチェア事業、学習都市のそれぞれの国内における登録、参加申込み、国内公募の締切りの大体の目安の時期をこちらに御紹介させていただいておりますので、御関心があればこちらを御利用ください。
 以上です。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。今後の予定につきまして何か御質問はございますでしょうか。ありがとうございました。
 そのほか特に報告、審議すべき事案等ございますでしょうか。
 私の方から一つよろしいでしょうか。
 きょう御議論いただいたメッセージの中に、東日本大震災の名称が出てきたものですから。あの震災は6年前ですが、そういえばあのときにユネスコのおかげでいろいろな支援ができたなということを思い出したものですから、その経験を参考までにポンチ絵としてお手元に今お配りさせていただきました。
 及川委員がおいでになるので、及川先生が気仙沼におられた頃、ちょうど大地震が起きまして、大学がどうしたかということなんですが、幸い大学本体は仙台市の丘の上にあったものですから、津波の被害もなく、揺れて建物が壊れただけで済んだんです。その後、学校をどう支援しようかといったときに、本当に何をどうしていいか分からなかったんですね。ところが、そのときにユネスコスクールのネットワークがあって、これを使わない手はないよねという話で、すぐ1日、2日のうちにこのルートを活用できました。
 すぐに文部科学省の国内委員会の方、あるいはACCUの方とか、ユネスコ協会連盟の方とも連絡を取って、ポータルサイトを作っていただいて、そこでいろいろな学校からの要望、逆に、企業さんとかの提供できるものをある種のお見合いみたいな、例えば今気仙沼の小学校でこういうものが欲しいんですがといったときに、そこに出して、その提供を受けて、大学が中継地になってお届けする。気仙沼の場合は、うちの方では人手が足りないということもあって、東北大学が担当してくださいまして、東北大学がどんどん送ってくれたんですが、そういう形で、被災地全体で活動が始まった。
 ですから、ユネスコスクールというのは、学習のためのネットワークなんですが、いざとなったときは支援、救援のためのネットワークにもなるということがあったので、頭の隅に置いていただけると有り難いということで、ポンチ絵を出させていただきました。
 あと、資料を頂いていますが、これはよろしいですか。

【鈴木国際統括官補佐】  
 本日配付いたしました資料の中に、ESD活動支援センターの新しいパンフレットと、英語の資料でございますが、先ほどのオタワの会議で私どもが活用した日本のポリシーサポートを紹介するパンフレットがございますので、付けさせていただきました。

【見上委員長】  
 分かりました。少し時間がありそうですけれども、オタワの会議で及川委員の方から、何か特徴立ったこととかお気付きになったことはございますでしょうか。

【及川委員】  
 先ほど事務局から御説明があったんですが、改めまして日本のESDの特徴といいますか強みというものを発信するとともに、自覚させられたという部分がありました。今日の議論に非常に関係することは、既に出ていることですが、先ほどポリシーサポートという話がありましたけれども、公教育でこれだけ広くシステマチックにESDを進めている国は、世界中でそうないだろうと改めて思いました。ユネスコスクール1,000校が示すとおり、量的な部分でも質的な部分でもシステム的な部分でも、非常にきちんと地域なり教育のシステムに根差したESDが進められているというのは一つあるかと思います。
 それを実現しているのは国内委員会、文部科学省、環境省、外務省を含めた全国レベルでのガバナンス、それから、地方の教育委員会でそれをきちんと理解してやっているところが増えてきたという教育行政的な部分が非常に強いということが2つ目。
 それから、3つ目は、何といってもそれが学校単独とかユネスコスクール単独で取り組まれているのではなくて、岡山、奈良、金沢、気仙沼、大牟田の例を見てお分かりのとおり、多様なステークホルダー、あるいはセクターが参画、協働して、地域を挙げて取り組んでいるというのも日本の大きな強みかなと思います。 その3点は大きく感じた次第です。
 あとは、きょうの議論で言えば、Education for SDGsの話をしましたけれども、ユネスコの方でも、くしくも全く同じ言葉を使って、Education for SDGsという資料を作っていました。ですから、ユネスコの方でも、我々がきょう議論したような方向性を持って進めているので、ここで議論したこと、あるいは我々が進もうとしているところは、国内だけの話ではなくて世界的な動きとして、国際レベル、ユネスコ本部と軌を一にしているのかなと思われました。
 以上です。

【見上委員長】  
 ありがとうございました。それでは、最後に事務局より今後の予定につきましてお知らせいただきたいと思います。

【鈴木国際統括官補佐】  
 今後の予定でございますが、先ほどの繰り返しとなりますが、9月12日に東海大学校友会館で国内委員会総会を開催予定でございますので、御出席を賜れればと思います。
 以上です。

【見上委員長】  
 それでは、これで閉会にさせていただきます。御多忙の中御出席いただきまして、ありがとうございます。

―― 了 ――

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