1.アジア太平洋地域教育協力信託基金概要
- ユネスコ・バンコク事務所への日本の信託基金の拠出は昭和45年に開始。これまで、万人のための教育(Education for All: EFA)(主に識字教育・初等教育等)事業やエイズ教育事業等を実施してきた。平成21年より、アジア太平洋地域における教育の充実に関する事業を実施することを目的としたアジア太平洋地域教育協力信託基金として拠出。
- 平成30年度予算案については、SDGsの策定を受け、達成に資する教育協力研究・交流等事業を実施するため、以下の通りとなっている。
- 予算額:平成29年度30,000千円、平成30年度(案)60,000千円
アジア太平洋地域教育協力信託基金予算額 (単位:千円)
年度
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26
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27
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28
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29
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30
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予算額
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33,214
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30,000
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30,000
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30,000
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60,000
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2.ユネスコ・バンコク事務所概要
- 職員数:約80名(うち、所長代理を含め、日本人職員は8名)
- 予算規模:20,649,563ドル(2014-2015の2か年予算)
うち、教育分野は、事業予算1,614,302ドル+外部資金12,707,528ドルの計14,321,830ドル
- アジア太平洋地域教育局:アジア太平洋地域内(46加盟国と2準加盟国・地域)のユネスコ加盟国やユネスコ地域事務所、国連カントリーチームに対し、教育分野における戦略的知見と助言の提供やモニタリングと評価等を実施。
- クラスターオフィス:メコン地域5か国(カンボジア・タイ・ベトナム・ラオス・ミャンマー)及びシンガポールの統括拠点として、同諸国における教育、科学、文化、情報、コミュニケーションに関するユネスコの全プログラムを運営。
3.ユネスコ・バンコク事務所での我が国の信託基金による事業例
- 万人のための教育:万人のための教育の目標達成のため、識字教育事業、初等教育のカリキュラム開発のための人材養成セミナー、基礎教育のネットワークの構築を実施。
- 公民館を活用した教育:開発途上国の人づくりに貢献するために、アジア・太平洋地域諸国の少数民族地域、農山村へき地、都市スラム等にコミュニティー識字センターを設置・運営。
- ICT:アジア・太平洋地域の初等中等教育教員等に対し、教育の場におけるITの有効活用能力の養成を目的とした研修、教育におけるICTの中央アジア地域シンポジウム、直近では 教育におけるICT政策開発支援を実施。
- HIV/AIDs:アジア・太平洋地域におけるエイズ教育の普及を図るため、エイズ教育のカリキュラム・教材の開発、指導者の研修等を実施。
- APEID:アジア・太平洋地域諸国における教育革新に協力するため、参加国におけるセミナー、ワークショップ等の開催、研修訪問団の派遣、我が国専門家の派遣等を実施。(教育内容・方法、科学・技術教育、特殊教育の各分野)。
- ESD:国連ESDの10年における地域戦略の策定及び、防災・減災を中心とした様々な観点からのアプローチによるESDに関する教員養成、能力開発等を実施。
- SDG-教育2030の実施支援・調整:世界レベルでのポスト2015教育アジェンダ策定のための議論にアジア太平洋地域からインプットを行うための協議の実施や、SDGs及び教育2030行動枠組み策定後のアジア太平洋地域におけるSDG-教育2030実施支援のための会合の開催等。
4.アジア太平洋地域教育協力信託基金の今後の活用について
- 今後の信託基金の活用について、現在、ユネスコ・バンコク事務所とも検討を行っているところ、基本的な柱(案)としては以下の3点を検討中。
- SDG4-教育2030のアジア・太平洋地域における達成への貢献
- 全ての事業におけるESD(持続可能な社会づくりの担い手の育成)の観点の導入
- ESD,CLC(公民館)といった我が国の知見を活かして現在進めている重点分野に加え、新事務局長の着任を踏まえ、我が国のイニシアチブで更に貢献すべき分野の特定
(例)PVE(Preventing Violent Extremism through Education)