日本ユネスコ国内委員会総会(137回) 議事録

1.日時

平成27年7月14日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

霞山会館 霞山の間

3.出席者(敬称略)

〔委員〕
安西祐一郎(会長)、羽入佐和子(副会長)、林原行雄(副会長)
青野由利、足立直樹、安達仁美、阿部宏史、礒田博子、井手明子、猪口邦子、井原正登、植松光夫、宇佐美誠、内海房子、榎田好一、及川幸彦、大津和子、岡田元子、岡田保良、長有紀枝、加藤淳子、川井郁子、河内順子、金原祥子、黒田一雄、西園寺裕夫、重政子、島谷弘幸、中川正春、中西正人、二瓶和敏、早川信夫、林梓、東良和、広瀬晴子、見上一幸、観山正見、山脇良雄(日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官))

〔欠席・委任〕
伊藤一義、稲葉カヨ、内永ゆか子、内山田竹志、小此木八郎、葛西敬之、黒田玲子、河野俊行、古賀信行、齋木昭隆(外務事務次官)、妹島和世、寶馨、那谷屋正義、西尾章治郎、野村道朗、萩生田光一、松野博一、松山政司、山中伸一(文部科学事務次官)、横山恵里子、吉見俊哉

〔外務省〕
高橋政司 国際文化協力室長

〔文部科学省〕
下村博文 文部科学大臣、今里讓 大臣官房国際課長

〔事務局〕
松浦晃一郎 日本ユネスコ国内委員会特別顧問(前ユネスコ事務局長)、籾井圭子 日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事

【安西会長】
定刻でございますので、第137回日本ユネスコ国内委員会総会を始めさせていただきます。御多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、事務局に定足数の確認をお願いします。

【野田補佐】
申し上げます。現在、出席の委員が34名でございます。委員59名のうち過半数を満たしておりますので、定足数を満たしております。
以上です。

【安西会長】
ありがとうございます。定足数が満たされているという報告がございましたので、日本ユネスコ国内委員会、開会とさせていただきます。
国内委員会の規定に基づきまして、本日の総会は、一部の議題を除いて傍聴の希望者に対して公開をいたします。
また、御発言は、非公開の部分を除きましてはそのまま議事録に掲載されて、ホームページ等で公開されますので、御了解いただければと思います。
また、本日の会議には、後ほど下村文部科学大臣に御出席いただく予定になっております。また、外務省の関係官に出席を求めております。そして、松浦日本ユネスコ国内委員会特別顧問にお越しいただいております。松浦特別顧問には、後ほど御意見を頂く予定でございます。
それでは、続きまして、本日の配付資料について不足等ありましたら、会議の途中で構いませんので、事務局までお知らせ願います。 また、審議の前に、今年3月13日に開催されました前回の国内委員会総会以降、委員の異動がありましたので、事務局から報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【野田補佐】
資料2、31ページを御参照ください。
6月1日付けで新たに中西正人委員、山脇良雄委員、この2名が委員に就任されました。また、香川俊介委員が7月7日付けで退任されましたので、御報告申し上げます。
以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。
新しい委員の皆様のお力もお借りいたしまして、我が国のユネスコ活動を一層推進していきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、議題1に入らせていただきます。前回の国内委員会総会で御議論いただきましたユネスコ70周年に向けた取組につきまして、日本ユネスコ国内委員会会長の70周年ステートメントを発表する方向で検討を進めております。事務局から、まずステートメントの骨子案と案文を製作してもらっておりますので、案文を基に御議論いただければと思います。
事務局から説明をお願いします。

【籾井国際戦略企画官】
御説明いたします。お手元の資料3、それから、資料4を御覧ください。この70周年ステートメントにつきましては、前回、3月のユネスコ総会での御議論、それから、6月に開催されました運営小委員会での御議論を踏まえまして、事務局案としてまとめさせていただいております。本日、御議論いただいた後、会長と御相談の上、文言を秋頃までに確定をした上で、英訳をいたしまして、11月3日からパリで開催されるユネスコ総会の場で公表する予定となっております。
まず、資料3でございますけれども、会長ステートメントの枠組みをお示ししております。まず、1といたしまして、ユネスコの今までの役割とこれからの方向性ということで、ユネスコ憲章に言及しつつ、70年前とはユネスコの置かれている状況が大きく異なることへの認識を示す。グローバリゼーションによってもたらされる新たな問題などについて言及をするということ。それから、我が国におけるユネスコ活動というのが加盟前から民間のユネスコ活動として起こったものであるということにも言及をしたいということでございます。
1枚おめくりいただきまして、2といたしまして、サステイナビリティと多様性を推奨するための取組として、教育、科学、文化等の個別分野における取組について言及をするという構成で考えております。
資料4がこの枠組みを基に実際に作文というか、文章にしてみたものでございます。最終的には表題を付けることを予定しておりますけれども、また、本日の御議論も踏まえて検討していきたいと考えておりますので、この点についても御意見を頂ければと考えております。
最初に、前文といたしまして、このステートメントを作成する背景、それから、ステートメントの意義を記載しております。前文の最後の段落でございますけれども、「ユネスコの役割を再確認し、ユネスコ及びその加盟国に対する期待を表明するとともに、わたしたち日本国民、特に若い世代に対して、ユネスコの意義と日常とのつながりを明らかにすることでユネスコに対する関心の向上を図る」ということを目的として、このステートメントを発信したいということを記述しております。
それから、1にあるユネスコの今までの役割とこれからの方向性の部分でございますけれども、まず、ユネスコを取り巻く環境の変化、それから、2ページに参りまして、ユネスコの役割の変化、そして、人々のつながりを導く知的リーダーとしての国際社会における役割の向上ということを述べさせていただいております。この知的リーダーとしての役割の向上につきましては、1枚おめくりいただいて、3ページのそのセクションの最後の段落になりますけれども、「国連の専門機関として、政府のみでなく、NPOやNGO、若者等の参画を広く得ながら、最先端の研究や知に基づいた21世紀のパラダイムシフトを促すとともに、教育・科学・文化に関する取組の指針を示し、加盟国や国際社会、世界の人々を導くことこそ、ユネスコに求められていることではないでしょうか。」という形で、ユネスコに対する期待というのを書かせていただいております。
2に入りまして、サステイナビリティと多様性を推奨するための取組ということで、4ページからが具体的な中身になっておりますけれども、まず、教育分野につきましては、経済発展に果たす教育の実利的な役割だけではなくて、多面的な教育の役割を考えながら、共通の利益としての教育、知識の重要性を再認識することが必要であるということ。そして、これまでも国内委員会としても取り組んできた分野でありますけれども、ESDですとか、グローバル・シチズンシップ教育というのが大きな意味をなしてくるということを述べております。
科学分野につきましては、国内委員会としてもサステイナビリティ・サイエンスに関する提言をおまとめいただいておりますけれども、そういった地球規模の課題に取り組むに当たっての統合的なアプローチというのが必要だということを述べております。また、文化の分野につきましては、文化的多様性の重要性について言及をしております。
最後に「おわりに」ということで、ユネスコへの期待というものをまとめるとともに、日本としての意気込みについて記述をしております。
以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。
皆様の御意見をお伺いする前に、松浦日本ユネスコ国内委員会特別顧問の御意見をまず伺って、それから皆様の御意見ということにさせていただければと思います。松浦特別顧問、よろしくお願いします。

【松浦特別顧問】
ありがとうございます。私は、このステートメントは、全体の流れはよくできていると思っています。是非日本のユネスコ国内委員会は、まさにいろいろなバラエティーに富んだメンバーからなっている国内委員会がこういうしっかりしたメッセージを国際的に、さらには国内的に発信していただくのは非常に良いと思います。
それを申し上げた上でちょっと三、四点、総論的なコメントを申し上げたいと思います。この中で非常に私が重要だと思いますのは、先ほど事務局から御説明があった2ページから3ページにわたってのユネスコが国際社会において知的なリーダーとしてしっかりした役割を果たしていく。先ほど御説明のときにございました、3ページの真ん中の結論で、こういう教育、科学、文化についての取組の指針を示して世界の人々を導いていくということがまさに重要ですが、ただ、私は、ここはもう一歩進めていただきたいと思うんですね。つまり、知的なリーダーとして一般的な指針を示すだけではなくて、その指針を更に今度は具体的に実施していくということが重要になってくるわけで、それはもちろんユネスコが単独にできるわけではなく、加盟国と協力したり、あるいは他の国際機関と協力したり、そういう。ですから、加盟国と協力し、あるいは他の国際機関とも協力して、こういう指針に盛り込まれた主要な点をしっかり実施していくと。
その際に、ユネスコでいろいろ議論が今、行われておりますけれども、ユネスコが海外に展開しております海外の事務所の役割というのは、私は重要になってくると思います。ですから、そこのところをもう一歩、3ページの結論のところを進めて書いていただいてはどうかと思います。
二番目に申し上げたいのは、その関連で、これは前回も申し上げて、さらには皆さんも重々御承知のように、今、ユネスコは大変な財政的な危機に直面しています。アメリカが分担金22%を払わないわけですけれども、それのみならず、私が非常に力を入れた任意拠出金です。これもアメリカはかなり出してくれたのをゼロにしておりますし、分担金は止めてなくても、カナダ、その他の先進国が拠出金を減らしております。その埋め合わせとして、一時、産油国等々がかなり出しましたけれども、なかなか埋め切れないので、いろいろな事業を縮小し、さらには、これは私、ボコバ事務局長といろいろなところで意見交換していますけれども、事務局長が一番やりたくない、事務局のスタッフの縮小ですね。ポストの削減。まだ削減は行っていませんけれども、定年退職の後のポストの縮小、さらには早期退職を奨励して、そのポストを廃止するというようなことで、私から見ると、一番ユネスコの宝である事務局の優秀なスタッフが減ってきている。そういうのをどう表現するかは別ですけれども、そういう困難を抱えているけれども、まさにユネスコのここに書いてあるような役割というのは重要なので、そういうものをしっかりやっていくように加盟国は協力していくべきだろうということをここに盛っていただいたらどうかと思っております。以上が第一点です。
二番目には、まさにそういう中で、ここに書いておられますサステイナビリティと多様性。中でもサステイナビリティの関係でESD、これは私、去年11月、岡山、それから、名古屋の会議も出させていただいて、ボコバ事務局長は名古屋も参りましたけれども、やはりこれは、まさにESDは、日本が音頭を取ってきて、今後もしっかり日本がリーダーシップを発揮していただきたい分野と思っています。ここはもうちょっと日本がやってきたことを自慢していいのではないかと。一般的にESDが重要だということだけではなくて、岡山、名古屋、これはいずれも民間レベル、政府レベル両方あるわけですけれども、そこを日本がやってきたことをもう少し紹介して、その上で、日本としてESDをまさにしっかり今後も国際的に実施していくということを日本としては協力していくんだという姿勢をもうちょっとここで出していただければと思います。
それから、三番目に申し上げたいのは、これはちょっと1ページ目に戻りますけれども、先ほど御披露あったように、47年に世界で初めて民間ユネスコ運動が日本で発足しているわけで、さらに言えば、この国内委員会の構成もそうですけれども、本当にバラエティーに富んだ、日本各地のユネスコの代表の方も参加して、日本の強みはそういうユネスコ協会、さらには、最近はユネスコスクールも非常に、もう900を超えましたので、ユネスコ協会、ユネスコスクール、そういう政府だけではなくて、非常に裾野の広い形で全国的な展開をもってユネスコという活動にそういうものを背景として参加している。これは、私は非常に日本の強みだと思っています。
ユネスコ協会だけとっても、数の上ではインドの方が上かもしれませんけど、実質的に一番活発なのは日本です。ESDを中心としたユネスコスクールも恐らく900を超えたというのは、日本が今、世界一になったんじゃないでしょうか。ですから、そういう非常に裾野の広い形で日本はユネスコの活動をやっているということをもうちょっと自慢という言葉は適切じゃないと思いますけれども、もうちょっと誇りを持って披露していただいていいんじゃないでしょうか。
以上、3点、私のとりあえずのコメントでございます。

【安西会長】
ありがとうございました。それでは、日本ユネスコ国内委員会会長70周年ステートメント、ただいまの松浦特別顧問の御意見も踏まえまして、是非皆様から御意見を頂ければと思います。どなたでも結構でございます。よろしくお願いします。
黒田委員、お願いします。

【黒田(一)委員】
ありがとうございます。まず、教育についてのところの記述で、経済発展だけではないというところを強調していらっしゃって、非常にいいと思うんですけれど、元々、「平和のとりでを築く」というところと教育が直結したものとしてユネスコでは捉えられていて、そこの部分ですね。平和に対する貢献というところを教育で元々考えていた。例えばその後には、世界人権宣言の文化の多様性のところに書かれているんですけれど、世界人権宣言の26項の1項と2項、世界の教育が人権であるということと、それから、2つ目に世界の平和に貢献するものとしての教育という、人権宣言の中にもそういった平和なアプローチということが教育について書かれていて、ここに共鳴してユネスコの教育の取組というのが行われていると理解しております。ですので、ほかのところに教育といいますか、平和についての取組のところが文化の多様性のようなところに入っているわけですが、教育のところにも、経済発展だけではないというところで、基として平和に対する考え方があったんだというところは、確認した方がよいのではないかなと考えました。
それから、もう一点、松浦先生がおっしゃったように、ESDについて、非常に日本は、これは生活のグローバルガバナンスに大きな貢献をしたと思います。日本が主導して国際社会で認知されてきた枠組みですので、是非そこのやってきたことについては、書き方は注意しながらでも、日本の取組として書くべきではないかなと思うんですが、それとともに、サステイナビリティ・サイエンスについて、この骨子の方にはあるようですが、申し訳ありません、私が見落としているのかもしれませんが、ステートメントの本文の中にサステイナビリティ・サイエンスの記述がないように思うんですが、これは日本から提案していることですので、是非この中でも新たにグローバルガバナンスに対して日本から新しいコンセプトを提案していることですので、言及していただく方がよいんではないかなと考えました。よろしくお願いいたします。

【安西会長】
ありがとうございました。それぞれ大変大事な点だと思います。本日、いろいろ御意見を頂きまして、それをまた事務局の方で整理していただいた上でステートメントにしたいと考えておりますので、皆様から是非御意見を頂ければと思います。
大津委員、お願いします。

【大津委員】
ありがとうございます。4ページの一番上の部分ですが、2番です。サステイナビリティと多様性を推奨するための取組のところの4ページ、一番上の塊の「また、」から始まるところです。「持続可能な開発のための教育(ESD)は、持続可能で多様性を尊重する社会の実現に貢献する智恵を育む教育」、「さらに、グローバル化が進む社会において、地球市民としての倫理、価値観を醸成するグローバル・シチズンシップ教育も大きな意味を成してくる」、そして、「人類の知識、智恵、倫理観」、ここのところが、私は非常に高く評価できると思います。これまでのESDについての説明文から一歩踏み込んだ形で、非常にクリアに表現されているかなと思います。ただ、こんなふうにステートメントにクリアに表現されて、それが現実にどのように学校教育ですとか、あるいは地域ですとか、広く様々な場でこれがどのように深められ、実践されていくのかということが大きな課題だとは思いますけれども、ここの部分については、私は大変力強さを受け止めました。
以上です。

【安西会長】
どうもありがとうございます。西園寺委員、お願いします。

【西園寺委員】
ただいまの大津委員のお話は、私も大賛成でございます。ユネスコ憲章の前文にある「人々の心の中に平和のとりでを築く」という意味を考えてみたときに、まず、1つは、知識を高めていくということだと思うんです。まさにいろいろな争いというものが人々の無知とか誤解から生じているということから考えますと、やはり知識を高めていくというのが第一の砦であって、それがユネスコ事業の中ではエデュケーション・フォー・オール、まさに万人のための教育ですね。
それから、その次が智恵を高める。つまり、情報や知識があったとしても、それをいろいろな社会の変化の中で活用していくか智恵が必要であり、智恵を高めるということが第二の砦になるのだと思います。それがユネスコ教育事業の中ではESDにあたるのではないかと思うわけです。
さらにその上に倫理という第三の砦が必要になります。倫理というのは人と人とのつながり、あるいは人と地球とのつながり、そういう全体を考えることだと思うわけで、それがユネスコが新たな教育事業として推進するグローバル・シチズンシップ教育ということだと思うわけです。ですから、知識と智恵と倫理観、これを一人一人の心の中に高めていくことが「平和のとりでを築く」ことであって、それらの人類の総和が大きくなればなるほど平和に向かっていくことになると思うわけです。人類の知識と智恵と倫理の総和を高めるこの働きをしていくのがユネスコの大きな使命であって、それがまさに人々の心の中に平和のとりでを築くということではないかと思います。
【安西会長】
どうもありがとうございます。今までのところで特に教育について、グローバル・シチズンシップ教育、知識、智恵、倫理、また、平和の問題等々のいろいろ御意見を頂きました。また、ESDの問題もそうでありますし、松浦特別顧問からは、実際に加盟国が共同して実施をしていく実践のことも、それから財政危機の問題、職員の問題、また、ユネスコスクール、ユネスコ協会等、やはり多様な活動が一緒にやられるということが大事だという御意見を頂いておりまして、それぞれおっしゃるとおりだと思います。ほかにはいかがでしょうか。
島谷委員、お願いします。

【島谷委員】
ありがとうございます。先ほど松浦先生がおっしゃったように、指針を示して具体的に実施するということが非常に重要なことかと思います。お互いの国の多様性の理解を推進するというのも、ユネスコにとってとても重要かと思いますが、これは、私、今やっておりますが、文化活動、博物館・美術館の活動でございますので、相互理解のためには、お互いの交流の展示等をやっておりますが、お互いの国のことを知れば知るほど、そういった誤解を招くことがなくなると思いますので、具体的にそういったことをやっていかなきゃいけないという部分で、国内の中の文化にも多様性は非常に多くございます。同様に、それが国レベルになると、さらに多様性を増してまいりますので、そのために日本からの情報発信をするということがまだ十分ではないように思います。
以前にも申し上げたことがありますが、お隣の韓国、中国、非常な勢いで情報発信をされておりますが、日本からはまだまだ十分ではありませんので、輸入する展覧会、本日から、私が勤務しております九州国立博物館で大英の展覧会が始まりましたけれども、そういう輸入した形の展覧会というのは非常に多いんですが、日本文化の情報発信というのが十分でないので、日本理解というのはどこまで世界に出ていっているかというのがまだまだ足りないところだと思っております。だから、この観点であるとか、そういった具体的な施策を示し、各独立行政法人だとか、美術館に任せる部分と政府が推進している部分を併せた形で方向性を示すようなことが重要になってくるんではないかと思います。それによって、さらに世界のリーダーシップも執れるし、アジアのリーダーシップも執れるという形になると思っておりますので、そういった点も考慮していただければよいかと思っております。

【安西会長】
どうもありがとうございます。猪口委員、お願いします。

【猪口委員】
すみません。遅れて参加しながら、発言申し上げますことをちょっと許していただきたいんですけれども、このステートメントにつきまして、非常にすばらしい内容で、私からも感謝申し上げます。まず、ESDは非常に大きな成果、委員のほかの先生方に、私も合意したいと思います。
それで、この冒頭の「戦争は人の心の」、この書き出しもとても原点で重要なことであって、それとの関係で、このステートメントに今、入れてほしいということじゃないんですが、せっかくの機会ですから、先生に、いつかその考えを受け入れてもらいたいかしらと思って発言するんですけど、平和、国に平和、人に人権、そして、今日の平和の破壊されていく本質は、かつての冷戦期のようなイデオロギー対立とか、そういうことだけでもなく、偏見や差別、ヘイトクライムの延長、様々な要素があると思うんですね。
それで、もしこのユネスコ憲章の冒頭の永遠のこの言葉に付け加えることがあるならば、戦争は人の心の中でということに対して、差別は人の心の中に生まれるものであるから、人の心の中にとりでを築かなければならない。今の時代だったら、そういうことが平和の本質に実はつながる話なんであると。そういう理由から、平和が崩れていく。つまり、そういう偏見や感情的な部分での武力衝突が大きな事態に至るということが実際には多いんではないかと思いまして、いつか日本からそういう発信ができたらいいかしらと思って発言申し上げます。

【安西会長】
ありがとうございました。これまでのところ、持続的発展、また多様性ということが強調されておりまして、人権等々のことについては、やや今までのところは控えめであったと言ってよろしいかと思います。そういうことをこの機会にどうするかということは、皆様の御意見をむしろ伺っておければと思います。
ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。長委員、お願いします。

【長委員】
ありがとうございます。私も遅れて申し訳ありません。
このステートメントのそもそもの目的であり、あるいは名宛人がこのステートメントの1ページ目の1の前書きの部分にありますように、「このような状況において」、「ユネスコ及びその加盟国に対する期待を表明するとともに、わたしたち日本国民、特に若い世代に対して、ユネスコの意義と日常とのつながりを明らかにすることで」という、これが目的であるならば、ユネスコの意義というのは、今まで先生方がおっしゃったとおり、十分に語られているかと思うんですが、日常とのつながりという点において、例えば子どもたちということを意識するのであれば、まさに今おっしゃった人権とかと関連して、いじめ問題など、何かこれを読む人たちがユネスコを遠い世界のことではなくて、私たちが関係しているものなのだということが分かるような導入があるとよろしいかなと思いました。
それから、松浦先生が冒頭でおっしゃったように、日本とのつながりが余り書かれていなくて、日本の税金がどれだけ使われているかとか、そういうことがあると、より遠いユネスコではなくて、本当に身近なユネスコについてのステートメントなんだというような意識が高まるかなというふう思いました。ありがとうございます。

【安西会長】
今おっしゃった若い世代に対しての部分でございますけれども、若い世代がなかなかユネスコを本当に身近には感じなくなっているのではないかということがバックにあるように思います。そこをもっと我々の身近な世界に引き寄せるような書き方というのはあり得ると思います。ありがとうございます。
中川委員、お願いします。

【中川委員】
私も一言だけ。先ほど拠出金が出てこなくなって、存続の事態がそろそろ危機的な状況になってきているというよりも、なってくるんじゃないかというふうなお話がありましたので、そういうことからいくと、ちょっと基本に返って、ユネスコの役割というのを国連の今の安保理と対比してしっかり述べていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、ある先生がいいことをおっしゃって、安保理というのは医学で言えば西洋医学で、外科手術をして、対症療法的に対応する。それで精いっぱいなんだと。
ところが、こっちは東洋医学で、元に戻って、いかに深いところで病理を克服していくかという、いわば文化的な背景や、あるいは宗教的な対立やというものを複眼的にお互いに理解しながら、そこから、そろそろ私の思いで言えば、和して同ぜずの世界を作り上げていくかと、そういうことが安保理なんかでやっている議論とは対照的なんですと。その2つがそろって初めて平和というのがあるんだ、いわゆる平和に対する対応というのがあるんだということをもっと醸し出していただいて、そこが大事なんだということをこの際に強調していただければなというふう思いました。だから、安保理の在り方に対してもここに書いていただいて、さっきのように。それに対じする形で、我々はこう頑張っていくんだというふうなことがちょっと刺激的にあってもいいと思うんですが、どうでしょうか。

【安西会長】
おっしゃることは大変意義深いと思います。書き方、また、アピールの仕方については少し検討しなければと思いますけれども、おっしゃることは十分理解できることだと思います。ありがとうございます。
ほかにはよろしいでしょうか。林原副会長、お願いします。

【林原副会長】
今お話を伺いまして、非常にもっともだということを感じました。第一に、松浦先生がおっしゃったことでございますが、このステートメントは安西会長のお名前で日本からのメッセージとして出すわけですから、日本がアピールすべきことをもう少し強調した方がいいと思います。つまり、このステートメントはアメリカの人が書いたものでもない、ドイツの人が書いたものでもない、フランスの人が書いたものでもない、日本ユネスコ国内委員会の会長が出したステートメントだということをもう少しアピールする内容にすべきだと思います。例えば日本の提唱で始まったESDとか、日本が最も進んでいるユネスコスクールの活動というものをもっと前面に出すことについては、全くそのとおりだと思います。
それから、もう一つ、細部のことですけれども、去年の提言では若者と企業の参加を今後積極的に推進することを大きなテーマにすると言ったと思いますが、企業の参加を求めようという面が少し足りないのではないか、もうちょっと入れてもいいんじゃないかなと思います。例えば3ページの一番上のところですが、NPO・NGOが国境を越えうんぬんというのはそのとおりですが、国境を越えてグローバル化したのは何といっても企業でありまして、これは70年前、50年前、30年前、あるいは20年とも大きく違っており、今や海外の売上高が国内売上高を上回っている企業が、大企業だけでなく、中小企業でも非常に増えております。そういった企業が単に経済活動だけでグローバル化を図るだけでなく、文化、科学、教育の活動でも大いに参画することを推進しようというのを、もうちょっと強調していただいた方が、よろしいのではないかなというふうに感じました。
以上、2点でございます。

【安西会長】
これもおっしゃるとおりだと思います。ほかにはいかがでしょうか。及川委員、お願いします。

【及川委員】
ありがとうございます。今の話にも関連するんですけれども、先ほど松浦先生の方から3つの非常に示唆深いお話を頂きました。その中の「指針をもっと具体的な実践へと一歩進めた形で」という観点と、それから、「日本からのよさの発信ということで、もっとESDを強調した方がよろしいんではないか」という御助言に対しての1つの、意見というか、コメントなんですけども、4ページ目の先ほど大津委員も指摘されました「また、」からのパラグラフの中で、「持続可能な開発のための教育は、持続可能で多様性を尊重する社会の実現に貢献する智恵を育む教育」というところが、ESDに関しての記述部分にあたるわけなんですね。
ところが、我々はESDを日本政府として2002年に提案して、2005年からの10年間、取り組んできたわけなので、その取り組んできたことで何が成果として世界に発信できるのかということをやっぱり短くとも入れるべきではないかなと私自身は思っています。特に教育セクター、あるいはローカルレベルといいますか、そういうところから言えば、やはり教育に対するESDのインパクトといいますか、大きなイノベーションが起き、今まさに日本の教育、あるいは世界の教育がESDに取り組むことによって、先ほど話にあったようにインクルーシブになり、インテグレートにもなり、やはり探求的な部分でも、大きく今、動いているという1つの流れがございます。もう一つは、これも先ほどのお話にもありましたように、地域においてはマルチステークホルダーといわれるように。各主体が連携しながら、地域のイシューといいますか、課題について向き合って、みんなでそれを解決しようという取組が生まれつつあるし、国際的にもそうなのではないかなと思います。
そのことは、世界会議でも強調されまして、教育のイノベーションと、それから、持続可能な課題に対するみんなのパートナーシップによる取組というのがハイライトされたわけですね。そういうところが日本が発信したESDによって、今そういう流れができているというふうなことについて、分量の問題とか、バランスの問題もあると思いますが、簡単で構わないと思うんですけれども、盛り込むべきと思います。これを入れることによって、ESDが日本の発信であり、日本のオリジナリティーであり、大きな世界に対するドライビングフォース(推進力)を今、提案している、そして、これまでもずっと提案し続けてきたんだというふうなことを是非提言いただくと、実践している者にとっては大きな力の支えになりますし、国際的にもそういうところについては共感を生むのかなと思います。
以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。
西園寺委員、お願いします。

【西園寺委員】
この表題なんですけれども、「日本ユネスコ国内委員会会長ステートメント」と。これは「安西ステートメント」というふうに固有名詞を入れていただきたい。これは発信するときには、それはただ会長ステートメントじゃインパクトがないんで、是非顔の見える形で安西ステートメント、安西会長ステートメントというふうに私はしていただきたいと思います。

【安西会長】
このステートメント、会長と付いておりますけれども、これは日本ユネスコ国内委員会としての皆様の御意見の下、国内委員会がユネスコ本部に対して、総会に向けて70年の節目に出すステートメントだというふうに理解しておりまので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。

【西園寺委員】
是非国内委員会を代表して、安西ステートメントという形で。私はそういう形にしていただいた方がインパクトがあると思います。

【安西会長】
皆様次第ではありますけれども、再々ですけれども、国内委員会としてのステートメントだというふうに理解しておりますので、是非そういうふうにお取りいただければと思います。どういうふうに呼ぶかというのは、少し検討させていただければと思います。
植松委員、お願いします。

【植松委員】
ありがとうございます。日本は持続可能な開発のための教育ということを重点に打ち出されていると思いますが、それと同時に、教育をするためにはサイエンス、科学が必要だ。そういうことで、以前からサステイナビリティ・サイエンスということを我が国では打ち出していると思います。そういった面では、4ページ目の2段落目です。もう少し科学について総合的な科学、ここにサステイナビリティ・サイエンスというキーワードを是非加えられてはいかがと。日本ということで強調できるんではないかと考えました。
以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。今の件は、黒田委員からも御意見ありまして、検討させていただければと思います。
足立委員、お願いします。

【足立委員】
西園寺委員がおっしゃったように、このステートメントは会長のちゃんと個人名を入れてやるということが私はいいことではないかなというふうに。日本の文化というのは、何か一歩下がったような感じでやってくるのが日本の文化で、これが奥ゆかしいという日本の文化らしいところがあるんですけども、こういうようなときには、やはり個人のちゃんとした意思を出していくということが私は大変重要なことではないかなと思いますので、是非日本ユネスコ国内委員会の総意だということはもちろんですけれども、その上にいるガバナーとしての委員長の名前を明示していくということが大変重要なことであろうかなと思います。
それとともに、日本ユネスコ国内委員会がやってきた足跡というものを改めて強調する。日本らしさというものをもっともっと強調していくことがいいんではないかなと。何かこういうことになると、昔から日本というのはちょっと控えめにやってくる文化というものが日本の文化だというふうに、また、この逆に言ったら、その日本の文化の日本らしい文化というものをいわゆるユネスコの中に植え付けていくためにはどうすればいいんだということも考えながらやっていかなきゃいけないだろうと思いますので、是非そういうものを含めて、日本の足跡を含め今後のあるべき姿ということもやっていければいいんじゃないかなと思います。
それとともに、文言なんですけれども、先ほどの4ページのところで、これまた安西さんの言っていた、西園寺さんも言っていた、知識、智恵、倫理観ということがあるわけでございますけれども、それに加えて日本の持っている知性というもの、個人の持っている知性はどうあるべきなのか。知識と知性というのはちょっと違うジャンルではなかろうかと思いますものですから、是非知性をどういうふうに育んでいくのかということも重要なことではないかなと思いますので、こんなものも付け加えると有り難いと思います。
私からは以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。名称につきましては、なるべく多くの方の御意見も頂ければと思いますので、この70年の間、戦後、世界で最も早く国内でユネスコ活動を始めたのは日本だというふうに理解しておりますし、それ以来、多くの方々の努力の蓄積でここまで来たわけでございますので、それは是非、共有させていただければと思います。
それから、教育、科学、文化について、もう少し踏み込んで、元気のいい、チャレンジングなこれからの時代に向けてのステートメントであってもいいのではないかという気もいたしますので、本日は是非いろいろ御意見を頂きまして、それをまた整理させていただいてと思います。どうもありがとうございます。
広瀬委員、お願いします。

【広瀬委員】
ありがとうございます。中身については、皆さんおっしゃったことに私も賛成ですし、このステートメントも非常にいいことをおっしゃっていると思うんですが、やはり日本は今まで、松浦顧問がおっしゃったように拠出金が、アメリカやイギリス、シンガポールといった国が脱退していたときも、それから、今もアメリカが払わない中で拠出金としては第1位の出資国ですし、任意拠出もたくさんしているし、それから、それだけでなく、松浦事務局長も輩出しているしということで、やはりユネスコの活動をずっと支えてきた一大国でありますから、今後も日本がリーダーシップを執っていくんだという気概を込めて、日本のやってきたことをきちんと言うだけで、発信するだけでなく、今後についてもリーダーシップを執っていくんだというぐらいの気概を込めて、それから、会長の思い入れも込めてパンチのある発信をしていただければ非常にいいんではないかと思います。やはりいいことを言っても、日本でなくても、一般的にいいということだと人々の心に残りませんので、メンバー国にも、それから、日本の若者に対しても、パンチのある文章にしていただければと思います。

【安西会長】
ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。もう少しパンチの効いたとおっしゃいましたけれども、その方向で検討させていただければと思います。
岡田委員、お願いします。

【岡田(保)委員】
ありがとうございます。パンチの効いた話になるかどうか分かりませんが、私、今、世界遺産にずっと関わっておりますが、4ページのところで文化財の保護・保全について言及していただいているのは非常に結構かと思うんですが、やはりここによりパンチを効かすという意味では、世界遺産条約というふうなものに対する改めての評価。特に近年、世界遺産委員会をめぐって、それがややともすれば、本来なら平和安全に資するべき議論の場がそれに逆行するような傾向がなきにしもあらずという懸念もあるわけで、ここで日本も大いに貢献している世界遺産条約というものが文化財保護・保全の1つの代表的な事例でもありますし、ここでその文言を挿入していただいた方がいいのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【安西会長】
ありがとうございました。教育、科学、文化、世界遺産も含めて文化、それから、コミュニケーション等々、それぞれについて前向きのステートメントにすべきではないかと思います。ありがとうございました。
羽入副会長、お願いします。

【羽入副会長】
ありがとうございます。委員の皆様の御意見を伺っていて、パンチの効いたという広瀬委員のお話も伺って、もっと前に発言すればよかったと思いながら発言させていただきます。
具体的には、2ページ目のユネスコの役割の変化というところがございますけれども、その役割が何であったか。そして、いまだに役割が重要であるというようなことが「一方、」というパラグラフの中に記されていると思います。そこに今まで委員の皆様がおっしゃったようなことをもう少し丁寧に書き込む必要があるのではないかという気がいたして聞いておりました。
当然のことながら、教育のことが重視されるべきではありますが、教育が必ずしも全ての人々にとって可能な状況でないという事実もあるわけで、そういうことを考えましたときに、先ほどの人権というお話もございましたけれども、それ以外にも、科学をどう発展させるかということもまた大きな課題になっています。ユネスコの役割の変化というところ、少し後段に、日本ユネスコ委員会がどういう問題意識を持っているかということを書き込むのがよいのではないかというふうな気がいたしました。それによって、次の2のところのサステイナビリティ、多様性につながっていくのではないかというふうな気がいたします。役割の変化をどう認識しているかというのは、割に重要な内容になるべきことかもしれないと思っております。

【安西会長】
ありがとうございました。具体的なことから理念的なことまで、教育、科学、文化等々、あらゆることに関わる大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
11月のユネスコ総会に向けて、本日頂いた御意見を踏まえて、もう一度、修正案を作りまして、それをメール等でお回しして、それについて御意見を頂いて、最終的には、恐縮ですけれども、会長一任というふうにさせていただければと思いますが、皆様それぞれ本当に御見識おありですので、できるだけ皆様の御意見を生かすようにさせていただければと思いますが、今のやり方でよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【安西会長】
事務局はよろしいでしょうか。
それでは、もう一度皆様の御意見を頂いて、それでステートメントとさせていただいた方がよろしいかと思いますので、そのやり方で御了解いただいたということにさせていただきます。改めて大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
それでは、御多忙の中を下村文部科学大臣にお越しいただいております。是非御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願い申し上げます。

【下村大臣】
途中で恐縮でございます。文部科学大臣の下村博文でございます。本日は、お忙しい中、第137回日本ユネスコ国内委員会、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。日頃から、我が国のユネスコ活動に関して御助言、御協力いただいておりますことを厚く感謝を申し上げます。
まず、今月上旬に開催されたユネスコの世界遺産委員会におきまして、我が国から申請しておりました「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産として登録されました。我が国の世界遺産は、文化遺産、自然遺産を合わせてこれで19ということとなります。今回の登録が幅広く世界の方々にとって日本文化と歴史の価値、ユネスコ活動に関する理解を深めるさらなるきっかけとなるということを期待申し上げたいと思います。
本日は、今、御議論していただいていたわけでありますが、ユネスコ70周年に向けた取組及び第38回ユネスコ総会への対応について議論していただいているわけでございます。1945年のユネスコ憲章採択から、ユネスコは「人の心の中に平和のとりでを築く」という理念の下、国際平和と人類の共通の福祉の促進を目的として活動に取り組んでまいりました。
一方で、情報化、価値観の多様化やグローバル化の進展に伴い、70年前には想定しなかった地球規模の複雑な課題が現れており、平和の構築に向けたユネスコの役割はますます重要になってきていると考えます。
本日は、皆様方から頂いた意見、また後でメールでも御意見をお寄せいただきたいという、今、安西会長からのお話がございました。11月のユネスコ総会で、ユネスコ及びユネスコ加盟国に対してしっかりとした、我が国らしいメッセージを発信したいと考えます。ユネスコ活動を国内にさらに浸透させるため、さらに皆様方の御協力を頂きながら、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
ESDの推進については、昨年11月に開催されたESD世界会議の成功を受け、我が国が引き続き世界のESDの取組をけん引するため、現在、ESD特別分科会においてESDのさらなる推進に向けた取組の検討を行っていただいております。また、世界で最も多い、約900校のユネスコスクールをはじめESDの推進のためのコンソーシアムの形成などにより、一層のESDの普及促進を図っているところであります。委員の皆様方におかれましては、今後ともESDの推進に御協力をお願いいたします。さらに、国際的にも、ユネスコへの信託基金や世界中のESDのすぐれた取組を表彰するユネスコ/日本ESD賞への支援を通じて引き続きリーダーシップを発揮していただければと思います。
ユネスコの科学分野の活動に関しては、従来からアジア太平洋地域の人材育成を中心とした取組を進めているところでありますが、複雑化する様々な地球規模課題の真の解決のためには、サステイナビリティ・サイエンス、すなわち自然科学だけではなくて、人文社会科学も含めた多様な分野からの統合的アプローチが必要であると考えます。今後のさらなる推進に向けて、委員の皆様方には幅広い知見を活用した活発な御議論及び取組をお願いしたいと思います。
また、我が国では、7つのユネスコエコパークが認定されおり、自然と人間が共生しながら持続可能な発展を図るための活動が進められております。地質学的遺産の保護と国際的な認定を目的としたジオパーク事業と併せ、これらの地域に密着した活動を通じて地方の創生が実現されるよう、委員の皆様方のお力をお願いいたします。
文化分野の活動については、今年5月に石川県金沢市におきまして、ユネスコ・クリエイティブ・シティズ・ネットワークの世界大会が開催されました。世界各国の加盟都市の市長らが一堂に会する貴重な交流の機会となったと伺っており、我が国における本事業の活動が更に活発化するものと期待をしております。また、ユネスコ記憶遺産につきましては、近年、我が国における本事業への関心が大変高まっており、このたび初めて国内公募を行ったところ、16件の申請がありました。今後行われる選考委員会におきまして、我が国の記憶遺産としてふさわしい案件が選定されるよう期待をしております。
結びに、安西会長、林原副会長、羽入副会長並びに委員の皆様方には、一層の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げまして、途中でございますが、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

【安西会長】
下村大臣、ありがとうございました。下村大臣は以前、この委員会の委員でいらっしゃいまして、よくこの委員会のことを御存じであります。応援もしてくださっております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

【下村大臣】
よろしくお願いします。

【安西会長】
大臣はこれで御多忙のため、御退席になります。どうもありがとうございました。
(下村大臣退席)

【安西会長】
それでは、続きまして、議題2に入らせていただきます。議題2は、今年の11月にパリのユネスコ本部で開催されます第38回ユネスコ総会への対応でございます。
今年の6月18日付けで、ユネスコ活動に関する法律第6条第1項に基づきまして、下村文部科学大臣と岸田外務大臣から、日本ユネスコ国内委員会会長に対して第38回ユネスコ総会への対応について諮問がございました。これを受けまして、運営小委員会において答申(案)について御審議を頂きました。
まず、事務局から、第38回ユネスコ総会につきまして、また、答申(案)について説明をお願いしたいと思います。

【籾井国際戦略企画官】
御説明いたします。お手元の参考資料6、7、8、9、それから、資料5と6を基に御説明をさせていただきたいと思います。今、会長から御説明ございましたように、ユネスコ活動法第6条第1項におきまして、ユネスコ総会での基本的な方針や政府代表に関して、外務大臣、それから文部科学大臣からの諮問に応じて、この国内委員会の総会において答申をするということになっております。
参考資料6がこのたびの諮問文になっておりまして、ユネスコ総会での事業・予算についての方針、それから、政府代表、そして、ユネスコ総会での基本的な方針について、諮問がなされております。
今回の総会でございますけれども、参考7に主な日程、そして、参考8に総会での主な議題が示されております。そして、参考9にお付けしておりますのが今回のユネスコ総会で審議予定の事業・予算案となっております。事業・予算案につきましては、前回の総会、第37回の総会におきまして、2014年から2021年の中期戦略に基づきまして、2014年から2017年までの4か年の予算が既に承認をされております。その枠内での今回の予算案ということになりまして、基本的にはこの方向で進めるということになろうかと思います。
答申の中身でございますけれども、資料5でございます。基本的なメッセージといたしましては、先ほど70周年ステートメントの議論の中でもお話がありましたが、現在、アメリカが資金の拠出を停止していることに伴いまして、日本が実質的な最大財政貢献国となっているということも踏まえて、ユネスコの効率的、効果的な運営を求めるというのが1点でございます。
内容面に関しましては、持続可能性に関する課題に取り組むに当たっての分野横断的な取組の必要性というのを指摘した上で、これまでも国内委員会としても推進をしてきておりますESDとかですとか、サステイナビリティ・サイエンスの重要性を改めて指摘するとともに、2015年の開発アジェンダへのユネスコとしての貢献の重要性というのを記載しております。
今回、ユネスコ総会での主な議題として、今、お手元の参考8にリストを挙げさせていただいておりますけれども、このうちの事業・予算については、先ほど御説明したとおりです。
二つ目のポスト2015開発アジェンダに関する議論でございますけれども、こちらにつきましては、お手元の参考10を御覧いただければと思います。本年5月に、韓国の仁川におきまして、世界教育フォーラムという会議が開催されました。110名の閣僚級を含む1,500名が参加する大規模な会議ですけれども、ここにおきまして、EFAが2015年までの目標となっておりますけれども、それ以降、どういう形で教育分野に取り組んでいくかというのを、このEFA目標の達成の状況を振り返るとともに、今後の課題について議論を行いまして、会議の成果として「仁川宣言」が採択されたわけでございます。
今度の総会におきましては、この世界教育フォーラムの結果も踏まえまして、2015年以降、教育目標に対してユネスコとしてどのような対応をしていくかということが議論されることとなっております。
まず、全体の枠組みのお話をさせていただきますと、これまでミレニアム・デベロップメント・ゴールズという目標が設定されておりまして、それが先ほど申し上げましたように、2015年までとなっておりますが、その後継といたしまして、SDGsという2015年以降の国連の開発目標というのが現在、議論されておりまして、9月の国連総会で採択をされる予定となっております。この中のゴールの4番目といたしまして、教育、万人への包摂的で公平な質の高い教育の確保、生涯学習の機会の促進というものが掲げられておりまして、その中にESDが位置付けられております。
先ほどの世界教育フォーラムの成果文書である「仁川宣言」、参考10の2枚目以降にお付けしておりますけれども、その中におきましても、ESDの重要性ですとか、GAP、グローバル・アクション・プログラム実施の必要性について言及をされておりまして、今後、ターゲットを受けて、この仁川での議論も踏まえて行動枠組みを作成していくこととなっております。この行動枠組みにつきましては、ユネスコ総会のときに開催されますハイレベル会合で決定をされる予定でございます。さらに、この行動枠組みの実施状況をどのようにモニタリングをしていくかということに関して、これから指標作りを行っていく予定となっておりまして、我が国といたしましても、指標作りに積極的に対応していきたいと考えております。
それから、3つ目のジオパークに関する議題でございますけれども、参考11に概要をお付けしております。ジオパークの事業は、これまで世界ジオパークネットワークというNGOを中心に実施されてきたものでございまして、地質学的な特異性などに着目をして、その場所を認定・保護していくという事業でございます。これを今回の総会におきまして、ユネスコの正式事業とすることを決定したいということが議題として挙げられております。日本といたしましても、このユネスコの正式事業となることによって、ジオパークのさらなる活性化につながるものと考えておりまして、現在提案されている枠組み、これは追加的な財政負担などが生じないという枠組みでございますけれども、この枠組みの範囲内であれば支持をしていこうと考えております。
それから、最後の電子的遺産を含む文書遺産の保護及びアクセスに関する議題でございますけれども、こちらについては、口頭での御報告になりますが、歴史的な資料として残していくべき文書遺産につきましては、これをきちんと保護をして、後世に残していくための枠組みを作っていくことが必要だという考えの下、今回の総会におきまして、勧告案が諮られる予定になっております。文書遺産の保護の取組は重要であるということで、我が国としてもこの枠組み作りを歓迎する一方で、現在、ユネスコ事務局から示されております勧告案の中に、保護の枠組みとして、記憶遺産事業を活用することについて複数箇所の言及がございます。勧告に入れる前提といたしまして、まずはこの記憶遺産事業の枠組みをしっかり議論していくことが必要だという我が国としての問題意識というのは、しっかりと発信していく必要があると考えております。
以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。それでは、ただいまの答申(案)につきまして、御質問、御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。黒田委員、お願いします。

【黒田(一)委員】
ありがとうございます。まさにグローバルアジェンダといいますか、SDGsが開発アジェンダを超えてユニバーサルなアジェンダとして世界に呈されるこれからのグローバルガバナンスの1つの大きな枠組みだと思いますので、ここにどのように貢献していくかということが日本のこれからの国際協力の大きな課題になっていくんだろうと考えます。という意味で、今回の答申にありますように、そこでの役割を明確にしていくということが非常に重要なことだと考えます。
ただ、残念といいますか、最近、保健セクターと、それから、教育セクター、これまではかなりパラレルの形で、日本は保健と教育について政策を提供してきて、国際協力の枠組みに対しても貢献してきたと思うんですが、最近は、保健セクターが非常に注目をされていて、政府的なところでも、かなり先行した形で「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」という1つの表題がありますので、やっているように思うわけです。これはこれですばらしいことですが、一方で、教育についても、日本政府が真剣にこれから取り組んでいただきたいというところは強く発信していかなくてはいけないことかなというふうに、特に外務大臣に対してはそういう取組をヘルスと並んで教育についてもしていただきたいなというところがございます。
それから、もう一つ、先ほど籾井企画官からも言及していただいたんですが、これから、2015年以降、じゃ、何が必要になってくるかというと、インディケーター作りが非常に大きな課題になってくるかと思います。特に日本はESDと、それから、これは韓国が主導して、日本が応援しているわけですが、グローバル・シチズンシップ教育という、この2つのこれまでになかった非常に教育の内容を問うような部分が国際的な枠組みに入ってくるということがほぼ確定していますので、そうすると、これまでインディケーターで使っていたものではなくて、この2つのある意味で少し曖昧なものについてインディケーターを作っていくというところに、日本が大きな、これまで主導してきたということもあるわけですので、貢献をしていくということが非常に重要になってくるかと思います。ここである意味でリーダーシップを執ることができれば、2015年以降の枠組みに対する大きな貢献になっていくだろうというふうにも考えるところですので、ここについても明確にしていくべきことかなと考えております。

【安西会長】
ありがとうございました。答申(案)のどこかを具体的にどうしたいということはありますか。

【黒田(一)委員】
申し訳ありません。

【安西会長】
よろしいでしょうか。教育について、先ほどもグローバル・シチズンシップ教育というのがありましたけれども、日本がそこのところをもう少し積極的に推進していかないといけないのではないかとは思います。どうもありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしければ、この2つの答申(案)につきましては、御承認いただいたということにさせていただきます。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【安西会長】
それでは、承認とさせていただきます。ありがとうございました。本件につきましては、ユネスコ総会に向けて、文部科学大臣と外務大臣に答申をさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、3の報告事項に移らせていただきます。現在、教育小委員会の下にESD特別分科会が設置されておりまして、ESDの推進について議論をしていただいております。本日は、ESD特別分科会の見上座長、委員でいらっしゃいますけれども、見上座長から審議の経過について御報告いただければと思います。見上座長、よろしくお願いします。

【見上委員】
ESD特別分科会から報告させていただきます。お手元の資料7(国委137)と書いてございますが、御覧いただければと思います。国連のESDの10年、DESDの実績、それから、昨年11月に開催されましたESDに関するユネスコ世界会議の成果のフォローアップのために、平成27年2月に、今年の2月に教育小委員会の下にESD特別分科会というのを設置いたしまして、今後のESD推進方策について、これまで4回、集まりまして論議をしてまいりました。
先ほど最初の議題の会長ステートメントのところでも、ESDにつきましていろいろ皆様方の御意見が出ましたが、そのことも拝聴しながら、うまくこの中にもそういう点が入り込んでいるかということを気にしながら拝聴しておりました。
この報告書素案の中では、大きな方向性としましては、ESDは課題の発見と解決に向けた主体的、共同的な学び、いわゆるアクティブラーニングです。これを実践するものとして効果的であると考えられますことから、ユネスコスクールに限らず、全ての学校でのESDの実践を目指すとともに、ユネスコスクールをESDの実践効果を高める取組の先導的なモデル校として位置付けるということが必要だというふうにさせていただきました。特にESDをさらに推進する上では、ユネスコスクールへのアンケートで、教職員のESDに関する理解が不十分であるという点が課題として挙げられました。このことを踏まえまして、学校教育でのESDの取組を具体化するために、ESDを学校現場でどのように実践すればよいのか、あるいは授業の準備の進め方、こういったことのイメージを示すESD実践の手引、これは仮称でございますが、「ESD実践の手引」を作成することが提案されております。
また、ユネスコスクールがモデル校としての役割を十分に果たすには、国内外のユネスコスクール間の交流を促進することでユネスコスクールの活動の質の向上を図ることが必要であるということが指摘されました。それで、ユネスコスクール全国大会を参加型の研修の場にしたり、ユネスコスクールのうち特にすぐれた実践を行う学校をモデル校として位置付け、支援を行ったり、さらにユネスコスクール支援大学間ネットワーク、ASPUnivNetと申しておりますが、この加盟大学を中心といたしまして、手引を活用した研修を実施したりすることが提案されております。
さらに、国際的なESDの推進に向けて、日本が引き続きリーダーシップを発揮するために、日本がユネスコに拠出しているGAP信託基金やユネスコ/日本ESD賞を通じて海外におけるESDの実践の向上につなげる取組を推進しまして、同時に他のESD先進国との連携を強化していくことが言われました。
5回目の次回の会合は7月24日に予定しておりまして、報告書を取りまとめる予定となっております。
以上、御報告申し上げます。

【安西会長】
ありがとうございました。ただいまの見上座長からの御報告につきまして、何か御質問等ありますでしょうか。及川委員、お願いします。

【及川委員】
ありがとうございます。非常によく練られた、すばらしい内容だと思いますが、私の方から二、三点、気になっている、あるいは是非御検討いただきたい点をお話ししたいと思います。
1つは、例えば今、見上委員の方から、アクティブ・ラーニングを行う際に非常にESDが効果的みたいなお話がありました。それはそのとおりだと思いますし、私も同感であります。ただ、最近の全国の取組をあちこち見て歩いた際に、学習手法、アクティブ・ラーニングは手法であるのに、あるいは手段であるんだけれども、そこが目的化している部分が多少あるのかなという感じを持っております。アクティブ・ラーニングとか、探求的学習とか、問題解決学習など、ここに事例が述べられていますけれども、それはあくまでも、子供たち、あるいは学生が持続可能性を妨げる諸課題に対して正面から取り組んで、それを解決していくというプロセスであり、そのゴールはやはりその先の部分。つまり、「持続可能な社会を担う人材を育成する」ということが目標でありますね。そうした場合に、やはりアクティブ・ラーニングであるとか、そういう部分はあくまでも、そこを目指す1つの学習手法であるということをきちんと押さえた方がよろしいのかなというのが1つ、私が今、思っているところであります。
あともう1点は、最近、いろいろな学校を回っていますと、ESD関係含めて、非常に以前と比べて取組の包括的な手法であるとか、あるいは学習の進め方は、レベルは上がってきていると思いますが、反面、画一化といいますか、形骸化といいますか、カレンダーを作ることが目的化していたり、あるいは地域、地域、いろいろな諸課題があるにもかかわらず、内容的な実践的な中身を見ますと非常に似通ったりと、先ほど言ったユネスコへの提言ではないですけど、多様性の部分、もっと具体的に言えば地域の課題とか文脈に即した実践の部分が若干薄れてきているような感じがいたします。やはりそこの地域を見つめ、あるいはそれに対して参画し、より実践的な、そして、その学校や地域の多様性の上に立った取組というものをきちんと評価してあげるといいますか、示してあげるということが必要だと思います。実践の手引を作られるということなので、その辺のところを考慮に入れていただいて、是非お願いしたいなと思います。
最後に、実は昨日も北陸の方のユネスコスクールの研修会にちょっと行ってきたときに、ある先生から言われたことなんですが、その学校は市で1校だけのユネスコスクールが、を是非広げたいんだと。次の学校に転勤してもやりたいんだとおっしゃっていました。ところが、転勤した際に、その辺の部分について周囲の先生方に理解を得ることがなかなか難しいんだという話がありました。そういうときに、1つ、先生が言われたのには、大きな誤解があって、ユネスコスクールにならないとESDができないと思っていたんですね。そうではなくて、ESDイコール、ユネスコスクールではないわけです。もちろん、ユネスコスクールを活用してESDを進めるという手法は非常に成功して、この10年間、ドラスチックに二十数校から900、1,000に迫るような、そういうふうな実績を残した、それは成功だと思います。ただ、今後、この報告書に掲げてあります、「さらなるESDの推進に向けて」ということであれば、すなわち、より広く学校現場にそれを普及させるというのであれば、ユネスコスクールとセットというふうな感じではなくて、もっと緩やかな、壁を少し下げるような形の普及の仕方というのもあってしかるべきかなと思います。例えば「ESDスクール」みたいな形で、国内的にそういうふうな名称を掲げて、パリへの申請、英語での申請ではなくてもある程度ESDを進められるような学校として、オーソライズしてやるとか、そういうふうな形も1つあるのかなと思いますので、今後の進め方として、ひとつ御検討いただければと思います。
以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。見上先生、いかがでしょうか。

【見上委員】
ありがとうございました。今、御指摘の最初に、ユネスコスクールに参加しないとESDができないというような誤解も一部にあるようですが、今回のこの検討の中でも、要するにESDというのは、ユネスコスクールでよりレベルの高いことはやっても、普通のユネスコスクールでない学校にも大いに広めていかなければならないという点で、皆さんの意見は一致していると思います。
それから、また、たくさんのユネスコスクールがあって、ESDを実践されて、アクティブ・ラーニングの手法等も取り入れておられるんですが、先生の熟達度というんですか、それによってまだ大分差があるようです。一つ一つの授業に差があるということを考えると、やはり先生方の研修が非常に大事ではないかと、そういった意見も出ておりますので、そのあたりにも配慮したいと思います。ありがとうございました。

【安西会長】
ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは、よろしければ、この件はそこまでにさせていただきます。ESD特別分科会は大変密な議論を重ねていただいております。改めて感謝を申し上げたいと思います。
それでは、次に、記憶遺産の国内選考につきまして、事務局から御報告をお願いします。

【野田ユネスコ協力官】
参考資料の13を御覧いただきたいと思います。ユネスコ記憶遺産につきましては、ユネスコにおいて審査の対象となりますのが1か国につき2件までと定められておりますことから、3月2日から6月19日までの間、公募案件について、国内の公募を行いました。公募の結果、申請のありました16件につきましては、参考13の2ページ目に、リストとして掲載をさせていただいております。
今後のスケジュールでございますけれども、文化活動小委員会のユネスコ記憶遺産選考委員会、こちら、島谷委員が委員長を務められておりますが、こちらで我が国からユネスコに申請をいたします候補物件、2件以内を選定いたしまして、来年の3月にユネスコに申請、再来年の夏頃に登録の可否が決定されるという予定になってございます。
以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。何か御質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ありがとうございました。
議題の4に参ります。国内委員会の構成についてという件でございます。この議題は、国内委員会委員の人事に関する事項の審議でございます。会議の議事は非公開とさせていただきます。委員及び事務局関係者以外の傍聴の方々、並びに報道関係の皆様には、恐縮でございますが、御退席くださいますようにお願いをいたします。
(オブザーバー等退席)

-------非公開-----

それでは、よろしければ、閉会とさせていただきます。大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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