日本ユネスコ国内委員会総会(第134回)議事録

1.日時

平成26年3月18日(火曜日)14時~16時

2.場所

東海大学校友会館 朝日・東海・三保・霞の間

3.出席者(敬称略)

〔委員〕

安西祐一郎(会長)、林原行雄(副会長)

足立直樹、安達仁美、井手明子、猪口邦子、井原正登、植松光夫、宇佐見恵子、宇佐美誠、内永ゆか子、内海房子、榎田好一、大津和子、岡崎天隆、岡田保良、加藤淳子、川井郁子、金原祥子、黒田一雄、黒田玲子、西園寺裕夫、重政子、島谷弘幸、寶馨、那谷屋正義、二瓶和敏、早川信夫、林梓、東良和、広瀬晴子、堀川一晃、松山政司、見上一幸

〔欠席・委任〕

青野正、青野由利、伊藤一義、内山田竹志、小此木八郎、長有紀枝、葛西敬之、金澤一郎、木下康司、河野俊行、齋木昭隆、鈴木邦雄、高橋淑子、野村萬斎、野村道朗、萩生田光一、羽入佐和子、福成菜穂子、三木繁光、観山正見、村上政俊、吉見俊哉、笠浩史

〔外部有識者〕

木曽功 前ユネスコ日本政府代表部特命全権大使
秋永名美 ESDユネスコ世界会議「ユース・コンファレンス」日本代表

〔外務省〕

齋木尚子 国際文化交流審議官、笠井達彦 国際文化協力室長

〔文部科学省〕

下村博文 文部科学大臣、上野通子 文部科学大臣政務官、山中伸一 文部科学事務次官、今里譲 大臣官房国際課長

〔文化庁〕

中野潤也 長官官房国際課国際文化交流室長

〔事務局〕

加藤重治 日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、岩本渉 日本ユネスコ国内委員会上級事務次長(国際統括官付国際交渉分析官)、籾井圭子 日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事

【安西会長】
 定刻でございますので、日本ユネスコ国内委員会総会を始めさせていただければと思います。
 お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。昨年の12月1日付けで、この国内委員会会長を拝命いたしました安西でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。一言だけ御挨拶をさせていただきます。
 今日、初めての総会でございますので、ユネスコは、皆様御存じのように、戦後、戦争を二度と起こしてはいけないと、そういう精神を持って作られた国際機関でありますけれども、日本が1951年に加盟して、その翌年にこの国内委員会ができまして、それから長い年月がたちまして、当時と同じようにやはり平和が希求される現代であります。
 一方で、いろいろなグローバル化、多極化、多様化を含めて、当時とはまた違った世相が現れておりまして、この国内委員会、田村前会長の後を継ぎまして会長に就任いたしましたけれども、どうか委員の先生方、また関係者の皆様のお力をもって、また新たな時代へのユネスコ活動が発展していくと、この国内委員会としても、その機能といいましょうか、それが果たされたことになると考えている次第でございます。どうぞ御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日は、上野大臣政務官にも、お忙しい中いらしていただいております。また、下村文部科学大臣におかれましては、後ほど御到着され、御挨拶を頂くことになっておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、昨年12月1日付けで、林原副会長も就任していただいております。今後、本委員会の運営に当たりましては、林原副会長とともに、皆様の御協力を頂きながら、精一杯務めていく所存でございますので、改めてよろしくお願い申し上げます。
 それでは、会議に入らせていただきますが、まず事務局、定足数の確認をお願いします。
【本村補佐】
 本日は、御出席の委員が33名いらっしゃっており、委員59名の過半数ですので、定足数を満たしております。
【安西会長】
 ありがとうございました。ただいま事務局から、定足数が満たされているという報告がありましたので、第134回日本ユネスコ国内委員会を開会させていただきます。
 国内委員会運営規則第8条、それから会議の公開手続第1条に基づきまして、本日の総会は、一部の議題を除いて、傍聴の希望者に対して公開とさせていただきます。
 また、同手続第4条に基づきまして、御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。御理解くださいますようにお願いいたします。
 また、運営規則第6条に基づきまして、外務省及び文化庁の関係官に出席を求めております。また、木曽前ユネスコ日本政府代表部特命全権大使にお越しいただいております。木曽前大使には、後ほど帰朝の御挨拶を頂く予定にしてございます。
 また、11月に開催されます「ESDに関するユネスコ世界会議」のユース・コンファレンスへの参加が決まっております秋永名美さんにもお越しいただいております。秋永さんには、後ほど世界会議の議題でユース・コンファレンスに向けた意気込みを発表いただくということにさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、委員の異動について御報告申し上げます。昨年9月10日に開催されました前回の国内委員会総会以降、委員の異動がありましたので、事務局から報告をお願いいたします。
【本村補佐】
 それでは、お手元の資料にございます国委134-2「我が国のユネスコ活動について」の冊子の52ページから54ページを御参照ください。このたび御就任いただきました新任及び再任の委員27名いらっしゃいますので、私の方からお名前を読み上げさせていただきます。
 11月26日付け、参議院の指名に基づきまして発令されてございます猪口邦子委員でございます。
【猪口委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 那谷屋正義委員でございます。
【那谷屋委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 松山政司委員でございます。
【松山委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 続きまして、新任の委員、12月1日付けで発令されてございます。五十音順に御紹介させていただきます。
 青野由利委員。本日、御欠席でございます。
 安達仁美委員。
【安達委員】
 よろしくお願いします。
【本村補佐】
 井手明子委員。
【井手委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 宇佐美誠委員。本日は遅れていらっしゃるとのことです。
 内永ゆか子委員。
【内永委員】
 よろしくお願いします。
【本村補佐】
 内山田竹志委員は、御欠席でございます。
 長有紀枝委員も御欠席でございます。
 黒田玲子委員。
【黒田(玲)委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 島谷弘幸委員。
【島谷委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 野村道朗委員、御欠席でございます。
 羽入佐和子委員、御欠席でございます。
 早川信夫委員。
【早川委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 福成菜穂子委員、御欠席でございます。
 齋木昭隆外務事務次官、木下康司財務事務次官、お二人とも御欠席でございます。
 山中伸一文部科学事務次官。
【山中次官】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 続きまして、再任の委員といたしまして、12月1日付け発令されておられます8名の方を御紹介いたします。
 安西祐一郎委員。
【安西委員】
 どうぞよろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 榎田好一委員。
【榎田委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 川井郁子委員。
【川井委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 続きまして、黒田一雄委員でございます。
【黒田(一)委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 重政子委員。
【重委員】
 よろしくお願い申し上げます。
【本村補佐】
 二瓶和敏委員。
【二瓶委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 林梓委員。
【林委員】
 よろしくお願いいたします。
【本村補佐】
 観山正見委員は、御欠席でございます。
 以上の27名でございます。
【安西会長】
 ありがとうございました。新しい委員の先生方のお力もお借りいたしまして、先ほど申し上げましたように、我が国のユネスコ活動を一層推進していきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議題1に入らせていただきます。議事日程(案)の採択についてでございます。
 まず、本日の配付資料について不足等ありましたら、会議の途中でも構いませんので、事務局までお知らせくださいますようにお願いいたします。

議題1.議事日程(案)の採択について

【安西会長】
 議題1.本日の議事日程(案)を資料としてお配りしております。本日の主な議題といたしましては、議題6で「多様化の時代におけるユネスコ活動の活性化について」の提言案を議論いただきまして、ここで取りまとめたいと考えております。また、議題3では「第37回ユネスコ総会の報告について」の報告を予定しておりまして、政府代表として出席されました上野大臣政務官にもお願いをしております。議題4では、「ESDに関するユネスコ世界会議に向けた準備について」の報告を予定しております。さらに、議題7から議題9について、人事案件でございます。この部分は非公開で行わせていただく予定でございます。
 以上、大体のことを申し上げましたけれども、本日の議事日程(案)に何か御意見等はありますでしょうか。それでは、この議事日程(案)でよろしゅうございますか。
 (「異議なし」の声あり)
【安西会長】
 ありがとうございました。それでは、この議事日程、確認とさせていただきます。

議題2.日本ユネスコ国内委員会の活動について(報告)

【安西会長】
 議題2に入ります。日本ユネスコ国内委員会の活動について(報告)でありますけれども、まず、先月19日に開催されました第492回運営小委員会での審議経過については、配付資料国委134-1、この略語がなかなか分かりにくいような気もしますけれども、とにかく国委134-1にまとめてありますので、時間の関係もございますので御覧いただければと思います。
 それから、前回の国内委員会総会が開催されました9月10日以降の国内委員会の活動については、国委134-2にまとめられております。
 これらの報告については、資料配付とさせていただきまして、説明は割愛させていただければと思います。御不明な点、お気付きの点がありましたら、3月末までに事務局に御連絡いただければ幸いです。よろしいでしょうか。
 それでは、次の報告事項に移らせていただきまして、国連事務総長科学諮問委員会の報告でございますけれども、昨年10月に科学と政策の連携強化等を目的といたしまして、国連事務総長の下に、今申し上げた国連事務総長科学諮問委員会が設置されております。この諮問委員会は、国連の開発目標の設定プロセスも視野に入れながら、国連事務総長に科学的な知見から助言を行う役目を持っておりまして、そこでの議論は、科学、政策、社会の在り方等と大変大きな課題でありますけれども、そうした課題に関わる内容でございまして、ユネスコにとってもとても大事なものでございます。
 我が国からは、黒田玲子委員がメンバーとして任命されておられまして、1月30日と31日にベルリンで開かれた初回の会議に御出席されました。黒田委員から御報告をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【黒田(玲)委員】
 これは日本ユネスコ国内委員会の案件ではないですが、国連の事務総長直属の科学諮問委員会の事務局をパリのユネスコ本部がやりますので、ユネスコと非常に深い関係を持っています。
 世界中から26名、自然科学、人文科学、社会科学を含めた中から一本釣りで選ばれたということで、各国からの推薦ではありません。何で私が選ばれたのかというのがまずは正直な感想ではありますが、日本からは私一人ということもあり、日本のプレゼンスも上げたいと思いますし、そこで得た情報を皆さんと共有していきたいと考えています。
 グローバル・サステイナビリティに関するサイエンスとポリシーのリンクをよくすることが狙いになっています。
 今日お配りしてあります国委134-3に簡単にサマリーを作っていただきました。その別紙に26名の委員名簿が載っています。1人は、多分皆さん御存じのIPCCの議長であるパチャウリさん、それからIPBES、これはバイオダイバーシティのインターガバメンタル・パネルですが、その議長のザクリさんの2人が入っていること。それから、IOCのような国連組織関係の人も入っているし、ノーベル賞受賞者が2人入っているなど、多様なバックグランドの人の集まりで、これからどうなるかなかなか大変です。
 タームオブリファレンス(TOR)はかなり長く、ここに委員会の任務が書かれています。「科学と政策の連携を強化すること」、これが一番のプライオリティなのですが、そのほかにいろいろプライオリティを付けなければいけない。国連がサポート・奨励すべきsustainable developmentのための科学のプライオリティを事務総長に勧告すること。あるいは、IPCC、IPBESといったようなインターガバメントのコミッティはできているのですが、それで十分機能しているのか、もっと別のものを作らないといけないのか、そういうことに対しても議論してほしいというようなことが書かれています。
 あるいは、国連という範疇以外で、いろいろな国際的なプログラムが走っています。その例として、「フューチャーアース」が挙げられていますが、そのフューチャーアースのようなものにより解決すべき知識のギャップがあるかどうかというようなことについても考えてほしいということです。
 それから、科学の一般へのビジビリティ及び普及啓発に関しても助言をしてほしい。
 持続可能性及び科学の責任ある倫理的な発展に焦点を置いた民主的なグローバル・ガバナンスに関し知見を提供してほしい。
 また、持続可能な開発のためになる最新の科学的課題について、国連事務総長に助言をすることなどの知的作業をしてほしいということです。
 一番現実的に重要なのは、恐らくポスト2015ということで、2015年後の開発プロセスも視野に入れつつ、国連システムにより、あるいは同システム内において奨励すべき持続可能な開発のための科学に関するプライオリティについて事務総長に勧告することということで、今、ポストミレニアムディベロプメントというのが走っているのですが、それに間に合うようにポリシーペーパーを作らなければいけないということになりました。
 そして、26名といっても全員でやるのは多すぎるので、四つのタスクフォースが作られました。タスクフォースやワークストリームと呼ばれますが、ページをめくって2ページ目に行ってください。第1回目の会合をベルリンでやりましたが、それについて書かれています。これはドイツ政府が大変力を入れて、いろいろやってくださいました。ドイツユネスコが外務省の下にあるということもあって、外務大臣なども出てこられ、歓待・準備していただき、結構充実した議論ができたと思います。
 潘基文国連事務総長、イリーナ・ボコバユネスコ事務局長が出席され、イリーナ・ボコバユネスコ事務局長が2日間の議長を務められました。ボコバさんが用意してきてくださったのが、このタスクフォース。最初は三つだったのですが、私たちの議論の結果、四つ目も作ろうという話になりました。どのタスクフォースに入っても構いません。一つ目としては、持続可能な開発のためには、どのような科学又はどのような複合領域的、領域横断的アプローチが必要か。二つ目が、科学と社会の連携及び持続可能な開発のための全てのステークホルダーの動員をどうしたらいいか。三つ目、政策形成により、よりよく科学を反映させるための新しいアプローチ、手法及びプロセスについて。四つ目が、SDGのための科学の妥当性です。
 それぞれにモデレーターが指名されました。これも事務局の方で、それぞれ2人か3人ずつ指名しましたが、私はタスクフォースの2、ストリームの2の科学と社会の連携及び持続可能な開発のための全てのステークホルダーの動員という、ここのところのモデレーターになっております。
 かつ、最近出てきた第1回会合のドラフトにリファレンスが一つだけ載っていたのですが、それが、私が1996年に書いた朝日新聞の提言で大変うれしく思っています。日本での科学と社会の関係を深める様々な試みを始めるきっかけにもなったものです。タスクフォース2で頑張っていくと同時に、ほかの1、3、4についてもいろいろ意見を言っていきたいと思っています。
 この会合は、年2回だけです。それ以外は全部ネットでやるという会合になっていますが、国の代表でないと言われながらも、やっぱり日本としてどういうことを考えていったらいいかということでもあり、皆様の御意見を反映させていただきたいと思っています。
 以上で、簡単ですけれども、御報告させていただきました。
【安西会長】
 ありがとうございました。特に何か御質問等ありますでしょうか。もし個別に御質問あるいは御意見等おありになるようでしたら、後でも結構ですので、事務局にお寄せいただければと思います。
 黒田委員、ありがとうございました。

議題3.第37回ユネスコ総会について(報告)

【安西会長】
 それでは、議題3に移らせていただきます。第37回ユネスコ総会についての報告であります。昨年の11月5日から20日にかけまして、パリのユネスコ本部で開催されました第37回ユネスコ総会の報告について、配付資料の国委134-4にまとめられております。
 まず、政府代表として出席されました上野大臣政務官から御報告をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【上野大臣政務官】
 資料の1ページ目、2ページ目を御覧いただきながら、説明させていただきたいと思います。
 昨年11月にパリのユネスコ本部で開催されました第37回ユネスコ総会へ、政府代表として出席してまいりました。
 まず、1と書かれているところですが、一般政策演説では、2015年度以降の教育アジェンダでユネスコがリーダーシップを取るよう要請したほか、サステイナビリティ・サイエンスの推進の必要性について述べました。また、持続可能な開発のための教育(ESD)の一層の推進の重要性について述べ、本年11月に愛知県名古屋市と岡山県で開催する「ESDに関するユネスコ世界会議」への各国閣僚級の出席の呼び掛けを行って参りました。
 2ですが、総会期間中に、同世界会議に関する閣僚級朝食会をユネスコと共催し、22か国から閣僚級12名を含む50名以上の参加がありました。私の方からは、会議の冒頭でスピーチを行い、我が国のESDの取組を紹介するとともに、各国からの同世界会議への積極的な参加を呼び掛けたところ、各国の代表からもESD推進の重要性について発言がございました。
 次に、3を見てください。さらに、ボコバ事務局長との会談を行いました。私からは、本年11月の同世界会議へのボコバ事務局長の出席を改めて要請するとともに、我が国としては、厳しい財政状況ではあるものの、引き続きユネスコを支援していく旨をお伝えし、前向きな回答を頂きました。
 4を御覧ください。ドイツのピーパー外務副大臣、ケニアのカイメンイ教育科学技術大臣とそれぞれ会談を行い、ESDをはじめとしたユネスコでの協力等について意見交換を行いました。
 以上、簡単に報告させていただきました。詳しくは資料を御覧ください。
【安西会長】
 ありがとうございました。続きまして、ほかの部分については、事務局の方からごく簡単に説明をお願いしたいと思います。
【本村補佐】
 引き続きまして、簡単に報告させていただきます。
 本ユネスコ総会には、国内委員会からは、田村前会長、金澤副会長、佐藤前副会長が御出席されております。
 ページをおめくりいただきまして、4ページを御覧ください。ただいま上野政務官からも御報告ございましたけれども、ESD、持続可能な開発のための教育についても審議がされまして、中期戦略及び事業予算の中で明確に位置付けられてございます。また、国連ESDの10年の後継プログラムとしまして、「グローバルアクションプログラム」が採択されたところでございます。
 あわせて、総会期間中に、上野政務官による朝食会のほか、大村愛知県知事、大森岡山市長の出席も得まして展示イベント、またPRレセプションを開催したところでございます。
 おめくりいただきまして5ページ、9でございますけれども、サステイナビリティ・サイエンスについても、事業予算の中で明確に位置付けられております。我が国ほか、各国からもサステイナビリティ・サイエンスの重要性に対する発言がございました。
 もう1枚おめくりいただきまして、6ページでございますが、11の第8回ユネスコ・ユースフォーラムが総会に先立ちまして開催されました。我が国から代表1名、オブザーバー2名を派遣いたしました。それに合わせまして、五井平和財団西園寺理事長の御協力も得まして、文化交流イベントを開催したところでございます。
 さらに、12でございますけれども、本総会におきまして、ボコバ事務局長が再任をされてございます。
 以上でございます。
【安西会長】
 ありがとうございました。先ほどの上野大臣政務官からの御報告も含めまして、ただいまの件、何か特に御質問ありますでしょうか。よろしいでしょうか。もし何かあるようでしたら、後ほどでも事務局の方へお尋ねいただければと思います。また、御意見等も同様でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題4に移ります。「ESDに関するユネスコ世界会議」に向けた準備について(報告)でございますけれども、この議題は、今年の11月、愛知県名古屋市と岡山市におきまして開催されます「ESDに関するユネスコ世界会議」に向けた準備、今、上野大臣政務官からもお話がありましたけれども、その状況について、事務局から報告をお願いする、またユース・コンファレンスへの参加が決まっております秋永名美さんから、意気込み等をお話しいただければと思っております。
 事務局から説明をお願いします。
 失礼しました。下村文部科学大臣が御多忙の中、はせ参じてくださいましたので、ここで下村大臣からの御挨拶を頂ければと思います。
【下村大臣】
 御紹介頂きました下村博文でございます。今日は、衆議院本会議がちょうど重なっておりまして、遅くなりましたことをおわび申し上げたいと思います。
 第134回日本ユネスコ国内委員会の開会に当たり、文部科学大臣並びに教育再生担当大臣、東京オリンピック・パラリンピックを担当する大臣として、一言御挨拶申し上げさせていただきたいと思います。
 委員の皆様方には、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、日頃から我が国のユネスコ活動に関して御協力、御助言を頂いておりますこと、この場をお借りいたしまして感謝申し上げたいと存じます。
 本日の総会は、昨年12月に安西会長が就任されてから初めて開かれるものでありますが、今後、安西会長のリーダーシップにより、この日本ユネスコ国内委員会が一層発展していくことを期待いたします。
 本日は、多様化の時代における持続可能な社会の構築に向けて、若者・企業のユネスコ活動への参画促進や、持続可能な開発のための教育(ESD)の更なる推進の方策について提言を取りまとめられると聞いております。
 今後、その提言を踏まえ、ユネスコ活動を実践する関係団体やユネスコスクール、教育委員会、若者・企業等の多様な主体と連携しつつ、ユネスコ活動が活性化されることを期待しております。
 昨年9月の前回総会では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致決定の御報告とともに、御挨拶をさせていただきました。東京オリンピック・パラリンピックに向けて新しい日本の創造を実現するためには、東日本大震災からの復興を進めるとともに、若者や女性をはじめとする国民全体が参加する大きなうねりを生み出すことが必要であります。委員の皆様方におかれましても、御理解と御協力をお願いいたします。
 さて、いよいよ本年11月、ユネスコと日本政府の共催により、愛知県名古屋市及び岡山市におきまして、「ESDに関するユネスコ世界会議」を開催いたします。本世界会議は、世界各国から閣僚級、国連機関、研究者、学校関係者等の各種ステークホルダー約2,000人が参加し、本年までの国連ESDの10年を振り返るとともに、2015年以降のESDの推進方策について議論する大変重要なものであります。
 また、ユネスコでは、これまでの10年の後継プログラムとして、グローバルアクションプログラムが策定されております。ESDは、持続可能な成長の担い手を育てるばかりでなく、グローバル人材の育成にも資するこれからの教育に不可欠なものであります。文部科学省としましては、2015年以降も引き続き国内外でESDを推進してまいります。
 本世界会議は、ESDに限らず、全てのユネスコ活動を国内に普及する絶好の機会です。ユネスコ、関係省庁及び開催地の自治体と協力をし、本世界会議を是非とも成功させたいという覚悟であります。委員の皆様方におかれましても、それぞれのお立場で御協力頂きますようにお願いを申し上げます。
 また、ESDの推進拠点と位置付けているユネスコスクールについては、関係の皆様方の御協力により、675校まで広がりましたが、言うまでもなく、ユネスコスクール以外にもESDを普及していくことが重要です。このため文部科学省としては、教育委員会及び大学が中心となり、地域のユネスコ協会、企業、ユネスコスクール等がコンソーシアムを形成し、国内外における学校間の交流の促進を図るための事業を来年度の政府予算案に盛り込み、現在公募を行っているところであります。
 ユネスコの科学分野の活動については、サステイナビリティ・サイエンスがユネスコの中期戦略及び事業予算に反映されました。これは、国内委員会からユネスコに提言しました持続可能に係る課題に対して取るべき自然科学と人文・社会科学を統合したアプローチです。今後の更なる推進に向けて、国内委員会としても更なる御議論及び取組をお願いしたいと思います。
 文化分野の活動に関しては、昨年12月に「和食;日本人の伝統的な食文化」が無形文化遺産に登録をされました。このほか世界遺産、ユネスコ記憶遺産も含む文化分野の事業は、地域振興や我が国文化への誇りの涵(かん)養にも資するものであり、ユネスコ活動について幅広い層の関心を引く優れたきっかけとなると思います。
 委員の皆様におかれましても、これらの事業を通じて、ユネスコ及びユネスコ活動の今日における意味についてお考えいただければ幸いであります。
 最後になりましたが、安西会長、林原副会長並びに委員の皆様には、一層の御支援と御協力を賜りますことをお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
【安西会長】
 下村大臣、大変力強いお言葉を頂きましてありがとうございました。
 下村大臣は、この委員会の委員など、特に教育小委員会の委員で御活躍されました。そのことも申し添えさせていただきます。誠にありがとうございました。

議題4.「ESDに関するユネスコ世界会議」に向けた準備について(報告)

【安西会長】
 それでは、議題4の「ESDに関するユネスコ世界会議」に向けた準備について、事務局からまず報告をお願いします。
【本村補佐】
 それでは、お手元の国委134-5の資料を御覧いただければと思います。ただいまの下村大臣からの御挨拶にもございましたけれども、本年11月に愛知県名古屋市及び岡山市におきまして、11月4日から11月13日にかけまして「ESDに関するユネスコ世界会議」が開催される予定でございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページを御覧いただければと思います。こちらで岡山市及び愛知県名古屋市で行われる会議の日程が御覧いただけると思います。
 1枚おめくりいただきまして、4ページでございますが、本世界会議の構成を簡単に説明させていただきますと、まず愛知県名古屋市での会合、閣僚級会合及び全体の取りまとめ会合でございますけれども、四つの全体会合及び閣僚級会合、ワークショップまたサイドイベント、展示発表などが予定されております。今後、ユネスコによってサイドイベント、展示については国際公募がなされる予定でございます。
 5ページを御覧ください。岡山市において開催されますステークホルダー会合、これは愛知県での会議に先立って開催されるものでございますけれども、内容といたしましては、11月6日から8日にかけてユネスコスクール世界大会、これが三つのパートに分かれておりまして、高校生フォーラム、教員フォーラム及び全国大会が予定されております。
 また、ユース・コンファレンスが11月7日に、世界の50か国から若者が参加して会議が開催されます。
 また、三つ目といたしまして、国連大学の主催でございますけれども、持続可能な開発のための教育に関する拠点の会合が予定されてございます。
 1ページおめくりいただきまして、ESDのユネスコ世界会議の成果でございますけれども、現在ユネスコ事務局で考えておりますのは、昨年11月にユネスコ総会で採択されましたESDグローバルアクションプログラム、こちらが国連ESDの10年の後継プログラムとして位置付けられておりまして、愛知の世界会議において、このグローバルアクションプログラムを大々的に打ち上げるとともに、そのための行動を起こすことを宣言する文書を採択する予定となっております。
 続いて、7ページでございますけれども、日本政府といたしましても、この機会にこれまでの10年の取組・成果を取りまとめまして、国内外に発信するためのレポート、ジャパンレポートのような形でまとめて発表する予定でございます。
 さらに、8ページ以降でございますが、これまでまだまだESDについて分かりにくい、まだ国民への認知度が低いという御指摘も国内委員の先生方からも頂いておりまして、私どもとして、文部科学省、環境省と一緒に、ESDの愛称公募を始めたところでございます。こちらが4月25日まで、今、公募をしております。それ以降、各種広報の取組を行っているところでございますので、御参照いただければと思います。
 以上でございます。
【安西会長】
 ありがとうございました。それでは、引き続きまして、ユース・コンファレンスへの参加が決まっております秋永名美さんにお願いしたいと思います。
 秋永さんは、東京大学大学院のサステイナビリティ学教育プログラムを修了されまして、昨年4月から、企業で科学技術と社会とのつながりをディスカッションするプログラムの開発に取り組まれています。
 先月東京で開催されましたESD日本ユース・コンファレンスにおきまして、本年11月に岡山市で開催されますESD世界会議のユース・コンファレンスへの日本からの参加者2名のうちの1人として選抜されました。
 それでは、秋永さん、よろしくお願いいたします。
【秋永氏】
 初めまして。ただいま御紹介に預かりましたESD日本ユース・コンファレンス代表の秋永名美と申します。本日は、このような貴重な場に呼んでいただきまして、誠にありがとうございます。簡単に、先月2月16日に行われましたユース・コンファレンスの報告をさせていただきます。
 当日は、朝10時から夕方の18時まで、オリンピックセンターに52名が集いました。参加者は、教員17名、NPO・NGO12名、学生10名、企業7名でして、会は、まず初めに、「私が考えるESD」というオープニングダイアログ、その後、分科会におきまして、例えば環境エネルギー、地域コミュニティ、地球市民といったテーマを掲げ、ESDの実践と課題について座談会が行われました。
 また、もう一つの分科会におきましては、ESDの認知度を上げるためには、その活動を継続させるには、そして産学官等ほかのセクターとの連携をどのように行っていったらいいかと、それぞれの実践や課題を交えた議論が行われました。
 最終的に、アクションプランニングと代表選考を経まして、私、秋永と、大阪の中尾有里さんという方が代表として選出されました。
 ちなみに、大阪の中尾有里さんのことも少し紹介させてください。彼女は、箕面こどもの森学園というオルタナティブスクールの教員をしています。箕面こどもの森学園は、生徒さんたちの個性を尊重し、生徒自身が自ら時間割を立て、縦割りの科目に捕らわれずに、自分たちで学校のルールを決めたり、行事を運営していくような、本当に学融合を推進している小学校にいます。彼女とともに、秋に向けて頑張ってまいりたいと思います。
 ここで、少し私の自己紹介とともに、秋に向けた抱負を話させていただきたいと思います。先ほど紹介いただきましたが、私は、大学で物理学、純粋理学を学び、ただその後、震災を経験し、科学技術がいかに社会に貢献できるだろうかという大きな疑問を持ったまま、サステイナビリティ・サイエンスを大学院で学びました。
 しかし、大学院では、世界中でたくさんサステイナビリティ・サイエンスの議論は行われているものの、アクションがまだ足りないと思いまして、今、企業、株式会社リバネスというところで、全国の2,000人の先生と100社以上の企業の方とともに科学を分かりやすく伝える実験教室をコアの事業としながら活動を続けております。
 ユネスコという言葉の中に、エデュケーションとサイエンスとありますが、我々は、科学技術の発展と、地球貢献を実現するという大きなビジョンとともに全国のステークホルダーの皆様と活動しております。
 世界会議に向けて、是非心掛けていきたいこと、そして関わる皆様に期待したいことがございます。それは、ESDのS、Dの部分です。持続可能な開発とは一体何なのかを、自分も含めて、おのおのが定義できるようになることです。私は、科学技術が社会の利便性だけではなくて地球の課題を解決するためにも発展していく、その両方のアプローチが必要だと考えています。また、これを定義するだけではなくて、我々は実験教室をやっていますけれども、産学官の連携を持って、各々がアクションをしていくこと、これをずっと心に留めて、秋の世界会議まで準備を続けてまいりたいと思います。まだ、未熟ではございますが、委員会の皆様には、今後とも御指導、御鞭撻を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
【安西会長】
 大変、立派なお話を頂きましてありがとうございました。何か、特に御質問、御意見ありますでしょうか。これも後でも結構でございますので、何か御質問等あれば、事務局宛てにお寄せいただければと思います。秋永さん、本当にありがとうございました。
【秋永氏】
 ありがとうございます。

議題5.木曽前ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の帰朝挨拶(報告)

【安西会長】
 それでは、議題5に入らせていただきます。木曽前ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の帰朝の御挨拶を御報告としていただければと思います。木曽前大使は文部科学省国際統括官をお務めの後、平成22年8月から昨年10月まで3年間、ユネスコ日本政府代表部特命全権大使として勤務をされました。木曽前大使の帰朝の御挨拶、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 (足立委員退席)
【木曽元代表部大使】
 失礼いたします。御紹介いただきました、木曽でございます。昨年暮れに戻ってまいりまして、11月15日付で退官をいたしました。3年2か月ほどでございましたけれども、パリの日本政府代表部の大使として仕事をさせていただきました。その感想みたいなものを御報告に代えさせていただきたいと思っております。
 私自身、大使になる前に国内委員会のお世話を3年ほどしておりましたので、仕事そのものに戸惑うことはなかったわけでございますけれども、実際に現地に行って仕事を始めてみますと、結構大変だなというのが幾つかございました。特に文化面では、やはり世界遺産の関係。有形と無形がございますけれども、この世界遺産の関係というのは、なかなか大変な仕事だと私は感じております。着任して早々、世界遺産委員会という委員会の選挙がございました。これは、非常に人気のある委員会でございまして、ここで最終的に候補を決定するわけでございますけれども、21のポストしかないので、御存知のように、ユネスコの加盟国190以上ございますので、立候補をして選挙運動を初めてやらせていただきました。幸いトップ当選をすることができましたが、ただ、秘密投票でございまして、最後の最後まで本当に票がどのぐらい集まるかというのが分からずに冷や冷やしたわけでございます。幸い世界遺産の関係では、平泉、小笠原、それから昨年は富士山というふうに世界遺産に登録することができましたし、無形では、特に、和食でございますが、これは、私自身着任して2年ぐらい水面下でいろいろお話をしたりしておりましたけれども、私の後任の門司大使のときになりますけれども、昨年の11月に登録に成功したわけでございます。
 それから教育面でございますけれども、先ほどから出ておりますESDについては、私は、日本の正にリーダーシップと言いますか、非常にイニシアティブを取らせていただいて、ある意味でユネスコにおけるESDを事実上、ドイツと一緒に引っ張ってきたと考えております。いろいろな意味でESDについては、今後とも引き続き日本がリーダーシップを取れればいいなと思っております。
 それから、科学については、サステイナビリティ・サイエンスというコンセプトを、国内委員会、そして、日本学術会議の御尽力でユネスコの事業として正式に認めるようにということで、私自身、会議等でいろいろ御説明したりいたしました。幸い新しい中期計画、また新しい予算にこのサステイナビリティ・サイエンスというものが明確に位置付けられて、ユネスコの科学の一つの柱になってきているということで、これも日本のイニシアティブによって進んでいく事業になると思っております。
 それから、たくさんお話ししたいことあるのですけれども、時間が余りないので一つだけ問題意識として共有しておきたいというのが、実は邦人職員のことでございます。日本人の職員、ユネスコにはある程度の数がもう働いておりますけれども、特に、問題意識としてあるのは、パリの本部に幹部職員がいなくなってしまったということでございます。部長以上の幹部職員が、今1人もいない状態になっております。実際、仕事をしておりますと、いろいろな意味で情報が欲しいわけですけれども、この情報量が、やはり幹部職員がいないことによって、相当情報量が減ってしまうということが、実際にあるわけでございます。そういう意味で日本からの幹部職員を増やすにはどうしたらいいかと。日本は、御存じのように、アメリカが今拠出できなくなっておりますので、断トツで1位でございます。相当なお金をユネスコに拠出をしておりますけれども、幹部職員が1人もいなくなっているということについて、私自身も何とかしなければいけないということでユネスコの事務局長、ボコバ事務局長等とは、意見交換させていただいていますけれども、多分、これは中長期的に考える課題かなという気が実はしております。絶対数のプールといいますか、が少ないと。これは、いろいろな構造的な問題があると思うのですけれども、正にグローバル人材という、今大臣も頑張っておられます、この問題と関わってくるわけでございます。グローバルに通用する人材という意味で、単に言葉という以上に、メンタリティーといいますか、外に出て仕事をしていこうという、そういう人の絶対量が減っているのかなという気がいたします。
 もちろん大学院の学位が求められますし、語学についても一定以上の能力がもちろん必要なわけでございますけれども、そういうものを今後、どう考えていくかということについて、是非問題意識を持っていただければと思います。長くなりましたけれども、私の帰朝の御報告に代えさせていただきます。どうもありがとうございます。(拍手)
【安西会長】
 ありがとうございました。何か、特に御質問ありますでしょうか。よろしゅうございますか。これも何かありましたら、後ほどお寄せいただければと思います。木曽前大使、ありがとうございました。

議題6.多様化の時代におけるユネスコ活動の活性化について(提言案)

【安西会長】
 それでは、議題6にまいります。多様化の時代におけるユネスコ活動の活性化についての提言(案)ということでございます。これは、年度内に取りまとめることを目指しまして、一昨年の12月から主に運営小委員会と教育小委員会におきまして議論を進めていただいて参りました。昨年9月の前回総会でもって、その議論をまとめた骨子案を御審議いただきました。その後、運営小委員会と教育小委員会で更に検討を重ねまして、この提言案を策定していただきました。今日は、この提言案について、御議論を頂きまして、最終的に取りまとめたいと考えております。ついては、是非皆様からの積極的な御意見をお願いいたしたい。提言案に関する御意見ももちろんでありますけれども、あわせて、これからの実施に向けた具体的な方策等についても、御意見を頂ければ大変幸いでございます。この提言案については、委員の皆様には、事前にメールで意見照会を行っておりまして、頂いた御意見等も既に反映されております。その結果も含めまして、まず事務局から説明をお願いします。
【籾井国際戦略企画官】
 座ったままで失礼いたします。この提言案については、今会長からも御紹介ありましたとおり、皆様に事前にお送りしてお目通しを頂いておりますけれども、本日、初めて御議論に参加される委員もいらっしゃいますので、簡単に議論の背景なども含めて御説明をさせていただければと思います。
 資料の国委134-6を御覧ください。背景については、1ページから3ページ、「はじめに」のところに書いてございますけれども、グローバル化、多様化が進展する中で、ユネスコも持続可能な社会の構築を目指した取組に重点を置いてきております。こうした中で、国内においてもユネスコ活動の在り方を見直すとともに更なる活性化を図る必要があるのではないかということで、この議論を1年4か月ほどかけてしてきたところでございます。
 特に青年については、ユネスコでも中期戦略の中で重要性がうたわれていたり、また国内におきましてもユネスコ活動とは認識はされていないかもしれませんが、いろいろなボランティア活動という形で、若者が参加している活動がございます。こうしたユネスコの理念に合致するのですが、必ずしもユネスコ活動と認識されていないようなものともうまく連携しながら、若い方々のユネスコ活動への参加を促していくことが必要なのではないかというのが問題意識の1点目でございます。
 それから企業についても、ユネスコ本部で企業とのパートナーシップというのを重視してきておりまして、また企業側にとっても社会貢献活動というのが、企業活動の中に明確に位置付けられるようになってきています。こうしたことを踏まえまして、企業との連携の促進というのも考えていく必要があるだろうということでございます。
 それからESDについては、2ページの最後でございますけれども、本年11月に日本において大きな世界会議が開催されるということ、それから2015年以降については、グローバルアクションプログラムという枠組みの下で更にESDを推進していく必要があるということで、その具体の推進方策について議論をしてきたところでございます。
 なお、本提言の内容でございますけれども、必ずしも、国内委員会が単独で主体となって実施できるものばかりではございません。ESDを含めユネスコ活動は、青年、企業だけではなくて、日本ユネスコ協会連盟、ユネスコアジア文化センター、ユネスコスクール、教育委員会といった様々な関係者が連携していくことが必要ということでございまして、今回の提言は、そういった連携を図っていくための、本委員会にとっての指針ということでまとめております。
 具体的な、提言の内容でございますけれども、まず、若者及び企業の参加について、資料の4ページを御覧ください。この囲いの中が主な提言ということでまとめております。まず、より一層の参加の促進を図るためには、効果的な情報発信が必要という問題認識の下、多様な主体がいろいろな発信を行うとともに、その情報の窓口を一元化することで、情報へのアクセスを容易にしようということで、ポータルサイトの構築を行うことを提言しております。
 それから、2点目でございますけれども、これまでは、日ユ協、ACCU、ユネスコ協会・クラブといった組織によるユネスコ活動を中心に議論してきたところでございます。こうした組織による活動というのも引き続き重要ではございますけれども、一方で、組織に属することなく、ユネスコの理念に合致する活動を行っている若者が多いと、こういった実態も踏まえまして、こういう組織以外の、組織に属さない方々についても、ユネスコに関する議論に参加してもらえるような議論の場というのを提供する必要があるのではないかというのが2点目でございます。
 それから、3点目は、若者がユネスコ活動に参加するきっかけとしてユースフォーラムのような、これはユネスコ本部が行っているものや、ユネスコが開催するものが複数ございますけれども、こういうものを積極的に活用すべきではないかというのが3点目。
 続いて、4点目がユネスコ活動への参加のモチベーション付けとして、何らかの表彰制度を設ける必要があるのではないかということでございます。
 さらに、ESDに関しましては、資料の11ページを御覧ください。ESDの推進については、国内におきましては、これまでユネスコスクールをESDの推進拠点として位置付けてきたところでございます。現在、ユネスコスクールの数、国内で675校となっております。オフィシャルの数字は、675でございますけれども、実は、今朝速報として、また29校追加で認められたという速報が来ましたので、これで700校を超えたということになります。こうしたユネスコスクールの質の向上に努めるとともに、数はかなり増えてきてはいるのですけれども、まだユネスコスクールが一つもない県があったりとか、そういう地域的な偏在がございますので、それをなくすように努めるということが1点目でございます。そのユネスコスクールのない県についても、これで今までない県が4県あったのですけれども、先ほどの29校の中に宮崎の学校が入っておりましたので、3県ということになっております。こちらもまだ、オフィシャルな数字ではございませんが、今後、また公式な数字にも反映していきたいと思います。
 それから2点目が、これまでは、ユネスコスクールを中心にESDを推進してきたのですけれども、ユネスコスクール以外の場でも、きちんとESDが推進されるようにしていく必要があるということで、コンソーシアムの形成、こちらに関しては、大学教育委員会を中心としたコンソーシアム形成に向けた、グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業というのを来年度から文部科学省としても実施する予定にしております。
 そして、教員の研修の充実、学習指導要領におけるESDのより一層の明確化、初等中等教育行政におけるESDの推進といったようなことが必要であるというのが2点目でございます。
 それから3点目が、ESDの教育効果がより明確になるように評価指標の開発等の調査、研究を進めることがあるということでございます。
 最後ですけれども、ユネスコ世界会議が本年開催されますので、これまでの我が国の取組、成果を国際的にも発信していくとともに、世界会議が終わってからでもユネスコや、その加盟国と連携をしながらこういった取組をしていき、ESDを推進していくことが必要であるということをまとめさせていただいております。
 委員からの意見照会に基づく修正については、多くのものは、より正確を期するための修正でございまして、1点、文部科学省としても力を入れているグローバル人材の育成ということにも言及すべきという御意見を頂きましたので、追記をさせていただいております。以上でございます。
 (斎木外務省審議官・広瀬委員退席)
【安西会長】
 ありがとうございました。それでは、今の資料国委134-6、これが提言案でございますけれども、今の事務局からの説明も含めまして、この資料134-6の提言案について御意見、御議論を頂ければと思います。大体3時半ぐらいまで時間が取れると思いますので、どなたでも結構ですので、御意見を頂いて、今日取りまとめとさせていただきたいのですけれども、最後の御意見を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。黒田一雄委員。
【黒田(一)委員】
 どうもありがとうございます。17ページのESDに関するユネスコ世界会議、それからESDの2015年以降の方向性ということについて、一言、意見を申し上げさせていただきます。
 正に、ここに下線が引いてあります、EFAとESDとともに推進することの重要性を強く主張すべきということなのですが、正に今EFA、若しくは、教育のMDGsについては、三つの枠組みの中で議論がされているわけです。ユネスコが中心となって、来年、今年オマーンで会議があって、来年、韓国の仁川でグローバルフォーラムが行われて、そこでポストEFA、これは2000年にダカールで行われたものの、その後の後継が決まっていく。またその後にニューヨークでポストMDGsの会議があるということで、それがもう一つの枠組みで、それから、もう一つSDGs、Sustainable Development Goalsの議論も並行して行われていますので、この三つが一つに収れんしていくというのが、これからの方向性だと思います。
 ただ、もちろん教育のところ、ユネスコが指導しているところについては、ESD的なものが入っていく可能性は十分あるわけですけれども、そのポストMDGsの議論の中では、教育が、人権的な観点から当然入ってはいるわけです。教育が非常に明確に位置付けられてはいるわけですけれども、そのサステイナビリティというのが、MDGsのこれからの方向性としては、非常に強く意識されているのにも関わらず、中間報告の中では、教育と結びついて書かれていない。なおかつ、SDGsの方でもSDGsですので、当然サステイナビリティのことがどこでも書いてあるわけです。中に、教育が非常に明確に位置付けられているのですけれども、どういうわけか、教育がエンプロイメントみたいなところにかなり強く意識されていて、サステイナビリティのところが抜けているという状況で、今中間的な報告書ができているということになっています。
 ですので、日本が、これからポスト2015に対して様々な貢献ができると思っているんですけれども、その中で、ESDの、これまでの経験を踏まえてこの三つの枠組み、特にポストMDGs、SDGsはきっとこれは一つになっていくと思いますので、その中でESDとしての在り方を発信していくということが非常に重要な方向性ではないかというふうに考えています。
 それからもう1点だけ、当然、これはEFAというのが、若しくは、ESDが終わって、これからもちろんグローバルアクションもあるわけですけれども、大きな枠組みの中にESDを残していくためにもポストMDGs、EFAというところに入れていくべきだという趣旨で申し上げたわけですが、これは、途上国だけで考えるということではなくて、先進国での教育政策にもESDをどのように残していくかを考えていかなくてはいけない。
 例えばOECDの21世紀型学力論であるとか、それからPISAの中での新しいノンコグニティブな部分をどう図っていくかという形の議論がありますので、そこの中にESDを発信していくということもEFAとともに、先進国の教育政策に対してもESDをどのように構造的に入れていくか、さっきグローバル人材ということもありましたけれども、必要になってくるかと考えています。ありがとうございます。
【安西会長】
 ありがとうございました。
 (下村大臣退席)
【安西会長】
 ESDが世界のユネスコ活動の中で、どういうふうに位置付けられていくのかということについては、今黒田委員の言われた面というのは確かにあると、私も思っているところでございまして、ユネスコは、EFA、Education for Allについては、長い間いろいろな活動を積み重ねてきておりますけれども、ESDについては、サステイナビリティということはいろいろなところで言われながら、現状はこれからという面もあるということだと思われます。木曽大使、その辺りについてお願いいたします。
【木曽元代表部大使】
 これは非常に重要な問題だろうと、実は私は思っております。ESDを10年やって、国連の10年ということで、その10年が終わるわけですけれども、その先どうなるかというのは、ユネスコとしては、アクションプログラムということで、これからも引き続きESDを推進していこうという文書を、今度の11月の国際会議で採択する予定になっておりますので、続いていくことは間違いないわけですけれども、ニューヨークの国連本体との関係で、当然、国連本体の文書の中に、明確に位置付けられるということは、非常に重要なことだろうと思っております。黒田委員がおっしゃったのは、正にそのことだろうと思うのですけれども、残念ながら、今の時点では、明確になっていないと、私自身、思っております。今後の展開で、そこがリンクできるかどうか。これはある意味で、日本だけの問題ではありません。私はパリで仕事をしておりましたが、ドイツとかケニアとか、興味を持っている国は、幾つかあるわけです。日本だけではなくて、何か国か一緒になって働きかけをするということが、非常に重要なんではないかなという気がしておりますし、是非、最終的にポストMDGsの目標の中に、ESDというものが明確に位置付けられることを期待しておりますけれども、現状としては、どうなるかは、今は明確ではないということでございます。以上です。
【安西会長】
 ありがとうございました。猪口委員、どうぞ。
【猪口委員】
 どうもありがとうございます。大変、示唆に富む御意見を伺っているんですけれども、10年前のESDが提案されたときに、我が国は、東日本大震災というのを経験してなかった。それで中間点でもまだ。それで今回、その経験から様々な意味でのディザスタープリベンションでありますとか、どうやってディザスターをサバイブしていくかと、そういう努力のさなかにあるので、世界が日本から聞きたいというのは、そういうことではないかと、実は思うのです。サイエンス・フォー・サステナビリティというとき、それが成功して新しい生活のスタイルなどで、大きな気象変動などによりますディザスターを防ぐことができるということがまず一つ大事だと思います。最終的な、目標はそういうところがあるのではないかと。
 またそれが、うまくいかなくてもそのリスクを減少させる、そして教育の中で、自分の身をそういうときに守るとか、そういう情報をお互いにシェアするとか、もう少し日本で仕上げの10年の会議をやるときに、このディザスタープリベンションという、日本ならではのそれを強く言って世界が耳を傾けるだろうということを中心において、それを、こういう世界会議というのは、単独であるわけではなくて、いろいろなところに成果文書をフィードインしていくと、主流化されてメインストリームの大きな舞台に乗るということがありますので、そうすると、我が国が今年ESDをやって、来年の3月には、国連防災世界大会を仙台でやりますから、そこに向けてのフィードイン文書の原型になるのが、今日取りまとめようとしているものかもしれないので、そう考えると、もう少しそういう復興から立ち上がるその力というものをクローズアップすると、世界もあっと思うのではないかと思うのです。
 さらに、国連防災世界会議もそこで終わりということではなくて、それでポストMDGsのインディケーターの中に、今度こそ、このディザスタープリベンションという観点を入るかどうかの戦いを日本としてすべきだと思うのです。MDGsには入っていないわけですから、そういう指標に入って初めて日本の経験というのがメインストリーム化されますし、正に世界各地でこうやっていい教育を受けて育ちながらも突然のディザスターの犠牲者になる確率というのを最小化するというのが、やはりサイエンスの力であり、教育もそこをカバーしなければならないと、そういうふうにも思います。最終的な目標を近いところでは、2015年の閣僚会議で採択されるはずのポストMDGsの中に、このESDの考え方が入る。ESDの中の考え方のうち、特にそういうディザスタープリベンションが大事ではないかと。付け加えるならば、私の関心事項からは、この間も国会の方の予算委員会で三つのDということを伝えたのですが、ディザスタープリベンションと、あとは日本が世界から見たときに特徴的な乗り越えをやっているというのは、被爆国としての経験を踏まえて、その後軍縮外交などに努力しているということですから、ディスアーマメントであるということと、多くの国の開発問題に同情的であるということで、デベロップメントアシスタンスということをしっかりやってきたと、これが三つのDなのです。
 ですから、そういうふうに我が国の特徴をもっと分かってもらえるように示すと、せっかく我が国がフォースとして引っ張ってきて小泉総理のヨハネスブルクの提案以来、ここまで来ているプロセスですので、何とか世界の舞台での主流化ということをお願いしたいと思っております。ただ、私として、もうここまでできている文書ですので、これに依存はなく、今後、この発展や説明の中でそういう内容を加味してくれると有り難いかなと思います。
 それから木曽大使のおっしゃった、邦人職員のことは、もう少し本当に努力しなければ、大臣も本当にグローバル人材ということでやってきてくれていますけれども、単なる英語の話でもないという言葉が大使からありましたが、それは実感なのだろうなと。私は、それは日本の国益のために生きる人という位置付けが海外の前線で立つ人に必要なのだろうと思うのです。今英語ができる人はたくさんいるにも関わらず、そういう感謝の仕方とか敬意の表し方、前線、戦士なのですが、そういうところで頑張る人たちになかなかそういう位置付けがまだできていない。特に、女性たちが国内の就職難ということもあって、大量に世界で、前線で働いているにも関わらず、彼女たちは、国益、国策の戦士であります。だから、戻ってくるときには、やはりそういう待遇が必要であるという位置付けをしてくれると、単に英語ができますか、何かができますかという話を超えて、やはりみんな、そういう国益のために生きてやろうというマインドを持つ若い人はいるのではないかと思います。
 (松山委員退席)
【安西会長】
 ありがとうございました。ESDの考え方について、あるいは実践については、学校等でも大変頑張ってやってくださっている方は、たくさんいらっしゃいます。その中で、確かに、今御指摘のありましたように、やや広い概念で、なかなか日本からの特徴というのが出にくいままに来たというのは、御指摘のとおりの気がいたします。これからの問題だと思いますけれども、大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。人材についてもそうだと思います。ありがとうございました。
 それでは、大津委員。
【大津委員】
 少し違った角度から述べさせていただきたいと思います。先ほど、黒田委員が教育政策ということをおっしゃいました。11ページのESDの一層の推進、この要旨のとりわけ2番というのは、まさしく教育政策なわけです。ですから、私は、このことについて、是非、下村大臣がいらっしゃるときにお尋ねしたかったのですが、ここに書かれてありますこと、今、おっしゃられたこともそうですが、学校や教育の現場から言いますと、もちろんサステイナビリティというのは、本当にキーワードであるのですけれども、一方で、日本の教育は、ESDで変えることができると、つまり、ESDがどういう能力、資質を育てようとしているかということを考えますと、さっき黒田委員もおっしゃいましたけれども、OECDの学力論争などと関わって、21世紀を担っていくために必要な学力、能力、資質というのは、まさしくESDが育成を目指している能力、学力であるわけですから、もっともっと日本の教育政策として、ESDによって日本の教育を変えることができると、そういう主張が前面に出てくれば教育現場からもESDに対してレスポンスがもっと出てくるのではないかなと感じております。
 そこで要旨2番です。これで原案として異議はありませんが、この文章には主語がありません。主語がなくても私たちは読み取るわけですけれども、教育行政であるからには文科省がきちんとこういう手立てでやっていきますということが明確にされればESDがもっともっと定着していくのではないかと考えております。以上です。
【安西会長】
 ありがとうございました。これも大変貴重な御指摘だと思います。どうぞ。
【寶委員】
 寶でございます。今、お二人の方から御意見出ましたのに関連いたしまして、まず今の11ページの2のところですけれども、初等中等教育行政におけると書いてあるんですけれども、実際には、高等教育、大学院レベルでもサステイナビリティ・サイエンス絡みのことは、先ほど秋永さんのお話にもありました、東大でもやっておりますし、京都大学でも、グローバルCOEですとか、リーディング大学院でやっておりまして、ですから、初等中等教育に限らず、シームレスに高等教育まで続けて考えていただくのがいいのではないかなと思っております。
 それから、私、防災研究所におりますので、先ほどの猪口委員のお話と関連するのですが、防災、減災に関わるいろいろな研究ですとか、教育ですとか、これも大学でやっておりますけれども、IRDRという総合リスク研究です。IRDRというのがISDRとICSUとISSCで行われておりますけれども、これについては、来週、学術会議で、IRDR分科会で少し議論いたしまして、SDGの中に防災、減災のテーマを主流化して入れていっていただくように議論を進めていこうということで進んでおります。
 ということで、こういう防災、減災とESDは先ほど猪口委員から御発言ありましたように大変関連するものですから、初等中等教育にとどまらず、それ以後の高等教育にも引き続き考えていただいて、そして社会人になっても引き続き考えていただくような体制を取るということは、大変重要ではないかと思っております。以上です。
【安西会長】
 ありがとうございました。ESDは、やはり今までユネスコスクールの活動とオーバーラップして行われてきた面が大きいために、高等教育が入っていないというのは、そのとおりなので、これも検討させていただければと思います。防災等もおっしゃるとおりだと思います。
 それでは、東委員。
【東委員】
 沖縄県ユネスコ協会の東でございます。私からは、4ページなのですけれども、文言に関しては、特に意見はございませんが、4ページの2でユネスコ協会やクラブという重要性を踏まえつつ、いろいろなところのプラットフォームを作っていろいろ多くの人を巻き込んでいこうということ、青年や企業や外部団体を巻き込んでいくこと、これは、私は大賛成でございます。ただ、私自身の狭い、経験からしてもユネスコ活動というのは、やはりユネスコ憲章に基づいて、いわゆる非常に平和や貧困問題等をはじめ、非常に大きな、やはりぶれない理念を持ってやっていると思います。一方、もちろん今、NPO、NGO、特にシングルイシューに、いわゆる特化したところは分かりやすくて、非常に元気があるところもありますが、その中には、もちろんすばらしいところもありますけれども、私が活動している中においても、例えば平和の問題であれば自分たちが考える平和のロードマップだけが正しくて、ほかは余り好ましくない。又は、自分らの行っている環境保護活動だけが他者より優先しているのだという団体も非常に多く見受けられます。それと同時に、理事長や会長が替わった時点で、大きくいろいろなところにぶれていくというところがありますので、外部を巻き込むことに関して言えば、その辺のところもかなり整理していかないといけないのではないかなと思います。ユネスコの一番すばらしいところは、多様な文化を認め合い、多様な価値観があっても同じ机について話し合いをするという、そういう理念がユネスコの根本だと思いますので、そういった意味では、これを実施するに当たって、その辺のところの基本理念、もちろんここにお集まりの方々は、皆さん、私以上にお分かりだと思いますけれども、実施に当たっては、やはり、地域のユネスコ協会でもそういう問題が研さんしているということをお伝えしたいと思います。以上です。
【安西会長】
 貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。4ページの2については、私の理解では、この国内委員会の中だけの活動というよりは、ユネスコ活動をいろいろ積極的にやっておられる、そういう方々とともに歩んでいくことによって、日本のユネスコ活動を、また新しい時代に、もちろんユネスコの理念は共通するものとして広げていきたいと、そういう趣旨がベースにあるのではないかと思いますので、今、東委員の言われたことを、やはり貴重な御意見として捉えて、できるだけと言いましょうか、ユネスコ憲章に則った活動として進めていければと思います。
 この点について、コミュニケーション小委員会の西園寺委員長、コメントを頂ければと思います。
【西園寺委員】
 ありがとうございます。いろいろユネスコ協会とか、ACCUとか、そういう組織が長年努力をされてユネスコ活動を推進されてきたということに対しては、心から敬意を表したいと思います。一方で、さっき秋永さんの方からお話がありましたように、そういうものに属さないで活動している若者たちが非常に増えてきているということもございます。したがって、そういう方たちの活動を、いかにユネスコ活動の中に引き込んでいくかということも、一方で非常に大事なことではないかと思っております。
 今回、ESDユネスコ世界会議「ユース・コンファレンス」に先駆けて「ESD日本ユース・コンファレンス」を開催し、50人ぐらいの若者たちが集まってきたわけですが、それを一つの機会としまして、ここにあるプラットフォームというようなものができればいいなと。つまり、組織に属さないけれども、ESDというところで共通の価値観を持った若者たちが、共に情報を交換できるというような場があればいいなということで、今回のことをきっかけに、一つのプラットフォーム作りを進めてまいりたいと思っております。
【安西会長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。井原委員、どうぞ。
【井原委員】
 木曽ユネスコ協会の井原です。同じく4ページの件なのですが、この4ページに書いてあるのは「how to」だけのような気がするのですね。「what is」がないというのは、今、多分、東委員が付け加えられたことというのも、「what is」がないから付け加えが出たような気がしないでもないのですね。サステイナビリティというと地球が抱える課題としての大きな課題があるわけなのですが、そこの中のどういう活動が、ところが一方で文部科学省の方からの御案内では、ESDの中で身近な活動を続けていくことによって、ただし、グローバルな視野を持ちながらやっていく活動ですというようなことは書いてあるわけなのですが、具体的なイメージが私は湧かない、湧かないと言ったら変ですけれども、自分自身がやっている活動ではイメージが湧くのですが、本当に、子供たちといいますか、そういう方たちが、自分たちがやっている活動がサステイナビリティにつながっているのだということが、この要旨の中にも、どういうふうに書くかはわかりませんが、少しあった方がいいような気がします。
【安西会長】
 ありがとうございました。4ページの要旨は、私の理解では、ユネスコ活動全般について、どういうふうにこれから考えてやっていくかということの要旨でございまして、ESDについては11ページに要旨が書いてあるというふうに分けてあるかと思います。
【井原委員】
 それでは、例えばユネスコ活動、先ほどこの議論の中で、ユネスコには属さないけれども、いろいろそういうESD的な活動をしている方もユネスコ活動だというような、そういうふうに分けるというような、そういう方たちも一応対象にするというようなお話があったものですので、ユネスコ活動を理解されていない方々に対して、ユネスコ活動の一層の促進の中で、そういう理解を図るといった記述みたいなものが必要ではないかという意味です。
【安西会長】
 これは私がお答えするというよりは、皆様にお考えいただければと思いますけれども、4ページの要旨の2の5行目あたり、組織に加盟しなくてもというのは少し強い書き方かもしれませんけれども、いずれにしてもユネスコ活動に関心を持つ若者、あるいは社会で働いている方々も含めて、そういう方々が我々の持ってきた、あるいは積み重ねてきたユネスコ活動に参加していただきたいと、そういう趣旨だと捉えているところであります。
 どうぞ。
【二瓶委員】
 二瓶と申します。今の点に関してなんですけれども、要旨の2のところですけれども、少し文章が分かりにくいというか、はっきりしないという感じを受けます。それはどういうことかと言いますと、いわゆる主体として、プラットフォームを設けるという主体はユネスコ活動に付いていって、組織的なところに入ってやっている人を指しておられるようにも見えるのですけれども、その人たちが組織に加盟していないそのユネスコ活動に関心、興味を持っておられる若者、企業が参加できるような場を提供すると。そこまでは分かるのですけれども、提供して、広くユネスコ活動として認識し、実施されるための方策について、実際上は認識していて、そして、我々、例えばユネスコ協会に入っている私たちと一緒に、ユネスコ憲章に基づく精神で、ユネスコ活動を共にやっていくような方策を考えていくということであれば、私は認識だけでは足りないのではないかと思います。認識し、共にユネスコ活動を一緒に実践していくような、そういうプラットフォームというか、あるいは活動をやっていくという趣旨が良く分かるような形で、ここのところは工夫していただければ大変有り難いと、こういうふうに思っております。
【安西会長】
 ありがとうございました。一応、認識し、実施されるというふうには書いてはいるのですけれども、今、特にユネスコ協会等で実践されている方々からの御意見でございますので、できるだけこのあたりの文章はわかりやすくできればと思います。
 このあたり、林原副会長に是非コメントを頂ければと思います。
【林原副会長】
 私は先ほど御紹介いただきましたとおり、今度副会長にさせていただきましたのですが、こんなところに座っていいのかどうか、そうそうたる皆様の前で少し恥ずかしいのですけれども、精いっぱい努力して参りたいと思います。
 私は長年銀行に勤務し、今も実務界にいる立場から、今回の報告についてお話ししたいと思います。この提言は、これからのユネスコ活動をする際の重要な決意表明と考えておりまして、特に若者と企業にもう少しユネスコ活動に参加してもらおうということを述べており、非常に良いタイミングで良いものを作っていただいたと考えております。
 特に、企業について若干申し上げたいのですが、例えば、ユネスコの活動に直接関係していない人たちも、もっとユネスコ活動に取り組んでもらおうという見地からすると、正に企業というものが大きなこれからのターゲットに成り得るかなと考えております。企業の場合は、ここにも書いてございますけれどもCSRということが言われまして、社会活動にもっと貢献するべきということがかねてより指摘されているわけですが、かつてのように、単純に慈善活動をするから企業にお金を出してくれとお願いしても、企業はすぐに応じてくれる時代ではないと考えております。企業の方も非常に厳しい環境の中におりますから、企業のためにもなるというような取り組みをしないと、企業に積極的な参加を求めることは難しいと思います。有名なところでは、ハーバード大学のマイケル・ポーター先生がCSV(Creating Shared Value)ということをおっしゃってから、社会と企業の両方に価値のある活動をしようということが強く言われるようになりました。例えば、ハイブリッド車は日本の自動車メーカーが中心となって開発したわけですが、ハイブリッド車によって環境は良くなり、かつ自動車メーカーも収益をあげたという典型例なのですけれども、企業にとっても企業価値を高めるために取り込めるというバリューを、もう少しユネスコの側から企業にアピールしていけるような、活動ができればいいと思っています。その一つの大きな指針となるものがこの提言ではないかなと思っております。
 そうは申しましても、具体的にはなかなかハードルは高くて、そう簡単にはいかないわけですけれども、この提言を機に少しでも企業へのユネスコ活動の一層の展開を図るべく、皆様の御協力を頂いて、努力をしていきたいと思います。
【安西会長】
 ありがとうございました。大変貴重な御意見を頂いてまいりました。秋永さん、どうぞ。
【秋永氏】
 すいません、僣越ながらよろしいでしょうか。今の企業の点に関しまして、まず、今、副会長がおっしゃったこと、CSVという概念を私も賛成しております。実際に、自分たちもビジネス体として、そして100社の企業さんと一緒にESD活動をする中で築いてまいりましたことは、CSRというサイドビジネスのような、メインビジネスから離れた形で投資をするという考え方だけではなくて、もはや、そのビジネスのメインの活動そのものが社会のために良い影響を与えていると。それ自体が目先の利益にはならずとも、長期的に見て、その企業の繁栄であったり、良いことを続けるために利益を得ていくと、そのような考え方は、今、企業でも浸透してきていると思います。
 そして、もう少し落とし込んで考えますと、担当者としてはCSRの方だけはなくて、最近は人事の方も非常に興味を持っております。このようなESD活動の、例えば講師に社員の方がなることで、それは、その科学や技術を生み出している、その企業の理念であったり、テクノロジーを理解するという、それも広い意味で教育になっているわけです。人材育成の観点からも企業は関われると思いますので、途中、差し挟んで申し訳ないですけれども、そのようなCSRのみならず、CSVや人材育成という観点で企業は巻き込んでいけると信じております。以上です。
【安西会長】
 ありがとうございました。ほかにもまだまだ御意見を述べたいという委員の方いらっしゃるかと思いますが、できましたら、これは事務局と相談しておりませんけれども、今週いっぱいぐらいの間までに、御意見があれば事務局にお寄せいただいて、できる限り反映する形で修文をさせていただければと思いますけれども、そういう形でよろしいでしょうか。そして、私の方へ最終的には一任とさせていただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
【安西会長】
 ありがとうございました。大変短時間で申し訳ありませんが、今年度いっぱいにこれを決めたいということですので、木曜夜までにお寄せいただければと思います。そして、この文章については一任とさせていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題の7から9は非公開ですので、先に議題10をやらせていただきます。傍聴の方等いらっしゃいますので、議題10、公開の方を先にやらせていただきます。事務局から、その他、報告すべきことがあればお願いします。
【本村補佐】
 時間の関係もありますので、手短に紹介させていただきます。
 お手元の資料の下の方にございますけれども、参考7、参考8として配らせていただいています、参考7の、日本政府の平成26年度のユネスコ関係予算案でございますけれども、新規の文部科学省の予算としまして、来年度の11月の世界会議の開催経費を9億1,000千万、新たに経常しております。また、新たに新規予算として約4,000万のグローバル人材の育成に向けたESDの推進ということで、コンソーシアム事業を計上してございます。外務省の分担金、信託基金拠出金を合わせまして、日本政府として約54億円の予算を計上しております。
 また、参考8でございますけれども、今後の日本ユネスコ国内委員会関係の行事について、世界会議関係は省略させていただきます。ユネスコ関係会議といたしまして、本年4月1日から15日、ユネスコ執行委員会がございます。以下、関係会議が予定されております。裏面でございますけれども、本年7月に、次回第135回の総会を予定しております。
 以上でございます。
 (猪口委員退席)
【安西会長】
 何か、特に御質問ありましたでしょうか。それでは、「その他」はそこまでにさせていただきます。ありがとうございました。

議題7.ユネスコ記憶遺産について(報告)  
議題8.日本ユネスコ国内委員会広報大使について 
議題9.日本ユネスコ国内委員会の構成について
 
【安西会長】それでは、ここからは非公開とさせていただきます。国内委員会の人事案件等になりますので、委員、事務局、関係省庁以外の傍聴の方々、また、報道関係の皆様には大変恐縮ですけれども、御退席くださいますようにお願いいたします。多少、時間をとらせていただきます。
 (堀川委員退席)
 (オブザーバー等退席)
 (人事案件等のため非公開)
 
【安西会長】
 それでは、本日の総会は、ここで閉会とさせていただきます。御多忙の中、御出席賜りまして、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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