大学横断的かつ競技横断的統括組織(大学スポーツ協会(UNIVAS))設立準備委員会作業部会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成30年10月15日(月曜日)9時~13時

2.場所

東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル7階

デロイトトーマツグループ セミナールーム

3.議題

  1. 開会
  2. スポンサープログラム及び賛助制度(案)について
  3. テーマ群別の検討の進捗状況について(学内整備/大会・広報/指導者/情報の取扱)
  4. 日本版NCAAの会員に関する規程(案)について
  5. 閉会

4.出席者

委員

伊坂主査、小林(勝)主査、友添主査、藤本主査、太田主査代理、三宅主査、戸田主査、佐藤主査、池田(純)主査、境田主査、小林(至)主査、佐野主査、尾崎主査、池田(敦)主査、木藤主査

スポーツ庁

齋藤総括官、増井参事官、川合参事官、福本企画官

(文部科学省)
平野高等教育局大学振興課大学改革推進室長

5.議事要旨

【開会】
〇事務局より、本日の作業部会の進め方について説明があった。

【スポンサープログラム及び賛助制度(案)について】(資料1、2)
〇池田敦司主査より、「スポンサープログラム及び賛助制度(案)」について説明があった。
〇質疑応答後、第2回設立準備委員会において資料として付議することについて主査に諮り、了承された。

(質疑応答)
〇(佐藤主査)11月中旬にスポンサー企業説明会開催とあるが、企業に数千万~1億円程のスポンサーシップを打診する場合、3月決算の企業はおおよそ10~11月頃に来期予算の予算取りをしなければならない為、11月中旬の説明会が詳細な話題に踏み込むのであれば間に合うと思うが、概要だけで詳細は別となると、時期的に来期の予算取りが難しいということが出てくると思う。
〇(佐藤主査)今後予定のスポンサー企業説明会は来年度の契約を目指すのであれば、もう少し前倒しして企業の感触を見て具体的な話し合いを11月中に1、2つぶつけてみても良いと思う。11月中旬だと機会を逃してしまわないかと思う。
⇒(池田敦司主査)説明が不足していたが、今現在10社程問い合わせを頂いている。敏感に反応している企業がいることも事実。逆にスポンサー候補の種まきを広げておきたいという意図があることも事実。
⇒(池田敦司主査)タイミングについては早いに越したことはない。準備の問題と場所の問題を合わせ、なるべく早くできるようにスポーツ庁含めて検討したい。

〇(藤本主査)オフィシャルパートナーの1社独占・複数社共生で、キャリア支援関係のスポンサーを想定しているか。
⇒(池田敦司主査)具体的な企業名は想定できていないが、キャリア支援関係で例えば就職斡旋会社などいくつか外部の企業と、もしキャリア作業部会と組んでプログラムを提供する、ということがあるのであれば、スポンサーという概念で交渉してみたいと思う。主査と相談して決めていかなければと思っている。

〇(藤本主査)キャリア支援を担っている企業は大中小あり、関東に強い、関西に強いなどの地域的な特色がある。それを考えると部会ではある程度絞らないほうがよいのではないかと思う。

〇(友添主査)個人会員は現在想定しておらず、将来も募る予定はないか。小口で財政的な大きな支援の母体になることはないと思うが、社会的な支持を広げたり、NCAAへの理解を広げたり、ソシオ的な形での支援を求めるという意味では、個人会員についてどのように考えているか伺いたい。
⇒(池田敦司主査)問題は我々が対価をどれだけ返せるかというところである程度線引きができると思う。基本的にスポンサーということであれば、ある程度の対価を提供する、露出の確保、イメージアップにつながるものなどあるが、完全に寄付という概念であるのであれば、会員制度の中で考えるべきか。
⇒(池田敦司主査)現状スポンサーの中では個人は除外している。なぜかというと、例えば政治家が政治活動に連結するようなことになるケースもゼロではない。社会性で見た場合に偏ったものはなるべく排除するように最初は敷居を高くしたほうが良いかと思う。

〇(友添主査)私どもの大学では個人のスポンサーを募っていて、寄付という形で個人でも数百万から数千万の寄付をする方がいる。そういう意味でいうと、OB・OG会の中ではスポンサーという形で募れば、母校ではなくNCAAに寄付する方たちがゼロではないだろうと思った。ただし、それに見合ったサービスなど具体的な対価を考えると、煩わしさやプラスマイナスを考えると、マイナスの可能性が高いと思うが。
⇒(池田敦司主査)現段階で母校に寄付するということはあると思うが、新組織に個人が寄付するという想定ができないが、需要が出てきた場合は、それなりの仕組みを作りたいと思う。

〇(伊坂主査)スポンサー体系の図で、見合うだけの露出、サービス提供とのことで企業名表記があるが、大会の冠だけの表記なのか、ユニフォーム等を含めたような露出まで考えているのか。新たな大会を作るとなると、従来の大会で学連とのバッティングなども整理が必要と思う。
⇒(池田敦司主査)現段階で来年間違いなく物理的にリリースされ得るものとして、具体的にはHPができる為、HPにはしっかり表記したい。シェアードサービスの中で、試合の動画配信を予定しているが、その中でも表記ができないか検討したい。各作業部会の主査との相談になるが、印刷物を作成するものがあれば、その中で表記できないか検討したい。ゆくゆくは、主催の大会ができる時期がくれば、そこでの露出も検討したいが、まだ来年できるということになっていない為、将来的なこととして考えたい。

【日本版NCAA(仮称)の会員に関する規程(案)について】(資料1、3、4)
〇木藤主査より、「日本版NCAAの会員に関する規程(案)」について説明があった。
〇質疑応答後、第2回設立準備委員会において資料として付議することについて主査に諮り、了承された。

(質疑応答)
〇(友添主査)正会員と準会員の権利と義務がどのように関わってくるのか。
〇(友添主査)成績の管理をする時に、全国的なNCAAに直接報告するのか、準会員で正会員でない大学が出てきた場合に、ブロック別のNCAAのようなものを作るのか、おそらくカンファレンスとイコールでない形になると思うが、日本版NCAAの組織構造そのものをどのように考えるのか、非常にパラレルな問題だと思うので、組織の上では全国版の日本版NCAAと各支部別のNCAA、例えば中国四国版NCAA、北海道東北版NCAA、のような組織も想定するということか。
⇒(木藤主査)権利については、正会員と準会員はこの組織に対する議決権があるかないかというところが大きく違うところ。義務については、将来的な要求事項、特に学業に関しては加盟している大学や地区学連に浸透させていきたいのでこのあたりが義務になる。これに関しては各主査のテーマごとに検討しているところなので、本日具体的なことを示すに至らない。
⇒(木藤主査)準会員については大学という会員枠を設けていない。あくまでも準会員は学連が対象。全体的な組織で今設立していく組織については、全国組織を想定しているが、その中で地区ブロックということに関しては、班やグループ分けのようなものはしようと思うが、まずは関西のようにカンファレンスという大きなものになっているところは、設立時点では考えていない。まずはグループを設けてそこから活動を広げていくということを想定している。

〇(友添主査)付け加えて地区学連を準会員として想定した場合、それは全国学連と準会員たる地区学連との間で権利関係の差異は今のところは考えておらず、議決権があるかどうかだけが決定的な違いであるとのことだが、将来的にはいくつかの権利の中では制限事項が加わってくると考えてよろしいか。
⇒(木藤主査)地区学連からは意見という形で地域ブロックのグループから上がってくることを想定している。提供するサービス等の制度設計については中央の学連を含めた会員の中で決めていくということになるだろう。その為、当初は中央の学連の方がサービスは充実する可能性があるが、話し合いながら進めていきたい。

〇(境田主査)中央学生競技団体と地区学生競技団体の定義は定めているか。水連のように学連がないところがあるが、その場合はどのような形で定義されるのか。
⇒(木藤主査) 正会員で水連のように学連がない場合には、水連が入れるようにしている。全国的な統括組織ということが要件になっていて、それが学連として存在する場合には学連、水連のようにそれが一部門となっている場合には水連として加盟するということになる。定款に明記している為、定款で確認できる。

〇(池田敦司主査)仮に大学が加盟した場合、初年度は入会金の10万円、年会費の10万円、20万円を支払うという定義でよろしいか。
⇒(木藤主査)そのような解釈になるが、支払うことを求めることができる、という整理である。

〇(小林至主査)学生の扱いはどのようになるか。
⇒(木藤主査)大学スポーツに関するサービスを提供する機関として日本版NCAAが設立されるという理解である。サービスを受けるメンバーは学生が当然入ってくるが、議決権あるいは組織を構成する会員として学生は入ってこないという整理になっている。

〇(小林至主査)元々それを前提にしていたか?米国のNCAAなどでも学生が理事に入っているが。
⇒(木藤主査)学生会員は例えば10万人の会員を正会員として議決を取る、ということは想定していない。学生にメンバー証などは配布できると思うが、組織の構成員として何か議決を持っているという位置づけとしては考えていない。

〇(友添主査)例えば全日本学生柔道連盟が会員になった時、東北学生柔道連盟は会員ではないということか。つまり、学連として入会しなければならないということか。東北学生柔道連盟は全日本学生柔道連盟の内部機関である為、二重取りをしていくと各学連は考えると思う。ほぼ全てどの学連もこの組織構造をとっている。
⇒(木藤主査)中央学連の中に構成員として入っている学連はたくさんある。その中で地区学連を準会員として別途扱っていることについては、準会員として地域ブロックのグループの中で議決権を有して意見を述べたり、サービスの提供を直接受けたりできることを想定している。二重取りというところを気にして入らないという地区学連が出た場合には中央学連のガバナンスの下で対応いただくことを想定している。
⇒(木藤主査)1点加えると、地区学連の中でも入れないところが出てくると思う。具体的には法人格を持っていない地区学連に関しては準会員としての参加は除外と考えている。

〇(友添主査)例えば全日本学生柔道連盟が中央組織として入ったが、九州学生柔道連盟は入らない、東北学生柔道連盟は入った、というように全日本学生柔道連盟の中で準会員として入るところと入らないところが出てくる可能性がある。サービスの違いによって全日本学生柔道連盟そのものの分断的な扱いになることがある。全日本学生柔道連盟で会費の運用をしているところがあり、法人格を持っているところはやらなければならないが、準会員に入るメリットとして具体的にどういうものを想定しているか。
⇒(木藤主査)法人格を中央学連・地区学連それぞれが持っている場合、基本的に法人としては別組織という考えに基づいて設計している。二重取り等の問題に関して検討してきたが、入会金は地区学連から取るが年会費は取らないということで過重な負担にならないところは配慮している。
⇒(木藤主査)具体的な権利に関しては、正に今検討中。一例として大会開催に助成金などのサービスを提供する際に中央学連が入っていれば全国規模の大会に、地区学連には要件を満たすようなものにはそういったサービスをしていくが、加盟していない地区学連については中央学連の判断、ということになる。

〇(友添主査)表彰制度に関して、例えば全日本学生柔道連盟で優勝したところに表彰する、あるいはベスト8に入った団体、大学にも表彰するということを考えている。地区学連の優勝チームあるいは個人にも表彰を与えるが、地区学連で準会員になっていないところには表彰制度を適用しないとことになってくるのではないか。例えば、東北学生柔道連盟は入っているので優勝チームと個人にはNCAA賞を出すが、九州学生柔道連盟は入っていないのでそういった表彰はしないという扱いになる。しかし、九州学生柔道連盟も東北学生柔道連盟もどちらも全日本学生柔道連盟の下部機関である、ただし法律上は全く扱いが違うということであれば、そういう区分けで全ての制度を考えていく必要があるということか。
⇒(木藤主査)サービスの提供をする・しないをはっきりしているものと、グレーゾーンのものも出てくると思う。学連で加盟している・していないだけでなく、学連が入っていてもその中に加盟している大学が全て入っていないということは想定されるところである。これについては基本的には入会した学連を優先的に表彰等のサービスをしていくということが筋かと思うが、例えば加盟率が何%を超えている場合には表彰対象に特別枠を設けるといったアイディアも今後出てくるのではないかと思う。組織整備で全体を見渡して考えているところは、基本的には入っているところを中心にサービス展開をしていくことが必要であると思っている。

〇(友添主査)例えば、組織的に弱く地区学連が法人化していない組織の方が、圧倒的に便益を得る可能性が高くなり、法人格を持っている学連で準会員にならないところについては適用除外にする、奨学金などの適用もこれから考えていくが、除外対象になるということでよろしいか。
⇒(木藤主査)元々の設立の趣旨から言うと、大学の運動部に関しても学連に関しても健全な経営というところを目指していくということがある。その健全化のひとつの手段として法人格というのは必須であると思う。ただし、例えば2年内に法人格を取ること、のような猶予要件を設けるということは今後検討に値すると思う。

〇(三宅主査)入会金のところで、正会員でいわゆる中央学生団体として入ることは財源的にも何とかなると思うが、準会員のところで地区学連は非常に財政的に厳しい団体もある。そうなると、中央学生団体がNCAAに加盟することを反対される懸念が出てくると思う。例えば、各地区の学生柔道連盟は全て独自財政でやっている。全日本学生柔道連盟が助成金を出しているということはない為、地区学連にコンセンサスを取ることが難しくなる可能性がある。一考いただきたい。
⇒(木藤主査)会費規程に関しては様々な収入の兼ね合いで検討が進められている。ただし、入会金に関しては会費のところで意見があったように例えば初年度、あるいは最初の2年間は取らないという形でいつでも入れるので様子見ようというよりは、最初から関わってほしいのでキャンペーン的に使いたいという意図はある。設立時には入会金を取らないという形になると、実質的に最初から入ってもらう準会員のところに関しては再入会という形にならない限りは、会費がかからないという設計ができればと考えている。

【日本版NCAA(仮称)への加盟に伴う将来要求事項(案)について】(資料1)
〇木藤主査より、「日本版NCAAへの加盟に伴う将来要求事項(案)」について説明があった。

(質疑応答)
〇(伊坂主査)将来要求事項の為、どのくらい先の将来から遵守すべきものなのか。とりわけ学業のところで制度は良いが導入をためらうところも出てくるだろうし、学業関連の情報の提供を求めた時に、表彰に関わるので表彰される学生のみだと思うが、それが拡大されて全員分提供を、という形になった時に、NCAAに学業成績を全部開示するということは時間がかかるだろうし相当な議論がいるのではないかと思う。
〇(伊坂主査)重篤事故の報告について、出していなかったような歴史的な経緯もあり、フェーズをどのように考えていてどのくらいの将来にこれができればと考えているのか、段階的運用と書かれているものが2つ程あるが、それ以外はすぐに適用するものであるのか、教えてほしい。
⇒(木藤主査)安全安心は早い段階から適用されてくると思う。ただし、事故の報告に関しては川原主査から補足があればと思うが、基本は保険制度での報告を前提としている。
⇒(木藤主査)ガバナンスコードに関しては、戸田主査、佐野主査のテーマに関わるが、手引書から入り将来的には憲章へと格上げしていくと聞いている。
⇒(木藤主査)早い段階でお願いしなければならないのは、「学生の基本情報」である。例えば、友添主査のテーマでは学業基準、表彰制度を検討しているが、基本的には成績の生データを出すというイメージではなく、大学の中で特に優秀な学生を大学から教えてもらうということを伺っている。

〇(小林勝法主査)学生支援に関するところで、キャリア支援もそうだが、学業基準に達しない学生を支援するという意味で、学習支援に取り組むあるいは体制が整っているということを要求事項として追加してほしい。
〇(小林勝法主査)指導者に関して、対象が「大学」だけとなっているが、学連も既に大学の指導者になる、あるいは大会に出場できる監督・指導者の資格を明記しているところもあるので対象にした方が良いのではないか。

〇(戸田主査)重篤事故のテーマについては、保険関係の資料から抽出して研修その他で材料にして、先生方の質の向上に努めていく、死亡・障害の防止に努めていくことになっていると思う。
〇(戸田主査)安全安心に関するガイドラインの遵守とあるが、安全安心に関するガイドラインはスポーツに関するものはまだ大学等でもほとんど作られていない。新しく作らなくてはならないが、全国一律でNCAAが作ってこれを守りなさいということは難しいだろうが、必要な要件はガバナンスコードに含まれるものがある為、そういった部分を包括してこういったガイドライン、ガバナンスとコンプライアンスを作ったらどうかという提案をした上で、ガイドライン作成のための指針についてこれから作業を進めようとしているので、このあたりのいくつかが統合されたり、表現が変わったりすることを理解していただけるとありがたい。

〇(三宅主査)安全安心に関するガイドラインで、大学等の責任になると難しい部分がある為、ニュアンスを柔らかくしたり、強制ということでなく指針もしくは、標記自体の再検討としたりするような方向で検討したいと考えている。

【テーマ群別の検討の進捗状況】(資料1)
●「学内整備」テーマ群(テーマ2、3、6、7、12)
〇各主査より、各テーマの進捗について説明があった。

(質疑応答)
〇(小林至主査)医学部も、体育会という形ではないかもしれないが、熱心に大学対抗リーグ戦等々を行っている。医学部は念頭に置いているのか。別適用なのか。
⇒(友添主査)医学部についても医科系の大学の大会を開催している。各競技別の大会は伝統があり熱心にやっている。医学や薬学なども基準を想定している。
⇒(友添主査)学業の単位が基準に届かないといって勧告するのみではなく、TA(Teaching Assistant)をつける経費をNCAA本部から大学に補填をして学習指導を行うようなシステムを権利として補償してあげる必要があるのではないか。テーマ14と関係するが、原資が固まらないとできないわけで、単に厳しく基準を設けて試合に出られないだけでなく、試合に出られない場合には実際にその大学の学部の大学院生等をTAに充てて、具体的な復帰のプログラムを大学から提供してもらうということも考えている。

〇(池田敦司主査)本日の段階で来年3月にリリースアウトするつもりで見えてきた具体的なものがあったら教えてほしい。
⇒(佐野主査)今作成を進めている手引書については、(新法人の設立時に)HP等で公開できるスケジュールで進めている。
⇒(小林勝法主査)試合日程のフローチャート、指導者セミナーの中身についてはリリースできる。
⇒(友添主査)テーマ9と相談が必要だが、表彰制度で、日本版NCAAで世界大会、全国大会相当の最優秀賞については冠、ベスト8についても冠の企業名の表彰を出していく方向の検討はこれからしていく予定。
⇒(三宅主査)重大事故に限ってのガイドラインを期日までに仕上げる予定。
⇒(戸田主査)相談窓口の設置は実施したいと考えている。

〇(佐野主査)P27に成績基準案、※印があるが、現在の成績基準案だとケガや留学以外で1年生の時に学業につまずいてしまったら、追い付くことが難しくなり、結局1回も試合に出られないということがあり得る為、年間取得単位など、ケガなどの特別な理由がなくたとえ1年生の時につまずいてもその後挽回できるようなことを検討いただきたい。
⇒(友添主査)精神的なうつ症状等の場合、医師の診断書をもって猶予するということを考えている。また、その時の状況に応じて各大学から理由を付してもらい日本版NCAA本部に報告されればその都度判断する。

⇒(友添主査)留学についても、学業留学というより競技留学を想定しており、オリンピックの前年は世界ランキングを上げていくために世界を転戦したり、拠点を日本外に置いたりする場合などを想定している。

〇(川合参事官)P38安全安心の共通ルールの設定とP11の加盟に伴う将来要求事項を見比べて、加盟に伴う将来要求事項に安全安心に関するガイドラインの遵守というものを、先程書くべきでないといった意見があった。P38のガイドラインの位置づけに、「このガイドラインよりも厳格な制度を整備運用している団体にあっては、このガイドラインの遵守を強制するものではない」とあるが、より厳格な制度を持っているところは、最低ラインであるこのガイドラインは遵守していると捉えるべきであって、P11の安全安心に関するガイドラインの遵守という表現は、外さないほうがNCAAの理念、存立意義のような関係ではむしろここを守ったほうが良いのではと思う。NCAAが何のために作るのかという議論と関わる為、各主査に議論いただきたい。
⇒(三宅主査)(日本版NCAAのルールを作ってガイドラインを出し、責任の帰趨がどこなのか、大学の責任にしてしまうと難しいのではないかということがあったが)安全安心に関してここは絶対に守るべきというところは生命に関わる為、それについてどう表現するかについて出た意見が、あまり強制すると、ペナルティを課されることが想定されるのであれば、加盟しなくても良いというふうになるのではという心配がある。大学の責任が明記されていると、大学としても難しいということになりかねない。ここは議論の最中である為、今日の結果を踏まえて議論を深めて次回以降提案したい。

〇(作業部会員)遵守、推奨という言葉が使われている。国際陸連の競技規則ではこの用語について区分けがされている。例えば、「〇〇ものとする。」は一番強制力があり、「〇〇ねばならない。」も守らなくてはならない。「〇〇するべきである。」は諸条件が整っているならば行うが、整っていなければしなくても良いといった具合に、一緒にするのではなく区分けしている。また、「〇〇できる。」「〇〇推奨する。」は、ここにある理念に届くにはまだ時間がかかる、でも一歩ずつ進めていくと良いだろう、といった具合。本日の資料を見ていると、「すべきである。」とあったが、これは諸条件が整っていなければ「やらなくても良い」という考え方になると思う。以上は私の解釈であることをご理解いただきたい。
●「大会・広報」(テーマ9,13)
〇各主査より、各テーマの進捗について説明があった。

(質疑応答)
〇(小林至主査)広報戦略の策定・展開において、今の学生は、新聞も読まない、テレビも見ない。PCも開かないものも多い。一方、スマホをみないという学生はまずいない。こうした時代を踏まえて、スマホ活用が一丁目一番地という認識でよろしいか。
⇒(尾崎主査)その通り。公式HPもPC版・スマホ版両方見えるようになるが、大人もスマホユーザーが多いので、学生だけでなく大人のユーザーも含めて、まずはスマホを優先してデザインを考えていく。

〇(佐藤主査)日本版NCAAが設立された後、加盟大学の学生の例えば代表者などを募って、SNSの広報をどうしていくか、HPのアップデートをどうしていくか、キャンペーンといったことを学生部会といったようなものを作って、企画を出し合ってやっていくということがより健全で、特に密室で決まってしまうというようなイメージを今後変えていくためにも、大学の集まりなので、大学生の広報部会を作って促進していくということが良いと思う。
⇒(尾崎主査)作業部会メンバーの中に1人だけ大学生が入っており、作業部会・設立準備委員会は大人目線で議論されている為、学生の視点も忘れないでほしいとよく言っている。今提案があったものをうまく組織していきたいし、スポーツブルで学生アスリートを取り上げる企画を実際にやっていたり今後も考えていたりする為、うまく学生を取り込みたいと思う。

●「指導者」(テーマ1、4、8)
〇各主査より、各テーマの進捗について説明があった。

(質疑応答)
〇(友添主査)いつから受験生に内定が出るかと考えると、早ければ9月から内定が出る。毎月様々な大学がAO入試をしたり推薦入試をしたりするので、スタートラインをどうするのかというと、期間に応じたプログラムを設定する必要があるのではないか。
〇(友添主査)競技活動ばかりやっている高校生が、高等教育の理解を別プログラムで、ということにモチベーションが湧くのだろうか。
〇(友添主査)入学前に大学とは何か、やGPAを説明するのは、通常入学オリエンテーションで行うものであるが、トップアスリートは入学段階で遠征に出ているということもあるので、一般学生が通常聞くこういったものを聞き逃す可能性が高い為、行う意味があると思うが、他にアンダーベーシックプログラムを考えてほしい。そもそも基礎的学力が十分でない場合、入学当初の段階でつまずいてしまう。つまり、テキストを読んだり文意を理解するのに支障があるケースなど、学力格差が大きい現実がある。9、10月で合格が決まり、後は競技生活に集中し、世界ジュニアや世界カデ、NFの日本選手権にトライする高校生がいる。その中で競技活動に邁進する高校生と、合格したので引退し入学準備に入る高校生、学力を高めて偏差値を上げてくる一般入試で入学する高校生では、入学した時の格差が大きい。アンダーベーシックプログラムをつくり、選択制を想定して検討してほしい。
⇒(伊坂主査)どこをターゲットにするかということは議論があった。ベーシックは各校でやらないとならないことで、入学後もやっているが、少し早めにやれればと思っている。レベル分けをしている為、系統学習も考えているが、学生アスリートプログラムは、早めに導入しながら、入学の直前にレベル1を行っても良いだろうと思っている。順序はある程度うまく見込んでもらいながらということ。
⇒(伊坂主査)アンダーベーシックプログラムについて既に検討済みで、日本版NCAAとして組み込んで良いものかということがあった。議論しながら必要であればアンダーベーシックプログラム、高校学習の振り返りという形での提案を、webの活用や日本版NCAAが推奨するような高校振り返り授業のようなものを検討していく必要がある。

〇(小林勝法主査)指導者研修で、学業充実で分担しているコーチング哲学や学業充実の重要性を我々が担当しているが、どのように位置付けてもらえるのか。
⇒(佐藤主査)今回のSAの概要の発表では、ガイドラインの共有も行う為、そちらのプログラムをこちらのSAが集まった場で展開していくということをしたい。

〇(佐野主査)SAが研修を受け、それを学内で指導者に研修をするという仕組みかと思うが、SAとしてイメージしていたものよりもっと多様な能力や資質が求められてくるように感じられる。私はSAをしているが、現場での指導の専門家ではない。自分がコーチを集めて研修をするという時には、能力不足があると思う。そういったところにNCAAから支援やサポートがどの程度あるか確認したい。
⇒(佐藤主査)最初の1~2年は、根幹における大学のSAの資質であったり、スポーツ局の役割であったり、そこのガバナンス体制であったりがバラバラなので、一概に仕組み化することができないということが議論のスタートになっている。そのため、今はどのような状態であってもチェックリストで自分たちの役割や状況を知るというところから、自浄作用を促進していくというところから入っているので、このSAはこの資質がないと役不足、というルールではなく、今後例えば現場指導と連動するSAがいないとなればそれを追加するというような自浄作用をここで築いてもらう場にしたいと思っている。義務的に資質がないとダメだとか、それを高めるためにNCAAが何かするというよりは、様々な大学の取り組みを高めていく場にしたいと考えている。

〇(小林至主査)各大学や連盟で良い取り組みを既にしているところがたくさんあることを、これまでの議論で共有してきた。例えば指導者研修に関して、日本スポーツ協会が既に制度を作っている。映像研修にも着手しているという話も聞いている。学業充実に関しても、早稲田アスリートプログラムのような完成度の高いものがある。入学前からの動機付けに関しても、AO入学の学生などを対象に良いプログラムを展開している大学もある。こういったものはそのまま横展開することも含め、上手に活用できれば、コストもかからないし便利という議論がされてきたと思うが、どうか。それとも新しく作らないといけないか。
⇒(伊坂主査)入学前の取り組みについては、各大学やっている取り組みがある為、それを共有してうまく活用してということで進めている。一から作り直すということではない。
⇒(藤本主査)キャリア支援では、例えばJSCのデュアルキャリアの総合ポータルもあり、モデルコアカリキュラムという指導者のものもあるので、既に走っているものと連携あるいは活用していくと思う。特に指導者のセミナーになると、それぞれの部会でセミナーをやってもしょうがないので、それをどう連携してやっていくのかというところと、どう各大学に落とし込んでいくのか、講師を派遣するのか、プログラムの中に入れてもらって受講したことによってOKにするのか、一部を展開していくのか、等これから連携を取りながら詰めていきたい。
〇(友添主査)SAは指導者なのか、という根本的な問題が含まれていると思う。ここでいう指導者は各部の指導者を指していて、彼らに必要な能力はアドミニストレーションの能力も必要だしマネジメントする能力も必要だが、それ以上にコーチングの能力が必要で、こういう指導者研修の機会の体制をどのように作っていくのかということが求められると思う。日本スポーツ協会の既存のものを活用したり、大学体育連合が実際やってきたことも検討する必要があるのではないか。ここでいう指導者は誰なのか、誰が対象でどういう研修が必要なのか、ということは指導者をどう置くかによって変わってくると思う。そのあたりを部会の中で意見があれば教えてほしい。
⇒(佐藤主査)正にこの議論から始まった。例えば筑波大学で監督は数十人いる。将来加盟大学が50大学、100大学となっていくと、監督の数だけで数千人になっていく。今現在すぐ各大学のガバナンス状況で、指導者研修会を監督に集まってもらい行うことは現実的に無理だろうというところから議論が始まっている。そのため、この研修会と呼ばれるものが将来的にステージ2に変わっていく構想を持っている。最初はこういう形で始めます、しかしゆくゆくは指導者、監督に直接何か研修をするというステージに変わっていく可能性もある。ただし、その時には監督が出席するには強制力のある何か研修を作らなくてはいけない。例えば各学連であれば、学連の大会にこのコンプライアンス研修を受けないと、こういった指導者研修を受けないと出場できないといった強制力があれば、各大学の監督が集まると思うが、今現在、日本版NCAAにはそういった主催事業を持たないところから始まるので、このNCAA自体がスタートしていくにつれて研修会自体の仕組みも変えていきたい、育てていきたいと思っている。1、2年目、初期はどうするかということで議論したことを今日発表した。

〇(友添主査)高校段階の運動部活動を調査すると、指導者が一番望んでいるのは、指導法が分からない、指導のノウハウがわからない、指導知識がないということ。早稲田大学だとその競技のトップコーチがいるが、他の種目のコーチングの中身や方法を知らないということも少なくない。一般的なスポーツ教育の在り方や指導方法についての学修機会が欲しいといった声が大きい。むしろ無償でそういった講習会を九州ブロックでやったり、あるいは四国ブロックでやったり、東北ブロックでやり巡回サービスをしていくと、かなり要望に応えることができると思うが。アドミニストレーターを集めて組織のマネジメントについての講習をすることはもちろん非常に大事なことであるし、また各大学の中でどういった組織構築をしていくかというノウハウと知識の提供はやらなければならないが、それとは別に実際のスポーツ指導における指導者の知識や方法を、例えばその領域の専門家が複数でプログラムを組んで研修会をすると、需要が高いだろうと思うが、いかがか。
⇒(佐藤主査)指摘の通りと思う。今回この指導者研修が、安全安心・医科学から始まったので、話題的にはコンプライアンスと安全対策から議題が始まっている。しかしこれを確立するためには、大学のガバナンスがきかないと安全対策が行き届かないということになっていったが、この指導者が集まるという日本版NCAAのセクションがこれからより重要になっていくという形であれば、安全対策のための指導者研修だけでなく、もうひとつ別の議題として、指導法などのテーマを立てるということが良いと思う。

〇(小林至主査)学連によっては既に指導者研修会を実施しているところがあると思う。サッカーはライセンス制度があり、講習を受けることによって、ランクが上がっていく。そのことによって、指導者の質が向上し、信用も得られるのはもちろんだが、協会にとっての収入源としての側面もある。こういった先行事例を参考にしたり、場合によっては横展開していくようなイメージはあるか。
⇒(佐藤主査)チェックリスト等は新しく作るが、既にたくさん作られているものがある。ただ、それすら知らなかったりするレベルから始まっているので、それを共有して、必ずこういったものを使いましょうだとか、研修で集まった場ではガイドラインの共有もするし、既にあるものを使って解決をしたという事例を発表していくことでその意識自体も高めていくことをしたい。日本に既に色々なものが作られている為、それを最大化していこうという場にしたいと思っている。

〇(藤本主査)指導者に関してのキャリアなので、指導者が学生のキャリアに対しての意識をどう持っているか、例えば練習とキャリア関係のセミナー等が重なった時にどうするか。大学がアスリートに対しての特別な仕組みを持っているかというところに関して、指導者がどう理解しているか。私どもも研修等を考えているが、ADかキャリア支援の部署を通しての指導者への研修になってくる。構図的には、指導者を対象とした講習やセミナーは分野を超えてあるので、何か仕組み的には統一していくべきではないか。例えば、片方ではADかキャリアセンターを通してやる、片方では全体で特別にセミナーを展開していく、あるいはこれを併用してやるのかということは、テーマごとにアプローチの仕方は変わってくると、日本版NCAAとしては今後の進め方として課題が出てくると思うので、そういう切り口の議論が今後必要ではないか。

〇(友添主査)(指導者研修に関して)安全安心の中で指導者プログラムを考えるとこういったところで落ち着くということで、例えばキャリアは考えず今は稽古をしろ、稽古のほうが大事だ、という指導者の意識改革、指導者研修をやっていかなければならない。具体的なスポーツの指導場面での指導内容に熟知していけるような、あるいは自分の種目だけでなく視野を広げたコーチング科学についての情報を持つ指導者が必要だし、指導者の考え方は幅広に捉えていく必要があるので、世話役会、事務局の中でこういう位置付けで良いのか、または違う位置付け方があるのか、検討する必要があるのではないか。

〇(作業部会員)(指導者研修に関して)有力な部活の指導者はそれなりの経験を有していて、誰が研修するのかということが本学で議論になっている。外部から招いてやるしかないだろうということがひとつある。
〇(作業部会員)指導者の定義の件で、様々な指導者がいる為、外部指導者に研修を義務付けるとなると、大学として体育会の位置付けを定義する必要があり、本学では体育会を大学の管理下に置いた。指導者の研修を義務付ける方向で議論しているが、研修を実施するということになると、体育会の大学としての位置付けと、誰がやるかということを考えなくてはならないのではと思う。
⇒(佐藤主査)正に我々の議題にもあった。本当に大学が指導者に研修を行っていく、例えば監督会を開いて研修を行っていくということになったら、今までの従来の課外活動の形だと十分それができない。結局大学のスポーツ局の位置付けと部活との向き合いということ自体を整備していかないと、研修そのもの、安全対策コンプライアンスそのものを展開できないということが一番の問題で、それを改善しながら研修を高めていこうというところから出発すべきだと思っている。
〇(小林至主査)日本版NCAAの議論は、これまで自主自立の課外活動だったものを、大学の正式な活動とすることで、責任の所在を明確にするという前提があったように思う。一方で、議論の過程で、今までうまくやってきたものを、責任は大学だと明示してしまう必要があるのかという声も出ているので、このあたりも世話役会などで、もう一度、整理する必要があるように思う。

●「情報の取り扱い」(テーマ5、10、11)
〇各主査より、各テーマの進捗について説明があった。

(質疑応答)
〇(伊坂主査)配信サービスについて、(スポーツブル社は)高校野球で既にこういった配信をしている会社だと聞いている。その時の枠組み、通常テレビで高校野球を放映しているが、それに加えてこういった会社が乗っかりやすい状況はあるのか。
⇒(小林至主査)プロ野球でも、かつてネットで放映するとテレビの視聴率が落ちて、放映権料に悪影響が出ると考えられていたが、いまは、ネット放送はテレビ放映とのカニバリはあまりなく、むしろ、ファンの拡大に好影響を及ぼす存在であるということが常識になっている。そういった中で高校野球も、当初は、主催の高野連、放映権を持っているABC共に抵抗があったと思うが、ネット中継があるために、視聴率が落ちて放映権料が下がるということがなく、むしろプラスアルファだという認識になっている。そういった意味においては、テレビで中継している試合を、併行してネットで配信をするということは、必ずしも悪いと思われているわけではない。ただし、業界によってはそういった認識もないところもあるが、カニばらないことについては、認識は広がっていると思う。

〇(友添主査)例えば準加盟の学連と準加盟していない学連があり、準加盟していない学連からあがってきた選手が決勝戦までいき、相手方は準加盟の学連からあがってきた場合、決勝戦を放映するとしたら、一方は像を消して流すということか。
⇒(小林至主査)自身の権利処理の経験の範囲のレベルでの話になるが、放送に伴い肖像の権利をシェアするということを大学、学連とそれぞれ事前に約束をしておけば良いのではないか。つまり、個別対応でなんとかなるのではないかと思う。と、。

〇(友添主査)例えば、箱根駅伝などを将来放映することになった時に、非加盟の大学の選手がベスト4くらいを走っている時、ここを消して放映することになるのか。準加盟、加盟はこういったサービスの問題や権利と義務の問題を考えるとややこしい問題が出てくる可能性があると思う。ここはシンプルに、単純にやったほうが良いのではないかと思う。
⇒(小林至主査)大会出場あるいは加盟など、色々なフェーズがあると思うが、そういった時に著作権をどう取り扱うかについて、ライブの場合にどうするか、二次使用の場合はどうするか、権利処理の問題は必ず発生する。。理想としてアメリカのNCAAのように、入学の時に全部こちらに使わせてくださいとできれば一番楽ではあるが、これまでの学連との関係もあり、それは難しいだろう。既存の大会や学連が管理しているような場合については、都度、お借りする、シェアさせていただくという感じになるのだろうと思っている。
⇒(木藤主査)仮に箱根駅伝を例に挙げると、関東学連が権利を有している。その為、関東学連が入っていれば関東学連との権利調整の中で特定の方を消さずに放映できるだろうと考えている。

〇(友添主査)学業で成績は日本版NCAAにあげるということを申し上げたが、その時に当該学生が基準単位を下回った場合には生データをあげることは難しいと考えたほうが良いか。
⇒(境田主査)大学の中の成績はしかるべき管理者が、責任をもって厳格に管理をするわけで、絶対第三者に漏らしたらいけないということは当然のことである。その為、今後、NCAAで成績を管理し、これを使って様々な取組をするのであれば、大学からNCAAに送付する前段階で匿名化の処理をしてNCAAの中では誰の成績かわからないようにすべきである。大学で匿名化のための処理をした上で出すというルールにするほうが大学の理解を得やすいと思う。
⇒(境田主査)(匿名化したものでも再度、連結化にする場合があるのでは?)その通り。匿名化や連結化の管理を責任持ってセキュアな環境で行うことが重要だと思う。

(全体に関する質疑応答)
〇(戸田主査)大学における運動部活動の位置付けをどうするかという大元で理解を得られないと、我々が検討していることがほとんど絵空事になってしまう気がする。これは自立だから大学は関わらない、という姿勢を取られると、何にもならなくなってしまうので、このあたりをどうするのかという問題が残るということを感じた。
〇(戸田主査)私どもで検討しているガバナンスコードだとか、これに沿ったガバナンスとコンプライアンスのガイドラインの作成の指針が拠り所になる気がするが、ガバナンスコードについては、これを承諾すると運動部活動の教育的な在り方や様々なものがOKだというところが加入するという形にならないと、検討していることがうまくいかない気がする。きちんと検討していかなくてはならないと思う。

〇(作業部会員)当校は公立校であることから、競技を優先することや、学業を管理することについてそんな必要ないだろうという立場の大学である。そういった大学であっても、大学スポーツを積極的に大学が関わりながら進めていくということは大事だと思うので、大学の執行部になんとか説明していきたいと思っているが、それに対して私たちのような大学が日本版NCAAのアピールになるような、こんな説明をしたら事務の方々、大学執行部が賛同してもらえるということがあったら聞かせてほしい。
⇒(佐藤主査)今日発表した指導者研修について、直接指導者に研修できない程大学のガバナンスが行き届いていない。指導者に研修するための前研修のような形から始まっているが、例えば他の大学がどういったことでAD局を作っていったのか、スポーツ局を作ってどんな監督会をやっているのか、会計やコンプライアンスの問題等をクリアして逆により意欲が高まったのか、といった事例は各大学にたくさんあり、日本版NCAAに加盟することによりそういったノウハウを大学にもたらすことができるということはひとつの大きなアピールになるのではないか、と思い、それを目指して頑張る所存である。
⇒(小林至主査)学内広報に絶大な威力を発揮すると思う。各大学にとって、学生や教職員が、アイデンティティやコミュニティを意識してもらうのは、重要なことだが、学問となると、所属の教員がノーベル賞を取るくらいでないと、中々、共通の話題にはならない。一方、スポーツは共通の話題として格好の役割を担えるが、どこでなにが行われているかはあまり周知されていないのが実情だと思う。しかし、様々なシェアードツールが提供され、映像や記事が発信され、各大学にスポーツの責任部署ができて、運動部の活動を積極的に周知していけば、スポーツがアイデンティティやコミュニティの醸成に大きな力を発揮できることを分かっていただけるようになるだろう。
⇒(事務局)スポーツ庁で各大学への説明を個別にし始めている。基本的には学長が対象。その中で懸念等も直接聞いており我々も理解している。スポーツ庁で計画していることは、各ブロックでブロック説明会を計画している。対象は学長、理事、副学長などの幹部。今の予定だと関東ブロックは11月6日に予定しているので、参加してもらえればスポーツ庁から基本的な理念や考え方、大学のメリット等わかりやすい資料を使って説明する予定。もし直接大学にスポーツ庁から学長等に説明してほしいという要望があれば柔軟に対応するので、連絡してほしい。

〇(作業部会員)大学は研究教育をする場所であり、スポーツにはそこに十分役立つ素材がたくさんある。また最近では研究には必ず産学連携という方向性があり、我々は様々な企業と関係を持っている。そういうところからの資金も上手に利用して、文科省からの交付金や補助金だけではなかなか改修できない老朽化した運動施設を、例えば新しい体育館に作り変えるといった方向性が必要だと思う。そのためにもスポーツ研究は重要である。日本版NCAAが、色々な大学あるいはNFが利用可能な共通のプラットフォームを構築し、安全安心で華があり、且つ、外部資金獲得にも有効な組織であることを示すができれば、国公立大学の総長・学長も腰を上げてくれるのではないかと思う。
⇒(事務局)我々が安心安全、学業充実とやっているのは社会の為、デュアルキャリア、学生の為である。学生に最終的に還元されるサービスを、ということだが、これに入らないということは学生のサービスを享受できる権利を奪うことになる。もしこのNCAAが一定の資金力が獲得できれば、表彰も奨学金制度も行うし、備品の購入にあたっての特典などもあるかもしれない。学生のスポーツ環境、学業環境を改善しようと、国策としてやっていこうとしている時に、あなたの大学は自ら学生をその枠組みから排除して本当にそれは学生のためになりますか?と問いかけたい。

〇(境田主査)大学にとってみると経費がかかる。大学で発生する経費もNCAAで収益を上げられれば、大学に分配する、すぐにできなくても目指すということがあったほうが大学は乗りやすいと思っており、検討してほしい。

〇(小林至主査)日本版NCAAが出来ることで、もっともベネフィットを受けるのは学生である。収益があがれば、競技環境の充実や、競技に伴う費用を削減できたりなどを目指していこうという方向で議論をしてきていると認識している。

〇(境田主査)スポーツ議員連盟の中でインテグリティを確立するための検討がされており、中心に考えているのはNF-中央競技団体がガバナンスをきちんとしようということでスポーツ界全体を健全に、高潔さを保つことを目指すことの検討が行われている。そういった国の方向性とうまく歩調を合わせて、大学のスポーツでもガバナンスの確立を検討されているチームはうまく情報共有をして頂ければと思う。

〇(作業部会員)米国の真似をする必要はないが、プレーヤーズファースト、学生ファーストであるならば、運営も結果的には“学連”というか主務やマネージャーの仕事となるわけで、そういったところの意見を収集したり、彼らが動けるシステムを議論したりして欲しい。
〇(作業部会員)世論はスポーツ庁が日本版NCAAをやっていると思っている。任意団体を目指し大学の先生方が考えてやっているとは思っていない。世論はスポーツ庁の政策のひとつだと思っているので、先程の川合参事官の発言のようなことを高らかに学長等に言わない限り、おそらくスポーツに興味のない学長は動かない。メリット・デメリットより権威・権力で動くというところもあるので、その点を認識して説明会で対応し大成功を収めることを期待している。
⇒(小林至主査)学生については、学産官連携協議会で議論に加わってもらい、この部会でも加わってもらっている。学生の考え、意見も吸い上げていると思う。

【その他 日本版NCAAの法人名称に関して】(資料1)
〇木藤主査より、日本版NCAAの法人名称に関して説明があった。
〇質疑応答後、第2回設立準備委員会において資料として付議することについて主査に諮り、了承された。

(質疑応答)
〇(小林至主査)「Sport“s”」も議論の対象か。
⇒(木藤主査)その通り。元々“University Sport”を考えており意見を頂いたが、スポーツ庁をはじめとして“s”がつく団体・機関もある。ただし様々な意見を頂く中で、現代的には単数で集合的な不可算名詞として特に文化的なスポーツを意味する場合には単数で総称的に扱ったほうが良いという意見からこのようにした。Athleticsについては、“s”がつかないと形容詞的に扱われてしまう為、“s”がついている。その為、両方に“s”がついているほうが見栄えが良いなども合わせて意見を頂きたい。

〇(友添主査)スポーツ科学領域の用語学、ターミノロジー(terminology)という学問があるが、一般的には“Sport”で“s”はつかない表記になっている。例えば“Sport science”のサイエンスの前に“s”はつかない。“Ethics of sport”や“Sport Pedagogy”など単数形の表記で、種目の集合体の教育学をやったり、種目の集合体の科学論をやったりするわけではない。ただし、sportをどのように考えるかによって“s”がついて悪いということではない。総意で“s”をつけるということであれば、それはそれで構わない。だが、一般的にはこういった場合の表記には“s”はつかない。AthleticsとSportをなぜ並列にするかというと、“Athletics”を陸上競技とおっしゃったが、英国圏だけである。米語圏では“Track and Field”が陸上なので、英国の文化圏では従前、陸上で行うスポーツの全ての競技が“Athletics”であるとも考えられてきた。ただし、米国で“Athletics”というと、どちらかというとコントリビューションやデボーション、献身したり努力したり勝利を追求したりという意味合いが強く、“Sport”のほうは“For fan“で楽しみのためにやるということだと思う。その意味でいうとUniversityの後にAthleticsとSportが並ぶことは、大きく捉えているという意味では良い並びだろうということで今までも議論をしてきた。私はこの原案に賛成である。

〇(小林至主査)経済・経営の世界だとSport“s”が通常である。“Economics of sports”“Sports Economics”あるいは“Sports marketing”など、“s”が書籍名や科目名ではつくのがほとんどだ。

〇(友添主査)“Faculty”や“Development”では“s”がつくことが多い。ただし、こういった組織名の時は“s”はつかないことが基本的で、今はそういう状況である。

〇(池田敦司主査)一般的にこのまま出すと、どうして“s”がつかないのですかと間違いなく聞かれると思う。それに対し明解に端的に我々としてのメッセージを持つということが必要。

〇(木藤主査)補足すると“Sport”に関しては“s”をつけないという原案で検討してきた。池田主査から説明がつくかどうかが重要とあったが、そういった意味では“Sport”に“s”をつけないほうが説明はある程度しやすいのではないか。例えば学会等で海外の学会だと“s”がつかないことが一般的で、団体名は確かにそうだと思う。また、“Athletics”の方で各運動競技の種目の意味についてはその中に含められる。“Athletics”に加えて“Sport”を後ろに入れるので、“s”をつけて各運動競技種目をまた表すよりも、少し幅広に文化的な総称として置くことをまず第1案に考えている。

【今後のスケジュールについて】
〇川合参事官より、今後のスケジュールについて説明があった。


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