ナショナルトレーニングセンターの在り方に関する検討会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成30年6月26日(火曜日)

2.場所

科学技術・学術政策研究所会議室(文部科学省16階)

3.出席者

委員

委員13名

スポーツ庁

今里スポーツ庁次長、齋藤スポーツ総括官、籾井競技スポーツ課長、山本トレーニング拠点整備推進専門官

4.議事要旨

※発言は、内容を変更しない範囲で校正し、読み易くしています。

○冒頭、今里スポーツ庁次長から、以下のとおり挨拶があった。
    オリンピック・パラリンピックをはじめとする、スポーツの国際競技大会における日本選手の活躍は、もちろんアスリートやコーチ、サポートスタッフ、こういった方々の皆様の不断の努力が結実としたものでありますけれども、我々、サポートする立場から申しますと、特に、平成13年に国立スポーツ科学センター(以下「JISS」)を設置して以降は、医・科学的サポートも充実し、また、平成20年にはナショナルトレーニングセンター(以下「NTC」)が完成して、集中的、継続的、あるいは科学的なトレーニング拠点の環境が充実したことも少なからず貢献しているものと考えます。
    平昌オリンピック・パラリンピック競技大会におきましても、現地に設置をいたしました、ハイパフォーマンスサポートセンターの活用が好成績につながったこともございまして、大会後には、冬季競技のNTCの設置の要望も頂いているところでございます。
    このことを受けまして、スポーツ庁では、この度、冬季競技も含めた今後のNTCのあるべき姿、グラウンドデザインと申しましょうか、これにつきまして、2020年東京大会、2022年北京冬季大会を見据えた充実方策とともに、さらにその先の中・長期的な視点での整備・充実の具体的な方向性について検討するため、15名の方々に委員の就任をお願いしたところでございます。委員の皆様におかれましては、御多用中のところ、お引き受けいただきましてありがとうございます。ここに感謝を申し上げます。
    NTCの整備・充実に関しましては、オリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用を一層推進するため、現在、東京大会に向けて、新たな屋内トレーニングセンターを建設しているほか、全国にございます40のスポーツ施設をNTC競技別強化拠点施設に指定し、施設の優先利用や科学的トレーニングを行う環境の充実等を実施しているところでございます。
    スポーツ庁といたしましては、今後のNTCの整備・充実につきまして、本検討会議での委員の皆様の御知見や御意見を踏まえて進めてまいりたいと考えておりますが、公共施設等の建設、運営に関する政府の政策におきましては、コストの抑制を図る観点から民間事業者の力の活用を推進している状況にもございます。
    委員の皆様におかれましては、このような状況も御認識の上、既にある施設や人材の資源を最大限活用することや、新たな整備の検討に関しましては、その必要性や設置の際の創意工夫等について、十分に御議論いただきたく、このことについてお願い申し上げ、私の御挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○議事1について、座長は、委員の互選により友添委員が選出され、座長代理は、杉田委員が指名された。

○議事2「我が国の国際競技力向上のための活動拠点について」について、スポーツ庁及び独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」)(勝田委員)から説明の後、各委員から以下のとおりコメントがあった。
 
  (石毛委員)
    JISSのスポーツ科学部長を仰せつかっております石毛です。よろしくお願いいたします。
    まず、練習の拠点・ベースが必要だということは、ここにいらっしゃるどなたも納得されているかと思いますが、特にパラリンピック競技ですと、普段住んでいらっしゃる近くに練習場があり、その近くで色々なサポートが受けられることも重要かと思っています。
    前回のリオデジャネイロ大会で、オリンピック日本代表選手団は41個のメダルを獲得しましたが、そのうち、1競技を除いて全て西が丘に練習拠点がある競技種目だったということを考えますと、練習拠点と医・科学的なサポートを受けられることがセットになっているということが、ある程度重要性があることが証明できているのかと感じているところです。
    そう考えたときに、今後、地域の拠点とどのように医・科学的なサポートを展開していくかは、先ほどのハイパフォーマンスセンター(以下「HPC」)のネットワーク構築事業というものを今年度からやらせていただいておりますが、その中で、キーワードとしては、ネットワークとか、連携、医・科学的なサポート面、そういったものを今まさしくJISSとしても考え始めておりますので、その点については、この検討会議の中でもいい方向に進めばいいと考えております。
   
  (大日方委員)
    大日方でございます。よろしくお願いします。
    私は、平昌パラリンピック競技大会日本代表選手団の団長を務めさせていただきました。平昌大会では、御承知のとおり、パラリンピック競技の日本代表選手も大活躍してくれましたけれども、とりわけ、その背景には、JISSによる様々なハイパフォーマンスのための御支援があったと思っております。ありがとうございます。
    特に、クロスカントリーの新田選手のように、自分の片腕が使えない選手がどのように両腕を均等に使うことができるのかといったような、これまであまりできなかった部分も強化することによって、ベテランの選手ではありますけれども、また新たな力をしっかりと発揮することができたと考えておりますし、アルペンスキーの選手等も、この4年間、体力測定等により、どういったものが必要になるのかをしっかりと自分たちの中で考えながらトレーニングをする、まさに科学的な支援をしていただいたおかげと思っております。
    一方で、冬の競技の場合においては、高校生、大学生、あるいは中学生も入ると思われるのですが、そういった若い選手たちが、どうしても決まった場所に行かないとなかなか競技が行えないという中で、学業との両立をどのようにしていくのかという点も、今後の拠点を考えるときに重要になってくるのではないかと思います。
    既に、オリンピック競技では、NTCの近隣の学校に通いながら、NTCで生活をするというエリートアカデミーがありますが、同様に冬季の競技も含めて、さらに拠点を拡充していくときに、学業とどのようにしていくのかをよく考えるべきだろうと思っております。
    そういった面では、オランダが、特にパラリンピックの冬季大会でも目覚ましい成績を上げておりまして、NTC機能を整備している中で、冬季競技も夏季競技も選手の強化を短い時間で行っているという好事例もあります。
    そういった海外の事例も是非参考にしながら、我が国の拠点の整備を考えていく必要があるのではないかと思っております。
   
  (勝田委員)
    JSCの理事と併せてHPCのセンター長も仰せつかっております。勝田と申します。
    先ほど、HPC機能の重要な研究と科学的な支援について説明いたしましたが、参考資料2の鈴木プランにおいて、「オリ・パラ一体」、「夏季・冬季競技共通」としてJSCがいくつか展開しております事業のことが書かれておりますので、このことについても、また御覧いただければと思います。
    今、大日方委員からお話があった、学業との両立は非常に重要でありまして、実は、私どもの方でもモデル事業として、地域の自治体と連携をして、特に長期的な休暇を利用してそこに集まってもらったりするような、本当にトップアスリートは海外にどんどん転戦する人もいますので、そういった人たちにどういった支援ができるのかとか、あるいは、これはまだ調査の段階、あるいはいろいろとこれからモデル事業としてチャレンジしていかなければならないところですけれども、デュアルキャリアプログラムの開発ということも少しずつ展開を始めているところです。何かそういった情報があればお話をしていきたいと思います。
   
  (菊池委員)
    菊池です。よろしくお願いします。
    私は、昨シーズンまでスピードスケートの選手として活動していまして、JISSはいつも活用させていただいていましたし、平昌大会の現地でもハイパフォーマンスサポートセンターを設置していただいて、私たちは食事面でも、リカバリーエリアというところがあったりとか、ウエイトトレーニングの施設をすごく活用させてもらいました。
    私のトレーニング拠点は帯広だったので、JISSがある東京には、この4年間はほとんど行くことがなかったのですが、環境としては素晴らしくて、私自身がオリンピックの前年にケガをしたこともありまして、そのリハビリのトレーニングもJISSで1か月ぐらいトレーニングさせてもらいました。
    そのときに、パラリンピックの選手との出会いもありましたし、他競技の選手といろんな意見交換をしながら、共に頑張る環境があったことが、私にとってもすごくいい刺激になりましたし、1年後のオリンピックに向けて、もう一度頑張ろうという、そういった気持ちになれたのもあったかと思っています。
    しかしながら、トレーニング拠点として考えると、冬季競技はどうしても自然の中でのトレーニングが多いので、室内というよりは、やはり自転車のトレーニングを中心に年間を通してやったりもしますので、太陽を浴びて、自然の力を借りながらという部分も重要な部分でもあります。
    このことは、先ほど説明いただいた根本の部分になってしまうので、なかなか難しいとは思うのですが、環境整備にも少しだけそのような部分も考えていただけるとありがたいと思います。
   
  (久木留委員)
    HPCの戦略部長とJISSの副センター長を仰せつかっている久木留です。よろしくお願いします。
    私は、最近のハイパフォーマンススポーツの進化というのを考えたときに、多分ここにいらっしゃる皆さんは、その方向性は共有できると思うのですが、強化と支援と研究をなくして今のハイパフォーマンススポーツの中で勝ち続けることは難しくなっているということが、まず1つあると思います。
    その中で、鈴木プランに基づいて、JOC(日本オリンピック委員会。以下同じ)、JPC(日本パラリンピック委員会。以下同じ)、JSCが一体となって、協働チームを作って、協働コンサルテーションという形で強化の情報の一元化を始めました。これが大きなポイントになっていると考えています。
    この中で、私どもHPCとしては、最も大事なのは研究に基づく支援、つまりエビデンスベースと言われる、根拠に基づいた支援をどれだけパッケージ化して、多くの競技団体や地域の子供たちにもうまくそれを伝えていくことが、おそらくパスウェイを構築して持続的な強化を維持していくことにつながっていくものと考えています。
    JISSとNTCを2016年4月からHPCという形に位置付けたのですが、そのコンセプトは「一体化」です。「オリ・パラ一体」、「夏季・冬季一体」、これを強化・支援・研究の中でどのように機能させて、どのようにパッケージ化して、どのように共有していくかということが、一番のポイントになるのではないかと考えております。

  (櫻井委員)
    日本パラリンピック委員会副委員長の櫻井でございます。
    私は、日本パラリンピック委員会の副委員長という立場でいろんな活動をさせていただいておりますけれども、一方では、ナショナルコーチという形で水泳競技のコーチングなりマネジメントにも携わっております。そういった視点から、このHPC等について、今考えていること、現状等をお話しさせていただきたいと思います。
    まず、パラリンピック競技のアスリート(以下「パラアスリート」)が、HPCのすばらしい施設・環境を享受したことが今まであまりなかったので、例えてて言えば、すばらしい料理を食べていないから、その良さが十分に分かっていないという感じがしております。その意味では、トップアスリートだけではなくて、次世代アスリートにも、こういった環境の中で、いわゆるトライアル的に利用する機会を作っていくことが非常に重要ではないかと思っています。
    それから、パラリンピック競技の場合は、やはり地域との連携という意味においては、十分にできておりません。スポーツ庁ができて、国レベルでは「オリ・パラ一体」という取組が進んではきていますが、地方へ行きますと、依然として障害者スポーツは福祉の分野でリハビリテーションなり、レクリエーションという形でしか取組がされていない。まさしくアスリートになりたい障害者がトレーニングできる環境というのが、まだまだ地方においては作られていない。
    例えば、HPCでは、トレーナーの皆さんが競技に特化した体の動かし方をしっかりと教えてくれるんですけれども、地域に行きますと、そこまでのレベルでの指導は全くない。そういう意味では、地域までの一貫指導体制をどう作っていくかということが、HPCを生かしていく1つの道ではないかと思っています。
    それからもう一つは、パラアスリートがHPCで一緒にやることの良い面の1つに、脳科学の分野があると私は思っています。例えば、ディスメリアといいますけれども、生まれながらに欠損のある選手、両手が欠損されていると足でしか生活ができないんですね。そういった選手のしぐさを見ていますと、足を手のように使うんです。そうすると、脳の中ではいわゆる足の分野と手の分野というのが脳の中ではあるんですけれども、足の分野が手の分野まで延長されて、いわゆるシナプスが増加しているというか、そういう現象が見られるということが、脳科学を研究されている先生方から知見を得たりしております。
    このことは、オリンピック競技の選手にも随分役に立っていくのではないか、ある競技に特化して訓練をうまく効率的にやることによって、その能力がすごく伸びていくのではないかと思いますので、是非パラアスリートが持っているものをうまく生かす研究も進めていただけたらと思っています。
   
  (杉田委員)
    現在、JOCの情報・科学サポート部門長を務めさせていただいております、日本体育大学の杉田です。よろしくお願いいたします。
    私は、2008年にNTCが開設したときに、JOCの拠点ネットワーク事業のディレクターとして、NTC競技別強化拠点をどのようにNTC中核拠点とネットワーク化させるかという事業に取り組ませていただいておりました。
    それから約10年たちましたが、その間には、こういった拠点の在り方に関する検討会議などにも出させていただきましたので、そうした中で私が感じていることを少しお話しさせていただきます。
    当初、NTC競技別強化拠点の指定に当たっては、いくつか要件があるんですけれども、「当該競技が盛んなこと」という文言が当時は入っていました。つまり、トップの選手がそこに来てトレーニングするだけではなくて、その施設がある拠点のエリア全体でその競技が、キッズからジュニアから盛んだということが、1つ、実は要件にうたわれていました。これはすごく大きな意味があることだと思います。ジュニアからの一貫指導、あるいはタレント発掘、そういった言葉でいいますと、そこのエリアで見出されて、その種目と合った子供がずっとそのエリアで育っていく、強化されていくといったことが、1つ、NTC競技別強化拠点に求められていたことですけれども、指定施設の選定プロセスが公募に変わってからは、施設の公募条件にその文言が入らないため、当初の理念は形骸化しているように感じています。
    それから、中核拠点である西が丘地区のハイパフォーマンスセンターの充実は、本当に目を見張るばかりなんですけれども、当初、NTC競技別強化拠点は、近隣の大学や医療機関、医・科学センターと連携して、中核拠点のような、JISS、NTC一体化のシステムを作るということが1つの狙いです。
    これは、現在も文言に書かれておりますけれども、できていないのが現状で、先ほど石毛委員も医・科学サポートの質だったり内容がなかなかうまくいかないということをおっしゃっていましたけれども、その点は本当に大きな差があるところだと思います。
    いくらネットワーク化をうたっても、実際に現場でサポートするスタッフが増えてこないと、結局は現場で手厚いサポートをする人材が足りないんですね。コーチアカデミーとか、スポーツドクターの養成は行われておりますが、医・科学サポートのスタッフを養成するシステムは今ありませんので、地方にいる人たちの中で、医・科学サポートができる人材を養成する中で、NTC競技別強化拠点で手厚くサポートするスタッフを養成することも大事ではないかと考えております。
    それから、NTC競技別強化拠点では、トレーニング環境が充実して集中的に良いトレーニングができるようにはなってきております。ただ、宿泊、食事、リカバリーについては、拠点によってかなりばらつきがありますので、そのあたりも1つの課題になるかと思います。
    このように、中核拠点のハイパフォーマンスセンターと地方にあるNTC競技別強化拠点には明らかに大きな差があるということは、皆さんよくお分かりのことと思います。その差をなくすには、例えば、強化拠点施設を集約することが良いのか、あるいは、それぞれの強化拠点施設の利活用の最大化を図るために、さらにすべきことがあるのかどうかということについて、皆さんと議論する余地があるのかと思っております。
   
  (平岡委員)
    JOCとしても長年の悲願でありましたJISSとNTCを開設いただいて、国際競技力の向上は大変すばらしい成果が上がっていますし、当然、NTCの効果が十分に出ていると思っています。
    また、JOCとしては、アスリートファーストであり、スポーツの持つ力を信じています。最近では、本年2月の平昌大会においても、カーリングでは3時間以上にわたる競技を日本人の方が感動して観ていただいた。あるいは、今現在行われているサッカーのワールドカップは、真夜中でもすばらしい視聴率で、スポーツの持つ力を改めて感じているところです。このことは、経済的効果も大変大きいことからも、スポーツの価値はメダルの獲得だけが目的ではないということは我々も分かっています。
    ただ、出場する以上は、結果を出さなければならないということで、それに伴って、スポーツの持つ魅力が出るし、経済効果もあるのだろうと思っています。
    NTCについては、トップアスリートの専用施設であるということが、最大で一番の条件であることが効果を生んでいると思っています。
    2点目としては、JISSにしても、NTCにしても、建設中の拡充棟にしても、国民の血税ですばらしい施設を造っていただいています。あれだけの施設の維持管理に多くのお金が掛かるというのは当然のことなので、その収支を合わせろと言われてもなかなか難しい。アスリートとか競技団体の負担はどこまでできるのかは今後の問題になるだろうと思います。利用料金や強化費の負担を考えたときに、運営の効率化などは当然一体となって協力しますが、競技団体の負担には限界があるので、やはり国としてスポーツの持つ魅力、価値をしっかりと表に出してやっていただきたいと思っています。
    それから、冬季競技のNTCの整備は是非お願いしたいと思っています。西が丘のNTCの隣接地に少なくともショートトラック、フィギュア、カーリング、できれば、2層、3層で効率の良いスケートリンクができれば、冬季競技もなお一層強化されていくと考えています。それには、当然、先ほど来お話が出ています宿泊の充実、栄養管理の充実、それから医療、データ分析等の科学といったものを冬季競技にも総合的に支援していただきたいと思っています。
    それから、既存のNTCの中でも、屋内競技でいくつかの競技が西が丘に整備されていないものがあります。例えば、2020年東京大会で追加種目となりました空手や、以前から実施競技でありますテコンドーは、流派の問題等もあってバラバラになっているところがあるんですが、是非、強化拠点が必要なのであろうと考えています。また、海外との関係では、今、国内だけで練習していて、決してそれで世界に通用する、世界で勝てるという具合にいかないのは、どの競技も一緒です。どの競技でも海外合宿をし、海外の試合を経験して初めて国際的なトップアスリートになれると考えます。現在、競技団体ごとに海外の競技団体と提携をしながら、苦労してやっているわけですが、十分なサポートができていないところがあるので、今後の課題であろうと思っています。
    最後になりますけれども、英才教育の必要性と良さを今後どう考えていくかについて、JOCとしても、今、NTCでエリートアカデミー事業をいくつかの競技で行っています。御存じのとおり、卓球やレスリングで世界チャンピオンが誕生するなど、大変すばらしい成績を上げています。NTCがあるからこそ、エリートアカデミー事業ができるわけですが、それをさらに拡大できるのかどうか、あるいは英才教育をやっていくのが正しいのか、結果を出すためにはいろいろなことを考えている中で、総合的なバランスで一体的に考えていきたいと思っています。
   
  (松永委員)
    龍谷大学の松永と申します。私はスポーツマネジメントが専門で、委員に選出された理由としては、特に「地域」の視点であると受け止めています。先ほど杉田先生がおっしゃった「競技別強化拠点施設が地域にどのぐらい応援されている施設なのか」、あるいは「競技団体の方と地域の方とで少し溝があるのではないか」という点が、私の専門分野に一番近いところかと思っています。その点はとても重要なポイントになってくると思っております。
    もちろん、トップアスリートの方が活動拠点として活用されることは非常に重要なポイントですし、国内の大きな大会の会場になっていることも大きなポイントになってくると思います。しかし、その地域で強化が行われている競技に多くの子供たちが憧れるようになる仕組みや、地域がその競技に根ざすことによって、代表選手を輩出しているということが必ずしもできていない地域がたくさんあるのではないかと思っています。
    例えば、強化拠点施設がある地域で、タレント発掘事業を実施して子供を選抜しても、その子供がその競技に興味を示さない、あるいは途中でやめてしまうということはが非常に残念でもあり、課題であるとも思っています。このことに関して、競技団体を責められないのは、先ほどの人材育成の話もありましたが、かなり限られたスタッフで、日々本当に奔走されているというのが現状で、それ以上のことをなかなかリクエストするというのも厳しい一面もあるかと思います。
    これはNTCのことだけではなくて、日本のスポーツ界全体に言えることで、雇用の観点においては、スポーツ関係に関わる方が不安定な状態にさらされているということが、非常に大きく起因していると思います。
    私は今、本務校において、学生部長兼スポーツ・文化活動強化センター長をさせていただいているのですが、センターに従事するスタッフの雇用形態は様々で、5年契約の方もおられます。最近でも「次の就職先はNTC」という方も実際にいらっしゃいました。そういった方々は非常に優秀であるにもかかわらず、有期の方が多く、腰を据えて自分の専門に集中するという雇用環境にない方がいらっしゃるというのも実状です。
    特に、NTC競技別強化拠点におきましては、運営面で回していかれる方は少人数で非常に厳しい条件の中でやっておられていて、加えて競技団体の業務も担われている。他方、トレーナーは専属契約は厳しい状況で、トレーニング設備は設置されていても、サポートする人材が配置されていないといった施設も一部見受けられます。
    雇用の仕組みをうまく作っていくことで、「その地域にはこの競技がなくてはならない」、「地域を挙げてその競技を応援していく、盛んにしていく」、「子供たちがその競技に憧れてトップアスリートになっていく」といったところも大事にしていかないといけないところではないかと思います。
   
  (皆川委員)
    私は37歳までアルペンスキーの現役選手をやらせていただきました。現在は日本スキー連盟の競技本部長をやらせていただいています。
    2001年にJISSができた後、私が初めてケガをしたのは2002年の時でした。当時は、スキー競技の現役選手が30歳を超えても競技を続けることは、どちらかというとあり得ないという大勢の中で、自分は競技生活を送っていました。前十字靭帯のケガをした時に、2003年からJISSでリハビリを行ったのですが、自分が37歳まで現役選手を続けるとは思いませんでした。
    競技生活で非常に重要だったのは、ケガをした場合、病院、リハビリ施設、トレーナー、マッサージ師、栄養士を自分探していたというのが実情でしたが、JISSができたことによって、医・科学サポートの情報が一元化されたことと、フィジカルや競技技術のデータ管理が行えたことが、重度のケガが非常に多いウンター競技であっても選手寿命が圧倒的に延びたと自分自身が本当に実感しました。
    もう一点は、平岡委員からもお話がありましたが、ウインター競技では、大体最低でも150日は海外遠征することが多いです。シーズンスポーツなので、雪がないとどうしても、年間の3分の1しか競技が行えないということを考えますと、大半の種目は大体30日から多くて90日程度、欧州もしくは南半球の標高3,000Mの地方に行って練習をするのが実状です。
    そうなると、海外の強化拠点が必要だということも当然考えられますが、コーチや選手の育成に関しては、国内に拠点を設けて情報を一元管理して、そこから発信するようにしていけば、自分のように37歳まで現役を続けられる選手がより増えてくるのではないかと思います。
   
  (山脇委員)
    まず、これまでオリンピック競技は文部科学省、パラリンピック競技は厚生労働省が所掌していましたが、スポーツ庁ができたことによって一元化されたことで、パラアスリートも本格的にJISSやNTCを利用できるようになったということが、パラリンピック競技にとっては画期的なことで、改めて本当にこの動きについては感謝をまず申し上げたいと思います。
    パラアスリートが本格的にJISSやNTCを利用し始めて2年ぐらいですが、それでも今年の平昌大会では相当効果が出てきたということで、今後はこの効果がどんどん出てくるのではないかと期待しております。
    建設中のNTC拡充施設についても、パラアスリートの優先利用を念頭にユニバーサルデザインで設計していただきましたので、これが非常に大きな効果に繋がるのではと期待しております。
    参考資料にありますけれども、パラアリーナという施設をユニバーサルデザインで造ってみると、実は私でも非常に過ごしやすい環境であり、障害者のために造るのではなくて、むしろ健常者のためにも良い施設なのではないかと思います。更に、使いやすさだけではなくて、この環境により意識も変わります。そういう意味では、今回の拡充棟の整備はオリンピック競技とパラリンピック競技のそれぞれにとっても良いことではないかと思います。
    それから、大日方委員が少しお話になりましたが、欧米の強豪国は、オリンピック競技とパラリンピック競技の強化活動を一緒に行っていて、オリンピック競技で培ってきたノウハウや、エビデンスベース、サイエンスベースの強化が一体化されて、うまくいっていますので、是非これをさらに強力に進めていくことや、トレーニングだけではなくて、競技団体レベルでの協力が非常に必要ではないかと思います。
    櫻井委員がおっしゃったように、逆に、パラリンピック競技でいろいろ培った能力とか、菊池委員がおっしゃられたパラアスリートから享受するものがあるとのことで、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体化の推進が、ハイパフォーマンスをさらに高めてくれるのではないかと期待しております。
    平岡委員から、一体どこまで国が支援するのかという発言がありましたが、どんどん増やしてもらえればうれしいのですが、やはり各国ともお金の集め方に非常に苦労していまして、くじとか、ファンドレイズとか、民間に頼んだりしているようです。日本でもいろいろやろうとしていますが、簡単ではありません。限られた予算の中でどこまで国ができるのか、一方、スポーツ界としてどこまで国にお願いするのかという問題も頭に入れながら考えないといけないのではないかと思っています。
    このことを踏まえると、新たな施設の整備の検討に当たっては、数多い要望の中でどのようにプライオリティーを置くのか、何処にどのように造るのか、また既存施設を利用するのか、ということも整理しなければいけないと思います。
    また、パラリンピック競技の場合ですと、パラアリーナもそうですが、例えば、ある会社が「バドミントン専用にこの体育館を全部使ってください」とか、いろいろ工夫してみると難しいなと思っていたことができてしまうということがあります。国にお願いすると、予算の確保や様々な手続などに非常に時間がかかってタイムリーにできないということがあるので、我々の方も自分でもっと工夫をするということを考えた方が良いのではないかと思います。
    日本のスポーツ界全体としても、イギリス等の諸外国を見ていると、非常に努力し工夫してやっているので、全てを国にお願いするのではなくて、自分たちでもっと努力をしてできるものをやるという方向をもう少し考えた方が良いのではないかと思います。
   
  (結城委員)
    私はJOCの情報・科学サポートの副部会長を杉田さんと一緒にやっているということと、御存じのところでは、スピードスケートのコーチをしている現場の立場も含めてお話しさせていただきます。
    皆さんお話しいただきましたが、強化拠点の現状は、ハイパフォーマンスセンターを中心に行われており、リオデジャネイロオリンピックで獲得した41個のメダルのうち、西が丘のNTCに関連する競技種目で40個を占めたことがエビデンスであり、強化拠点の必要性や効果等を網羅していると感じています。
    ただ、不足している点に目を向けたときに、特に冬季スポーツで申し上げますと、競技団体間、あるいは拠点間で充実度合いにレベル格差があり、充実度が足りていない拠点では、メダルや入賞に遠かったりと結果が出ていないところにあるのではないかと感じております。
    それでは、どのようにしてレベル合わせをしていったら良いのだろうかということですが、まず、お金を掛けるのではなくて、既存の施設ですとか、既存の人的資源をいかに有効活用するかというところで、拠点間の知の流れをうまく作っていってはどうかと考えています。当然、新設しなければいけないものも、国内にはない大掛かりなものだったり、あるいは最新の、世界でも例を見ないような研究開発という分野では、おそらくターゲット種目という形でさらに手厚くという考え方になってくるとは思いますけれども、そのような新しいものも必要にはなると思いますが、拠点間でしっかり充実させていくということが大事かと思います。
    ただ、難しいのは、その拠点間で充実してきたときに、分散、拡散の方向に行ってはいけないと思うのです。やはり、知は集中して使うべきであって、その点においては夏季競技も冬季競技も関係なく、日本のスポーツ科学、スポーツの知見はHPCに一極集中して、そこに行けば全部解決できるというぐらいの能力は身に付けておくべきではないかと思います。
    オランダのスケートが何故強いのかというと、答えは簡単で、他の冬季スポーツが行われていないからです。ただ、自転車競技や陸上競技の夏季競技で得られた知の流れが必ず冬季競技との間にあって、それはすごくお互いに有効活用していて、お互いがシンクタンクになっている部分もあります。そのようにしてうまく知のネットワークというか、関連性、関係性というのをうまく作っていくと打破されていくのではないかと思います。
    HPCが構築されて、JISSとNTCが有する医・科学サポートとトレーニングの一体化の有効性がある一方で、NTC競技別強化拠点は、場所などの物理的・空間的な問題が悩ましいところで、皆川委員がおっしゃったように、冬季競技の場合は自然環境が関係しますので、どうしても海外と関係性を持たなければなりません。
    これは大ざっぱな言い方になりますけど、経験上、ヨーロッパ方面とアメリカ方面に有用な常宿が1つあればいいぐらいの話だと私は思っています。それによって、いわゆる時差のある競技会への対応ということも、これは結果を出していくために有効にできると思いますが、そこに拠点になるような医・科学サポート機能を備えるべきかというと、私はその必要はないのではないかと思っています。
    それから、子供たちや地域の話も出ていましたが、私は夏季競技は意外と都市型のスポーツが多い印象なのですが、一方で冬季競技は地方型といいますか、少し田舎スタイルの、山だったりという自然環境がありますので、地域の熱心な家族や熱心な団体がメダリストの輩出を支えているのが実状だと思います。
    逆にいうと、結果を出すためには、そこへの知の流れもきちっとサポートしていくことを重視することが大事なことかと思います。
   
  (友添座長)
    強化拠点を1つのシステム体として見たときに、うまく経営マネジメントができていない部分がまだたくさんあるという印象で、経営システム論という領域がありますが、問題の構造化、意志決定、資源の有効な利活用など、その視点から見直すということはすごく有効なのだろうと思いました。
    櫻井委員がおっしゃったように、例えば、大脳生理学者の中でスポーツに興味がある人たちは大勢いますし、理工学系の専門家の中にも、有効な提言やアイデアを提供して下さる人たちが実は結構いたりします。その意味では、シンクタンクのリストを作って、医・科学サポート集団みたいなものをうまく配置をしていって、システムにするとよりうまく機能していきます。
    それから、菊池委員がおっしゃったように、他分野の人たちとの交流というのは意図はしていますが、思わぬ波及効果を及ぼしていって、様々なところに好影響をもたらします。
    結局、人と物と金とをうまく組み合わせていく最高のマッチングでシステムをどのように作り上げていくかというレベルの話になってきているのだろうと思います。家内制手工業でやるのももちろん大事ですが、オートマチックにシステムとして全体の調整をうまく図っていくという段階に入っていくことも大事かと思います。
    そのときに、大事な点は何かというと、この種の問題はゴールが実はない。常に進化していきますので、最終的にここでゴールだということはあり得なくて、また世界が進んでいきますので、グローバルスタンダードに合わせたら実は勝てないだろうと。グローバルスタンダードプラス1が必要だということで、そのプラス1を日本型のものをどう編み出していくのかというのが非常に大事で、この点は久木留委員が御著書の中で書かれていますので、また今後の会議の中でも御意見が出てくるかと思います。
   
○議事3「本検討会議における検討事項について」について、スポーツ庁から説明の後、審議の上、了承された。なお、審議においては、委員から以下のとおり発言があった。
 
  (平岡委員)
    ここに書かれた検討事項については、このとおりだと思っています。とにかく2020年東京大会まではあと2年、もう目の前に来ていて、本当に今からハード面で整備するというのは、器具類とかは別にして、多分間に合うような段階ではない。ただ、ソフト面を含めサポートする、周りの環境を整えるというところを、2020年の東京大会、2022年の北京大会に向けて、競技団体やアスリートは何が希望なのか、その辺はしっかり捕まえていきたいなと思っております。
    あと、中・長期には、今までも有識者会議とかでいろいろと御検討いただいているので、このような内容をしっかりもう一回ブラッシュアップしながら、当然コストも掛かる話ですし、人的な負担もありますし、そういうもので判断をどうとっていくかということになろうかと思っています。
   
  (櫻井委員)
    1の(2)の競技別強化拠点の機能強化といった意味で、トレーニング施設と近隣施設との連携強化等とありますけれども、例えば、2019年なり、2020年を想像しますと、NTC等の利用状況がものすごく増えるといったときには、宿泊施設等が足りなくなると考えられるんです。
    そうなりますと、ここに書かれている近隣施設との連携強化というのは、そのような宿泊施設等も含めての議論というふうに考えていくのかと思いますが、その際のインセンティブなり施策というのはどのように考えるのかが課題として上がってくるのかと考えています。
    それから、2番目の中・長期の検討事項については、やはりパラリンピック競技の場合は、まさしくパスウェイの構築からしっかりと考えていかないといけませんので、その点の議論をしっかりとこの中ではやれたらと思います。
    といいますのも、オリンピック競技の場合は裾野が非常に広くて、ピラミッド型のパスウェイなんですけれども、パラリンピック競技の場合は、どちらかといいますと鉛筆型。見つけた選手一人を丁寧に育てていく以外に、なかなかトップアスリートに上り詰めてこない。いわゆるピラミッド型ではなくて鉛筆型のパスウェイをいかにピラミッド型に広げるのか、また、逆に鉛筆型の中でどううまく選手を育てていくのか、そういった議論が必要だろうと思っています。
   
  (大日方委員)
    先ほどいろいろな方からも御意見頂いたところですが、その他というところで、海外の拠点をどのようにするのかということについては、是非議論が必要だろうというふうに考えております。私も皆川さんと同様にアルペンスキーの選手をしておりましたけれども、海外のトレーニング場所、どこが今年雪が多いのかとか、あるいはどういったところだとスピード系の、日本国内ではまず練習のできないトレーニングができる場所なのかといったような情報をどのように集めるのか。
    現状では、オリンピック競技とパラリンピック競技は、それぞれが集めていて、例えば、民間の草レースのようなチームが日本から実はたくさんヨーロッパやアメリカのスキー場に行っていて、日本人をたくさん現地で見掛けるのですが、そういった情報もそれぞれがバラバラに集めているので、非常にもったいないという状況があります。
    こういった情報をどのように集めていくのか、そして発信していくのか、これをどのようにやっていくのかという形の議論というものが、1つは必要ではないかと考えています。
   
  (勝田委員)
    資料2-2の3頁を御覧いただきまして、左の一番上なんですが、私どもがスポーツ庁と連携させていただいております戦略的強化事業の中で、有望アスリートの海外強化支援事業をやっております。これを見ていただければ分かりますように、競技団体の候補がしっかりとプランを出していただいて、どの選手にどのような海外の拠点で強化をさせたいのかということを審査委員の方に選んでいただいて、その過程を公開してもらうということをしております。
    ちなみに、今対象になっているのは、例えば陸上競技でいえば、サニブラウン選手、卓球の張本選手、平野選手、柔道の阿部一二三選手、パラリンピック競技では、水泳の一ノ瀬選手が対象となっています。
    この事業は、選手が海外へ行って強化活動をするだけではなくて、いくつか仕掛けがありまして、選手の必要に応じてサポートスタッフ、例えば、コーチやトレーナー、メディカルの人も含めたサポートスタッフも一緒に行っています。
    それによって、選手がネットワークを作るだけではなくて、コーチも、あるいはサポートスタッフも海外の拠点とネットワークを作るというような副次的なメリットを考えてプランを構築しております。
    海外の拠点は、アカデミーもありますし、大学もありますし、海外のリーグもありますし、この事業の今後の検証も含めて、海外の拠点を考える上でも1つの参考になろうかなというふうに思っております。

  (大日方委員)
    私もこの有望アスリート海外強化支援事業のアドバイザーのような仕事も頂いておりますので、枠組みを理解しておりまして、大変有望、今後、オリンピック競技、パラリンピック競技ともにこういった枠組みを生かして、海外でどのように日本の選手を強化していくのかということについては、重要なものになるだろうと思います。
    現状、これらは夏季競技の選手を対象に行われているものが実態としてありますので、冬季競技でも展開を図っていく場合、冬季競技特有の、先ほどおっしゃったような、雪がないとなかなかできない、あるいは氷がどうしても必要になるといった場所で、比較的場所が限られてくる、かつ、特殊な場所である。そして、それらが大学というような練習拠点とは少し異なる自然環境の中のものといったところにどういった形で情報を、この枠組みを発展させるというような形でやっていくとよいのではないかなというふうに感じております。
    別な観点で、先ほど結城さんの方からも競技間連携の話が出て、実はネットワークを構築しているときにソフト、あるいは他競技から学んだり、他の分野から学んだりという人材の発掘と育成、あるいは教育は非常に重要だと思っております。

  (勝田委員)
    JOCの一番最初のゴールドプランが2001年にできたんですが、その前に競技間連携プロジェクトというのを作っていました。私もそのメンバーで、そのときに、日本サッカー協会の田嶋さん(現会長)がラグビーの練習を観てくれたり、ラグビーがレスリングの練習に行ったりと、いろいろなことをやりながら、他競技のことを情報交換する機会とかネットワークが広がりました。
    JISSは、どちらかというと研究者も含めて大学の研究からそのままずっとJISSの中で行っていますので、いろいろなところに出向いていって、どのような人材が地域にいたり、あるいは次の世代を支えてくれる人材がいたり、海外の拠点ですと、例えば、カルガリー大学やラフバラ大学もそうですが、大学の中にそういったNTCの拠点を持っていて、医・科学パッケージや人材の発掘、競技団体との連携もできています。
    拠点でネットワーク化を図るときに、人の発掘、育成、教育、研修、流動性、これが非常に重要だと思いますが、それはコーチだけではなくて、研究者もサポートスタッフもマネジメントスタッフも、あるいは行政的な視点も含めて、全てに通じるところだというふうに思っています。

  (久木留委員)
    少し外れるかもしれませんけれども、先ほど来、結城委員であったり、杉田委員からもあったと思うんですが、知のネットワークというか、多分ハイパフォーマンスに関わる情報というのは、オリンピック競技だけではなくて、パラリンピック競技からももちろんあるでしょうし、冬季競技から夏季競技という流れもあると思うのです。
    現状では、個人的なネットワークというのは多分あると思います。例えば、結城委員から相談を受けて、私の方でレスリングの練習に結城委員と小平選手を紹介した場合、これは、多分個人的なネットワークだと思うのです。
    それを組織的なネットワークにしていって、皆川委員からあった一元化ということでいえば、HPCに何の情報を一元化するのか、これがすごく重要なポイントで、強化といっても、パラリンピック競技もあれば、オリンピック競技もある、冬季競技もあれば、夏季競技もある。それ以外にもプロとの強化もあるでしょう。
    このことと支援との一体化は、研究の一体化であり、つまり情報の一元化と一言で言っても、様々な情報の一元化を組織的にまずしっかりやっていくということを検討していくことが、おそらく人材育成にもつながっていくのではないかと思います。
   
  (友添座長)
    地域の拠点といったときに、例えば、大学には管理栄養士の人もいますし、トレーナーもいますし、医師もいますし、施設もあります。これらをうまく活用しないとかなりもったいないと思います。私のところの学部でも、医師が常駐し、トレーナーがいて、それからMRIもあるので随時撮れる。その意味でいうと、大学のいくつかはNTCと同じような機能を実は持っている。それから、箱根を走るのに靴のインソールが非常に重要だということで、インソールの専門家が来て調整してくれる。そういったサポートの資源というのは、まだ未活用なところが実はあって、大学は授業料で成り立ってますので学生優先ではありますが、もっと有効活用を考えてもいいと思います。施設はもちろん、宿泊も可能なところもありますし、大学の活用もあり得るのではないかと思ってきました。
    先ほど来、申し上げているのは、システムとしてうまく機能していくには、これからこの会議で検討していけば、うまく機能できるであろうことがいくつかあると考えます。それは多分、菊池委員が御経験された、不便だなとか、あるいはここをもっとこんなことをしてほしいなという、そのような素朴な声が反映されて改善されていくべきですし、こういった声に耳を傾けることが、実は忘れがちになってしまいますが、でもそれは本当は大事な声で、その声に応えていくようにシステムを強化していく必要があるんだろうと思っています。
   
  (石毛委員)
    私としましては、40あるNTC競技別強化拠点の実状なども分からない部分があるので、まずスポーツ庁さんの方から教えていただいた上で、先ほどの情報の一元化とか、そういったところを検討できればと思います。
   
  (松永委員)
    資料2-1の2頁にあるNTC競技別強化拠点施設の一覧表には、私が在勤・在住している京都市内にもありますし、京都府の施設もありますが、ほとんど知られていません。
    一方で、前から認識している施設で、五輪のマークが施設に掲げられているNTC競技別強化拠点施設もあります。これは日本人にとってはかなりテンションが上がりますし、この施設はオリンピック選手が使う施設ということが一目瞭然で分かります。
    オリンピック、パラリンピックのロゴマークを掲げるには、規定があると思いますが、やはり国の施設として指定していることが地域住民すら知られていないというこの現状を改善していく必要があると思います。つまり、情報の共有と広報が全くできていない部分が一部にあるというのは事実です。
    自分の身近な地域や住んでいる町にある施設がNTCに指定されているということを知れば、大半の方は誇りに思います。つまり、プロモーションという部分では、まだまだできることがあるのではないかと思っています。
    オリンピック、パラリンピック関連のマーク、あるいは各競技団体の日頃の活躍、活動を地元の方や関係者に知ってもらうプロモーションの展開と同時に、それを町おこし、地域活性化戦略、スポーツコミッションにもつなげられると思います。
    例えば、アイディアレベルですが、駅に、「NTC競技別強化拠点がある駅」というものを掲げてもらうなど、あまりにも認知されていないという現状を私たちは真摯に受け止めて、競技力向上以外のマネジメントの視点も、今回の検討会議においてテーマにしていく必要があるということを強く感じました。
    それは、資料3の2(2)の③、既存施設のNTCへの活用の在り方というところに確実につながってくると思いますので、まずは地域の方をはじめ多くの方に知っていただくというプロモーション戦略も重要かと思います。
   
  (杉田委員)
    参考資料3に平成28年8月に出されております、「トップアスリートの強化活動拠点の在り方についての調査研究(検討状況報告)」の概要が書かれておりますが、今日皆さんがお話しされたことは、ほぼこの内容のどこかに位置付くものかと思います。このような現状を委員の先生方が全員で理解したというところに、今日は大きな意義があると思います。
   
  (友添座長)
    もちろん強化は密室でやる必要があったり、閉鎖空間でやる必要もありますが、時にはコストセンターからプロフィットセンターに変わる、地域との交流も含めて変わる必要も実はある。そういうことも含めて、これから検討を深めていければというふうに思っています。
   
○ 議事4「平成30年度開催スケジュールについて」について、スポーツ庁から説明し、了承された。なお、平岡委員から第2回及び第3回の開催日時について質問があり、事務局から、調整が整い次第お知らせする旨回答した。

○ 友添座長から、次回は7月中旬に開催する旨の発言があった後、閉会となった

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スポーツ庁競技スポーツ課

(スポーツ庁競技スポーツ課)

-- 登録:平成30年07月 --