スポーツを通じた女性の活躍促進会議(第6回) 議事要旨

1.日時

平成31年3月26日(火曜日)

2.場所

文部科学省東館13階1~3会議室

3.出席者

委員

伊藤委員、後山委員、岡部委員、鯉川委員、田中委員、能瀬委員、
久武委員、増本委員、水原委員、山口理委員、山口香委員、和久委員、 
和田委員、ゼッターランド委員

スポーツ庁

鈴木長官、藤江審議官、川合参事官(民間スポーツ担当)、
安達健康スポーツ課長、星国際課企画官

4.議事要旨

(開会)
〇事務局より、配布資料の確認があった。

【日本スポーツ協会女性スポーツ委員会アクションプランについて】(資料1)
〇ゼッターランド委員(日本スポーツ協会女性スポーツ委員会委員長)より、日本スポーツ協会の事業横断的な活動方針として2019年3月18日に策定された「日本スポーツ協会女性スポーツ委員会アクションプラン」について説明があった。

【日ASEAN間における女性スポーツ協力の動き】(資料2)
○スポーツ庁国際課より、昨年10月に開催された日ASEANのスポーツに関する実務者協議について説明があった。

【平成30年度女性スポーツ推進事業報告(女性スポーツ指導者の育成事業)】(資料4)
○ゼッターランド委員(日本スポーツ協会常務理事)より、「平成30年度女性スポーツ推進事業(女性スポーツ指導者の育成事業)」の成果についての報告や、本事業において作成された「女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック」についての説明があった。

【平成30年度女性スポーツ推進事業報告(スポーツ団体における女性役員の育成事業)】(資料5)
○山口理恵子委員(JOCワーキンググループリーダー)より、「平成30年度女性スポーツ推進事業(スポーツ団体における女性役員の育成事業)」の成果について報告があった。

【平成30年度女性スポーツ推進事業(女性スポーツ参加促進事業)】(資料3)
○株式会社日本総合研究所より、「平成30年度女性スポーツ推進事業報告(女性スポーツ参加促進事業)」の成果について報告があった。また、鈴木長官より福井県鯖江市役所JK課のメンバーによるスポーツ庁訪問について説明があった。

【平成31年度女性スポーツ関係政府予算案】(資料6)
○藤江審議官より、平成31年度女性スポーツ関係政府予算案について説明があった。

【順天堂大学女性スポーツ研究センター研究報告】(資料7)
○順天堂大学女性スポーツ研究センターより、日本の高校生を対象としたパーソナリティ研究や、パーソナリティ別アプローチ研究の成果について説明があった。

【その他】(参考資料4、5、6)
○スポーツ庁健康スポーツ課より、ミス日本・ミススポーツの長官表敬、「スポーツエールカンパニーシンポジウム」における田村好史氏による講演「働く女性にとってのスポーツ」、これまでの会議における主な御意見等について説明があった。

【全体を通してのコメント及び質疑応答】
○SNSによる情報発信については近年多くのバリエーションがあり、単純にSNSに広告を出稿してもターゲットに届かなくなってきているのが現状であると感じている。SNSで情報発信するだけでなく、どうやってターゲットに届けるかについて検討すべきであると思われる。

○どのように情報を届けるかについては、日本スポーツ協会の女性スポーツ委員会においても最大の論点である。1つの案は、漫画や画像を作成するなど、より視覚に訴えるアプローチを取ることである。最近では文章をじっくりと読む時間がない人も多いため、特に医学的知見等の難解な部分については、視覚的に分かりやすい説明ができればよいと考えている。現在ハンドブックは指導者研修会の場で配布をしたり、学校関係者に配布したりしているが、なかなか指導者本人まで届きにくい。QRコードを印刷する等、少しでも入口に到達しやすくなるような工夫をしているが、まだまだ工夫の余地があるというのが実感である。

○部位に応じた「ながら」運動は興味深いが、PRの観点からは作ったものをどう伝えるかを考えると良い。エンターテイメント要素を盛り込んだ情報発信ができればよいのではないか。女性役員の問題や高校生のパーソナリティについても、スポーツに限った議論ではなく、ビジネスの世界にも応用できるように思われるので、これまでのスポーツ庁の枠組にとらわれない発信の仕方を検討しても良いのではないか。

○当社の顧客層は50代以上がメインであるが、40代以下に対するマーケティングは非常に難しいと感じている。一般的に50代を超えると健康上の問題を抱え始め、こうした問題を運動によって解消しようと考える方は多い。しかし、40代以下の方は美容への関心が高く、スポーツと結び付けて考える方は少ない。30~40代女性の興味関心とスポーツをどのように結び付けるかは非常に難しいところである。

○スポーツメニューについて、モチベーションアップにつながるような目標やインセンティブが設定されている必要があるのではないか。たとえば症状や気になる部位別にメニューが用意されていれば、それぞれのメニューに取り組む意義が明確になり、取組目標も設定しやすくなるように思われる。

○これまでは、スポーツのことを理解した産婦人科医が少なかったため、2014年に女性アスリート健康支援委員会を立ち上げ、医師を対象とした研修を実施してきた。委員会のホームページ上では研修受講済みの医師を検索できるようなシステムも整備している。医学的な問題については、10代の頃から学校教育のなかで普及していくことが重要であるという答えはある程度は分かっているが、医師は学校教育にアクセスしづらい。学校で女子生徒に異常が見つかった場合も、産婦人科医に繋げるシステムが必要だと思われるが、現状では構築することが難しい。ぜひスポーツ庁でも医師と学校の連携について考えていただきたい。

○今後「女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック」を活用した研修を予定しているとのことだが、トップスポーツの現場を見ていると、調査研究の結果がなかなか現場の指導者まで下りてこない現状がある。現場のコーチ・スタッフに知見を落としていくことができれば、2020以降もレガシーとして残ると思うので、ぜひ研修にも定量的・定性的なゴールを設けた上で取り組んでいただきたい。

○スポーツ施設のハード面も女性のスポーツ参加促進に影響を与えると思われるため、女性が施設を利用しやすい環境及び動線の設計、カフェの併設等の居場所作りを検討すべきではないか。近年民間の「みる」スポーツの施設等でも、女性の過ごしやすい空間作りが重視されている。こうしたハード面の視点を加えて議論しても良いのではないかと感じた。

○当社はメディアとして何かできないかと考え、「バゲット」という午前中の帯番組の中で、4月から毎週水曜日に5分程度、子会社のフィットネスクラブ「ティップネス」と連携してテレビを観ながらできる運動を紹介することにした。他のことをしながら短時間で実施でき、効果が見込める運動を紹介することで、女性のスポーツ参加促進に貢献したいと考えている。ライブ放送だけでなく、動画配信やSNS等の様々なメディアや、フィットネスクラブというリアルな場も活用し、どのように情報が拡散していくのかもウォッチしながら、取組を進めていきたい。本会議での報告内容は当社の取組の方向性と一致するところであり、自信を持つことができた。

○日頃、スポーツ指導者への研修を行っている立場から、様々な調査研究結果や知見を指導者に届ける必要性を改めて認識した。今回、日本オリンピック委員会では女性選手のコーチングという観点と、女性指導者の活躍促進という観点から、カリキュラムを設けて研修を行った。ただ、全体に占める女性指導者の割合が少ない中で、女性スポーツをテーマにした企画を実施することについては難しさを感じる面もある。合わせて出産等で一度現場を退き、復帰したいと考えている女性指導者など、「今現場にいないが興味を持っている方」にどうやって情報を届けるかについても考えていく必要があると感じた。

○全国障害者スポーツ大会では女性の参加者が3割弱である。リレーや団体競技において女子を入れた男女混合種目を導入するなど、女性の参加率を高める工夫をしているが、なかなか女性の割合が増えない。障がい者スポーツ指導員については男女がほぼ均等だが、専門性が高くなるほど女性の割合が下がってしまう。近年「障がい者スポーツ」というと競技性が高いものばかりがイメージされてしまい、参加しにくくなってしまっているため、参加率を上げるためには障害者スポーツ=パラリンピックではないというイメージを作っていく必要があると感じている。どのように女性が参加しやすい環境を作っていくかは日本障害者スポーツ協会にとっても大きな課題であるが、協会内には専門委員会等がないため、日本スポーツ協会とも協力しながら取り組んでいきたい。

○各団体で素晴らしい研究が実施されているが、効率よく進める上では、団体横断的な情報交換ができる系統や統括するセクションがあった方がよいのではないか。国際競技団体の理事を務めている立場からも、海外の情報を自らの所属する競技団体に還元するだけに留まらず、他の競技団体とも相互に情報交換していきたいと感じている。国際オリンピック委員会でも女性ワーキンググループによる提言が取りまとめられたが、国連とも協力しながら進めているとのことである。日本においてもスポーツ庁が様々な関係団体と協力しながら活動を進めていくべきであり、そういった活動をまとめるセクションがあっても良いのではないかと思う。

○メディアとの連携策について考えてもよいのではないか。例えば、ドラマの中で、登場人物が運動するシーンはあまり登場しない印象があるが、ワンシーンでもそうしたシーンがあれば視聴者に良い影響を与えるのではないか。スポーツ庁とテレビ局でMoUを締結するといった連携についても検討してみてはどうか。

お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課