スポーツを通じた女性の活躍促進会議(第4回) 議事要旨

1.日時

平成30年5月22日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館16階3会議室

3.出席者

委員

後山委員、岡部委員、工藤委員、鯉川委員(代理:桜間氏)、
ゼッターランド委員、能瀬委員、久武委員、福島委員(代理:鈴木氏)、
水原委員、山口香委員、山口理委員、和久委員、和田委員

スポーツ庁

鈴木長官、藤江審議官、由良参事官(民間スポーツ担当)、
安達健康スポーツ課長、今泉国際課長

オブザーバー

木藤参与、田村参与

4.議事要旨

(開会)
 ○事務局より、配布資料等の確認があった。

【女性活躍に向けた経済産業省の取組について】(資料1)
 ○経済産業省より、女性活躍に向けた経済産業省の取組について発表があり、企業における女性の登用促進や女性起業家支援に向けた取組や、企業における役員等の女性の比率等の現状、ダイバーシティによる効果等ついて説明があった。


【公益財団法人日本スポーツ協会の取組について】(資料2)
 ○日本スポーツ協会より、昨年11月に設置された日本スポーツ協会の女性スポーツ委員会の取組について発表があった。

【スポーツを通じた女性の活躍促進のための現状把握調査報告について】(資料3)
 ○株式会社日本総合研究所より、女性のスポーツ参加を促進するための基礎調査として平成29年度にスポーツ庁が実施した「スポーツを通じた女性活躍促進のための現状把握調査」について説明があった。

【女性スポーツに関する予算等の現状について】(資料4、5)
 ○スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)より、平成30年度の女性スポーツに関する予算についての説明と、スポーツ実施率向上のための行動計画(案)について説明があった。

【第7回世界女性スポーツ会議について】(参考資料4~6)
 ○スポーツ庁国際課より、5月17~20日にボツワナで開催された、第7回世界女性スポーツ会議について説明があった。


(質疑応答、自由討議)
 ●ダイバーシティによるイノベーションの創出について、ここでいうイノベーションとは具体的にどのようなことを指しているのか。また、女性の登用促進により、イノベーションの特異性はどういったところに発揮されるのか。
 ○業種によっても異なるが、例えば製品のプロダクト・イノベーションとして、日産のNOTEやカルビーのフルグラは女性が開発し、ヒットしたように、男性だけのチームだとなかなか発想できないような商品やサービスの創出が、多様な人材が集まり様々な視点を取り入れることによって実現できるということが挙げられる。
 ●ダイバーシティも含めた女性の登用について、イノベーションによってどのような特色が出るのか。
 ○女性だけでなく、障害者や高齢者、外国人などいろいろな方たちによる多様性でイノベーションが生まれ、アイデアが創出されるということだと考えている。また、それらは結果的に企業価値の向上に繋がり、外部(資本市場や労働市場)からの評価も高まることになる。
 ●ダイバーシティについて、短期的には様々な困難があるとのことだが、それを乗り越えて、長期的に有意義な結果を出せた企業や組織ではどのような取組が行われていたのか。
 ○「ダイバーシティ2.0ガイドライン」の中でも最も重要な部分が経営陣の取組であると考えている。例えば、カルビーにおいては会長が女性活躍を強力に推進していたように、経営トップの強い覚悟とコミットメント、また、継続的に粘り強く取り組むことが非常に重要である。
 ●安倍総理のリーダーシップのもとに女性活躍が進められているが、経産省をはじめ国の機関はどの程度進んでいるのか。
 ○省庁によっても女性管理職比率は異なるが、今は少なくとも採用については女性を3割以上にすることが全省庁共通しているところである。また、いろいろな省庁において、ダイバーシティという目線で、外部の民間企業等の方を取り入れて、変革していこうとしているところだと思う。
 ●1年間運動・スポーツを実施できなかった理由のうち、「面倒くさいから」というのは、各年代、何が面倒くさいのか。質的なデータは今回の調査で得ているのか。
 ○今回は基礎的な調査ということで、幅広い項目を調査しているが、一つ一つのトピックについて細かい設問までは設けていない。「面倒くさいから」にはいろいろな要因があると思うが、今回は質的なデータまでは取れていない。
 ●本調査対象には男性が入っておらず、これが世代間の傾向なのか、性別による傾向なのか読み取れない部分があるので、今後、比較対象となる項目の追加や、重要な部分については深堀するような発展的な調査があるとよい。
 ●本調査は、特に若い世代と子育て、仕事を両立することが大変な世代のスポーツ実施率を上げようというところでの調査ということもあると思うが、40代、50代については、今後を予測した場合に、子育てが終わってすぐ介護ということが現実的にあるのではないか。
また、スポーツ実施の「阻害要因」という表現があるが、家事や育児も、家族や職場、男性の協力などがなくして、女性の活躍やその能力の発揮はできないと思うので、スポーツ界から女性の活躍を促進していこうとしている中で、もう少し前向きな働きかけの言葉で発信できればよいと思う。
 ●スポーツ実施率の向上については、アンケート調査の結果も踏まえて、女性が健康や楽しいといったポジティブな価値観を求めているとすれば、それに応じたスポーツのプログラムそのもののイノベーションが必要である。また、実施している場所のデータから考えると、スポーツの届け方、チャネルのイノベーションが必要である。
  将来への投資という意味では、幼少期のスポーツの経験に対するイメージが影響を及ぼしていることがわかるので、部活動やスポーツ少年団等への改革といった、スポーツプログラムの改革が必要である。
  役員の増員に関しては、スポーツの場合、何か組織経営やその中でのイノベーションを起こすときに、ROEに代わる指標を開発していく必要がある。
 ●日本スポーツ協会の女性スポーツ委員会は、特にどういうところに特化していこうとしているのか。
 ○まず1点目として、指導者育成専門委員会において、現在カリキュラムの改定に取り組んでいるところであるが、トップアスリートに限らず、スポーツの現場に携わる指導者に知識を深めていただく。
  2点目として、トップアスリートについては比較的サポートが充実してきているが、その前段階のレベルでプレーしているプレーヤーたちへのサポートや指導者への知識の提供がまた足りていないため、そこへアプローチしていく。
  3点目として、スポーツ少年団と深く関わっているので、小中学校のレベルへのアプローチもまだまだ足りないと感じており、そこに特化した取組も考えている。
 ●スポーツ庁やJOC,日本スポーツ協会にも女性の委員会があるが、どのような連携をしていくのか。
 ○具体的なアクションを起こすにあたって、一番の関係者はここにいらっしゃると思っており、ここでアクションを起こしていくことを意識していくべきと思っている。また、予算がある場合、予算に沿ってアクションをみんなで組み立てていくというのが動き方の一つであると思う。皆さんにご意見をいただいて、スポーツ庁の活動を皆さんに共有していただいたり、皆さんの活動を横に展開して共有していただいたりが考えられると思う。
 ●スポーツ実施率の調査について、20代が17.6ポイント上昇している。なぜこんなに増えているのか、調査結果から浮き出てきたことがあれば共有いただきたい。
 ○昨年度と少し調査の内容が変わっているので、昨年度と比べてどういう変化があったのかは追い切れていないが、新しい世論調査においては、例えば階段昇降など軽運動のようなものもスポーツとして定義されているので、これまで特に若い世代ほどスポーツとは競技スポーツであり、軽運動はスポーツではないというとらえ方が主体的だったが、このイメージのギャップが若干埋まってきて、軽運動でもスポーツであると感じるような方が増えてきているのではないか。
 ●経産省のご発表については、スポーツ界においても非常に参考になると思う。エビデンスも踏まえ、女性の活躍はこういうところで必要性があるということや、成功事例を示して、コンセプトとしてまとめ、役員を増やさなければいけない理由がここにあるのだということを将来的に打ち出していけるとよい。
  また、コンセプトや必要性、施策等を打ち出す際には、一方的に押し付けるものにならないことが大切だと思う。委員の皆様には内容を持ち帰っていただいて浸透させることと、各団体にて意見を吸い上げていただき、それをここにお持ちいただき、議論いただくことをお願いしたい。
 ●スポーツをできなかった理由について、様々な調査において、時間がない、面倒くさいというのが出てくるが、そこまでしてやりたくないというのがこのように出ていると解釈するのが一番いいのではないかと思う。スポーツや運動に対して、好きじゃない、楽しくないというのが根底にあって、それが苦痛じゃなく、楽しいと改善しない限りは、長い目で見ても根本的な問題解決にならないように感じた。
  また、幼稚園や小中高時代に運動を習慣化させるというのが長い目で見ると重要であると感じた。

お問合せ先

スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)

(スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当))