スポーツを通じた女性の活躍促進会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成29年12月18日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館15階特別会議室

3.出席者

委員

太田委員、後山委員、鯉川委員、小坂委員、能瀬委員、田中委員、久武委員、増本委員、水原委員、山口香委員、山口理委員、和久委員、和田委員

スポーツ庁

鈴木長官、藤江審議官、由良参事官(民間スポーツ担当)、安達健康スポーツ課長、今泉国際課長

オブザーバー

木藤参与、田村参与

4.議事要旨

(開会)
○事務局より、配布資料等の確認があった。

【Innovative thinking in Women Sportについて】(資料1)
○鯉川委員より、スポーツイングランドの「This girl can」の2つの事前調査概要について発表があり、「Youth Insights Pack」では、スポーツへの“態度”と“行動”は必ずしも一致しない等の若者の特徴が明らかにされ、「Under the Skin」では、若者には6つのパーソナリティが内在し、それぞれに適したアプローチ方法が示されていることが報告された。

(質疑応答)
●6つのパーソナリティに年齢差、年齢的な特徴はあったか。
○14歳~25歳に対象を絞っての調査であり年齢的な特徴は考慮されていない。
●「Youth Insight Pack」の「受け身的なスポーツ参加を過小評価してはいけない」という部分を少し具体的に教えてほしい。
○例えば、ジャージを着てランニングやサッカーをしなくても、階段をいつもよりも使ってみることやサッカーの応援に行くことも、スポーツアクティブとしてスポーツへの第1歩として認めてあげようということ。

【平成28年度体力・運動能力調査の結果について】(資料2-1)(資料2-2)
○スポーツ庁健康スポーツ課より、本年10月8日に公表された平成28年度体力・運動能力調査の結果について、女性のスポーツ実施状況に関わる内容を中心に説明があった。

【国際的スポーツ政策における女性スポーツの促進について】(資料3)
○スポーツ庁国際課より、7月に開催されたユネスコ体育・スポーツ担当大臣等国際会議(MINEPS・Ⅵ)にて採択された「カザン行動計画」(Kazan Action Plan)および、10月に開催された日ASEANスポーツ大臣会合について報告があった。

【スポーツを通じた女性活躍促進のための現状把握調査について】(資料4)
○株式会社日本総合研究所より、女性のスポーツ参加を促進するための基礎調査として本年度スポーツ庁が実施する「スポーツを通じた女性活躍促進のための現状把握調査」について説明があった。

(質疑応答)
●この調査では障害の有無を確認する項目は入るのか。
○今回は3,000人くらいのサンプル数で有意な差が取れる属性での分析を考えており、現時点では未定。
●各年代によって「スポーツ」の捉え方が異なると思うのでそのあたりも聞いた方が良い。

【パブコン~もしもあなたがスポーツ庁長官だったら~について】(資料5)
○スポーツ庁健康スポーツ課より、国民のスポーツ実施率を飛躍的に向上させるために国が実施すべき施策について事業プランを広く募集する「パブコン」について説明があった。

【自由討議】
●体力・運動能力調査で35歳~39歳の女性の体力が過去最低とのことだったが、若い時の体力レベルが10年後に反映されてくるとも読めるので、若年層に対するパーソナリティに応じたアプローチが大切なのではないかと感じた。
●カザン行動計画のフォローアップについて、来年よりアジア各国で開催される国際会議や競技大会などを活用して日ASEANでの共同プロジェクト提案を行うことは効果的であると思う。

●イングランドなどのスポーツ先進国では、トップアスリートの活躍が国民のスポーツ実施には直接つながらないことが報告されているが、例えばアジアでは女性がスポーツで活躍すれば、より女性がスポーツに興味を持つような気がするが、いかがか。
○日本も含めASEAN地域は決して女性スポーツの先進国ではないので、だからこそ一緒にロールモデルを作っていくために何かやっていければよいと考えている。

●現在、企業の多くは働き方改革に取り組んでいるが、そこで生まれた時間を仕事に役立つ自己研鑚に充てることを推奨している。20代~40代の女性にも自身の健康の大切さを自己研鑚という視点から認識してもらうことが大切ではないか。

●若者の6つのパーソナリティの説明の中で所得に関する記述が多いように思ったが、これは英国特有のものなのか、日本にもそういった傾向があるのか。
○英国は貧困差が大きく、また移民が多いという特徴があり、日本とは違うくくりで調査されている。生活環境、所得、家庭の環境、国、宗教などがすべてインクルードされているというのが今回の調査結果だった。
○所得格差や環境の不穏は外国の方が顕著であることは確かだが、日本においても20代~40代は金銭的にも時間的にもゆとりが生まれにくい世代である。子供を預けてまでジムに行くことは難しいので、子供と一緒に運動ができるような施策があるとよいと思う。実際は地域でやっているのだが、まだまだ目につきにくい。
○男性も働き盛り世代のスポーツ実施率は低い。自分のことにはなかなか注意がいかない世代であるのに加えて、女性は妊娠、出産、育児の負担が加わっているのだと思う。
○サッカーや柔道をしている子供を持つお母さんが、子供の送り迎えで待っている間、おしゃべりしながら見ているだけになっていたりもするので、一緒にスポーツをするなど、この世代には子供と関連したアプローチをするといいかもしれないと感じた。

●アメリカの西海岸で、これまではダイエット目的だったが、セルフマネジメントも含めた「セルフディフェンス」という意識の高まりから、女性のフィットネス通いの需要が増えているという話を聞いた。また、近年はフィットネスクラブがコミュニティスペース(居場所)・サードプレイスとしての機能を果たしていると感じる。
○コミュニティということでは、弊社では人とのつながりをとても大切にしており、入会して1か月以内に仲間を作れるような仕掛けをしている。仲間が増えれば増えるほど継続しやすい。運動を始めるときも続けるときも人とのつながりは大切。

●骨密度の点からいうと、中高生が一番重要で年間の骨量増加率は中学生が最も大きい時期であるが、アスリートを対象とした調査でもこの時期はひどい現状だということが分かっている。最大骨密度は20歳くらいがピークで、後は減る一方であり、ここを過ぎると治療は難しいという教育は重要。また、骨密度を測定する機会がなかなかないという問題もある。

●小学生の運動参加を制限している要因に、親がどのくらい関係しているのか。
○カナダの事例で、親の干渉度と子供のスポーツ実施率と関係を調べた調査がある。それによると、親の干渉度が低い家庭はもちろん子供の実施率は低いが、親が干渉しすぎても実施率は低い。ちょうどよい干渉度は70~80%であった。

●国は女性活躍ということで背中を押してくれるが、仕事も頑張れ、子育ても大変だし、そのうえスポーツもということで女性の悲鳴も聞こえてきそうである。応援と同時にサポート体制が必要。
●子供が早いうちから自分の身体をセルフマネジメントするという点から、学校の保健体育の時間は大変重要だが、そこでの教育がきちんとされておらず、また、先生に知識がないといったことを垣間見ることがある。
●体力やスポーツ実施率の調査があり、その低下が課題として挙げられているが、女性は意味のある経験を求めているということが若者の特徴でも報告されていたように、なぜ体力やスポーツをすることが必要なのか、どんな意味があるのかをきちんと説明することが大切だと思う。

●対象者が少なくまた表に見えにくいこともあり、女性に関する研究そのものがまだまだ少ない。障害のあるなしにかかわらず、「自分は大丈夫」「やらなくても大丈夫」と思っている人に、健康の大切さを何度も繰り返し伝えることが必要。
●弊社の取組で5月のプレミアムフライデーに企業対抗リレーを丸の内で実施した。一人だとなかなか続かないが目標があって仲間と一緒だと続けることができること、また自分が走らなくても自分の企業・仲間を応援するという一体感が生まれた点がよかった。スポーツをするという意識よりも、みんなで何かに参加するという視点だとより多くの人が行動するのではないかと思う。
●弊社でもスポーツフェスティバルを毎年開催し、社員とその家族と5,000人くらいが参加している。社員の絆づくりにもなるし、家族サービスにもなっている。
●パラスポーツと関わっていて、各競技団体で女性の若手選手が見つからないという課題があるので、今日の話を持って帰って考えてみたいと思う。

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スポーツ庁健康スポーツ課