平成28年7月27日(水曜日)16時00分~17時00分
富国生命ビル14階セミナールーム
出席幹事: 赤羽 貴 安藤 久佳 大河 正明 太田 伸之 木村 達郎 栗田 卓也 小林 至 坂井 文 地下 誠二(代理:地域企画部長 浅井忠美) 鈴木 大地 田村 明比古(代理:観光地域振興部長 加藤庸之) 南場 智子(代理:株式会社DeNAスポーツ推進室長、株式会社横浜スタジアム代表取締役社長 岡村信悟) 長谷部 健(代理:副区長 澤田伸) 林 文子(代理:副市長 平原敏英) 間野 義之 村井 満 欠席幹事: 岡田 武史 山内 弘隆 (50音順、敬称略)
(幹事の主な発言)
1.スポーツ産業について
○スポーツが産業になる一つの定義は、民間の資金が投資されること、それにより雇用が生まれること、それにより新しいアイデアが集まって良い商品・サービスが生まれてくること、そして世の中に貢献していく、という好循環が生まれることである。
○スポーツの産業化には、プロスポーツクラブが経営面で自立することが必要不可欠であり、その実現にはスタジアム・アリーナを自前で持つことを目指すべき。
○ロンドンの企業がJリーグに対して10年で2100億円の放映権投資をしたが、投資の理由として、日本人は特定のスポーツではなく様々なスポーツを楽しむ世界に類を見ない国であること、一定の年齢層も含めてITリテラシーが非常に高いことなどが言われている。デジタル化していく社会において、スポーツが産業として発展していくための高いポテンシャルが日本にはある。
○地域における一つのランドマークの視点で、スタジアム・アリーナ自体がいかに稼ぐか、アリーナに来訪した人が周辺の地域でいかにお金を使うかの2つがある。前者は魅力的なコンテンツとその魅せ方、後者は観光、地域資源、展示会機能等とそれらに導く動線を作って周辺に案内するなど、スタジアム・アリーナが起爆剤となって地域をけん引していく機能についてもこの場で議論できるとよい。
2.スタジアム・アリーナ整備について
○魅力的なスタジアム・アリーナの推進にあたって重要なことは感動の演出という観点。
○チームが施設を所有するために必要なことは、綿密な事業計画を立てて、事業として成り立たせることと、多様なステークホルダーの合意形成を図りながら、消防法、景観条例、税制等の課題をクリアしていくこと。
○スタジアム・アリーナ整備に際しては、民間資金を導入する場合プロジェクトファイナンスに耐えうるスキームの有無や収入をどう高められるか、税制面の負担をどう軽減できるかなど様々な専門家の知見が必要。
○スポーツはビジネスとしてポテンシャルは高く、従来の公共施設の整備以上に民間手法を積極的に導入して進めていくべき。
○横浜スタジアムは街中の国有地の都市公園内に立地しており、自治体や市民の知恵を得て整備してきた背景があり、今後魅力的なスタジアムにするために増席・改修などしていくにはさらに市と一緒に知恵を出していくことが必要。
○視察をしたドイツのアリーナでは、ある企業カンファレンスをスタジアムでやっていた。スタジアム・アリーナの用途は試合を観るだけでない。固定概念を排除して稼働率を上げ、生産性を向上させていくべき。
○Jリーグのクラブのうち、2つのクラブだけがスタジアムを所有し、それ以外は行政が所有している現状。スタジアムも含めたスポーツ環境のデジタル化を近隣地域と一体となってどう進めていくか考えていく必要がある。
○ラグビーワールドカップ開催に向けた都市公園の運動施設の改修にあたっては、ワールドカップの後、施設をどのように利用してもらえるかということが一つの課題と認識している。コストセンターから少なくともコストの一部は稼ぐといった公物のあり方を考えていくべき。
3.まちづくり・地方活性化について
○地域活性化、インバウンドの観点で、地域の魅力的なスポーツチームやスタジアム・アリーナが地方の空港と連携して海外からの観光客を取り込んでいくことも十分あり得る。スタジアム・アリーナ整備を通じて、新たなビジネス創出の支援を進めていきたい。
○これまで試合ごとに仮設サーカスのようにバスケットの試合を行ってきたが、それでも年間30試合で地域への波及効果は30億円と言われている。現在計画している1万人アリーナが整備されると、80~100億円の経済効果を生むと見込んでおり、地域からスポーツ文化を変えていきたい。
○米国や英国など国でスポーツ文化は異なるもの。日本でも大都市と地方では事情が異なる。スポーツと都市の関係について議論していきたい。
○地域ではスタジアム・アリーナだけで採算をとるのは困難な面もあるが、複合的な機能を持たせるスマート・ベニューの考え方を取り入れることによって、よりサステナブルな施設を作ることができる。
○まちづくりの観点から、スタジアムがどのような役割を果たしていくのか考える必要がある。試合以外の日にも賑わいを創出して、まち全体がスポーツタウンになるように様々な魅力をつくっていくことが重要。新しいまちの魅力をつくることにチャレンジし、新しいスポーツビジネスをつくり出していきたい。
○1964年の東京オリンピックの際に整備した施設は老朽化している。リノベーションを計画していく中で民間と一体となった新しいサービスを提供していきたい。また、広い土地はない中で、スモールサイズのスタジアム・アリーナの在り方も課題。
4.ガイドラインについて
○今後協議会で策定するガイドラインは一様なものではなく、地方での立地条件、県民性・文化、競技など様々な要素を踏まえて施設が整備されていくようにするべき。また、スタジアム・アリーナをサステナブルなものにするためにも、試合がある日とない日でそれぞれどのように稼ぐことができるのかを示していく必要がある。
(以上)
スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)