資料1 今後の総合型地域スポーツクラブの在り方に関する提言 構成案のポイント

第1章 本提言の位置付け

○ 本提言は、総合型クラブが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会以降も持続的に成長していくための基本的方向性や具体的方策を提示

第2章 総合型クラブを取り巻く状況

1.社会の状況

○ 少子高齢化の進行、人口減少
○ 政府のニッポン一億総活躍プラン、一億総活躍社会の意義

2.地域におけるスポーツ環境

○ 国民のスポーツ実施率の現状
○ 人口減少・少子化の進展による単一競技種目型のチーム・サークル等の活動継続の危惧
○ 地域スポーツを一体的に担う団体の創設事例
○ 少子化に伴う運動部活動の所属生徒数の減少等によるチーム競技等における活動への支障
○ 運動部活動と総合型クラブとの連携の必要性等
○ 地方公共団体の厳しい財政状況による公共スポーツ施設減少への懸念
○ 学校体育施設開放事業における利用調整や受付管理等のマネジメントの問題
○ 廃校施設の有効活用の必要性

第3章 総合型クラブに関する施策、現状・課題等

1.総合型クラブ

○ 総合型クラブの意義・特徴等
○ 我が国における総合型クラブの育成施策(国の事業、スポーツ振興くじ(toto)助成事業)
○ 総合型クラブの育成状況(3,550クラブ、全市区町村の80.8%に育成等)
○ 総合型クラブの設立効果(地域スポーツの担い手、地域コミュニティの核としての役割、国民のスポーツ実施へのきっかけづくりの役割等)
○ 地域課題解決等に取り組むクラブ(介護予防事業受託、放課後児童クラブ・放課後子供教室との協働、運動部活動や体育授業等への支援、障害者のスポーツ機会提供等)
○ 地域から人材の発掘、活躍する場づくり、住民の地域社会への参画の入り口としての役割
○ 総合型クラブの課題(会員、自己財源、指導者の確保、特に自己財源の確保、市町村行政と連携した地域課題解決、PDCAの取組状況等)
○ 総合型クラブの設立過程・運営形態の多様化による公的支援対象の明確化を図る必要性(一部の都道府県における登録・認証等の制度整備、日本体育協会による登録制度の検討)

2.総合型クラブの全国組織、都道府県組織等

○ SC全国ネットワーク、都道府県総合型クラブ連絡協議会の現状(47都道府県、2,802クラブ)
○ 都道府県総合型クラブ連絡協議会の組織体制、都道府県総合型クラブ連絡協議会と都道府県体育協会との関係

3.総合型クラブへの支援体制等

(1)スポーツセンター

○ 広域スポーツセンターの育成施策(国の事業)
○ 広域スポーツセンターの機能
○ 広域スポーツセンターの設置状況(47都道府県54箇所設置)、支援の実施状況

(2)クラブ育成アドバイザー、クラブアドバイザー

○ 国費を財源とした日本体育協会によるクラブ育成アドバイザーの設置(平成16~24年度)
○ スポーツ振興くじ助成を財源としたクラブアドバイザーの配置(平成25年度~)
○ クラブアドバイザーの配置状況(37都道府県に52名配置、配置主体は、日本体育協会、都道府県行政、都道府県体育協会)

(3)都道府県における総合型クラブへの支援体制

○ 全都道府県において、地方スポーツ推進計画が策定され、都道府県行政による総合型クラブへの支援が実施
○ 各都道府県の実情に応じて、都道府県行政に加えて、都道府県体育協会、都道府県スポーツ振興事業団等の外郭団体、クラブアドバイザーをはじめ様々な公的機関・団体等が支援

(4)市町村における総合型クラブへの支援体制

○ 全国的に見ると必ずしも市町村行政による支援が十分に行われていない現状(特に支援していない市町村が32.1%等)
○ スポーツ推進委員が総合型クラブの創設・運営に参画している市町村の割合は32.4%

(5)総合型クラブ同士による支援

○ SC全国ネットワークや都道府県総合型クラブ連絡協議会、広域市町村圏・市町村単位のクラブ間ネットワーク、拠点クラブによる取組など、クラブ同士で支援する取組
○ 一部のクラブ間ネットワークは、各クラブの有する資源の共有・相互補完、運営者同士の情報交換や学び合いの場としての役割を果たし、自立的な運営の促進等に寄与
○ クラブ間ネットワークの事業は、スケールメリット、公益性の向上により多様な主体との連携・協働関係の構築を促進
○ クラブ間ネットワークの活動を支える事務局体制の整備や安定的な財源の確保が課題

(6)多様な主体による支援の役割分担・連携体制

○ 地域の実情に応じて、様々な公的機関・団体やクラブ間ネットワーク等が尽力
○ 役割分担や連携体制の整理が不十分であり、全体的としてみると必ずしも効率的・効果的なものになっていない

第4章 総合型クラブに関する今後の基本的方向性と具体的施策等

1.地域におけるスポーツ環境の持続的発展への寄与

 <基本的方向性>

人口減少・少子高齢化社会においても、住民が多様なスポーツに親しむことのできる環境の持続的な発展を図る。

<具体的方策>

(1)総合型クラブに求められる役割
○ 地域スポーツの担い手としての重要な役割、多様なスポーツ種目の活動の継続に貢献し、子供が複数のスポーツ種目に取り組み、自分にあったスポーツ種目が選択できる環境づくり
○ 「するスポーツ」の入り口としての役割(幼児や高齢者を対象とした運動・スポーツ習慣の定着に向けた取組等の実施)
○ 「支えるスポーツ」の入り口としての役割(地域の中からクラブを支える人材の発掘、活躍できる場の創出)
○ 地域におけるスポーツ活動の場の確保(学校体育施設開放についてきめ細かな利用調整を行うことにより学校体育施設を有効活用、廃校施設の積極的な活用)

(2)市町村行政に求められる役割
○ 地方スポーツ推進計画等において総合型クラブの意義や役割、総合型クラブに対する支援体制等を明示
○ 財政的な支援だけではなく、活動場所や広報活動に関する支援、行政職員やスポーツ推進委員の総合型クラブに対する理解を深めること等の重要性
○ 地域の実情に応じて、公共スポーツ施設の指定管理や学校体育施設開放に係る利用調整・受付管理等について、総合型クラブの積極的な活用、廃校施設の積極的な活用

(3)成果目標・指標の設定
○ クラブ会員の複数の定期的活動種目への参加割合を指標とした成果目標の設定
○ クラブ運営を「支える」ための活動に携わる会員の割合を指標とした成果目標の設定

2.スポーツを通じた地域の課題解決に向けた取組の推進

 <基本的方向性>

総合型クラブが地域課題に応えるための「社会的な仕組み」として定着していくことを目指す。

<具体的方策>

(1)総合型クラブに求められる役割
○地域住民や行政からの信頼を得て、「社会的な仕組み」として定着していくことの重要性
○スポーツを通じた健康増進(地域包括ケアシステムへの参画)、子育て支援(放課後子供教室等との協働)、学校への支援(学校運動部活動の代替・補完等)などの取組の重要性

(2)都道府県行政に求められる役割
○ 都道府県行政内部での連携体制の構築、市町村行政への働き掛けにより、総合型クラブが市町村行政の多様な部局と連携・協働してスポーツを通じた地域の課題解決に取り組むことのできる環境の整備
○ 地域の課題解決に向けた取組を担える主体としての総合型クラブの育成、先導的取組の域内の市町村への横展開

(3)市町村行政に期待される役割
○ 市町村行政内部での連携体制の構築、地方スポーツ推進計画の策定等を通じた地域課題の把握、総合型クラブ等と連携・協働した地域課題解決に向けた取組の実施

(4)成果目標・指標の設定
○ スポーツを通じた健康増進、子育て支援、学校への支援等に取り組む総合型クラブの数や割合を指標とした成果目標の設定

3.総合型クラブの自立的な運営に向けた「質的な充実」

 <基本的方向性>

総合型クラブの持続可能な運営体制の構築、財政的な自立、ガバナンスの確保などの「質的な充実」に重点を置いて施策や取組等を展開していく。

<具体的方策>

(1)持続可能な運営体制の構築に必要なクラブマネジメント
○ 持続可能な総合型クラブの基盤整備に向けてPDCAサイクルの観点から評価指標等を用いた自己点検・評価を実施し、継続的に改善・充実を図っていくこと必要性
○ クラブマネジャーや指導者等を雇用する総合型クラブにおけるマーケティングなど経営学の視点からの取組の必要性

(2)クラブを支える人材の確保
○ 会員同士がクラブを支える体制の強化、地域の中からクラブを支える人材の発掘、活躍できる場の創出の重要性

(3)登録・認証等の制度の整備
○ 総合型クラブが、行政等とパートナーシップを構築し、公益的な事業体としての役割を果たしていくことに向けた活動実態や運営形態、ガバナンス等についての基準を備えた登録・認証等の制度の整備の必要性
○ 総合型クラブのスポーツ団体としての自主性・自立性の観点から、スポーツ団体が中心となった検討の必要性、行政と連携した検討の必要性
○ 最低限の項目についての全国共通の基準、その他の項目について各都道府県において地域の実情に応じた基準づくりの考え方

(4)成果目標・指標の設定
○ PDCAサイクルの観点から評価指標等を用いた自己点検・評価を実施し、継続的に改善・充実を図っている総合型クラブの割合を指標とした成果目標の設定
○ 登録・認証等の制度が整備されている都道府県の割合を指標とした成果目標の設定

4.クラブ間ネットワークの充実・強化等

 <基本的方向性>

総合型クラブの自立的な運営の促進につながるようクラブ間ネットワークの充実・強化等に取り組む。

<具体的方策>

(1)クラブ間ネットワークの充実・強化
○ クラブ間ネットワークによる総合型クラブの自立的な運営の促進への寄与の必要性(各クラブの資源の共有・相互補完や運営者同士の情報交換・学び合いの場の創出といった役割)
○ SC全国ネットワークと都道府県総合型クラブ連絡協議会が基盤となり、組織体制を充実・強化し、総合型クラブの自立的な運営の促進に向けた事業等を実施できる体制整備の重要性

(2)全国組織、都道府県組織の再構築
○ SC全国ネットワークと都道府県総合型クラブ連絡協議会について、総合型クラブの登録・認証等の制度の整備状況を踏まえた組織体制の見直しの必要性

5.総合型クラブへの支援体制の再構築等

 <基本的方向性>

総合型クラブへの支援について、より効率的・効果的ものにしていくため、各支援主体の役割分担を明確化して再構築等を図る。

<具体的方策>

(1)都道府県における総合型クラブへの支援体制の再構築
 (支援内容に応じた行政とスポーツ団体等との役割分担)
○ 「質的な充実」に向けた支援については、スポーツ団体が中心となって担っていくことの必要性
○ スポーツを通じた地域の課題解決に向けた支援については、行政が中心となって担っていくことの必要性

 (スポーツ団体による支援、中間支援組織の整備)
○ 都道府県体育協会が主体となり、都道府県総合型クラブ連絡協議会を基盤として組織体制等を充実・強化した組織(以下「都道府県総合型クラブネットワーク(仮称)」という。)と連携・協働して中間支援組織の役割を果たしていく
○ 都道府県体育協会にクラブアドバイザーを配置し、クラブアドバイザーが核となって総合型クラブの自立的な運営の促進を支援するとともに、都道府県総合型クラブネットワーク(仮称)が現場で必要とされる取組の提案を行い、両者が協力して実施していく考え方の提示

 (都道府県行政の役割)
○ 地域におけるスポーツ環境の持続的発展に向けた、総合型クラブの未育成市町村に対する総合型クラブの育成の働き掛け、市町村における地方スポーツ推進計画の策定や総合型クラブに対する支援の働き掛けの重要性
○ 都道府県スポーツ主管部局が主体となった行政内部での連携体制の構築、総合型クラブが市町村行政の多様な部署と連携・協働して地域課題の解決に取り組む環境の整備
○ 地域の課題解決に向けた取組を担える主体として総合型クラブを育成するための地域課題解決に向けた取組の立ち上げ支援や先導的な取組の域内の市町村に対する横展開

(2)市町村における総合型クラブへの支援体制の強化
○ 地方スポーツ推進計画の策定・改定に当たって、地域の実情に応じて、総合型クラブの位置付け・役割、総合型クラブに対する支援体制等を示すことへの期待
○ 総合型クラブが市町村行政の多様な部局と連携・協働してスポーツを通じた地域課題の解決に取り組むため、市町村スポーツ主管部局による行政内部での連携体制の構築
○ スポーツ推進委員への期待(総合型クラブと市町村、地域のスポーツ団体等との連携・協働を促進するためのコーディネーターとしての役割、総合型クラブの運営への参画)

(3)スポーツ振興くじ助成による支援の在り方
○ スポーツ振興くじ助成事業において、これまでの個別の総合型クラブの創設や自立等に向けた支援から、中間支援組織に対する支援、地方公共団体が主体となった地域の課題解決に向けた取組を推進する事業への支援に重点を移すことの重要性
○ 都道府県体育協会が主体となって、都道府県総合型クラブネットワーク(仮称)と連携・協働して取り組む総合型クラブの自立的な運営を促進する事業に対する支援
○ 都道府県行政が主体となり、地域課題解決に向けた取組の立ち上げ支援、先導的な取組を域内の市町村に対する横展開を図る事業に対する支援
○ 従来の総合型クラブに対する支援については、地域が主体となって総合型クラブを育成すべきという観点から、法人格の有無を問わず、地方公共団体を通じた申請に一元化
○ 地方スポーツ推進計画の策定を促進する観点から、地方スポーツ推進計画の策定を助成要件又は審査基準の一部とすることの可能性、登録・認証等制度において登録・認証等を受けた総合型クラブを対象とすることの可能性

6.地域におけるスポーツ推進体制の見直し

<基本的方向性>

地域における住民の持続的なスポーツ環境を確保する観点から、地域の実情に応じたスポーツ推進体制の在り方について検討する。

<具体的方策>

○ 特に急速な人口減少・少子高齢化が見込まれる市町村における地域スポーツ振興を担う組織・団体の連携体制の構築に向けた協議の必要性
○ 雇用を生み出すとともに、スポーツを通じた健康増進や地域活性化等を担える団体として再構築するという観点からも検討することの可能性

お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課

連携推進係
電話番号:03-5253-4111(代表)

(スポーツ庁健康スポーツ課)

-- 登録:平成28年09月 --