スポーツ審議会(第34回)議事録

1.日時

令和5年3月29日(水曜日)15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について(諮問)
  2. スポーツ審議会における部会の設置について
  3. 独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る令和5事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可等について
  4. 令和3年度補正予算及び令和5年度におけるスポーツ団体に対する補助案について
  5. 第3期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価について
  6. 運動部活動の地域連携・地域移行と地域スポーツ環境の整備について
  7. その他

4.議事録

【早川会長】ただいまから、スポーツ審議会第34回総会を開催いたします。皆様、大変お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。それでは、本日の運営に関する説明と資料の確認を事務局からお願いいたします。
 
【大西政策課長】 本日は、事前に希望をご希望されました委員におかれましてはウェブ会議でご参加いただいております。また、赤間委員におかれましては所用のためご欠席ですけれども、代理として公益財団法人日本アンチドーピング機構専務理事・浅川伸様にご出席いただいております。会議での傍聴は報道関係者のみとさせていただき、一般の方はライブ配信での傍聴とさせていただいております。資料につきましては、議事次第に記載されております一覧の通りでございます。こちらにお越しの皆様方には、机上にも配布してございます。不備などございましたら事務局までお声掛けください。以上でございます。
 
【早川会長】 議題が多くございまして、特に議題の5と6で意見交換をしたいと思います。議事の円滑なご議論のご協力をお願いいたしたいと思います。それでは早速ですが議題に入ります。まず、議題1「スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方」について、スポーツ庁長官から当審議会に対して諮問がございました。室伏長官から諮問をお受けしたいと思いますので、お願いいたします。
 
【室伏長官】 みなさま、聞こえますでしょうか。室伏でございます。それでは、スポーツ団体のガバナンスコードの今後の在り方について。スポーツは、個人の心身の健全な発達、健康・体力の保持及び増進等を目的とする活動であり、国際競技大会における代表選手の活躍等を通じて国民に誇り、夢と感動を与え、さらには、地域・経済の活性化、共生社会や健康長寿社会の実現、国際理解の促進など幅広く社会に貢献する営みである。このようなスポーツの価値を実現していくためには、その前提として、スポーツの普及・振興等の重要な担い手であるスポーツ団体が適切に運営され、スポーツ・インテグリティが確保されていることが重要である。スポーツ基本法においても、基本理念の一つとして「スポーツに関するあらゆる活動を公正かつ適切に実施すること」が定められているところである。一方、これまで様々な競技において、スポーツ団体の組織運営上の問題や指導者による暴力行為等に起因した問題事案が発生し、こうした理念が十分に実現できていなかったことから、スポーツ庁では、令和元年に、スポーツ団体が適切な組織運営を行う上での原則・規範を示す「スポーツ団体ガバナンスコード」を策定し、統括スポーツ団体による中央競技団体へのコードに基づく適合性審査を実施する等、関係機関と連携しながら、スポーツ・インテグリティの確保に取り組んできた。
第3期スポーツ基本計画においても、政策目標として、我が国のスポーツ・インテグリティを高め、クリーンでフェアなスポーツの推進を図ることを掲げ、引き続き、スポーツ団体のガバナンス強化・コンプライアンスの徹底等に取り組むこととしている。コード策定をはじめとしたスポーツ・インテグリティの確保に向けた様々な取組により、全中央競技団体が役職員に対するコンプライアンス教育に取り組むなど、スポーツ団体におけるガバナンス向上への意識は着実に向上している。しかしながら、コードを遵守すること自体が目的となり、規定は整備されていても適切な運用がなされていないなど、形式的な対応に留まっている団体の存在も指摘されているところである。
また、依然として一部のスポーツ団体においてスポーツの価値を脅かす不祥事事案が発生しており、スポーツ団体の事業運営の適正性の確保に対する社会的要請は依然として高い。
令和3年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピック競技大会等における日本代表選手団の活躍は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける社会の中で、国民に勇気や感動を届け、スポーツの持つ力、すばらしさを再認識する契機となった。こうした日本代表選手の競技力向上に向けて、中央競技団体が行う選手強化活動等に対する国の助成金の額は年々増額されてきた。中央競技団体の公益性や、団体の運営に関する国民の関心は益々高まっており、中央競技団体は、国民の期待や信頼に応え、適正な事業運営を行うことがより強く求められている。
令和5年度にはコードに基づく全中央競技団体への適合性審査が一巡することから、これまでの取組の成果や課題を検証し、コードの今後の在り方について検討することが必要である。
コードは、スポーツ団体の不祥事事案を防ぐことのみを目的としたものではなく、スポーツ団体の持続的な成長・発展を促すための原則・規範である。スポーツ団体が、コードを形式的に遵守するのではなく、スポーツの価値が最大限発揮されることを目的として、コードを活用していくことが求められている。以上のことを踏まえつつ、コードの今後の在り方について、主に次の事項を中心に御審議をお願いしたい。
第一に、コードに基づく中央競技団体のこれまでの取組状況や適合性審査が一巡する中で新たに見えてきた課題等を踏まえ、実効性の確保という点にも留意しつつ、コードの今後の在り方について検討すること
第二に、スポーツ団体がコードに記載された原則の趣旨を十分に理解し、自主的かつ積極的にガバナンス確保に取り組めるよう、充実した補足情報をコードに盛り込むこと
以上が中心的に御審議をお願いしたい事項であるが、このほかにも、スポーツ・インテグリティの確保のための方策に関する事項について、必要に応じて幅広く御審議をお願いしたい。以上になります。
 
【早川会長】 ありがとうございました。ただいま、室伏長官から諮問理由についてご説明をいただきましたので、その内容を踏まえまして、今後、「スポーツ団体ガバナンスコードの今後のあり方」に関する議論を進めてまいりたいと考えております。委員の皆様方におかれましても、どうぞよろしくお願いいたします。
次の議題に移ります。先ほど諮問を受けましたスポーツ団体ガバナンスコードの今後のあり方についての調査審議を行うために、スポーツ審議会の下にスポーツ・インテグリティ部会を設置いたしまして、議論を進めていきたいと思います。資料2をご覧ください。スポーツ審議会令で第5条第1項では、「審議会はその定めるところにより、部会を置くことができる」とされております。また、スポーツ審議会運営規則第3条第1項では、「部会の名称および所掌事務は会長が審議会に諮って定める」とされております。先ほどガバナンスコードの諮問をいただきましたので、このあり方について調査審議するために、資料にありますとおり、当審議会にスポーツ・インテグリティ部会を設置したいと思っております。なお、部会に属すべき委員につきましては、スポーツ審議会令第5条第2項において「会長が指名する」とされておりますので、部会に属すべき委員の皆様方につきましては、私に一任いただければ幸いでございます。本議題につきましてご出席の委員の皆様よりご意見ご質問等がございますでしょうか。よろしいでしょうか。それではご了承いただいたとさしていただきます。ありがとうございました。
それでは次の議題に入ります。議題の3「独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る令和5事業年度事業計画、予算および資金計画案の認可等」につきまして意見聴取を行います。それでは日本スポーツ振興センターより資料のご説明をお願い致します。
 
【松坂理事】 日本スポーツ振興センター理事の松坂でございます。どうぞよろしくお願いします。
座って失礼します。本日お手元に資料3-1と3-2を用意させていただいております。「スポーツ振興投票等業務に係る令和5事業年度の事業計画等の案の概要について」ということでございます。資料のご説明に入る前に、令和4年度の売り上げの状況について簡単に報告させていただきたいと思います。令和4年度スポーツくじの売り上げにつきましては、効果的な広告宣伝等に取り組むことによりまして、3月28日時点で1114億円になりました。3年連続で1000億円を突破でございます。
(音声調整のため一時中断)
【松坂理事】 よろしいでしょうか。それでは改めてご説明させていただきます。令和4年度のスポーツ振興くじの売り上げでございますけれども、昨日3月28日の時点で1114億円でございます。3年連続で1000億円を超えるというようなことで、安定的に売上推移していることでございます。令和4年9月にはバスケットボールを対象競技に加えまして、新たな商品として1試合の結果や競技会の優勝チーム予想などの新たなくじ「WINNER」の販売を開始したところでございます。こちらにつきましては、今商品を認知していただいて、理解を増進することで、広告宣伝活動も盛んに進めているところでございます。特に、11月~12月にかけてサッカーのワールドカップの試合を対象にした「WINNER」のくじを売らせていただきました。日本代表戦を中心に大変好評をいただいたと考えておりまして、1試合で最大4億円近い売り上げにもなっております。国民的関心の高いスポーツ大会に関しましては、売り上げにも反映されることを感じた次第でございます。今後、引き続き向上だけを目的にするものではもちろんございませんので、Jリーグ・Bリーグの発展に十分貢献できるように、広報・宣伝も進めてまいりたいと考えております。それでは資料3-1でございます。来年度の事業計画案の概要でございます。来年度につきましては、スポーツ振興くじの販売の売り上げによる助成について、本日記載しております運営の基本方針に基づいて業務を実施していきたいと考えております。カラフルな資料3-1でございますけれども、運営の基本方針といたしまして、表題はWINNERにつきましてですが、早期に十分な認知を獲得する、ということでございます。新しい商品ですので、「どういう商品なのか」「どうやって買えるのか」「どういうふうに楽しむのか」につきまして、既存のトピックとあわせまして、販売促進を行っていきたいと考えております。安定的な売上の確保を行うことによりまして、しっかりとした助成財源の確保を進めていきたいと考えております。そのためにもこの箱の中の括弧でございますけれども、4点挙げさせていただいてるものでございます。
1点目は、先ほど今年度の売り上げのご説明をいたしましたけれども、安定的な売り上げの確保でございます。売り上げ目標は1100億円でございます。今年度1114億円でございますので今年度程度以上には売上を確保したいと考えております。広報等の効果につきましても、新たな広告も打っております。そういうことも加味いたしまして、効果的・効率的な広告宣伝を実施するということでございます。この間、テレビの広告に加えまして、ネットの広告にもかなりの比重を割いております。若い世代を中心にネットで見る。テレビを視聴するよりはネットを見る層も増えておりますので、多少バランスを変えながら、効果的な広告宣伝を実施しているところでございました。これをしっかりと継続していきたいと考えております。3点目につきましては、振興くじの販売を通じた国内リーグの発展を目的とした取り組みを実施することでございます。くじを買うことはエールになるという広告をしているところでございます。くじを買うことによって、スポーツを楽しめることをしっかりと伝えていきたいと考えております。2点目は、地域スポーツ振興のための助成というようなことでございます。こちらにつきましては、様々なニーズをいただいてます。施設関係の芝生などのニーズもいただいております。新たな助成の中では例えば、会場にあります何対何とかと表示されるパネルを新たな助成として始めたいというようなことなので、周りのニーズをしっかりと受けとめながら、効果的な助成を進めていきたいと考えております。3点目につきましては、スポーツ振興助成制度の趣旨の普及でございます。買っていただいて、売り上げが繋がることがスポーツの振興に繋がっているということにつきましては、しっかりと広報を取り組んでいきたいと考えております。くじを売るだけではなくて、スポーツの振興に繋がっている。そういうくじであることをしっかりと広報していきたいと考えております。4点目につきましては、経営面でございますけれども、外部のコンサルタントと共に民間の経営手法を十分に活用していきたいと考えております。くじの販売、払い戻しとなかなか巨大なシステムを運用してるところでございますので、くじを今週買いそこなったということがないように、安定的に運営をして、情報漏えい等にもしっかりと対応していくことを考えております。運営の基本方針といたしましては、以上4点を挙げさせていただいてるところでございます。
2点目は収入支出の予算関係でございます。先ほど申し上げましたように、来年度は1100億円の売り上げを目標としております。時効金の収入等で約5億円ございますので、これを合わせて1105億円を収入予算と考えております。支出につきましては、法令上定められた払戻金売上の50%、法令上定められた運営費の金額としてシステムとか販売の手数料、広告宣伝活動等に使っております運営費287億円、大規模スポーツ施設の整備にかかる財源といたしまして特定業務勘定がございます。これも売り上げの10%なので、110億円。こちらを支出といたしまして、それの残りにつきまして、助成と国庫の振り分け。こういう制度になっておりますので、117億円を助成財源、39億円を国庫納付金と振り分けるものでございます。なお、117億円につきましては、来年度ではなくて、再来年度の助成の財源に当てるものでございます。以上、簡単ではございますけれども、このような形で来年度スポーツ振興投票等業務を進めてまいりたいと考えております。説明は以上です。ありがとうございます。
 
【早川会長】 ありがとうございました。ただいま説明のありました本件につきましてご意見などありましたらお願いしたいと思います。なおスポーツ審議会運営規則第7条利益相反の規定に該当する方につきましては、ご発言および議決への参加は、ご遠慮いただきますようお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。特にご意見ないということでよろしいでしょうか。それでは本件に関する意見聴取は以上とさせていただきます。
続きまして、議題の4つ目「令和3年度補正予算および令和5年度におけるスポーツ団体に対する補助案」について意見聴取を行いたいと思います。まず初めに本日の出席者のうち、スポーツ審議会運営規則第7条の利益相反に関する規定に該当する可能性のある方がいらっしゃいますので、事務局より説明をお願いします。
 
【事務局】 本日利益相反に関する規定に該当する可能性のある方を、五十音順で挙げさせていただきます。赤間高雄委員代理の浅川様、伊藤雅俊委員、石野枝里子委員、大日方邦子委員、河合純一委員、小谷実可子委員、境田正樹委員、友添秀則委員、三屋裕子委員、山下泰裕委員。以上と事務局は確認しております。その他該当する委員の方がいらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。
 
【早川会長】 よろしいでしょうか。特にいらっしゃらない。本議案につきましても事務局からの説明聴取を行った後に、委員の皆様から意見聴取を行いたいと思います。事務局より資料の説明をお願いいたします。
 
【八木参事官】 スポーツ庁の国際担当の参事官をしております八木と申します。よろしくお願いします。私からは資料4-1に基づきまして、令和3年度第1次補正における「全国規模のスポーツイベント等の開催支援事業(大規模国際スポーツ大会開催準備事業)」に対する補助についてご説明させていただきます。まず1の目的をご覧ください。コロナウイルスの影響によって、多数ある国際競技大会が延期されました。その中で、延期されたことによって生ずる追加経費のうち大会の開催にあたって必要な経費の一部を国が補助し大会の円滑な運営に資することを目的とするものでございます。交付の対象でございますが、世界水泳選手権2 0 2 3福岡大会組織委員会でございます。内容といたしましては、世界水泳福岡大会および、世界マスターズ水泳選手権九州大会につきましては、元々2021年を予定していたところでございましたが、東京オリパラ大会が1年延期になったことを踏まえまして、2022年の5月~6月と変更になりました。さらにコロナウイルスの感染拡大が止まらないことから再延期となりまして、2022年の5月~6月を本年の7月~8月と二度の延期となったわけでございます。本事案おきましては、これらの2回の延期に伴う、やむを得ず、追加的に発生した経費。具体的には、大型の仮設スタンドがございますがこれに関する資材の保管であったり、再輸送であったり。そうしたものがほとんどを占めておりますが、そうしたものに対する経費を補助するものでございます。金額としましては、5億2000万円でございます。私の方から以上でございます。
 
【大西政策課長】 資料の4-2をご覧ください。令和5年度の予算におけるスポーツ団体に対する補助について、令和5年度は6つのスポーツ団体に対して総額約17億2000万円の補助を予定しております。
1つ目が公益財団法人日本スポーツ協会に対しまして、約5億2000万円の補助を予定しております。これはスポーツの普及振興目的として行われる指導者の養成、市民レベルによるスポーツを通じた国際交流等についての補助、さらに地域スポーツの推進に関する事業に対する補助でございます。
2つ目が、公益財団法人日本オリンピック委員会に対しまして約4億6000万円を予定しております。こちらは国際総合競技大会への日本代表選手団の派遣や国際審判員の養成等について補助するものでございます。
3つ目でございます。公益財団法人日本武道館に対する補助でございまして、約6000万円を予定しています。これは武道の普及振興を目的として行われる武道錬成大会の開催、武道指導者の養成、武道を通じた国際交流の促進、古武道の普及について補助するものでございます。
4つ目は、公益財団法人日本パラスポーツ協会に対する補助で金額は約5億9000万円を予定しています。これは障害者スポーツの普及啓発や指導者の養成活用、国際総合競技大会への日本代表選手団の派遣や国際競技力向上に資する情報収集提供等についての補助でございます。
5つ目が、一般社団法人大学スポーツ協会に対する補助で金額は約6000万円を予定しています。これは安全安心な大学スポーツ活動の実施と、大学スポーツ振興のための普及啓発の活動についての補助でございます。
最後に6つ目は、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構に対する補助で、金額は約5000万円を予定しております。これは国内のドーピング検査における新型コロナウイルス感染症対策事業について補助するものでございます。説明は以上でございます。
 
【早川会長】ありがとうございました。それではただいまの説明につきましてご意見等ございますか。特にご意見はないということでよろしいでしょうか。それではスポーツ庁におきましては、適切な補助金執行を行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、議題の5つ目「第3期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価」に入りたいと思います。第3期計画では取組・施策の実効性を高めるためのEBPMの推進が掲げられており、ロジックモデルに基づき第3期計画の取組状況の進捗を毎年定期的にフォローアップすることとされております。今後の当審議会における検討につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
【大西政策課長】 それでは資料5-1と5-2に基づきまして、若干長くなりますけれどもご説明をさせていただきます。まず資料5-1をご覧ください。1ページ目は、フォローアップについてどのようなサイクルで行うかのスケジュールでございます。第3期計画期間中の毎年の検証・評価として、概ね年に2回程度本総会においてご審議をいただくことを考えています。まず3月に検証評価の概要として、ロジックモデルの確認、見直し、計画の実施状況の概要について評価ご審議をいただきたいと考えています。その後、4月~5月にかけ、1つには、経済財政諮問会議の下に置かれているEBPMアドバイザリーボードがありまして、そこでエビデンス整備プランを作っています。その改定の作業がございます。また、文部科学省の政策評価に関する有識者会議におきましても助言をいただく予定になっております。それらのプロセスを経て6月~7月にかけ、ブラッシュアップしたロジックモデルに基づき、前年度1年間の事業の成果や調査結果の数値等も踏まえて、計画の詳細を検証・評価していただきまして、今後の取り組みや事業の方向性を確認いただきたいと考えております。また次の3月の総会で当該年度の実施状況を確認していただく、こういった年間サイクルを考えているところでございます。
2ページをご覧ください。先ほど少し触れました、経済財政諮問会議の下に置かれているEBPMアドバイザリーボードでのエビデンス整備プランでございます。こちらは民間資金等の一層の活用によるスポーツの普及・発展という視点で、政策目標に達成するためのKPIを階層分けて設定しております。それぞれのロジックの検証と必要なエビデンス構築のための取り組みを行っております。
3ページをご覧ください。こちらは、昨年の総会でお示しいたしましたロジックモデルのイメージでございます。今回のロジックモデルは、こちらを基にして再構築しております。4ページをご覧いただきますと、文部科学省における政策評価の体系と第3期基本計画との結びつきを示しております。新しい体系ですと、真ん中に「政策目標11 スポーツの振興」ということで、施策目標を11-1から4まで4つ掲げております。これに対して第3期計画の12の項目がどう対応しているかをお示ししております。今年度からの政策評価は、昨年のロジックモデルをインプットで示した4つの柱に基づきまして、真ん中の新しい体系にある通り、4つの施策目標ごとに政策評価を行うこととしております。
続きまして資料の5-2をご覧ください。今回は、この4つの施策目標ごとにロジックモデルを作成いたしました。上段の部分には現状・課題・目的ということで、この施策分野としての現状・課題・目的を掲げております。中段にロジックモデルを構築しておりまして、それぞれのフェーズにおいてどのようなKPIがあるかを設定しております。一番左のインプットの部分に第3期基本計画の12の具体的施策で対応するものを位置づけております。本日は概略についてごく簡単にご説明いたします。
まず、1つ目の施策目標「東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の実現」ですが、アクティビティとしては子供・若者のスポーツ機会の充実、国民のスポーツ機会の創出、スポーツによる健康増進、障害者スポーツの推進、身近なスポーツ実施環境の整備等を掲げております。主な施策をそちらに記載しています。上段にあります通り、東京大会を契機としてスポーツへの関心や共生社会への機運が高まっている。一方で、子供の運動習慣や体力の低下傾向が続いている。それから、働く世代や子育て世代のスポーツ実施率が低くなっていることなどが課題であり、これに対応した施策を実施していきたいと考えております。
2つ目の施策目標でございますが、4ページをご覧ください。2つ目は、「東京大会のレガシーを継承した持続可能な競技力向上体制の構築」でございます。こちらのアクティビティとしては、国際競技力向上のための支援、国際交流・協力のための基盤作り、ドーピングの防止を掲げて主な施策を記載しています。これも上段にあります通り、東京大会において日本代表選手が最高水準に迫る優秀な成績を収めましたので、これを一過性のものとせず、パリ大会等に向けて持続的に維持向上を図るとともに、スポーツ界における我が国の国際的な位置づけを高め、ドーピング防止活動により、スポーツの公平性公正性の確保に努めていきたいと考えております。
続きまして3つ目ですけれども、7ページをご覧ください。3つ目は「スポーツDXの推進、スポーツ団体の組織基盤の強化」でございます。アクティビティとして、スポーツの場における先進デジタル技術やデータ活用の促進、ガバナンス改革・経営力の強化、安全・安心なスポーツ環境の創出を掲げ主な政策を記載しております。スポーツDXにつきましては、民間事業者等と連携しながら進めておりますけれども、第3期から新たに追加された施策でありますのでエビデンスの蓄積が不十分であること、データの利活用に当たっての環境整備などが課題となっております。また、スポーツ団体のガバナンスについては、先ほどの諮問にもございましたように、ガバナンスコードに基づく適合性審査に取り組んでおりますけれども、問題となる事案が引き続き生じており、更なる強化が課題となっております。
4つ目でございますけども、9ページをご覧ください。4つ目の施策目標「スポーツを通じた地方創生・日本経済の活性化」でございます。アクティビティとしてスポーツビジネスの活性化支援、地方創生・まちづくりへの支援を掲げて、主な施策を記載してございます。スポーツ市場規模の拡大は進捗が図られてきましたけれども、感染症の影響等を受けております。さらに、スポーツオープンイノベーションの実現や、スポーツ界への投資の増加を目指すとともに、スポーツ健康まちづくりの全国での加速などに取り組む必要があると考えているところでございます。
本日は委員の皆様におかれましては、主にこのロジックモデルにつきまして記載している要素が適切かどうか、不足をしているものはないか、ロジックの繋がりが適切かどうか、KPIの進捗状況はどうなっているかという観点について、ご審議をいただければ幸いでございます。また、詳細な説明を省かせていただきますが、各施策の次のページに令和4年度の1年間の進捗と課題、令和5年度以降の取り組みについて、現状我々がやっておりますことを暫定として記載しています。こちらにおきましても、ご意見があれば頂戴したいと思いますけれども、次回に詳細をお示しして確認いただくことを予定しています。EBPMの推進は今年度から取り組んでおりますが、発展途上の段階となっておりますことは大変恐縮でございますけれども委員の皆様からのご指摘をいただきながら質を高めていきたいと考えているところでございます。以上よろしくお願いいたします。
 
【早川会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして皆様からご質問、ご意見等をいただきたいと思います。少し時間をとって、できるだけ多くの委員の皆様からご発言をいただきたいと思いますが、予定の時間が来ましたらそこで次の議題に移りたいと思います。それではどなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。オンラインでご参加いただいて早めに退出されると伺っています小谷委員、何かご発言ございますか。
 
【小谷委員】 こんにちは。ありがとうございます。小谷実可子です。音声大丈夫でしょうか。
 
【大西政策課長】 大丈夫です。
 
【小谷委員】 最初に発言させていただき恐縮です。今後の計画について詳細に様々な角度から様々な観点を持って非常に素晴らしい計画が組まれていると思いますが、私の立場から気づくところをいくつか挙げさせていただきたいと思います。まず、東京2020大会のレガシーという意味では、先日、東京辰巳国際水泳場で泳いでおりましたら同じコースに障害者の方が泳いでいらして、共に一つのレーンを泳いで体を鍛える状況になりました。これは以前では考えられなかったことです。普通に「お疲れ様です」と声を掛け合い、その方も公共のプールに義足を持って泳ぎに来て、一般の方と一緒に泳いでいる姿に非常に感銘を受けました。多様性の観点で東京2020オリンピック・パラリンピックがもたらした非常に大きな効果であったと思ったので、シェアさせていただきます。
また、スポーツ・インテグリティに関し、先日のOCAアスリートフォーラムなど世界の中では八百長の防止が大きなテーマとなっており、特にアジアでは、八百長に関する選手への教育を非常に強化しています。アジア含め国際スポーツ界で今危惧されているのは、選手本人が知らないところでなんとなくズルズルと小さなところから八百長の深みにはまっていくといったことです。スポーツ・インテグリティを守るために、スポーツに関わる人はアンチ・ドーピングだけではなく、八百長を裏でしようとしている人たちからの断絶についても知っておく必要があるのではないかと思い、これを加えていただけたらと思いました。
また、アスリートの競技面の支援という意味では、若手から育成しトップアスリートへという事が描かれているかと思いますが、競技面だけではなくアスリートやスポーツの力を使った社会課題の解決、あるいはSDGs活動などをするための支援という観点も盛り込んでいただければよりよいかと思います。
また、私事で恐縮ですが、今年の世界マスターズ水泳選手権に向けて競技復帰し、今必死にトレーニングしている最中なのですが、その動きを始めた途端に周りの人が沸き、自分もトレーニングを始めた、運動を始めたという人が音を立てて増えました。僭越ながらトップアスリートであった私自身が仕事以外にもう一度スポーツを頑張ってみようという姿に刺激を受けたと言っていただいております。元アスリートたちが積極的にスポーツをすることを支援いただくことも持続可能なスポーツ振興に繋がると思われ、また大人や女性含めた一般の方々の健康増進のためのスポーツ実施への一つのきっかけになるのではないかと思います。
また、IFなど国際舞台での活躍を後押しする支援に対しても本当にありがたく思っております。一方、ガバナンスコードに関連し、任期の制限が出てきたことで、国際舞台で人脈を築き、経験を積んだ人たちが、「さあ、これからそれを活かして、ことを起こしていこう」という時に任期の期限が来てしまうことを非常に危惧しております。私自身、かつてOCAで10年活動し一度離れ、改めて現在、OCAのアスリート委員長と理事を続けさせていただいておりますが、かつての人脈や経験が非常に活き、それを今活用できていることを考えると、IF含め国際的な舞台で活躍するには、役員任期の制限には柔軟性があった方がよいのではないかと思う点があります。
また、前回も申し上げましたが、競技役員が育たないと競技ができません。アーティスティックスイミング界では新ルールを学ぶために平日仕事をしている人が夜遅く新ルールの勉強のために何時間も時間を割き、また、赤ちゃんに授乳しながら研修のレクチャーをする様な状態が続いているのです。競技役員の方々への育成や支援もぜひ今後視野に入れていただけたらと思います。以上です。ありがとうございました。
 
【早川会長】 ありがとうございました。それでは他にいかがでしょうか。どうぞ。
 
【久野委員】 筑波大の久野でございます。よろしくお願いします。今のご説明、第3期の実証検証評価スケジュールを改めて見て、これをしっかりと回すことが大事だなあと思いながらお聞きしていました。我々が見ていく視点として、スポーツ界が発展していくという視点と、スポーツが社会課題を解決するというその両面での評価っていう観点があります。社会の動きがスピードアップしていて、例えば政府全体で異次元の少子化というテーマがありますが、計画の中にはスポーツと妊産婦のスポーツへの支援は入ってるんですけど、例えばそういうものが社会全体の中でより加速させることによってスポーツへの価値が高まっていくという視点も大事じゃないかと思いながらお聞きしていました。個人的に取り組んでることもあって少しだけ申し上げると、例えばお母さんたち、あるいは妊産婦への価値という意味で日本の若い女性の痩せている割合が先進国でダントツ1位という実態があります。2位が韓国で2倍以上です。欧米にも痩せてるモデルがいると思いますが、その欧米と比べて3倍以上ぐらいです。その結果、非常に痩せているお母さんから低体重の子供が生まれる率が非常に増えてきて、医学的には低体重の子供のリスクが高い、つまり病気やDNAの変遷とかを起こしやすい。発達障害を起こすといったこともかなり見えてきています。ちょうどスポーツ実施率が先週ぐらいに発表されたばかりだと思うんですが、相変わらず20代30代の女性のスポーツ点数が低い。痩身ってことは筋肉もないわけで、そうした状況を変えていくことが少子化のいろんな問題を解決していく。特にお母さんたちを調べていますと、体力がないことによって妊娠中の不定愁訴が高まりますし、子育てのときも体力がないので、より疲れやすい。その結果、精神的なバランスを壊して、時にはそれが虐待にも働く。そういう悪循環がある中で、スポーツの価値を普及することによって、社会全体に求められる政府全体のテーマと合わせてそこに力を入れるような機動性をどう持っていくのかという視点が、重要じゃないかと感じました。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。他の委員の方、先生方いらっしゃいますでしょうか。
 
【友添委員】 ありがとうございます。友添でございます。基本的なところを少し確認させてください。一番最初なのですが、資料に書いてある政策目標11が、4ページ目に書かれていますが、エビデンス整備プラン2020のところでしょうか。つまり、政策目標の11は、文部科学省の使命と政策目標に書かれた中での11番という理解でよろしいでしょうか。
 
【大西政策課長】 そうです。
 
【友添委員】 文科省の中で政策目標を全てのところで整合していったときに、スポーツ関係は11番目に位置づくという理解でよろしいですか。はい、ありがとうございます。2点目ですが、私の理解が間違っているかもわかりませんが、スポーツ基本計画で12の施策目標を示した。そして、これが目標として設定されていて、12の施策目標に対してスポーツ基本計画ではそれぞれの内容を記したということ。つまり、施策内容も示したということ。それについて今回、1年間の施策評価を一応やってみた。そのときの政策評価の観点は何かを少しお尋ねできたらと思うのですが。そして施策評価を行ってみた結果、令和4年の1年経った段階で諸課題が生まれてきた。その諸課題が令和4年の課題のところに書いてあるということ。それについて今度令和5年以降は施策内容の補正もしくは補強を行う。その補正補強のプランが課題に対する対応ということで令和5年度以降の取り組みという理解でよろしいでしょうか。まず、建て付けの問題が少し、私自身よく理解できませんでしたのでお尋ねしたことと、令和4年の課題を抽出するための評価観点みたいなものがありましたらお話いただければと思います。以上です。
 
【大西政策課長】 ありがとうございます。例えば資料2ページと3ページに1つ目の施策について令和4年度の進捗、令和4年度の課題、課題に対する対応、令和5年度以降の取り組みをまとめております。それぞれの施策について取り組むべきことがいろいろ多岐にわたっておりますので、4年度の課題をどのように認識しているのかという観点につきましては、あくまでそれぞれの施策ベースで各担当の方では考えている状況でございます。その際には概念にありますようなKPIに照らして進捗しているかどうかもそれぞれのところでは勘案しながら定義されてるものと思っております。お答えになってないかもしれませんが。
 
【友添委員】 了解です。よくわかりました。ありがとうございました。
 
【早川会長】 ありがとうございました。それではオンラインでご参加いただいてます長島委員からご発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【長島委員】 ありがとうございます。日本医師会常任理事の長島でございます。健康スポーツ医学を担当しておりますので、その観点から意見を申し上げます。スポーツ運動の大きな目的は、健康増進と健康寿命延伸にあると考えています。その意味では、健康な方だけではなくて、病気と共に生きている方、高齢の方にも安心安全にぜひスポーツを行っていただきたいと思います。また、競技スポーツを行う方でも当然健康を損なうことはあってはなりません。従いまして、健康スポーツ医学の観点から安全性と有効性をしっかりと担保することは、全ての事業において重要なことかと思いますので、ここの重要性をぜひ追加していただければと思います。私からは以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。お願いいたします。
 
【浅川伸氏(日本アンチ・ドーピング機構専務理事)】 ありがとうございます。日本アンチ・ドーピング機構の浅川でございます。会長の赤間に代わりまして本日代理で出席させていただいております。先ほどご紹介いただきました資料4ページの東京大会のレガシーを継承した持続可能な競技力向上体制の構築の目的の項目において、国際的なドーピング防止活動の不断の改善のための議論への参加等を設定いただいてるところでございます。昨今、ワールドベースボールクラシックの優勝等で日本の競技成績はもとより、素晴らしい日本の文化性なども国際的に大きく語られていたり、経済的な効果などにも話題が及んだことに皆さんも触れてらっしゃるかと思います。もとよりスポーツの魅力・価値については根源にあるスポーツのフェアネスが守られていないと、こういった魅力・価値は、適正に発信されないでしょうし、評価もされないということは、改めてこの場で論じる必要もないところかと思います。一方で、北京大会の場合、ワリエワ選手のドーピング問題につきましては、不透明な手続きとか、その結果について問題があるということで、世界アンチ・ドーピング機構および国際スケート連盟が国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服の申し立てを行っていることは最近報道されているところでございます。この事案においては皆様ご記憶の通り、日本のフィギュアスケートの団体のメダルの授与が未だに保留になっているというアスリートの視点で考えたときに、アスリートの権利が著しく侵害をされて、未だに解決を見ていないという側面も併せて持っているところでございます。こういう観点からしますと、アスリート、またはそれを指導される方々も含めてだと思いますけれども、今こそアンチ・ドーピング体制がきちんと機能していることを、アスリートは強く期待する状況に益々なるものと思いますし、そのような体制の強化が求められていることをしっかりとスポーツの側からも発信をしていくことが求められていると思います。私がここで申し上げるのも釈迦に説法ですけれども、我が国は、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の設立以来、国際的なアンチ・ドーピング活動をリードしてきている実績がございます。また、WADAの体制強化のために数年かけて議論されてきたガバナンス改革の後の体制においても、引き続き日本の政府の方々が重要なポストについていらっしゃるところでございます。また、第3期スポーツ基本計画でもWADAへの参画などによって国際的な貢献を継続していくことを政策課題に挙げていただいているところでございます。今こそ我が国が誇るクリーンなスポーツ、クリーンなメッセージを強く発信をしていただくことが重要であり、世界のスポーツ界からも求められてることではないかと考えているところでございます。ぜひとも今後も日本、アジア、世界に対して、アンチ・ドーピング活動をリードすべく、積極的な活動をぜひ日本全体、トータルJAPANとして推進をしていただきたいと考えております。国内的には2023年度は教育体制の強化ということでエデュケーター制度の立ち上げをおこなうことになってまいります。これにつきましてはスポーツ庁の皆様にも御指導いただいているところでございますので、継続しての連携をお願いしたいと考えております。最後に、先ほど小谷委員もまさにご指摘をされたところでございますが、私どもJADAとしましても、過去に国際的な活動を継続してきている中では、組織はもとより人的なネットワークが非常に重要だと感じているところでございます。そんな中で、ガバナンスコードのあり方の議論が議題の1に挙げられましたけれども、ぜひ組織と人材の継続を重要視していただくような議論を積極的に盛り込んでいただければと考えているところでございます。ありがとうございます。
 
【早川会長】 ありがとうございました。
 
【諸橋委員】 いいですか。諸橋でございます。先ほど友添委員もお話あったんですけれども、KPIの部分です。例えばKPIが設定されないものとかも一部見られていて、障害者スポーツを体験したことがある者の割合が、現状5.9から何%になったらいいのかとか、所々記載されてない箇所がございます。そういった部分に関して結果、こちらの部分を評価するにあたって、事前に明確にしていただきたい部分が気になっていました。スポーツツーリズムに関しても同じように、1574億円からいくらになったら成功とするのか、評価するのかという部分に関しては今の時点でより明確にしていただければと思います。もう1点です。私、学校部活動の地域連携・地域移行については様々なところで討議会の委員をしておりますけれども、急ピッチに進めていく案件として、関係各所の要請というふうに、こちらの方には書いておりますが、より具体的な取り組みを記載しないと、実際現場が動けないことがあります。要請、「お願いします」っていう段階では、何をどう動いたらいいかわからないのが現場の現状です。ですので、そちらの部分に関しても、ぜひより深く入り込んで進めていかないと現実として第3期が終わった段階では現実のものにならないと考えております。最後に、これは小谷委員がおっしゃられて、私がスポーツエコシステム推進委員会とか、スポーツ未来開拓会議の方の委員をしている関係で、インテグリティにぜひ追加していただきたい、海外に既に起こってるスポーツベッティングによる日本人アスリートの安全の確保です。これももう待ったなしです。既にもう巻き込まれている現状がある中で、こちらの部分に関しても今後というよりは今起こってることに対して安全性を確保することをスポーツ庁として、ぜひ進めていただければと思っております。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございます。次に、オンラインでご参加いただきます河合委員の方からご発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【河合委員】ありがとうございます。ご説明いただいた案件についていろいろとあって全部網羅できるわけではないんですけれども、私から改めてスポーツを通じたインクルージョンの実現、まさに共生社会を作っていくために、スポーツ界が率先してインクルーシブな環境をどう整えるのかをしっかりと考えてほしいと思っています。小谷委員からもありましたように、現場レベルで環境面とか場所で多少インクルーシブな環境ができつつも、実はまだまだ大会を一緒にやっていくであるとか、組織をインクルージョンに導いていく。実はガバナンスコードの話も先ほどありましたが、ガバナンスコードを作る際にも前回意見をしたんですが、女性の理事の割合を4割あるいは外部有識者の割合に引っ張られて、実はインクルージョンを進めるために、国連等の様々な委員会で障害のある当事者を1割程度入れていきながら一緒に議論を進めていく。それがインクルージョンを作っていくためにとても重要なんだというような動きの話をする中で、そういった声も入れさせてほしいということを申し上げましたが、これらそのままになって現在に至っていると思っています。オリパラを行ったわが国だからこそ、さらに一歩進めるようなガバナンスコードも含めて進めていただきたいと思いますし、スポーツ界のインクルージョンですね。障害のある方々が一般の大会に出場する際に、障害を理由に失格を取られてしまう。そういうことがあってはスポーツを楽しめる人たちは増えていきません。そして、この後の議題になると思うんですが、学校での部活動とかスポーツ基本計画に書かれているさまざまな問題をロジックモデルの中で、アウトプットで様々「障害のある方々の」を入れていただいているわけですが、しっかりと横串を刺しながらスポーツ庁として、国として、障害のある方々も含めてスポーツを通じたインクルーシブな社会の実現に向かっていく施策をしっかりと体系付けて取り組んでいく時期ではないかなと改めて思っておりますので、そのことをご意見させていただきたいと思っております。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。それでは細田委員お願いします。
 
【細田委員】 さいたま市の教育長の細田眞由美でございます。基礎自治体の教育長としてスポーツ DXの推進に大変期待を持っているお話をさせていただきたいと思います。私どもさいたま市教育委員会では令和元年度よりスポーツを科学する生徒の育成という施策を展開しております。ここではDXツール(アプリ)を使いまして部活動を中心としたスポーツを科学して、デジタルを活用した中で、効果的で、そして短時間で運動の質を高めていく取り組みをして参りました。コロナ禍となり令和2年度から学校が閉じまして、3ヶ月後に学校が始まっても部活動がいつもの通りにできない中で、デジタルを使った部活動がその時期に多くの学校で実施することができました。例えば、かつてコロナ前に行った練習試合とか、トレーニングの仕方とかのプラットフォームを立ち上げて、そこでオープンシェアして、それぞれが自分の自宅からそのときの自分のパフォーマンスについて意見を述べ合う使い方をしたり、各自でトレーニングをしたりしました。学校がもう一度再開されて徐々にこのコロナウイルスの正体がわかってきて、「どうやったら活動ができるか」「スポーツができるか」がわかり始めた時も部活動単位でプラットフォームを立ち上げて、そこに様々なパフォーマンスをアップロードしてオープンシェアして、皆で意見交換することが特に高校生が中心だったのですけれども、中学生も参加しながら展開することができました。デジタルネイティブである彼らにとりまして、SNSなどを活用しながら技術を高めていったり、意見交換をすることが、日常的に行われている現状を見まして、7ページにあるのですが、スポーツ界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進に非常に期待をしております。デジタルネイティブである若者たちが、DXを非常に効果的に使ったスポーツを展開していくのではないかと期待を大きく持っております。
 
【早川会長】 ありがとうございました。
 
【三屋委員】 日本バスケットボール協会三屋でございます。よろしくお願いします。とてもよくできてるなって思って、ありがとうございます。一点だけ、これ誰が担い手になってるのかが上手く示されていないのかなと。特にアウトプットした人は誰なのかがこれだと地域格差が出てくるなっていう気がしております。つまり今、さいたま市さんのように、どんどん進めていこうっていう市町村レベルの取り組みが強化されているところはいいのですけど、持ち回りみたいになっちゃっているところは、誰もやらないで野ざらしになっているところもあれば。その担当者の窓口がどこで、その方の熱意によって、こういうもののアウトプットだとかの実現に全国的にばらつきが出てくるんだとしたら、一つお願いがあります。これは地域総合型クラブのときの課題の1個であったんですけど、クラブマネージャーを養成できない問題があって、非常にそこのボトルネックになった記憶が私あるんですけれども。ぜひスポーツのコーディネーターです。例えばそれが、私一競技団体ですけれども、例えば、日本バスケットボール協会から施策を落とします。都道府県によってものすごくばらつきが出るんです。ちゃんと取り組んでるところから「そんなもんは人がいないからもう無理です」って言ってバンザイしちゃうところ。何が起こるかっていうとその下にいるプレーヤーへの情報のばらつきがものすごく出てくるところが、一競技団体でもございます。都道府県レベルでも、市町村レベルでも圧倒的に人材が作れてないという。指導者を作るとか、選手を育成するのももちろんすごく重要なんですけど、もう一つはスポーツをコーディネートしてくださる方の存在が今まだ日本の中に少ないなっていう気はしております。それは教育委員会レベルにお願いしてるのか、スポーツ団体レベルにお願いしてるのかなんかわからないですけれども、そこが県によってばらつきあるんだとしたら、施策の達成度もばらつき出てくるはずですので、ぜひスポーツコーディネーターみたいなものの養成をしていただくのか、明確に担い手は「ここでお願いします」という指示をしていただくのか。基盤強化のところが、非常にスポーツ団体の組織基盤の強化が出ていてありがたいと思ってたんですけど、もう少し具体的に踏み込んでいただけるとありがたかったなというのがございます。ぜひご検討よろしくお願いします。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。
 
【山口委員】私、笠間市長でございます。スポーツによるまちづくり地方創生に関心を持っていまして、東京オリパラ以来、ホストタウンの関係もありまして、全国の自治体がかなりスポーツに関心を持ったり、スポーツを通じたまちづくりの取り組みをスタートしている自治体が多いと思います。我々の自治体もスポーツを通じたまちづくりをしようということで、スタートする時点で「ここが中心になってやるのだ」、行政がやるのか、スポーツ協会がやるのか。スポーツ協会はそういう意味では「機能的に無理だ」っていうことで、スポーツコミッションを立ち上げました。スポーツコミッションを立ち上げるときの課題は、組織をどうするのか。結果的には一般財団法人しました。あとは人材。人材がいませんので、今4名体制のうち3名が自治体からの派遣職員です。1人が企業から派遣していただいているのでありまして、その次に財源をどうするのだと。結果的に今は全て市が出して運営をやっています。このままではスポーツコミッション立ち上げた意味はない。自主独立という目標で立ち上げたので、5年間ぐらいを目標に独立できないかということで今人材の確保と、一つ大きな課題になったのが財源です。財源をどう確保していくのかは、我々のような小さな地方自治体にとっては極めて難しい問題でありまして、結果的に補助金とかに当初は頼らざるを得ないと思うんのですが、今頭の中で考えているのは、寄付です。スポーツコミッションに対する寄付を、税制上優遇措置を得られるような仕組みができないかということがあれば、スポーツコミッションの財源の確保は、かなり改善されるのではないかなと思います。例えばふるさと納税の企業版です。ふるさと納税があって、笠間市に寄付していただいて、それをスポーツコミッションに回すっていうことも可能なのですが、スポーツコミッションそのものの活動に理解を示して寄付してくださる方は結構いそうな感じがするのです。一度、2万円会議でパーティーをやったら結構集まったのです。そういうことを考えると、そういう税源、税制の優遇措置をスポーツコミッションに対して措置をしていただけると一番重要な財源ができるのではないかなと思っています。もちろん、独自に今年度はスポーツツーリズムをやってみたり、有料の運動教室を開いてみたりしているのですが、それは少ない金額であって、しっかりした財源確保が、スポーツによる地方創生まちづくりの上で、今後多分スポーツコミッションが全国的に中心になってくると思うのです。そのとき、役所の支援と補助金だけでは限界があると思います。私の今までの感じたところがございます。そう言うことがもしできればと思っておりますので、意見としてよろしくお願いしたいと思います。
 
【早川会長】 お願いいたします。
 
【石野委員】 日本オリンピック委員会の石野です。ご説明ありがとうございました。東京大会のレガシーを継承した持続可能な競技力向上体制の構築の部分で、2点ほど。まず令和4年度の課題と課題に対する対応・令和5年度以降の取組のアンチ・ドーピングの分野の記載についてです。詳細は次回確認するとご説明がありましたが、課題に対する対応等細かい部分を見ますと、大学生アスリートを対象とした新たな教育体制の構築という記載がありますが、最近は低年齢のアスリートも非常に増えておりますので、そういったアスリートに対しての教育もご検討いただきたいと思っています。これはアンチ・ドーピングだけではなくてインテグリティも同様のことを言えると思います。
もう1点はドーピング防止規則違反件数のKPIです。こちらに関して、目標値が毎年3件となっていますが、日本はフェアプレーが非常に賞賛されていますし、フェアプレーを目指すのであれば0件でもいいのかなというのが個人的な意見です。もちろん目標達成が必要ということでこの数値なのかもしれませんが、逆に「3件まではいいですよ」と捉えられそうなので、0件の方がいいのかなという意見です。以上です。
 
【早川会長】 伊藤委員お願いします。
 
【伊藤委員】 ありがとうございます。私は議題5の第3期スポーツ基本計画の実施状況の検証と評価についてお話したいと思います。JSPOでは、3月9日の理事会において2023年度から5年間にわたる中期計画を策定、公表しました。この中期計画では、4つの重点項目として、「1、地域スポーツの最適化」「2、多様性の尊重」「3、スポーツ・インテグリティの強化」「4、次世代に繋ぐ新たな仕組みの実現」を挙げております。これらは第3期スポーツ基本計画で掲げられている目標とも関連を持ったものです。第3期スポーツ基本計画では、JSPOが単独で主語に記載されている項目が2項目、主語に併記されている項目が4項目あります。これらは、JSPOが主体的に取り組むことが期待された内容だと考えます。部活動改革については、議題6で述べます。JSPOが現在取り組んでいる主な3つをご紹介します。1番目は、地域において、住民の姿も気楽に親しめる場づくりの実現において、国体開催地の各競技団体ともに大会を契機とした競技施設の有効活用やまちづくり、地域活性化などの課題解決に努めております。2番目は、スポーツ指導における暴力・虐待等の根絶です。スポーツの価値を脅かすスポーツ指導の撲滅を徹底するため、根絶に向けた教材などの作成に取り組んでおり、暴力根絶宣言から10年が経った今、新たな施策を企画しております。3番目は、スポーツが誰にとっても楽しく、オモシロクなり、幅広い世代でスポーツが身近にある社会を実現することを目指す試みであるJAPAN GAMES に向けた取り組みです。去る3月24日に有明でJAPAN GAMES PRイベントを開催しました。イベントでは、国体開催地の美食を提供するとともに、アーバンスポーツやスポーツに関する職業、バーチャルスポーツなどを体験する機会を設け、JSPOが考える新たな時代のイベントのあり方も示せたと考えています。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。
 
【境田委員】 ありがとうございます。境田でございます。いくつか最近考えていることにつきましてお話させていただきます。まずWINNERに関しましては、バスケットくじの販売をお認めいただき、JSCほか関係者の皆様に感謝しております。2015年にBリーグを作ってから、川淵三郎さんと何度も何度もスポーツ庁やスポーツ議員連盟の議員の方々、スポーツ庁のご担当者の方々にバスケくじの導入をお願いして参りました。去年の10月・11月・1月はあまり売り上げが伸びなかったと聞いております。ただ3月にスポーツ庁さんにご協力いただいて、Bリーグの試合で声出し解禁になってから、Bリーグの試合では最多の観客動員が続いており、くじの売り上げも伸びているのではと期待しております。ただ、あまりバスケファンの間でも、WINNERの周知が行き渡っておりませんので、これから、もう少しうまくプロモーションすれば、もっとWINNERの売り上げが上がるのではないかと期待しております。3日前にも代々木第一体育館でアルバルク東京の試合を見に行きましたが、1万人近い観客が入り、非常に盛り上がっておりました。Bリーグとしても引き続き、集客とWINNERの売り上げ拡大に貢献してまいりたいと思っております。それから今日の議題の最初にガバナンスコードの見直しのお話がございました。4年前、山下会長や友添委員など、ここにおられる多くの委員の方々と一緒に議論をさせていただき、このコードを作りました。当初、民間団体がスポーツ団体(NF)のガバナンスを審査すべきなのか、国(スポーツ庁や独立行政法人日本スポーツ振興センター)が審査すべきなのかについて、かなり白熱した議論がございましたが、結論として、まず民間のスポーツ統括団体のJOC、JSPO、JPCが審査をすることといたしました。他方、スポーツ庁やJSCも参加する円卓会議という組織を作り、スポーツ庁も間接的にその審査に関与するというハイブリッド型システムを構築することになりました。その後3年間、私はスポーツ団体の理事として監査を受ける側になりましたが、ここは非常に統括団体さんもスポーツ庁さんも非常にスポーツ団体の現状を理解し、寄り添った形で、非常に血の通った審査をされてきたかと思っております。ただ、今回3年間を振り返る中で、いくつか見直した方がいいかなとか、もしくは新しく作ったほうがいい条項があるかと思いましたので、今後、新たに作られるインテグリティ部会で、その論点が議論されると思っております。それから、多くのスポーツ団体において、東京オリンピック以降スポンサーからの収入がかなり減っており、厳しい状況にございます。ただし、実は、日本ラグビー協会では、一年前の売上が50~60億円弱だったのに対し、リーグワンを作ったことにより、ラグビー協会とリーグワンとの売上合計が、120億円以上になりました。実は、ラグビー協会とリーグワン、その合弁会社は、いくつかのスポンサー企業等に協力いただき、新しいファンエンゲージメント事業など、様々なイノベーティブな取り組みを行っております。これにより、ラグビー界に様々な有為な人材やハイテク技術が入り、とても良いコラボレーションが起きています。いかに民間企業とスポーツ団体がWINWINのコラボレーションができるかがこれからの課題であると思います。先ほど細田さんがおっしゃった通り、自治体の中にも、企業はスポーツ団体とコラボレーションをしたい自治体もございますので、そこをうまく繋ぐことが必要だろうと思いました。
実は、私は、いま、UNIVASの理事を拝命しておりますが、ANYTEAMというクラウドファンディングのシステムを導入することといたしました。このANYTEAMというシステムは、いろんな大学や中学や高校の部活にスマホで簡単に寄付ができるシステムです。ただし、公立の中学とか高校に寄付をすることは、実は簡単ではございません。なぜなら公立学校なので、寄付の受け入れ先は、公立学校の部活ではなく、自治体への寄付になってしまうからです。つまり、部活に寄付を希望しても、そのお金は自治体に留まってしまい、部活まで届かないのです。これは1600の自治体すべてにおいてそうなのです。ただし、自治体が、今後、外公立学校の部活に、外部からの寄付金を直接届けるための制度を新たに作って頂ければ、この課題は解決できます。いま、その実証実験を、さいたま市と渋谷区が行ってくださっていると伺っています。このような学校の部活に直接寄付ができるクラウドファンディングのシステムが全国の自治体で導入されれば、スポーツ界全体にとっても非常に画期的なことではないかと思います。あと、デジタルのスポーツDXの取り組みに関しましては、J S Cにトップアスリート2000人の20年間のデータが蓄積されていますので、今後、このようなデータを解析、活用することにより、競技力向上とかケガ予防や指導力向上のプログラムを新たに作って頂くことが非常に重要だと思います。前回の会議以降では、世の中では、チャットGPTという技術が大変注目されるようになりました。このチャットGPTという技術を用いて、様々なスポーツ課のイノベーションを起こして頂きたいと思います。これは、マネタイズもできますから、これを競技団体の新たな財源にしていただきたいと思います。以上でございます。
 
【早川会長】 ありがとうございました。
 
【大日方委員】 ありがとうございます。私は全体像を見た上での感想をいくつかの観点から申し上げたいと思います。このロジックモデルが作られ、非常に整理していただいたことで、第3期のスポーツ基本計画で私達がここで作ってきたものが可視化された、「何を目指していくんだろう」がはっきりしてきたと思います。一番右側のこの箱でいうインパクトをしっかりと考えていく必要があるだろうと見て思いました。そういうふうな視点で見ると、私達スポーツ関係者として見ていくものだけにとどまるのではなく、このインパクトの出口はスポーツにあまり関係ないと思われているような人たちとか、あまり関心がないと言われる方々にも「スポーツ、こういう意義があるのね」っていうところは、この右側の一番箱のところでは、しっかりと伝えていくことが必要なんだろうと考えております。そうした中で、例えば4ページにある東京大会のレガシーを継承した競技力向上の構築で、インパクトで出ていくと、最も大切なところは、おそらく箱三つ書いてあるうち、国民のスポーツへの関心の向上、社会の活力創出だと思うのです。そこに競技力向上、選手の活躍も入れているので、若干わかりにくくなってるんだろうなと感じました。また国際的なプレゼンスの向上が大切なことなんですけれども、その先にあることっていうのはもうちょっと一歩考えてみると、世界平和へのスポーツ界からの貢献といったようなこと。そういう公平公正なところもそうかもしれませんけれども、もう少し次の計画になると思うんですけれども、インパクトでこの箱を使っていくと、何が大切なのか見えてくるんじゃないかなと思いまして。こういった視点でもこの検証評価のタイミングでインパクトの部分についての私達の考え方という第4期に向けた準備という意味では議論を進めていけるとより良いかと思いました。これが全体の感想です。
そして、いくつか出ておりましたけれども、これを見ていくと、文化としてのスポーツを醸成させていく、成熟させていく視点が、もう少しあってもいいのかなと思っております。既に皆さんからも出ていますけれども、個人からの寄付や民間企業がスポーツを支えるということ、全てスポーツを「ささえる」という視点になります。そこの視点ところもアウトカムの中で少し入れられると良い要素かと思いました。女性のスポーツ実施率の向上で、最近増えているのが妊娠出産を経験してスポーツを両立していくアスリートたちの挑戦増えてはいるし、既に蓄積も溜まっていると思いますが、それを社会の方に還元していくという点。これがだいぶ必要だろうなというふうに思います。そしてアスリートたちからももっともっと動けるんじゃないか、スポーツをしても大丈夫なんではないのかなというのは割と周りが保守的に守ってしまっているけど、「医学的にはもっといける」なんてことはドクターたちから聞いているなんていう声も上がっていて。もう少しこのあたりの取り組みが一般的になって、より多くの人たちが女性もスポーツを継続することができる環境が増えるんじゃないかと感じました。以上です。
 
【早川会長】 山下委員。
 
【山下委員】 JOCの山下です。3点、お話しさせていただきたい。1点目は、第3期スポーツ計画の実施状況の検証についてです。これは、極めて重要であると思ってます。こういったものは作ってからがスタートだと思ってきました。以前は作って終わりというイメージが強く、残念な思いもありましたが、非常によくなってきたと思います。しっかり検証し、評価して、それを次に生かしていく。ぜひそういったサイクルを回していただきたいと思っています。この点で1点お願いです。この取組みがより良くなっていくために、その検証結果をできるだけスピーディーに関係するスポーツ団体の方に情報共有していただきたい。そして一緒になって取り組んでいく。それが大事だと思っております。現在、JOCでは第1次中期計画(2022年度~2024年度)を運用しており、定期的に検証しています。来年度からは少しずつ第2次中期計画に向けた準備に入っていく状況でございます。JOC中期計画も連動できる所はできるだけ連動していきたい。特に国際競技力の向上に関しては政策目標をふまえ、スポーツ庁と足並みを揃えながらしっかりと取組み、スポーツ界の発展、スポーツの普及振興に貢献していきたいと思います。
2点目は、東京2020大会のレガシーの継承に関してです。スポーツを通じた共生社会の実現や多様性の尊重。これをはじめとするソフトのレガシーの継承は極めて重要であろうと思っており、JOCの責任も重いと考えております。他のスポーツ関係団体と連携をとりながら、しっかりと継承し、10年後、20年後に東京2020大会へのイメージがポジティブなものとなり、それらが残ってることによって、大規模な国際総合競技大会は社会変革、より良い社会の実現に寄与できるのだということを伝えていきたい。時間は掛かりますが、ここからが、大会が終わってからがスタートという気持ちで関係する団体と一緒になって取り組んでいきたいと思っています。
3点目です。スポーツ団体ガバナンスコードについてです。何名かの委員の方からもご発言がありましたが、私はスポーツ団体ガバナンスコードを極めてポジティブに捉えている人間の1人でございます。まだまだ道半ばではありますが、ガバナンス強化やコンプライアンス遵守への取組みのおかげで、各競技団体の意識が確実に変わってきてることは間違いないと思います。一方で本日も様々な委員からご指摘があり、中央競技団体からもかなり意見が出ているのは、役員任期上限についてです。国際的な活動に携わる役員に関しては、これができたことによって活動がしにくくなっている面がある。これに関しては、広く意見を聞いていただき改善すべき点があれば検討いただきたいと思っております。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。
 
【結城委員】 ありがとうございます。結城と申します。私からも山下会長がおっしゃった部分に係ることを主眼としながら、指摘させていただければと思います。ソフトレガシーに関してのKPIであるとか評価であるとかをもう一つ工夫ができないかなと。素晴らしいまとめ方をしていただき感謝いたしますけれども、インプットのところの項目、インパクトの項目は多分に認識の変化であるとか、意識の変化であるとか、スポーツに対する価値観であるとかを含んでおります。これに比べて数値に表しにくいからだとは拝察致しますが、KPIであるとか、中途の部分の評価の中ではそれを実質査定する部分が見えにくいように感じております。64年の東京大会は、ハード・ソフトのレガシーが双方国民の記憶に残り、「世界平和の意味を感じとった」とか「日本人も世界に伍していけるんだ」という自信を持ったとか。ソフトの部分が社会に与えた影響の大きさがレガシーとして認識されてきたと思います。より成熟した社会で開催された2020東京大会を、何年か先に振り返った時、そのレガシーはおそらくソフト面が軸となるのではと考えます。多様性であるとか共生社会といったものに対する認識の変化。スポーツの価値や、スポーツの社会的意義って何だろうっていう考え方の変化。それこそが、おそらく東京 2020大会を開催した意味になっていくのではないのかと。いわゆる無形のレガシーと言われるようなもの、これをもう少し何らかの形で評価できれば、非常に示唆に富むことにもなるのではないかと感じます。関連して、例えばガバナンスにも関わりますけれども、不祥事が起こることで、例えば東京大会などのフィールグッドファクター、みんなで思い返してよかったねと語り合えるような雰囲気に水を大きく差してしまった。ドーピング事件などの不正もそうです。そういったものに対する対策がなぜ必要なのかという理解の醸成にもソフトレガシーの重要性をきちっと把握し、何らかの形に落とし込んで評価をする、課題として取り上げることが大切になるのではないかと感じます。あと最後に付記でございます。過日、世界反ドーピング機関のシンポジウムを聞いておりまして、会長がドーピングは根絶できないと。社会に不祥事とか犯罪がなくならないように、ドーピングも根絶はできない。だけれども「抑止をするんだ」「だからこそ教育をするんだ」というおっしゃり方をしてらっしゃいました。ゼロにするということを目標としますと、それでは表に出さなきゃいいんだということになりかねない。不祥事も、ドーピングも、どうやったら抑止できるのか。もし起こってしまった場合はどうやって透明性を確保し、早急に対応するのかという部分に力を置くという形の評価でよろしいのかと思います。以上です。
 
【渡邉委員】 笹川スポーツ財団の渡邉と申します。まずは今日の検証評価に関して、すごく評価してますし、ありがとうという言葉をささげたいと思います。そもそもEBPMが始まって、ロジックモデルに基づいた検証評価を行い、それをローリングさせてブラッシュアップするのは、第3期基本計画から始まったことだと思います。従って、今回こういった提示があったのは非常に評価に値するんだろうと。評価スケジュールにも書かれてますけども、ロジックモデルは必要に応じて見直しを行っていくことが書かれています。それはこれからの議論の中で、このスケジュールに則って、ぜひ行っていきたいと思うんですが、実は昨日健康スポーツ部会が開かれまして、一人一人のライフパフォーマンスを向上させるためには、目的を持った運動・スポーツを推進する必要があるのではないか、という議論が交わされました。資料5-2の3ページをお開きいただきたいと思うんですが、先ほど皆さんからアクティビティ、アウトプットあるいはアウトカムの話が出てると思います。それに基づいてKPIのお話があろうかと思いますが、ここの3ページの下段に「中長期アウトカム」がありまして、「スポーツ実施率の向上」、括弧書きで「週1回の運動実施率:成人70%障害者40%」といったような数字があります。従来、スポーツ基本計画の評価指標はこういった量的な数値目標が中心でありました。ところが、第3期の基本計画からは質的なものにこだわっていこうといった観点からKPIとして「1日30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上1年以上実施する」といった項目も立てました。そして、本日も資料に添付されておりますが、全国調査としてこの結果が載っています。繰り返しになりますが、健康スポーツ部会では、さらに踏み込んで、先ほど長島委員からお話がありましたが、スポーツが「健康の増進や健康寿命の延伸に繋がる」といった観点からの議論であるとか目標、あるいは政策の展開が必要であるといったことから、長官の肝いりでもあるんですけれども、目的を持った運動スポーツの実施について、いろんな面から検討しています。そして、それを広く周知徹底をして、国民一人一人に実践してもらうための議論を進めています。具体的には、健康の増進とか、健康寿命の延伸に繋がるんですが、1つブレークダウンすると、身体的なウェルビーイング、あるいは精神的なウェルビーイング、社会的なウェルビーイング、そこに繋げるためにはどういった目的を持った運動をすべきなのか。個々人によって健康状態が全く違いますし、目標とするものが違いますので、これを今整理してるところです。それ以外にも健康スポーツ部会としては、国民一人一人にいろんな形のアプローチをして、そこでスポーツ・運動を実施してもらうことも当然必要なんですけども、その人たちが所属する組織、地方公共団体とか、健康保険組合とか、商工会議所とかの様々な好実践事例について、当然良い事例が起こるには過程のプロセスがある。プロセスの中で当然課題が出てくる。課題をどうやってクリアして今に繋がっているか、ガイドブックを使って広く周知徹底をして組織と人にそれぞれにアプローチしながら、これからのスポーツ実施率とか、質的なクオリティの向上に繋げていきたい。そんな議論を健康スポーツ部会でもしております。おそらく次回から次々回ぐらいに具体的な報告ができるかもしれませんので、ぜひそれもお聞きいただいて必要があれば、ロジックモデルの中に踏み込んでいただければいいのではないかと思います。長官、もし後で補足があれば何かしてください。ありがとうございます。
 
【鈴木委員】 学校から代表で来ました鈴木でございます。今の話にもあったように、目的を持った運動スポーツの実施は学校体育でも担うべきものだと考えてます。保健と体育の両方の領域で子供たちは学んでいますので。小学校の頃から両方を学ぶことで国民としてスポーツの価値を健康面でも学んでいく必要があると思います。第3期計画の資料はよくできていると感じています。1点、①の「多様な主体におけるスポーツの機会の創出」のところで、私は今後のスポーツの世界は今の子供が今後は担っていく。子供にとってスポーツは、夢や自分の将来の希望だとかいったものを教えてくれる、良い教材の1つであると思っています。私は小学校の校長ですけれども、中学校に上がるにあたって、子供たちに面接をすると、「中学校で何が楽しみですか」というと、必ず子供は「部活動」と言います。この部活動を期待して中学校に行く子供たちが今後地域移行になるにあたって、第3期計画は、子供に夢と希望を与えられる計画であってほしいと切に願っています。2つ目のポツのところの特に部活動の改革においては、アウトプットのところで道筋が見えて「大丈夫だ、部活動が地域移行になっても、自分の夢は叶えられるんだ」というような、地域移行が実現可能になるような書きぶりになると嬉しいです。一番の課題は多分指導者なのかなと思っています。この指導者について、今後、ここでアウトプットはどのようになっていくかが書かれるとよいと思います。もし、そこに加筆ができるのであれば、もう少し見える化したような計画のアウトプットになるとよいと感じています。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。それでは時間もございますので、議第5については意見聴取をこれで終わらせていただきます。たくさん貴重なご意見ご提案いただきましたので事務局の方で検討いただくことになります。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは続いて、議題の6つ目「運動部活動の地域連携・地域移行と地域スポーツ環境の整備について」に入りたいと思います。本議題につきましては第32回審議会においても皆様からご意見をいただきました。その後、約半年の間の動きについて事務局よりご説明をいただいた後に、皆様からご意見を伺いたいと思います。それではまず、事務局からご説明お願いします。
 
【橋田地域スポーツ課長】地域スポーツ課長でございます。資料6をご覧ください。まず1ページですが、今回の部活動改革の必要性について改めて概要を整理したものでございます。部活動の意義といたしましては、これまで「生徒のスポーツに親しむ機会を確保すること」ですとか、「責任感・連帯感の涵養」等に意味があったわけですけども、課題といたしましては、少子化の進展によりまして従前と同様の学校単位での体制での運営が困難になっていること、また必ずしも専門性・意志に関わらず教師が顧問を務める指導体制の継続、これは働き方改革が進む中で困難になっている状況がございます。そうした中、下の3本柱でございますけれども、一つは少子化が進む中でも生涯にわたって生徒がスポーツに継続して親しむ機会を確保するということ。地域の子供たちを地域で育てる意識のもと多様で豊かな活動を実現していくということ。更に、このことは地域住民にとってもよりよい環境整備に繋がる中でのまちづくりにも繋がるように整理しております。2ページのところでございますけれども、こちらは令和4年度の主な動きを整理させていただいたものでございます。昨年9月の本審議会以降の動きといたしまして大きく3点、事例集、ガイドライン、予算の動きがございますので、主に内容等を中心に説明させていただきます。資料の4ページ目をご覧ください。こちらは令和3年度のスポーツ庁の実践研究事業の成果をまとめた事例集のポイントでございます。その中で下の主な内容のところでは、運営形態の類型のイメージということで、47都道府県12政令指定都市102市区町村の事例の取り組みを大まかに分析いたしまして、大きく市区町村運営型と、地域スポーツ団体等運営型、その他で地域学校協働本部等が運営する形の実施の整理をしております。そして、それに対応する取組を紹介しているところでございます。5ページの主な取組でございますけども、5ページでは、地域移行の例といたしまして、関係者の連携、運営団体の各指導者の確保、地域に住むスポーツ運営に関わる一連の流れを整理したものでございます。全体としてはかなりの別紙になりますけども、自治体向けにもお示ししているところでございます。7ページのところは実際の実践研究で地域クラブ活動に携わっている子供たちの声を聞いてみますと概ね好評な成果を得ているところでございます。8ページでございますけれども、こちらの方は長崎県長与町でございますけども、令和5年4月から町内3つの中学校のクラブ活動全てを地域クラブ活動として実施する事例でございます。10ページのところには概要を書いておりますけれども、上から二つ目のスポーツの種目といたしましては、既存のクラブ活動が学校部活動に対応する活動だけではなくて、例えばエンジョイスポーツあるいは、ユニバーサルスポーツイベントを開催することを考えたりですとか、こちらの方にございますように月会費の徴収する中で、この活動を展開しようとしている事例でございます。資料の14ページからでございますけども、こちらが昨年のスポまち長官表彰の主な事例でございますけれども、まちづくり計画の中で部活動の受け皿の取り組みを進めていこうということで、例えば韮崎市においてはスポーツコミッションを中心に地域でのクラブ活動の統括をしたりですとか、15ページの磐田市でございますけれども地域のプロスポーツチーム・大学等と連携して取組を進めたりということで、16ページから18ページでもうそういった関連例を掲載しております。続いて資料の20ページの方をご覧ください。こちらも昨年12月に策定しました「学校部活動および新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」の内容でございます。元々平成30年に策定しておりました運動部と文化部のガイドラインを統合した上で全面改訂する場合になっております。昨年の検討会提言の内容を踏まえ、さらに広く意見募集を踏まえた上で確定した内容になっております。1つ目の学校活動の部分でございますけども、従来の内容を踏襲するようなかたちでございますけれども、教師の活動への関与について業務改善に留意するところですとか、部活動指導員の確保、1週間に2日以上の休業日の設定等についての内容を盛り込んでおります。2~4が新しい内容でございますけれども、2の新たな地域クラブ活動につきましては地域のスポーツ監督部署、学校の担当部署、関係団体、学校等の関係者を集めた協議会などの体制整備。また、質の高い指導者の確保、都道府県等による人材バンクの整備、競技志向の活動だけでなく複数の種目の生徒の志向に適した競技の確保、休日の活動をする場合でも原則として1日の休養日の設定日等の内容を盛り込んでおります。3のところが部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備ということで、今後の方向性に関わることでございます。まずは休日の環境整備を着実に推進していく。平日の環境整備ができるところから取り組みつつ、休日の進捗状況を検証し、さらなる改革を推進するということで整理をしております。この内容につきましては資料の22ページをご覧いただければと思いますが、今回の改革といたしまして通常の地域クラブ活動は、資料右側にございますように、学校の管理下外の活動になりますけども、子供を対象にする中で学校と連携して行う地域クラブ活動ということで学校と活動方針を情報共有しながら取り組んでいただく。実施主体といたしましては、地方公共団体があるケース、また多様な組織団体があるケースも想定されますけれども、なかなかこの右側の取り組みが難しいところは、この左下の緑のところにございますように、学校部活動の地域連携ということで、合同部活動を導入したり、部活動指導員より指導を行うことで、その機会を確保いただく形で整理しております。資料の21ページに戻っていただきまして、先ほどの3の下から二つ目のポツでございますけれども、令和5年度から7年度までの3年間を改革推進期間といたしまして、地域連携・地域移行に取り組みつつ、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すということで整理をしております。元々の検討会議の提言ですとか、ガイドライン案の時点では3年間の集中期間、また国としては3年間での目標達成という中で、結論としては地域の実情に応じて可能な限りの早期の実現案をお示ししておりましたけども、その後、特に自治体の取り組み・実施状況、地方公共団体から令和5年4月に迫る中でなかなか3年での達成が難しいといったような意見とか、また部活動指導員の確保を含め地域連携を図りたいという意見もございまして、そうした中でこの改革自体は3年間しっかり取り組んでいく中で、地域連携・地域移行について可能な限り早期の実現という形で整理をさせていただいております。その上で、都道府県市区町村においては、推進計画等の策定によりまして、方針・取組内容・スケジュール等を周知いただくという内容となっています。右側の4の大会のあり方の見直しでございますけれども、この点につきましては、令和4年度から大会へのクラブへの参加を承認しておりますので、着実に実施を求めるという内容になっております。資料の29ページでございますけども、こうした取り組みの情報発信ということで、解説動画をメッセージ付きで作成したり、またポータルサイトを作成する中で情報の一元化を図っておりまして、先ほどホームページ公表させていただきましたので、ご参照いただければと思います。資料の31ページをご覧ください。こちらの方は令和4年度第二次補正予算で獲得した事業でございますけども、地域移行の体制構築に関する支援でございますけども、コーディネーターの研修会、都道府県市区町村の協議会、説明会、研修会、人材バンクの設置に関わる経費を計上しております。続いて、32ページでございますけども、こちらでは令和5年度予算、昨日成立いたしましたけれども28億円で、補正と合わせますと47億円という額になりますけども、1ポツで申しますと部活動の地域移行に向けた実証事業ということで、関係者との連絡調整、団体の整備、指導者確保、参加費用負担の支援に関する実証事業を実施いたしまして広く全国的に展開していただいているところでございます。また2ポツの部活動指導員の配置についても拡充しておりまして、こちらは地域連携・地域移行の取り組みを後押ししていただいたところでございます。資料の説明は以上でございます。
 
【早川会長】 ありがとうございました。ただいまのご説明についてご意見・ご質問いただきたいと思いますけども、大変恐縮ですが時間がございますので全員の委員の皆さんにご発言いただくことできないと思いますが、できるだけ多くの方から意見いただきたいと思います。簡潔にご発言をお願いできればと思います。いかがでしょうか。
 
【鈴木委員】 今、働き方改革も同時に行われる中で、教員が地域移行で兼職兼業を行う場合、時間外勤務が月45時間、年間360時間以内という縛りがある中で、兼職兼業を行っている土日の業務もその時間に今の時点では入っていると伺っています。それが外れるように、都道府県に文科省から通達していただいて、誤解がないようにしていただけばと思います。今のままですと、教員が兼職兼業で指導者になることは難しいと思われるので、そこを指示していただけると大変学校としてはありがたいです。以上です。
 
【諸橋委員】 この部活動改革においては、子供たちがスポーツ・文化芸術の活動を継続して親しむ機会ということがキーになっているのですけれども、文化とスポーツのいわゆる地域移行という観点から意見交換とかをしているケースはございますか。例えば私も財団で、地域のフィージビリティスタディでいろいろご協力させていただいているのですが、例えば公共交通機関が少ない、もしくはないところの送迎問題であったり、施設利用の問題であることに関しては、スポーツも文化も同じ状況かと思います。その辺に関してお願いいたします。
 
【橋田地域スポーツ課長】 まず先ほど1点目の鈴木委員のご質問の件に対してですけども、働き方改革に関わりまして兼職兼業の関係や過去の通知も出させていただいておりましたけども、今回改めてガイドラインを踏まえまして、兼職兼業の手引きの方もまとめて、自治体にも周知しておりますのでその点改めて注意喚起したいと思っております。
また、諸橋委員のご指摘のところでございますけども、国レベルで申しますと文化庁・文化省全体として取り組んでいるところでございます。地方の関係でも例えば協議会の開催に当たりましては、スポーツ文化芸術担当部署・学校担当部署と取り組んでいただく中で実際の文化部署を巻き込んで協議会を設置しているところもあります。個別の例で申しますと、富山県朝日町は、国の運動・文化両方取り組んでおりますのでそうした中で、運動部・文化部共通の課題と個別の課題にも対応しながら地域公共交通の関係も含めて取り組んでいる事例もございます。そうした好事例を広めていただくと考えております。
 
【早川会長】 他にいかがでしょうか。
 
【伊藤委員】 議題の6になります。運動部活動の地域連携・地域移行と、地域スポーツ環境の整備について。JSPOでは、スポーツ庁が中心となって進めている運動部活動改革に則り、子供たちが自らやりたいスポーツを目的に応じて楽しむことができる選択肢を提供するという観点から取り組むこととしています。具体的には、先の第3期基本計画に記載された内容や、運動部活動の地域移行に関する提言の内容を踏まえ、JSPOが今まで取り組んできた事業や基盤を有効活用し、優れた指導者の確保、多様な運営団体・実施主体の確保に加盟団体と協働して、3点取り組んでおります。1点目は、昨年7月に室伏長官からJSPOへの要請で示されたスポーツ活動の実施主体、スポーツ指導者の質の保障、量の確保、大会のあり方への対応を示しております。2点目は、昨年11月の理事会において、運動部活動の改革推進期間にあたる令和5年度~7年度の優れた指導者の確保、運営団体、実施主体として、総合型クラブやスポーツ少年団の充実に向けたロードマップを明記しております。3点目は、本年度に加盟団体ミーティングを3回開催し、室伏長官にもご出席をいただき、スポーツ庁からの情報や加盟団体に浸透させる機会を設け、加盟団体の先進事例、学校現場の課題の共有や理解に努めてまいりました。いずれにしましても、JSPOとしましては、引き続き子供のスポーツ環境の整備を中心とした地域スポーツの最適化を進めてまいります。さらに加盟団体と一緒になり、子供のスポーツの多様な選択肢の整備に取り組んでいくよう、協働していくこととします。以上でございます。
 
【早川会長】 ありがとうございました。それではあと2人だけ。オンラインで挙げていただいてますので、ご発言いただきたいと思います。まず小谷委員お願いします。
 
【小谷委員】 資料23ページに市区町村と大学や事業者等との連携がありますが、ぜひ前回もお伝えした日本オリンピアンズ協会の活用も検討いただければと思います。日本オリンピアンズ協会では各都道府県に属しているオリンピアンの情報データ収集を進めておりますので、何らかの形で連携が取れるとよいのではと思っております。
 
【早川会長】 ありがとうございます。河合委員お願いいたします。
 
【河合委員】 ありがとうございます。私も簡潔にお話させていただきます。何度かガイドラインのところとか部活動の地域移行に関するところでも障害のある児童生徒に対する部分をしっかりと検討いただきたいことでありましたけれども、ざっと読ませていただくと指導者の資質とか資格のところで、障害者スポーツ指導員のことを触れている1ヶ所のみということで残念ながら十分とは言えないと感じております。障害のある児童生徒が運動部活動等に参画したいというところから、まずこの受け入れてもらえてない事実・実態を踏まえた中でこれだけでは運営ってそこに入れなければそこの配慮がないことになると思いますので、少なくとも概要のところとかでも、障害者スポーツ指導員の資格を持ってるのが望ましいことを明確に記していくとか、多様性を目指しながら進めていこうというところにおいて、このガイドラインだけでは正直足らないなと感じておりますので、追加的な方策検討も含めてお願いをしたいと思います。以上です。
 
【早川会長】 ありがとうございました。
 
【細田委員】 さいたま市教育長の細田でございます。お時間のないところ失礼いたします。いよいよ令和5年度が改革推進期間のスタートでございますので、各自治体が取り組みの濃淡はあると思うんですけれども、できるだけ全ての自治体がスタートを切ってほしいなと強く思っております。これをなぜ申し上げますかと言いますと、例えば教育長会議で意見交換などをしますと、割と「少し様子見ようかな」とか「さいたま市が先進的に取り組んだらその様子を見ながら考えよう」というようなご意見を持ってらっしゃる教育長もいらっしゃるので、本当に令和5年度大改革推進期間のスタートにほとんどの自治体がスタートすることを願っております。そして、私先ほど申しましたように、基礎自治体の教育長ですので足元の課題ということで何点かを皆様にお知らせしたいと思います。ずっと運動部活動の地域連携については、人材確保と財源確保が動かし難い課題としていつも上がってきております。R 5について、連日協議会で議論をしていたり、ワーキンググループで議論をしているときに、人材確保と財源確保が表裏一体だということが見えてきております。と申しますのは、良い人材を確保したいと思いますと、やはり非常に安い、ほとんど交通費にもなるかならないかというような、そういった謝金ではなかなか良い人材が集まってくることは難しいです。ですから、財源確保ができることと、人材確保ができることは表裏一体で、となりますと財源も受益者負担については先進自治体の長与町も3000円程度ということでありますが、本市もアンケートを保護者の方にとりますと、MAX 3000円というお声が多くございます。そうなりますと、受益者負担3000円で持続可能な取り組みができるかと言いますと、割と厳しいかなとそろばんを弾いております。そこを補完するために、私どもはファンドをうまく軌道に乗せていきたい。ファンドのエコシステムをしっかり仕組み作りをして、やっていきたいと思っているところです。それが1点目です。
2点目につきましては、実は接続について今の段階では難しいことがございます。どういう接続かというと3つの接続がございます。まずは3年間改革推進期間でございますので、そうしますと平日と休日の指導者が複数存在します、ですから、そこの連携。それから改革推進期間も中学校メインでやっておりますので、中学校から高校にどう接続するかで、この二つの接続が課題だと思っております。そして最後の課題は、実はまだ高校入試の内申点で部活動のあり方が整理されていないところがあります。ですので、ここについても、意外に大きな課題だと感じております。基礎自治体として足元の課題についてお話をさせていただきました。以上でございます。
 
【早川会長】 ありがとうございました。申し訳ございません。時間の関係もあって議題6につきましては、意見聴取を終わらしていただきます。いただいたご意見については、事務局で再度検討させていただきますのでよろしくお願いいたします。
それでは最後の議題になります。その他です。内閣府が実施している「令和4年の地方分権改革に関する提案募集」において、今年度スポーツ基本法に基づく地方スポーツ推進計画について提案があり、その対応方針が閣議決定されたということでございますので、こちらについて事務局よりご報告をお願いいたします。
 
【大西政策課長】 では、参考資料の1をご覧ください。手短にご報告いたします。政府が行っている地方分権改革の中で、地方からの提案を毎年受け付けております。スポーツ基本法においては国がスポーツ基本計画を作ることになっていて、それを参考にして都道府県と市町村が地方のスポーツ推進計画を作るよう努めるということで、努力義務になっています。このことにつきまして広島県や全国知事会等から、地方スポーツ推進計画の策定を努力義務にしている規定を廃止すべきであるという提案が出されております。このことにつきましてはあくまで努力義務なのですけれども、平成30年にスポーツ庁が出した通知の中で、作ってない市町村に対しては都道府県が積極的な対応を促すことですとか、他の分野とは一緒にせずに単独の計画を含めて計画検討を行うことと通知をしておりました。それについて、実質的には義務的であるというご主張だったかと思います。その後、内閣府の有識者会議等々でやりとりをさせていただきまして、私どもとしては地方スポーツ推進計画の策定は引き続き重要なものであると思っておりますし、現に資料の1ページの裏にございますように多くの自治体で作っていただいているものではございますので、そこは維持しつつも地方公共団体の負担軽減のために地域の実情に応じてより負担の少ない計画策定が可能であることを既に通知を発出しております。例えば①でございますがスポーツ単独ではなく、総合計画の中で位置づけることも可能ですとか、複数の地方公共団体で策定しても可能であるとか、国のスポーツ基本計画に書いてあること全てを定める必要はないといったことについて通知を出したところでございます。このことにつきましては、今後は地方公共団体における事務の状況等を私どももご相談をさせていただき、把握していきながら、令和8年度の第3期スポーツ基本計画が終わるときまでには結論を得るべしとなりましたので、一つのタイミングとしてそこに向けて私ども地方の実情をよく把握して参りたいと思っているところでございます。ご説明は以上でございます。
 
【早川会長】 ありがとうございました。今ご報告いただきました令和4年の地方からの提案等に関する対応方針について、何かご質問等ございますか。
 
【大日方会長代理】 ありがとうございます。多分地方からの皆さんにとってみると、小さい自治体は、推進計画がなかなか「作ることが難しい」「負担になる」「ノウハウがない」ということもあったと提案を聞いて、我々としてももう少し負荷のないところは考えていく必要があるだろうと思いました。一方で、私達としても思いとしましては「スポーツ庁がなぜ設置されたのか」、スポーツ基本法が設置されて作られていく中でのもので大きな課題は「誰も取り残さないスポーツ」だったと思います。そうした中で、地域それぞれの事情の中で長くスポーツは教育が担当し、障害のある人のスポーツは福祉部局が担当することが長く行われてきていて、小さい自治体ほど、そうしたことが残っているところっていうのがあると課題意識としては感じております。これらを単独の計画でそれぞれやるとなると、例えばですけれども、福祉計画の中に障害者のスポーツが含まれているからそれで良しとするようなことにならないように、私達は見直しをしていく中でしっかりと基本計画、基本法に基づく基本計画の趣旨を自治体として進めていただきたいことについては、お願いをしていく必要があると感じております。以上です。
 
【友添委員】お尋ねとお願いになります。現在、市区町村で実際にスポーツ基本計画を作っているところは何%ぐらいあるのかを、今すぐでなくても結構ですので分かる範囲で教えいただければと思います。もう一点。おそらくスポーツ推進委員がそうであったように、義務規定が努力規定に変わって、その努力規定が今度外れていくと、おそらく計画を作る自治体が減少してくることは予想できるように思うのですけれども。今後、隔年か数年おきにでも、どの程度のものが作られているのか、あるいは作られていないのかということのデータを少し蓄積していただけたらと思います。なぜかというと、細田教育長さんは、よくご存知かと思うのですが、この計画を作るときに初めて教育委員会と首長部局と福祉部局が連携するように思うのですが、おそらくこれがなくなってしまうと単独にバラバラの施策が行われていくのではないかと懸念する部分も生まれてきます。他方で、スポーツ施策自体が市町村のレベルではなくなってしまう可能性があるようにも思えてきて、基礎自治体でのスポーツ施策の具体的な方向性がなくなってしまう可能性があるように思います。今後こういう検討課題も視野に入れていくことも必要ではないかと思っています。以上です。
 
【大西政策課長】 お答えいたします。参考資料1の1ページ目の裏に、一番下に参考ということで現在の策定率を書いております。都道府県は100%、指定都市もスポーツ単独で100%、市区町村は88.6%ですが、スポーツ単独の計画は33%という状況にございます。
 
【友添委員】ありがとうございます。このデータが今後どう変わっていくか少し注視していただければと思います。
 
【大西政策課長】 わかりました。
 
【早川会長】 ありがとうございます。
 
【山口委員】計画策定の負担については、自治体の側からするとですね、努力義務規定が問題となるのは、どのような計画を作るかという計画の中身の問題も関わってくると思うんですね。町村計画の半分ぐらいは、コンサルに提案をもらいその上で、独自の項目を入れ込むというような実態です。うちもそうです。職員が作る形が本来の姿なのかもしれないですけど、そこまで人的にいません。だからコンサルに依頼する。コンサルの提案どおりだと横並びのつまらない計画になってしまうので、そこに自治体独自の案を入れていくやり方が実態です。私はこれだけスポーツが盛り上がっているので、計画作りをすること自体は良いことだと思っていいます。ただ、その中身です。どこまでのものを作るのか。厚いものを作るのか。薄い計画書なのかなど、計画の程度にこだわらなければそんなに負担にはなってないと思います。
 
【早川会長】 ありがとうございました。大変申し訳ございません。時間になりましたので、意見交換はここで終わらせていただきたいと思います。最後に室伏長官からまとめのご発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【室伏長官】ありがとうございます。委員の皆様方におかれましては様々な角度から忌憚のないご意見ありがとうございます。本日の総会では、スポーツ団体のインテグリティに関する諮問や、第3期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価等、様々な議事についてご審議いただきました。第3期スポーツ基本計画発表から一年が経ち、この一年間の検証・評価を念頭に委員の先生方から、多くのご意見いただくことができました。更に今後今日のご意見を踏まえながら、確実に進めていくことが大切だと思います。さきほど渡邉委員からもご発言がありました通り、健康スポーツ部会でもしっかりご指導いただいておりますが、人々がスポーツを通じて健康になることもそうですが、そのさらにその先のライフパフォーマンス向上を念頭に政策を進めてゆく必要があります。ぜひ、その点さらに審議を進めていただければと思います。部活動に関しては、さいたま市の先進的な取り組み事例をご紹介いただきました。私自身も直接現場を訪問させていただく機会をいただいておりますが、部活動の地域移行を着実に実行しているところは、ポジティブな話が多く、子どもたちから聞く感想も大変良いです。生徒数が少なくなってしまって無くなってしまったスポーツが、合同部活動で復活し、新しい友達と一緒にスポーツができるようになったという話もあります。更に中学生だけの問題ではなく、子供から大人まで、一緒に地域でスポーツを実施していく。そのため地域スポーツを充実してゆくことが求められます。あとは行政が地域連携を主導してゆくことが重要だと思われますが、コンソーシアムを立ち上げ、プロ団体や民間企業を含めスポーツ関係の方が連携して、魅力的なコンテンツが創出されてゆくように、コンソーシアムのようなものを作り、みんなが参加し進めていければと思います。指導者の質も重要です。スポーツ協会もぜひ、指導者養成を含め御協力いただきたいと思います。スポーツの上達は、一日中素振りしていれば強くなるというものではないです。多様な刺激を与え,正しく体力や技術を向上させることで、スポーツも上達するかと思います。引き続き委員の皆様方のご指導をいただき、本日審議いただいた事項をさらに磨いていきたいと思います。お願いします。
 
【早川会長】 長官ありがとうございました。次回の対面での総会は7月頃を予定しております。調整の上事務局からご連絡させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

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