資料2-1 スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン

平成30年12月20日
スポーツ庁


スポーツ庁においては、第2期スポーツ基本計画において「クリーンでフェアなスポーツの推進」を大きな柱に位置付け、諸施策を推進してきたところであるが、最近の相次ぐ問題事案を踏まえ、本年6月に長官メッセージ「我が国のスポーツ・インテグリティの確保のために」を発し、さらに、9月6日に「スポーツ・インテグリティの確保に関するスポーツ庁プロジェクトチーム」を設置した。
同プロジェクトチームは、計6回の会議を開催し、この間に受領した「スポーツ議員連盟スポーツ・インテグリティの体制整備の在り方に関するプロジェクトチーム」による提言(12月5日)、文部科学大臣による「スポーツ・インテグリティの確保に向けた対応方針」(12月17日)等を踏まえ、検討を進めてきた。
こうした検討作業の結果を踏まえ、スポーツ庁は、スポーツ・インテグリティの確保に向けて、JSC(独立行政法人日本スポーツ振興センター)の機能強化を含む必要な予算を確保しつつ、以下のとおり取り組むこととする。
なお、これらの取組を実施するに当たっての法制上の措置の必要性を検討し、その結果、さしあたり、現行法制の下で対応可能であると判断した。


1.スポーツ団体における適正なガバナンスの確保

(1)「スポーツ団体ガバナンスコード」の策定、スポーツ審議会における審議
○ スポーツ庁は、スポーツ団体における自ら遵守すべき基準の作成に資するよう(スポーツ基本法第5条第2項)、2019年春頃を目途にスポーツ団体が遵守すべき原則・規範を定めた「スポーツ団体ガバナンスコード」(以下「コード」という。)を制定・公表する。
○ スポーツ庁は、コードの制定に先立ち、2018年度中に、スポーツ審議会の所要の審議体制を整えた上で、コードの内容等についての専門的な検討を行う。
その検討に当たっては、スポーツ団体のガバナンスに関する既存の参考指針等を参考にするとともに、スポーツ団体の中には人的・財政的基盤が極めて脆弱なところも多いことに鑑み、一定の柔軟性を有したものとするよう留意する。

(2)スポーツ団体によるコードの遵守に係る「自己説明―公表」の促進
○ スポーツ庁は、コードの実効性を確保する観点から、スポーツ団体自らがコードを遵守している旨を説明し公表する「自己説明-公表」を行うよう促す。
また、スポーツ団体への公的支援での活用に係る下記1.(8)の検討を含め、「自己説明―公表」を促進するための方策について検討し、2019年度中に結論を得る。

(3)中央競技団体に対するコードに基づく適合性審査に係る助言
○ スポーツ庁は、JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会)、JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)及びJPSA(公益財団法人日本障がい者スポーツ協会)に対し、加盟団体に係る4年ごとのコードへの適合性審査について、2019年度中の審査基準の策定や試行的な実施、2020年度からの適合性審査の実施に向けた準備が円滑に進むよう、審査の参考となる情報提供を行うなど、下記1.(4)の会議も活用しつつ、必要な助言を行う。

(4)「スポーツ政策推進に関する円卓会議」の設置
○ スポーツ庁は、スポーツ庁、JSC、JSPO、JOC及びJPSAが緊密な連携の下で、中央競技団体のガバナンス確保に取り組む体制を構築するため、スポーツ庁長官が主宰し、各団体等の長を構成員とする「スポーツ政策推進に関する円卓会議」(以下「円卓会議」という。)を速やかに設置する。
○ スポーツ庁は、円卓会議において、JSPO、JOC及びJPSAによるコードへの適合性審査の準備・実施状況や不祥事事案が発生した際の対応等について確認し、必要に応じて改善を求めるとともに、その結果を公表する。

(5)中央競技団体に対するモニタリングの実施
○ JSCは、中央競技団体のガバナンスやコンプライアンスの状況の改善に資するよう、2019年度以降、円卓会議と連携し、モニタリングを着実に実施するとともに、その結果を円卓会議に報告してJSPO、JOC及びJPSAと共有する。
○ 2019年度は、コードの内容等を踏まえ、モニタリング指標の見直し等を含む試行実施を行う。

(6)ガバナンス問題に係る第三者調査支援制度の創設
○ 中央競技団体のガバナンスの機能不全等による不祥事事案が発生し、第三者による調査等が必要となる事態が生じた際に、必要に応じて円卓会議とも連携しつつ、当該団体からの求めに応じ、JSCにおいて、中立性、公正性及び専門性が確保された第三者調査機能を担う「スポーツ団体ガバナンス調査支援パネル(仮称)」を設置し、必要な調査支援等を行う仕組みを2019年度中に創設し、2020年度以降、本格実施する。

(7)中央競技団体の経営基盤の強化
○ スポーツ庁は、中央競技団体による経営基盤強化に係る戦略的な取組を促進するため、2018年度中に中央競技団体の経営基盤に係る現状分析や先進事例の収集・分析等を行い、2019年度中に「中長期事業計画の策定に係る手引き」を作成・公表するとともに、中長期計画の策定・実行の先進モデル形成のための支援を行う。
○ また、スポーツ庁は、2018年度中に外部人材とのマッチング促進方策について取りまとめるとともに、2019年度には中央競技団体における新たな外部人材確保の先進モデル形成のための支援を行う。
○ さらに、スポーツ庁は、2019年度、全ての中央競技団体の公益法人化の実現可能性について必要な調査を行う。

(8)スポーツ団体への公的支援と適合性審査との連携等
○ スポーツ庁及びJSCは、競技力向上事業助成金の配分において、適合性審査の結果を適切に活用することとし、その具体的な方法や、競技力向上事業助成金以外の、JSPO、JOC及びJPSA加盟競技団体への公的支援での活用の在り方について検討を行い、2019年度中に結論を得る。その検討に当たっては、適合性審査との連携の観点から円卓会議において意見を聴くものとする。
○ また、スポーツ庁は、その他の団体に対する公的支援の在り方について、上記1.(2)と併せて検討を行う。

2.スポーツを行う者の権利利益の保護

(1) 指導者等の資質・能力の向上及び教育・啓発活動の促進
○ スポーツ庁は、2019年度から、「コーチ育成のためのモデル・コア・カリキュラム」を用いたアクティブラーニング形態の講習会等に係るJSPOへの補助事業等を通じて、スポーツ指導者の資質・能力の向上を図る。
また、コードにおいてインテグリティ教育及び啓発活動を適切に位置付け、スポーツ団体に対してその積極的な実践を促すとともに、必要な教材の作成・普及等を支援する。

(2) 相談窓口の設置及び活用の促進
○ スポーツ庁は、コードに相談窓口の設置を盛り込むことなどにより、スポーツ団体における相談窓口の設置の促進を図る。その際、選手等が相談窓口を利用しやすい環境を整備するため、相談に関する事実(氏名、属性等の個人を特定し得る情報等)に係る守秘義務の遵守や、相談者に対する不利益な取扱いの禁止などを徹底するよう促す。
○ JSCの第三者相談・調査制度について、2019年度から利用対象者の範囲の拡大及びSNS相談窓口の本格的導入を図るとともに、周知のためのキャンペーンの実施など、その活用を積極的に促進する。

(3) スポーツ仲裁自動応諾条項の採択促進及び仲裁に係る人材育成
○ スポーツ庁は、2019年度、公益財団法人日本スポーツ仲裁機構と連携し、スポーツ仲裁の趣旨や手続等の理解増進を図る研修を実施することなどにより、中央競技団体におけるスポーツ仲裁自動応諾条項の採択を促進する。
○ また、スポーツ庁は、公益財団法人日本スポーツ仲裁機構と連携し、諸外国の仲裁機関に人材を派遣し、必要な知識・技能を身に付けさせるとともに、人的ネットワークの形成を促進することにより、仲裁活動の中核的人材を育成する。

3.その他

○ 大学スポーツについて、スポーツ庁は、本年度中に設立される予定の一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)において、2019年度中に、コードも活用して、ガバナンス確保のためにUNIVAS加盟団体が遵守すべき内容が検討され、提示されるよう促す。

(以上)

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