参考4 スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第1~3回)議事録

スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第1回)
平成28年6月29日

【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。ただいまから第1回スポーツ審議会スポーツ基本計画部会を開催させていただきます。
皆様、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は最初の会議ということで、後ほど部会長をお決めいただくことになっております。それまでの間、便宜的ではございますが、事務局でありますスポーツ庁政策課長の私、澤川が議事を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それではまず、本日の配付資料の確認をさせていただきます。お手元に配付しておりますクリップ止めの資料に沿って御説明させていただきます。まず、資料1でございますが、部会の委員名簿でございます。資料2-1と2-2が、スポーツ審議会の概要、並びに本部会の設置についてとされている紙でございます。資料3は、後ほどお諮りいたしますが、この部会の運営規則の案でございます。資料4-1、4-2が、先日6月1日に行われましたスポーツ審議会に対する諮問ということでございます。資料5が、第1期、現行のスポーツ基本計画の進捗状況と課題ということで、検証状況の評価でございます。資料6-1が今後のスケジュール、6-2が今後予定しております団体ヒアリングの日程(案)でございます。参考1以下は、スポーツ基本法等になってございます。御確認いただきまして、不足等ございましたら事務局までお申し付けいただければと思っております。
また、本日新たに臨時委員として発令された委員の方々には、僭越でございますが、お手元に任命の辞令を置かせていただいています。併せてお収めください。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日御出席の委員の方々を御紹介させていただきます。資料1に沿いまして、出席の委員の方々を五十音順に御紹介させていただきます。
まず最初、泉正文委員でございます。
【泉委員】  泉でございます。おはようございます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  伊藤数子委員でいらっしゃいます。
【伊藤委員】  伊藤でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  大塚眞一郎委員でいらっしゃいます。
【大塚委員】  大塚です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  久木留毅委員でいらっしゃいます。
【久木留委員】  久木留です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  久住時男委員でいらっしゃいます。
【久住委員】  久住です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  桑田健秀委員でいらっしゃいます。
【桑田委員】  桑田です。どうぞよろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  境田正樹委員でいらっしゃいます。
【境田委員】  境田でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  髙橋秀文委員でいらっしゃいます。
【髙橋委員】  髙橋でございます。よろしくお願い申し上げます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  田口亜希委員でいらっしゃいます。
【田口委員】  田口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  田中ウルヴェ京委員でいらっしゃいます。
【田中委員】  田中です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  友添秀則委員でいらっしゃいます。
【友添委員】  友添です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  萩裕美子委員でいらっしゃいます。
【萩委員】  萩でございます。よろしくどうぞ。
【澤川スポーツ庁政策課長】  原田宗彦委員でいらっしゃいます。
【原田委員】  原田です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  増子恵美委員でいらっしゃいます。
【増子委員】  増子恵美です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  結城和香子委員でいらっしゃいます。
【結城委員】  結城と申します。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  和久貴洋委員でいらっしゃいます。
【和久委員】  和久です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  また、本日所用にて御欠席でございますが、朝原宣治委員、福井烈委員がいらっしゃいます。
なお、本日はスポーツ審議会の山脇会長にも御出席いただいております。
【山脇会長】  山脇です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  山脇会長におかれましては、今後の部会も御都合のつく限り御参加いただくというふうに伺っているところでございます。
それでは、続きまして、スポーツ庁からの出席者を御紹介させていただきます。
まず初めに、鈴木大地スポーツ庁長官でございます。
【鈴木スポーツ庁長官】  おはようございます。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁次長の髙橋でございます。
【髙橋スポーツ庁次長】  髙橋でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  同じく、審議官の木村でございます。
【木村スポーツ庁審議官】  木村でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ総括官の平井でございます。
【平井スポーツ総括官】  平井です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁参与の木藤でございます。
【木藤スポーツ庁参与】  木藤です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  健康スポーツ課長の井上でございます。
【井上健康スポーツ課長】  井上でございます。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  競技スポーツ課長の先﨑でございます。
【先﨑競技スポーツ課長】  先﨑でございます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁国際課長の今泉でございます。
【今泉スポーツ庁国際課長】  今泉です。おはようございます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁参事官(地域振興担当)の仙台でございます。
【仙台スポーツ庁参事官】  仙台です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)、由良でございます。
【由良スポーツ庁参事官】  由良でございます。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  最後になりますが、私、スポーツ庁政策課長の澤川でございます。よろしくお願いいたします。
あと1名、オリンピック・パラリンピック課長の勝又がおりますけれども、所用のために遅れてまいるということでございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、議事に入らせていただきます。
まず、本部会の所掌事務について御説明申し上げます。資料2-1並びに2-2を用いて御説明させていただきます。お手元に御用意ください。
まず、資料2-1、スポーツ審議会の概要でございます。
もう御存知かと思いますが、平成27年、昨年10月にスポーツ庁が設置されたことに伴いまして、スポーツ庁にスポーツ審議会が設置されております。その事務でございますが、1番のところをご覧いただければ、(1)でございますが、スポーツ庁長官の諮問に応じと、スポーツに関する施策の重要事項を調査審議するということが、主な事務となっております。この、スポーツ庁長官の諮問ということで、後ほど御説明させていただきますが、去る6月1日に第2期スポーツ基本計画の策定についてということで諮問がなされているところでございます。
あと、下のところになりますが、米印のところ、このほか必要があるときは部会並びに臨時委員を置くことができるということになっております。部会に関する規定は、この資料の3ページに、スポーツ審議会令第5条が部会についての規定を置いてございます。
かいつまんで御説明申し上げますと、5条1項のところで、審議会は部会を置くことができると。2項で、部会に属すべき委員、臨時委員等は会長が指名する。3項は、部会に部会長を置き、委員の互選により選任をする。1つ飛びまして5項、部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理する、部会長代理についてということでございます。
これにつきまして具体的に規定を置いておりますのが、資料2-2になります。これは、去る6月1日のスポーツ審議会総会におきまして、この表題にございますスポーツ審議会の部会が設置されたと、部会の設置について決定したというような紙でございます。部会の名称は、中ほどにございますが、スポーツ基本計画部会ということでございます。部会の所掌事務は、諮問に対応いたしまして第2期スポーツ基本計画について調査審議することとなっております。なお、この部会の設置期間についてでございますが、所掌事務に関する審議、すなわち第2期スポーツ基本計画に関する審議が終了したときには廃止するという形になっているところでございます。
以上が、スポーツ審議会並びに基本計画部会の概要についての御説明でございます。
続きまして、議事のその2でございますが、本部会の部会長をお選びいただきたいと思っております。部会長の選任につきましては、先ほど御説明申し上げましたが、スポーツ審議会令第5条第3項の規定によりまして、部会に属する委員の互選により選任するとなっております。
ということでございまして、どなたか委員の方から部会長につきまして御推薦いただけませんでしょうか。
【伊藤委員】  伊藤でございます。私のほうから友添委員を御推薦させていただきたいと思っております。私、スポーツ審議会で御一緒させていただいておりますが、会長代理をお務めでいらっしゃいまして、それから、早稲田大学でスポーツ科学学術院長もお務めでいらっしゃいます。本計画検討において、スポーツ政策全般に精通していらっしゃるということで御推薦させていただきたいと思います。お願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  ありがとうございます。
ただいま伊藤委員から、部会長に友添委員の御推薦がございました。皆様、いかがでございましょうか。
                            (「異議なし」の声あり)
【澤川スポーツ庁政策課長】  ありがとうございます。それでは、友添委員が部会長として選任されました。
恐れ入りますが、友添委員には部会長席にお移りいただくよう、お願いいたします。それでは、一言御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【友添部会長】  改めまして、おはようございます。微力ではありますけれども、2020東京オリパラを迎えて、非常に大きな局面を迎えてくるかと思います。是非、円滑な協議と御議論を頂ければと思います。よろしくお願いしたいと思います。
【澤川スポーツ庁政策課長】  ありがとうございます。
それでは、今後の議事進行につきましては友添部会長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【友添部会長】  それでは、早速ではありますけれども、今、お話がありましたように、部会長代理を決めさせていただきたいと思います。部会長代理でありますけれども、部会長に事故等の不都合があるときに、職務を代理いただくことになる職であります。部会長代理の選任につきましては、資料2-1の3ページにございますスポーツ審議会令第5条第5項の規定によりまして、審議会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名することとされております。
そこで、私といたしましては、是非、泉委員にお願いをしたいと考えております。御承知のように、泉委員は我が国のスポーツ団体を統括しております日本体育協会におきまして専務理事を務めていらっしゃいます。スポーツ審議会総会の委員としてもスポーツ政策全般に深く関わっておられますことから、是非、部会長代理にお就きいただければと思っております。
いかがでしょうか。
                            (「異議なし」の声あり)
【友添部会長】  御異議ございませんか。ありがとうございます。それでは、泉委員に部会長代理をお願いしたいと思います。
恐れ入りますけれども、泉委員、部会長代理席にお移りいただければと思います。一言御挨拶をお願いいたします。
【泉部会長代理】  改めて、おはようございます。先ほど資料を拝見しておりましたら、この部会は結構ハードスケジュールでございまして、微力でございますが、友添部会長を支えて、しっかりとした新しい基本計画を作るために邁進いたしたいと思います。是非御支援を頂きたいと思います。ありがとうございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。ハードワークとハードスケジュールが待っております。是非円滑に進めてまいりたいと思います。
それでは、次の議事に入ります。スポーツ審議会スポーツ基本計画部会運営規則(案)につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは、資料3、スポーツ基本計画部会の運営規則(案)をご覧ください。この部会の運営規則(案)でございますが、既に定められております総会の運営規則をベースに、部会に特有のもの、不要な規定を削除しつつ、やっておりますので、基本的には総会の運営規則と同じでございます。
第1条をご覧いただきますと、趣旨でございます。「基本計画部会の議事の手続その他部会に運営に関し必要な事項は、この規則の定めるところによる」となってございます。
第2条が、会議の公開でございます。「部会の会議は、次に掲げる場合を除き、公開して行う」とありますので、原則公開ということでございます。ただ、例外に当たります非公開の事例が、1号、部会長の選任その他人事に関する事項、第2号でございますが、公開することで公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる場合ということでございます。
第3条は、会議の傍聴となってございます。あらかじめ登録を受けなければいけないとなっております。登録された方は、部会長の許可を得て、撮影、録画、録音ができるようになってございます。
おめくりいただきまして、第4条でございます。会議資料の公開についてとなっております。「部会長は、部会の会議において配付した資料を公開しなければならない」となりますので、先ほどと同じように、会議資料につきましても原則公開となっております。「ただし」と書いてあるところで例外規定を設けておりまして、公開することで公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるという場合につきましては、資料の全部又は一部を非公開というふうになっております。
第5条は、議事録の公開でございます。同じように、部会の会議の議事録については、これを作成し、公開しなければならないとなってございます。例外規定については、会議資料の公開等と同じでございます。第2項は、非公開とする場合には、議事要旨を作成し、これを公開するとなっているところでございます。
第6条については説明を省略させていただきます。
運営規則(案)についての説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、本部会の運営規則につきまして、今お示しをさせていただきました原案のとおり決定したいと思います。ありがとうございました。これで、本部会の発足に必要な手続は全て終了いたしました。
それでは、ここで報道関係者等の入室を許可したいと思います。なお、本日は、報道関係者から会議全体についてカメラの撮影を行いたい旨の申し出がございます。許可いたしますので、御承知おきいただければと思います。
それでは入室をお願いいたします。
                        (報道関係者、一般傍聴者 入室)
【友添部会長】  それでは、スポーツ基本計画部会の発足に当たりまして、鈴木スポーツ庁長官から御挨拶をお願いします。
【鈴木スポーツ庁長官】  皆さん、おはようございます。スポーツ庁の鈴木でございます。本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
スポーツ審議会の基本計画第2期を策定するわけですが、非常に日本のスポーツにとって重要な会議だと思っています。日本のスポーツの方向性を示すものでありますので、是非皆さんの御協力をお願いしたいと思っています。
この5年間、第1期のところで何があったのか申しますと、もちろん2020年大会の開催の決定、あるいはスポーツ庁の創設といったところも含まれてくるかと思います。この5年間でいろいろスポーツのところも変化をして、社会も変わっているわけですが、スポーツ庁もできまして、これから、これまでにない所掌としてスポーツが産業化していこうというものであります。それから、もう1つは、地方を巻き込んで、スポーツで地方を活性化し、元気にしていく、そういったこともこれまでにない非常に重要なところかなと思っています。
この5年間で全般として少子化だとか高齢化だとかが進んでおりまして、こういったところにもスポーツが有用ではないかというのも示していく必要があると思います。これまでの、国際競技大会で何個メダルを取るということだけではなくて、それ以外の、スポーツのよさ、価値を示していくことが、スポーツとしての全体の存在感を示していくことではないかと思っています。
一方で、競技力を上げながらも、スポーツ団体等の組織等のコンプライアンス、ガバナンスを徹底しなくてはいけませんし、全体としてのインテグリティを高めなくてはいけないと思っています。
また、日本のスポーツをこれまで支えてきた組織の1つとして部活動というものが挙げられますが、部活動も、地方に行ってしまいますと、もうチームも組めないというような、子供の少子化、そしてメンバーの不足というものも考えられていますので、こういったところにも民間をいろんな形で巻き込みながら、国として何ができるのかというのも考えなくてはいけないと思っています。
それから、スポーツ庁でもこれまでは、健康寿命の延伸だとか寿命との差を縮めるとかって言ってきましたけれども、ここで、スポーツをして元気になって寿命がどんどん伸びていって、今まで例えば80で寿命が来ていたものが、これからは90歳、100歳になるかもしれない。そうしたときの社会保障費だとか年金だとか、トータルコストで考えたらどうなのかというのも含めて、スポーツ界が何ができるのかというのも考えていく必要があるのではないかと思います。
私が余りべらべらしゃべり過ぎても時間がなくなりますので、この辺にいたしますが、どうか皆様の活発な御議論をお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。基本計画のこの部会にとって重要な御示唆を頂けたと感じております。
それでは、次の議題に移りたいと思います。第2期スポーツ基本計画の策定について、これは諮問でございます。これと、第1期スポーツ基本計画の進捗状況と課題につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは、お手元に資料4-1、4-2、並びに資料5を御用意ください。
まず、資料4-1と4-2でございますが、先日、6月1日、スポーツ審議会に対して鈴木長官から行われた諮問についての概要でございます。今後の検討の観点ということで、参考までにお手元に配らせていただきます。資料4-2は諮問文そのもの、本体でございまして、全文でございます。その概要ということで資料4-1がございますので、これについて御説明させていただきます。
繰り返しになりますが、6月1日に行われた諮問ということで、今年度中に第2期スポーツ基本計画を策定いただきたいという趣旨でございます。このオレンジのところが、諮問の際に総会に投げかけられた検討の観点、検討の視点でございます。大きく4つございます。
まず、第1にということで、5年間の諸施策の達成状況等の検証を行っていただきたいということでございます。これにつきましては、本日、後ほど、資料5に沿いまして現状について御説明をさせていただきたいと思います。
第2につきましては、第2期スポーツ基本計画の総論に当たるところでございますが、計画の方向性を分かりやすく簡潔に国民に発信できるようにということで、具体的に4点でございます。スポーツに関わる全ての人がスポーツの価値を学び、具体化・共有化するということで、究極的にスポーツを国民の文化として根付かせるということ。第2は、スポーツ界のコンプライアンスやインテグリティ。第3は、スポーツの価値ということで、共生社会の実現など、スポーツが社会の発展、変革に貢献し得るということを具体的に示すと。第4は、2020年東京大会に向けて価値を高め、レガシーをしっかり残す、引き継がれるということでございます。
第3は、計画の具体的内容、具体的施策についてでございます。後ほど御説明いたしますが、現行、7つの柱、政策目標があるわけですが、それに捉われることなく、簡潔な形で体系化を図っていただきたいということ。2つ目が、分野横断の視点として、縦割りではなく、人材とか場といった切り口からも御検討いただきたいということ。3つ目でございますが、スポーツ庁が創設されたということを踏まえまして、スポーツによる健康増進、地域の活性化、国際交流や貢献、スポーツビジネスといった点についても、積極的に御議論いただきたいということ。
第4は、できる限り成果指標を設定していただきたいということでございます。
こういう観点に沿いまして、今後、第2期スポーツ基本計画の策定に向けた御議論を賜れればと思っております。
それでは、現行、第1期のスポーツ基本計画の進捗状況と課題につきまして、資料5に沿いまして御説明をさせていただきます。資料5は総論と各論、2部構成になってございます。
現行のスポーツ基本計画は7つの柱によって構成されております。順に、一番最初、第1の柱が、子供のスポーツの機会の充実でございます。1ページ中ほどにございますが、2つ目の柱が、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進です。3つ目の柱が、地域のスポーツ環境の整備となっております。ページをおめくりいただきまして2ページ、4つ目の柱がございまして、国際競技力の向上に向けた人材の養成、環境の整備等々ということで、国際競技力の向上でございます。5つ目の柱が、国際競技大会の招致等による国際交流・国際貢献。6つ目の柱が、ドーピング防止、スポーツ仲裁等によるスポーツ界の透明・公平性の確保ということ。7つ目の柱が、トップスポーツと地域スポーツの連携・協力による好循環ということでございます。
具体的な内容につきましては、4ページ以下に沿いまして御説明をさせていただきたいと思っております。時間の関係でちょっと早口になりますが、御了承ください。
まず1つ目の柱、子供のスポーツの機会の充実でございます。上のところ、政策目標ということで、現行のスポーツ基本計画が掲げております目標でございます。子供のスポーツにつきましては、今後10年以内に子供の体力が昭和60年頃の水準、統計上は最高というふうになっておりますが、60年頃の水準に戻るということで、今後、体力の向上傾向を維持していこうということでございます。
この政策目標に応じまして、左側にあります施策目標ということで、3つの柱を入れております。1つ目の柱、子供体力向上方策につきましては、中ほど、これまでの取組の成果というところをご覧いただきますと、体力調査をやっております。ほとんどの年代で緩やかな向上傾向にあるということでございますが、ただ、昭和60年頃と比較すると、依然低い水準になっているということになっております。
5ページにお移りいただきますと、2つ目の施策目標であります、学校体育の充実ということでございます。中ほどのところ、これまでの取組と成果の2つ目の白丸になりますが、小学校における体育の専科教員の配置を進めるなど、指導体制の充実を図っております。また、下から5つ目をご覧いただきますと、部活動につきましては、複数競技合同など多様な運動部活動作りということで、運動の苦手な子を含めたきめ細やかな指導を目指しているということを言っております。また、下から3つ目のところでございます、部活動の運営の適正化ということでございます。右側のところをご覧いただきますと、教員の負担軽減とか、スポーツの魅力を伝える指導ということで、外部指導者の活用促進に努めていると、これが今後の課題になっているということでございます。
1枚おめくりいただきまして、6ページでございます。施策目標3つ目の柱、子供を取り巻くスポーツ環境の充実ということで、一番上は、スポーツ少年団の加入率について触れております。一番下の白丸のところは、障害児のスポーツの実施状況ということで、7歳から19歳までの障害児が週1日以上スポーツ・レクリエーション等を行った日数は30.7%となってございます。
この1つ目の、子供の体力向上についての全体的な取りまとめでございます。進捗状況と課題というふうになっております。ほとんどの年代で緩やかな向上傾向を示しておりますが、ただ、昭和60年代と比較すると依然と低いということ。また、学校体育と地域スポーツの連携を一層進めることが重要だということを示しております。
2つ目の大きな柱でございます。ライフステージに応じたスポーツ活動の推進ということで、この政策目標につきましては、成人の週1回以上のスポーツ実施率が3人に2人、65%程度になることを目標として掲げているところでございます。具体的な進捗状況につきましては、7ページの中ほど、一番上の白丸になりますが、平成27年度に実施した調査では、週1回以上スポーツを行った方の割合が40.4%となっております。特に20歳代、30歳代の方が低いというデータが見えております。また、1つ下の丸でございますが、スポーツ無関心層にどうやって働きかけるかということが課題となっております。下から4つ目、障害者、これは成人でございますが、成人の方のスポーツ実施状況につきましては18.2%ということで、上にございます健常者の方に比べて低い数字になっているというデータが見てとれるところでございます。
おめくりいただきまして、8ページでございます。柱でございます、スポーツにおける安全の確保につきましては、ここに書いてあるような取組、課題がございます。
全体の取りまとめ、進捗状況と課題についてでございますが、成人のスポーツ実施率につきましては、平成27年度の調査では実施率が減少しているということで、多様なニーズを踏まえた新たな取組が必要となってきております。また、スポーツ庁が発足したということで、スポーツを通じた健康増進ということで、健康寿命をできるだけ平均寿命に近づけるような、そういう取組が必要だということ。また、障害者が身近な地域でスポーツに親しむことができる、そういう環境の実現が課題だということでございます。
3つ目の柱、9ページになりますが、地域のスポーツ環境の整備ということでございます。政策目標につきましては、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ指導者・スポーツ施設の充実ということを掲げてございます。これまでの取組と成果のところでございます。1つ目の白丸でございますが、総合型クラブの設置率は伸びているが、まだ目標には達していないということになっています。その他、総合型クラブについては、財政的な自立を含めた質的な充実であるとか、そういうことが課題になっているということを書いてございます。
おめくりいただきまして、10ページでございます。スポーツ指導者の充実につきましては、ここに掲げてございますような、日本体育協会の補助等を通じて指導者養成に係る取組を進めているところでございます。
また、地域スポーツ施設の整備でありますとか、企業・大学等との連携につきましては、ここに書いてあるところでございます。
この柱の全体的な取りまとめ、進捗状況と課題につきましては、総合型クラブについては、市町村の割合は80.8%ということで、設置・創設が進んでございますが、財政的な自立を含めた質的な充実が今後の課題という形でございます。あと、下の中ほどにございますが、スポーツ指導者の資質能力の向上、アスリートのキャリア形成支援、ボランティア、審判員などスポーツを支える人材の育成が課題でございます。あと、一番下の白丸でございますが、スポーツ施設の計画的整備、民間活力の導入、収益性の向上が課題となってございます。
4番の柱、おめくりいただきまして12ページでございます。国際競技力の向上ということで、政策目標には、国際競技力の向上を図るため、体系的な人材養成システムなどスポーツ環境の整備を行うということを掲げております。また、オリンピック・パラリンピックにおけるメダル獲得についても一定の目標を掲げているところでございます。
施策目標ということで、(1)は、戦略的支援の強化ということになります。具体的な施策として、ジュニアアスリートの発掘とか、スポーツ医・科学、情報による支援等々を掲げてございます。また、13ページの一番下のところになりますが、障害者スポーツ行政につきましては、平成26年度に、これまで厚労省の所管でございましたが、文科省スポーツ庁の所管に移管されているところでございます。
おめくりいただきまして、14ページ、15ページでございます。
(2)のところは、スポーツ指導者や審判員等々の養成でございます。
(3)につきましては、トップアスリートの強化・研究の拠点の構築ということでございます。NTCの拡充整備でありますとか、JISS・NTCのオリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用などを打ち出しているところでございます。
15ページの下のところ、進捗状況と課題でございます。こういったことを踏まえまして、2012年ロンドンオリンピック並びに14年のソチオリンピックでは、総メダル獲得数で一定の成果が得られたところでございます。ただ、金メダルランキングにつきましては、当時設定した目標にはまだ達成してないということでございまして、ここに掲げております様々な取組を推進することが求められているところでございます。
5つ目の柱、国際交流・貢献でございます。16ページ、17ページをごらんいただければと思います。政策目標としては、国際競技大会の積極的な招致、国際情報の収集・発信、国際的な人的ネットワークの構築等々を掲げてございます。
(1)の、競技大会の招致につきましては、まず一番大きなのが、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の招致の成功ということでございます。その他、ラグビーワールドカップ2019、2017年の冬季アジア札幌大会、関西ワールドマスターズ等々があるところでございます。
17ページは、いわゆるIFへの人材の派遣でありますとか、下のところは、国際的な人材ネットワークの構築等々を掲げてございます。
18ページをご覧いただきますと、進捗状況と課題のところでございます。大規模な国際競技大会の招致を契機とした国際貢献に取り組みつつあるという形で、一定の成果を述べているところでございます。あと、今後は、2020年以降のオリパラのレガシーをどう残し、スポーツの価値をどう高めていくのかでありますとか、国際スポーツ界における我が国のプレゼンスの向上が課題、重要であるということでございます。
第6の柱が、ドーピング防止やスポーツ仲裁等々でございます。政策目標として、ドーピング防止活動、スポーツ団体のガバナンスの強化、スポーツ紛争の仲裁等々、掲げてございます。
(1)ドーピング防止活動につきましては、副大臣の下でタスクフォースを設置し、検討を進めてございます。
(2)の、ガバナンスにつきましては、平成26年度にフェアプレーガイドラインを策定しているということがございます。また、JPCと日本財団が連携してパラリンピックサポートセンターを昨年度設置したというような取組もございます。
おめくりいただきまして、(3)は日本スポーツ仲裁機構等々についての規定でございます。
進捗状況と課題につきましては、今後、国際的な水準のドーピング検査体制の充実が必要になってくるということでありますとか、NFのガバナンス向上、スポーツ紛争の予防及び迅速・円滑な解決でありますとか、3つ目の丸では、スポーツ界におけるコンプライアンスの徹底とか、インテグリティの確保、自律・自立的な活動の基盤整備ということが求められてございます。
最後、好循環のところですが、政策目標として、トップスポーツの伸長とスポーツの裾野の拡大で好循環を創出していこうということでございます。
1つ目の丸にございます、「地域スポーツとトップスポーツの好循環プロジェクト」等々で取り組んでいるというところでございます。
最後になりますが、22ページ、進捗状況と課題ということにつきましては、2つ目の丸で、トップスポーツと地域スポーツの人材の好循環を促すさらなる取組が必要ということを言っております。あと、スポーツ関連産業の活性化ということで、その収益をスポーツ環境の充実に再投資する好循環ということも、新たに必要になってくるということを言っているところでございます。
駆け足で恐縮でございますが、現行スポーツ基本計画の進捗状況と課題について御説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
鈴木長官からの諮問内容の概要と、24年度から28年度までの第1期の課題と進捗状況について御説明いただきました。
きょうは、最初の会議ということでもありますので、各委員の自己紹介を頂きながら、ただいまの御説明に対しまして御意見等についてお伺いしたいと思います。恐縮なんですけれども、お一人約3分程度で、時間は計りませんので、そこのところは御協力いただきながら3分程度で御発言を頂きたいと思います。伊藤委員から和久委員まで順次お願いをしたいと思います。それではよろしくお願いします。
伊藤委員、よろしくお願いします。
【伊藤委員】  伊藤でございます。よろしくお願いいたします。
長官から冒頭にありましたように、平成24年からの5年間というのは、本当にこの国のスポーツの環境が劇的に変わった時期だなと思います。そういう意味で、次の5年間の計画の策定というところに身を置かせていただくことは、非常に光栄でありますし、引き締めて、地に足を着けてやってまいりたいと思います。
1枚のペーパーで3点、申し上げたいと思います。
1点目は自己紹介です。「Universal Communication」を掲げて、パラスポーツを通して共生社会を創りたいという事業を行っています。その内容が大きくオレンジの枠3つです。
一つ目はWebで情報を発信しています。2003年から障害者のスポーツの大会のインターネット生中継を行いました。そのときに「おまえらは障害者をさらし者にするつもりか」と言われたことが、私の活動のきっかけとなりました。そういう言葉がなくなる社会にしたいというのが、私の共生社会を目指す道の始まりです。
二つ目は、体験会です。いろんな方にスポーツを体験をしていただくイベントをしています。これは全国でやれるようになってまいりました。障害が人にあるのではなくて、階段や社会にあるねということを体験していただく、スポーツ体験会。
三つ目が、ボランティアアカデミー。これは、2020年の東京大会が決まったことにより、たくさんの人がオリンピックではなくパラリンピックのお手伝いをしたいというお申し出くださったことから、始めたことでございます。ボランティアのスピリットを学ぶ講座を計画しました。結局は、受講生の中に、(この星マークにあるように)「実技の講座の次の日に視覚障害の人を街の中で見つけて、生まれて初めてお声掛けをして、駅まで御案内しました。」という方がいらっしゃいました。ボランティアのことを学ぶ目的で受講してくださった方が、共生社会を創っていく1人になってくださいました。アカデミーでは、これを目指して継続していけたらいいなと思っております。
次に、これからやっていきたいと考えていることです。特に、私は地域でスポーツを、ということを進めていきたいと思っております。とても重要じゃないかと思っています。もともと始めたのが、金沢の電動車椅子サッカーチームのインターネット生中継から始まっています。ここの金沢ベストブラザーズの重度障害の選手、この方は施設で暮らしていましたけれども、「サッカーを始めてから私の人生が白黒からカラーになった」と言いました。私は、そういう人がどんどん、住んでいる地域で増えていけばいいなと考えております。
スポーツは、東京でもやるものでもテレビの中でやるものでもなく、やはり自分の住んでいる地域で、したり見たり支えたりということが行われていくのが、とても重要じゃないかなと考えております。
星の3つ目ですけれども、そういう意味で、大学との協定というのを昨年から進め始めました。最初に昨年は関西学院大学さんと包括協定を結びまして、大学の皆さんと一緒に授業を進めたり、あるいは大学が市民講座というものを開いたりして、様々な事業を行っています。今年は広島大学の客員を拝命いたしましたので、西日本でも活動を進めてまいりたいと考えております。
特に、東京オリパラのことに関して、地元の金沢なんかに帰りますと、「そういえば、あったっけ」というような、大変な温度差を感じますので、ここの部分も4年間で差が開いてしまってはと危惧しております。地方へ、ムーブメントの展開をしていけたらと思っております。
最後、3点目ですが、私が今の御説明いただいた計画に対して考えていることです。今までの5年間とこれからの5年間、大きく違うのは、障害者スポーツが厚生労働省にあったときにはできなかったこと、一元化したからこそできることではないかと考えています。
その中の一例を最後に挙げております。障害のある子供が小学校、中学校、高校とも普通学校に進むケースが増えてきている。そんな中で、子供たちが算数や国語は一緒に授業が受けられるんですが、体育の時間になると見学になっちゃうというケースがとても多い。せっかく一緒に、みんな一緒だよって言っているのに、体育はいつも見学ってなると、やっぱり障害のある子は川の向こうの特別の子だねっていうことになってしまう。そういったことがなくなっていくように。ある障害のある子が先生に言いました。「先生、体育の時間、みんなで一緒にできたらいいね」って。そういう声に応えられるような制度が、一元化したからこそできるんじゃないかなと考えております。こんなことも進めていけたらと思っております。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、大塚委員、お願いします。
【大塚委員】  おはようございます。日本トライアスロン連合、そして国際トライアスロン連合、また日本オリンピック委員会ということで、今回からお邪魔させていただいております。
私は、トライアスロンという新しいスポーツを30年前に日本に導入し、オリンピックスポーツとなり、また国体となり、ここまで普及させていただいた、そういった実体験がこの計画策定において御参考になればいいなと思っております。
第1期スポーツ基本計画の策定の御苦労と、また、それのここまでの7つの柱で実施してきた内容に関して、競技団体の立場から非常にそれが目に映り、実践の場として既に世の中に出てきているということを今、実感させていただいております。ただ、今度、国際トライアスロン連合、国際の立場から見ると、日本のスポーツ自体の相関図がどのようになっているかというところが見えにくいというような部分も、これからの課題としてあるんじゃないかなと思っております。
また、全体的に、私が個人的にも、また日本オリンピック委員会の立場の中でも、2020に向かって何を一番主眼と置くべきかというところにおきますと、日本オリンピック委員会の役割、使命というところで、将来構想プロジェクトなどにも関わっておりますが、スポーツを通じた人材育成、これがJOCの主たる使命ではないかと考え、この人材育成を成し得ることで、ここにある7つの柱もいろいろなものが解消されていくんじゃないかなと思っております。
そういった中、2020に向かってまだまだ不足しているのが、オリンピック教育、オリンピックムーブメント、またオリンピズムを広げることではないかと思っております。1964年に、今日の資料にもありましたスポーツ少年団がオリンピック青少年運動として、国民運動として発生させたようなオリンピックの国民運動を、是非とも2020に向かってやっていきたいなと考えておりますので、これはJOCの立場からこれからも御提案させていただければなと思っております。
また、障害者の皆さんのスポーツに関して、私どもトライアスロンは、30年前から健常者と障害者を同じフィールドで全て競技をしてもらうようにしております。また、今も競技団体としてはオリンピック・パラリンピックを1つの競技団体でやるモデルケースというか、競技団体としては当たり前のように健常者と障害者の皆さんが同じフィールドで競技ができる環境作りをやっておりますので、そういった点でも御参考になればと思っております。
さらに、2020のレガシーということが話題になっておりますが、我々ができるレガシーは、建物や造るものもあると思いますが、先般もスポーツ庁のほうから御指導いただいた経営力強化、スポーツ産業の強化、こういったものも必ずレガシーにつながると思いますし、各競技団体が今までになかったマーケティング能力、それによる人材が育つ、そういったことも大きなレガシーになってくるんじゃないかなと思っております。
皆様と一緒に勉強しながら、この第2期の基本計画策定に尽力していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
久木留委員、お願いします。
【久木留委員】  私は、専修大学と日本スポーツ振興センターという2つの立場がございます。と申しますのは、文部科学省と経済産業省に設置していただいたクロスアポイント制度で、昨年、スポーツ庁設置とともに日本スポーツ振興センターのほうに在籍出向させていただきました。今、フルタイムのスタッフとしてハイパフォーマンス戦略部の部長を務めさせていただいております。
その中で私は、今回の第2期の基本計画について、5つの点でお話を少しさせていただきたいと思っております。
まず一つは、皆さん御承知のとおり、2013年9月7日に招致が決まって、アドバンテージがいろんな意味であったと思います。それが実はもう3年過ぎてしまったと。残り4年しかないというこの危機感を皆さんで共有しながら、スポーツが変わっていく、スポーツを通して変わっていくというところを、計画の中に入れていくべきだろうと思っております。
二つ目は、2020年の東京大会があるわけですから、そこまでの限定性と継続性・持続性ということをさらに意識する必要があるだろうと考えています。
三つ目は、組織委員会が終了後に出すレガシープラン若しくはレガシーレポートとの連動性を意識した計画にしていくべきであると思います。
四つ目が最も重要な点だと考えています。それは、スポーツ基本法のコンセプトである、デベロップメントスルースポーツ(Development through Sport)をより具現化した計画にしていかなければいけません。その中で私は、スポーツは社会の中のエコシステムになっていくべきだと思っています。エコシステムというのは共存共栄していく仕組みです。そうなることで、スポーツ×教育、スポーツ×ビジネス、スポーツ×健康、スポーツ×国際協力、その他、主要なものについてスポーツを通して社会を良い方向に変えていくことができると考えています。これらを、どういった形で具現化していくのかということを、第2期スポーツ基本計画に書き込んでいく必要があると思っています。
五つ目ですが、私は2012年ロンドンオリンピックまで3大会、レスリングのナショナルコーチを務めていました。その背景を基に話しさせて頂くと、実は、スポーツ界の中でトレーニングについて日常的に数値を活用した評価を行っている所は少ないんじゃないかと思っています。もちろん行っている団体や個人もいらっしゃると思います。これらのことを踏まえて、第2期スポーツ基本計画の中においても実効評価の表裏一体というのは、必ず入れていかなければいけないだろうと考えています。そのときに、評価をする場合は、責任体制を明確にする必要があります。さらには、評価の基準であるKPI(Key Performance Indicator)重要業績評価指標はどんなものが適切なのかも考えなければいけません。また、定期的に第2期スポーツ基本計画は評価をしていく必要があるでしょうから、モニタリングシステムをどうするかということも、やはり同時に考えておくことも重要となります。
最後に、第2期スポーツ基本計画を実行することで、スポーツを通して雇用を作っていくことも重要だと思います。 よろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
久住委員、お願いいたします。
【久住委員】  私は自治体の首長という立場と、それから、ここにスマートウェルネスシティ首長研究会の会長ということで書かれております。
私、4期目ということで、市長になって13年半なのですが、当初から健康施策というのを打ち上げました。当時は、健康を行政がやることに対しては理解がなかなか頂けない。それは行政とかそういうところが絡むものではないという認識がありましたけれども、健康政策自体は最も幸福論に近いだろうということで、今、スマートウェルネスの「ウェルネス」を、「健やかな幸せ」という当て字をしております。こういう施策をやってきました。当初、これを理解してもらうためには、運動する人としない人で、どのぐらい医療費が違うかを、個人情報に注意しながら調査しました。その結果、年間10万円違うということがエビデンスとして出され、今、国においても使われる1つの指標になっています。
そのことが実証されましたので、市民の皆さんに、もっと参加できるように施設とか整備をしたのですが、なかなか参加してくれないということがわかりました。私ども行政の中では、7・3の法則と言っておりますが、これは、どんないい成果、どんなにいいことだからと国民や市民に話をしても、残念ながらそれを素直に受けて、意識変換だとか行動変容につなげていく方は3割だというのが、各地の自治体でわかりました。
7割の無関心層に参加してもらわなければ、医療費とか介護を含めて成果にならない。これの闘いでありました。いろいろな施策をやったのですが、なかなか成果が上がらない中で、今、スポーツ庁で支援をいただいている健康ポイント制度で実証を行いました。事前にどれだけの年間インセンティブで人が参加するようになるか。報酬金額は大き過ぎてもだめ、少な過ぎてもだめということで、今、設定の年間2万円から2万4,000円というのが自分の御褒美として行動変容につながる。日本人の今の一般的なレベルということでこの実証実験は、6市で3年目に入りました。その結果として、今まで動いてなかった、すなわち無関心層の約7割ぐらいが参加をしてくれたという、すごいエビデンスが出ています。
骨太でもインセンティブという言葉が書かれているように、これは従来の考え方とはちょっと矛盾するが、人をいい方に導くためにはインセンティブ。残念ながらそれしか無関心層は動かない。こんな話に今、方向性を定めております。
その動かなかった人たちがなぜ動いたかというのを分析しますと、一番が実は口コミでありました。行政の方からの直接的アプローチだけでは動かないということがわかりました。しかし、仲間、日常的に接する友達からの話であれば、人が動くということがあります。今、200万人のインフルエンサー(伝道師)というのを、私も担当で、健康長寿推進委員ということで名前を付けてやろうと思っています。
今、スポーツを小さいときから行うことが人生にとっての大きな支えになるということを、リテラシーとして家族もお母様も、また地域全体が理解するというところからスタートすると、私どもが進めようというものを受け取り側のレベルとしてもかなり高くなる。そのことを誘導していくというのが、大きな基本的なものだろうと思います。
健康施策として考えている中に今回、スポーツというものを入れ込んで、そして、スポーツ自体が人生や地域を豊かにする、子供たちの教育の中からも進めていく、こういうふうになっていければと思っておりますので、現場を持っている者として、皆さんのお知恵をかりながら、1つの方向性ができあがればと思っております。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。
桑田委員、お願いします。
【桑田委員】  桑田でございます。現業は、今御案内の名簿にありますように、地域総合型スポーツクラブを経営いたしまして、15年経っております。略歴としては、モントリオール五輪にバスケットボール選手で参加したオリンピアンとしての経験と、その後の日本リーグの指導者、競技団体の経営、並びに地域の総合型地域スポーツクラブの関係を長年やらせていただきました。その経験を踏まえまして、今、2020年のオリパラが決まり、そしてスポーツ庁ができ、大変、スポーツ環境が目に見えて変わってきているのかなということを、地域でやっていてものすごく実感している1人であります。
それは、やはり、地域におけるスポーツのソフトインフラ。これは、いろんなお話を伺いますと、それぞれの団体は一生懸命やっているんですが、どうもその団体だけでということで完結していて、地域を俯瞰して見るコーディネーションがまだまだ現場にはないのかなという感じがしております。
そして、スポーツだけじゃなくて、健康目的の運動ですね、軽運動だとかそういうことも含めて、どうやってコーディネーションしていくかということが大変重要なんじゃないかなという気がしております。それには、場所の問題とやはり適切な指導者、本物の指導者を提供できる環境というのが、実は現場ではまだまだ少ないような気がしております。
そういう中で、先ほど、雇用という概念を言われた先生がいらっしゃいましたけれども、地域スポーツにおける雇用ということは言っていましても、その環境を創るのはなかなか難しいテーマでございます。やはり、地域で1人の指導者を受け入れていく、あるいはマネジメントターを受け入れていくというような、地域スポーツが組織として雇用という概念を持つことが今後の課題と考えます。地域スポーツの産業化――今、スポーツの産業といういろんなお話を伺いますが、スポーツに関係する企業分の産業を活性化しようという概念にしか、どうも私、は受け取れない。そうじゃなくて、地域のスポーツをやっている方々が、ちゃんとお金が回っていって、最低の生活ができ、地域のスポーツ振興にフルタイムで没頭できる環境づくり、これが非常に大事であって、その環境ができないと、トップアスリートのセカンドキャリアとかいろいろ言われますけれども、受け皿が実はないんですね
私も、専業で、24時間、365日、生活をかけてやっておりますけれども、やればできる環境というのは作れるなということを、15年かけて非常に実感しておりますので、それをベースに、ライフステージに合ったスポーツの場の提供ということ。もちろん企業のスポーツ環境、いろいろあるかもしれませんけれども、一番多いのは地域でやっているフラダンスのサークルから、我々の総合型、地区体協等、既存の地域スポーツの財産はいろいろありますので、そこがちゃんと有機的に効果的に連携をしながら、スポーツを提供する側が生活ができなきゃ、ボランティアではできませんので。だからといって、全部がそういう事業化ということではありませんが、ボランティアを残しつつ、しかるべきポイントの方々が事業化を目指しながら地域の専門職として生活をしていける環境作りということが、今後の2020年東京オリパラが終わった後のレガシーということにも直結する話で喫緊の課題だと思っております。
もう1つ、付け加えますが、地域はスポーツだけではもう動きません。やっぱり運動だとか地域包括との協働、あるいは文化振興、産業振興、こういうことをやはり1つのキーワードとしてコーディネーションしていく機能が必要で。なかなか現場では、難しいなということを15年間実感しておりますが、でも、それは、最近スポーツ庁ができたおかげ、オリパラが決まった影響で、少しずつ地域の行政も変わりつつあるなということをものすごく実感しておりますので、そういうような御提案とかそういう議論を是非この場でさせていただければうれしく思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
【友添部会長】  境田委員、お願いします。
【境田委員】  私は今弁護士であり、あとは、日本バスケットボールの協会の理事と、新しくできましたBリーグの理事と、あと、東京大学の理事もやっておりますので、それぞれの立場から簡潔にお話ししたいと思います。
まず、私がスポーツに関わるようになったきっかけは、弁護士として、スポーツ界のある不祥事案件の依頼を受けたことでした。その後、スポーツ団体で起きた不祥事案件について第三者委員会の委員として調査に関わったりするようになりましたが、それらの経験を通じて思ったのが、やはりスポーツ団体のコンプライアンスとガバナンスを確立していくということがいかにはなかなか大変な作業かということです。さらに、スポーツ団体は、他の団体に比べても、世間から結構厳しい目で見られますので、一層注意深くガバナンスやコンプライアンスを確立することが求められます。ところで、一昨年、文科省の委託事業で、スポーツ団体のガバナンスについて調査を行うことになり、20ぐらいのスポーツ団体にヒアリングをさせていただいたことがあったのですが、そのときにわかったことは、日本サッカー協会等を除くほとんどのスポーツ団体において、バックオフィスの人材が少なくて、コンプライアンスを指導する人とか、ガバナンスやマネジメントを指導をする人とか、そういった人材がものすごく不足しているということでした。
特に、一昨年、国際バスケットボール連盟の日本バスケットボール協会に対する制裁案件において、タスクフォース委員として関わるようになって分かったことが、スポーツ統括団体(NF)というのは、自分の組織だけガバナンスを確立すればよいというのではなく、NFというのはその競技のピラミッドの頂点にあるのだから、その頂点の下にある様々な団体、たとえば都道府県のバスケットボール協会、その下の市町村の協会、さらに大学バスケットボール連合、高体連、ミニバスケットボール連盟等、そういった下部団体まで含めて全てガバナンスを確立しなきゃいけないということです。そういった下部団体までガバナンスするためには、本当に人手が必要なわけで、やっぱり、現状のNFには本当にスタッフの数が全然足りないということを身をもって痛感いたしました。
次に、先ほどの日本バスケットボール協会の問題に関わるようになってわかったことは、やはりNFは、マーケティング活動でお金を稼いで、それで、良いマネジメント人材を雇うことが必要だということです。この1年間で、Bリーグができて、スポンサー収入は従前の2つのリーグ(bjリーグとNBL)の合計スポンサー収入の5倍から7倍、日本バスケットボール協会のスポンサー収入も5倍から7倍に恐らくなっていると思います。まだ確定はしていませんけれども。
これらのマーケティングの経験を通じて分かったことは、スポンサーは、単にNFのホームページにスポンサー企業名を露出するとか、また、単に競技会場のコート上にスポンサー企業名を出すだけでは、お金をあまり出してくれないということです。スポンサー企業が、多額の協賛をしてくれるためには、協賛先の事業を通じて、自らの事業を拡大できるチャンスがある、さらには、新技術の開発やその広告宣伝のチャンスがある、などの条件がそろえば、スポンサー企業は多額の協賛をしてくれるということです。具体的に言うと、AIとかIoTとか、3Dとかバーチャルリアリティーとか、高密度Wi-Fiとかそういった最先端の技術導入、技術革新とマーケットの拡大の見込みがあるからこそBリーグに多額のスポンサー収入が集まったということです。 だから、やっぱり、スポンサー側がどうやったらお金を出しやすいかという視点に立って新しいリーグを作っていく、これがすごく重要だなということがよく分かりました。今年の5月には東京大学でスポーツ先端科学研究拠点というものを作りました。そこでは、全学の14の部局が設立に賛同してくれて、これまでに、約50の研究テーマが出てきたのですが、その研究テーマを見てみると、恐らく今後のいろんなスポーツ科学の発展、トップアスリートの競技力向上に大きく貢献できるような優れた研究テーマがいくつもあります。だから、東京大学においても、単に自分の関心のある研究を行うというだけではなくて、実際にいろんなスポーツ界の人たちと交わり、彼らに対して、新たな技術や価値を提供するための仕組み作りがとても重要だと考えています。その実践を通じ、そのスポーツ団体にいろいろ企業から、スポンサー料が集まる、そしてそのスポンサー料からスポーツ科学技術へ投資が行われるみたいな、そういった好循環が作れるんじゃないかと、今、考えております。 あと、馳大臣が日本版NCAAということをお考えになっていますけれども、これもやっぱりアメリカのNCAAをそのまま日本に持ち込むのではなくて、日本における様々な先端テクノロジーを大学スポーツ界に導入し、そのコンテンツをライブ配信をするなど、新たな市場を開拓する仕組みを作っていけば、恐らく多くの企業がすごく興味を持ってくれると思いますし、
それによって収入が増えれば、日本版NCAAのヘッドクオーターの機能も充実してくるし、大学スポーツ全体を取りまとめる求心力も出てくると思います。
あと、日本バスケットボール協会の場合も、協会とその傘下の都道府県協会との関係があまりうまくいかなかったのですが、今回の制裁問題を契機に、日本バスケットボール協会が収入を増やし、その増やした収入を都道府県協会に対し分配した、そしてその分配金を使って、都道府県協会は、運営の公正化、透明化を図るために法人化を実現したのですが、このやり方で、日本バスケットボール協会にはやはり大きな求心力が生まれたんですね。ですから、日本では、NFがきちんとマーケティングでお金を稼いで、それを傘下の下部団体に分配するというやり方が実践できれば、すごく、競技界全体のガバナンスも実現できるし、競技の普及発展もできるし、いい人材もそろう、結果としてこのような好循環が生まれると考えています。まだ模索中なところもありますが、またそういったことも具体的に提案させていただきたいと思います。
【友添部会長】  ありがとうございました。
髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】  髙橋でございます。今日は3点申し上げたいと思います。1点は、私の立ち位置でございます。2点目は、第1期5年間の評価、そして3つ目は、私どものビジョンと課題について、申し上げたいと思います。
まず、1点目の、私の立ち位置でございますけれども、私は障がい者スポーツ協会常務理事ですが、障がい者会スポーツ協会は、1964年の第1回の東京パラリンピックにおいて、日本人選手の多く施設や病院から参加した。一方外国の選手は、はつらつと、社会人として生き生きして活躍した。是非日本もそうなるべきだということで、1965年、第1回東京パラリンピックの選手に当協会ができて、50年がたちました。したがって、もともとは障がい者の方のスポーツの普及・振興が目的でできた団体でございます。
そうしている中で、1998年に長野のパラリンピックがございまして、競技力を向上させよう、みんなでやってみようということで頑張ったら、成果も出たということで、私どもの障がい者スポーツ協会の中に、長野パラリンピックの翌年の99年に日本パラリンピック委員会ができました。そうした意味では、私どもの障がい者スポーツ協会の内部組織にパラリンピック委員会があって、ここは、健常者の方が体協さんとオリンピック委員会さんが各々法人化されているのとは別で、両方の機能を1つで持っているという協会の一員として今回参加させていただいているということを、まず申し上げたいと思います。
それから、2つ目は、第1期の5年間についてでありますけれども、私どもはやはり、スポーツ基本法に障害者スポーツというのが明記されたということが大きい転機になって、そして基本計画の中でそれを現実化させていく政策が出て、大変ありがたく思っております。東京オリパラが決まり、スポーツ庁に一元化され、そして昨今のマスコミの報道をみても、本当に障がい者スポーツとかパラリンピックとかいう言葉をこれだけ目にするようになったことを大変うれしく思っておりますが、これを一過性に終わらせるのでなく、私は担当しているからこそ非常に盛り上がっているように感じてしまいますが、国民全体から見れば、まだ、ある意味では、パラパラぐらいの感じだと思っておりますので、これを大きい火に育てていきたいと思っております。
3つ目、私どものビジョンと課題について申し上げて、終わります。私ども、2030年までのビジョンを2013年に公表いたしました。ビジョンを一言で言えば、スポーツの力を使って共生社会を実現しようということになります。障がい者スポーツの普及振興を横軸におきながら、斜め上に競技力を向上させて、ゴールデントライアングルの面積を増やして、共生社会の実現と、スポーツの力で共生社会を創っていきたいというビジョンを持っております。
しかし、現実的には、まだ課題がいっぱいありますが、とりあえず3つの差、アンバランスを申し上げれば、1つは、健常者と障害者にやはりいろいろアンバランスがあるだろうと思っています。施設の問題、環境の問題、運動実施率の問題、競技団体の力の問題等々、障害者と健常者ではまだまだアンバランスがある、差があると思います。2つ目の差は、障害者スポーツの中においても、アスリートと一般障害者では少し差があるんではないかという反省を踏まえております。こういうところもバランスよくやっていかなくちゃいけない。3つ目は、先ほどからも出ておりますが、首都圏というか東京大都市圏と地方との障害者スポーツに対するアンバランスというか差というかを感じざるを得ません。
こうした3つの視点を持ちながら、この部会に参加させていただいて、さらに今後5年間が大きく発展するように意見を申し上げたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
【友添部会長】  田口委員、お願いします。
【田口委員】  田口です。日本パラリンピアンズ協会の理事をやっておりまして、今、車椅子に乗っているんですけれども、私は実は大人になってから病気で足が悪くなって、車椅子に乗るようになりました。私は周りに恵まれていたんだと思うんですけれども、退院してそのままスポーツ、射撃なんですが、行いまして、当たり前のようにどんどん目標を持って始めていくことができまして、いつの間にかパラリンピックに出ていたっていうことなんですけれども、それが自分にとっては当たり前だったんですね。例えば、病院にも入っていましたけれども、そのときのリハビリのPTの先生、理学療法士の方々が障害者スポーツをされていて、私に勧めてくれたり。
ですので、私の中にも、それが当たり前なんだと思っていたんですけれども、実際はそうではなくて、この間も小学校に講演に行ったんですが、障害を持った子供たちは体育を見学しているとか、あと、同じ地域に住んでいる障害者の方々に会ったら、そういう障害者スポーツとかに触れる機会がなかったり、リハビリが途中で終わってしまって、自分の生活すらまだできていないっていう方たちがたくさんいることに、私は大変驚きました。
実際、私がスポーツを始めたことによって、やっぱり、体とか体力、健康面だけでなくて、いろんな人と関わるっていうことがありまして、そういう、人と関わるということが、いろんな人に関わっていくと自然と共生社会というのが生まれると思うんですね。何かを教えたりとか、無理やり何か勉強するっていうよりも、もっと普通に一緒に過ごしていくっていうことが共生社会を創れると思いますので、先ほど申し上げたように、障害を持った小学生とか中学生の子たち、子供たちですね、あと、まだまだ地域でスポーツに触れていない障害者の方たちがいかにスポーツに触れて、いろんな方々と関わっていくことが大事っていうのを、私は今、身をもって感じています。
先ほど髙橋さんもおっしゃっていましたけれども、第1期の基本計画で障害者スポーツというのを盛り込んでいただいて、随分いろんな意味で変わってきたとは思うんですけれども、まだまだパラリンピアンだけがスポーツをやっているという意識も周りにはたくさんありますので、さらに第2期の基本計画には、障害者スポーツの推進とか環境整備とか、そういうのをもっと踏み込んで入れていけたらなと思います。もちろん、障害者スポーツだけではありませんので、いろいろなことを私も勉強しながら、第2期のスポーツ基本計画に尽力させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  田中委員、お願いします。
【田中委員】  田中ウルヴェ京です。スポーツとの関わりの変遷を通して自分の自己紹介をさせていただきます。
一番最初はシンクロナイズドスイミングの選手でした。その後に、オリンピックに出た後、そのまま、日本、フランス、アメリカでオリンピックの代表コーチを経験しました。その後、解説者という立場でオリンピックには関わりました。現在は、メンタルトレーニングの指導士という資格をアメリカの大学院後、取得をしましたので、そのメンタルトレーニングの指導という面で、専門は大きく分けて2つです。
1つ目は、オリンピックやパラリンピックの選手に対しての、本番での実力発揮のメンタル。簡単に言えば、勝つためのメンタルを指導していくことが1つ。それから、もう1つは、その後、必ずどんな選手も、勝とうが勝たまいが競技引退をします。引退後の人生のほうが長いので、引退後の人生の、一言で言ってしまえば、その人の人生の意味、次の人生の意味を一緒に考えるというキャリアプランニングという、この2点が専門でメンタルトレーニングをやっています。
やっている対象者としては、オリンピックやパラリンピック選手、そしてプロゴルフ、プロサッカーというような選手たちを個別に見ていたり、先日は、国際オリンピック委員会に行ってまいりまして、IOCがやっているアスリートキャリアプログラムというものが2006年からありますが、そのプログラムの認定トレーナーという資格も得てまいりましたので、その立場からまたいろいろなキャリアプログラムの意見などもさせていただければとは思っています。
一言で申し上げると、選手、コーチという立場として、一点集中でのスポーツのよさもたくさん知りました。でも、同時に、その後にいろいろ悩み、心理学を勉強するに当たって、スポーツを多視点で見たときのスポーツのすばらしさというものもたくさん感じました。なので、この部会では是非、どんなスコープで自分は意見をしていきたいかなと考えたときに、長官も先ほどおっしゃっておられましたが、メダルだけではない、スポーツの価値の可視化というところに視点を当てて、できるだけ自分は意見をしていきたいなと思っています。
もうちょっと言い換えれば、暗黙知でたくさんすばらしいよいことが隠れているのに、それが言語化されていないということが、スポーツの中ではすごく大きな問題だと思います。抽象的に聞こえるかもしれませんが、この言語化の中に、先ほど言っておられました、施策の中でもあったインテグリティの意味。こんなことは大変抽象的なことです。でも、これを言語化して、スポーツには全く興味のない人にも分かってもらえるような言葉に換えていかなきゃいけない。あるいは、産業化の方略だったり、少子化・高齢化といったような、既に文面ではあるんだけれども、じゃあどうするという方略化についても、これは暗黙知の可視化ということに当たるかと思います。
心理学はとても抽象的な言葉での表現が多いですが、それを可視化するという意味では、システム思考あるいはデザイン思考というところからの可視化というようなことも今、勉強中でございます。自分もまだまだいろいろ勉強させていただく立場ですが、是非そのような立ち位置で意見をさせていただければと思います。
よろしくお願いします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
萩委員、お願いします。
【萩委員】  萩と申します。このような会議に参画して意見を述べられることを大変光栄に感じております。私の自己紹介とともに、今の日本のスポーツ振興について感じている点、3点ほど述べさせていただきます。
私、平成20年から文科省の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の委員をやらせていただいておりまして、その中で事例の検討委員会というのもございまして、その関係で、幾つかすぐれた学校を訪問させていただきました。幾つかの学校を見て感じるのは、もちろん体育の授業だけではなくて、学校全体が一丸となってやっているということと、一番強烈に感じましたのは、まず先生方が非常に喜々としてお仕事をなさっているという姿です。
子供の体力の問題は、どうしても子供の問題と捉えがちですが、そうではなくて、子供の周りにいる大人の問題であると。そうしますと、学校であれば、やはり教師、教員がいかに自分たちの仕事を楽しくやっているかということが、子供に影響しているんだなというのを感じました。ですから、教師の仕事の仕方等も併せて考えていかないと、なかなか元気が出るような学校が増えていかないのではないかと、ちょっと懸念しております。
それと、私自身の研究の関心事というのが、運動習慣者を増やす、いかに増やせるかという研究課題なんですが、先ほど運動実施者の結果が出ておりましたけれども、どうしても天井かもしれないと。これ以上増やしていくには、違うアプローチが必要であるということと併せて、今の研究課題は、運動が苦手とかあまり好きではないとか関心がないという人たちが、どうしてそういう気持ちになっていくか、どんなイメージを持っているかということを調査しているんですけれども、どうもその根は幼児期の体験にもあるようで、小さい頃にどういう体験をしたかということが大きいようなんですね。
そうなりますと、幼児に対する対策というのも大変重要かと思うのですけれども、もう1つ、そういうイメージというのは、多分、いい経験をしたり再教育をすることで十分改善する可能性があると思います。そうしますと、そこの最後の砦というのは、実は大学なんですね。私も大学に勤めておりますし、今の東海大学はいろんな学部がございますので、スポーツの苦手な方もいっぱい入っている大学なんですけれども、そこでの調査の結果でも、やはり、いいアプローチをすると変わっていっているんですね。そこでスポーツの価値や体を動かすことの楽しさを体感して社会に出ていきますと、その人にとっては生涯にわたってスポーツは常に生活の中にあるものになっていくのではないかと。そういう意味で、最後の砦である大学の教育の中でそういうものを実践して、しっかりと身に付けさせていくことができるのではないかと考えております。
東海大学は、いまだに一般体育が必修ですので、全員が行っております。約2,500名の学生がいるのですが、その学生全員に教養としての体育を身に付けて卒業させています。このあたりが、長い目で見ますと、やはりスポーツ好き、あるいはスポーツへの理解を持った国民を育てていくことにつながっていくのではないかと感じております。
最後に、人材育成の場におりますけれども、参考資料にも出ておりますが、こういう体育・スポーツ系の学部の在学生というのが、何と4万2,180という結果が出ております。そんなにたくさんの人材を養成しているにも関わらず、そういう方々が社会の中でどの程度活躍できているのか。非常にここは大きな問題でして、一方では人材不足あるいは専門性が足りない、もろもろ出てくるわけですけれども、大学4年間こういうことを専門的に勉強している学生が4万人余りいるわけなんですね。こういう人材をどうやって活かしていくのかということをやはり早急に考えていかないと、大変もったいないなと思っております。
こういう、とても重要な会議の委員というのは初めての経験で、非常に不慣れなことが多いのですけれども、いろいろと勉強させていただきながら、私の経験の中からいろいろお話ができたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  原田委員、お願いします。
【原田委員】  早稲田大学の原田と申します。現在、観光庁の政策の中からスピンオフした、日本スポーツツーリズム推進機構の代表理事を務めております。先週、5周年の記念セミナー、パーティーがあり、鈴木長官と髙橋次長にお越しいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。
先ほど7本の柱について説明を受けましたが、その中で少し弱い部分があるなと思いましたので、それを3つにまとめてお話しいたします。
1点目が、企業とスポーツについてです。2020年のオリンピックに向けて、現在、企業の関心が高まっており、2020年の組織委員会に対する協賛金も北京を上回る史上最高額が集まっています。企業とスポーツについては、日本では世界的にもユニークな企業スポーツが盛んで、チームやアスリートを所有しています。ただ現在では、所有の段階から、支援の段階、そしてパートナーやスポンサーの段階へと、徐々に進化を遂げています。ただし、企業の基本的な姿勢は、まだスポーツのために何かいいことをやってあげようというCSR的な姿勢が強いのも事実です。特にパラリンピックに対して、企業は、これだっていうことで今、積極的に支援していますが、2020年を過ぎると、ガラッと風景が変わると思います。そうならないためにも、企業と一緒に価値を共創していこうというCSRからCSVの方向性をつくる作業も次の基本計画の中では重要になるかと思います。
同じ、企業というくくりの中でいうと、フィットネスクラブがあります。全国で3,500カ所、4,000億円の市場に成長しています。特に関東圏、東京、埼玉、横浜では、成人の5%が会員です。総合型の地域スポーツクラブを上回る会員が集まっている。すでに地域に密着したフィットネスクラブやYMCAといった組織と今後どう連携をとるか、あるいは高齢者がもっと手軽に使えるように補助金を出すとか、そのような具体的施策が必要だと思います。
2点目が、地方とスポーツに関することです。今、スポーツツーリズムの世界では、地方創生特別交付金を使って新しいスポーツ振興の組織、いわゆる地域スポーツコミッションを作る動きが目立ってきています。例えば札幌ではグローバルスポーツコミッションが設立され、長崎ではJリーグのV・ファーレンというチームの事務局の中に長崎スポーツコミッションが誕生し、イベントを誘致しながら地域スポーツを振興しようという新しい動きが出てきています。このような地域とスポーツの中での最先端の動きについても議論していくべきだと思います。
最後に、スポーツとイベントについてですが、現在日本は、スポーツイベントが非常に盛んです。例えば、フルマラソンの大会は197開かれていますが、これにチョコランとかスイーツラン、そしてゾンビランといったファンランを全部加えると、約3,000のランニングイベントが開かれています。トライアスロンは、全国で300近い大会が、トレイルランは270大会が毎年開かれています。国際舞台に目を転じると、2020年の後、どのようなメガスポーツイベントを招致するべきかという国際的な戦略が必要となります。
イギリスは2012年にオリンピックをやりましたが、その後2014年にグラスゴーで英連邦大会、2015年に全国でラグビーのワールドカップ、そして17年にカーディフで世界陸上ということで、メガスポーツイベントの招致を着々と、そして計画的にやっています。そのおかげもあって、2012年に3,000万人のインバウンドの観光客が、今、3,500万人に増えています。今後、2020年のレガシーを考えた場合、スポーツツーリズムによるインバウンドの増加という視点から、国家レベルでのスポーツイベントの招致を戦略的に行うことが重要ではないかと考える次第です。
以上です。
【友添部会長】  増子委員、お願いします。
【増子委員】  福島県障がい者スポーツ協会に勤務しております増子と申します。車椅子バスケットボールの選手をしておりまして、去年まで現役で、昨年の11月のアジアオセアニア予選を最後に引退をました。20年間、日本代表を務めさせていただいていた中で、併せて、地方の行政の中にあって障がい者スポーツ協会に勤務しておりまして、地域の障害者スポーツの振興にずっと携わってまいりました。
先ほど、いろんな方が障害者スポーツについて説明していただいたので、省きますが、一元化された以降、福島県も障がい者スポーツ協会が、障がい福祉課から、今年の4月からスポーツ課の方に一元化され、業務が移管されました。その前に福島県では2002年からスポーツ推進委員会に、振興会議で審議会に入れていただいて、障害者のスポーツに関しての文言を入れていただいて、一部ではありますが、非常に行政、首長、全てにおいて障害者スポーツに対して理解が深かったということもあって、そうした形で障害者スポーツの振興をしてきていました。
ただ、一元化されたとはいえ、まだ障害者のスポーツ、特にパラリンピックは今、先ほどからおっしゃっているようにメジャー化されて、支援体制も非常に大きくなっていますが、地域において、手の届く方、目の届く方がパラリンピック以外のところでスポーツをする環境が整っているかというと、なかなか大変な状況が続いております。障害をお持ちの方が身近な地域で一般の人同様にスポーツをする環境が整うというのは、これから進めていかなければいけないということでこの場に私がいるのかなとは思いながら、おります。
障害をお持ちの方がスポーツをすることは、圧倒的に障害をお持ちの方って社会経験が少ないんですね。そういう中で、スポーツをすることで、楽しみながら、そして、その中でパラリンピックの選手、私のようにいろんな国際大会に出場させていただいて、いろんな経験をさせていただく選手も出れば、地域の中で社会性を身に付けながら人間性を高めて、そして就労して、自立に向けて頑張っていく。地域はむしろそっちのほうに力を入れているところですね。ですので、そうした、日々、地域のそういった障害者のスポーツに関して、この場でそれを基に発言させていただけたらと思います。
この基本計画の中に、パラリンピックというところが非常に特化して障害者のスポーツで目立つところですが、障害者の生涯スポーツに関して、ここの中で「障害者が」というような文言が少しでも増えるような形にしたいなとは思っています。といいますのは、子供、若者、高齢者っていうふうに、この中では入ってきています。で、一元化されたとはいえ、まだまだ障害者のスポーツの文化は始まったばかりですので、特化した特別な配慮が必要な、支援が必要な状況ですので、是非、障害者のスポーツ、体力作りのこの2番のところに特に、障害者の方の明記がされるように、私が微力ながらお役に立ちたいなと思っていますので、よろしくお願いします。
【友添部会長】  結城委員、お願いします。
【結城委員】  読売新聞編集委員の結城と申します。よろしくお願いいたします。
私は、年がばれますが、22年間、IOC、オリンピックの取材をしてまいりまして、この夏のリオのオリンピック・パラリンピックが五輪12大会目、パラリンピック7大会目の取材となります。私、五輪の開催都市でも駐在した経験が2度ございますので、ある意味で、オリンピック・パラリンピックが起きたときに何が起きる、その周りで双眼鏡の逆側から見ているように、それをじゃあどうやって今、準備したらいいのか、そういう思いで現状を見ているところがございます。
さっき、鈴木長官が、この5年間、次の第2期というのはスポーツのこれからを大きく変えるすごく大事な時期になるとおっしゃった、非常に共感をしています。1つは、やっぱり、この2020年をどう捉えるか、どういうふうにつかまえるかということで、この先がどんどん変わっていってしまうからだと思います。私のほうのそういった視点から、この第2期の計画で、これまでも恐らくあったでしょうが強めていっていければなと思うことが2点ございます。
1つは、オリンピック・パラリンピックというのは、過去の開催都市では、いわゆる行政側として地方行政も含めた組織体が、これまで連携しなかったところが連携をする大きな機運を生みます。ロンドンの経験者、組織委員会経験者の方でIOC委員は、「そんなことが起こるのは、あとは戦争ぐらいかね」って言ったぐらいでございます。平和裏のときに国が1つになる、ある意味で1つの方向性を持って、この辺にもうやらなきゃいけないことが起こるわけですから、それに向けてどうするのか、そのレガシーをどういうふうにつかまえるのかということで、一丸となれるのはこの機会だと。要は、この基本計画というのは、スポーツ庁の枠組みの中で考えるわけですけれども、前回のは文科省の中でございますが、文科省スポーツ庁の予算の枠組みではなく、専権事項の枠組みだけではなく、そこからスポーツを軸にどのように、行政である、そして地方である、いろんな形でまとめていくかという視点が必要になってくるのではないかと感じています。
もう1点は、意識改革です。先ほども委員の方々、先生から、意識改革、大事だね、難しいけれども大事だねというお話がございました。全く同感です。パラリンピック側で共生社会に向けての意識改革というのもテーマになっています。オリンピック・パラリンピック全体を通じて、スポーツをする、運動をする、体を動かすということに対しての大きな意識改革を日本の中で作り出したい、そのための計画にしたい、そういう視点があればいいなと思っています。
1つの鍵は、私は別にメディアだから申し上げるわけではございませんが、情報だと思います。情報というのは、私の世代は特に、情報と聞くと、新聞・テレビであったり、それから行政からの発信であったりというのを想像しますが、もう、今の情報は、さっき久住委員の方からございましたように、口コミです。ネットであったり、スマホであったり、友達であったり、おばちゃん同士であったり、口コミの世界というのは非常に重要になる。
日本の今のスポーツ文化というのは、結局、よく比較になりますけれども、外国で近代スポーツの曙から、スポーツをすることがプレステージであり、上流のよさげなところの証明であった、そういうイメージをずっと持っているスポーツ文化、スポーツをすることのすばらしさ、楽しさを感じましょうっていう流れと、日本というのはどちらかというと、まだ、やっぱり、「スポーツをしている人、暇なのね」、「いいわね、ジョギングできて。仕事はどうなっているのかしら」、「あ、あの子、よくスポーツできる、スポーツバカ」、そういうようなイメージがどうしても何だかつきまとって、スポーツそのもののプレステージが上がってないような気がいたします。ここを大きく変えたい。
日本で風なんか吹くのかしら。吹きます。オリンピック、64年のときだって、その後の市民スポーツへの隆盛というものは非常に大きく、その後、バブルが崩壊してしぼみましたけれども、非常に大きく流れができました。その大きく吹く風をやっぱり、こう広げて受けなきゃいけない。その、こう広げるためには、そういった情報、意識改革といったものを、認識変革といったものを1つの柱にした、どのようにじゃあ国民に、健康であなたの脳に、それから体に、そして人生に、いろんないいことがあるんですよっていうような情報であるとか……。
若しくは、私なんか、外国の欧米の記者仲間の話を聞いていますと、例えば、活動量計リストバンドってありますね、「俺、これ」、「私、これ。かっこいいでしょ。明日6時、ジョギングする?」、「眠いけどいいや。ジョギングする」、そういうふうな会話をしているんです。彼らの中ではかっこいいわけです。そういうリストバンドをして、活動量計をはめて、朝、どんなに忙しくても、4時間睡眠でもジョギングするっていうのは、かっこいいわけです。
そういった流れを、企業というのは広報的な媒体として、能力、非常に強いものを持っている。そのビジネスのいわゆる技術開発であるとか広報能力だとかといったものを取り込みながら、国の中で、「スポーツって実はすごくおもしろそうなものじゃない? かっこいいんじゃない? 自分にとってもどうもいいみたいだよ」っていう話をどんどん高めていければなと思っています。
何かの形で大きく2020のレガシー、受け皿を作る、それを是非、一緒に考えさせていただければと思っております。
【友添部会長】  和久委員、お願いします。
【和久委員】  JSC情報・国際部の和久と申します。よろしくお願いいたします。情報・国際部と私のバックグラウンド、現行の計画について、それと第2期基本計画について幾つかの意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、私のバックグラウンドですけれども、JSC情報・国際部で仕事をしています。情報・国際部の前身は、国立スポーツ科学センター・スポーツ情報研究部で日本のトップスポーツの競技力向上のための情報収集と分析・提出を行うセクションとして立ち上げられました。ここで10年ほど、主として、トップスポーツの国際競技力向上に向けて世界はどのような取組を行っているか、世界は何を考えているのか、様々な情報を集めて分析し提供するという仕事をしてまいりました。2011年のJSCでの組織再編において、JSC本部直下の情報・国際部という新しい部署になりました。これにより、我々のカバー範囲が広がり、現在は、トップスポーツに加え、スポーツ参加促進、スポーツ国際協力、国際スポーツ等の情報について、日々収集・分析・提供するという仕事をしております。
次に、現行の基本計画についてのレビューについてコメントします。まず、子どもの体力向上については一定の成果があったということは認めつつも、今後の日本の人口動態を考えますと、フィジカルリテラシーに対するアプローチが非常に重要と思います。特に幼少期の子供と保護者に対するフィジカルリテラシーをしっかりと行う必要があると思います。最近、このフィジカルリテラシーという概念が世界で注目をされて、各国で取り組まれています。
2点目のスポーツ参加促進については、それを考える上で2つの軸が必要です。1つは、先ほどもお話がありましたように、スポーツに参加していない無関心層へのアプローチ、もう1つは、スポーツを既に実施している人たちへのアプローチ。この2つの軸を同時に考えていく必要があります。いずれにおいても重要なのは、スポーツを消費財、スポーツに参加する人を消費者と捉えて、マーケティングの考え方を活用した無関心層のスポーツへの取り込みとスポーツを既に実施している人たちへのアプローチが重要と思います。
無関心層へのアプローチについては、世界ではインサイドというマーケティング手法を活用し、詳細な分析に基づき、戦略的に取り組んでいます。この点は今後の課題になるかと思います。
既にスポーツに参加している人については、スポーツの実施スタイルが変容しているという認識を持つ必要があります。つまり、これまでは組織化されたスポーツの中でスポーツに参加するというシステムであったのが、個でスポーツや身体活動を行うというライフスタイルが変わっています。したがって、個人の行動変容を促していくアプローチと同時に、環境そのものを変えていくという取組が今後の課題になると思います。
3点目の、トップスポーツについては、2000年のスポーツ振興基本計画の策定以降、この10数年の間、様々な変革が行われました。すなわち、イノベーションの時代でした。ところが、2012年以降、世界はイノベーションの時代から組織能力の強化の時代に変わってきています。すなわち、競技団体の組織能力をいかに高めていくかという点が重視されるようになっています。恐らく2016年から2020年ぐらいまでは組織能力の競い合いということになるので、スポーツ団体の競技力向上事業をいかにプロフェッショナルに展開していくか、その組織能力の強化は、直面する課題です。しかし、その先のことを考えると、いかにトップアスリートを見つけ育てていくシステム化が重要になると思われます。スポーツ参加レベルには、多様なステージがあるので、その各ステージの結節点をどのようにつないでいくかというところが、今後重要になると思います。
国際スポーツ関係については、ネットワークを整理する必要があります。国際スポーツネットワークには、IOCやIFを中心とする国際スポーツネットワーク、政府系スポーツ機関のネットワーク、アンチ・ドーピングに関する国際ネットワーク、スポーツと教育を中心とする国際ネットワークが主にあります。こうした国際的ネットワークへの取組については、残念ながら、必ずしも十分ではないというのが現状だと思います。ここをしっかり取り組み、国際的プレゼンスあるいは国際的インフルエンスの保持・強化を推進する必要があります。アジアの中でも、シンガポール、マレーシア、タイ、中国、韓国などは国際力をつけてきていますので、その辺に危機感を持って取り組む必要があると思います。
5つ目のインテグリティの問題は、非常に重要な問題です。今後の基本計画の柱がスポーツの価値で、スポーツの価値を活用して社会を変えていくことを軸とするならば、現在の日本のスポーツは、それに耐えうるインテグリティが保護されているかをもう一度見直しした上で、強化をしていく必要があろうかと思います。
今後、第2期基本計画を考える上での視点として、3点ほどお話ししたいと思います。第一は、我々が危機感を持つべきことは我が国の人口動態です。2020年以降、人口減少と人口構成の変化が加速することを前提に考える必要があります。東京オリンピック・パラリンピック後も第2期基本計画は係りますので、この人口動態を見据えて、種をまく、そしてその芽を出させる計画作りというのが重要であると思います。
2点目は、日本そして日本のスポーツは今、世界から注目されています。トップスポーツの世界では、その国のスポーツシステムを変えるチャンスは3つあると言われています。1つは、オリンピックでメダルが取れなかったとき、第二にカリスマ的リーダーが現れたとき、そして、第三はオリンピックを自国開催するときです。世界は、日本はそのチャンスを得たとみています。第2期基本計画は世界からも見られているという認識を、我々は持つ必要があろうと思います。
最後に、これらのことを考えると、社会課題の解決に対してスポーツがどのように貢献していくかという視点から、基本計画の施策体系そのものを見直ししていく、つまり柱立てそのものを組み換えていく必要があろうかと思います。また、スポーツ界では、国からの補助や助成という考え方今なお強いですが、補助・助成から投資に時代が変わっているという認識を持つことが重要で、そのために戦略が重要であると思っています。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、泉委員、お願いします。
【泉部会長代理】  私の所属いたします日本体育協会については皆様よく御存知かと思いますが、各競技団体、そして47都道府県の体育協会と一緒になりまして国民体育大会や日本スポーツマスターズ大会、それから総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、指導者養成、医・科学研究等、多岐にわたって事業を展開いたしております。そのような背景を踏まえまして、本日は全体的な意見を1つだけ述べさせていただければと思います。
当然、スポーツの振興に当たりましては様々な組織、機関、団体が取り組んでおります。国においてはスポーツ庁をはじめ厚生労働省、経済産業省、国土交通省、外務省等、また日本スポーツ振興センターといった機関も担っております。スポーツ団体としては、私ども日本体育協会と一緒にJOC、日本障がい者スポーツ協会、競技団体、都道府県あるいは市町村の体育協会等の多くの団体が取り組んでいるところでございます。
現行のスポーツ基本計画にも、「関係者の連携・協働による計画的・一体的推進」として、関係組織などの連携について記載されておりますが、今後策定していくスポーツ基本計画における政策目標を達成していくためには、関係する組織などがそれぞれの役割をしっかりと認識した上で、責任を持って実行していくとともに、単体では取組が大変難しいというものについては、一体化して推進していく必要があるものと考えております。
さらに、スポーツ界での取組のほか、スポーツ庁発足後、スポーツ産業の発展、スポーツによる健康づくりなど、スポーツが関連する事項が大変多岐にわたっており、スポーツ界の中だけではなく、他の様々な分野との連携・協働が促進されるような機会を創出するようなことも、この場を踏まえて皆様と大いに議論したいと考えております。よろしくどうぞお願いいたします。
以上です。
【友添部会長】  次は私が何か言う番だということですので、一言お話ししようと思います。
もう委員の皆様方から大方意見が出たかと思います。大学に勤めながら、オリンピアンから、高校時代、運動部に所属したことがない、でも、スポーツするの、見るのが大好きだという学生まで、パラリンピアンもいますし、いろんな学生を相手にスポーツ教育学とかスポーツ倫理学というのを専門にやっております。
1つ言えるのは、1960年代あたりにスポーツ・フォー・オール運動というのが起こって、スポーツの大きな地殻変動がありましたけれども、また今、50年たって、先進諸国ではスポーツの大きな地殻変動が起こっているということを痛感する毎日です。きのうも外国から学部長が来られて、ランチをしながら1時間ほど意見交換したんですけれども、やはり、日本の国内だけ見てる時代ではないことを、改めて強く感じる毎日でもあります。
いろいろ出ましたけれども、1つは、ちょうど学習指導要領の改訂期でもありますので、それとの、保健体育との連動も必要だろうということも思っていますし、仕事柄、保育園、幼稚園のいわば自由保育から、小学校、中学校、高校の保健体育の授業も参観することが多いですし、総合型の地域スポーツクラブに出向くことも多くありますし、また、私の周りにはトップアスリートが、いっぱいいますので、競技の世界についてもよく存じているつもりです。
それらをどうつなげていくのかというのは、結局のところは、今、幾つか出ましたけれども、官と民と大学がここで本当にオールジャパンの体制が組めるかどうか、それから、スポーツ組織がインテグリティやガバナンスを重視しながら、それがまあ肝だと思うんですけれども、幾つか御意見がありましたけれども、自己財源をどう作れるかっていう、そういうところに来ているということかと思います。
と同時に、この基本計画、長官から諮問がありましたけれども、今まで私たちはスポーツの価値を論ずるときには、内在的な価値って難しい言い方をするとお叱りを受けますが、楽しみだとか勝利の追求だとか、いわば、プレイするある一面の価値しか実は扱ってこなかったように思います。で、それは、もっと言えば、外在的な価値、スポーツによる価値、それをどう言葉にしていくのか。すばらしいとか楽しいっていうことを経験を語ってももうしようがないんですね。何が楽しくて、何がすばらしくて、何が国民にとってプラスになるのか、こういうことをエビデンスを持ってしっかりと示していかなければいけない。まさにスポーツは、Physically Educated Person、つまり身体的に教養を備えた人たちを作っているんだということを、しっかりと皆さんに理解をしてもらうことが必要な時期に来ていると思っています。
いろいろ議論を重ねながら、また御意見を集約しながら、私も適宜発言をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
それでは、お待たせしました。山脇会長、真打ち、待ってました。
【山脇会長】  山脇でございます。オブザーバー参加なので、余り発言はないかなと思っておりましたが、せっかくですので、一言だけ。
本日はいろんな視点から活発な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。鈴木長官からは、冒頭にもありましたが、スポーツ審議会に対して、これからのスポーツ施策の方向性を具体的にかつ簡潔に、国民に発信するという、非常に簡潔で難しい諮問をいただいております。
中身についてはここの概要に書いてありますが、ざっくり3つあります。1つは、スポーツを文化として、先ほど、スポーツのプレステージをもっと上げるというような言葉がありましたけれども、文化としてどういうふうに根付かせるか、その具体策。2つ目は、スポーツとかスポーツ界が持っています課題や問題と、これらを解決するための具体策。それからもう1つ、スポーツを通じて意識変革をして、それを通じて社会の変革を行い、どう共生社会の実現につなげていくか、この具体策。
具体策は、先ほどありましたけれども、どう言語化するか、可視化するかということも大切だと思います。この3つの具体策はお互いに重なり合っているところがあります。2020年の大会を絶好のチャンス、多分千載一遇、ラストチャンスかもしれませんけれども、というふうに捉えて、これらの具体策をどう実現して、国民が共有できるレガシーとしてどのように残していくか。計画というと、今までの計画は、何かをすべきだとか、何かを検討するとかで終わっているのですが、今回は、できるだけ具体策を作って、そのKPIなども作って、それをチェックできるというところまでやっていきたいと思っています。
今日の議論をお聞きしまして、具体策のかなりヒントが出ていると思いますので、この基本計画部会を通じて、大変難しい使命ですが、皆さんとともにやっていけば、しっかりした基本計画が策定できると思いますので、友添部会長には大変重い任務になりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
【友添部会長】  ありがとうございました。
きょうは初回ということで、ウォーミングアップということで、きょう皆様からいただきました御意見は、これから基本計画の検討に生かしてまいりたいと思っています。
本日予定をしておりました議題はこれで終了ということでございます。時間もちょうど参ったところでもあります。
今後の日程案につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは、資料6-1と6-2をごらんください。
資料6-1がこの基本計画部会の今後のスケジュールについてでございます。縦に2列ありまして、左側が総会、右側がこの基本計画部会になっております。右側のほうをご覧いただきますと、きょう6月29日が第1回ということでございます。既に御案内しておりますが、7月5日、7月25日にそれぞれ第2回、第3回を行いまして、関係団体からのヒアリングということでございます。関係団体のヒアリング日程は資料6-2でお示ししてございます。グループごとに入れ替えをしながら、計26団体からヒアリングを行うとい形になっております。日程的にかなりタイトでございますが、よろしくお願いします。なお、7月5日は三田共用会議所で13時からということでございます。7月25日につきましては、13時からミツヤ虎ノ門ビルということで、文部科学省と虎ノ門ヒルズの間ぐらいにあるビルでございます。地図を送っておりますので、お間違えのないようにお願いいたします。
あと、その後でございますが、8月下旬から9月上旬、リオのオリンピック・パラリンピックの間の期間ということで考えておりますが、この回ではスポーツ審議会の総会と部会の合同で会議を開催いたしまして、スポーツ基本計画のミッションというんでしょうか、総論に当たるところ、具体的に申し上げれば、スポーツの価値の具体化という観点で御議論を賜れればと思っております。その後、9月からは、次期計画における主要課題についてということで、現時点では事務局として腹案を持っておりませんが、この後の議論の行く末を見ながら、何かテーマを設定して個別に突っ込んだ議論をしていただければと思っております。
その後、10月以降は、次期計画の中間まとめに向けた御議論をということで、骨子案、素案、中間報告案ということで、12月下旬には、部会、総会として、このスポーツ基本計画の中間報告をまとめていきたいと思っております。その後、パブリックコメントということで国民の皆様から御意見をいただきまして、それを踏まえて、さらに答申案をどうするかという御議論をいただきたいと思っております。最終的には、3月中には答申案としておまとめいただき、年度内、3月末までに文部科学大臣の決定として第2期スポーツ基本計画を策定していきたいと思っております。
月1回から月2回というかなりハイペースの審議になりますが、何とぞよろしくお願いします。
私からは以上でございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。
タイトな日程ではありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたけれども、鈴木長官からまとめの御発言をお願いします。
【鈴木スポーツ庁長官】  皆さん、非常に幅広い議論をいただきまして、ありがとうございました。聞いていても、これだけやっぱりスポーツの課題だとか守備範囲が広いんだなということを実感しました。
聞いていて、いろいろ皆さんからアイデアも出てきましたけれども、これから、1つは、これまで参画していなかった人たちにどうやってスポーツに入ってきてもらえるのか。無関心層であったり、あるいは経営者人材がいかにスポーツに入ってくるか。それから、あと、既にあるもので遊んでいるものをもっと利活用しなくてはいけない。体育系の学生が、もちろん頑張っている人もいますけれども、まだまだ生かされていなかったり、あと、オリンピアン・パラリンピアンの第2の人生としてもまだ生かされていなかったりする場合もあるでしょうし、それから、スポーツの場のほうの施設ですね。学校の施設であったり、企業の厚生施設の利用されてないところ、こういったところを利用しながら、うまくいろいろ盛り上げていけるんではないかということを思いました。
今こちらにお集まりいただいている方はもう、今考えられる最高の人選で、このスポーツ基本計画を進めていけると本当にありがたく思っていますし、誇りに思っています。どうぞ、次回以降もよろしくお願いいたします。
以上です。(拍手)
【友添部会長】  それでは、本日はこれで全て終了いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――


スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第2回)
平成28年7月5日


【友添部会長】  皆様こんにちは。暑いところを御参集くださいましてありがとうございます。
それでは、ただいまから第2回スポーツ審議会スポーツ基本計画部会を開催いたしたいと思います。今日は本当に、また蒸し暑い中をありがとうございます。
議事に入ります前に、今ちょうど到着したばかりで、まだ息も乱れているかもしれませんが、朝原委員が今日初めて御出席になられましたので、一言御挨拶をお願いします。
【朝原委員】  皆さん、こんにちは。今回スポーツ基本計画部会の委員として任命していただきました朝原と申します。
私は今、大阪ガス株式会社というところに所属しておりまして、企業スポーツの新しい形を作ろうということであったり、エネルギー会社ということで、地域をスポーツあるいは健康で活性化していこうということで今活動をしています。もちろんトップの選手の強化の指導とか、そういうことも携わっていますので、今回、本当に幅広い議題の中で、私の経験がもし生かすことができたらうれしいなと思いますので、これからよろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手)
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、本日は関係団体からのヒアリングを予定をしております。まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは、お手元議事次第をごらんください。
資料でございますが、議事次第の下に団体ヒアリングの日程、資料1があります。その下、本日ヒアリングを行います12団体からそれぞれ御提出いただいた資料を、資料2から資料13ということで配付させていただいております。不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
あと、資料以外にもカラー刷りで横長になっておりますが、団体ヒアリングの流れについてと本日のヒアリングのタイムテーブルを載せてございます。このとおりに進むわけでは、あくまでも目安ではございますが、2時間半ですか、こういう形で進めさせていただきたいと思っております。
あと、増子委員から福島県障がい者スポーツ協会だよりというものを配付していただきたいという依頼がありましたので、お手元に置かせていただいております。34号と35号を配付させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  それでは、議事に早速入ります。本日は、先ほど来申し上げておりますように関係団体のヒアリングということで、資料1に記載をされております12の団体から、第1期スポーツ基本計画を踏まえました第2期スポーツ基本計画の在り方について御意見を伺うことになっております。
進め方といたしましては、幾つかの団体のグループごとに、まず各団体から、時間短いんですが、8分以内で順次御発表いただきたいと思います。その後にまとめて質疑応答の時間を10分程度とらせていただきます。
それでは、早速ヒアリングを始めたいと思います。最初のグループは、日本体育協会、日本オリンピック委員会、日本障がい者スポーツ協会・日本パラリンピック委員会になります。
それでは、まず最初に日本体育協会、河内事務局長、金谷課長、よろしくお願いします。
【日本体育協会】  日本体育協会の河内でございます。本日は、第2期スポーツ基本計画の策定に当たりまして発表の場を頂きましてありがとうございます。本日は資料2に基づき御説明いたしますけれども、平成27年度の事業概要冊子『SPORTS FOR ALL2016』を御用意いたしておりますので、後刻、参考にご覧いただければと思います。
初めに資料2の1ページ、ご覧いただきたいと思います。本会がこれまで公表しましたスポーツの価値について御説明いたします。
日本体育協会では平成23年7月、日本オリンピック委員会とともに創立100周年を迎え、今後の100年に向けましてスポーツが果たすべき社会的使命をうたった「スポーツ宣言日本」を採択、公表いたしました。
この宣言にはスポーツの概念として、スポーツは自発的な運動の楽しみを基調とする人類共通の文化である。スポーツのこの文化的特徴が十分に尊重されるとき、個人的にも社会的にもその豊かな意義と価値を望むことができると示しております。
また、スポーツと関わりの深いグローバルな課題の解決に向けまして、21世紀においてスポーツが果たすべき次の3つの社会的使命を表明しております。この真ん中の四角の中になります。
1つ、公正で福祉豊かな地域生活の創造への寄与。1つ、環境と共生の時代に生きるライフスタイルの創造への寄与。1つ、平和と友好に満ちた世界の創造への寄与。ここでのスポーツの概念は、スポーツは自発性を重視していること、スポーツそれ自体を行うことを楽しみとして捉えまして、これを文化的特徴、内在的な価値としていること、また内在的な価値が十分に尊重されるときに、個人的にも社会的にも価値が創出される。このようなところがポイントになります。
2ページ目をご覧ください。本会のスポーツ医・科学研究におけますスポーツの価値についての御紹介でございます。「新たなスポーツ価値意識の多面的な評価指標の開発」という研究プロジェクトを行っております。このプロジェクトでは、2ページ目下段の図に示しましたとおり、個人的価値、教育的価値、社会・生活向上価値など、7つのスポーツ価値体系を基に研究を進めております。
この研究では、人間が文化としてのスポーツとの多様な関わり方、例えば、する、見る、支える等を通しまして得られるスポーツ固有の楽しさ、喜び、それこそが内在的な価値である中核的スポーツ価値として位置付けられまして、こうした価値の享受が十分に尊重、充足されるときに、周辺スポーツ価値、派生的スポーツ価値が、個人や社会全体に創出されるといったスポーツ価値のダイナミズムが重要であると考えられております。
今回、スポーツ基本計画の策定に当たりましては、スポーツの価値の捉え方として、スポーツ固有の中核的スポーツ価値を広め、共有することが重要であること。これをいま一度御確認いただければと思います。
次に3ページをご覧ください。このスポーツの価値を更に高めるために、本会が行っている「フェアプレイで日本を元気に」キャンペーンの紹介でございます。
続いて資料4ページから12ページに移りたいと思います。本会が推進する事業の現状を踏まえまして、スポーツ基本計画に盛り込んでいただきたい課題について御説明申し上げます。
各事業には該当する基本計画の政策目標と、下段のところには関連するスポーツ基本法の規定を記載しております。
初めに4ページをご覧ください。国民体育大会の開催でございますが、この事業につきましては、我が国における地域スポーツの振興と、ジュニア競技者を含む競技力向上の基盤作りに貢献しております。
課題が中段以降にございます。主な課題としましては、今後、我が国の幅広い国際競技力の向上を図るために、各都道府県が実施する競技力向上事業につきまして、国、日本オリンピック委員会、本会、また都道府県体育協会が推進していくための体制作りと支援が必要であります。また、都道府県体育協会の役割を活用したジュニアアスリートの発掘、育成、強化を促進する競技力向上策につきまして御支援、御協力をお願いいたします。
このほか、国体の冬季大会では、全国的な競技施設の整備・充実など、ここに挙げました3点が国体では大きな課題となります。
続きまして、5ページに移りたいと思います。中・高年者のスポーツ大会の開催でございます。
ここで1点、誤植がございます。1行目のところに競技志向の高いシニア世代、原則として35歳以上60歳未満と記載しておりますけれども、この60歳未満を削除いただければと思います。
この中・高年者スポーツ大会では、平成13年から毎年、日本スポーツマスターズを開催しております。この事業の主な課題は、同大会の主催者に国の参画をお願いしたいところでありますし、また安定的な財源確保をお願いしたいところでございます。
このほか、更なる超高齢社会を迎えまして、60歳以上のスポーツ愛好家を対象とした新たなスポーツイベントの創設など、4点を課題として挙げております。
続きまして6ページをご覧いただきたいと思います。スポーツによる国際交流の推進でございます。現在、アジア近隣諸国を中心に諸外国との間でスポーツ交流事業を展開しております。また、TAFISA、国際スポーツ・フォー・オール協議会のワールドコングレスを招致しまして、平成31年に東京で開催する予定でございます。
主な課題としましては、現在、交流国に加えまして、他のアジア・オセアニア諸国のスポーツ交流事業の充実、またSPORT FOR TOMORROWと連動しまして、各国のニーズに対応した支援策の検討が必要となっております。
次に7ページの青少年スポーツの育成をご覧いただきたいと思います。1964年、東京オリンピック開催決定を契機にしまして、昭和37年、本会では日本スポーツ少年団を創設いたしました。こちらの主な課題は、スポーツ少年団活動への国及び地方公共団体の御支援、御協力、これが大変重要でございますし、また最下段にありますようなアクティブ・チャイルド・プログラム等の幅広い普及に対しまして、国及び地方公共団体の御支援、御協力など、4点ほど課題がございます。
次に8ページ、総合型地域スポーツクラブの育成についてでございますけれども、本会ではtoto助成など御支援いただきまして、クラブの創設、自立支援事業等を展開しております。こちらの主な課題は、総合型クラブの活動が安定的に公益性の高いものとなるため、国、都道府県、市町村から一層の御支援のほか、本会が検討しておりますクラブ登録制に対する御理解、御支援、また総合型クラブ育成支援と役割分担の中心となります支援主体の明確化など、4点でございます。
次に9ページ、スポーツ指導者の育成をご覧いただきたいと思います。多様なニーズに対応しまして、スポーツ医・科学に基づき指導ができる指導者の養成を昭和40年から実施しておりまして、昨年で50周年を迎えたところでございます。こちらの主な課題としましては、国としてスポーツ指導者の育成・活用に関する全体構想を想定いただき、財政支援をお願いしたいところでございますし、後段にございますモデル・コア・カリキュラムをスポーツ界のコーチ育成基準カリキュラムに位置付けて、大学でも対応いただくこと、また学校への配置が検討されている部活動指導員に対しまして、公認スポーツ指導者の活用をお願いしたいことなど、6点ございます。
次に11ページのスポーツ医・科学研究でございますけれども、こちらは昭和22年、体育医事相談所の開設から始まりました。現在の主な課題は、何点か重複しているところがございまして、特にこの医・科学研究では、2点目の女性アスリートに対するスポーツ医・科学サポートの仕組みを構築すること、これが大きな課題となっております。
次に12ページのその他でございますけれども、「スポーツ」と「体育」の捉え方、また障害者スポーツへの今回の対応状況を記載しております。
以上、今回のスポーツの価値への考え方、また実施事業ごとのスポーツ基本計画に盛り込んでいただきたい課題について述べさせていただきました。スポーツ活動の現場の声といたしまして、是非参考としていただくよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。ぴったり時間厳守で、本当に感謝申し上げます。
それでは次に、日本オリンピック委員会、日比野事務局長、よろしくお願いします。
【日本オリンピック委員会】  オリンピック委員会の日比野でございます。本日は、こうした発言の機会を頂きましてありがとうございます。資料はJOCの活動という冊子と、それからA4の両面印刷の横のものを用意させていただきました。
最初に冊子の10ページですけれども、こちらにJOCの事業が記載してございます。選手強化事業、オリンピック・ムーブメント事業、選手派遣事業、そしてこれらを支える収益事業等、これらを公益財団法人移行時の定款に定め、現在事業を展開しております。
今回ヒアリングの御案内を頂いた時点で、現行のスポーツ基本計画、スポーツ行政全般について御意見をということでしたので、現行のスポーツ基本計画の中で私ども日本オリンピック委員会が担っているのは、基本計画の中の取り組むべき施策の大きな項目の中で3つ。1つは国際競技力の向上に向けた人材の養成やスポーツ環境の整備。2つ目はオリンピック・パラリンピック等の国際競技大会等の招致・開催を通じた国際交流・貢献の推進。そして3つ目に、ドーピング防止やスポーツ仲裁等の推進によるスポーツ界の透明性、公平・公正性の向上。この3つのところにオリンピック委員会の記述が集中しています。
この3つについて、冊子で、これまでJOCが取り組んできたことを簡単に説明させていただきたいと思います。
13ページ以降ですけれども、こちらは選手強化事業の記載になります。様々な加盟団体を通じた強化合宿とともに、17ページにはJOCのエリートアカデミー事業を記載しております。これは人材の発掘・育成ということに該当するんですけれども、2008年のナショナルトレーニングセンター開設以来、2競技、11名でスタートしましたこの事業も、現在5競技、38名が在籍、最近ではユースオリンピック大会で4つの金メダルを獲得するなど、一定の成果を上げております。
また、さらに指導者等の人材の養成ということでは、19ページ以降からナショナルコーチアカデミー事業を実施。22ページには国際人養成アカデミー事業を実施しております。このアカデミー事業も、ナショナルトレーニングセンターを中心に、約半年間にわたる研修、国際競技力に不可欠な組織力等の強化を見据えた国際人の養成を行っております。
23ページの真ん中から下に記載してございますように、これまでの卒業生の70%以上が国際連盟及びアジア競技連盟等で何らかの役職に就いております。
また、スポーツ環境の整備については、25ページにNTC強化拠点施設として、国が指定した施設とナショナルトレーニングセンターとのネットワーク連携も図っております。
ちょっと飛ばしまして、39ページからは、直近2年間の国際総合競技大会への選手団の派遣事業と優秀選手の表彰等を記載しております。ここは時間の関係で説明を割愛させていただきます。
最後に、先ほどの3つ目に当たりますドーピング防止やスポーツ仲裁等の推進によるスポーツ界の透明性、公平・公正性の向上ですけれども、特にスポーツ界の透明性、公平や公正性については、71ページからコンプライアンス、ガバナンスについて記載してございます。暴力根絶に向けました通報相談窓口の開設、本会加盟団体に対する本会の取組、また73ページには、昨年度より設置いたしましたNF総合支援センターについての概要を説明してございます。
この支援センターにつきましては、2020年東京オリンピックに向けて増額される選手強化費の適正使用が求められる中、競技団体の経理処理の支援とガバナンスの確立と自立を促すために外部専門家を投入し、JOC支援センター及び支援センター室の三者で連携しながら競技団体の管理体制の整備と自立を図っていきたいと思います。
現在1年目の決算を終了し、平成28年度の支援について前年度の検証を基に業務の改善等の見直しをしているところでございます。
これら現状の活動を説明してまいりましたけれども、現在JOCでは、2020年以降に向けて、改めてJOCの使命、役割、活動を見直すJOC将来構想プロジェクトを昨年7月に立ち上げ、この秋を目指して役員、職員一丸となって取り組んでいるところです。
A4横の資料は、その概要の中間報告としまして、先月の理事会に提出した資料ですけれども、ここで一番下の活動のところで選手強化、アスリート支援、オリンピック教育、国際連携。そこに新たに自律・自立を取り上げています。新たにこれを取り上げているのは、先ほど御説明しましたガバナンス、コンプライアンスの重要性を再認識しているからです。
また、ここまで現行の基本計画に沿って私どもが担っているところの説明をしてきまして、お気付きかと思いますが、先ほど29ページ以降のオリンピック・ムーブメントの説明をしていませんが、現行のこの基本計画には、その部分の記載がほとんどありません。先ほど来説明してきました選手強化、人材の育成、国際交流等の推進をさせるためにも、しっかりとしたオリンピック教育の下、実施されることが重要だと考えております。
このあたりを是非、新しい基本計画には盛り込んでいただければと思っております。以上でございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは続きまして、日本障がい者スポーツ協会・日本パラリンピック委員会の中森事務局長、よろしくお願いします。
【日本障がい者スポーツ協会・日本パラリンピック委員会】  皆さん、こんにちは。日本障がい者スポーツ協会・日本パラリンピック委員会の事務局長をしている中森です。資料4をご覧ください。
我々障がい者スポーツ協会から、この場を頂きまして本当にありがとうございます。障害者スポーツには非常に多くの課題があるということで、是非、条立てというか、障害者スポーツの振興という柱を1つ立てていただきたいというのが、まず最初になります。
スポーツの価値であるとか、学校におけるスポーツの推進とか、5つの項目に分けて、今回意見を言わせていただきます。
スポーツの価値の明確化については、身体運動の日常化とスポーツ、これは2つ分けて進めていただきたい。従来は厚生労働省の中で健康の問題、身体運動の日常化というところが入っておったんですけれども、やはりスポーツの中の導入の部分としてやっていただきたい。国民が身体運動を日常化することで社会生活、日常生活が活性化する。その先にスポーツの参加があるという流れになればいいかなと思っています。
特に障害者については、例えば車椅子使用者が上半身を強化しないと車に乗れないとか、あと両上腕、要は両腕がない子供たちが運動しないと体幹が弱って側弯になったり、転んだときに大けがをするとか、下肢の障害者の体幹下肢運動をすることで腰痛の防止になるとか、それと転んだときに筋肉がないと大けがにつながる、骨折になる。こういった障害者が日常運動をすることが非常に重要だということを、まずここで分けていただきたいなと思っております。
2つ目がスポーツの価値。スポーツの価値については精神的な効果、新たな取組に対する挑戦であったり、有効な人間関係の構築、こういった特に大事な部分については重要視して進めていただくのが大事かなと思っております。
障害者にとってスポーツというのは、運動機能の強化による日常生活の活性化、目標に向かっていく過程で養われる精神力の強化、仲間とともに同じ目標に向かって進む過程で生じる有効な人間関係の構築と。こういった非常に大事な部分があるということで、是非身体運動の日常化とスポーツは分けて進めていただきたいなと思っているところです。
大きな項目の学校などにおけるスポーツの推進ということで、1番目が一般学校における障害児童・生徒の体育の充実。一般校に車椅子の子供、切断の子供が通学していると。その中で体育に参加できる機会が非常に少ないというのが現状にある。これを是非できるような仕組みを作っていただきたい。ここには詳細資料の別紙3のところに書いてあるもので、今日は時間がないので、是非読んでいただければありがたいなと思っています。
車椅子に乗っている子供がスポーツ用の車椅子に乗ることで、非常に快適に運動ができるというのがスポーツ用の車椅子です。スポーツ用の義足を履くと、走れない子供が走れるようになる。これが現状としてはできない。
2番にある用器具については、やはり高価、非常に高いわけですね。高いということは現状、スポーツ用の車椅子であったり、義足であったり、これは家庭が、要は保護者がそれを購入するということは非常に高額な負担が強いられていると。ここの部分については是非、子供のスポーツに参加できる機会を与えるという意味で、中ほどに書いてあるんですけれども、障害の認定時に、スポーツに参加するための必要な用器具についても貸与できるような、そういう仕組みが是非あればと思っております。
それと、成長に応じて義足が変わったり、車椅子の大きさが変わると。そうなると、そういう車椅子のレンタル制度と、こういうことが必要になってきます。ここの部分については、県レベルの取組が必要かなということです。ここにも別紙に詳細な資料を付けておりますから、後でご覧ください。
続いて、特別支援学校におけるクラブ活動の活性化ということで、一般のオリンピックを目指す子供たちの場合はスポーツ少年団があったり、中学校、高等学校、そして大学と。そこでは、要は健常の子供たちが望む、そういう環境が身近なところにあるというのがオリンピックかと思います。障害児童については、この環境はないという中で、支援学校ではスポーツ活動を重要視して広げていただくような、そういう活動を是非お願いしたいと思います。
続いて大学における選手強化、指導者養成、研究推進ということで、オリンピックの場合は、大学で自らがチャンピオンを目指して、自らが指導者になる。それを指導する教授が医・科学の専門家の研究をしている。こういう場が整っております。障害のあるアスリート、特に車椅子の選手たちは、そういう環境がありません。車椅子の選手が指導者になって、大学の教員になって指導する。こういう環境が整っていないという中で、是非どこかの大学で試行的にでも、車椅子の選手が指導者になれる、チャンピオンを目指す、そういう場を試行的に作っていただければありがたいと思っています。
続いて障害者スポーツの学術的振興の推進という部分ですけれども、障害のある人たちの選手強化をする、スポーツをする。そのときの裏付けとなるものがないということです。重度障害者の身体運動、スポーツの必要性や効果の検証、こういうところにあるような障害についてはない。運動強度がどれぐらい必要であるかというところについても、障害の種類とか程度によって、これからということですね。
あと栄養摂取の検証。例えば車椅子に乗っている選手の場合は、下半身が麻痺して、筋肉が動かない。こういう人たちがエネルギーの摂取量はどれぐらいがいいのかと、こういう科学的な検証もない。これを是非どこかでしていただければと思っております。
続いてリハビリテーション機関におけるスポーツの推進というところですけれども、現在、例えば中途でけがをして、結果的に障害者になりますと。リハビリテーションで日常生活の訓練を行う。この訓練の期間、リハビリテーションの期間が短い中で、スポーツまで行き着いていないという現状があります。これは保険点数が低いということと、期間の限定がある。是非、保険点数を高くする、又はそれを期間を長くする。こういう取組の中で、障害になった人がスポーツの経験をして社会に出てと、こういう環境作りが重要かなと思っております。
続いて地域スポーツの推進と次の競技力の向上については、我々遅れている部分、オリンピックと同じ施策を国の方が基本的に進めると聞いております。是非どんどん追い付くように、ここにある項目については進めていければと思っているところです。
最後に5番、東京2020のレガシーについてということで、ハード面のアクセシビリティについては現在いろんなところで進んでいるかと思います。
続いて2番のアクセシビリティ、ソフト面についてですけれども、我々障害のある人たちがスポーツに参加するときには、身近な人たちの助け、サポートが要るという状況です。これについて自治会レベルというか、身近なところでのいろんな活動を充実させていただきたいと。自治会でのスポーツ活動をやるとか、運動会を活性化するとか、そこに障害者が参加できるような、そういう環境整備が必要かなと思っています。
この最後のページの(2)です。地域におけるスポーツ活動の推進というところで、地域活動の中で各障害者が参加することで障害者に対する理解が進む。自治会活動の活性化、市民大会の推進。障害者及び高齢者も一緒に活動できる公民館を利用した軽スポーツ活動を広げる。地域の祭りとか、民芸とか、催事の推進とスポーツの関連性を深める。障害者と健常者が一緒になったスポーツ活動の推進。子供、親、じいちゃん、ばあちゃん、3世代が楽しめるスポーツイベント、ここに障害者も含めると。
内容は広くなっておりますので、資料だけはちゃんと用意したつもりなんですけれども、是非、障害者スポーツの環境が広がる、進むということを期待して、意見として言わせていただきました。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。貴重な発表でございました。ただいまの3つの団体につきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。各委員の皆様方、挙手をお願いできますでしょうか。伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  伊藤でございます。きょうは大変ありがとうございました。丁寧な御説明がとてもよく分かりました。
最初に1点だけお願いいたします。一番初めの日本体育協会様への御質問でございます。12ページ(8)その他のところの2つ目に障害者スポーツという項目を立ててくださっております。ここに障害者スポーツを記述、あるいはまた現在、今日の説明で言及してくださったことは、次の5年間の基本計画のシンボリックなところを最初に言及してくださったんだなと捉えております。
スポーツの融合ということの観点も含めて、ここのところで課題と考えていること、あるいはここがポイントだとお考えになっていることを御説明いただければありがたく存じます。お願いいたします。
【友添部会長】  河内事務局長、いかがでしょうか。
【日本体育協会】  ここに記載しておりますのは、今それぞれの事業で進めておる内容でございます。ただ、一番の問題は、体制として、特に加盟団体の体制であります都道府県側で、先ほど中森局長がおっしゃられたように、都道府県体育協会の加盟状況とか、それからここに記載しましたようにスポーツ少年団の受入れ状況とか、こういった部分がまだまだ進んでいない状況でありますので、日体協としましては、ここを御理解いただいて、更に進めていきたいと考えております。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。
【伊藤委員】  はい、ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。結城委員、どうぞ。
【結城委員】  今日はありがとうございます。結城でございます。JOC、それからJPC、それぞれ1つずつお教えください。
JOCの方で、このガバナンス、コンプライアンスの対策としてアカデミーであるとか、こういったセンターであるとか、いろんな御活動をしていらっしゃいます。ただ、こういった御活動をされていて、その後にもまたいろんな状況が起きてきて、先般、その後、スポーツ庁の方でも主導して、スポーツ界全体で考えていかなきゃいけないという気運を高めようということになっていらっしゃるようにお見受けいたします。特にJOCでこういったことを先鞭つけてやっていらっしゃったお立場から、いわゆるJOCだけのお力では恐らく難しいんだろうと。教育とも連携であるとか、指導者育成の面での配慮であるとか、いろんな方で、やっぱりスポーツ界全体として何ができるか考えていくべきだと思うんですが、このJOCのお立場、そして御活動の中、そしてそれを超える部分で、どのような形で連携や、これからの推進をする方向性、出していったらいいのか。そのあたりの、もし御要望なり、御所見なり、おありでしたらお願いします。
JPC、中森さんにお伺いします。レンタルの件に関して、非常に具体的で、いい御提案だと思います。ただ、ここまでなぜこれが実現をしてこなかったのか。その課題が何で、いわゆるそれぞれの個の生徒さんたちに対して、そのニーズをくみ上げてレンタルを制度化するようなことが非常に難しかったのではないかと推察いたしますが、そのあたり、どのように工夫をしていったらいいか、御所見をお願いいたします。
【友添部会長】  まず日比野事務局長の方からお願いします。
【日本オリンピック委員会】  例えば最後の冊子の81ページ、82ページに暴力行為の根絶宣言というのもあるんですけれども。これは体育協会、それから障がい者スポーツ協会、高体連、中体連、こういう形で出していますけれども、今連携ということで、こういう形でこれからもやっていきたいということは1つ思っています。もちろんJOCだけでは、これはとても無理ですので、競技団体含め。
それで、先ほどの競技団体に対するコンプライアンス、ガバナンスの部分も、加盟団体に対して、例えば仲裁の自動受諾をしてくださいですとか、アスリート委員会を作ってくださいですとか、そういうことは従来からやっていますけれども、その辺をもう少し、これからも強力にできればなとは思っております。
ちょっと細かい話ですけれども、今まで直接選手にJOCが指導するという場面はなかなかありませんでした。コーチですとか、そういう方、スタッフについてのはありましたけれども。
ですから今回、リオの選手団については、今どきの若い人たちはみんなスマホをやりますので、例えば、そのスマホのアプリに、反社会的勢力との付き合いの方法ですることですとか、薬物に関することですとか、そういうものを実際にこちらの方で選手が必ず見たとか見ないとかということをIDを付与してやることは既に実施しております。
それから、我々チームビルディングと言っているんですけれども、冬の競技団体の選手を集めて、2泊3日ぐらいでいろんな研修する中で、例えばSNSの使い方ですとか、選手は、あなたたちは見られている立場なんですよと、こういうことも非常に効果が上がっていると。
ですから、この具体的な連携をしてということについては今後のことになると思いますけれども、今できるところから進めているということです。
【友添部会長】  中森事務局長、お願いします。
【日本障がい者スポーツ協会・日本パラリンピック委員会】  まず合同体育、特に車椅子に乗っている子供たちが一堂に会して合同の体育をというのは幾つかの自治体に対してアイデアとしては提供させてもらったんですけれども。でも、やっぱり教育委員会レベルまで上がったときに、できない。要は、学校の教育というのは校長先生主体で動いていると。そこに例えば大きな指定都市であったり、県であったり、そのレベルの取組に持っていくためには非常に課題が大きいのかなと思いました。
実際のところ、集めるには、移動手段どうするのか、付き添いの先生どうするんだ、お金が掛かる、そういったこともクリアしていかないとだめだ。だから、こういった場面から切り崩していかないとできないのかなと思います。
2つ目で、要は競技用の車椅子を障害の認定時に貸与している、そういう県を幾つか聞いています。これは、この子供に体育に必要だからスポーツ用の車椅子も出しますと。本来は生活用の車椅子が与えられる。スポーツ用の車椅子というのは与えられない。個人負担になると。ただ、体育という教育に必要だという観点でやって、それで出ている県があったりします。
あとレンタルの話は、これ、やっぱり成長に応じて車椅子変わっていく、義足も変わっていく。そうしたら、どういう仕組みが必要かということをちょっと頭で考えたんです。背景には、若い車椅子バスケットの代表選手が、やっぱり費用が高い、車椅子買えない、だから選手辞める。こういったときに、周りのボランティアが、その子のために車椅子を買ってとか、そういうことがあったんですね。これは、やっぱり県レベルの仕組みとしてレンタル制度があれば、そういうものが活用できるんじゃないのかな。これも、要は頭で考えながら、こうやったらできるんじゃないのかなと。そこに関与する拠点、大学であったり、リハの病院であったり、そういったところがうまく回ればできるかなと。
こういう仕組みが2020年以降に出来上がったらいいのかなと思っています。
すみません。説明になっていないと思いますけれども。
【友添部会長】  ありがとうございました。結城委員、よろしいでしょうか。はい。もう1人ぐらい。原田委員、どうぞ。
【原田委員】  中森事務局長に質問なんですが。今後リオが終わると、パラリンピックの合宿誘致とか、あるいは大会誘致みたいなことが、いろんな自治体の中で起きてくると思うんですが、そういったときに、JPCの中に、そういったワンストップサービス的な、そういう機能はお持ちなのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
【日本障がい者スポーツ協会・日本パラリンピック委員会】  日本障がい者スポーツ協会の中にパラリンピック委員会があります。我々、今5つの協議会を持っています。水泳、陸上競技、ゴールボール、ウィルチェアーラグビー、あとアルペンスキーです。5つある。これは全てIFの公認を取っています。ということは、IFとのやりとりはJPCがやっていると。
当然、競技施設も対応できるものであるし、競技規則の適用、クラス分けも採用していると。そういう国際大会をやることで、選手がそこで記録を出して、次のステップにつながる。こういう仕組みを今。これはNFがまだ力がないので、こういうことをJPCがやっている。これが現状も続いて、これがスポンサーの獲得にもつながっているというところがあるんですけれども、当然ノウハウはあります。
ただ、人材が少ないので、大々的にやると、ちょっとまずい、しんどいかなと。例えば水泳の世界選手権を行うとか、陸上の世界選手権をやるというと、非常に多くの国と多くの選手が来られるので、その対応は新たな仕組みを作ってやる必要がある。
現状、JPCの中である程度の大会であれば対応できる、そんな状況です。仕組みとか、ノウハウはあります。
【友添部会長】  田中委員、増子委員、すみません。ちょっと時間が来ちゃったものですから、また次お願いします。
ありがとうございました。それでは日本体育協会、日本オリンピック委員会、日本障がい者スポーツ協会・日本パラリンピック委員会からのヒアリングは、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、グループの入替えをお願いいたします。
(グループ入替)
【友添部会長】  よろしいでしょうか。時間が押しておりますので、進めさせていただきます。
次のグループですが、日本体育学会、笹川スポーツ財団、日本アンチ・ドーピング機構、日本スポーツ仲裁機構、日本武道館になります。先ほどと同様に、各団体から8分以内で御発表いただいて、その後にまとめて質疑応答の時間を10分程度とらせていただきます。
それでは日本体育学会、阿江会長、よろしくお願いいたします。
【日本体育学会】  こんにちは。日本体育学会の会長をしております阿江と申します。今日は、皆さん恐らく競技力向上とか、それからスポーツについていろいろお話しされると思うので、私は教育とか学校での体育を中心にお話ししたいと思います。
資料は2つありますけれども、パワーポイント資料を中心に、お話をさせていただきます。
日本では体育とスポーツについて、いろいろな考え方がありますが、体育という場合に、学校の体育だけではないということを最初にお話します。
体育のとらえ方には大きく2つあって、狭義の体育と広義の体育があります。狭義の体育は、いわゆる学校でやっている体育教育のことを言います。広義の体育というのは、スポーツを含む身体的活動とか、そういうものを使って人生を豊かに生きる、人間の能力を高める、維持する、低下を防止するために使うこと(身体的側面からの人間の開発と育成)です。これはスポーツ基本法の理念とほぼ一致しております。
日本では体育・スポーツとか、あるいはスポーツとか、いろいろ言い方ありますが、これらのことを考慮して、体育学会では体育・スポーツという言い方をしております。
次の資料をご覧ください。体育・スポーツ、どっちが上位かということでなくて、我々は連続しているものと考えております。
左はスポーツで、右は広義の体育です。スポーツ的なものは一切やらないけれども、非常に体にいいことをやっているというのが広義の体育になります。学校体育というのは、両者の間に位置します。下の注1)にありますように、子供の頃からスポーツクラブに行っている子はスポーツクラブでスポーツを習って、そしてそのスポーツを何らかの理由で辞めたり、競技選手として引退したとしても、その後の人生では体育を継続していく。これはスポーツから体育へというタイプ1です。タイプ2というのは、学校でいろいろなスポーツを習って、好みや能力に応じて競技としてもやる。競技から引退したあと、あるいは加齢に伴って体育へ戻るというものです。体育とスポーツを生き方と関連づけながら考え、それに資するものをいろいろ研究しているのが体育学会であるということです。
たくさんの提案があるのですが、主要なものを幾つか挙げております。
まず1番目、日本のスポーツの場合、教育的側面を欠くとネガティブな影響が出ると思われます。この点は皆さん御承知のとおりであります。
2番目として、スポーツ基本法第11条の指導者等の養成に関して、特にコーチに関してはスポーツ庁、日本体育協会が非常に尽力いただいて、コーチング推進コンソーシアムにおいて検討していただき、非常にいいプログラムができつつあることを承知しています。
それで、もう一歩進んで、スポーツ指導者の国家資格の制定をしてほしいということです。指導者の皆さんは一生懸命勉強されるのですけど、こういう資格をきちっと国が担保するというのは非常に重要であると思います。
3番目、学校における体育の充実。これは皆さん御承知で、もう分かっているという方もあるんですけれども、実は、これをもう1回見直すことが重要です。学校における体育の充実なくしては、スポーツ立国の実現は不可能です。特に少年期において体を動かす楽しさとか、スポーツの楽しさを知って、成長するに従って、スポーツや身体活動、運動を効果的に身心の健康維持などに使える能力を身に付けることが非常に重要です。それをしないで、卒業してからスポーツ、スポーツと言っても、継続的参加につながりません。国語に例えますと、文字を教えないで、卒業してから、いい文学作品があるから読みなさいということと同じで、それは無理な話であります。
小学校への体育専科の導入。これは既に基本計画に盛り込まれておりますけれども、まだ実現しておりません。特に小学校では体育、あるいは保健体育の教科書がありません。教科書がないので、先生も体系的に体育を教えられません。しかも非常に残念なことに、教員の体育指導能力が非常に劣っていると言われています。
日本学術会議でも、平成28年度をめどに、健康・スポーツ科学分科会から小学校の体育専科の導入とか、子供の動きが良くなるような施策の導入を提言する予定で今進んでおります。
次は、スポーツ基本計画に少し触れてありますけれども、意外と重要なのにあまり顧みられていない、大学における体育・スポーツの充実です。大学体育連合の方も述べられると思いますが、大学段階は体系的な体育・スポーツの教育を受ける人生で最後の機会です。教養としてのスポーツ、地域スポーツ、それから競技スポーツなど、いずれの観点からも非常に重要であると考えています。
なぜ大学で体育を今さらやるのかというご意見もあるようですが、以前は必修だったのですが、今は必修ではありません。現在の大学体育は、ここに出席の多くの方の大学時代とは内容や状況が随分変わっております。再度、必修化する必要があり、そうすることによって小学校から大学まで教育される年代(段階)では、すべて体育・スポーツの体系的な教育を受けるという、教育国、スポーツ立国の日本に相応しい世界に誇れる制度ができると考えています。
資料には、大学における体育・スポーツのメリットを挙げておきましたが、一つには、大学のスポーツを充実させることによって健常者と障害者が同じ条件で、同じように体育・スポーツを楽しめると、その価値を生涯にわたって享受できる環境や体制を、小・中・高に比べて、大学では整えやすいことにあると思います。
それから多くの大学においてスポーツ施設がそれなりに充実しています。これも認定制度を設けることによって、更に充実すると考えています。
また大学での体育・スポーツを担当する教員群は、高度かつ優秀なスポーツ指導者の宝庫です。地域スポーツのエキスパートもおりますし、それから金メダルを狙うような人を教えるエキスパートもいるわけです。これらを御理解いただき、充実させる必要があります。
さらに、次世代のエリートアスリートの養成の場にもできます。これはオリンピアン、パラリンピアン、全て含めてです。
それから選手のセカンドキャリア、最近ではデュアルキャリアがより重要ですが、高度なトレーニングと高等教育が両立できる環境が大学には備わっていますし、いろいろ計画を進めることによって、それができるということです。
ここには書いてありませんけれども、スポーツによる国際貢献などは、恐らく大学が中心になって進めることが最も効果的だと思っております。
それから、文章には書いておきましたが、大学を第3のナショナルトレーニングセンターにもできると考えています。
スポーツ施設の充実に関しては、先ほども触れましたが、スポーツ施設認定の制度を導入してほしいと考えています。
スポーツに関する科学研究の推進、産業界との連携、国際交流などは、大学が一番得意なところであります。
スポーツ基本計画にはほとんど触れられていませんが、スポーツにおけるダイバーシティの推進が今後大きな課題になると思います。ユネスコの憲章(2015年11月改訂)でも、スポーツにおけるダイバーシティの推進を重要事項としています。日本では非常に弱いところであります。また安全・安心なスポーツ環境の整備も考える必要があります。
シャンツ博士は、「スポーツは異文化の学習や理解を推進する場となり得る」と述べています。スポーツによる地域の交流、国際交流、世代間交流による相互理解を促進するだけではなく、他の分野に先駆けてスポーツから、逆にスポーツにおいてダイバーシティの推進を図るべきであると考えています。ダイバーシティとは、障害のある方とか、男女と言いますけれども、これからは国とか、宗教とか、人種のダイバーシティも対応する必要があると思いますけれども、スポーツは、それがやりやすい1つのものであると考えます。
それから、大学の地域スポーツクラブ化。それからスポーツの観点から機器のデザインとか、都市計画も可能であると考えております。もちろん競技力向上に関しては、先ほど言いましたように、第3のナショナルトレーニングセンターとか、デュアルキャリアというようなことを推進していただきたいと思います。
まとめますけれども、教育システムとか、教育機関、それから教育人材をどう活用するかということが、これからの基本計画の重点項目の1つになるんじゃないかと思います。
教育は文部科学省と別に考えないで、広く体育・スポーツという点から横串を刺して、新たに考えて、逆にスポーツから教育を変えるというぐらいのつもりで基本計画を進めるべきではないかと思います。
ちょっと長くなりました。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは次に、笹川スポーツ財団の澁谷主任研究員、吉田副主任研究員、よろしくお願いします。
【笹川スポーツ財団】  笹川スポーツ財団でございます。このたびは貴重な機会を頂きまして、ありがとうございます。
スポーツ・フォー・エブリワン、生涯スポーツの推進に取り組んでおります笹川スポーツ財団の観点から提案をさせていただきます。お手元、資料6をおとりください。1ページおめくりください。
提案の視点としまして、先日発表されました日本再興戦略、また今般の第2期スポーツ基本計画策定の諮問に記載された内容に基づきまして、私どもは矢印の下に示しましたスポーツ人口の拡大、スポーツを通じた健康増進、スポーツを通じた地域活性化、これらを重要な課題と位置付け、これらの課題に対する取組といたしまして、当財団の知見に基づきまして4つのテーマを設定いたしました。ページをおめくりください。
提言テーマの1つ目は地域スポーツクラブであります。真ん中、現状と課題に示させていただいておりますが、スポーツ少年団を中心に、少子化による子供のスポーツの減少リスクが顕在化をしております。
続きまして2つ目の丸でございますが、週1回以上の運動・スポーツ実施率は、クラブや同好会に加入していない成人の方が高く、地域スポーツクラブがスポーツ実施率の向上に今後貢献する余地があると考えております。
1枚おめくりいただきますと、図表2といたしまして、クラブ加入状況別に見る週1回の運動・スポーツ実施率の推移を示してございます。
ページをお戻りいただいてよろしいでしょうか。現状と課題、3つ目でございます。総合型クラブが現在、地域課題の解決の役割を担っておりますが、各地域において、総合型クラブが単体で地域課題の解決を担っていくのは、いささか荷が重いといった地域も少なからずございます。
こうした状況に鑑みまして、下の課題解決のための方策でございますが、私どもはスポーツ人口の拡大と地域内のステークホルダー全体で地域課題の解決に取り組む地域スポーツ推進体制の再構築を提案いたします。
上に示しております目指すべき姿は、多様な組織・事業体が公益的なスポーツ・健康増進事業を推進する社会であります。
2ページおめくりいただいて、2つ目のテーマに参ります。2つ目はスポーツの場であります。現状と課題の1つ目をご覧いただきますが、公共スポーツ施設は整備の補助金等、所管省庁の違いから、学校体育施設を含めて所管部署が複数あり、設置数であるとか利用状況などが一元的に把握するデータがないという状況がございます。
次のページに、各省庁が運用している、あるいはしてきた公共スポーツ施設の補助、助成制度を紹介してございます。
ページをお戻りください。こうした課題に基づきまして、解決のための方策として、私どもでは、学校体育施設、社会体育施設、福祉施設、公園などといった複数の部署にまたがるスポーツ施設のデータを一元化できる体制の整備。さらに、スポーツの施設のほかに、スポーツが実施できる場所を含めて、スポーツの場として再定義することを提案いたします。
これによって目指すべき姿は、「公共スポーツ施設」から「スポーツを楽しみ、集う場」へという発想の転換であります。
2ページおめくりいただきまして、3つ目のテーマに進みます。3つ目のテーマは子供のスポーツであります。
こちらも現状と課題から御説明いたしますが、学年や学校期が進むにつれて、運動・スポーツをしない子供、あるいは運動・スポーツをする頻度が低い子供の割合が増える傾向がございます。また、運動やスポーツを好きと考える子供の割合は減り、嫌いと考える子供の割合が増える傾向がございます。
これも次のページ、図表7が非常に分かりやすいところでありますが、10歳から19歳を対象とした調査において、運動・スポーツの好き嫌いを聞いた調査がございます。ごらんのように、好きの割合は減り、嫌いの割合が増えてくるということが御確認いただけるかと思います。
1ページお戻りいただきまして、現状と課題の3つ目でございます。子供たちの体力、運動能力は現状維持から下げ止まりの傾向が見られますが、運動・スポーツをする子供、しない子供の二極化が近年問題となってきております。
子供が大人となって、生涯にわたってスポーツに親しむために、これらの課題を解決する方策として、私どもは体力、運動能力の向上だけに目を向けるのではなく、スポーツ参加機会の充実度、スポーツライフの豊かさなどを示す新たな観点や指標に基づく施策が必要であると考えます。具体的には複数種目が実施されているか、種目の転換が容易であるか、レギュラー、補欠にかかわらず試合の参加機会が確保されているか、スポーツ観戦あるいはスポーツボランティア等の活動が充実しているかといったものなどが考えられるかと思います。
こうした施策を通じて目指すべき社会は、全ての子供がスポーツの価値を理解し、それぞれ望む形でスポーツに親しむことができる社会と位置付けます。
2ページおめくりいただきまして、4つ目のテーマでございます。障害者スポーツです。
目指すべき姿は、障害の有無にかかわらずスポーツに参加できる共生社会の実現であります。
下の現状と課題に示しておりますとおり、障害のある人のスポーツの環境や機会は、障害のない人に比べて不十分な状況にございます。
1ページおめくりいただいてよろしいでしょうか。解決のための方策といたしまして、私どもはスポーツ、障害者スポーツの分野に加えて、医療やリハビリテーション、学校教育、福祉などが連携、協力するだけでなく、更に一歩踏み込んで協働、ともに動くと。協働する取組を増やすことによって、地域が一体となってインクルーシブなスポーツの機会を創出することを提案いたします。
下の図表10に協働の体制を模式的に示してございます。こちら、楕円で囲まれています各分野を結ぶ矢印が示してございますが、現状は、この矢印がない、あるいはあっても薄いという状況が一般的でございます。これらを太い矢印にすることを目指すものであります。
ページをおめくりください。以上にお示ししました4テーマの解決策を実施するために、改めて地域スポーツ推進体制の再構築を提案いたします。中核を担う組織といたしまして、左下にお示ししておりますが、地域の実情にもより異なると思いますが、主に市町村の体育協会、スポーツコミッション、総合型クラブといったものを想定しております。これらの組織が、楕円形で囲んでおります地域のスポーツに関わる多様なステークホルダーを巻き込みながら新たなプラットフォームを作り、地域スポーツにおけるソーシャル・キャピタルを高めることが理想であると考えております。
以上で笹川スポーツ財団の発表を終わります。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは次に、日本アンチ・ドーピング機構、浅川専務理事、よろしくお願いします。
【日本アンチ・ドーピング機構】  ありがとうございます。皆さん、こんにちは。日本アンチ・ドーピング機構の浅川でございます。貴重な機会を頂きまして、ありがとうございます。
資料の7番をお手元にお願いいたします。私どもからは今回、簡潔に7つの項目を御提示させていただくべく、きょうは資料を用意してまいりました。
まず委員の皆様御案内のとおり、昨今ロシアのドーピング問題をはじめとして世界、国際陸上競技連盟、それから国際オリンピック委員会等で様々な決定がなされております。それらの決定を見る限り、これは単に単一種目又はスポーツということではなくて、国家に対しての評価に類するような大きなインパクトを持って語られているということに関しては皆様お感じいただけているのではないかと思います。
そんな中で私ども、2019年又は2020年の大きな大会をホストとして迎える立場におりますので、そういった大きな観点でアンチ・ドーピング活動を是非検討いただきたいと考えております。すなわち国内のドーピング違反が多い少ないということではなくて、もはや私たちは国際的な基準に基づいて、大きな視点の中でアンチ・ドーピングの体制を盤石な体制として構築していくと。それをもって、世界から集まるアスリートに対して安心・安全な環境を提供するという責務を負っている国であるということを前提として、この向こう5年間についての体制整備についての御提案をさせていただきたいと思います。
まず前段の3項目につきまして、大きく体制整備に関する項目でございます。
1番目です。法的な整備、オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップ等の大きな国際大会を想定した場合のアスリートの保護のための施策の構築ということでございます。既に文部科学副大臣を座長とするタスクフォースチームで取り上げていただいているところではございますけれども、必要な、場合によっては法的整備等も含めての行政機関からの情報の提供体制を構築して、それらの情報をドーピングコントロールの現場に生かしていくことが必要な状況になってきております。
それから、そういった体制を実現するために、今私たち日本アンチ・ドーピング機構はスポーツ振興センターとの連携を基に体制を構築しておりますが、これに対して人的、財源的な拡充が必要な見通しとなっております。これら、基本的にはIOCが要請をしておる体制整備に基づくものでございまして、いわゆるミニマムスタンダードの整備という観点で見ていただくべきかと考えております。
次に2番目でございます。2015年から国際的なルールの変更がございました。その中で、国内競技団体についての主体的な教育啓発活動の推進ということが義務事項として盛り込まれました。これはアスリート又は指導者に対して常に身近で影響力を持って接することができる組織ということで考えますと、当然、国内競技連盟が主体的に動くと。これは、やはり統括団体からの教材等の発信では、なかなか実行できないところに対しての実効性を考えた場合には当然の方向性かと考えております。
そういったことを考えた際に、今、実態として活動できる組織がどのような対応をしているのかをモニターしていくという体制までも含めた国内基盤の構築が必要だと考えておりまして、第三者によるモニタリング体制の構築、それから競技者、指導者、ドクター、トレーナー等への、これはすなわち競技団体の登録傘下に入る人たちでございますけれども、これらの対象に対しての競技団体からの主体的な活動。
これら全体を通して、公的助成金の受給要件としての設定の中で、モニターの結果、こういった観点からの適格性を判断をするような形で、さらに実態としての推進、促進を促すというアプローチが必要なのではないかなと考えているところでございます。
次に3番目、ドーピング検査実施体制の拡充でございます。既に御案内のとおり、ドーピング検査の件数単体を見ますと、国際的にはかなり評価の高いレベルに日本国内ではなってきておりますが、一方で競技会外検査の比率がいまだに低いことが国際的な評価になっておりますので、このあたりの比率の引上げが必要だというのが実態でございます。
それから2015年の国際ルールの変更以降、スポーツのそれぞれの種目の区分に応じたリスクに応じて、例えば持久系の種目であれば有酸素系に効果のある薬品の検出に重点を置くような追加メニューの分析をしているのかどうか、パワー系であればパワー系に特化した有効性のある物質に対しての追加メニューの分析をしているのかということが、一定の比率での検査実施が義務化されました。これは年度を締めて、世界アンチ・ドーピング機構の方で、ウエブ上のデータベースで実績を管理をして、その実績比率が下回っていた場合には不適格国家ということで国別に評価をされるとなってきておりますので、これに対して現状では国内の体制を反映して、競技団体の皆さん又は日本オリンピック委員会、日本体育協会の皆さんの財源を一部負担いただく形で積み上げをしておりますが、これに対して、やはり財源上の窮するところがございます。
こういったことを受けて、スポーツ振興くじの助成を今でも厚く頂いているところではございますが、更なる引上げを頂ければということが提案の背景にございます。
それから血液検査の実施については、これまでもお話を申し上げているとおり、非常に重要な項目になってきておりますが、今後更にこの体制を推進すべく、日本アンチ・ドーピング機構とスポーツ振興センターとが連携を図っていきたいと思っております。
特に医師又は医療機関のサポートをベースとした展開が前提になってまいりますので、そういった機能を持つスポーツ振興センターとの連携を深めていく上で、人的、財源的な御支援を頂きたいと考えているところです。
次に教育情報発信につきまして、まず教育啓発の拡充でございます。国内のスポーツ団体の皆様を見ますと、非常に御理解を頂いて対応いただいているところですが、一方で教育機関を見ますと、通年の講座として、学生に対しての教育啓発をしていただいている学校が非常に少ないのが実態でございます。
特にスポーツの現場でサポートスタッフとして活躍をされることが期待される医学、薬学の領域につきましては、ほとんど実践がないのが実態ではないかと考えております。この領域について、是非アンチ・ドーピング教育の必修化をお願いしたいと考えております。
それから競技団体とJADAとの連携ということは先ほども申し上げましたとおり、JADAの方では、やはりトップレベルのナショナルチームへの手厚い対応をしていく。それから草の根からシニア又はマスターズへ向けての対応は、競技団体の皆様に分担を頂くような対応のすみ分けが必要でないかなと考えているところでございます。
それからもう1つ、きょう非常に強くお願いをしたいのが、スポンサー企業又はアスリートの支援企業として、法人としての団体又は個人としてのアスリートを支援する企業が多くなってくるかと思います。これらの企業の皆様にも是非スポーツの基盤、アスリートの価値、スポーツの価値を根底から支えているアンチ・ドーピング活動の理解を頂くような形で、一緒にスポーツを盛り立てていくというスタンスに立っていただきたいと考えておりますので、是非、企業の皆様へも、こういった情報を発信する場を設けていくということを、行政の皆様からも発信を頂きたいと思っております。
それからスポーツ基本法の基本理念にはあるものの、なかなか実践が伴わない国民全般への発信というものについて、私たちも積極的に取り組みたいと思っておりますので、このあたりについても是非御協力を頂きたいと考えております。
それからアスリートへの情報発信という意味でいきますと、現状既に公開はされておりますけれども、安全な薬の検索をできるサイトの利便性の拡充。具体的には、例えばバーコードの検索等々をする上では、やはり設備投資が必要になってまいりますので、こういったものへの支援も頂きたい。
それからサプリメントの違反事例というのが後を絶ちません。これについては、やはりスポーツ界と、それから生産をする側の産業界と併せて、こういった情報をアスリートに安全情報として届けていくということは、生産側の責務と言っても過言ではないと思います。そういった観点からの産業界も巻き込んだ情報発信というものを是非実現していきたいと思っております。
最後に研究と国際開発ですが、調査研究につきましては、我が国の持ち得るいろいろな情報を駆使して、アスリートの身体的な負担ですね。長い時間拘束されるとか、そういったものからの解放されるような、画期的な方法論を検討していくようなアプローチも当然必要かと思います。そういったことに対しての財源的な支援を頂きたいと考えております。
それから最後に、これまでいろいろな形の御支援を頂いた中で、アンチ・ドーピングに関して、それからスポーツの価値を守る活動に対して、日本はすばらしい実績を残しているという評価を頂いております。これを是非2020年以降も継続していくべく、特に中核的な役割を担っている世界アンチ・ドーピング機構への継続的な支援の拡充、継続をお願いをしたいと思っております。
それから、これまで日本のアンチ・ドーピング体制を盛り上げてくる中で、諸外国、特に欧米のアンチ・ドーピングエージェンシーに対して教えを請うてきました。今後は私たちがアジアに対して同じような態度をとっていくことができるように、日本の実践を展開していきたいと考えておりますので、このあたりへも御支援を頂きたいと思っております。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。続きまして、日本仲裁機構の板橋執行理事と杉山仲裁調停専門員、よろしくお願いします。
【日本スポーツ仲裁機構】  ありがとうございます。日本スポーツ仲裁機構の執行理事で事務局長を兼務しております板橋と申します。よろしくお願いいたします。
日本スポーツ仲裁機構は、スポーツ紛争の解決機関であるということです。競技者と競技団体との間でスポーツ紛争が発生した場合に、その仲裁、調停を図るというのが主たる事業であります。実はスポーツ紛争が発生するというその原因として、スポーツ団体における運営上の問題等様々ございまして、多くはスポーツ法と深い関わりを持つものでありますけれども、私どもの認識としては、こういう問題にきちっと対処していくことが、紛争の発生ということとは別に、社会的にも、スポーツが社会的な信頼を得ていく上で不可欠であると認識しております。
ということで、これまで私どもの仲裁機構では、仲裁、調停に係る事務に加えて、スポーツ法についての理解増進を図っていく、あるいはスポーツ仲裁、調停、それからスポーツ紛争予防に係る教育、あるいは啓発活動といった事業を実施してまいりました。
平成24年3月のスポーツ基本計画の中で、6番という項目の中に、スポーツ界の透明性、公平・公正性の向上という項目がございまして、その中に当機構に関連する、今申し上げているような様々なことがございまして、当機構は直近4年間を見ましても、スポーツ計画に定められた施策に基づく支援を受けながら、いろんな事業を実施しております。
こういういろいろな事業を実施する中で、私どもの方で認識している我が国の現在のスポーツ界の現状あるいは課題からしますと、これからお作りいただく第2期のスポーツ基本計画については、次のような事柄について盛り込んでいただく必要があるのではないかと考えております。
1つはスポーツ紛争の迅速・円滑な解決に向けた取組ということでありますけれども、これはスポーツ紛争の申立てがあった場合に、その申立てに対して、関係するスポーツ団体がきちっと責任を持って対応するという体制が必ずしもできていない。そういうことで、そこを必ず対応し申立てを受けるようにという制度を促進していきたい。
それから、アンチ・ドーピングは今、浅川さんからお話もありましたが、JADAの方で行う1審といいますか、その審査の上に、第2審として、我が方の仲裁機構が担当しているわけでございますけれども、その充実のためには、これはかなり仲裁人の学習あるいは研究と、いろんなことが必要でございまして、そういったことを推進していきたい。
それから、スポーツにおけるインテグリティの徹底。これについては今、これから更に申し上げます。
それから、オリンピック・パラリンピック等の2020年の国際競技大会が円滑に行われるために、実はロンドンオリンピックの際も。このオリンピックの際にはCAS、国際仲裁裁判所から特別法廷、特別裁判所というのが作られるわけですけれども、今回も2020年に作られるわけですが、それが円滑にいくために、いわば法律の関係者がいろいろと側面からサポートしていくということをロンドンではやっているんです。そういったことを日本でもきっちりやっていくことによって、200か国に及ぶ各国が選手を送ってくるわけですけれども、その選手が、いわば心配なく試合に没頭できるということになるわけです。そういったことで、そういったことを役割として、我々もきちっと考えていきたいということでございます。
時間の関係もありますので、1つ、ここで重点的に申し上げたいのは、スポーツ界におけるガバナンスの確立に向けた当機構の役割について申し上げたいと思います。
当機構は一昨年、2014年ですけれども、文部科学省からの委託事業としてスポーツ団体のガバナンスに関する協力者会議というのを開催しまして、スポーツ団体のガバナンスの実情と現状の問題点について協議を行いました。その際にJOC、あるいは日体協傘下の団体の協力を得てアンケート調査を行い、ガバナンスとして問題になる様々な事項について、かなりボリュームのあるガイドブックをまとめました。現在そのガイドブックは、多くのスポーツ団体にガバナンスを考え今後の改善点を検討する上での有力な手掛かりを提供しておりますし、実際、多くの団体で研修資料として活用されております。
しかし、そのスポーツ団体のガバナンスの問題というのは、机上の学習によって一朝一夕で改善されるようなものではなくて、団体の事務体制の確立、あるいは諸規則など関係規定の整備、あるいは理事や評議員など団体役員を含めた関係者全員の意識改革、またその内部運営についての恒常的な点検、見直しなど様々なプロセスと、これらの不断の見直しによって徐々に改善されていくものであります。また外部から常時こういった改善に向けての刺激を与えていく必要があるというのが、そのときの各団体の共通の意見でもありました。実際、その協力者会議では、専務理事・事務局長レベルの意見交換会を開催したわけです。テーマを設定してグループ討議をする機会を設けましたけれども、参加者からは、そのような機会を頻繁に、少なくとも年1回は開催してほしいといった旨の意見が出されております。
当機構としましては、スポーツ界の様々な紛争が仲裁や調停の形で持ち込まれる前に、各団体のガバナンスが確立され、スポーツ紛争が発生しない環境を整備することが肝要と考えているわけです。そのためには、今申し上げたような機会を設けていくことが必要でありまして、当機構は、これまで蓄積したガバナンスに関する諸データや諸資料と、いろいろとございますけれども、そのような活動を積極的に使って支援していく用意がございます。そのような活動は当機構にしかできないものと考えております。
JOC、日体協、障がい者スポーツ協会がそれぞれ競技力の向上に一生懸命取り組まれているわけでございまして、またガバナンスについても、先ほどちょっとお話がございましたように、一生懸命注意を払われておりますけれども、やはり、この強化とガバナンスの問題というのは基本的に違う点がございまして、ガバナンスの確立には選手強化とは異なる指導や助言を必要とする。これらは全てのスポーツ団体に共通することでありますけれども、統括3団体が個別に取り組むよりは、そのような組織とは別にスポーツ団体相互の協力機関を組織して取り組んでいく。そのために仲裁機構が有効な役割を果たしていきたいということでございます。
そういったことで、新しく誕生したスポーツ庁において、是非こういった観点からの積極的・主導的な役割を果たしていってもらいたいということでございます。
当機構に様々なスポーツ紛争の申立てが行われます。その中には、選手を含めて関係者の不利益処分、あるいは暴力・パワハラ・セクハラ等の問題、あるいは移籍に関すること、あるいは契約に関すること、あるいはドーピング、あるいは役員の問題、それから内部運営など、様々な類型の相談が持ち込まれるわけですけれども、そこからうかがわれるスポーツ団体のガバナンスの現状を念頭に置きつつ、また先述した、さきに申し上げたガバナンス協力者会議で得られた知見も活用しながら、当機構はスポーツ界のガバナンスの確立に今後中心的な役割を果たしていきたいと考えておりますので、その点において、第2期スポーツ基本計画の中にきっちりとそのことを明確化していただきたいということがお願いでございます。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。最後になりましたが、日本武道館、三藤理事・事務局長、よろしくお願いいたします。
【日本武道館】  武道界の歴史・現状・課題について説明を申し上げ、提案に代えたいと考えます。お手元の資料、レジュメのほかに武道の理念、小冊子、それから武道振興大会の決議文1枚、後ほどまたお目通しを頂きたいと思います。
まず最初に歴史です。武道は自衛の術から始まりました。自らの、また家族や仲間の身を守る、これが出発点でありまして、1000年以上の歴史と伝統を有しております。
鎌倉時代から江戸時代まで、約700年間にわたる武家政権が続きました。術から道へ。それまで人を殺す技でありましたが、人を生かす、それから為政者として政権を担う、また世の中を統治していく、そういう中で文武両道の考えが生まれました。明治になりますと、嘉納治五郎師範が柔術を柔道に体系化をして学校教育に取り入れられた。こういう歴史を持っています。
そういう中で、日本は敗戦を喫して、GHQから武道は全面的な禁止を受けました。昭和20年敗戦、その後、東京オリンピックが昭和39年に東京で開催をされまして、それを契機に日本武道館が建設をされました。武道復活の旗印としての日本武道館建設でもあったと、こういう歴史を持っています。
次に現状であります。武道は現在9種目活動をしています。柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の9種目です。国内に約250万人、海外に5,000万人以上の武道の愛好者がいます。相撲の土俵は世界の津々浦々につながっており、武道の子弟関係は一生涯続きます。商品は取替えが利きますが、武道の子弟関係、友人関係は継続的です。5,000万人以上の武道の愛好者は日本に対する尊敬の念を持っておりまして、日本の威信の向上に武道はしっかり役目を果たしているということをお伝えしておきたいと思います。
「侍」は世界の尊敬語でありまして、誰もが侍になりたいと。その侍を代表する運動文化が武道であるということであります。
次に全国組織です。全国組織が武道界は5つありまして、まず学生武道クラブ、50年の歴史を有しております。現在、柔道、剣道、弓道、空手道、合気道、少林寺拳法の各学生武道連盟が活動をしております。この全国組織の事務所は、いずれも日本武道館の中にあります。
2番目が日本武道学会。これは日本学術会議の正式団体でありまして、現在、会員数が約800名。年1回の全国大会のほかに、武道の研究誌を年4回発行しており、活動を展開しております。なお、国際的にも武道は広がっておりまして、来年度は50周年ということで、国際会議予定されています。
次が日本武道協議会。これは先ほど申し上げました武道9種目と日本武道館で構成をしておりまして、武道振興大会、を毎年3月上旬に開催をしております。かつては小泉総理大臣、今年は馳文科大臣、大島衆議院議長、山崎参議院議長ほか、武道議員連盟、それから各武道団体の役員、約250名が集まりまして、先ほど紹介しました武道振興大会の決議を採択、馳文科大臣に実現を要請しております。
ほかには、日本武道代表団を海外に派遣しております。2年前は、高村正彦常任理事が団長、山下泰裕柔道連盟副会長が副団長で75名、ロシアに参りました。プーチン大統領が約30分間、この演武会を観覧をされまして、友好親善の実を上げております。昨年度はサウジアラビア、今年はオーストラリアに派遣をするということで、競技だけではない武道の文化的、伝統的な価値を海外派遣事業としてしっかりやっておりますので、よろしく御理解を頂きたいと思います。
続きまして全国都道府県立武道館協議会。こちらは国内に約2万館の武道館があります。学校関係が1万館、それから市区町村、町道場が1万館。こちらの組織でありまして、今、新潟県と長野県は、まだ県立武道館がありませんが、建設計画はありまして、近い将来、47都道府県が加盟して活動するという予定になっています。
それから日本古武道協会。各地方に伝わります古武道78流派が加盟しており、年1回、日本武道館で35流派が集まり、日本古武道演武大会を開催しております。
課題でありますが、中学校武道必修化、平成24年度から始まりました。武道場設置率、中学校は60%弱。平均の実施時間、9.8時間。指導者の大半が武道の無段者ということであります。武道は非日常的な運動文化で、指導者が大事です。また仕込みが大事なんです。ですから、道場は厳粛な雰囲気の中で安全を確保する。また時間は、しっかり基礎を作った上で、技を習得してもらうということで、指導者を含めて、ここの充実をお願いしたいと考えています。
それから、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会が東京で開催されます。柔道に加えて空手道の採用が見込まれています。これへの支援・助成をお願いしたいと思います。また会場となる日本武道館の増改修工事も必須でありまして、特にパラリンピックについて、日本武道館は50年前の建物でありますので、お願いしたいと考えています。
まとめであります。相手のある武道、相手と激しく戦う中でお互いに尊重し合うということで、「武道は礼に始まり礼に終わる」。また徳川家の指南役でありました柳生家の家憲、「昨日の我に今日は勝つべし」。武道は人間を強く立派にする人間形成の道であります。武道に対する理解と支援のお願いをして終わります。
【友添部会長】  ありがとうございました。これで5団体の御発表を頂きました。少し疲れてきたところだと思います。少し身体を伸ばして、お考えを整理頂いて、御意見を賜りたいと思います。ちょうど今5団体お伺いしたのですが、質疑は先ほどと同じ10分間という非常に限られた時間でございます。いかがでしょうか。委員の皆様、何か御質問。久木留委員、どうぞ。
【久木留委員】  これまで8つの団体から大変貴重な意見を頂いたと思います。特に鈴木長官が言われたスポーツのインテグリティのところで、JADAさんとスポーツ仲裁機構さんの意見というのは具体的で、大変示唆に富んだ意見だと思いました。仲裁機構さんもそうですけれども、JADAさんの資料7の2のマル4の中に、第三者によるモニタリングの受諾で、2全体がモニタリング体制の整備と書かれているんですが、実は、このモニタリング体制の整備というのは、第2期スポーツ基本計画が最も注目しなきゃいけないところじゃないかなと私個人は思っております。
と申しますのは、やはり各団体さん、いろんな崇高な概念を言っていただくんですが、実際具現化しないとだめなわけで、それをしっかりモニタリングしていくという点では、この2は大変参考になるのかなと思いました。
2つ目は、仲裁機構さんと大変関係があるんですが、競技団体の応諾義務の話です。特にこの応諾義務はまだまだ、資料の中にもありましたけれども、かなり低い値なので、ここをしっかりやっていくことが、恐らくガバナンスやコンプライアンスを高めていくことになるんじゃないかなというのを、よく改めて分かりました。
最後1点、質問ですけれども、JADAさんの資料の中で、最初の部分です。はじめにのところに当たる5行目に、インテリジェンスを基にした「分析によらない違反」の確定を可能とする盤石なアンチ・ドーピング体制を有することが必須となっているとあるんですが、この「分析によらない違反」というのを、もう少し具体的に説明していただければと思います。
【友添部会長】  お願いします。
【日本アンチ・ドーピング機構】  ありがとうございます。世界アンチ・ドーピング規定の中では10種類のドーピング違反の類型が定められています。その中で検体、尿又は血液を分析した結果、違反が特定できるものは、これは1つ、その中の10分の1でしかなくて、残る10分の9については実際に禁止物質の譲渡ですとか、示唆をしたり、供与したりとか、それからそういったものの売買等、いろいろなものが類型として違反が規定されています。
現在、実際にはドーピング違反として違反になる選手の周囲が、選手が若年の頃から関与する形で、選手は主に被害者のような形で送り続けられる違反が多いのが、皆さん御存知のとおりかと思います。そういった周囲の関与も含めた違反の特定なくして、本当の意味でのドーピングの抑止にはならないということで、2015年の規定からは新たに2つの項目が盛り込まれて、10個の違反になったということで、今回ここで御提示申し上げていますのは、その1項目のみのドーピング分析ではなくて、それ以外のことがドーピング違反として特定できるような体制を持たなければ、オリンピックの開催をもって、選手が安心してやってくるような体制は作れないということを申し上げたいと考えて、ここにドーピングの分析によらない違反ということを申し上げました。ありがとうございます。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。1件のドーピングの背後には多くの、それに類する行為があって、それをモニターをしていくということと理解をしています。
ほかに御質問。境田委員、どうぞ。
【境田委員】  境田でございます。板橋さんとともにスポーツ団体のガバナンスに関する協力者会議でいろいろなスポーツ団体に対して調査をさせていただきました。
それで、そのときの20ぐらいのスポーツ団体に対してヒアリングをさせていただく過程で、トライアスロン連合の大塚さんや水泳連盟の泉さんにはいろいろと御協力いただいたのですが、そのときに非常によく分かったことは、特にNFに求められている業務、必要な業務というのが実は膨大にあるということでした。そのときに全業務を洗い出して一覧リストを作ったところ、おそらく100項目ぐらいあったと思います。また、スポーツ団体の場合、国や独法から補助金や委託金を受けますので、特に会計や財務、補助金申請業務においては絶対にミスは許されない。ここで間違えてしまうと、後になって補助金の返還とか申請資格停止とか、非常に大きな制裁を受けることがありますので、そういった業務については多くの人材が必要になります。ところが、多くのというか、ほとんどのNFではこのような事務作業を担うが圧倒的に足りない。また、強化部門はともかく事務部門に回せるお金がすごく少ないということで、本当に多くの団体が苦労しているというのが実態でありました。
実際、スポーツ団体の事務局の方々は、皆さん本当に一生懸命やろうとしているんだけど、この少ない陣容で、これだけのボリュームをこなすと、どうしてもミスが出る、そこを何とかしなくてはいけないというのが非常に大きな課題だなと、そのときに思いました。
その後、日本オリンピック委員会さんが、競技団体向けの業務支援センターを作ってくださるという大変有り難い話があったり、それから、特にパラリンピックに関しては、日本財団のパラリンピックサポートセンターが、溜池にオフィスを無償で提供してくださったので、約30の団体がいまその中でオフィスを構えています。さらにでそこでは翻訳とか通訳、会計業務のサービスも無償で提供されています。それから定期的に税理士や弁護士が来訪し、競技団体からの様々な相談に対応しています。1つの団体であらゆる業務を担うことは先に述べたとおり、とても大変なんですけれども、30の団体が一同、フロアに全部集まっていますから、そこでの悩みや課題というのは、大体共通していますので、そこで様々な専門家が全部の団体を恒常的にヒアリングして、ミスのないようにとか、アドバイスをしていくというのが非常に効率的なのです。ただ、これは日本財団さんが、そのために相当のお金を投資し支援してくださっているといういわば神風が吹いたからできているのですけれども。
その意味では、日本財団のサポートを受けていない、健常者の競技団体ののなかであまり財務体質の強くないところが多くの課題を抱えているんじゃないかなと思っているのですが、そのあたりについて板橋さんのご意見はいかがでしょうか。
【友添部会長】  板橋執行理事、どうでしょうか。
【日本スポーツ仲裁機構】  まさに御指摘のとおりでして、今後そういう、端的に言えば、事務体制がまだ脆弱である組織をどう強化していくのかということも、ガバナンスの基本的な課題だと思っています。
【友添部会長】  統一的なガバナンスセンターのような、そういうものが、人材をそこから派遣をするというような形も1つ考えられるかなとも思いながら、お伺いしていました。
ほかにいかがでしょうか。田中委員、どうぞ。
【田中委員】  ありがとうございました。スポーツに価値を見出していない人たちをどうやってスポーツに取り込むかという視点で質問させてください。笹川スポーツ財団様と、それから日本武道館様に伺いたいと思います。
私自身はもともとスポーツ選手でしたし、そして息子や娘には武道を習わせていたというような見地からももちろん、自分の弱点としては当然分かっているということが逆に良くないことかなと思いまして、教えていただきたいことがあります。
スポーツはもちろん、先ほどのJOCや日体協のときもそうだったんですけれども。自発性を育むだとか、スポーツの価値は人間としての主体性などを育んでいけることだというような、我々は価値を常にワットで見てしまうんですけれども、それがなぜ重要なのかということを見出していない人たちに対して我々伝えなければいけない義務があると思いまして、現場での見地を教えていただきたいのですが。
例えば笹川スポーツ財団様でしたら、地域でのいろいろな子供たちに、そして高齢者の皆様に、たくさんのスポーツ参加ということをやろうとしておられると思います。その中で、例えば心理学だったら、その個人が自らでスポーツをしようという自己決定理論というものがありますが、その自己決定理論の一番のゴールは当然、自らがスポーツをやりたいという内発的に動機付けられて、もちろんスポーツはやっていくことが一番の最終目標で、それができるのが、それは一番いいんですけれども。その一番最初のところは、外発的にでもあれ、自己決定をしない人たちに対して、どのように引き出していくかというようなところをすごく重要視することが、人を動かすということには重要なので、笹川スポーツ財団さんの方には、例えばどんな取組はうまくいった、でも実は問題点はここだというようなことを御指摘いただけたらうれしいですし、あるいは日本武道館さんの方には特に、同じ質問なんですけれども、武道のすばらしさということはたくさん感じますし、一番大事なことは、やっていただかなければ感じてもらえないのに、そのやる前のところで何か既に御示唆を頂けましたらうれしく思います。お願いします。
【友添部会長】  澁谷主任研究員、よろしくお願いします。
【笹川スポーツ財団】  御質問ありがとうございます。スポーツに価値を感じない人にどうやってということだと思いますが、昨今の成人の運動・スポーツ実施率がここしばらく伸びてきた背景としては、ある意味、健康作りのために体を動かすことが重要であるというヘルスリテラシー向上の視点での運動・スポーツ実施率の向上があったかと思います。
恐らく成人に対しては、そういったアプローチが1つ重要になってくるということと、やはり個人で、ある意味気軽に、時間などの拘束をされずにできる運動やスポーツのプログラムが入り口としては非常に重要であると思われるんですが、次のステップとして、楽しみとしての余暇活動の中で、仲間でやるスポーツにどうやって入ってもらうかというところについては、御指導させていただいている地方自治体のプログラムなどに非常に難しい側面を感じています。
特に20代、30代と働き始めて労働環境が……。
【友添部会長】  すみません。時間の関係で、手短にお願いします。
【笹川スポーツ財団】  はい。厳しい方にとっては大変難しいなと思っているところであります。
【友添部会長】  三藤理事、お願いします。
【日本武道館】  武道は見るものではなく、やるものであるということで、私どもは国の補助金、約6,000万を頂いておりますが、全国の都道府県立武道館協議会と共催で、青少年の錬成大会、子供たちに2日間集まってもらって指導する、また指導者の講習会、これを合わせて全国150か所ぐらいでやっています。
ほかに、各都道府県の武道館では武道教室をやっておりまして、こういうところで友人への呼び掛け、また父兄への働き掛け、こういうことを通して、武道はすばらしい、敷居は高くない、1回体験してみたらどうですかということで、仲間内の呼び掛けを中心にして参加を呼び掛けています。おかげさまで、少子化はありますが、武道人口は減ってはいますけれども激減はしていないということで、しっかりした現場に立った、お互いの誘い、また武道のすばらしさを徹底することを今後もやっていきたいと考えています。
【友添部会長】  ありがとうございました。発達期の子供にどうスポーツの魅力、武道の魅力を伝えるかということかと思います。ありがとうございました。
それでは、このセッションの交代をさせていただきます。それでは、すばらしい御発表をありがとうございました。入替えの方をお願いいたします。
この時間を使って、身体を動かして、リラックスをしてください。ちょうど疲れが出てくる頃かと思いますので、少しというか、リラックスでいきましょう。
(グループ入替)
【友添部会長】  それでは、次のグループは日本中学校体育連盟、全国高等学校体育連盟、全国大学体育連合、体育系大学学長・学部長会になります。これまでと同様に、各団体から8分以内で御発表いただいて、その後にまとめて質疑応答の時間を10分程度とらせていただきます。
それでは、最初に日本中学校体育連盟、菊山専務理事、平手事務局長、よろしくお願いします。
【日本中学校体育連盟】  では最初に、日本中学校体育連盟から説明をさせていただきます。資料に基づいて、ポイントだけ御連絡をさせていただきます。提案と書いてありますけれども、要望的な形になります。
まず1の柱、日本独特のスポーツ文化。そこにありますように、中学校における運動部活動、これは子供たちの健全育成、他者との協同する心、公正さ、規律を重んじる社会性の育成、こういったものが大きな柱になっているかと思っています。一体感のある地域ですとか学校を作っていく力にもなっていると思っています。
真ん中辺に入ってありますけれども、新制中学校ができまして来年で70周年になります。同じように中学校の運動部活動も70年近い歴史があり、かなり深く根付いている文化だろうと思っています。この多くの人たちが参加している中学校のスポーツ文化、これが日本のスポーツ文化の基盤にもなっていると私たちは意識しています。
続いて、下から5行目になります。日本の人たちは、スポーツに対して強さ、速さ、うまさとともに、人間性、取り組む姿勢、周囲からの支援、そういう過程を重んじているのではないかと思っています。こういった心情が日本独特のスポーツ文化であり、それの基本を中学校の運動部活動が作っているのだと考えています。
今現在350万から360万中学生がおりますけれども、その約65%が運動部活動に入って活動しています。
続いて2の柱に行きます。中学校における運動部活動の充実。第1の特徴的なものは、教育の専門家である教員がスポーツを指導している。そこには生徒理解がなければいけませんし、お互いの信頼関係がなければ、この指導はできない。必ずしもみんなが上手な指導者ばかりではありませんので、そこには人間対人間の信頼関係が基盤になっている。
続いて第2は、誰でも参加ができ、施設も利用できる。平等性と費用負担が少ないということ。つい私たちは都会の中学生を論じることが多いんですけれども、全国約1万600校では、本当に山奥の中の小さな町、村で1つの中学校があるだけ、あるいは離島の中学生、そういった地域のスポーツ指導者人材が乏しいところでも、学校は必ずあります。そこで先生方が指導者になり、運動部活動を保証してくれている。
続いて第3ですけれども、「するスポーツ」「観るスポーツ」「支えるスポーツ」。特に中体連では、そこの3行目にあります「相互審判の原則」の下、お互いに審判をし合う、競技役員をし合うという「支えるスポーツ」の実践の場でもあると考えております。
ただ反面、最近よくブラック部活などという報道がありましたけれども、長時間勤務の原因の1つであり、大変な負担にはなっているのは間違いないと思います。ただ、教育の専門家である教員による運動部活動の充実が、今後の日本のスポーツ文化を支える大きな鍵である。
下から12行目になります。運動部を行う教員の勤務状況、報酬の充実、補償の確保、それ以外に大会等の更なる充実のために、次の(1)からという形になります。
(1)勤務状況の改善です。下から2行目になりますが、運動部活動指導時間の一部を「特別な活動の指導時間」にカウントし、教員の持ち時数を軽減してほしい。
続いて2枚目になります。手当の充実ということで、今現在4時間以上の活動に3,000円の部活動指導手当を原則で頂いております。この手当に対する拡充も欲しいのですが、この(1)の時間、(2)の手当、今現在は時間が欲しいなというのが、現場の多くの教員の声だろうと思っております。
続いて(3)です。補償の確保。この2行目に、競技役員中のけが等が公務災害の認定になりにくい状況になる。なぜならば、引率は教員の業務として捉えられているが、審判等は任意団体の中の活動だということで、なかなか認定されないことがある。ただ、先ほども言いましたように、「支えるスポーツ」の場であると考えておりますので、教員あるいは生徒たちのけがに対する補償。特に教員の方の補償がポイントだろうと考えています。
(4)中体連主催の大会の充実です。私たちはスポーツ実践の機会と捉え、技能の向上だけではなく、この2行目にあります心身ともに健康な生徒、生徒相互の親睦・交流、こういったものを目標に頑張っています。全ての大会は無料で入場・観戦ができるわけですけれども、ここ数年、この下から4行目にあるように、ほとんどの公的な施設に指定管理者制度が導入され、以前は100%減免でしたのが、多くの使用料が取られるようになっている。やはり教育の活動である大会については全額免除とされることを望んでいます。
続いて(5)外部指導者制度の充実と部活動指導員(仮称)の導入。今現在、約3万人の外部指導者に支えていただいています。この2行目に書きました競技経験のない指導者だけではなく、時間の確保ができない多くの教員にとっては強力な存在、助っ人になっていると思っています。
次の段落ですけれども、現在検討されています部活動指導員導入に当たっては、法令上の明確な位置付け、制度化、あるいは研修の義務、そういったものを是非お願いをし、一番下に書きました競技役員等の任務も検討してほしいと思っています。
(6)。日体協の調査でしたが、保健体育科ではない、かつ担当したことも競技経験もない教員が約46%。この人たちの多くは指導力の不足を感じています。
下から5行目。学校全体を管理している校長・副校長等においても、部活動の運営等にあまり詳しくない先生もいます。その人たちには是非スポーツ医学に基づいた総合的な運動部活動のガイドライン、こういったものも作成をしてほしいと思っています。
最後の3枚目に行きます。大きな3番、スポーツ行政の構造改革についてです。いろんな大会の会場確保に行きますと、いろんな部署を回っていき、書類を出さなければいけません。そこの一番下に書きましたが、スポーツ庁が創設されたと同様の方向で、地方行政においてもスポーツ部局の創設を強く望むものです。
続いて4番、多くの競技は時々ルールが変わります。直近ではバスケットのコートデザインが大きく変わりました。そういったときに体育館の改修費用がありません。このようなときには是非、特別な予算の配慮はしてもらわないと、各学校では対応できないということ。
最後です。部活動は生徒の多様な経験の一部であり、この2行目に書きました、教員にとっては生徒と真っ正面から向き合う大切な時間。無駄な時間だとは絶対思っておりません。この関係が教科指導や学級指導、生徒指導等に大きな成果を上げるエネルギーになっていると思っています。
まとめます。学校では授業集中、行事団結、部活熱中、この3本柱があれば、全国1万600校の学校は全て前に向いていってくれると思っています。
お願い事が中心になりましたけれども、中体連のまとめをお伝えいたしました。以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは続きまして、全国高等学校体育連盟、奈良専務理事、丸山事務局長、よろしくお願いします。
【全国高等学校体育連盟】  よろしくお願いいたします。平素より全国高体連に対しまして様々な御支援を賜り、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
御承知のとおり、本連盟は、高校生の健全な発達を促すために体育・スポーツ活動の普及と発展を図ることを目的とした全国組織であります。そして、その目的達成のために各事業を展開しておりますが、特に約120万人の運動部活動に所属する生徒の夢舞台、最高峰のステージであります全国高校総体――インターハイと呼んでおります――の実施は、本連盟の中心事業であり、本連盟が現在抱えている幾つかの課題も突き詰めてまいりますと、インターハイの安定的な継続実施、ここに帰着すると考えております。
本日は第2期スポーツ基本計画策定に向けた意見集約の場にお声掛けを頂き、まことにありがたく存じておりますが、実は今年度、中国ブロックで実施するインターハイを直前に控えた時期であり、事前に提出いたしました資料につきましても、御期待にかなう内容にまとめ上げるまでには至っておらず恐縮しております。また、本日は大変限られた時間でありますので、その資料の中から数点に絞って話をさせていただきたいと存じます。
さて、お手元の資料では、高校教育における部活動の意義と課題という視点で整理をさせていただきました。文部科学省も従前より「生きる力」の基盤として確かな学力、豊かな心、健やかな体、いわゆる知・徳・体のバランスある教育活動の展開を謳っており、当然ながら、それらは個々個別に独立して成立するものではなく、バランスよく有機的に重なり合って育まれるべきものであります。
また、スポーツ基本計画の全体像の冒頭部分にございます我が国の社会の変化の中でも明記されておりますとおり、少子高齢化が進む中で、特に人間関係の希薄化がもたらす、いわば負の影響に極めて大きな現代的な課題があると考えております。
そのような視点から申し上げますと、資料1の(2)にお示しした自己理解と他者理解、そして自己実現を図りつつ他者との協調性などを育むために、高等学校における運動部活動が果たす役割や担うべき使命はますます大きくなっており、部活動の更なる活性化が大切であると考えます。
また加えて、1の(3)にお示ししたとおり、様々な障壁や葛藤を克服する経験によって得られる強い精神力や柔軟な対応力は、ひ弱であると言われる傾向が強い現代の若者が次代を担う社会人として厳しい社会の中で力強く生きていくために必要な資質の1つであり、前段同様、これらの育成に向けても、高校教育における部活動の活性化が極めて重要と考えております。
次に、事前資料の2、部活動を取り巻く現状の課題について触れさせていただきます。ここでは3つの項目について記載いたしましたが、(1)の指導者に係る問題のうち、部活動顧問教員の負担につきましては、スポーツ庁の方でも詳細な実態調査、客観的な医・科学的な知見などに基づくガイドラインの策定や外部人材の活用に向けた取組が本格的に進められると伺っており、中学校と高校における違いがある一方で、共通する課題も数多くあることから、高体連といたしましても、スポーツ庁の今後の動きに大きな期待を寄せております。
(2)の運動環境の整備の項目につきましては、新たな施設の拡充と並行した既存施設の活用の拡大と書きましたが、限られた予算の効率的な運用という視点から言えば、後者の拡大がポイントになると考えています。
具体的な提案の1つとして、公立高校の施設利用の拡大が挙げられます。公立小学校、中学校と同様の趣旨で、公立高校におきましても学校施設の開放は以前から取り組まれておりますが、高等学校の場合は、在籍する生徒の定期考査など、生徒の部活動が休止している期間に限定されており、活用は極めて少ないという実態があります。この部分を日常的な開放に拡大するという意味であります。
健康志向が高まり、生涯スポーツの観点などから運動欲求が高まる一方で、運動ができる場の提供については必ずしも十分ではないと考えています。特に大都市圏においては、その傾向が顕著であると思います。小・中学校と高校の違いの1つに、施設や敷地そのものの広さの違いがあります。さらに、この取組による場の提供に併せ、地域の皆様と運動部活動に所属する高校生とのコラボレーションが実現すれば、地域と高校生の双方にとって有益な取組になることが期待できます。
次に(3)の勝利至上主義がもたらす課題について触れさせていただきます。スポーツの一側面である競技としての文化、すなわち勝ち負け文化と私は書きましたけれども、これを離れた議論は、もはや成立し難いと思っています。
例えば国家的な事業であるオリンピックイヤーともなれば、日本の代表選手の活躍を期待しない人はいないと思いますし、さらに4年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けては、日本のスポーツ界全体の振興という意味では絶好の好機であります。しかし、その一方で、トップアスリートによる非違行為や、勝つためには手段を選ばないといった指導者による誤った指導などが社会的な問題となっていることも事実であります。
各競技大会における勝者への称賛は惜しまれるべきではありません。しかし、それと同じか、それ以上に、スポーツが有する文化性そのものを大切にしながら、真剣に取り組んでいる個人や団体への称賛や条件整備を忘れてはならないと思います。
東京オリンピック・パラリンピックの招致が決まる直前、外国人プレスからの日本人はドーピングに対してなぜクリーンなのかという趣旨の質問に対し、フェンシングの太田選手が、その質問を投げ掛けた記者に真っすぐと正対をし、しばらく間を置いて、ずるをしてまで勝とうとは思わない、これが日本人の良さですというような答えをしました。そのことを鮮明に覚えております。これだと私は考えています。
最後に、3のその他について触れさせていただきたい。ここでは3つのことを書きましたけれども、(1)の課題の改善におきましては、スポーツ庁からも様々な御支援、御助言を頂いております。このことに対し感謝申し上げます。引き続きよろしくお願い申し上げます。
また、最後の(3)につきましては、本日のヒアリングの趣旨とは遠い位置にある問題ではありますが、このようなことが高校生の運動部活動などを取り囲む負の材料というか、懸念されている要素として挙げられますということを御認識いただければ大変幸いであります。
以上であります。
【友添部会長】  ありがとうございました。続きまして、全国大学体育連合、井上常務理事、田畑運営委員、よろしくお願いいたします。
【全国大学体育連合】  よろしくお願いいたします。全国大学体育連合の井上です。本日は、このようなお時間を頂きましてありがとうございます。
本連合は、中体連、高体連さんの並びで大体連ときているので、課外活動のイメージがもしかして皆さんにおありかもしれませんが、本連合の目的は、大学体育・スポーツを通じて大学教育の発展に寄与することであります。
資料の1ページ目に本連合についての資料が載っておりますので、そちらの方をごらんください。沿革あるいは主な事業について、資料の方に掲載させていただきました。
きょうは大学体育・スポーツの立場から、スポーツ基本計画の7つの政策目標のうち3つに絞って、現状と我々の取組、そして御提案についてお話しさせていただきたいと思います。
それでは1ページめくっていただきまして、2ページ目を見ていただけますでしょうか。まず政策目標2について、お話しさせていただきます。
現状としまして、大学生のスポーツ活動の参加率ですが、これは体育会活動で30%ぐらい、スポーツ・レクリエーション活動として16%ぐらい。合わせて46%ですので、大学生のほぼ半分ぐらい、5割ぐらいの者が課外活動の中でスポーツ活動を行っているという現状がございます。
しかし、大学体育、いわゆる授業としての必修率は現在、講義で3割、実技で5割ということになっておりますので、授業としての必修率は低下しているのが現状でございます。
また、卒業生に対して、大学を卒業した者に対して、大学の体育についてどうでしたかというようなことを調べております。その結果、卒業生の授業に対する評価は非常に高く、卒業後の運動習慣や健康に役立っているというような回答がございます。
また、現状の4番のところにも書かせていただいたんですけれども、大学の体育は、中学校や高校で行われている一般的な種目以外にも、かなり幅の広い種目を積極的に導入しております。また、その教材開発等も行ってまいりました。
このことが、1980年代にありましたテニスブームであるとか、スキーブームであるとか、この下地を作って、社会的な影響力があったのではないかと考えております。
現在、我々が行っている取組としては、資料にもお付けいたしましたが、大学スポーツ推進宣言というものを作りまして、160を超える大学・短期大学の学長の方に御賛同を頂いております。
また、ゴルフ市場活性化委員会、日本プロゴルフ協会とも連携いたしまして、授業と課外活動の充実に取り組んでおります。
「見る」「支える」スポーツに関する授業の開発も行い、スポーツ基本計画や健康日本21などの政策と連動した教育実践にも取り組んでおります。
このような大学における体育・スポーツの学習の機会ですね。先ほど体育学会さんの方からも御指摘がありましたが、教育を受ける最後の機会であるのではないかと思っております。
大学生が体育・スポーツを学ぶということが結局、若者のスポーツ参加機会の拡充、あるいはライフステージに応じたスポーツ活動の推進に非常につながっていくのではないかと考えております。
是非、大学体育の重要性を強調していただき、できれば必修化という形をお示ししていただければと思います。
1枚めくっていただいて、3ページ目に入ります。こちらについてですが、現状としては住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備ということなんですけれども、大学を基盤とする総合型スポーツクラブは、17都道府県に29クラブあります。また、スポーツを通じた地域コミュニティ活性化促進事業は、合計で34団体が実施していますが、その多くは大学の資源を活用したものでした。
我々は今ラグビーワールドカップ2019組織委員会と連携して、今後、全国12の開催地で加盟大学による教育と研究、ボランティアなどで地域貢献をしていこうとしております。
スポーツを通じた地域コミュニティ活性化促進事業をやっている加盟大学の事例を見ると、これによって大学と自治体を結び付けるということには非常に効果があったとしているんですけれども、逆に言うと、大学と自治体だけが結び付いて、そこで少しイベントをやっているという形になっていて、なかなかそれが広がっていかないというような現状が見えてまいりました。
ですから、自治体と大学、それ以外の何か団体を巻き込んだ形で、その活動を広げていくということが必要なのではないかと考えております。そのために、地域連絡協議会であるとか、コンソーシアムであるとか、そういうものを、周りを巻き込んだ、自治体と大学以外の何か組織を巻き込んだ、そういう場を設定するのが必要なのではないかと考えております。
また最近、大学にはボランティアセンターを設立しているところが非常に多くなってまいりました。現在164大学でボランティアセンターが設置されております。ここがスポーツボランティアの取組を促進したり、さらに地域のボランティアリーダーを養成するという拠点になるのではないかと考えております。このような組織を活用するということを提案させていただきたいと思います。
また、オリンピック・パラリンピックの支援に対して、大学はどこの大学も何かできることはないかというのを考えているんですけれども、なかなか単独の大学で考えていても大きな力にはならないかと思います。大学を連携するような組織を設立していただければと考えております。
それで4枚目に行きます。スポーツ界における好循環の創出に向けたトップスポーツと地域におけるスポーツとの連携・協働の推進ということで、この中にデュアルキャリアというキーワードが出てまいります。デュアルキャリア形成という視点で見ると、大学は最も適している場であると考えています。
スポーツ推薦入試の制度というのは、大体3割の大学で実施されています。その中で7割の大学が、運動部学生の学修支援が必要だと回答しています。しかし実際には、必要だとは分かっているんだけれども具体的な取組が十分になされていないというのが現状であります。
我々の取組としては、大学スポーツ推進宣言のほかに、取組の6番に示されている日本版NCAAの創設について少し検討しております。これはスポーツ未来開拓会議や大学スポーツ振興検討会議等でも議論されているんですけれども、我々の中でも今現在、皆様の意見を集めたり、あるいは提案したりということを検討しております。アスリート学生の支援のほか、地域貢献にも寄与する組織、あるいは制度ではないかと考えています。
大学におけるトップアスリートたちのデュアルキャリアを考えた場合に、スポーツ推薦入学者への学修支援というのは、現実的なデュアルキャリア教育の現場であると考えています。しかし、その取組が各大学で十分に行われていない背景には、学修支援のプログラムを作るための人材や経費が確保されていないこと、あるいはプログラムの体系化がなされていないことということが考えられます。したがって、デュアルキャリア支援プログラムの開発のための人材と経費を確保することが必要なのではないかと考えております。
また、学生のアスリートや、その所属する大学の知名度が向上することによって、その学生や大学が行う地域貢献活動の効果の向上が期待できます。そのためには、大学のスポーツの祭典ということでユニバーシアードがございますが、これは、やや新聞報道等の取上げ方も非常に少ないという現状がございますので、ユニバーシアードのブランド力向上という取組を是非お願いしたいと考えております。
以上です。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。最後になりましたけれども、体育系大学学長・学部長会、内藤順天堂大学スポーツ健康科学部長、よろしくお願いします。
【体育系大学学長・学部長会】  よろしくお願いいたします。まず全国体育系大学学長・学部長会議というものについて若干説明をさせて、御理解いただきたいと思います。
本会は体育系大学における教育研究並びに管理運営に関する事項について、現在、加盟29の大学のメンバーによって、我が国の体育の向上発展に寄与するということで活動している団体でございます。
本会は既に、もう四十数年の歴史を持っておりますが、主にこれまでは教育の現場における中学、高校の保健体育科教員、このあたりが大きな1つの話題となってまいりました。
今回この会議で提言させていただきたいのは、やはり我が国のスポーツの発展を牽引する人材育成です。これに対して、やはり体育系大学が大きな役割を担っていることに基づいて、我々、今何をしているか、何を望んでいるかということについて発表させていただきたいと思っております。
基本的には大学の資源を活用した好循環、すなわち地域におけるスポーツを推進する中から、優れたスポーツ選手を育み、またそのスポーツ選手が地域におけるスポーツの推進に寄与するというスポーツ界全体の好循環を創出するために、いかに我々が関われるかということでございます。
ここでは、これまでに入れている政策目標7つの中で、大学という言葉が出てきているところを体育系大学という言葉に少し置き換えながら、幾つかの点をリストアップしております。
まず第1点目は学校と地域における子供のスポーツ機会の充実ということで、これまでの目標としては、具体的な施策展開といたしましては、大学においては大学の自主性に基づき、教員養成課程において云々と、これまで記されております。これは我々、体育系大学にとっては、主に中学、高校を中心とした保健体育の教員養成のところで、いかに良い教員を養成していくか、人材を輩出していくかということが課題であると考えております。
この後、学習指導要領の改訂、またそれ以外にも教員免許法の改定が控えておるということをつかんでおりますが、ここでは、より高度な専門知識と技量、豊かな教養を備えた保健体育科教員の養成をして、これを全国の現場に輩出していくことが目的であるということで、本会では特に教職課程全体としてのコンピテンシー、いわゆる卒業時の教育成果、実践能力の検討と課題として検討しております。
また、昨今ではアクティブ・ラーニングの考え方を取り入れた学習方法の改善と、非常に大きなテーマでございますので、体育系大学の教員養成課程においてもこの点、また養成した教員が中学、高校、また小学校のそういう現場においてアクティブ・ラーニングを他の教科に先駆けて積極的に発揮していく能力を養成したいと考えております。
また、一人一人の生徒が輝く運動部活動の指導者、ここの育成というのも大きな課題であると捉えております。
こういう課題を踏まえて、本会といたしましては、平成26年度、日本体育学会と連携、先ほどの御発表にあったと思うんですが、運動部指導における体罰や暴力の根絶であるとかいうようなことに関する調査を実施しております。
今後は学校と地域における子供のスポーツ機会の充実においては、スポーツ庁のリーダーシップの下に、教育委員会との連携・協働を是非とも図っていただければと思っております。
めくっていただいて、次の大きな話題は、若者のスポーツ機会の拡充、高齢者の体力作りに関するスポーツ活動の推進に関わる大学の役割でございます。ここは大学というよりも、独立行政法人、地方公共団体等々、併記している中での大学ということではございますが、大学のこの研究機能ですね。教育だけではなく研究機能に非常に着目をして、よりよい人材育成を図っていきたいと考えております。
若者という言葉の持つ意味でございますが、ここでは比較的、成人の中での若者というところに、どちらかといいますと、高齢者という言葉に対比して重点が置かれているように感じるところではございます。この若者、特に成人、若い世代のスポーツ参加の機会拡充、高齢者の体力作り支援ということについては、もちろんでございますけれども、我々体育系大学の非常に高度な専門的な機能を生かした研究あるいは人材の育成を図りたいところでございますが、先ほど述べた子供たちですね。子供たちのスポーツ機会の拡充においても、体育系大学に限定することなく、大学が子供や若者、高齢者全ての人々のスポーツ機会の拡充のために寄与するということについて提言をしていただければと思っております。
また、先ほどの大学体育連合さんでの提案にも関わるんでございますが、今、我々体育系大学は非常な数が増えており、定員も増えており、また大学院も大変充実されているところではございます。大学院の修了生、修士課程、博士課程を修了した非常に高度な専門知識を持った、スポーツ健康科学、スポーツ科学、あるいはスポーツ医・科学に非常に高度な知識と経験を有する人材を育成しているのでございますが、その受け皿がなかなか、人的資源が有効に活用されていないということが1つの大きな問題ではないかと思います。そのことから、我が国のスポーツ科学の発展となるためには、これらの受け皿を考えていただければと思います。
3番目は住民が主体的に参画する地域の振興ということ、それからスポーツ界におけるトップスポーツと地域の連携ということでございますが、これはどちらも課題としては全く同じ文言で2つ挙げられております。どちらも人材の育成のために大学の関わりということで挙げられておりますが、これはこれまでどおり、その点をより強く盛り込んでいただければと思います。
最後は国際競技力の向上に向けた人材の養成等でございます。こちらでは、やはり研究力、それからよりよいコーチの育成というところが、より有能なコーチの育成ということが謳われているのでございますが、こちらも文部科学省のコーチングコンソーシアムの提言、グッドコーチに向けた「7つの提言」、これを踏まえて本会としても、総会等において、これを実施しようということが協議されております。
また日本体育協会、体育学会等から提言のあったようなモデル・コア・カリキュラムの導入を見据えた教育内容の再構築を図っているところでございます。
本会といたしましても、コーチングコンソーシアムの委員としての参加、あるいは昨年度は2020東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたキックオフのシンポジウムを開催しているところでございます。
こちらにおきましても、スポーツ庁の強いリーダーシップの下に体育系大学の人的な資源、研究力を生かしたものを、この中により盛り込んでいただければと思います。
最後に、もう一度になりますが、やはり高度な専門知識を持った人材をいかに活用するかという意味では、その受け皿の部分で、先ほどの大学体育連合さんの提言のように、例えば大学の体育必修化、そういうところでの受け皿、あるいはいろいろなスポーツ庁あるいは中央競技団体、中央省庁、地方公共団体でのこの受け皿を準備していただけるようなところを盛り込んでいただければと思っております。
以上でございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。ただいま4団体の御発表を頂きました。御質問、御意見ございますでしょうか。久住委員、どうぞ。
【久住委員】  自治体の首長として、ちょっと気になっていることを中体連の皆さんにお聞きしたいのですが、既に現場では部活動は持ちこたえられないという話を聞いております。生徒数が激減しているということと、学校の先生も減っているという中で、御指摘のように先生は多忙であり、かつ専門外でも指導せざるを得ない環境にもなっている。そして、実際に部活動の数も減っているという現実にある。
そのために、既に校外組織、スポーツ少年団とか、総合型スポーツクラブの指導者に、お願いをして維持をしているということが1つ。200件調べると15%ぐらいは既に形で実際に行われている。
それから、子供たちが少なくなってきているので、1つの学校でチームが組めないことから、他校と連携してチームを組んで行っているということもある。その連携の合同のチームが、中体連の大会に参加できるという道筋は作られているのかどうか。この2点をお聞きしたいと思います。
【友添部会長】  よろしくお願いします。
【日本中学校体育連盟】  ありがとうございます。まず最後にありました合同部活動ですけれども、これは各県全部認めております。それぞれ条件は若干違いますが、全国大会までの道筋は全ての競技において、団体競技においては保証されています。現実に全国大会に出てきてから優秀な成績を残しているチームもありました。
それから、小規模化による外部指導者あるいは地域スポーツクラブ等々と兼ねてということですけれども。現実に取り組んでいる地域もあるようです。地域社会のスポーツクラブと合同で一緒にやってもらっているとか。ただ、それによって、また新たな課題も出ていますので、少しずつ解決をしながらということです。現実には今、委員の先生がおっしゃったとおり、学校だけでは全てできなくなりつつあるというのは間違いない現実だと思っております。
【友添部会長】  もう1点の方いかがでしょうか。もう1つの方。久住委員、よろしいですか。はい。では伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  伊藤でございます。どうもありがとうございました。中学校体育連盟様、高校体育連盟様、もしありましたら大学体育連合様に質問です。
今、障害のある子供たち、生徒、学生さんが普通学校に進学している率が高まってきておりますが、そういった中で、もし障害のある生徒さん、学生さんたちに対して体育の教育などをどのようにしようかということを検討している事項などがございましたら、簡単で結構ですので教えていただきたいと思います。
【友添部会長】  中体連、いかがでしょうか。
【日本中学校体育連盟】  中体連とすれば、県の中学校体育連盟に登録さえしてあれば門戸は開いております。大会には出てきている子供もおります。
昨年度、関東中学校体育連盟の研究大会でも、これからの1つの課題だということで提言がされた事実があります。1つの大きな課題だと思います。
【友添部会長】  高体連、お願いします。
【全国高等学校体育連盟】  障害のある子供たちへの対応という意味で全国、組織的に現段階で何か取り組むというのはありません。ただ30競技団体抱えておりますので、多分、専門部の方で、その大会へ出場してくる選手の申込み状況の中で、例えば耳の聞こえ、音の聞こえに問題があるとか、膝の曲がりが悪いとかいうことで申出があり、それに対して特別な配慮をした上で全国大会にも参加するようなことは実態として幾つもあります。
【友添部会長】  大体連、いかがでしょうか。
【全国大学体育連合】  いわゆる教養の体育の授業のレベルでは、それぞれの大学が皆さん対応されているのが現状だと思います。必修の大学が半分しかないという現状でしたけれども、必修の大学ももちろんですが、必修でない大学も、学生さんの一人一人の状況を見ながら対応しているのが現実ではないかと思います。
【友添部会長】  中体連、高体連の所管が部活動で、大体連が体育の正課授業ということで、その立場からお答えいただきました。
ほかに御質問いかがでしょうか。では朝原委員。次、大塚委員、お願いします。
【朝原委員】  ありがとうございます。私も中学校から部活動で育って、オリンピックに行ったんですけれども。先ほどから部活動がもう、ちょっと難しいということで、外部指導者の活躍の話をされていたんですけれども、実際に外部指導者の効果と、あとどういう方が携わっていて、外部指導者が携わるに当たっての環境というか、お金の面も含めて、それがうまくいっているのかどうかというのを中体連と高体連の方に聞きたいのと、もう1つ最後に、日本版NCAAなんですけれども、アスリートの学生とか大学の知名度向上が地域スポーツ振興につながるという、これが行き過ぎると多分NCAAが登場しないといけないと、矛盾していると思うんですけれども、その辺の考え方をお聞かせください。
【友添部会長】  中体連から手短にお答え、お願いします。
【日本中学校体育連盟】  今現在は各学校の方で、校長先生が知っている人とか、地域のPTAの方にお願いをして人を探してもらっているというのが大半の学校だろうと思っています。効果とすれば、やはり専門的な指導技術をお持ちですし、自分で師範ができる方々が下に入っていますので、子供たちの技術、技能の向上という面では大きな効果があると聞いております。
環境的なものであり、年度当初の予算が決まっていますので、12月までで今年度の予算がなくなり、3学期、1月からは本当にボランティアで来ていただいているという苦労話も聞いております。
ただ最後1つだけですけれども、私たち日本中体連は音を上げているつもりはありません。まだ学校の方で頑張っていくつもりでおります。
以上です。
【友添部会長】  高体連、いかがでしょうか。
【全国高等学校体育連盟】  効果のところについては中体連様と同様であります。実態として昨年度、平成27年度の調査によりますと、高等学校の部活動に対する指導員の数は9,604名というふうに実数が出ております。
様々な課題もなくはありませんけれども、やはり全体の制度をきちっと整備していくことが、これからより受け入れていく、又はより効果的に活用するという意味では大事なことだと考えております。
【友添部会長】  大体連、日本版NCAAはどうでしょう。
【全国大学体育連合】  大学がある意味、学生さんを、言い方ちょっとあれですが、利用して大学の宣伝に使っているような現実があるという御指摘だったかと思うんですけれども、それが確かに行き過ぎると非常に大きな問題になると思います。ただ我々は、先ほどもお話ししましたけれども、大学のスポーツ選手が競技も、学生生活も、両方有意義に送っていただくことによって、これからのスポーツ界を担う人材の育成をしていることになりますので、NCAAというものが横をつなぐような、競技の種目間であるとか、大学間を横につなぐような組織があることによって、その行き過ぎをある程度抑止するといいますか、そういう働きができるのではないかと考えております。
特に各競技種目によっては、やはり昔からずっといろいろやってきたことをなかなか変える力がないといいますか、伝統を重んじるというような風潮があるのは確かでして。けれども大学の現状が、どんどん、どんどん変わってきている現状の中で、やはりそこを、うまく大学生活と競技生活を何らかの形で調整していくような機関というのがある程度、これから先も必要とされるような時代になってきたのではないかと考えております。
【友添部会長】  ありがとうございました。大塚委員、お願いします。
【大塚委員】  すばらしい説明ありがとうございました。中央競技団体及びオリンピック委員会の立場から中学、高校、大学の皆さんに伺いたいんですけれども。2020というものが意識されている中、今回の第2次スポーツ基本計画の策定に入るわけですけれども。部活動の中、学校教育の中でもいいんですけれども、オリンピック教育及びオリンピズムというものをどのように中学生、高校生、大学生のスポーツの中に導入されていこうと考えていらっしゃるか。また、これからのことでもいいんですけれども、オリンピックというものに関する御意見を頂ければなと思います。
【友添部会長】  すみません。難しいですが、ワンフレーズでお願いします。
【日本中学校体育連盟】  元校長としての発言になるんですけれども、やっぱり本物の方が目の前に来て言葉を伝えてくれる、技を見せてくれるというのは、もう空気感が全然違ってきます。子供たちが夢を身近に感じれるということでは、すごく大きな効果がある教育だと思っています。
【友添部会長】  高体連、お願いします。
【全国高等学校体育連盟】  競技力という意味では、今の高校生又はそのときの高校生が、現実的に日本の代表の選手になって出るという場面ありますけれども、1人でも多く高校生が日本の代表となって参加できるようなことがあれば良いと思っています。
それは各専門部の中で強化をしていくというのが中心になりますけれども、全国組織としても、それについては全面的に協力、バックアップ体制をとっていきたいと思っています。
また、迎える方の子供たちの状況からすれば、やはり、これも中体連の菊山先生と同じですけれども、他の文化と交わることが直接的にできるという経験は、これは、これからの広がりの中ではたくさんあるかもしれませんが、またとない絶好の機会となると考えております。
【友添部会長】  大体連、学長・学部長会、何かございましたら発言をお願いします。
【全国大学体育連合】  井上常務理事に代わって私が説明させていただきます。
大体連と2020年組織委員会と一昨年、協定を結びまして、オリンピズム教育並びに大会招致に関わることについて連携をするということで進めておりますので、一部の大学においてはオリンピズムの教育については授業でカリキュラム化されておりますけれども、大体連としましても、それを推進していくという立場で授業を行っております。
【体育系大学学長・学部長会】  体育系大学におきましてもオリンピック・パラリンピックに関する教育、それから多くの体育系大学では選手としての参加が非常に多いので、その選手が、特に今後2020の後に、レガシーですけれども、どう関わっていけるかということを意識した活躍を期待しているところでございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。ちょっと駆け足でしたけれども、予定した時間が参りました。きょう予定しておりましたヒアリングは以上で終了させていただきます。きょうはどうもありがとうございました。
今後の日程につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。第3回の部会になりますが、7月25日月曜日13時から開催させていただきます。今回と同様ヒアリングを行う予定でございます。ヒアリング団体につきましては、資料1でお配りしておりますので御参照ください。
なお、ヒアリング団体の数が本日より2団体多い14団体となっておりますので、時間の方は13時から16時までの3時間をとっております。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、会場は虎ノ門でございます。文部科学省とは異なる民間のビルでございます。既に案内状をお送りさせていただいておりますが、お間違えのないようお願いいたします。
私からは以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。最後に鈴木長官、まとめの御発言をお願いします。
【鈴木スポーツ庁長官】  長時間にわたり活発な御議論いただきましてありがとうございました。8分という大変短い間に、いろいろまとめて話していただきまして、本当にありがとうございました。あっという間の2時間半でございましたが、1つだけ。
きょう、いろいろお話、議論ありましたけれども、指導者というキーワードが出てきたと思いますが、アスリートの養成も、それから体育嫌いをなくすのも指導者でありまして、指導者のところを、これからちょっと交通整理する必要があるのかなという感じを持ちました。
それから、この会議の親部会でありますスポーツ審議会の方でNF、競技団体の視点が抜けているのではないかという御指摘もありまして、コンプライアンスやガバナンスの徹底とか、それからインテグリティの更なる強化といったところからも、これからスポーツ基本計画に盛り込んでいく必要あるかなということと、それから2020年、これを後まで、この次期の基本計画はカバーしなくてはいけないということで、そちらの方も一度御意見が出ましたら盛り込んでいく必要があるかなということでございます。
きょう仕切りの方も部会長ありがとうございました。皆さん、お礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
【友添部会長】  それでは散会したいと思います。きょうはどうもありがとうございました。

―― 了 ――


スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第3回)
平成28年7月25日


【友添部会長】  こんにちは。暑い中、恐縮します。それでは、ただいまから第3回スポーツ審議会スポーツ基本計画部会を開催したいと思います。皆様、本当に今日はお忙しい中、御出席を頂きまして、ありがとうございます。
今日、所用のために初めての参加ということでありますけれども、福井委員の方から御挨拶を頂ければと思います。
【福井委員】  皆さん、こんにちは。日本オリンピック委員会の福井と申します。ウィンブルドンテニスでロンドンに出張しておりました。帰ってまいりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  お帰りなさい。
【福井委員】  言い訳みたいでしたが、済みませんでした。よろしくお願いします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、本日は第2回に引き続きまして、関係団体からのヒアリングを予定しております。まず、本日の配布資料の確認を、事務局からお願いします。
【日比政策課課長補佐】  失礼いたします。本日机上に配布している資料の確認をさせていただきます。議事次第に即しまして御説明いたします。
資料1として、団体ヒアリング日程、1枚紙がございます。続きまして資料2、全国知事会からの宮崎県からの資料でございます。資料3が湖南市長様からの資料、そして資料4が、新潟県の聖籠町の資料でございます。資料の5が、日本レクリエーション協会からの資料でございます。資料6が、総合型地域スポーツクラブ全国協議会からの資料でございます。資料7が、全国スポーツ推進委員連合の資料でございます。資料の8、日本体育施設協会の資料です。資料9が、健康・体力づくり事業財団の資料です。資料の10が、日本スポーツツーリズム推進機構の資料でございます。資料の11が、スポーツ健康産業団体連合会の資料でございます。資料の12が、日本トップリーグ連携機構の資料でございます。資料の13、クリップ留めしてありますけれども、日本オリンピアンズ協会様からの資料でございます。資料の14、日本パラリンピアンズ協会の資料です。資料の15、ラグビーワールドカップ2019組織委員会の資料です。その次が、資料の16、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の資料です。資料の17、日本経済団体連合会の資料でございます。
これらのほかに、机上には、本日の団体ヒアリングの流れの横の表でございますとか、更には新潟県聖籠町教育委員会の生涯スポーツ推進計画の資料、その次に日本スポーツツーリズム推進機構のピンク色の冊子、それから健康・体力づくり事業財団のクリップ留めのパンフレット類、そして最後に、ラグビーワールドカップ2019ファクトブックという黒い冊子があるかと思います。不足等ございましたら、お申し付けいただければと思います。よろしくお願いします。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。不足ございますでしょうか。ありがとうございました。きょうは3時間という長丁場になります。途中で5分ほどの休憩をと考えておりますが、トイレの方が非常に少ないものですから、御辛抱なさらずに、適宜、席を立って御利用いただければと思っています。
それでは、議事に入りたいと思います。本日は、資料1に記載されています16の団体から、第1期スポーツ基本計画を踏まえた第2期スポーツ基本計画の在り方について、御意見を伺いたいと思います。進め方としましては、前回同様、幾つかの団体のグループごとに、まず各団体から8分以内で順次御発表いただいて、その後に、まとめて質疑応答の時間を10分程度取らせていただきたいと思っています。
それでは早速、ヒアリングを始めます。最初のグループは、全国知事会、全国市長会、全国町村会になります。それでは、全国知事会から四本宮崎県教育長、よろしくお願いします。
【全国知事会】  本日は第2期スポーツ基本計画の策定に当たりましてお声掛けを頂きまして、ありがとうございます。本県宮崎県の河野知事が、全国知事会におきましてスポーツ・文化・観光プロジェクトチームリーダーを務めておりまして、その関係でこのような機会を頂いているところでございます。本日、知事が所用で出席できませんので、私、県の教育長でございますが、代わって説明をさせていただきます。また、時間に限りがございますので、全国知事会のプロジェクトチームで話題となっている事柄、あるいは本県のスポーツ審議会での意見を踏まえて、意見を述べさせていただきたいと思っております。
資料の2を御覧いただきたいと思います。資料2の1ページを御覧ください。第1期のスポーツ基本計画の第2章、今後10年間を見通したスポーツ推進の基本方針が7項目示されておりますが、ゴシック体太字で表記をしております項目に絞りまして、意見を述べさせていただきます。
資料を1枚めくっていただきまして、2ページを御覧ください。1の、学校と地域における子供のスポーツ機会の充実についてでございます。政策目標を受けまして、第1期の現状と課題といたしまして、直近17年間の新体力テストの合計点は、ほとんどの年代で緩やかな向上傾向を示しているものの、昭和60年代と比較すると、依然低い状況であります。幼稚園・小学校での体育授業の充実や、中学校の運動部活動の効果的な在り方について、更に検討する必要があると考えております。
第2期計画への意見といたしまして、(1)幼児期からの子供の体力向上方策の推進が重要でございますことから、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2019年ラグビーワールドカップの開催を運動習慣定着への好機と捉えた、体力向上を図る施策の展開が必要であると考えております。また、本県につきましては、小学校体育専科教員を3名配置をいたしましたところですが、大変効果が高いということもありまして、小学校体育専科教員の配置等が拡大されることが大切であると考えております。
続きまして、資料の3ページを御覧ください。2、若者のスポーツ参加機会の拡充や高齢者の体力づくり支援等のライフステージに応じたスポーツ活動の推進についてでございます。政策目標を受けた現状といたしましては、本県でも成人の運動実施率は20代と30代の数字が低いこと、それから障害者が身近な地域でスポーツに親しむ環境づくりや配慮が必要であること、また、高齢者にとって年齢や体力に応じてスポーツができる環境づくりに努めること等が、それぞれの課題となっております。
次の計画の意見といたしまして、特に運動実施率の低い20代、30代に焦点を当てた施策を講じること、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、障害者にとってスポーツが生活の一部となるような施策を講じること、高齢者にとってスポーツが生きがいとなるような社会の実現を促すことをより充実させていくことが重要ではないかと考えております。
続きまして、資料の4ページを御覧ください。3、住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備についてでございます。第2期の計画の意見としまして、特に(3)の、地域スポーツ施設の充実を挙げております。スポーツ振興のため、地方が実情に応じて実施する公立スポーツ施設の整備・改修に対する地方債の償還支援など、新たな財政支援の創設や宝くじを活用した新たな財源の確保の検討が必要であると考えております。そのことで、地域的に持続的にスポーツを行う環境づくりが一段と進んでいくものと考えております。
続きまして、資料の5ページをお願いいたします。4、国際競技力の向上に向けた人材の養成やスポーツ環境の整備であります。政策目標を受けての第1期の現状と課題でありますが、本県出身の水泳の松田丈志選手、4期連続のオリンピック出場となりますが、今回のリオ・オリンピックには、松田選手をはじめ、11名のアスリートが選出をされ、本県に元気を与えていただいているところでございます。
このように、東京一極集中でなくて、地方から世界に羽ばたける競技力向上の仕組みというものを更に充実させることが必要であると考えているところであります。また、本県出身あるいは在住者の中で、国際大会やオリンピック等の指導者となっている方の服務等についての協力体制の整備が求められていると考えております。
それを受けまして、今後の計画といたしまして、ジュニア期からトップレベルに至る戦略的支援の強化につきましては、全国どこからでも世界で通用するアスリートを養成するために、ジュニア期からタレント発掘をする戦略的支援の強化をすることが重要であると考えております。
また、スポーツ指導者及び審判員等の養成・研修やキャリア循環の形成につきましては、スポーツ指導者や審判員等が国際大会やオリンピックに協力しやすい環境整備をすること、さらに、トップアスリートのための強化・研究活動等の与点構築については、東京ナショナルトレーニングセンターを、東京集中ではなく、地方においても新たな指定や設備等の拡充整備を確実に行うこと、さらに、オリンピック競技とパラリンピック競技を一体的に捉えた取組を推進することが重要であると考えております。
資料の6ページをお願いいたします。5、オリンピック・パラリンピック等の国際競技大会等の招致・開催等を通じた国際交流・貢献の推進についてでございます。1点目、追加種目の地方開催等、地方が国際大会に貢献するための招致・開催等についてでございます。東京オリンピック・パラリンピックで追加競技・種目としている5競技18種目は、震災被災地をはじめ、地方での開催を検討していただきたいと考えております。
2点目として、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催効果の全国への普及についてでございます。これにつきましては、多くの外国人観光客が訪問することが期待されますので、地方経済活性化に寄与する好機と捉えて、低廉な陸・海・空の周遊フリーパスを創設するなどの施策を講じることが大事であると思っております。
次に、最後のページ、資料8ページを御覧いただきたいと思います。第4章、施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項についてでございます。地方創生、地方から世界への考え方の下に、スポーツが一極集中ではなく、全国的な文化として根付くことを期待しております。また、2020東京オリンピック・パラリンピックを契機として、スポーツが生涯持続可能なものとして形成される仕組みへの配慮が重要であると考えております。さらに、地域の特性を生かして、スポーツをするということだけではなくて、見る・支えるという視点から捉え、ライフステージに応じた生涯スポーツが展開されるような、スポーツを生かしたまちづくりの推進についても意見をさせていただきたいと思います。
私からは、以上でございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは続きまして、全国市長会、谷畑湖南市長、谷口秘書係長、よろしくお願いします。
【全国市長会】  御紹介いただきました滋賀県湖南市の市長をしております谷畑でございます。本日は、こういった場で意見発表の場を作っていただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。また、スポーツ庁の方に本市から職員を派遣させていただいておりまして、お世話になっておりますことに対しまして御礼申し上げたいと思っております。全国市長会を代表いたしまして、基礎自治体において、どういったスポーツの取組が行われているのか、そして、その中で考えられることについて、少しお話をさせていただきたいと思います。
資料をおめくりいただきますと、湖南市の置かれている状況です。基礎自治体それぞれ状況が違いますので、取り組んでいる内容については、その状況に応じた取組ということになります。湖南市は滋賀県の南東部に位置しておりまして、旧東海道の通る交通の要衝でありまして、琵琶湖の南に位置してございます。人口は5万5,000人、高齢化率22%ですが、これから全国の高齢化率に急速に近付いてまいります。そして、工業団地が造成をされておりまして、外国籍市民がたくさん住んでおります。地域まちづくり協議会という小学校区単位の地域組織ができておりまして、自治活動を展開しております。また、障害福祉の先進地でございます。そして、総合型地域スポーツクラブができていると、こういう背景がございます。
次のページでございますが、現状と課題を捉えてみますと、9割以上が健康であると考えていながら、運動不足だと8割が考えているということが分かっております。また、女性について言えば、半数が1年間運動しておりませんけれども、その半数は運動したいと相反する考え方を持っておられます。そして、その二つ下ですが、運動動機については、身近に施設があれば、一緒に行う仲間がいればと、こういう思いを持っておられます。また、子供の体力・スポーツ機会につきましては、スポーツ少年団については、その活動が縮小傾向にあるということでございます。そして、スポーツイベントについては、市域が合併において大きくなっておりますので、全体で集まって行うというよりは、地域ごとのスポーツということが非常に参加傾向が高いということが言えようかと思います。
おめくりをいただきたいと思います。現在、湖南市におきましては、スポーツ推進計画を策定しております。市の総合計画とスポーツ基本法の理念に基づきまして、気楽につなぐ、感動でつなぐ、地域でつなぐ、笑顔でつなぐという四つの基本方針に基づいて、それぞれの展開を図っているところでございます。計画期間といたしましては、一昨年度、2014年度から5年間ということで進んでおります。
次を見ていただきますと、誰でも気軽にできるスポーツ機会ということで、現在、高齢者が増えておりますので、グラウンドゴルフが人口としてはかなり大きくなってきております。このグラウンドゴルフについては、老若男女どなたでもどこでもできるというスポーツでございます。そして、インターバルウォーキングということも進んでおりますし、市民スポーツカーニバルということが、先ほど申しました、50年間、全市で取り組んでおりましたけれども、市域が大きくなりましたので継続ができず、今は各地域においてスポーツを進めているところでございます。
おめくりください。次に、年齢・体力に応じたスポーツの推進ということが書かれてございます。健康との連携ということが、これから大事になってまいります。いきいき百歳体操という、高齢者が筋力向上をするということを目的として、自宅から歩いていける集会施設でする体操でございます。両手足首におもりを調整して負荷を掛けるということで、これも今、人口がものすごく増えてきております。
2番目に、日本シニアソフトボール、ハイシニアソフトボールと書いてございます。これは高齢者のソフトボール大会でございますが、文部科学大臣杯をお預かりをさせていただいております。湖南市において、現在、連続13回開催されておりまして、毎年、千数百人の、私、いつも不良じじいたちと言っておりますけれども、高齢者の、中学生に見まがうようなすばらしいお年寄りたちが集まって、真剣に、そして事故なく、これを運営しておられます。
元気はつらつ教室というものがございまして、これは高齢者が日常生活の中でできる簡易な運動を学んでいただいております。
次ですが、総合型地域スポーツクラブにつきましては、それぞれで様々な取組をしていただいております。一番右上にありますように、本市におきましては、子供を地域のお客さんにしないという方針をしておりますので、子供がボランティアとして働いていただいております。
おめくりください。次に、地域福祉を生かしたスポーツの推進ということでございます。インクルーシブのまちづくりを進めていく必要があろうかと思っておりまして、一つ目が交流いきいき風船バレー大会とありますが、これは障害の有無に関係なく、老若男女、誰でも楽しめる風船バレーボールというのが、地域の人たちの中で作られております。これはチームを組みまして、メンバーが必ず1回はタッチをして相手方コートに返すということでございますので、障害の有無に関係なく取り組んでいただけるということで、体育協会や、ちょいスポというのは先ほどの総合型地域スポーツクラブでありますが、また、障害福祉団体多数が参加をしております。
2番目にありますスペシャルオリンピックス日本・滋賀大会でございます。最初に申しましたように、湖南市におきましては障害福祉の先進地でございまして、我が国障害福祉の父と言われます糸賀一雄が作りました近江学園がございまして、町の中を知的障害・発達障害の方々が普段どおり生活をしていただいているところでございます。そういった中で、スペシャルオリンピックス日本の滋賀支部ができました折から、湖南市において、連年、この大会を開いていただいているところでございます。
次のページですが、このたびのリオデジャネイロ・パラリンピックの方に、本市から馬術の部でアスリートが出場することになってございます。2005年に脳卒中で右半身麻痺、高次脳機能障害を負われました宮路さんでございますが、これがスポーツリハをたくさんしておられまして、その中で馬術に着目をされました。ただ、おっしゃっていたのは、障害スポーツの馬術については、アニマルセラピーにもなるけれども、まだまだマイナーであるので、是非支援をお願いしたいということをおっしゃっておられました。
次のページをめくっていただきますと、ロンドン・パラリンピックにも本市からは選手が出場をしていただいておりますし、様々な若い選手が、今、育っているところでございます。
次のページを見ていただきますと、地域資源を生かしたスポーツの推進とございます。きょう、顔が赤いんですけれども、これはお酒を飲んできたわけではございませんで、きのう、この一番上にあります泥りんピックというものに参加をしておりました。休耕田に水を張りまして、バレーボールでありますとかビーチフラッグでありますとか、1日いますと顔が真っ赤になってしまいます。ただ、全身の筋肉を使いますので、非常にスポーツになるかなと思っております。
それから2番目に、みちくさコンパスとございます。最初に旧東海道が通っていると申しましたが、この旧東海道の歴史資源を生かしながら、地域のまちづくり協議会の人たちがスタンプラリーをしておられまして、ウォークイベントとなっております。秋口には、たくさんの方が東海道を散策されております。
一番下にあります冬の酒蔵めぐりでございます。これは最初のところにも書いてございますが、本市におきましては酒蔵が二つございます。この酒蔵を、JRの駅の近くにございますので、旧東海道を試飲をしながら歩いていただこうという、そういうイベントでございまして、毎年、酒飲みが1,000人以上、この地域をうろうろとウォーキングをしていただいているということでございます。
おめくりを頂きたいと思います。こういったものを前提といたしまして、まとめのようなものとして提言をさせていただきたいと思います。まず、競技スポーツだけでなく、健康づくりを目的とした生涯スポーツに、更なる力を入れていただきたいと思います。健康づくりは地方創生の源となります。また、官製ではなくて自主性に委ねた地域スポーツは持続可能性を秘めておりまして、スポーツツーリズムとしてたくさん人が集まってまいります。また、障害の有る無し、年齢や性別にかかわらず、いつでもどこでも誰でも取り組めるインクルーシブなスポーツの支援をお願いしたいと思います。
また、右上にあります、各自治体とも老朽化したスポーツ施設の維持管理更新が課題でございます。とりわけ指定管理との関係に注目が必要だと思っております。さらに、スポーツ政策を立案する際には、我々自治体も大事でありますが、スポーツ関係団体の連携ということが、現場においては非常に大事になってまいります。それを前提にした政策展開をお願いしたいと思います。
最後に、今後、スポーツ関係団体につきましても、健康づくりや高齢者対策、地域づくり、様々な横展開が求められてこようと思っております。そういった意味から、スポーツ現場においても、政策の総動員ということが重要であると思っております。
最後のページに書いてありますのは、全国市長会から東京オリ・パラに向けまして、環境整備や施設整備等について御提言をさせていただいているものをまとめさせていただきました。またお目通しをいただけたら有り難いと思います。以上でございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。
最後になりましたけれども、全国町村会渡邊副会長、新潟県聖籠町長、よろしくお願いします。
【全国町村会】  新潟県聖籠町長の渡邊と申します。本日は第2期スポーツ基本計画の策定に向けた本部会におきまして発言の機会を頂いたこと、まずもって感謝申し上げます。初めに、我が町のスポーツの現状、置かれている環境について御紹介します。
我が町は、新潟市の北隣、日本海に面した約25キロの地にあり、人口約1万4,000人の小さな町であります。小さな町ではありますが、サッカー、J1のアルビレックス新潟のホームタウンとして新潟市とともに指定を受けており、チームのクラブハウスや練習場が立地しております。また、2009年の新潟国体では、小さな町ですが、女子サッカー、それからセーリング、フェンシングの会場にもなっております。スポーツの振興、スポーツ環境の整備に力を入れております。
町では、子供から高齢者、障害者まで幅広い層に向けたスポーツの振興策に取り組んでおり、誰もがいつでもどこでもいつまでも気軽にスポーツ活動に参加することができる環境づくりの一環として、NPO法人による総合型地域スポーツクラブが組織されております。また、聖籠町では、スポーツや健康に関する講座、イベント等も多く開催しております。少子高齢化が進んでいる中、特に高齢者の健康増進が重要となってきており、町では医療・介護等の保健福祉分野とも密接に関わり合いながら、スポーツ施策を進めているところでございます。
続きまして、先にお話しいたしました聖籠町の現状を踏まえて、町の生涯スポーツ推進計画について説明させていただきます。聖籠町ではこの3月で計画の策定を終え、4月1日から第2次の生涯スポーツ推進計画がスタートしております。生涯スポーツ推進計画は、スポーツ基本法が定める地方スポーツ推進計画として町が策定している計画です。町の計画の表題には、一人一人のライフスタイルや運動能力に応じて、誰もがいつでもどこでもいつまでも気軽に楽しむスポーツという意味で、生涯スポーツという言葉を使用しております。
聖籠町では、平成18年度から推進計画を策定しており、今年度、平成28年度から第2次の計画がスタートしております。第2次の計画策定に当たっては、一般町民や教師などを含めた計画策定のための委員会を設け、およそ1年間、協議いたしました。委員会では、第1次の計画の検証をするとともに町民へのアンケートを行うなど、地道で丁寧な調査を心掛けて、町の計画策定に取り組んできたところであります。
このようにして出来上がった第2次の聖籠町生涯スポーツ推進計画は、現在28.8%の成人のスポーツ実施率を、10年後に65%まで上げることを目標に据えて、資料4の1ページの中段に掲げてありますが、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進、世界トップレベル選手の育成、障害者スポーツの推進の充実の三つを観点の軸にしています。そして、それら三つの観点に沿った主な施策を、するスポーツ、競うスポーツ、支えるスポーツ、それからもう一つ視点を変えて、見るスポーツの、四つの基本方針としてまとめております。
また、町の計画においては、スポーツの果たす役割と意義といたしまして、3ページに書かれておりますが、心身の健康、自立と人間形成、地域コミュニティーの形成、健康寿命の延伸、スポーツが生み出す心のつながり、スポーツは世界共通の文化ということで、六つを定めまして、個人や地域により良い環境をもたらすスポーツを通して、全ての人々が幸せで豊かな生活を営むことができる、スポーツに満ちた町、明るく豊かな町の実現を目指すこととしております。
次に、町の計画における個別の項目について若干説明させていただきますが、聖籠町の生涯スポーツ推進計画は、先に述べたように、する、競う、支える、見るの、四つの基本方針ごとにまとめられております。町の計画を、国の計画に対応する形でまとめ直したものがお手元の資料の4ページ以降に書いてあります。四角で囲んだ部分が、国のこれまでの計画に掲げられている事項であります。各項目の四角以下に、聖籠町における具体的な施策についてまとめております。
一つ目の子供のスポーツの機会の充実では、子供に向けたスポーツ環境の整備について、4ページ中段にある1から6の施策を掲げております。何よりも大切なことは子供たちにスポーツの楽しさを知ってもらうことであるという考え方の下で、計画を策定しております。
二つ目として、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進の項目では、生涯スポーツ社会の実現に向けた環境整備の推進において具体的施策をまとめるに当たり、資料5ページから6ページに書いてある、気軽にできるスポーツの推進、親子で楽しめるスポーツの推進、高齢者のスポーツの推進、障害者のスポーツ推進という、四つの観点を定めております。少子高齢化社会を迎えて核家族化も進行する中で、増加する高齢者が生き生きと活動できる取組と、子供たちが健やかに伸び伸びと成長できる環境の充実等、積極的な取組が求められるという認識に立ち、1、2の項目については、独自の観点も含めた形で計画を策定しております。
三つ目、地域のスポーツ環境の整備については、人材の育成と、スポーツの指導者・スポーツ施設の充実、町の計画の中で掲げております。聖籠町には、町が出資したNPO法人による総合型地域スポーツクラブ、スポネットせいろうという組織があります。この総合型地域スポーツクラブの充実や、多様なスポーツニーズに応じて、人材の発掘や育成が、町の今後の課題であると思います。
最後に、国の施策と次期スポーツ推進計画の策定へ向けた意見を若干述べさせていただきたいと思います。
まず計画策定に当たっては、分かりやすい計画にしていただきたいということが一点目であります。国の計画は各自治体が計画を策定するに当たって参照するものですので、簡潔な表記や図表の活用など、分かりやすい記述を心掛けていただきたいと思います。我々都道府県又は市又は町村の場合、それぞれ中山間地も含めて、地域事情が非常に異なっております。ですから、スポーツ環境や施設環境も相当違うわけであります。その中で、地域の実情に合った計画作りをしていくことになるので、国の計画も住民に分かりやすい形のものをお願いしたいということであります。
また、次期の計画は、スポーツの範囲を広く取り、多くの人を巻き込むことを想定した幅広い計画にしていただきたいと思います。町の計画策定に当たっては、散歩やレクリエーションといった身体的活動全般、更には見るスポーツの観点を織り込むなど、スポーツの範囲を幅広く捉えました。さらに、障害者のスポーツ推進といった独自の項目を設け、幅広い層の参加を想定した計画としております。国も、東京オリンピック・パラリンピックが4年後にありますので、それらに向けて、幅広い形での、又は健康寿命という形で、福祉・健康増進にも関連付けたことが言われておりますので、その辺りも想定してほしいと思います。
最後に、これは人口規模の少ない、また、中山間地を抱えている町村の立場でお願い申し上げておきたいのですが、スポーツですと、幾ら機会を設けるにしても、施設面の充実がなければ到底できないものが多々あるわけであります。その中で、現在は老朽化した施設の安全確保や長寿命化のため、改修や建て替えが余儀なくされている地区も多々あります。また、バリアフリー化等の機能向上に向けても、努力しているところであります。このようなことから、国の財政も逼迫している中ではありますが、また文科省、そしてスポーツ庁という立場の中で、本当に厳しいものもあるか分かりませんが、国による財政措置を御配慮いただきたいということを僭越ながら申し上げて、発表を終えさせていただきます。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまのご発表につきまして、御質問、御意見等ございましたら、お願いします。
和久委員、どうぞ。
【和久委員】  御意見ありがとうございました。一つお伺いしたいのですが、各都道府県市町村レベルで、人口動態の変化が起きていると思います。人口減少、更に少子・高齢化、あるいは人口移動といった人口動態の変化の中で、住民への新しいスポーツサービスの提供の仕方に変化があるか、あるいはうまくいった事例があれば、教えていただければと思います。
【友添部会長】  いかがでしょうか。聖籠町、渡邊町長の方からお願いします。
【全国町村会】  今、全国の市町村を取り巻く人口減少問題は、御承知のとおりであります。いろいろな行政サービスや施策を展開する中で、どうしても人口の減少問題が一つのネックになります。その中で新潟県も非常に厳しい現状にあります。しかしながら大変有り難いことに、我が町の場合は、今年の国勢調査で、5年前よりも340人ぐらい人口が増えました。新潟県で唯一増えた町であります。
一定の規模の市町村の中で、いろいろな行政サービスなどを展開していくためには、人口の存在が全てに影響してきます。大きいだけがいいわけではないし、小さいだけがいいというわけでないのですけれども、子供から高齢者までの各年齢層に応じた対応をやっていくための工夫がどうしても要求されます。人口の増減に対応できるような形になっているということは当然のことであります。しかし、人口の変化に対応するとしても、人口減少している中山間地の人口5,000人前後の町や村は厳しい環境にあるのではなかろうかと考えております。
【友添部会長】  知事会さん、市長会さん、いかがでしょうか。お尋ねに関連して、何かございましたらお願いいたします。
【全国市長会】  人口動態につきましては、本市については先ほど申しましたように、人口は横ばいですけれども、少子高齢化が急速に進んでまいります。そういった中で一つは、子供たちのスポーツについては、スポーツ少年団の組織率が落ちている。その一方で、市の外の、もっと大きな都市部においてのスポーツクラブまで送り迎えをしながらスポーツに励んでいるお宅もございます。ですから、そういった意味で二分化していくのではないかなと。
高齢者につきましても、これまではゲートボールでありますとか、そういったところが多かったんですけれども、今はグラウンドゴルフ、更にはその先には、もっと手軽に扱えるようなものが、多世代で取り組めるようなものになっていくのではないかなと思っています。
アスリートを養成するという部分については、これからどんどん先鋭化していくというか、詰まっていくんだろうと思いますけれども、その一方で、一般的な取組については、いつでもどこでも誰でもと申し上げますけれども、普遍的な取組というのはある程度できていると思うので、その中で、個別にカスタマイズされた取組、例えば障害者スポーツでありますとか、そういったものについては、更に点を線にして面に広げていく努力が必要になってくるのかなと。
これは人口が落ちてくるということと、それから年代構成が変わってくるということと併せまして、特性に応じたカスタマイズ化というのは、これからは必要になってくるのではないかなと思っております。
【友添部会長】  知事会さん、いかがでしょうか。
【全国知事会】  人口減少によりまして、特に中山間地域で、小学校、中学校、生徒数が減少して、学校そのものがだんだん単独で成り立たなくなってきている状況があります。したがって、廃校して、あるいは統合をしてという形になっています。それぞれの学校において、特に中学校の部活動などは、学校自体、生徒数が少なくなる、そうすると必然的に先生も少なくなる、そうすると今まで部活をやっていたものが、だんだんその学校だけで部活を維持できなくなるということがあります。ここの方向性としては、これは例えば、その地域なり市町村全体で子供のスポーツを支えていく仕組みであるとか、そういうようなものが今後は必要になってくるんじゃないかなと考えております。
【友添部会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
じゃ、原田委員、どうぞ。
【原田委員】  全国市長会の谷畑市長に質問ですが、先ほどのお話の中で、まとめのようなもののところで、現状と課題について非常にうまくまとめていただいたんですが、1点だけピンポイントで質問させていただきたいのは、これから市町村レベルでは、スポーツ施設の老朽化というのは避けて通れない問題です。スポーツ振興をやるために、いかに施設をアクティベートしていくかというのは重要な問題ですが、何か市長会で、今後の指定管理の在り方、あるいは、そういうスポーツ施設を誰が運営するのか、あるいは、究極お金を稼いでいくのかという議論はなされているんでしょうか。
【友添部会長】  いかがでしょうか。
【全国市長会】  全国市長会としてのそういう議論ではないんですけれども、地域によっては、先ほどからお話ありますように、人口減少、そして年齢構成が変わっていきますので、施設の利用の形態は変わってきていると思っています。それと、高度成長期に造ってきた施設が一斉に老朽化してきていますので、そういった意味で言うと、公共施設の総合管理という観点から言えば、スポーツ施設として、先ほど、とんがっている、そこだけ伸びていくということを言いましたアスリートを養成するという施設だけではなくて、一般的な施設については、例えば学校施設でありますとか様々な地域の施設、そういったものも視野に入れながら全体としてシェアをしていく、官民併せてシェアをできる形を作っていくということが大事かなと思っています。
ですから、そういった意味で、指定管理というものが一定有効ではあろうとは思っていますけれども、施設を統廃合する際に、小さな自治体であれば、指定管理をしてもらっている例えば事業団等については、それだけで大体動いているというところもありますので、整理する際には注意が必要になってくるかなというところだと思っております。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、時間が参りました。全国知事会、全国市長会、全国町村会からのヒアリングは、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、グループの入替えをお願いいたします。
(グループ入替え)
【友添部会長】  それでは、次のグループでありますけれども、日本レクリエーション協会、総合型地域スポーツクラブ全国協議会、全国スポーツ推進委員連合、日本体育施設協会、健康・体力づくり事業財団になります。先ほどと同様に、各団体から8分以内で御発表を頂きたいと思っています。その後に、まとめて質疑応答の時間を10分程度取らせていただこうと思っています。
それでは、よろしいでしょうか。日本レクリエーション協会、丸山専務理事、河原塚スポーツレクリエーション推進部長、よろしくお願いします。
【日本レクリエーション協会】  それでは、日本レクリエーション協会の丸山です。まず、スポーツ基本計画の見直しにつきまして意見を述べる機会を与えていただきましたことに、御礼を申し上げたいと存じます。
さて、私どもレクリエーション協会は、スポーツなどの活動を通して人々の心を元気にし、やる気を起こし、生きがいを持って健康で生き生きと日常生活を送っていただくこと、つまりスポーツを通じた健康増進を目指し、都道府県や市町村の行政機関と連携を持ちながら、全国的に活動を進めている団体でございます。スポーツ基本法の前文に、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であると、この法律の基本理念が述べられた一文がありますが、これは、私どもが進めてまいりましたレクリエーション活動の目的と、完全に一致しております。その意味から、この法律が私たちの活動を後押ししてくださるものと、大いに喜んでいるところです。
ところで、このスポーツ基本法の前文の書き出しは、スポーツは世界共通の人類の文化であるとなっておりますが、スポーツ基本法に基づいて策定されたスポーツ基本計画では、新たなスポーツ文化の確立を目指すことが必要であるとして、スポーツをする人だけでなく、見る人、支える人にも着目し、人々の生涯にわたってスポーツに親しむことができる環境を整えるとしています。このスポーツをしない人、あるいはスポーツができない人は、見る、支えるでもよいという考え方は、チャンピオンシップスポーツをスポーツとする考え方であって、真の意味でスポーツ文化とは言えないのではないかと思います。スポーツ文化というからには、全ての国民が多様なスポーツを楽しんでいる姿があり、あるいは、このみんなのスポーツという考え方や機運が、全国民の間にできている状態でなければならないと思います。
国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味、目的に応じて、いつでもどこでもいつまでも安全にスポーツを推進するとし、その政策目標として、できるだけ早期に、成人の週1回以上のスポーツ実施率を、3人に2人、65%程度にするとして、ヨーロッパ先進国並みの数値目標を掲げています。これは、4年後に東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えている我が国のスポーツ実施率の達成目標としては当然の数値だと思いますが、現実のスポーツ実施率が40%前半であることを考えますと、65%というのはかなり高い目標であると思います。
私どもレクリエーション協会は、文部科学省の委託を受けて、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進のための調査・研究をはじめ、高齢者の体力づくり支援事業、スポーツ実施率の低い20歳、30歳代の若者世代を対象にしたスポーツ振興事業など、多様な調査・研究に取り組んでまいりました。参加者は定員を超える盛況でしたが、その大部分は既に何らかのスポーツに親しんでいる人たちで、スポーツ未実施者はせいぜい一、二割程度でした。
そこで、私どもが主催事業として継続して実施している高齢者の健康寿命延伸に向けた事業では、高齢者がよく買い物をするスーパーやコンビニに出掛けていって、駐車場の脇のちょっとした広場を使って独自の楽しい体力チェックを体験していただいたり、年金支給日には郵便局の窓口の横で待ち時間に声掛けをし、彼岸にはお寺に出向いて墓参りをする高齢者に話し掛けたりと、参加者を待っているのではなく、こちらから高齢者が多くいる場所に出掛け、お誘いするという方法を試みてみました。結果は、スポーツ未実施者が5割まで増えました。
結論として、スポーツ体験の集いやスポーツ初心者講習会など、従来のこの指とまれ方式では、スポーツ未実施者の参加を得るのは到底無理であるということです。そこで、市町村行政や地域包括センター、社会福祉協議会などの協力を得ながら、町内会・理事会長、老人クラブ会長、民生委員など、地域の有力者とともに地域のスポーツ未実施者を掘り起こし、健康ひろばという楽しくてためになるスポーツレクリエーション活動の場にいざなうという前例のない日本初の活動に、組織を挙げて取り組むことにいたしました。レクリエーション活動の特徴は、ホスピタリティー、アイスブレーキング、コミュニケーションであり、これらの技術をフルに活用して、この活動を進めたいと思っています。
とはいえ、スポーツ未実施者を掘り起こし、スポーツレクリエーションの場である健康ひろばにいざない、継続的な活動に参加していただくためには、専門的な知識と技能を持った指導者が必要です。そこで、スポーツレクリエーション指導者という、この活動に特化した専門指導者の養成も始めることにしました。
最後にもう1点、スポーツ基本法では、人々がスポーツするのは、健康・体力づくりのため、楽しみ・気晴らしとして、仲間との交流としてという動機が強いわけでありまして、このようなニーズに合った運動・スポーツを行える機会や環境を整備することが重要であるとしています。この課題に応えられるのが、実はニュー・スポーツと言われるスポーツであります。現在、日本レクリエーション協会には、ニュー・スポーツ団体の全国組織が40種目加盟しております。スポーツには競技規則や用具があって、そのスポーツに人を合わせるのですが、ニュー・スポーツは基本的に、人にスポーツを合わせるものであります。つまり、スポーツを楽しみたいとする人に合わせて競技規則を変えたり用具を工夫したりして、障害のある人ない人、子供から高齢者まで誰でもが楽しめるものであります。ですから、このニュー・スポーツについても、基本計画の中で触れていただく必要があると思います。
それでは、資料に、スポーツ基本計画の要望、下記3点についてお願いというのがありますので、その3点を最後にお願いして、日本レクリエーション協会のヒアリングを終了したいと思います。
第一に、スポーツ実施率を向上させ、スポーツ文化の定着を図るとともに、医療費や介護保険費用の増大を抑制し、進行する地域社会の空洞化に対応するために、スポーツ未実施者の掘り起こしとスポーツ・レクリエーション活動を継続させるための施策を盛り込んでいただきたいと思います。
第二に、スポーツ未実施者の掘り起こしと継続的な実施を促すための専門の知識を持った人材養成を施策の中に盛り込んでいただきたいと思います。
第三に、子どもの体力低下に対応するために、学校と連携し、学内外で多様なスポーツ・レクリエーション活動に子どもたちが親しみ、運動嫌いを生み出さないような施策を盛り込んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは次に、総合型地域スポーツクラブ全国協議会、伊端幹事長、小林日本体育協会スポーツ推進部長、よろしくお願いします。
【総合型地域スポーツクラブ全国協議会】  総合型地域スポーツクラブ全国協議会で幹事長をしております伊端と申します。本日は、第2期スポーツ基本計画の策定に当たり発表の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。先ほどの発表、全国知事会、市長会、町村会の中の意見の中に、たくさん総合型地域スポーツクラブという言葉が出てきました。地域のスポーツ振興のためには私たちが推進エンジンにならなきゃいけないんだなとしみじみ感じて、大変期待感があることを再認識させられました。
2枚目を御覧ください。総合型地域スポーツクラブ全国協議会は、平成21年、総合型地域スポーツクラブの定着・発展を促進するため、様々な活動を通じて生涯スポーツ社会の実現に寄与することを目的として設立いたしました。現在、約2,800クラブが加盟しております。加入率は80%でございます。当協議会は、これまで、クラブネットワークアクションと銘打った研修会や、ヒューマンエラー防止研修会などを、全国九つのブロックで開いております。また、写真コンテストや標語の募集などを通じて認知度向上を目指し、全国47の都道府県にあります連絡協議会を対象にアンケートを行い、そこから課題を探り、クラブの要望・ニーズに応えるべく、国などへの提言や要望の窓口にもなっております。
3枚目は、当協議会の組織体制を図にしたものです。
それでは、第2期スポーツ基本計画に明記していただきたい内容について、御説明いたします。4枚目を御覧ください。全体的な要望といたしまして、一つ目、総合型クラブが地域スポーツの担い手の中心であること。二つ目、総合型クラブがスポーツを核とした豊かな地域コミュニティーの創造に寄与し、地域の課題解決に応えるための社会的な仕組みとして公益性が高いこと。三つ目、総合型クラブの活動の基盤となる学校体育施設や公共スポーツ施設が充実し、使いやすくなるような具体的な支援策を講じるよう促すこと。
それから育成・支援体制についての要望でありますが、四つ目としまして、総合型クラブが地域住民、国民から一層の理解と参画が得られるよう、総合型クラブの一定の基準を作り、その育成・支援体制を明確にすること。五つ目、公益性の高い総合型クラブに行政の理解と支援が不可欠であること。六つ目、最後ですけれども、行政による総合型クラブへの継続的な支援が担保されるよう、市区町村における策定率がまだ3割にも満たないスポーツ政策に係る計画の策定を促し、その計画の中に総合型クラブの支援を盛り込むよう促すこと。
以上六つが、第2期スポーツ基本計画に明記していただきたい内容であります。
5枚目を御覧ください。翻って、総合型クラブが誕生してから20年余りたちます。全国各地に3,500を超えるクラブがあり、それぞれに活動いたしております。会員数、財政規模などまちまちで、およそ半数が自主財源率の低いクラブであります。各種のアンケートから、会員の確保が困難なクラブ、財源確保が容易でないクラブ、指導者の養成が進まないクラブが散見されますが、他方、地域と一体となり、行政と連携しながら地域の課題解決に取り組んでいるクラブは多く、成功事例もたくさんございます。スポーツ基本法制定後、地域の課題解決を標榜するクラブが増えたためと推察しますが、総合型クラブが行政課題を解決するための一翼を担っていることは、地方創生の観点からも、総合型クラブが推進エンジンになることへの期待感が高まっております。
今、総合型クラブの原点回帰を求める声があります。総合型クラブが理念に基づく活動を標榜することは当然でありますが、何よりも、それぞれの地域にとって、地域スポーツの担い手として必要な存在にならなくてはなりません。クラブ成長のキーワードは、地域の課題解決に役立つ取組の推進と確信いたします。地域の課題解決に役立つ取組を進め、行政の理解が得られれば、その取組が業務委託につながり、更に指定管理者となり、自主財源を確保するきっかけにもなります。
総合型クラブに何ができるのか。全国の例を見るまでもなく、スポーツ面では、学校体育の支援、学校部活動やスポーツ少年団との連携、そして障害者スポーツへの取組があり、そうした取組を通じ、子供の体力・運動能力の向上が期待でき、障害者スポーツの進展に寄与し、ひいてはスポーツ実施率の向上につながります。また、スポーツは健康増進に役立ちますから、高齢者を対象にした運動教室の支援ですとか地域包括ケアに関わることで、今、問題になっております介護予防や認知症対策を推進することができます。既にそうした活動に関わっているクラブが増えつつあります。さらに、スポーツ教室などを通じて町内会に関わり、地域コミュニティーの再生に結び付く活動を共同で展開することも期待できます。
いずれも、少子高齢化が進み、地方創生を見据えた社会にあって、速やかに取り組まなければならない重要な課題であります。総合型クラブがそうした取組の推進役を担うことができれば、地域における認知度は自ずと向上するはずです。以上の取組を推し進めるには、クラブ自ら切磋琢磨することはもちろん、行政の支援は不可欠であり、そのためにも、冒頭述べた六つの内容を第2期スポーツ基本計画に是非盛り込み、明記していただきますようお願い申し上げます。
なお、6枚目は、全国、都道府県、それから市区町村別に、総合型クラブに関する育成・支援体制を図にしたものです。また、7枚目は、行政との関係に係る課題、育成・支援に関する課題をまとめたもので、第2期スポーツ基本計画に明記していただきたい内容の根拠となるものです。御参照ください。
以上で、私からの説明を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。
続きまして、全国スポーツ推進委員連合、細矢事務局長、よろしくお願いします。
【全国スポーツ推進委員連合】  全国スポーツ推進委員連合事務局の細矢でございます。本日は貴重な時間を頂きまして、ありがとうございます。私の方からは、スポーツ推進委員とは何ぞやから入らせていただきます。
スポーツ推進委員の前進として、体育指導委員という存在がありました。体育指導委員は昭和32年の文部事務次官通達に基づいて創設されたもので、東京オリンピックを控えた昭和36年に公布されたスポーツ振興法の中で、市町村の教育委員会に体育指導委員を置くとされ、各市町村に必置のものとなっていました。その任務は、住民に対するスポーツの実技指導やスポーツに関する指導・助言とされていたわけです。
その後、平成11年に法改正がありました。資料7では平成12年の法改正と書かせていただきましたが、これは法改正そのものは11年で、施行が12年だったために、このような表現にさせていただきました。この法改正によって、必置制、全て置きなさいというものから、任意制、「するものとする」という表現に変わりました。現在、スポーツ推進委員は、全国の市区町村に、平成27年度現在で5万1,310名を数えています。しかし、先ほど申し上げた必置制から任意制に移行したことも影響したのでしょうか、昨年平成27年度現在で、17市町村が設置しておりません。不設置となっております。
平成23年のスポーツ基本法施行により、体育指導委員はスポーツ推進委員と名称が変更されました。また、その活動内容も、スポーツを巡る社会情勢の変化もあり、スポーツ推進委員のための事業実施に係る連絡調整役、つまりコーディネーター役が明記された次第です。スポーツ推進委員は、各市区町村から委嘱を受ける職制で、身分です。資格ではありません。その活動は非常勤の公務員として市区町村を中心に展開されています。なお、スポーツ推進委員が自ら支える全国組織として、公益社団法人全国スポーツ推進委員連合が存在しております。
現在のスポーツ推進委員は、総合型地域スポーツクラブの設立・運営にも関与しており、また、スポーツ指導はもとより、連絡調整役として、住民のスポーツ権の保障に尽力しているところです。そこで、平成24年に出されたスポーツ基本計画の26ページに、スポーツ推進委員を取り上げていただいております。この取り上げられていることに関しては大変感謝申し上げますが、実は若干、その表現ぶりについて、本日はお願いに上がった次第です。
それは、「現状では、実技指導や市区町村教育委員会が実施するスポーツ事業の企画・立案・運営等の業務は、概ね実施されているものの、総合型クラブの創設や運営への参画、スポーツ活動全般にわたるコーディネート等の取組は、十分でない面も見られる」と。若干、読んだときに残念な思いをしているわけでございます。
といいますのは、全国連合が平成25年に行った調査では、各市町村におけるスポーツ推進委員の総合型地域スポーツクラブ立ち上げへの関わりについて、組織として参画している者が33%、また、推進委員が個人として参画した者が61.1%という結果になっております。
今年の2月、生涯スポーツ体力つくり全国会議が郡山で行われましたけれども、その際に、報告書の中にございますが、第1分科会でパネリストを務めていただきました斎藤陽子さん、NPO法人クラブおおづゼネラルマネージャーという、斎藤陽子さんが所属される法人の役員を見ましても、推進委員が間違いなく関わっております。副理事長の山内さん、事務局長の大塚さん。ただし、こういったところに、スポーツ推進委員というのはなかなか明記されません。正直、私も、この事務局を預かっておりまして、見えにくい存在ではあるなということは思っておるところです。
また、全国連合の功労者表彰推薦の推薦理由を見ていましても、総合型への関与というのは多く取り上げられているところでございます。また、連絡調整の役割ということにつきましても、同じ生涯スポーツ全国会議の今年の第2分科会でパネリストを務めていただきました大阪府高石市の小谷さんの活躍を見ていただければ、十分理解いただけるんじゃないでしょうか。
済みません、あと2分ということで、一生懸命頑張っていますということを申し上げに参った次第です。大阪府の高石市ではスマートウエルネス政策でやる場合には、健康部局がその窓口になるんですが、そういったことについても、推進委員がうまく立ち回って連絡調整を行えるようになったという報告があったところでございます。
ということで、本日は、どうか御理解を賜りまして、次の基本計画ではよろしくお願いしたいということを申し上げて、今後とも生涯スポーツの担い手として、健康長寿社会実現に向け努力してまいりますということを申し上げ、終わらせていただきます。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。
続きまして、日本体育施設協会、堀部専務理事、今野総務部長、よろしくお願いします。
【日本体育施設協会】  日本体育施設協会の堀部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私ども日本体育施設協会は、現場で体育施設の管理・運営をしている人、あるいは体育施設そのものを造っている人、そういう皆さん等々と接触をしておりますので、そういった立場から、今回、七つの項目を挙げさせていただきました。既に言い古されていることも多いかと思いますが、お聞きいただきたいと思います。
日本の体育施設、1964年の東京オリンピック以後、日本の高度成長とともに出来上がってきたものが多い。そして今、新築あるいは大規模な改修の時期に来ております。日本の社会もいろいろなことが起こって、人口の減少あるいは集中、それから財源の問題等々、いろいろなことがあります。そういった限られた財源と、いろいろな社会情勢ができておりますので、公共施設を全体として有効に活用しないと、今のまま現在の体育施設をそのまま建て替えようということは、完全に無理であります。ここにも書かせていただきましたけれども、維持・拡大から選択と集約ということに進まないと、スポーツができる環境が、残念ながらなくなってきてしまうと。
そこで一つ大切なことは、学校体育施設を有効に活用していく必要があるのではないかということであります。また後ほど述べさせていただきますが、公共スポーツ施設と学校の体育施設も、重要なスポーツをする環境の資源であると考えております。
それからもう一つは、管理・運営をしていく上での経費の問題です。この施設運営にどの程度のお金が掛かっているのか、施設を管理・運営してサービスを提供していくのに、幾らのコストが掛かっていくのかというのをはっきりと示して、住民の皆さん方の理解を得て施設の再編を行わないと、なかなか進まないのではないかと考えております。
それでは第1番目、スポーツ施設管理者の養成という項目であります。スポーツ施設に限らず、施設設備というのは、使えば消耗します、不具合も出てきます。スポーツ施設は多種類の施設・設備・器具から成っておりますので、その維持・管理には、その特性を理解して一定の経験のある管理者が必要です。
また、スポーツ施設は、傷害が発生する確率が非常に高いところであります。そういったことへの対応も必要であります。施設の管理者として、維持・管理、あるいは救急についての知識・技能について、一定の講習を受けた者を施設に配置していくということが大変重要でありまして、スポーツ指導者も大切でありますが、スポーツの施設の管理者も、大切な要素となっていると思っております。
それから2番目であります。安全基準の確立ということで書かせていただきました。スポーツ事故あるいは水泳事故も含めまして、事故の情報が、きちっと関係者あるいは管理者等々に情報が共有されて、再発防止のための体制ができているのかというところであります。事故はたびたび起こっておりますけれども、なかなか根絶しない。根絶は無理でも、少しでも少なくできるのではないかということであります。
私ども体育施設協会の提案としましては、事故情報を集約、そして、どのような状況でどのような事故が起こったのかを全国的に情報共有できる体制を整備して、同じような事故を起こさないようにすべきであると考えております。
さらに、次に、その情報共有を進めた上で、スポーツ設備あるいは用器具等々の安全の基準についてです。競技団体あるいは関係の団体の方と協議をして、安全基準を作っていく必要があると考えております。
それから3番目であります。ユニバーサルデザイン、これは既に言われていることでありまして、全ての人々が安全で快適に使いやすいスポーツ設備を整備するのは当然のことであります。今、ユニバーサルデザインということになりますと、何か大規模な改修をして大きなお金を掛けないとできないと考えられている方も多いと思いますが、ちょっとした工夫、あるいは軽微な費用でも、ユニバーサルデザインに向けた整備はできると思っております。
このユニバーサルデザインのことにつきましても、どういったことがほかでやられているのか等々について事例を収集し、それをまた全国に発信していく体制が必要であると思っております。これは、ハード的に整備をすると同時に、ソフト的、それを運用する人たちのユニバーサルデザインというものに対する理解が必要でありますので、そのことについても普及啓発活動を行う必要があると考えております。
それから4番目、公共スポーツ施設と学校体育施設ということであります。これは先ほど申し上げましたように、公共スポーツ施設の中に学校体育施設も組み込んで考えて、これから整備を進めていかないと、施設はだんだんなくなってきてしまうのではないかと考えております。学校体育の施設を学校の施設から切り離して管理・運営を専門の事業者の方に任せるというのも一策だと思っております。
それから5番目、スポーツ施設と防災対応施設ということで、これも今、いろいろなところで災害が起こっておりますけれども、スポーツ施設は必ず防災対応の施設ということになります。いろいろな事例は各地方で蓄積されていると思いますので、その情報もきちっと集めて、個々の施設に届くようにしていくということが必要だと思っております。
それから6番目、大型イベントスタジアム・アリーナと地域スポーツ施設。この大型のイベントスタジアム・アリーナと地域スポーツは施設、これは二つ、別なものとして考える必要があるんじゃないかと考えております。特に大型のスタジアム・アリーナにつきましては、その利用の目的、運営方法の違いというのを、その他の地域スポーツ施設と分けてきちっと説明をして、目的と運営方法が違うんだということを理解していただく必要があるのではないかと考えております。
それから最後になりました7番目、スポーツ施設の国際規格ということで、これから様々な国際競技が行われるわけであります。例えば新国立競技場は、オリンピックの開催競技場として国際陸上連盟から公認の認定を受けないといけないということでありますけれども、日本にはそれを認定する機関がない。認定機関は世界に11あるわけでありますけれども、現在、アジアにはありません。こういったものを日本に設置して、新国立競技場の新たな設備は日本における検査機関が審査して公認をするということが必要ではないかと。こういう機関が広がって、いろいろなスポーツの安全の検査をするところになるのではないかと考えております。
以上であります。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。
最後になりましたが、健康・体力づくり事業財団、増田常務理事、岡山事務局長、よろしくお願いします。
【健康・体力づくり事業財団】  このような機会をお与えくださいまして、ありがとうございます。第2期スポーツ基本計画策定に当たって、健康・体力づくり事業財団の意見を述べさせていただきます。
まず2ページ目でございますが、当財団は、先の東京オリンピック開催を契機に設立された国民健康つくり運動協会と、第1次国民健康づくり対策の推進のために設立されました健康づくり振興財団が1981年に合併して、健康・体力づくり事業財団となったところでございます。現在まで、健康・体力づくりの普及・啓発に必要な情報提供、調査・研究、健康運動指導者の養成等の事業を行ってきております。次のページが、財団の詳細な事業でございます。省略をさせていただきます。
次のページを御覧ください。日本再興戦略にも国民の健康寿命の延伸が掲げられているところでございますが、現行のスポーツ基本計画に、「健康で活力に満ちた長寿社会の実現」とうたわれております。健康・体力づくり事業財団としては、次の5点を提案させていただきたいと思っております。
次を御覧ください。一つ目が、幼児・子供に対する環境の整備。2点目が、超高齢社会を支えるための環境整備。三つ目が、スポーツ参加意欲を高めるための知見の蓄積と情報提供手段の構築であります。4点目が、地方自治体でのスポーツ・運動専門職の配置。最後に、アスリートのためのセカンドキャリアに必要な教育支援の、5点でございます。
まず、幼児・子供世代への環境整備でございますが、現行の基本計画にも、「幼児期からの子供の体力向上の方策の推進について」と記載をされております。スポーツを生涯にわたって楽しめるようにするには、幼児・子供期において、遊びを通して体を動かすことの楽しさを体感させる必要がございます。
具体的な施策として、次の三つを提案したいと思っております。幼稚園教諭、保育士等へのスポーツ・身体活動指導に関する教育、また、健康運動実践指導者等の資格の取得。小学生におきましては、体育科教科書の作成、また、体育専科教員の配置を、より充実していただきたいということでございます。また、成長に応じたスポーツ・運動に関するステージを設定し、全運動指導者・スポーツ指導者が共有する必要があるのではないかと思っております。
おめくりください。発育・発達の見地から重要な時期と言われております乳幼児に、遊び・運動指導に関する知識を習得した保育士等が、幼児たちに遊びを通して体を動かすことの楽しさを体感させることが必要ではないかと考えております。
おめくりください。Knudsenらも、健康的な生活習慣を身に付けさせるためには、乳幼児期にスタートするのが、コストも掛からず効果があると述べております。また、スキャモンの発達・発育曲線でも、神経系は、誕生後、乳幼児期に急激に発達することから、ほぼピークに達する小学校就学以前にたくさん遊ぶことで、様々な動きを学びながら、動く楽しさを習慣付けさせて、それ以降、中学生から高校生にかけましては、生涯の健康につながる体力を高めていき、そして様々なスポーツ種目を体験させて、自分の好きなものを見つめていくという時期でございます。
次、おめくりください。アメリカでは将来の優れたアスリートを育成するために、2014年にアメリカ・オリンピック委員会が各種スポーツ団体と共同して、アメリカン・デベロップメント・モデル(ADM)というものを作成しております。種目にかかわらず、スポーツ指導者全員が共有していると言われているところであります。日本でも「幼児期運動指針」や学習指導要綱はございますが、優秀なアスリートを多く輩出するためにも、日本でも子供の成長に合わせたフレームワークのようなものを、全ての指導者が共有すべきではないかと考えております。
2点目の、超高齢社会を支えるための環境整備でございます。WHOでは2014年からヘルス・イン・オール・ポリシーズを展開しており、アメリカをはじめ、多くの先進国での一つの潮流となっているところでございます。全ての社会環境要因は、健康に影響を与える重要な因子であります。まちづくりに欠かせない都市計画、交通等の施策のベースにも、健康を置くことを推奨しているところでございます。今後、我が国でも、運動・スポーツが行いやすいまちづくり、美しく歩きたくなるまちづくりを推進していくことが必要であると思っております。TAFISAでもアクティブ・シティと銘打ってキャンペーンを展開しております。継続的・効果的な健康づくり・スポーツの実施拠点として、総合型地域スポーツクラブと健康運動指導者を活用してはどうかと提案をさせていただきます。国では、団塊の世代が75歳に達する2025年までに、地域包括ケアシステムの構築を目指しております。
次、おめくりください。高齢者が慣れ親しんだ地域の中で、いつまでも元気に楽しく暮らしていけるように、高齢者のスポーツ・健康生活を支える役割の一部を、地域包括ケアシステムと同様に、中学校区程度の日常生活圏が想定されている総合型地域スポーツクラブに期待できるのではないかと考えております。
当財団では、平成22年度から、鹿屋体育大学の福永学長が開発されました貯筋運動を、地域における健康・体力づくりの拠点として、総合型地域スポーツクラブと健康運動指導士の連携の下に普及に努めているところでございまして、現在、40都道府県で、90の貯筋運動ステーションで指導できる体制にございます。
3点目のスポーツ基本計画につきましては、成人の週1回以上のスポーツ実施者を、3人に2人と目標を掲げておりましたが、平成27年に実施されました東京オリンピック・パラリンピックに関する意識調査では、平成25年の数字よりも7.1ポイント低下をして、40.4ポイントになったという調査がございます。このためにも、今後、更に国民の方々に、スポーツをすることの楽しさ・必要性をPRする必要があると思っております。
続きまして、地方自治体におけるスポーツ・身体活動に関する専門職の配置でございますが、現在、スポーツ行政には、健康部局の保健師に該当する専門職が配置をされておりません。今後、専門職の配置を考える必要があるのかと考えております。その専門職に、例えば健体財団として養成をしております健康運動指導士が当たれるのではないかと考えておりまして、現在は、ほぼ4年制の体育系大学に、養成校になっていただいております。
最後に、現役アスリートの方々の引退後に、スポーツ界の中だけでなく、他の分野でもアスリートとしての経験を生かして活躍できるような教育システムを構築する必要があると思っております。
以上でございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは委員の皆様、どうでしょう。御質問、御意見ございますでしょうか。
桑田委員、どうぞ。
【桑田委員】  貴重な御意見、ありがとうございました。特にスポーツ推進委員の方から言われた地域のコーディネーター、この役割というのは、今後の地域スポーツの発展、東京五輪後のレガシーを含めて重要な課題になるんじゃないかということを、私も相当実感しております。その中で、特に前半の3団体の方々にお伺いしたいんですが、スポーツ推進委員の方が言われた5万人のコーディネーターの中で、自分の仕事として、そこで生計を立てている方がどのぐらいいらっしゃるのか。あるいは総合型や日レクさんの方でも、指導者だとか運営者、あるいは経営者の方々に職としてやっている方がどのぐらいいらっしゃるか参考までに伺えたら教えてください。
もう1点、全然別の視点ですが、体育施設の関係で1点、感想というか、思いですが、最近、LEDが出てきていますよね。私は室内運動専門ですので、LEDのグレアに対する問題というのが非常に今大きいということを伺っております。これも一つのきちっとした検定制度等が多分まだ確立されていないと思うので、是非そんなことを一つ、検討していただければということの意見です。
【友添部会長】  最初の質問はいかがでしょうか。どこの団体からでも結構です。
桑田委員、お尋ねの趣旨をもう一度お願いします。
【桑田委員】  済みません。例えば推進委員の方々5万人いる中で、それだけで生計を立てている、プロとしてやっておられる方はどのぐらいいらっしゃるのか。また、総合型であれば、クラブマネジャーとして何人ぐらいいて、その中でどのぐらい自分で自立して生計立てられているのか。あるいは日レクさんで、指導者とかありますが、何人ぐらいいらっしゃって、どのぐらいの割合で自分たちで自立しているかどうかということを伺いたい。
【友添部会長】  スポーツ推進委員連合さん、いかがでしょうか。 どうぞ。
【全国スポーツ推進委員連合】  ありがとうございます。推進委員そのもので生計を立てるというのは無理だと思います。ただ、御指摘のとおり、コーディネーターとしての研修というものに我が連合も力を入れておりまして、毎年2月にリーダー養成講習会というのを東京で実施しております。今年も80名の参加があったところですけれども、おっしゃるとおりの、連絡調整役の重要性について講習を行っております。
【友添部会長】  ありがとうございました。スポーツクラブの全国協議会はいかがでしょうか。どれほどそれで生計が立つかという御質問かと思うんですが。スポーツ指導で。例えば自立的な財源持っている割合ですね。スポーツクラブ全国協議会の中で、自立的に財源を100%自己財源で賄い、その中で生計が立っているようなクラブがあるのかという御質問かと思うんですけれども。
【総合型地域スポーツクラブ全国協議会】  全国の総合型地域スポーツクラブで、クラブマネジャー的な人材がいなければ、なかなかクラブは回っていきません。ある意味では経営者ですよね。ところが、そこがきちんといるところが半分ぐらい。それが常勤になると更に減ります。実際にクラブを運営するときに、やっぱり人。古くて新しい課題です。しっかりしているクラブはちゃんとした人がいます。ただ、いかんせん、ちゃんとした人がいても、その人がちゃんと給料をもらっているわけではない。
現実論としては、スポーツで飯を食える人がどう作られるのか。総合型クラブで、そういう環境をどう作ればいいのか。それでその手段として、業務委託ですとか指定管理という話になるのであって、いい人材を求めるには、それなりの給料を渡さなきゃ絶対に無理。いい仕組みをするために、そこはちゃんと手当てをしない限り無理だと思います。
トップアスリートの話も出ていましたが、トップアスリート、イコールすばらしい経営者かというと、そんなこともなくて、そういう方もいらっしゃるんですけれども、全部が全部当てはめることはないのかなと。だから優秀な人材をクラブにあてがって、それが地方行政の課題解決に取り組むことをちゃんとやれば、給料も与えられるし、全体が前に進むということだと私は思います。質問の論点、変わっていたらごめんなさい。
【友添部会長】  日本レクリエーション協会さん、何か今の御質問にありますでしょうか。
【日本レクリエーション協会】  私どもはレクリエーションの公認指導者全体で7万人おりまして、レクリエーション・コーディネーターという名前で、レクリエーション活動のコーディネーター役を進める人材が5,000人程度おります。御質問のそれで生計を立てている指導者ですが、明確なデータとして把握しているわけではないんですけれども、感覚的な話になりますけれども、そのうちの1%程度かと考えております。独立プロ型で地域で講師業等々で活動している方、あるいはNPO法人指定管理を取って、そこの専従職員としてやっている方等々でございます。以上でございます。
【友添部会長】  1%ですか。
【日本レクリエーション協会】  1%です。
【友添部会長】  ほとんどいないということですね。
【日本レクリエーション協会】  そうですね。
【友添部会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
境田委員、どうぞ。
【境田委員】  済みません、日本体育施設協会にお伺いしたいのですが、大型イベントスタジアム・アリーナと地域スポーツ施設は、区分し、並列に検討する必要があると、ここに書かれていますけれども、スタジアム・アリーナというのは、当然これは収益性ということを重視しなければならないと思いますが、これと、地域の人も使える地域スポーツ施設を、一つの敷地・施設のなかでそういう二つのコンセプトをかなえるということもできるかと思うんですけれども、そこはいかがでしょうか。
【友添部会長】  どうでしょう。大型と地域との両立併用が可能かということだと思うのですが。
【日本体育施設協会】  これ、こう言いますと誤解されやすいですけれども、私は無理かなと。つまり大型のスポーツアリーナは、それ自体で大きなイベントをやるわけですから、そういった使い方を優先するという公平性というんでしょうか、考え方を、優先順位を、例えば町のバレーボールやる方が地域の人だから優先して、例えば2年後、大きな何かイベントがあるというものが入ってこられないというようなやり方はまずいと考えておりまして、ですから、空いている時間に地元の方、地域の方が使うというのは、全く問題ないと思っています。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。
【境田委員】  例えばスタジアムアリーナの2階部分や隣接部分に、サブアリーナとか体育館を併設してその部分は地域に開放し、スタジアムアリーナの方は、商業目的をメインに使うと。もちろんスタジアムアリーナの空いている時間は地域の方々に使ってくださいということです。そういう発想で作れば、一つの敷地内でできるんじゃないかなということですけれども。
【日本体育施設協会】  そういった場合は、必ず二つの催し物というんでしょうか、二つ使うときにバッティングしないような動線とか、利用のやり方がきちっと分離できるようになっていないと、それは難しいと思われます。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。
増子委員、どうぞ。
【増子委員】  福島県障がい者スポーツ協会の増子恵美と申します。ありがとうございました。Eグループの皆様、団体様は、地域において障害をお持ちの方が、これから運動を身近なところでするに当たって、非常に重要な役割を担う団体だと思っています。私、勉強不足で申し訳ないのですが、例えば日本レクリエーション協会や健康・体力づくり事業財団さんの資格とか、総合型のクラブマネジャー、推進委員、施設管理に当たって、それぞれ資格がおありだと思うのですが、そうした講習会の中で、障害をお持ちの方が利用されたりする場合のカリキュラムなどが、講習会のカリキュラムに盛り込まれている、若しくは触れられているのか、教えていただけたらと思います。
【友添部会長】  いかがでしょうか。それぞれの団体・組織の中で、アダプティッドの言わばカリキュラムをお持ちかどうか、それについてのお尋ねかと思います。いかがでしょうか。どこの団体からでも結構でございます。
【日本レクリエーション協会】  日本レクリエーション協会です。私ども対象に応じたレクリエーション指導という科目がございまして、そこで障害をお持ちの方を対象に指導する場合ということで学習はしております。ただ、必ずしも対象ですので、障害者に関して全てということではございません。以上です。
【友添部会長】  どうぞ、次、よろしくお願いします。
【総合型地域スポーツクラブ全国協議会】  日本体育協会の小林と申します。私どもも各種の指導者養成をやっており、障害者に関するカリキュラムもございますが、それほど多くはございません。なぜかと申せば、私どもは日本障がい者スポーツ協会さんと連携した取組を行っているからです。具体的には、私どもの資格を持っている方は、日本障がい者スポーツ協会さんが実施されている指導者養成講習会へ優先的に受講ができるような仕組みを設けております。このように、障害者スポーツの指導に関しては、日本障がい者スポーツ協会さんが最もノウハウを持っていらっしゃいますので、連携しながら指導者養成を行っているという状況でございます。
【友添部会長】  スポーツ推進委員連合、どうでしょう。アダプティッドの指導ができる方、どの程度でしょうか。
【全国スポーツ推進委員連合】  推進委員そのもの、連合が何かやっているかと問われれば、それは連合としてはやっておりません。ただ、各団体、例えば一般社団法人東京都スポーツ推進委員協議会の方では、資格の取得を非常に勧めておりまして、初級で何%でしたか、済みません、手元に数値を持っていないんですけれども、かなり積極的に取得するようにという働き掛けを行っているところでございます。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。
じゃ、最後、体力事業財団の方、いかがでしょうか。
【健康・体力づくり事業財団】  当財団では、健康運動指導士の養成のカリキュラムの中に、障害者の運動能力の特徴と運動ということで1単位入れさせていただいているところでございまして、それが必ずしも十分かどうかと言われると、今、お答えできない状況であります。
【友添部会長】  増子委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。残念ですけれども、時間が参りました。
それでは、日本レクリエーション協会、総合型地域スポーツクラブ全国協議会、全国スポーツ推進委員連合、日本体育施設協会、健康・体力づくり事業財団からのヒアリングは、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
ここで、入替えを兼ねて5分ほど休憩を取りたいと思います。また5分ほどしたら御参集ください。
(グループ入替え)
( 休憩 )
【友添部会長】  それでは再開したいと思います。よろしいでしょうか。
それでは次のグループですが、日本スポーツツーリズム推進機構、日本プロスポーツ協会、スポーツ健康産業団体連合会、日本トップリーグ連携機構になります。これまでと同様に、各団体から8分以内で御発表いただき、その後に、まとめて質疑の時間を10分程度取りたいと思っています。
それでは、まず日本スポーツツーリズム推進機構、中山事務局長、よろしくお願いします。
【日本スポーツツーリズム推進機構】  日本スポーツツーリズム推進機構、中山でございます。本日の皆様の団体の中では一番新参者だと思っております。本日、機会を頂きまして、ありがとうございます。きょう、資料を御用意しましたのは、我々日本スポーツツーリズム推進機構、新しい組織ということで、それの活動の説明と、それとスポーツ基本計画に反映していただきたい事柄を述べさせていただきます。
まず、めくっていただきまして、1ページに、私どものJSTAのロゴと、組織のキャッチフレーズ、スポーツで人を動かす仕組み作りということをキャッチフレーズに、普段の活動をしております。この仕組み作りということで、後ほどスポーツコミッションの話をさせていただきます。
めくっていただきまして、スポーツとツーリズムの融合ということで、私どものJSTAの組織は、観光庁の方からスピンアウトした組織でございまして、2012年4月に設立されております。2012年の3月にスポーツ基本計画の策定がございましたので、スタートは時期を同じくしているということでございます。左の箱は、観光立国に向けてということで、ツーリズムの動き。それから、右の箱は、スポーツ立国に向けてということで、スポーツ行政の動向でございます。これはもう皆さん、よく御存知のことだと思います。2012年に設立されまして、13年には東京オリンピック・パラリンピックの招致が決定いたしました。2019年、2020年、2021年と、メガスポーツイベントの日本招致成功が、スポーツイベントへの魅力を加速してきたと理解しております。
さらに、昨年、15年秋のスポーツ庁の設置により、政府におけるスポーツ政策実施組織が、より明確化されたと考えております。私ども観光庁からできた組織ではございますけれども、スポーツを触媒にして事業の拡大を図っております。また、スポーツ庁の設置の動きを見まして、地方自治体におけるスポーツ振興組織の在り方、それからスポーツコミッションの設立等、発展的に今、検討されるべき段階だと考えております。
まためくっていただきまして、3ページですが、今、ツーリズムの現状ということと、それから次のページに、スポーツの現状ということで、課題それから現状を列挙させていただきました。ツーリズム界においては、インバウンド、報道でもございますけれども、最近では、2016年、半分過ぎましたけれども、2,000万人を超えることは確実ということで、もともと2020年に2,000万人という目標値がございましたけれども、それが2020年は4,000万人、2030年は6,000万人という上方修正がされております。この目標達成のためにもスポーツツーリズムが果たす役割が大きいと考えておりますし、必要であると考えております。
「爆買い」という言葉がございましたけれども、「爆買い」が少し収束して、これからはお客様が求めるのは、体験をすること。本国では体験できないようなことを日本で体験できるというコンテンツを用意していくことが必要かと考えております。実際に日本の大都市マラソンには、特に台湾、香港、それから中国からの参加者数が年々増加しております。地域には外国人を魅了するスポーツのコンテンツがまだまだ眠っていると考えておりますので、これを発掘する必要があると考えております。
それからスポーツ界の現状については、これはもう皆さん、釈迦に説法だと思いますけれども、こういったスポーツを楽しむ、もちろん国内のお客様、それから海外のお客様が増えてくるによって、従来のスポーツ振興の考え方からは脱却しなきゃ駄目だと。スポーツの力を再認識して、スポーツによる地域活性化、地方創生という言葉が、よく最近言われておるところでございます。ツーリズムと同様、スポーツが日本社会が抱える諸課題を解決する一助となると考えております。ですから、スポーツとツーリズムが融合したスポーツツーリズムの推進ということが必要で、より有効な手段であると捉えております。
ページ5は、見る、する、支えると。これは既に皆さんの認識の中にあると思いますけれども、それぞれ地域により、どの分野に重点を置くかは様々と思います。
6ページはJSTAの紹介ですけれども、我々、法人会員と個人会員の会費によって運営されております。最近は連携組織、もちろんスポーツ庁さん、観光庁さん入っておりますけれども、こういったところと事業の拡大を、今、図っております。
会員組織は7ページ、8ページにございますので、特に最近は地方自治体の関心が非常に高く、JSTAの会員になっていただいたところは、スポーツツーリズムに突出して取り組んでいただいているところと理解いただいて結構かと思います。
それから9ページはJSTAの設立目的ということで、こういった動きを捉えてナショナルムーブメントにしていくために、我々はプラットフォームの役割を果たすということを考えております。
具体的な事業計画は次のページにございまして、連携組織との事業拡大ということでありますけれども、(2)のところに、観光庁、スポーツ庁、厚生労働省、経産省、それと自治体というところで、枠を広げて、今、取組を徐々に拡大しているところでございます。
ツーリズムと、それからスポーツは、この両方を触媒にして新たな価値を生み出すということを考えることができると思っております。人を動かす仕組み作りということで、それがスポーツツーリズム推進組織ということで、スポーツコミッションを作りましょうということを、JSTAとして第一のテーマに掲げております。
地域スポーツコミッション、それからスポーツツーリズム推進組織は、次の12ページに、実際、今現在稼働をしているところを約30、掲載させていただきました。枠の中に、これから16年度にできるであろう山梨県、岡山県、金沢、いわき、由利本荘等、計画を伺っております。
13ページは、現在のスポーツ基本計画、平成24年、2012年に策定されました中に、初めてスポーツツーリズムという文言が入り、それをこの2期の計画でどうするかと。またブラッシュアップしていくかということだと思います。
14ページに、ざっくりとした提案で、まとめではございますけれども、スポーツによる地域活性化・地方創生の認識は非常に高まっているということで、それを実行する地域スポーツコミッションをどんどん増やしていくと。
それから観光ツーリズムの方では、DMOという考え方が、よりビジネス的な組織として観光協会を再生するという、そういうムーブメントができておりますので、それと連携をすると。
それから自治体さんが弱い部分、スポーツ国際交流の部分があるんですけれども、それは国としてスポーツ外交ということも含めて取り組んでいただきたいなと思います。大きな大会、メガスポーツイベントは当然でございますけれども、なかなか自治体だけでは考えが付かないというところもございます。
それから冒頭申しましたインバウンドのスポーツツーリスト拡大のために、我々は既に海外プロモーションに何回か出ております。
それと、この新しい分野での人材育成をどうするかということがありまして、最後、三つ挙げさせていただきました。
なかなか細かい話はできませんけれども、まだ若い組織で、いろいろ課題認識を持ちながら新しい感覚でやっておりますので、是非また御指導いただきたいと思います。ありがとうございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。
続きまして、日本プロスポーツ協会、玉利専務理事、よろしくお願いします。
【日本プロスポーツ協会】  資料が皆様のお手元に行っていないと思うんですけれども、私、口頭で、大体の方向性についてお話ししたいと思っております。
設立されたのは昭和42年です。御承知のように東京オリンピックが昭和39年でしたけれども、この東京オリンピックが日本の社会に与えた影響というのは非常に大きなものがありまして、まず国民の意識が、敗戦の無力感、コンプレックス、そういったものを吹き飛ばすのに、我々でもやればできるというものをまざまざとオリンピックで立証したと。国民の意識の改革に大きな変化があったと思っております。それと同時に、それが日本の経済の高度成長の引き金になって、あれから日本が新たな戦後の強力な経済活動のばねになったということが言えると思います。
同時にスポーツ界もその影響を受けて、東京オリンピックが終わってから、はっきり言って、戦後、あれだけ平和のうちに盛んに盛り上がったオリンピックというのはなかったと思うんですけれども、考えてみるとオリンピックは、実際に参加した選手は日本の選手が三百何十名か、大部分の国民というのはメディアを通してあれを見たというのが実態だと思っています。
そのような影響もあって、やるスポーツ、頂点を行くスポーツだけじゃなくて、一般国民が参加できるスポーツというものが、これを契機に非常に大きな動きを見せて展開していったと。市民スポーツという言葉、あるいは体力づくりという言葉、あるいは当時通産省がトリム運動という言い方で表現したりして、要は頂点を行く選手が主体になって動く、頂点を行くトップアスリートだけのスポーツじゃなくて、一般国民、年齢層・健康度にかかわらず、スポーツに参加する層が増えていった。文部省も、初めは社会体育という表現を用いていたと思われますけれども、それに対して生涯スポーツという言葉もその後生まれてきた。それを受けて一挙に町の中にどんどん設立されていったのが、クラブスポーツです。初めに展開していったのがスイミングクラブ、それからフィットネスクラブ、こういったものが町の中に非常に多く出来始めたということです。
同時にそのときに、アマスポーツはオリンピックということで大変な関心を受けておりましたけれども、同時に国民の間に膾炙していたのがプロスポーツです。プロスポーツはアマチュアのスポーツと違って、各団体が個々の事業形態で運営している。お互いに情報を交換したり、共通の事業を推進したり、そういった動きはなかった。しかし実際にメディアで連日報道されるのは、プロスポーツの方がアマよりも多いくらい、国民の間に普及していたわけですね。
それで、そのときに東京オリンピックの後を受けて、スポーツ界から八田一朗さんとか大松さんとか、ああいう方たちが政治の世界に入っていかれた。それで感じられたのが、日本のスポーツというのは、どちらかというとアマチュアの競技スポーツ、これに偏っているんじゃないかと。もちろん学校体育は、これは世界でも類を見ないぐらい普及しているけれども、民間のクラブスポーツ、それからプロスポーツというものの本質的な価値観が、よく国民の間に膾炙していないんじゃないかという認識が出てまいりまして、一度プロスポーツのトップの指導者たちに集まっていただいて御意見を拝聴しようという動きが政治の世界に出てきまして、当時、自民党本部の大会議室にプロスポーツのトップリーダーの方たちに集まっていただいたのが、昭和42年の春頃だったと思っております。
例えば相撲協会は、双葉山が時津風理事長になって双葉山が参加する。野球もセ・リーグの会長の鈴木龍二さんが見える。ボクシングもピストン堀口と名試合を行った笹崎さんが、これはファイティング原田の師匠に当たる方ですけれども、そういう方たちが参加する。そこでたしか10団体ぐらいのプロスポーツ関係者が集まって、いろいろな意見を交わしたと。
そのときに、いろいろな意見が出ましたけれども、自分たちはいろいろと地方興行で地方に行くけれども、なかなか体育施設が借りられないと。特に東京オリンピックの後だっただけに、アマ優先で借りられないと。そういったことに政治の力を反映してもらえないか。それから、アマ・プロの間が隔絶してアマ・プロの交流ができない。野球なぞは特に、一度プロになったら全くアマと触れることもできないという状態だった。アマ・プロ、もっと連携して日本のスポーツを総合的に育てようじゃないかという意見も出ておりました。
それから、プロスポーツ選手というのは、恵まれたトップアスリート、ヒーローになるのはほんの一握りで、あとは大部分は若くして辞めていくと。こういう方たちが、スポーツの高い技術を持ちながら、そのままうずもれていってしまう。こういう人たちのセカンドライフとしての、何か考え方はないのかと。こんなような御意見が出て、それを機に、これは一つ、プロスポーツ界全体、あるいは日本のスポーツ界、アマと連携して日本のスポーツを総合的に発展させなきゃいけないんじゃということでできたのが、プロスポーツ協会です。
当初の目的は、プロスポーツの社会的評価の促進、プロスポーツ選手の社会的地位の向上、それからアマ・プロ含めたスポーツ振興への協力、そんなようなことが中心だったと。それから現在、既に四十数年たっておりますけれども、既にアマ・プロの問題はどんどんといい方向に解決して、特にオリンピックがプロの参加を認めてから、今、ほとんどのプロスポーツ、約20団体ぐらいが、JOCを通してオリンピックにも参加しているような状況になってきております。
それから社会的評価を上げるための社会貢献活動も、各競技団体、例えば3.11のときでも、そろって地元被災者たちへの励まし活動に参加したりするというようなことが盛んに行われてきた。それからもう一つ、一番大事なのは、ただ、これがまだなかなか具体的に緒に着いていないんですけれども、生涯スポーツ、つまり国民全体のスポーツは生涯スポーツという形で普及していくわけですけれども、これへの指導者として、プロスポーツのアスリートたちが引退した後のことが非常に重要になってくる。この問題が今後取り組まなきゃならん問題だと思っておりますので、この方面を特に政府のスポーツ庁の施策とうまく連携してできたらばいいんじゃないかと、このように思っております。
時間もありませんので、まず簡単にプロスポーツ界の概要をお話しいたしまして、私の説明を終わります。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは次に、スポーツ健康産業団体連合会の板垣専務理事、よろしくお願いします。
【スポーツ健康産業団体連合会】  スポーツ健康産業団体連合会の板垣です。今回は私どもの意見を申し述べる機会を設けていただきまして、ありがとうございます。
まず、私どもの連合会ができた背景を御案内申し上げます。昭和63年に設立されました。当時、ゴルフ、フィットネス、テニス、ボーリング、そういうようなものの事業者の団体はありましたが、それを横串で刺す連合会がなくて、通産省主導の下にできたのがスポーツ産業団体連合会です。目的はスポーツビジネスを振興することにあり、スポーツビジネスを担う団体の集まりで、また、団体の主体となっている企業が、特別会員として当連合会の会員になっております。
アシックスの故鬼塚会長が長い間会長で、非常に大事にしてくれた団体ですが、残念ながら体調を壊されて、平成19年にルネサンスの斎藤社長が跡を継ぎました。以前はスポーツビジネスを軸足とした団体ですが、当時、少子高齢化社会、健康が非常に大事であるということで、斎藤が会長となる一つの条件として、健康を新たに定款の中に設けてもらいたいということで、社団法人スポーツ健康産業団体連合会に名称が平成19年に変更になったということです。
2.の役割と会員です。役割はスポーツ人口の拡大、スポーツビジネスの振興です。そのために当連合会は、スポーツ健康産業に関する調査・研究、イベントの推進、情報の収集・提言等の事業をやっております。連合会ですから、当時、民法法人である公益法人が正会員であり、正会員の有力な会員が特別会員です。今年、平成26年度に、正会員を団体会員、特別会員を企業会員と名称変更をいたしました。
具体的には、企業会員にスポーツ用品メーカー、スポーツ施設運営会社、電通・博報堂さん等がおりますが、この6月に、スポーツ健康産業がコアではないが、重要なテーマ、今、ヘルスケア事業を担っておられるNTTドコモさんが入られました。今後はスポーツの振興、健康づくりなどの観点から、他業種の企業にも積極的に勧誘をしていきたいと考えております。
3.です。昭和63年に我が連合会ができたのですが、当初の主力事業はスポーツビジネスの見本市、通称「スポーツジャパン」です。1990年、平成2年から通算23回行いましたが、大手の例えばアシックスさん、ミズノさんが独自にできるようになり、開催の意味合いが薄れたために現在は休止しています。夢をもう一度ということで、SPORTECさんの展示会に特別協力ということで、全力を挙げて協力をしているところです。
2ページに移ります。スポーツジャパンを休止した後に何をやるかということで、1 調査・研究事業、これは経済産業省等からの委託事業です。
2 の市民生涯スポーツ大祭です。スポーツあるいは運動をすることによって健康につながる、血管を強化し、心臓それから脳が活性化するという意味合いで、市民の皆さん方にスポーツを習慣化してもらうことを目的としており、競輪の補助金を頂いて、1992年度から通算24回開催しております。3ページ以降に具体的な内容を記載しました。
3 のスポーツ振興賞です。今年度、新たにスポーツ庁長官賞を頂き、ありがとうございました。これは平成20年から地域・スポーツ振興賞として創設をしたものですが、スポーツを通じて健康づくりをし、ツーリズムや産業振興、まちづくりに貢献している団体、グループ、企業の活動を顕彰する賞であり、通算8回開催しました。
あとは4 シンポジウム、5 情報交換会をやっております。問題意識として4.を御覧いただきたい。IoT、ITの取組の事例ですが、スポーツ業界、健康関連業界ではIoT、ITなどの活用にも積極的に取り組んでおり、事例の紹介として、(1)運動・スポーツや食事の情報をスマートフォンのアプリで一元管理し、効果的かつ安全な生活習慣指導やスポーツの指導に活用しています。
(2)ソニー製のスマートテニスセンサーをテニスラケットのグリップに取り付けて、スイングの速度や角度など、テニスラケットの動きを見える化して、よりよい上達と新たな楽しみを提供します。
(3)センサーを埋め込んだ眼鏡やサングラスを利用して、ランニングするときの姿勢の傾きや体の軸やフォームのブレが確認でき、より良いランニング・フォームになれるよう情報提供しています。例えば東京マラソンでは、計時チップをシューズに取り付けて計測をしております。
そのようなことで、今回の基本計画に是非御検討いただきたい要望事項としては、5.で、まず一つはスポーツ健康ビジネス展示会の振興です。スポーツ健康ビジネスを一層振興するには、BtoB、BtoCのいずれにしろ、展示会において直接face to faceで商談することが、現在のITの世の中において、生の情報提供、顧客からの信用獲得、事業者相互間のネットワークを築く上で重要です。
二つ目は、スポーツ健康ビジネスにおけるIoTやITを活用した積極的な取組み、この2点について、是非検討していただきたいと思います。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。
最後になりましたが、日本トップリーグ連携機構、市原代表理事、田口理事、よろしくお願いします。
【日本トップリーグ連携機構】  トップリーグ連携機構の市原です。きょうはお招きいただきまして、ありがとうございます。
トップリーグ連携機構は、団体ボールゲーム、ボール競技の国際競技力向上ということを目的に2005年に設立しまして、本年、11年目を迎えております。川淵三郎会長以下、現在9競技、Jリーグ以下、13トップリーグ、それからトップアスリートが約7,000人強の所属をしております。様々な活動を通して今後の課題等を、資料はお手元にお届けいたしておると思いますが、事務局長、理事の田口の方から説明を申し上げますので、よろしくお願いします。
【日本トップリーグ連携機構】  初めまして。本日は発表する時間を頂きまして、誠にありがとうございます。皆さんのお手元に配布しております資料、2ページ目を御覧ください。私たちは、スポーツ庁の方から頂いた内容等を、する、支える、見るという立場のところから、幾つかトップリーグ連携機構の関わるところについて御説明をさせていただきたいと思います。
まず、スポーツの基盤となる人材と場というところで、私たちの方では人材の育成という立場の見地から、するというところで、スポーツ選手のキャリアサポートセンターの設置というものが必要ではないかということで、今、動いてございます。デュアルキャリアという考え方をスポーツ庁の方から提唱していただきまして、今、スポーツ選手たちが、アスリートとしてのキャリア以外の部分も強力に支援をしていかなければいけないというところですが、そこがまだまだということもございますので、デュアルキャリアの中で、スポーツ選手たちが選手をやりながら、自分の次の人生、セカンドキャリアと言われるところにも活動が安心してできるような、先ほども幾つかの団体からお話がございましたけれども、選手たちの引退後の就職不安などを解消するための施策というものが必要ではないかなと考えてございます。
また、支えるというところでは、人材の育成からしますと、一番大きな問題は、スポーツ指導者の育成ということではないかと思っております。まだまだ日本のスポーツを支えている指導者、大人と言われる方々が学ぶ機会が少な過ぎる、こういった面でも、競技種目ごとのライセンス制度の策定などの義務化、そういったものまでを踏み込んでいただきたいと考えてございます。
それから、名実ともに支えると言われています審判員です。スポーツには不可欠である、なくてはならないルール、成績、勝敗を決定する審判員、この審判員の育成ということは、まだまだ日本の中では限られていると考えております。審判の必要性、また、その審判が、その国のスポーツの地位、それから国際レベル向上にもつながるということを考えると、審判員の育成に関しては早急に対処が必要ではないかなと考えてございます。
それから、スポーツマネジャーの活躍の場というのは、非常に近年増えてございますが、まだまだスポーツ産業に携わる方々の労務環境、簡単に言ってしまえば賃金の部分、そういったところはまだまだ脆弱というところがございますので、他の業界に比べて労務環境が良いとは言えないので、是非ともそういったところを、国を挙げて、また、スポーツ団体等々、一緒になって検討していく必要があると思います。
続いて3ページ目でございます。今度はスポーツ施設環境改善というところで、するという立場から、幾つかについて提言をさせていただきます。国内トップリーグの試合開催可能な施設の充実。先ほどもございましたが、トップリーグが行われる試合というのは、10万人規模、また、6万人規模、8万人規模という大掛かりなアリーナ、また、競技場ではなく、全国各地でトップリーグの試合が行えるようなスタジアム、また、その方たち、見に来る方たちが、快くその試合会場に来て見られるような、そういった施設の充実というのが必要ではないかなと感じてございます。
それから、スポーツ施設の改修といったところに、まだまだスポーツ団体等の意見が組み入れられていないということが多々見受けられますので、今後は競技団体等との情報共有の場を持ちながら、スポーツの施設等の整備に、稼働率の高い施設を造るにはどうしたらいいかという見地から、皆さんとの情報共有の場ができればいいなと思っております。
それから、まだまだ全国、公園条例等の縛りにあって、施設の整備等ができない、また、施設が造れないというようなことを散見しております。そういったものについても規制緩和を、スポーツ庁と一緒になって、是非ともお声を上げていただきたいなと。
それから皆さんも御存知かと思いますが、totoの売上向上の施策として、その施設を造るのにtotoの助成金を使っているにもかかわらず、totoの旗を掲出すると広告掲出料が取られてしまう自治体が多々あります。身近なところですけれども、こういった部分も改善していくことが必要ではないかなと思っております。
続いて4ページ目でございます。こちらはスポーツの施設環境の改善の中で、見るという見地からでございます。スポーツ施設では、まだまだIT化の推進が遅れてございます。そういった面でも、今回、Jリーグの方が、この間のマスコミの発表ではございましたが、Wi-Fi化等をJリーグの試合会場で行うと言われていますが、是非とも国内のアリーナ、体育館等の施設、また、水泳、そういった様々な競技場でもIT化を推進していくために、Wi-Fi化、それから観戦者のデータ等も配信していく必要があるなと思っております。
それから、支えるというところでございます。障害者が見る、また、そのスポーツをするということは、この東京オリンピック・パラリンピックで醸成されていくと思います。ただ、まだまだ各競技団体に、スポーツを障害者の方たちが支える、支援する、ボランティアの活動をしたいという方たちがたくさん出てきていますが、まだそういったところが整備ができておりません。そういった、障害者の方たちが生きる生きがいとしてスポーツを、自分たちが支えるという立場に立って検討していただきたいと思っております。
続いてスポーツビジネスの拡大でございます。5ページでございます。こちらは、IT技術を使って、多くのコンテンツがこれから向上されると考えております。こういったことを正にスポーツ庁が一番推し進めていくべきところだと考えています。これがスポーツビジネスの拡大につながっていくと感じてございます。
それから営利団体の支援です。今、NPO法人等に助成金が付いていますが、是非とも一部のルールを作った上で、営利団体と言われる株式会社等にも助成金等を支給し、民間の活力を使いながらスポーツビジネスを醸成していただきたいと思います。
それから次のページ、6ページ目、国際交流及びスポーツビジネスの拡大でございます。こちらは、私たちの競技団体からの意見としましては、競技力向上のための国際化として、早くスポーツ選手やスポーツ興業に関するビザの緩和、そういったことでトップアスリートが日本にやって来る機会も増えるでしょうし、先ほどもございましたインバウンドで来られたスポーツツーリズムと同様に、世界各国の人たちが、その国にいる、その国のトップアスリートが日本の国内の競技でプレーする、そういったものを見に来たいと言われるたびに、こういったビザの緩和等も必要ではないかなと考えてございます。
7ページでございます。最後でございますが、最終的には国民からの信頼確保、これは非常に今、大きく取り上げられてございます。昨今いろいろなトラブルがスポーツ界は起きていますが、ここについては、ドーピング、それからアスリートや指導者への教育を更に充実される必要があるのではないかなと考えてございます。ここについては、今、正に動き出しているところでございますが、トップリーグ連携機構としても、協力を皆さんとしながらやっていきたいと思ってございます。
そして最後に、行動依存症に対する対策として挙げさせていただきました。日本は、アジア人はアルコール依存症がないと。なぜならばアルコールに弱いと。私はですのでアジア人ではないのかなと自分では思っていますけれども、そんな笑い話は置くとして、済みません、行動依存症、これはアジア人に非常に多い。そういったことを考えると、昨今のバドミントンの協会で問題がございましたが、選手たちが、アスリートが、ギャンブル依存症になる、そういった確率は一般人より高いというのが欧米諸国では研究発表がされております。
そういったことを考えると、まだまだ日本では、アスリートがそういったものの病気になりやすいといったことをもっと真剣にとらえて、皆さんと一緒に検討していく、今、正に日本の諸大学が、このギャンブル依存症について検討、フィールド調査を正に始めたばかりと聞いてございます。是非ともこういったところ、欧米諸国に倣えるように、日本も整備をしていく必要があるのではないかなと思ってございます。
最後のページでございますが、先ほどの重複になりますけれども、IT化の推進、施設等でのIT化、それからビジネスといったスポーツにお金を投下していくということに関しても、IT技術を更に充実させることがキーワードになってくるのではないかなと思ってございます。
以上で、雑駁でございますけれども、私たちの説明に代えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは、御質問、御意見、お受けしたいと思います。まだ御質問なされていない方を優先したいと思います。いかがでしょうか。ございませんか。
朝原委員、どうぞ。
【朝原委員】  ツーリズムもそうですし、産業の方もそうですけれども、最後のトップリーグ機構さんもそうですけれども、ITという言葉が全てにおいて出てきておりまして、それが選手の成績の強化につながったり、あるいは産業にこれからつながっていきそうだということで皆さんお話しされているんですけれども、実際にセンサーを付けた技術指導ができるグッズとか、そういうもの以外に、ITを使った新しい産業が、東京2020ぐらいにこういうのができそうで、それだったらビジネスになりそうだみたいなこととか、何かそういう、ITのグッズだけではない、体験型のビジネスであったり、ツーリズムであったり、そういうものが、もし今考えられることであれば、教えていただきたいなと思います。
【友添部会長】  いかがでしょうか。ITと結んだスポーツビジネスのこれからということだと思います。
どうぞ、お願いします。
【スポーツ健康産業団体連合会】  スポーツ健康産業団体連合会です。この6月に当連合会の会員になっていただきましたNTTドコモさんが、「足裏のガスを測る装置」、足の裏から出る3種類のガスを計測して健康状態をチェックできる体重計の装置を開発されました。足の裏から出る3種類のガスを計測して、その結果をスマートフォンに送ってくれる。計測するのは体脂肪の分解で放出されるアセトン、飲酒の指標になるエタノール、水蒸気の三つで、例えば体重が減っていないのにアセトンの放出が多いと糖尿病の疑いがあるといった判断もするという、朝日新聞のデジタルの記事が出ております。このようにいろいろ先端企業で開発されておりますので、見込みがあるのではないかと思います。以上です。
【友添部会長】  よく聞こえなかったのですが、足の裏のガスの分泌から測定するということですか。
【スポーツ健康産業団体連合会】  そうです。
【友添部会長】  ということですが。ありがとうございました。よろしいですか。
【スポーツ健康産業団体連合会】  一つの事例です。
【友添部会長】  トップリーグ機構、どうぞお願いします。
【日本トップリーグ連携機構】  声大きいので、マイク割れていますので、済みません。私たちの方では、競技団体の中で、今、IT化に進んでいるのは、例えば一番分かりやすい例で言いますと、前回のワールドカップでラグビーが非常に人気になりました。日本で秩父宮でラグビーの試合をやったんですが、初めて来た人たちはルールが分からないと。ルールが分からないところで、会場のアナウンスでルールを説明する。それが携帯で、皆さんがスマホのところで、その携帯サイトにルールが出てくる。また、その選手の特徴が出てくる。こういったことが、スポーツ団体がアリーナの種目、それから屋外の種目で行われることによって、ファン層には間違いなくひっかかるというか、非常に関心を持ってもらう。そうすると、会場に来る人たち、それから会場に来ない人たちと、バーチャル的にその試合会場がつながる。そういったことが、多分、この2020から大きく変わってくるのではないかと私たちは期待しているところであります。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。
【朝原委員】  ありがとうございます。
【友添部会長】  ほかに。
和久委員、どうぞお願いします。
【和久委員】  日本ツーリズム機構さんにお聞きします。人材育成の必要性を述べられていますが、どういった知識とかスキルを身に付けた人材が必要なのか、また、そういった人材の育成には、現在のスポーツ界における人材育成プログラムの中で何が足りないのかについてお教えていただければと思います。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。お願いします。
【日本スポーツツーリズム推進機構】  今、厚生労働省さんの委託事業で、スポーツイベントプランナー検定という部分の計画の策定を昨年度からやっております。これは東京2020が来たことによって、かなりスポーツイベントがこれから開催されるということと、それと市民マラソンがスポーツツーリズムの集客装置になっているということもありまして、イベントを行うに当たり、いろいろな許可申請とか、それから企画の段階、それから制作の段階、それから本番運営の段階に分けまして、それぞれに望まれる人材像を設定しまして、それらの能力を測るための、今、国家検定を目指した検定試験を策定中でございます。
ですから、それぞれ競技団体さんの競技特性、それから規則・ルール、それをある程度知っていないとイベントの実施もままならないということもありますので、そういう人材をどんどん増やしていきたいということと、厚生労働省さんの観点では、こういったイベントの分野は非正規雇用が多いので、正規職員、正規採用化するためにも、この能力判定が必要ではないかという考えを頂いております。
【友添部会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。ほかにございますでしょうか。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】  済みません、スポーツ健康産業団体連合会の皆さんへの御質問ですけれども、私ども競技団体、また、スポーツビジネスを全体的に広げていく立場として、現在、日本のスポーツ健康産業自体の、具体的な数値的な現状ですね。それから、これからスポーツ健康産業を、どのぐらいのところまで目標値を設定して上げていこうかという具体的事例はございますでしょうか。
【友添部会長】  いかがでしょうか。
【スポーツ健康産業団体連合会】  それについては、現在、資料は持っておりません。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。ほかにございますか。
久木留委員、どうぞ。
【久木留委員】  スポーツツーリズムさんに御意見を伺いたいんですが、メジャーイベント招致という観点で、スポーツビジネス以外に、例えば国際競技力強化という観点をお持ちでしょうか。
【友添部会長】  いかがでしょうか。
【日本スポーツツーリズム推進機構】  これはまだ競技団体さんと十分お話ししたことがないんですけれども、例えば我々の会員の中には自治体がありまして、自治体のスポーツ施設の空き利用だとか、そういった部分も求めているところがありますので、そういった部分のマッチングは私どもでできるのではないかなと思っております。具体的な事例はまだないですけれども、一部国内で、埼玉さんなんかは、学連の大会を平日で空いているところで受けたりということも、これはスポーツコミッションとしてやっていらっしゃると聞いておりますので、そういった一元的管理ができる組織として、スポーツコミッションが重要であるという認識でおります。
【友添部会長】  ほかにお答えいただける団体ございますでしょうか。この点に関しまして、よろしいでしょうか。ちょうど時間になりましたので、ありがとうございました。
それでは、日本スポーツツーリズム推進機構、日本プロスポーツ協会、スポーツ健康産業団体連合会、日本トップリーグ連携機構からのヒアリングは、以上で終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、入替えをお願いします。委員の皆さん、お疲れが出てきていますので、肩の上げ下げ、首の回し、少し体を動かしてください。事務局の皆さんも体を動かしてください。お願いします。
(グループ入替え)
【友添部会長】  長らくお待たせしました。次のグループでありますけれども、日本オリンピアンズ協会、日本パラリンピアンズ協会、ラグビーワールドカップ2019組織委員会、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会になります。これまでと同様に、各団体から8分以内で御発表いただき、その後に、まとめまして質疑応答の時間を10分程度取らせていただこうと思っています。
それでは、まず日本オリンピアンズ協会、早田理事長、大山主事、よろしくお願いします。
【日本オリンピアンズ協会】  本日は、こうした発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。日本オリンピアンズ協会理事長の早田と申します。どうぞよろしくお願いします。
本日の資料は、本会機関誌「OAJNEWS」の最新号と、A42枚を用意させていただきました。まず本会について御説明させていただきますと、日本オリンピアンズ協会(OAJ)は、日本のオリンピアン相互の理解と親睦を図り、世界オリンピアンズ協会(WOA)の一員としてオリンピック・ムーブメントを推進し、スポーツを通じた世界平和と国際的友好親善に貢献するとともに我が国におけるスポーツの振興に寄与することを目的として、2003年9月に設立しました。オリンピアンがこれまでに培った経験と知見を大きなムーブメントとして未来につなげるために、事業を展開しております。
本会はオリンピアンの会員組織であり、1912年の第5回ストックホルム・オリンピックに日本代表選手が初参加して以来、2012年の第30回ロンドン・オリンピック、2014年の第22回ソチ・オリンピックまでに、延べ5,000名を超えるオリンピアンを輩出してまいりましたが、そのうち1,134名のオリンピアンに会員として登録いただいております。
本会の主な事業ですが、資料に記しております。御覧ください。設立当初より、全国各地でオリンピアンを講師に迎え、子供たちを対象としたスポーツ教室、オリンピアンふれあい交流事業、オリンピアン巡回指導事業の2事業を開催。この事業はオリンピアンからの実技指導や講話を通じて、競技の技術習得だけではなく、オリンピアンとのふれあいの中でスポーツの楽しさを伝えたり、オリンピック・ムーブメントへの理解を深めることを目的に、また夢や希望を持ってもらいたいという思いで開催しており、昨年度も資料記載のとおり、2事業合わせて12会場、1,011名の子供たちが参加。資料下部に記載しておりますが、スタートした平成16年度からこれまでに計127回開催してきた中で、参加した子供たちの数は1万4,990名、講師や本会役員として、延べ368名のオリンピアンを派遣・動員してまいりました。
さらに、別紙の本会機関誌「OAJNEWS」に掲載しておりますとおり、年に一度東京で開催する総会・懇親会や、地方で開催するオリンピアンの集いの開催。そのほかにも、全国各地から講演や大会、イベント等へのオリンピアンの派遣依頼があった際には、オリンピアンの紹介・派遣などもしており、昨年度には東京都のオリ・パラ教育推進校へのオリンピアン派遣なども行ってまいりました。
また、本会はWOAの一員として活動しており、これまでにもWOAの理事として、鈴木大地先生に長年お務めいただきました。ありがとうございました。また現在は、同じ水泳競技の小谷実可子さんが、アジア代表理事として活躍しており、世界からも注目されています。機関誌「OAJNEWS」の表紙にもございますとおり、昨年度には、オリンピック発祥の地であるギリシャのオリンピアンズ協会との協力協定を結ぶなど、各国のオリンピアンズ協会との交流もございます。
今回、ヒアリングの内容を頂いた時点で、現行のスポーツ基本法、スポーツ行政全般について御意見をとのことでしたので、現行のスポーツ基本計画の中で本会が担える点がないか検討しました中で、住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備、特に(2)で示している地域のスポーツ指導者等の充実について注目いたしました。
資料を御覧いただきたいと思いますが、こちらは本会に加入いただいているオリンピアンの在住分布図でございます。資料のとおり全国各地にオリンピアンが点在しておりますが、現在、自治体、教育機関、総合型地域スポーツクラブ等で、それぞれの地域にオリンピアンが在住又は出身であることを把握されていないところも多数あるというのが実情ではないでしょうか。地域のスポーツ指導者等の充実という中で、地域にオリンピアンがいれば、その一手にもなり得ると思います。老若男女オリンピアンによって、講演、講話、実技指導等、できることは様々ですが、その地域在住の出身オリンピアンと自治体との関係が築かれることによって、その地域にとってプラスになることは数多くあると思います。
特に2020年の東京オリンピックの開催が決まり、これまで以上に全国各地でオリ・パラ教育、オリ・パラ・ムーブメントの推進に関する事業が展開されているかと存じます。オリンピアンだからこそ、オリンピアンにしかできないことがあると思います。そういった中で、各自治体等とオリンピアンの懸け橋となることが、本会だけでは難しいところではございますが、関係者の皆様と連携をすることで可能になるのではと考えています。
このようにオリンピアンが活躍できる場、オリンピアンを活用できることは多々あると思いますので、第2期スポーツ基本計画を策定するに当たりまして、御配慮いただければ幸いに存じます。
以上、御清聴ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。
続きまして、日本パラリンピアンズ協会の河合会長、大日方副会長、よろしくお願いします。
【日本パラリンピアンズ協会】  ありがとうございます。日本パラリンピアンズ協会の河合でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、我々の団体について、レジュメには入れておりませんけれども、簡単に私の方から説明をさせていただきたいと思います。
我々は、パラリンピックに出場した選手の選手会として2003年よりスタートしておりまして、現在198名、およそ200名の会員で成立しております。今回、リオでまた新たに入会してくれる会員も増えると思っておりますので、様々な形で活動しております。現在、月に一度は勉強会をしながら、講演等に呼ばれた際にもしっかりと応えられる、そんな講師、人材を育てるべく、それぞれの交流とともに、そんな活動をし、子供たちに夢や希望、そして障害を乗り越えていく強さや、あるいは社会を変えていくということはどういうことなのかを伝えられるような、そんな講演や、そういった体験教室等ができるように、今、選手とともに研修を積み上げているところであります。
そのような中で、今考えているのが、ちょうど昨年、2021年に向けて、我々パラリンピアンズ協会、PAJとして、中期経営計画をまとめました。その中で一つのキャッチコピーとしたのが、「突き抜けろ We can make a paradigm shift」と。自分たちの限界を乗り越えていく強さ、突き抜けていく強さと、社会に存在する壁を貫いていこうと。そういうことを通じて、この社会の様々な偏見や、まだまだ起こっている差別等を解消していく、そういうところにも切り込んでいくべきであると。そのような姿勢で、我々の活動を、今、進めているところです。そのような中で、今回、第2期のスポーツ基本計画に向けてということで我々なりに考えたことを、これから発表させていただきたいと思います。
一番最初の部分が一番重要でして、基本的な考え方ということで示させていただいております。これまでのスポーツ基本計画においては、障害者スポーツという特出しをした章を作っておりませんでした。それは我々も、5年前に作る段階の際にも、様々なジャンルにおいてそういった障害者スポーツのことを取り扱っていただいて、それの中で推進されることが目指すべき方向性であるという中で、5年前、意見をし、採用いただいてまいりました。
しかしながら、前回の発表や、あるいは今日の発表等々の中を聞いていても、なかなか障害者の問題について、自分たちの団体や様々なところで関係が薄いとなると触れていなかったり、あるいは、もし要望があれば検討しますという意見も多く聞かれ、実際問題、なかなか障害のある方々のスポーツ環境の推進に対して、様々な団体が本当に一丸となって進めていくということができてこなかったという反省があります。
ですので今回は、障害者スポーツを特出しした章をここではしっかりと作り、この5年間でオリンピック・パラリンピックが開催されるきっかけを通じて、障害者スポーツをより推進していく、誰もがスポーツができるという体制を作るべく、皆さんに協力を頂きたいと考えております。
そして、ここが重要なわけですけれども、次の第3期の計画を作る際には、障害者スポーツという章をなくせるようにするというところを目指して、今回、あえて特出しをした章を作っていただきたいということを、まず一つ、皆さんにお願いをしたいと思っております。
具体的にそれではどのようなものかということで、七つ、そこに挙げさせてもらいました。学校体育、小中学校のところになりますけれども、まず、障害のある子供たちが一般の学校にいるケースがございますが、この子供たちの体育の状況・実態が十分把握できておりません。まず見学の子たちが多いという話もよく聞きますし、そうではないという声もあったり。これをしっかりと調査をし、実態をつかんでいただいて対応いただきたいと思っております。そして教員免許の問題としても、体育の先生になる方には、障害のある方々に対するスポーツの指導の方法等をしっかりと身に付けていただく、そのためのカリキュラム整備等も取り組んでいただきたいと思っております。
そしてもう一つは、これはJPCのヒアリングの際にも発表がありましたけれども、成長期の子供たちの車椅子や義足等の道具、レンタル制度でもいいので、これをやっていただきたいと。革靴でスポーツをするというのはあり得ません。しかし革靴は1万円も出せば買えますけれども、50万円もするとかウン十万する義足や車椅子ができないからスポーツが楽しめない。これでは、スポーツを誰もが楽しめる権利とかそういうことは、十分言えるとは言えません。この部分も検討いただきたいと思っております。あとは専門家を活用した制度というのお願いしたいと思っております。
二つ目が特別支援学校の問題です。特別支援学校にいる児童・生徒の体力という問題についても、まだ把握できておりませんので、しっかりと調査をするということをしていただきながら進めていただきたいと考えております。
そして三つ目、大学教育です。大学にも身体障害や知的障害のある学生さんが、今、多く在籍をしておりますが、こういう方々にもしっかりと部活動や運動クラブ等でも活動できる体制をとっていただきたいですし、体育がこれからもし必修化されるということになれば、そういったところでも指導できる、あるいは楽しめるということをお願いしたいと思っております。
そして、パラリンピックスポーツの研究開発、あるいは人文科学的な部分や社会科学的、あるいは自然科学的なアプローチでの研究等も含めて、大学でこれをしっかりと作り、人材を育てていただきたいと思っております。
そしてマル4、公共・民間スポーツのところになりますけれども、再三出ますけれども、車椅子の方々あるいは障害のある方々が公共の体育施設等を利用しようとすると、バスケットボールをすると車椅子のタイヤの跡が付くとか傷が付く等の理由で、まだ使えないとか、あるいは、イベントのときは使っていいけれども日常的な練習のときには断られるというケースをまだ聞きます。この問題はおかしな話ですので、しっかりと対応いただきたい。
民間のスポーツクラブにつきましても、多くの人にスポーツを楽しんでもらうためには、身近でできる、できるだけ家の近くで職場の近くでというのが望まれるところですので、この部分についても、できていない民間事業者等があれば、現在のところは努力義務かもしれませんけれども、差別解消法に基づいて、対応に対する指導等を行っていただくことも含めていただきたいと思っています。
そして5番ですけれども、国際競技力のところですけれども、これ、基本計画で現在のところでもあるわけですが、前回の大会を超えるようにということであったわけですが、北京大会よりもロンドン大会は、パラリンピックの場合は、これは結果がメダルが下がってしまいました。このことをなかなか検証し切れていない中で、また次に行くわけですけれども、この部分をしっかりと追究というか、状況も踏まえて考えていただきたい。
そしてNTCとJISSの拡充ということで、今、進んでおりますけれども、御存知のように、それらは、パラリンピックがなかなかまだ、NTC、JISSの方が、オリ・パラの一体と言いながらも、オリンピックがやってきている中で、その狭隘化の問題等もあって進んでこなかった中で、拡充が進んだ。つまり、ここの新しく拡充するところは、パラリンピックをしっかり優先的に使用しながら強化も図っていくんだということを、しっかりと考えていただきたいということです。
そしてマル6になりますけれども、2020年以降を見据えて、21年までの計画を作っております。2021年に向かっていく中で、今、パラのNFも、パラリンピック・サポートセンター等がありまして充実してきているとはいえ、21年で終了いたします。岸記念体育館の建替えの話の中で、ミュージアム等があるおかげでパラの競技団体が入る余地がないという発言も耳にしたことがありまして、オリ・パラ一体、これからのレガシーとして2021年以降も続いていくものとして、こういう考え方を、スポーツ庁を中心に、この問題は真剣に取り組んでいただきたいとも強く思っております。
併せて、オリ・パラ一体の流れの中で、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会との関係性等も含めて、国民の皆さんに知っていただくために、いい機会として、また検討も頂ければと思っております。
そして、リハビリテーションのつながりというところがパラリンピックの特徴でもありますので、是非、障害のある方々が、受傷後、スポーツを通じて社会参加や、そして生きがいにつながるようなリハビリとの連携という部分についても、是非皆さんにも御検討いただいて、議論を頂きたいと思っております。
最後になりますが、最初に申し上げたように、障害者スポーツという章を立てたいわけではありませんが、これを作っていただかない限り進まないという危機感も持って、今日、お話をさせていただいております。どうか御検討いただいて、逆に第3期のときにはそれをなくせるよう、皆さんのお力添えを今後頂ければと思っております。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。
続きまして、ラグビーワールドカップ2019組織委員会、西阪事務総長代理、郷家渉外部長、よろしくお願いします。
【ラグビーワールドカップ2019組織委員会】  本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。大規模なスポーツイベントを運営する立場から、意見を述べさせていただきます。資料15を御覧いただきたいと存じます。
私どもラグビーのワールドカップは、ここにございますように、2019年9月20日から11月2日まで約7週間、全国北海道から九州まで、12都市で開催されます。ラグビーの伝統国以外では初めて、また、アジアで初の大会という位置付けでございます。私ども、日本開催を契機といたしまして、もちろんラグビーの競技力強化・普及ということにつなげていきたいと思っておりますが、それとともに、12開催都市をはじめといたしましての地域の活性化、釜石や熊本、大分という開催地の震災復興の姿、あるいは観光や国際交流、スポーツビジネスの活性化、人材育成等、様々な経済的な、あるいは社会的な発展につながるような大会にしていきたいと考えておりまして、次年度2020年に開催されます東京オリ・パラとも連携をして取り組んでいきたいと考えております。
これまでスポーツ庁からは、特別措置法の制定等、様々な形で御支援を頂いておるところでございます。そういう点で、今後のスポーツ基本計画の策定に当たりまして、4点、述べさせていただきたいと思います。
2ページのところを開けていただきまして、まず1点目でございますが、招致・開催に関する国の支援の充実ということでございます。これは具体的には、JSCさんからの助成金等の御支援を是非充実していただきたいということでございます。私ども、国際競技大会を開催するためには、開催の数年前から様々な準備に当たりますが、収入の大半を占めるチケット収入というものは、大会の直前にしか入ってこないという構造にございます。そのような準備期間を充実させていくという点、あるいは、国際競技連盟から政府保証というものを求められることも多くございます。こういう点で、国に直接補助金という形で御支援いただくわけにはなかなか難しいと存じますので、今あるJSCさんの助成のスキームということを是非充実していただきまして、施設整備も含めて御支援を頂ければ大変有り難いと思っております。私どもの現状を見てみますと、JSCからの助成金がなければ、招致、あるいは現在の準備というものも、こういう形では絶対できていなかったという認識でございまして、この点、是非よろしくお願いしたいと存じます。
2点目は、産業界との連携の支援ということでございます。私ども、スポーツ大会の開催ということで、責任を持って開催をいたしますが、観客の方への様々なサービス、あるいは国際競技大会を幅広い効果を発揮させるという意味では、関係の産業界の方々、関係の企業の方々と連携をして、こういう国際大会を盛り上げていく、実施していくということが不可欠ではないかと考えております。そういう点で、私どもも産業界と様々な形で連携をしてまいりますが、国の立場からそういう産業界と私ども組織委員会との連携ということを御支援いただくような、そういう仕組みのようなものを作っていただければ、国際競技大会の開催というものが、より効果を発揮できる形になるのではないかと思っております。
それから3ページ目、第3点でございますが、人材の育成・活用ということでございます。大規模な国際競技大会の開催ということに当たりましては、様々な人材が必要でございます。そのような人材が私どもの組織委員会でも育ちつつありますけれども、そのようなノウハウを持った人材が、また別の日本での国際競技大会の開催に携われる、あるいは関連の企業の方々のそういう人材のお力をお借りできる、こういう国際競技大会を開催するに当たっての人材の育成、あるいは活用のシステムということを、スポーツ庁において御検討いただければと思います。
最後、4点目でございますが、レガシーの継承ということでございます。国際競技大会の開催を一過性のイベントということで終わらせずに、スポーツのレガシーを継承していくという点が大変重要ではないかと思っております。そういう点で、子供たちにスポーツに親しむ、あるいはスポーツのすばらしさというのを経験していただくというのが、国際競技大会での大変いい機会ではないかと考えております。そういう点で、これを契機にいたしまして、私どもラグビーの立場で申し上げましたら、小学校ではタグラグビーというものが学習指導要領の解説に位置付けられまして、近年、小学校で大変普及をしてきてございます。ただ、中学校におきまして、このラグビーにつきましては、位置付けが学校教育の中ではっきりしておりませんので、是非中学校におきましても、タグラグビー等が、より学校教育の場で取り組めるような形にしていただければ、大変私どもにとってのレガシーということでは大きなものになるのではないかと考えております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは最後になりましたが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、布村副事務総長、よろしくお願いします。
【東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会】  今日はスポーツ基本計画のヒアリングの機会を頂きまして、ありがとうございます。組織委員会副事務総長の布村と申します。資料16で御説明を差し上げます。
ちょうど昨日は、2020年の4年前イベントを実施しました。8月5日からリオ大会が開かれる予定でございまして、本日は、午前中の組織委員会理事会で公表させていただいたばかりのアクション&レガシープラン2016の概要と、このプランを具体化し、リオ大会後に動き出します様々なアクションを推進しながら、大会への参画を広げようという仕組みの参画プログラムの概要について、説明をさせていただきます。
おめくりいただきまして、3ページ目、1の全体概要というところを御覧ください。アクション&レガシープランは、スポーツには世界と未来を変える力があるという東京2020ビジョンの下、大会の先、2020年の先にレガシーを創出し、未来へ継承するためのアクションを、多くの方々の参画により推進しようとするプランとなります。
4ページを御覧ください。このプランは多くの方々の参画を頂いて、具体的には下の方に5本の柱を掲げてございますけれども、スポーツ・健康、街づくり・持続可能性、文化・教育、経済・テクノロジー、そして復興・オールジャパン・世界への発信と、5本の柱で構成されており、それぞれの柱の策定に当たりましては専門委員会を設けさせていただいて、スポーツ庁をはじめとする政府の方々、そして東京都、JOC、JPCなど多くのスポーツ関係の方々の御協力を頂いて、オールジャパン体制で検討を進めさせていただきました。この部会の委員の方々にも多く参画を頂いております。
5ページ目を御覧ください。全体の構成は記載の以上のとおりで、第1章に「はじめに」ということで全体像をお示しをし、2章から5本柱を掲げ、一番後ろの方にアクション一覧というものを掲げているところでございます。
6ページ目になります。こちらはプラン策定に向けた三つの重要な視点を掲げてございます。一つ目には参画ということで、日本国中の方々に参画を頂こうということ。そして2番目にはパラリンピックを掲げさせていただいております。パラリンピアンズ協会からもお話がありましたけれども、2度目のパラリンピックの開催ということで、大会そのものの成功はもとより、障害者の方々の社会参加の促進、あるいは多様性への理解の推進という観点を全体に込めてございます。また、3番目としましては、今、ラグビーのワールドカップのお話がありましたけれども、それと2021年の関西ワールドマスターズゲーム、そして平昌、東京、北京と、東アジアで開かれる三つのオリンピックとのシナジー効果というのか、連携をできるだけ図っていこうということを視点として掲げています。
7ページ目にはスケジュールをお示しをしてございます。このアクション&レガシープラン2016を公表し、リオ大会後からプランに掲げております様々なアクションが全国でスタートしていき、今後、それらの実施状況を踏まえながら、毎年、このプランを改定をさせていただいて、盛り上げの中で2020年の大会を迎えていきたいと思っており、また、大会後には、アクション&レガシーレポートを策定し、次の世代につなげていければと考えてございます。
8ページ目を御覧ください。こちらがスポーツ・健康分野、第2章に当たるところの概要となります。基本的なコンセプトは、「スポーツの力でみんなが輝く社会へ」を掲げております。また、目指すレガシーの方向性として3点。一つは、「誰もがスポーツをする・観る・支える社会の実現」。二つは、「アスリートが活躍する社会の実現」。三つ目が、「パラリンピックを契機とした共生社会の実現」を掲げてございます。これらはいずれも、現行のスポーツ基本計画が目指される社会の方向性と基本的な考え方を共通にするものと思います。
また、東京2020大会を契機としたレガシーの創出には、オールジャパンで様々なアクションを推進することが必要であり、ここにはアイデアベースのものも含めて、アクションの一例を掲げさせていただきました。プランには、このほか、既に現行計画の下で進められています様々な取組に加えて、第2期計画策定の諮問事項にも掲げられている視点に立った取組、例えばということになりますけれども、スポーツを通じた健康増進の案、あるいは地域活性化、そして国際交流・貢献の拡充、スポーツビジネスの拡大によるスポーツ関連産業の振興などに関する様々な取組をアクションの例として掲げており、今後、多くの方々の御協力を頂いて実現につなげていければと考えております。
組織委員会では、こうしたアクションが、スポーツ庁をはじめ政府全体の方々、そして本日御列席のスポーツ関係の有識者の方々、関係団体の方々の御協力を頂き、様々な施策・事業として全国各地で実施を頂き、東京2020大会に向けた開催機運の醸成、あるいは大会の先のレガシーの創出につなげることを目指していきたいと考えております。このプランの趣旨を御理解いただきまして、今後とも一層の御協力を頂きますよう改めてお願いを申し上げます。
あと、おめくりいただいて、9ページから参考までに、ここからは、このプランを具現化し、大会への参画を広げるための仕組み、東京2020参画プログラムについて、簡潔に御説明をさせていただきます。
10ページ目を御覧ください。「オリンピック・パラリンピックは参加することに意義がある」という言葉が有名でございますけれども、私どもは、この参加という言葉は、決して選手だけではなく、子供からお年寄りまで、あらゆる人たちが自己のベストを尽くして大会に参加を頂きたいということと捉えてございます。アクション&レガシープランはアクション&レガシーの方向性を示すものですけれども、様々な組織・団体が大会あるいはレガシー創出に向けたアクションに参加できる仕組みとして、この参画プログラムを構築いたしました。
11ページ目に枠組みをお示しをしてございます。端的に申し上げますと、様々な団体が行うアクションを、組織委員会が一定の要件の下に認証をさせていただき、マークを付与して応援をさせていただくものでございます。そして、このアクションを実施する主体に応じて、参画プログラムは東京2020公認プログラム、エンブレムの一部を活用したマークを使えるものと、もう一つは東京2020応援プログラムの二つのプログラムに分別され、付与するマークも異なる形になってございます。そして具体的な分野としては、あくまで例示として先ほどの5本柱を八つの分野に分けた形で、それぞれ文化とかスポーツ・健康とかを付したマークを付けていただく予定でございます。
12ページ目になりますけれども、認証を受けることを通じて、先に申し上げました東京2020公認マーク又は東京2020応援マークのほか、各プログラム名を使用することができるということで、それぞれのアクションのPRにもなるかと思います。一方で留意事項として、マークを付与させていただいたアクションにつきましては、東京オリンピックの制約として、スポンサーを除いた形で、商用宣伝目的の製品利用は認められないと。あるいは、非スポンサー製品等の企業名・製品名に関する配慮が必要といったところが制約が出てくるところでございますけれども、13ページ目に、参画のメリットを整理させていただきました。東京2020大会とつながること、地域でつながること、全国とつながること、未来につながることと、そういう四つを御理解いただいて、多くの団体に参画願えればと考えております。
14ページ目には申請対象団体例を掲げさせていただきました。公認プログラムの方は今年の秋から開始したいと思いますし、参画プログラムにつきましては、今年の秋から一部を先行し、本格的には来年度から動き出していきたいという予定でございます。
15、16ページ目には、審査基準、申請方法を掲げてございます。
18ページ目を御覧ください。18ページ目は今後のスケジュールとなりますけれども、リオ大会後、この秋からプログラムを開始し、2017年度以降、段階的に認証件数を増やしていき、大会の機運醸成につなげていきたいと思います。大会の直前には、東京2020フェスティバルという形で、これまで実施されたアクションの集大成となるようなイベントを実施して本番を迎え、様々なアクションがレガシーとして継承していくことを期待しております。
最後になりますが、本日は貴重な機会を頂きましたけれども、このアクション&レガシープラン2016と東京2020参画プログラムについて、プランが目指す未来とスポーツ基本法で掲げられているスポーツの価値を社会に広めるという理念は、同じ方向を向いているものと考えております。第2期のスポーツ基本計画の策定に当たりましても、本日、説明をさせていただきましたアクション&レガシープランも検討材料の一つとしていただければ、大変有り難いと存じます。また、この参画プログラムにより東京2020大会への参画の輪が広がるよう、皆様方にも御支援を頂き、ともに大会を盛り上げていければと存じます。
説明は以上になります。ありがとうございました。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは御質問、御意見をお受けしたいと思います。
伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  伊藤でございます。皆様、どうもありがとうございました。最後に御提案いただきました東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の布村副事務総長様の資料からです。6ページの2のマル3のところに、2018年から22年の大規模大会の連携ということがございまして、大変すばらしい視点だなと思って拝見いたしました。ありがとうございました。
このご提案は、スポーツの融合という視点と、それから様々な参画の仕方という視点、どちらからも非常に重要だと考えました。ここは、例えばで思ったのは、ボランティアをしたい人たちが、この様々な大会に連携しながら参加していくという点もあると思いました。この辺りでもし何か具体策がおありでしたらお聞きしたいのと、それから、ほかの団体の方も、スポーツの融合などの視点でございましたら、御意見いただきたいと思いました。
以上です。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。
【東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会】  ありがとうございます。おっしゃったように、ボランティアに今、スポーツ大会を支えていただいておりますけれども、こういう大きな大会を契機にボランティア文化が日本に定着すると、そういうきっかけになればと思います。
そういった面では、ボランティアの方々のデータバンクという形、あるいは、それからまた先ほども御質問がありましたが、ICTを活用して、チケットを買われた方、ボランティアをされた方などを、一つのデータベースとして共通項を作って、それが終わった後、日本のスポーツ界を支えるような仕組みができればと、そんな発想で、一緒になって取り組んでいければと考えています。
【友添部会長】  他の団体・組織の方で、もしこれに関して御意見、お答えありましたら、お願いします。
大日方委員、お願いします。
【日本パラリンピアンズ協会】  パラリンピアンズ協会の大日方です。伊藤さんから御質問いただきました融合の視点について、少し補足をさせていただきたいと思っております。
御承知のとおり、スポーツ基本法では、誰もがスポーツを楽しめるという環境を目指しているわけであります。実際、私どもが活動している中で感じるのは、競技の現場、スポーツの現場というのは、障害がある人もない人も同じ場所で一緒にいるということが自然であり、例えば私がやっているスキーですと、スキー場という活動する場所は一緒なわけです。また、トップスポーツにおきましても、NTCやJISS、共同利用というところが進んでおりますが、重要なことは、競技団体同士がしっかりと話をできる、そういう連携の機会が必要だろうと思っております。
そうした意味でも、先ほど河合会長の方から申し上げましたけれども、2021年以降、競技団体がどこで活動するのか、そのベースとなるところをできる限り競技団体同士が近いところにあり、それぞれの種目別競技団体や統括競技団体同士が、連携が取りやすい場所というのが模索されるといいなと考えております。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。オリンピック・レガシーの問題にも発展すると思うんです。
福井委員、どうぞ。
【福井委員】  皆さん、ありがとうございました。オリンピック委員会の福井です。日本オリンピアンズ協会さんの質問というか、確認をさせていただきます。2020年までで、日本開催ということで、オリンピック・ムーブメントの推進というのには絶好の機会だと捉えていますが、このオリンピアンズ協会の会員資料を見せていただいて、これだけのオリンピアンの方がいて、この方々が活躍することによって、日本のスポーツの地位も当然上がってくると思うんですが、各何名おられるというのは分かるんですが、競技の種類といいますか、種別といいますか、この県にはこの競技の方がおられますということが分かる資料がもしあれば、それが分かれば、その地域で盛んな種目も分かるでしょうし、地域の方、地元の方に接するということで、より身近な感じで触れ合って、推進も進むんじゃないかなと前々から思っていたんですが、その表というのは。
【日本オリンピアンズ協会】  ありがとうございます。個人情報等いろいろな面で、なかなか外には出せないのですが、データとしては、各県、何の競技がどこに何人というところについて、把握はしておりますので、できればそういうものも利用しながら、今後いろいろとそういう推進にプラスにしていきたいと思います。ありがとうございます。
【福井委員】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。個人情報との関係もあるということでございます。
【福井委員】  はい。済みません。
【友添部会長】  ほかに。
久木留委員、どうぞ。
【久木留委員】  済みません。同じく布村副事務総長と、できればほかの方にもお聞きしたいんですけれども、ニュージーランドという国は、ハイパフォーマンス・ストラテジックプランというのを、2012年ロンドン・オリンピックが終わった1か月後に出しているんですね。同じくオーストラリアも、ウイニングエッジというのを、11月30日、2か月後に出しています。そうしたときに、リオが終わった後、すぐにそういった強化戦略プランというのを出して、出すだけではなくて、そのプランを評価・検証しながら4年を迎え、強化の準備を行う。そして、2020年オリ・パラを迎えることができれば、これこそハイパフォーマンスという領域におけるレガシーになるんじゃないかと思っているんで。この辺りについて、皆さんの御意見を頂ければと思います。
【友添部会長】  競技力向上戦略を、どのようにオリンピックを通して考えているかということですね。オリ・パラを考えているかということだと思います。
【久木留委員】  はい。
【友添部会長】  布村副総長、いいでしょうか。
【東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会】  私ども、東京都と合わせて300名を超える者が、リオ・オリンピック・パラリンピックにオブザーバー・プログラムとして学びに行きますので、その終わった後、リオ組織委員会からも学ぶ機会がありますので、それらの経験を、まずは2017年版に改訂で生かすということとともに、そういうレガシーがどうなるかもしっかり意識をして、毎年の計画の改訂につなげていきたいと考えております。
【友添部会長】  いかがでしょう。ラグビーワールドカップの後の強化戦略等、もしありましたら御紹介いただければと思います。
【ラグビーワールドカップ2019組織委員会】  強化につきましては、今、ラグビー協会の方で検討しておりますが、ラグビー協会でラグビーの戦略計画というのがございまして、2019年までのものが現行ございますが、2020年までを含めて、今、見直しを行っておりまして、その中の大きな柱は、まさに競技力向上、できればワールドカップの本番のときにベスト4なりに入るということを目指してやっていこうということで、現在、協会の中で検討を進めているところでございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。それでは、ほかに。
じゃ、泉委員、お願いします。済みません、待ってください。じゃ、もう1回、パラリンピアンズの方から、もしありましたらお願いします。
【日本パラリンピアンズ協会】  済みません、久木留委員の件について、ありがとうございました。手短にと思っておりますが、オーストラリアの方で同じように、先ほどお話があったように、オリンピック・パラリンピックがそろってハイパフォーマンスの戦略計画を作っているのは、すばらしいなと思っております。そういう同じ知見を共有する、同じ方向を向くという場を、研修や関係者が集っていくという場を作られたことによって、もともと一体化していたオーストラリアが、更にそういう中で力を発揮してきたということもお聞きしておりますので、東京に向けてこういう機会も頂いていますので、この基本計画等にも書き加えられながら、そういう方向に進んでいくことを、我々としては強く希望したいと思っております。
【友添部会長】  失礼しました。オリンピアンズ協会、もしありましたら。よろしいですか。強化戦略等、この辺は。
【日本オリンピアンズ協会】  考えるのは、今の時期に2020年までという、その後もそうですけれども、子供たちにそのようなスポーツに対しての理解をさせるということで、日頃、事務所にはかなり問合せ、あるいはオリンピアンへの依頼が来たりしますので、それも徐々に浸透させるような形で実行していきたいと思っています。
【友添部会長】  ありがとうございました。
じゃ、泉委員、お願いします。
【泉部会長代理】  パラリンピアンズの河合会長にお尋ねしたいんですが、この書類の中にございますけれども、国体と障害者のスポーツ大会の関係性についてということで、具体的な言及がなかったんですが、全国障害者スポーツ大会の在り方委員会の中で、今まで国体との関連性については大分議論をしてきたと思うんですが、国体との関連性について何か具体的に要望がございますか。
【日本パラリンピアンズ協会】  この在り方委員会は、泉委員御存知のとおり、日本障がい者スポーツ協会の中にあったところで、私もその一委員はしておりましたけれども、議論をしてきたところであって、そこで具体的にこういう形がというものよりも、まず何かできる形とか、あるいは、大きな大会同士ですので、それをどうするかというところはこれからかと思いますけれども、何かできる形、エキシビションなのか、あるいは様々な形で、お互いにそれぞれの競技者たちがパラリンピックの競技を知る、オリンピックの競技の選手たちと出会うという場を作っていく一つのきっかけになり得るのではないかということで、オリ・パラ一体をどう競技会というところで見せていくかという視点での、これは提案ですので、皆さんも含めて御議論いただければと思っております。
【友添部会長】  分かりました。最後にお一人。
和久委員、どうぞ。原田先生、その後。和久委員、手短で。原田先生、ラストでお願いします。
【和久委員】  東京オリンピック・パラリンピック組織委員会にお伺いします。今後の国際競技力向上を考えていく上で、組織委員会との連携は非常に重要と思っています。というのは、国際競技大会を自国で開催することは、競技力向上の面では、ホームアドバンテージが得られるというところが非常に大きいと思います。そういったところでも、今後、連携・協力が図れればと思っております。質問というよりもコメントですが。
【友添部会長】  御意見いただいたということで、何かこれに対してよろしいでしょうか。
【東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会】  組織委員会自体は、競技力向上そのものよりは、それをお支えする役割だと思いますけれども、今の和久委員の御提案は、こっそり隠れてしっかり連携したいと思います。
【友添部会長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
じゃ、原田委員、最後に。
【原田委員】  短めに。前回のオリンピック、1964年のオリンピックの2年前にスポーツ振興法ができて、そこでスポーツ少年団と体育指導委員といった制度化されたものが、発展途上国だった日本のスポーツ振興に大いに貢献しました。
河合さんにお聞きしたいんですが、今回、パラリンピックが非常に注目を浴びて、障害者スポーツが今後更なる発展を期待されているんですが、新たなそういう制度化の中に組み込んでいけるような、そういう御提案みたいなものはないんですか。基本法に是非こういうことを制度化してほしいというのがもしあれば、お聞きしたい。
【友添部会長】  いかがでしょうか。
【日本パラリンピアンズ協会】  ありがとうございます。指導者の部分で、障害者に特有の指導員を、今、日本障がい者スポーツ協会でももちろん養成はしておりますけれども、それだけでは、津々浦々全国で活動する、様々な障害があって、あるいは年齢も幅広い方々に対応するのは難しいと考えております。
そういう意味において、今、一般の健常者の方の競技団体等の指導員の方々や日体協の仕組みの中等も含めて、そういう方々に一部、障害に関する知識や、そういった情報等、指導法を学んでいただく。先ほど少し提案もしましたが、体育の教員の方々にそれを知っていただくことによって減らしていくことはできると思っておりますので、是非ともフルパッケージで知っていただくというよりは、障害についてどうすればいいのか、逆に、分からない場合にはどのように問い合わせればいいかということをしっかり伝えられるようなカリキュラムにしていただいて、スポーツを教えるプロと、あるいは、そういう専門家である以上、それが障害のある方であっても一通りできるというか、ある程度のことを担保するという仕組みに、これから第2期の計画にも書き込んでいただきながら進んでいくことによって、本当にいつでもどこでも誰もがスポーツを楽しめるという、本当にスポーツ基本法の目指している理念を実現する、そういう環境づくりになるのではないかと考えています。
【友添部会長】  ありがとうございました。残念ですけれども、ちょうど時間、実は30分、私の不手際で超過をしております。おわびしながら閉めの方に入ってまいりたいと思っています。
それでは、きょうはありがとうございました。日本オリンピアンズ協会、日本パラリンピアンズ協会、ラグビーワールドカップ2019組織委員会、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会からのヒアリングを終わりにしたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。
本日予定をしておりましたヒアリングは、以上で終了しました。なお、日本経済団体連合会からも、書面で御意見を頂いております。資料17でございます。後ほど御覧を頂ければと思います。
では、今後の日程につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【日比政策課課長補佐】  次回、第4回の部会につきましては、8月29日月曜日10時から、文部科学省第2講堂で開催をいたします。総会と合同で開催しまして、スポーツ基本計画のミッション、スポーツの価値についての御議論を頂く予定としておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。最後になりましたけれども、鈴木長官からまとめの御発言をお願いします。
【鈴木スポーツ庁長官】  皆さん、長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうございました。そして、部会長をはじめ、委員の皆様、ありがとうございました。
第2期のスポーツ基本計画に関しては、これまで盛り込まれてこなかったところも特に重要かと思っています。スポーツビジネスのところ、あるいは地方創生、そしてまた障害者スポーツの更なる振興ということですけれども、そういったときに、スポーツをやる場、それから組織、そして人、こういったところがそれぞれ変わっていかなくてはいけないんじゃないかなと思いました。
きょう、スポーツ推進委員の関係者もいらっしゃっていましたし、また、よく私も存じ上げなかったんですが、レクリエーション・コーディネーターといったこともある。そしてまた、今の議論にもありましたけれども、指導者として健常者も教えられるし障害者の方も教えられるような、指導者のところも、一度これから見直していく必要もあるのかなと思いました。
様々な議論を頂きまして、ありがとうございました。それぞれ盛り込みながら、次期の基本計画に反映させていきたいと思っています。どうもありがとうございました。
【友添部会長】  それでは、今日はこれで散会にします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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