参考3 スポーツ基本計画部会(第6回)議事録

スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第6回)議事録

平成28年10月14日

 

 

【友添部会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまからスポーツ基本計画部会第6回を開催いたします。皆様大変お忙しい中、御出席を頂きまして、ありがとうございます。本日は、前回に引き続きまして、また熱い議論を頂ければと思っております。第2期スポーツ基本計画における主要課題の残り課題について御審議を頂く予定であります。なお、本日は、スポーツ審議会総会から、山脇会長、上治委員、鈴木委員にも御出席を頂いております。御報告します。

 議事に入ります前に、まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いします。

【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。お手元に「議事次第」の下に資料をお配りしております。資料1「障害者スポーツの振興」から資料7「大学スポーツの振興」まで7点ございます。これらは、後ほど議題で4、5、6とありますが、議題で使う資料でございます。

 なお、参考資料ということで、これは国際競技力の強化に関係するところだと思いますが、去る10月3日に発表いたしました「鈴木プラン」を参考1としてお配りしておりますので、後ほど御参照ください。また、資料に不足等ございましたら、事務局までお申し付けいただくようお願いいたします。

 また、原田委員から資料の提供がございましたので、机上に配付させていただいております。中身につきましては、後ほど意見交換の中で委員から御紹介いただければと思っております。以上でございます。

【友添部会長】  ありがとうございます。

それでは、早速議事に入ります。本日は、次第にありますとおり、第2期スポーツ基本計画における主要課題であります、4の障害者スポーツの振興、5のスポーツを通じた国際交流・協力、スポーツ界のインテグリティの徹底。それから、6、スポーツビジネスの拡大、スポーツを通じた地域活性化、スポーツ施設の在り方、大学スポーツの振興でございます。課題ごとに御審議、御議論いただきたいと思っております。

 なお、本日は、報道関係者から、会議の撮影、録音を行いたい旨の申出がありました。許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。

それでは、第2期スポーツ基本計画における主要課題の4、障害者スポーツの振興につきまして、資料1に基づいて事務局から御説明いただいた後、各委員から御意見を頂くことにしたいと思います。

 それでは、田中障害者スポーツ振興室長、お願いします。

【田中障害者スポーツ振興室長】  それでは、資料1を御覧ください。

まず、1の現状と課題でございます。主な課題を2ポツ目に5点ほど整理しておりますので、そちらを御覧ください。障害者スポーツはいろいろ課題があると思いますが、重点的に対応すべき課題として、資料にございますように5点整理しております。
1つが、1でございます。競技力向上と違って、裾野拡大の取組は、東京都の1か所で集中的に取り組む、あるいは国レベルで取り組む以上に、地域の現場レベルで取り組む必要があるわけでございますが、そうした際に地域における推進体制がまだまだ十分でない。特にこれまで厚生労働省が障害者スポーツを所管する中で、健常者のスポーツは教育委員会等のスポーツ部局。そして、障害者スポーツは障害者福祉部局とばらばらで対応していた中で、どう連携して一体的な体制を整備していくか。そういうものが課題になっていると認識しております。例えば、国レベルでは障害者スポーツはスポーツ行政の下にスポーツ庁に一元化されたわけでございますが、都道府県レベルでは、去年までは3県、今年4県増えて7県になりましたが、スポーツ庁のように障害者スポーツをスポーツ行政の下に一元化しているのは、都道府県レベルでも47分の7にとどまっているという状況がございます。

 2番目でございますが、※にございますように、スポーツの場については、全国で民間の施設も含めましてスポーツ施設と言われるものが22万か所ございます。その中で障害者専用又は優先的に使用できるスポーツ施設は114か所という状況でございまして、スポーツの場も課題として掲げられます。

 3点目、マル3は子供たちの環境でございます。特別支援学校においては、運動部活動が健常者の小中高等学校に比べて設置率が少ないという状況がございます。また、小中高等学校に在籍している障害者の体育が見学に留まるなど、質的な面でも課題がございます。そうした学校教育における障害児のスポーツ環境を3点目に掲げてございます。

 そして、4点目でございますが、健常者以上に障害者のスポーツのためには、人的サポートが不可欠であるわけでございますが、指導者やボランティアは十分ではないということを掲げています。

 5点目でございますが、こちらのパラリンピアンズ協会の先般の調査にもございますように、車いすの使用などにより施設の床に傷が付くなどの理由としてスポーツ施設の利用が断られるなど、障害者スポーツに対する社会の理解あるいは協力が十分でないということがございます。
そうしたことから、障害者の週1回以上のスポーツ実施率は、現状21%にとどまっております。特にその下の※にございますように、成人で比較しますと、成人全般が40%に対して、障害のある方は約20%、約半分になっております。それ以上に深刻なのは、今回新たに若者だけで数値を拾ってみました。そういたしますと、若者全般は75%。これは、子供たちは体育の授業がありますので、体育の授業以外で週1回のスポーツ実施率を調べております。若者全般が75%に対して、障害のある子供たちは31%にとどまっておりまして、成人以上に子供たちの中での差が広いことも明らかになっております。

 次の3ポツ目でございますが、課題の検討に当たっての留意点を以下、1ページから2ページにわたりまして4点ほど挙げてございます。

 まず、マル1でございますが、スポーツ実施率の向上につきましては、健常者もそうでございますが、今スポーツをやっている方をアシストするだけでは十分ではなく、今スポーツをやっていない方あるいは無関心層への対応が必要でございます。そうした観点からいきますと、障害者スポーツ団体のみならず、障害者当事者団体あるいは社会福祉関係者との連携が重要でございます。

 スポーツ庁では参考資料2にございますように、今言ったような観点から、障害者スポーツ団体だけではなく、障害者当事者団体8団体との意見交換も実施いたしました。その結果を参考資料2に付けておりますので、この審議に当たって御参照いただければあり難いと思っております。

 また、参考資料2は、資料の関係上、概要のみでございますが、詳細な議事録も作っておりますので、参考になられたい方につきましては、事務局まで御連絡いただければ、障害者当事者団体8団体との意見交換の全体の詳細な資料を提供させていただきますので、よろしくお願い致します。

 そして、マル2でございます。この後スポーツ施設についても御審議を頂くわけでございますが、障害者スポーツの取組については、ハードの上にソフトの取組が特に心のバリアフリーを含めて求められております。ただ、基盤といたしましてバリアフリー化などのハードの部分も必要だということを掲げております。

 3点目で、参考資料3に掲げてございますように、過去のパラリンピックがスポーツのみならず社会変化をもたらしてきたことも踏まえまして、スポーツの振興のみならず社会変化という観点からも検討することが必要であるということを掲げております。

 4点目といたしまして、一般的なスポーツ振興政策と別に特化して障害者スポーツ振興方策を検討して取り組むことが不可欠という意見がある一方で、一般的なスポーツ振興方策の中で取組を進めるという意見もございまして、そうした中で障害者スポーツという名称や概念も含めて、あるべき姿を見据えた検討を行うことが必要としております。

 その上で、飛んで恐縮でございますが、3ページを御覧ください。

 まず、先ほどの留意点の4につきましては、3ページの真ん中辺りの※でございます。これはパラリンピアンズ協会の河合会長からも意見があったところでございますが、あるべき姿といたしましては、将来的には高齢者や女性のスポーツなどとも連携して、例えばアダプテッド・スポーツなどの概念の導入も含めまして、健常者と一体として推進することが望ましいと考えています。ただ、現下の課題を踏まえますれば、パラリンピアンズ協会からの意見にもございましたとおり、障害者スポーツに特化した取組として基本計画に記載していくことが必要かなと思っています。障害者スポーツに特化して記載するのであれば、そのための目標値、KPIというものを様々掲げて取り組むことが必要ではないかということで、上の矢印にございますような目標値、それから、2にございますような各施策の方向性に基づく目標値を掲げて、3にございます具体的な取組を推進してはどうかと考えております。資料につきましては、見ていただければと思います。時間になりましたので、以上で説明を終わらせていただきます。

【友添部会長】  ありがとうございました。

それでは、御意見をお願いします。

増子委員、どうぞ。

【増子委員】  福島県障害者スポーツ協会の増子と申します。

 障害者スポーツの振興について、現場からの意見ということでお話をさせていただきます。このスポーツ推進計画の中の障害者スポーツについて中身を見ますと、本当に重要で、今後、現場としても非常にやっていきたいという意欲は十分あります。ただ、組織の体制の中で、スポーツ体制に一元化ということで、本件も障害者スポーツの方が今年度より移管されまして組織の変換を行いました。変換は行いましたが、中身については人員が、障害者スポーツ協会でいうと専任職員が1名、臨時事務員と経理がいるのみにとどまっております。今年度大学を卒業して障害者スポーツを専門で学んで私どものところに来てくださった学生がいるのですけれども、その方も臨時事務補助員という形で、優秀な人材で経験も豊富で知識も持っているにも関わらず、就職先としては正規の職員としては雇用されていない状況があります。この全ての事業に関して現場としては具体的なアイデアもたくさんあります。総合型やほかの団体との連携など、いろいろとアイデアは浮かぶのですけれども、総合型も連携先も含めて組織の体制がまだ十分でないというお話もこの中で何度か伺っています。移管するだけでなく、障害者スポーツの体制の強化、組織の強化も含めてお考えいただければ、その整備を整うことで多くの障害をお持ちの方がスポーツの機会を得ることができ、広く社会に出ることができますし、ここではスポーツに関係ないかもしれないのですけれども、就労につながることにもなりますし、ここにある事業計画というか課題も多くのものがクリアできると現場では思っています。是非この中にももっと具体的な現場サイドの体制の強化を検討して盛り込んでいただけたらと思います。

以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。いかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】  障害者スポーツ協会の高橋でございます。

 この資料についてはよくまとまっていますし、課題認識も私どもと同じであると思っております。そうした意味では原案を補強するという観点から、大きく2点意見を申し上げたいと思います。

 1点目は、国・中央レベルにおける障害者スポーツの競技力の向上について補強させていただきたいと思います。

 2点目は、スポーツに取り組むきっかけづくりとしての地域における障害者スポーツの充実について申し上げたいと思います。

 まず、1点目の国・中央レベルにおける障害者スポーツの競技力向上でございますけれども、スポーツ行政の一本化に伴いまして、NTCの共同利用をさせていただいておりますし、専任コーチ制度も導入していただきましたし、アスリート支援、医科学サポートなど、本当に健常者と同じようなレベルで、特にパラリンピック種目においては、相当意識していただいて、健常者レベルに近付けようという、また、同じようにしていこうということをしていただいていることに、感謝を申し上げたいと思います。

 したがいまして、今後についてはまだオリ・パラ同じレベルとはいっていない部分もありますので、一刻も早く同じレベルでさせていただく努力を更に続けていただくと同時に、課題としてはパラリンピック種目ではない種目については、まだまだ過去の経緯を踏襲しているところも多いわけでございますので、パラリンピック種目から先行していくことについては賛成でございますが、次いでパラリンピック以外の競技力向上についても御配慮賜れればあり難いというのが、1点目でございます。

 2点目、大きな2点目のスポーツに取り組むきっかけ作り、契機としての地域における障害者スポーツの充実について、でございますが、ここの資料にも幾つも課題がありますが、そのうち私は本日、2点申し上げたいと思います。1つは、学校教育における環境整備。もう一つは、保険システム上でリハビリ期間の延長をお願いできないか。この2点について若干補足をさせていただきます。

 まず、学校教育における環境整備はこの資料に書かれているとおりでございまして、特別支援学校では今後やらなくてはいけないのは更なるスポーツの充実でございますけれども、それ以上に問題なのは一般校でございまして、御指摘のとおりに車いすや義足の子供たちで一般校に行っている子供が、学校の体育の授業を見学しているというのは、ここに書かれているとおりでございます。したがって、この子供たちのスポーツの権利を守るためには、先生方の御指導という視点でいろいろ強化をしていただいて、先生たちは多分安全面の配慮などが必要なので、悪い意味ではなく、本当はスポーツさせたいのだけれども、いろいろな心配があるから「ちょっと見ていてね」となっていることを解消すると同時に、競技用の車いすとか、義足がないと、体育の時間に参加しても補助道具がないと実際上できないわけです。競技用車いすとか義足を子供たち個人個人に保険制度の中で貸与できればベストですが、子供はだんだん成長していきますので、それが無理なら地域レベルのレンタル制を導入して、子供たちも体育でレンタルの競技用車いすや義足を使って体育ができるという配慮もないと、先生だけが一生懸命指導法を勉強していただいてもなかなか現実化しないということを一点申し上げたいと思います。

 もう一つは、特に車いす競技などは典型で義足もそうですが、以前は保険点数の適用期間が後天的な障害を持った者に関して、リハビリセンターでしっかりリハビリをして、最後体育まで、スポーツまでできるようになってから、年数では2年ぐらいかけて社会復帰でき、スポーツもできるようになってから退院した。したがって、退院したときにはスポーツは車いす、例えば、バスケットとか、経験者ですからそれを活かせた。ところが、社会保険料の増大を少し抑えていこうということで、だんだん入院期間が短くなって、今、ほぼ半年ぐらいの入院期間しかないので、スポーツまでいかずに、はい、退院おめでとうございますと言って出る。そうすると、スポーツをやるタイミングとか場がないまま社会に出ていくので、退院して1からスタートというのは非常に大変だと。そういう意味では一番具体的には保険点数期間の適用期間の延長があり難いのですが、これは予算の関係もあって、仮に完全にいかないとすれば、自己負担増でもいいから点数期間、保険期間の延長を併せて考えていただけないか。つまり、後天性の障害者に対し、入院期間を少し伸ばす方策、自己負担増も含めて検討いただくことはどうかということを御提案申し上げて、以上、大きく2点についての補強意見とさせていただきます。ありがとうございました。

【友添部会長】  ありがとうございました。具体的な御提案を頂いております。ほかにございますか。よろしいでしょうか。障害者スポーツの構図化と大衆化を含めて、今、御議論いただいています。結城委員、どうぞ。

【結城委員】  ありがとうございます。基本的なことを1つ差し上げられればと思っています。

 高齢者スポーツ、女性とともにアダプテッド・スポーツ、非常にいい御視点だと思います。こういった、なかなかやりにくい、社会的にも参画をしにくい、ここの垣根をどうやって取り除くか。これが鍵だと思っております。日本の社会というのは、なかなかここまでやり続けてきたことを踏襲する、若しくはリスクをなかなか取りにくい、変化を生みにくい社会なのかもしれないという気がいたしまして、せっかくスポーツ基本法ができて、「スポーツすることは皆さんの権利です」という条文が一文入りましたものですから、ここの精神をもう少し前面にお出しになられて、そういったことを進めることが非常に重要なのですよという後押しをされたらいかがかなと思います。例えば、イギリスの場合に、スポーツイングランドのガイドライン、スポーツ施設を造るガイドラインの中で、障害をお持ちの方、車いすで来る、施設を使えない。障害があるのは、実は施設の方なのですよ。その方ではないのです。施設に障害があり、それは人員であり、若しくは施設そのものであり、若しくはそこでの工夫が足りないから、その方がスポーツをできないと捉えて、施設の方を整備していってくださいという条文、ガイドラインがございます。それが大きなテーゼになっている。我が国としてもこれからの10年を見据える訳でいらっしゃいますから、その辺りをもう少し前に出されて後押しされていかれたらどうかと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。和久委員、どうぞ。

【和久委員】  総合型地域スポーツクラブの中でも、障害者が参加できるようなプログラムを用意している事例もあるようです。しかし、そうした受け皿を作ってはいるけれども、障害者の参加は少ないという実態があるようです。障害者のスポーツ参加に関する情報をきちんと届けるような仕組み、特に障害者の健康の維持・増進におけるスポーツや身体活動の必要性の理解促進に関する情報を確実に障害者に届け、スポーツへのアクセスを容易にする仕組みづくりを確立させていく必要があるのではないかと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。上治委員、どうぞ。

【上治委員】  ハード面は非常に充実した内容になっているのですが、1つ、障害者の方をサポートすることの啓蒙・啓発活動を盛り込んでいただければと思います。例えば、リオで非常に感じたのですが、階段のところを家族ではなくても、バリアフリーのそういう施設がないところを、周りにいる方がごく自然に車いすをみんなで持ち上げて観客席まで運んであげるとか、そういうハード面ばかりを駅にしてもホームにしても求めるのではなくて、本当に皆さんが見た瞬間にサポートを自動的にされるような、サポートにおける啓発・啓蒙活動も盛り込んでいただければと思います。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。ほかにございますか。心と物の両面でのバリアフリー化をやっていかなければいけないということかと思います。いかがでしょうか。どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  私ども日本トライアスロン連合は、健常者と障害者を全て同じフィールドで、普及と強化をやらせていただいています。これによる効果は、障害者の方がトライアスロン競技をやってみようという形で少しずつ増えてきているところに明確に表れています。指導者とかスタッフ、ボランティアも、健常者の指導者、スタッフ、ボランティアそのまま、障害者の方のサポートができるという利点もございますので、選手強化の面も同じですけれども、この普及の面においても健常者スポーツとの融合を国、中央、地域それぞれでもう一度見直してはいかがかなと思っております。

【友添部会長】  ありがとうございました。指導者の問題に話がいっておりますが、よろしいでしょうか。健常者スポーツと障害者スポーツの指導者は分ける必要はないのではないかということだと思います。桑田委員、どうぞ。

【桑田委員】  桑田です。総合型で先ほど御指摘がありましたように、障害者スポーツをやっているクラブあるいはやろうとしているクラブ、あるいは、行政とのことでやらなければいけないとか、考えているクラブは幾つもあります。私のところもそうなのですが、いろいろ模索しておりますが何処にどのようなアプローチをしたら良いか、きっかけとかフックがどうもよく分かりません。私は東京におります、区内の小中学校のオリパラ教育の一環でも、指導者を派遣してほしいとか、選手を授業に派遣できないかとの相談を受けます。私のところに個人的に来ます。それはそれでいいのですけれども、私も対応に苦慮しております。どうもその辺が先ほどどなたかが言われた、体制的にきちんとした組織として回っていないのではないか、回り切れていないのではないかということを非常に思っておりますので、そこは体制強化という意味で情報の共有化あるいは指導者バンクなども含めて是非整理をしていただけると、現場としては非常にあり難いと思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。有機的な好循環を誰が作るかという問題提起かと思います。いかがでしょうか。ほかに御意見ございますか。田中室長、今出ているお話の中で何かございますか。

【田中障害者スポーツ振興室長】  頂いた御意見を踏まえて検討していきたいと思っておりますが、パラ以外の種目につきましては、そもそも現状として、特別支援学校の子供たちについては、中体連や高体連、高野連のような組織がありません。例えば、パラリンピックや、知的障害であればスペシャルオリンピック、ろうであればデフリンピックとありますけれども、日本一を目指すような大会もないというのは事実です。高校野球ですとか高体連、あるいは文化もそうですけれども、高文祭のようなものが、特別支援学校、障害のある子供たちにはないという現状がありますので、要は日頃の成果を全国的に発表あるいは競う場がない。それは2020年の東京パラリンピックでの選手発掘についても世界一を目指す前に日本一を目指す場が子供たちにないので、そこら辺が課題かなと思っております。

 今年、ボッチャ協会がボッチャ甲子園という、特別支援学校の子供たちを対象に初めての全国的な大会を開催いたしました。競技一辺倒というのはどうかと思いますけれども、そういった子供たちが世界一を目指す前に日本一を目指せるような取組を、文部科学省では初中局と文化庁も連携してスペシャルプロジェクト2020という取組を、これからする予定でございます。先ほどの目標値の中でも2ページに、今、特別支援学校の生徒をはじめとした、障害のある子供たちが日頃の活動の成果を披露できる全国的なスポーツイベントを、今、1大会しかないものを20大会以上目指すというものも入れております。そして、目標値も定めながら、ほかのものも含めて推進していきたいと思っておりますし、特に障害者スポーツが厚労省から文科省に移管する中で、文科省の一番の資産は学校でございますので、先ほどのように、子供たちが健常者と比べてスポーツを実施していないというのが障害者の方は課題になっておりますので、それを子供たちの方に重点を当てて取り組んでいきたいと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。御意見ございますか。増子委員、どうぞ。

【増子委員】  体育施設に関してですが、前回、前々回とヒアリングした際に、関係団体の障害者に対する、総合型であればクラブマネージャー、体育施設であれば障害者が利用するに当たっての注意、若しくは理解といったことが研修会の講習のマニュアルに設けられているかということをお聞きしましたら、ほかのスポーツ推進委員等、レクリエーション協会等は盛り込まれていましたが、総合型のクラブマネージャー研修会と体育施設の方はお答えいただけなかったと思うのですが、盛り込まれていなかったというのもあります。総合型も障害者スポーツにこれから関わるというか、そういった子供から高齢者、障害者までと謳っていますので、障害者に関しての講習会はクラブマネージャーがしっかりと受ける必要があると思います。体育施設に関しても、体育施設において車いすが利用した際にどれだけ傷がついて、それを補修するのに、例えば、ワックスとか、ポリッシャーなどをかける業者が入ってどのくらい掛かるかというのは、ほかのところで分かっていると思いますので、そういったことも含めて具体的な内容をマニュアルの中に入れていただくなど、そのような理解促進に努めるような講習をしていただきたいと思います。まずは、知らないというところから、この障害者スポーツの普及が滞っている部分が地域の方でもありますので、そうした全国的なもので浸透させていただきたいというのが1つです。

 あと、特別支援学校、体育のお話が今出たのでお聞きしたいのですが、全国には高体連、中体連、小体連まであると思うのですが、全国的に特別支援学校体育連盟というのはかなりの数できていると思います。それは全県に設置するものなのか、それとも、例えば、高体連のように全国的に設置しなければいけないという決まりがあって設置されているのか。私は勉強不足で分からないのですが、特別支援学校体育連盟もそうしたやっているところとやっていないところがあるのですが、これを全国的に統一してスポーツの推進を特別支援学校で推進しましょうという、先頭を切っていくような体制は難しいのかなと思っています。それができれば特別支援学校の中で、全県下で共通意識の下で進めていけるのではないかなと思っているのですが、その辺はどのような感じになるのかなと思って、今、お聞きしながら言いました。

【友添部会長】  小体連、中体連、高体連は民間団体ですので、義務的にこれを作らなければいけないということは法的に担保されるわけではないということが1点。田中室長、いかがでしょうか。

【田中障害者スポーツ振興室長】  友添部会長から話がありましたとおり、中体連、高体連、あるいは特別支援学校についても、県によっては体育組織があるのは事実です。ただ、全国的に束ねるような組織が中体連、高体連のようにあるかというと、ないということでございます。中体連、高体連も何らかの義務付けで作っているわけではなくて、彼らは自主的に作っているということでございます。さらに、特別支援学校の体育の連盟につきましても、その設置を国が義務付けるのは難しいと思っています。ただ、そうした取組を国として支援していく、あるいはムーブメントを作っていくというのはできると思っておりまして、それがまさに今、文科省で取り組んでおりますスペシャルプロジェクト2020で、それを、東京パラリンピックを契機としてやっていきたいと思っております。そのスペシャルプロジェクト2020には、全国特別支援学校長会にも加わっていただいておりまして、その全国特別支援学校長会に、「みんなでスポーツ委員会」というのを新たに作っていただきました。つまり、これまで全特長という組織には教育や文化などの委員会はありましたが、スポーツに関する組織がございませんので、そこを全国の特別支援学校の校長会にスポーツに関する委員会を新たに作っていきました。まだ作られたばかりですので、取組は緒に就いたばかりでございますが、それを国としてもスペシャルプロジェクト2020の取組を通じて全特長と連携して、そういった単なるイベントだけではなくて、地域においても高体連や中体連等の組織ができるようなことも視野に置きながら取り組んでいきたいと思っております。

【友添部会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。

【増子委員】  はい。ありがとうございます。

【友添部会長】  境田委員、どうぞ。

【境田委員】  障害者スポーツ団体のガバナンスの強化の点ですけれども、今は赤坂見附の日本財団のビルに障害者スポーツ団体、特にパラリンピックの団体が30近く集まって、そこで重要なのはバックオフィス業務を共通化しているということです。本来であれば各団体それぞれに税務とか会計とか本部の人とか総務の人、通訳の人を雇わなければいけないのを共通化しているということで、各団体の財政的な負担が楽になっているわけです。これは暫定的な措置ということで今進めていますけれども、たまに行って見ていると、すごくこれは機能していると思っています。1つのフロアに多くの団体が一緒に活動することによって情報の共有が図られるし、問題点も一緒になって解決していくという、これは非常にすばらしい取組だと思います。これは、本当はずっと続いてほしいのですけれども、なかなかそううまくいかないかもしれないですよね。だから、こういった体制をずっと今後も続けていくことが重要なので、いろいろと知恵を絞って、こういう体制を継続していただきたいと思っています。

【友添部会長】  ありがとうございます。田口委員、どうぞ。

【田口委員】  学校教育における障害児スポーツ環境の充実の中にいろいろな理解とか、特別支援学校のことは書かれているのですけれども、大学においても是非選手の強化とか、研究、パラリンピック、障害者スポーツの研究の促進をしていただきたいのです。現在、水泳や陸上などでは体育大学などで一般の学生に交じって部活に励んでいる選手はいるのですけれども、例えば、車いすの選手がまだいなかったり、そういう意味でも障害者の競技スポーツ課程を体育大学に設置していただいて、競技スポーツを目指す選手たちのバックアップとか、強化対策とか、障害者アスリートを指導する体制を根本的なところから構築していただきたいですし、そういうものを盛り込んでいただけたらと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。貴重な御提案です。残念ですが、次の議題に移ってまいりたいと思います。

 続きまして、5番目、マル5のスポーツを通じた国際交流・協力、スポーツ界のインテグリティの徹底につきまして、資料2、3に基づきまして事務局から御説明を頂いた後、各委員から御意見を頂くことにしたいと思います。

 それでは、今泉国際課長、それから、民間スポーツ担当の由良参事官、お願いします。

【今泉スポーツ庁国際課長】  それでは、資料2を御覧ください。資料2の1ページ目、上段の丸について、でございます。スポーツの国際交流・協力については、スポーツ基本法において、国際相互理解を促進し、国際平和に大きく貢献するなど、我が国の国際的地位の向上を、重要な役割を果たす。ただ、ここの部分について、これまでIFへの役員派遣とか、国際競技大会の招致等行ってきておりますけれども、そこにいるだけ、やるだけではもちろんだめで、その中で具体的な中身のある活動をすることが重要です。

 では、その国際的地位の向上のために中身のあることとは何かと言うと、それは国際的な共通課題の解決でございます。今、国際的な共通課題としては、大きく3点あると思っています。1つは、平和で持続可能な社会の構築。2つ目は、インクルーシブな社会の構築。そして、3つ目にフェアな社会の構築と考えています。これらの3つのことをどう対応していくのか、これを果たしてこそ国際的な地位の向上が果たせると思っています。

 もう一つ、この国際的な交流・協力について課題があります。それは何かと言うと、国際的な対応だけでいいのかという問題です。きちんと国際的な対応を国内に還元し、その国内の課題を解決していくこと。国内の取組を国際的な場面に還元し、国際的な課題を解決していくこと。そのスパイラルが重要だと考えております。その観点で足りないものは何かと言うと、一言で言うと情報流通です。そして、この情報流通を成立させるために足りないものというと、4点あると思っています。1つは、情報の収集・発信。2つ目が戦略。3つ目が、 人と体制の基盤強化。そして、4つ目にネットワーク構築です。その観点で課題を整理させていただきました。

 まず、現状と課題の1、情報収集・発信について、でございます。これまで、先ほど申したとおりIFへの役員派遣、国際競技大会の招致、国際大会への参画を行っておりましたけれども、まだ十分ではございません。そういう意味で情報収集・発信能力を向上させる必要があります。

 2つ目、戦略でございます。これまで二国間協定又はSFTを通じた交流活動をやっておりますけれども、これも各国からの要請に応じた対応になっておりまして、必ずしも戦略に基づいているわけではございませんでした。

 2ページ目を御覧ください。3番目の人と体制の基盤作り。御存知のとおり、各NFにおいても、国際業務については頑張っておりますけれども、何せ人と体制強化については、まだ支援が必要です。

 そして、4番目、ネットワーク作りです。いろいろな情報がございます。ただ、その情報がきちんと連結されていない。マッチングされていないという課題があります。そういうネットワーク作りが課題と思っています。そういう意味で施策の方向性としては、今後国際レベルでスポーツの力を通じてインクルーシブな社会、持続可能な社会、そしてフェアな社会を実現していくことをしていきたいと思います。それだけではなくて、この国際的な取組をきちんと国内的な目的に還元させて、そのスパイラルでこの国際と国内を回していく。これをやっていきたいと思います。その意味で、施策としては情報収集・発信のために国際スポーツ界への参画を様々なレベルで促進していきたいと思います。

 また、これまで行ってきたバイ・マルチのスポーツ交流を、戦略的・計画的に行ってまいりたいと思います。そして、これらを達成するために、各関係機関の基盤強化をするとともに、ネットワーク、情報共有をしていきたいと思います。

 最後、3ページ目を御覧ください。具体的な施策でございます。

 まず、情報収集・発信について、でございますが、これまでもやってきているところでございますけれども、IFへの役員派遣だけではなくて、人材の発掘、オールジャパンでのロビー活動も強化していきたいと思います。国際競技大会については、国際的な情報と国内の情報をマッチングして、戦略的な競技大会の招致開催に努めていきたいと思います。先ほど話した国内の目的への還元という観点では、例えば、地方公共団体とつながってスポーツツーリズム又はスポーツ産業と合わせていくことも取り組んでまいりたいと思います。

さらに、国際会議への参画促進として、アジアを中心として政府間会合を開催し、国際機関への派遣を行ってまいりたいと考えています。

 2つ目の戦略的・計画的な取組について、でございます。今、アジアの話をいたしました。先日、日中韓のスポーツ大臣会合を初めて開催いたしましたし、来年には日中ASEANのスポーツ大臣会合を初めて開催いたします。このように、アジアを今後戦略の中心に据えていきたいと考えています。その上で、「スポーツ・フォー・トゥモロー」や国際競技大会を通じてマルチとバイの活動を進めていきたいと思います。特にこの中でスポーツ・フォー・トゥモロー事業が大きなコアです。これが2020年だけではなくて、2020年以降も存続し続けるような仕組み作りをしていきたいと思います。

 3番目が、人と体制の基盤作りです。ここについては、まず何よりも情報共有のシステムを作る必要があります。また、海外拠点を持っているわけではございませんので、その海外拠点の設置強化を行ってまいりたいと思います。国際人材の育成のために、計画的・横断的なキャリアパス、人材バンクの創設もやってまいりたいと思いますし、また、IFの国際担当の方々への相談窓口もやってまいりたいと思います。

 最後、ネットワーク作りについては、官民のパートナーシップに基づきまして、国内関係機関の情報連携のプラットフォームであるスポーツ国際戦略連絡会議をやってまいりたいと思います。以上でございます。

【由良参事官】  資料3番に基づいて御説明いたします。スポーツ・インテグリティでございます。「インテグリティ」という言葉を基本計画で使っていこうとするのは今回初めてで、高潔さ、品位等の言葉でございます。国内的には資料の頭から2行目、違法賭博、違法薬物等の問題、暴力、体罰の問題。それから、国際的にはドーピング、八百長等の問題が、スポーツ・インテグリティの広くカバーされている課題として掲げられております。これまでそれぞれの分野で取組を進めてきておりますので、個別に見るとかなり対策も進んできていて、資料1ページ目の中段に種々書いてございますけれども、こういったことを新しいスポーツ・インテグリティという考え方の下に一貫した体制で対策を講じていくことで取り組んでいきたいと考えております。

 2ページ目に移りますと、施策の方向性ということで、全体的な目標としては、こういった問題点の根絶をすることを目指すのが取組の目標になりますけれども、そのために効果的な対策は何だろうかということで整理をしてまいりたいということでございます。2ページ目の下に「具体的な取組」とございますが、できるだけ横断的な取組にしていきたいということで、立てつけを組んでおります。

 マル1番、選手、指導者など個人に向けた取組として、研修・教育プログラムを推進するということを基本にいたしております。各団体、統括団体あるいは国全体としても取組を進めていきたいと思いますし、コーチあるいは指導者全般に考え方の周知を図っていくことも重要でございます。

 2番として、スポーツ団体の取組でございます。スポーツ団体の取組が十分に行われることによって、個別の選手に対して、あるいは、指導者に対しても考え方が徹底されるということで、団体のガバナンスにも関わってまいりますけれども、そういった取組がしっかりと行われているかどうかについて、NF単位あるいはそれを束ねる形で評価指標を作っていきたいと考えております。評価指標を作った上で各団体がみずから行うべき取組ができているかどうかについて、モニタリングをしていくという取組でございます。仮に十分な取組が行われていない場合には、国としても支援あるいは助言といったことで硬軟両面から取組の促進を図っていくことが重要かと思いますし、3ページ目の頭1行目にありますように、各団体の組織運営の基盤である人材、財務の強化を支援することも大事であると考えております。
 それから、マル3番として、国際的なスポーツ・インテグリティの保護に関する動向把握にも意を用いていきたいということでございます。

(2)アンチ・ドーピングについては、先ほどの研修やモニタリングはもちろんでございますけれども、特に個々の選手に対する検査の部分で特化した取組が強化されておりますので、そういった面で特出しで掲げておりまして、2020年大会に向けて大きく、ドーピング検査の検査員を多数育成していかないといけない。それから、最新の検査手法の研究開発を進めていく。いたちごっこにならない取組を日本の技術力で実現していく取組を進めたいということでございます。

 2つ目、3つ目、4つ目、情報連携、教育啓発、WADAをはじめとした国際的な取組といったところで、取組を進めてまいります。

 この(2)のアンチ・ドーピングについては、今泉課長の御担当の部分でございますが、資料の立てつけ上、私が一括して御説明させていただきました。

 それから、(3)紛争解決に関する取組で、仲裁機構の取組を更に促進してまいりたいということでございます。以上でございます。

【友添部会長】  ありがとうございました。国際交流とインテグリティの問題であります。御意見いただければと思います。久木留委員、どうぞ。

【久木留委員】  3つお話をさせていただきたいのですが、まず1点目のスポーツを通じた国際交流と協力について。この点で、ここで再三議論されているように、2020年東京大会の前後を見据えた計画にしていくべきだろうと。ここは一番大きな点だと思います。つまり、2020東京大会は終わってしまいますが、その後も様々な取り組みは続いていきます。そのことを踏まえたときに、この中に是非持続可能な開発目標を入れて頂きたい。これまでのミレニアム開発目標が昨年書き換えられました。IOCではもう既にレポートを幾つか出していますが、ただ、数枚の短いものです。世界を垣間見ると、コモンウェルスが実際にスポーツを通して6つの取組を明確に示しています。このことを日本はしっかりと書いた上で進める必要があります。2020東京大会は、世界中が注目しています。その中で、日本が策定するスポーツの基本計画は違うなというところを示すことが、日本のプレゼンスを示すことになるだろうと思います。これが1点目です。

 2点目は、先ほど境田委員からもありましたけれども、レガシーとして何を残すかとしたときに、明確に計画の中にスポーツ・フォー・トゥモローの継続について書くべきだろうと思います。イギリスでは、「インターナショナル・インスピレーション・プログラム」というのが、実際に行われて、これがSFTのモデルになったわけですけれども、これをスポーツイングランドと実際にユース・スポーツ・トラストというチャリティー団体の中にしっかりと事業として根付かせています。では、このことを日本はどこに置いていくのだろうか。予算付けも必要になると思います。

 もう一つ大事な点は、レガシーという点で、実際に私たちは2019年のラグビーのワールドカップもあります。2020東京大会もあります。そこで働いていらっしゃる組織委員会の人たちを次にどうするのだろうかという点も含めて、これら3つをトータルで継続性を考えていくべきだろうというのが、このスポーツ交流協力についての私の意見です。

 最後にスポーツ・インテグリティについてですが、インテグリティの中にアンチ・ドーピングの問題がありますけれども、2016年のIOCやIPC、WADAの問題を考えたときに、アンチ・ドーピングの問題というのは、1つ特出しをした方がいいのではないか。それが日本のプレゼンスを示すときにものすごく大きな点になってくるだろうと思います。その点からJADAの主体性をどう書き込むかということが大きなポイントになるのではないかなというのが私の意見です。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。2020を見据えるべきだという御提言だったと思います。田中委員、どうぞ。

【田中委員】  国際交流・協力について1点と、インテグリティについて1点です。

 1998年からIF、国際水泳連盟のアスリート委員をやっております。ですので、これを日本として出してくださることは大変あり難く、是非この中でも特にやっていただきたいと思うことがありまして、それが共通課題と言ってくださった部分で、サステナビリティとインクルーシブとフェアネスと言っていただいたかと思います。これがもちろん共通課題なのですが、この共通課題をIFの委員がIFの会議に行くときに、日本のスタンスとしてはこうなのだということ、日本人としての共通課題を事前に知っておくことは、もちろん、本来IFの委員になるときに日本をアピールするということをするべきではないのですが、ただ、日本人としてせっかくその機会を得ているわけで、もちろん、例えば、国際水泳連盟のアスリート委員をしているときに大事なポイントとしては、水泳というもの自体を世界に広めること、そして、スポーツというものを広めることという大きなこの2点を、日本人としてどう感じるかということが国際貢献につながっているわけなのです。そのときに少し左の後ろの方に何となく置いておきたいのが、日本はどうしているのか。日本は実はどのようにしていきたいと思っているのか。これはもちろん、ルールを決めるときにもそうですけれども、水泳のルールなどを決めるときは今、鈴木長官が日本水泳連盟でアスリート委員を国内でも入れまして、そこでのルールなどの協議はできるのですが、日本としてということを、日本のIFに参加しているほかの競技の皆さんと交流する場面が今までありません。そんなところを作っていただけると、横串でいろいろな情報交換ができながら、IFに進言しに行くことができるかと思うので、そこだけ特に、もちろん御承知かと思いますが、よろしくお願いします。

 あと、インテグリティの方です。資料3を読ませていただく限りでは、ここでわざわざ「スポーツ・インテグリティの保護について」という言葉にしてしまって良いのかというところを感じる理由は、インテグリティは余りに大きくて、まだ定義が難しいと言われたりする中で、健全性のところだけをフォーカスするのであれば、健全性というところだけでアンチ・ドーピングの特にここは、少し久木留委員と重なる意見になるかもしれませんが、インテグリティと言ってしまうと、もっと違うところをフォーカスしなければいけなくなる。これが健全性というところを特にフォーカスしてやっているのだと言った方が、世界で日本が今何をやっているのかということを訳してもらうときに、インテグリティ、アンチ・ドーピングと言ってしまうと、そこだけにフォーカスするのですかという質問になったときに、ではどう解釈するのかというのがあるので、この言葉を少し検討していただく必要があるのではないかと思います。健全性だけではないので。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。ごもっともな御意見かと思います。境田委員、どうぞ。

【境田委員】  2011年スポーツ基本法ができて、その中に公平さとか公正さとか健全さが謳われたのはすごく重要なことだと思っていまして、それを体現するために、これから実現するために、インテグリティという概念を新たに設定されたのは、すごくすばらしいことだと思っています。それで、こういったインテグリティの実現というのは、1つは予防ですね。これは非常にいいと思うのですけれども、1つは、事が起きたときです。そういった事件が起きたり、告発があったり、何か起きた後の処理が実はものすごく重要で、ここのデュープロセスをしっかりと構築していくことが重要です。まず、事前にきちんとどういったことをしたら、どういった処罰や制裁があるのかということを明確に示す。そうでないと、その時の権力者の判断で追放ということになりかねないですから、事前にきちんとルールを示す。それから、公平・公正な調査を行うということです。その段階で被疑者の調査を徹底的にしようとすると、疑われている人の人権侵害、プライバシー侵害、個人情報保護の侵害といったことが起きやすいのです。だから、そこのルールをきちんとするということです。それから、当然ながら訴えた被害者の人権もきちんと守るということです。絶対に起こしていけないのはえん罪で、そのためにきちんと不服申立手続なども整備するなど、そういったところをきちんと取り組んでいくことが重要です。これを各競技団体に全部やりなさいと言っても、なかなか大変なのです。ですから、そこを何とか、国なのか、JSCなのか、スポーツ庁なのか、そういったところをきちんと、もう少し各競技団体が推進しやすい体制を示していくことが重要かなと思います。

【友添部会長】  体制整備をどうするかということかと思います。結城委員、どうぞ。

【結城委員】  ありがとうございます。インテグリティ、すばらしいです。ただ、この中で拝読すると、スポーツの関係団体、組織といったものに向けてのものであるように読まれてしまいかねないと思います。インテグリティというときに、なぜそれが大事なのか。なぜそれを行うことが大切なのかといった共通理解があって、そこからスタートしないといけないような気がいたしまして、それこそ友添部会長、このスポーツそのものというのが人間形成であるとか、社会に与える本当の影響力は何だと、その価値は何だ。それが高まってきているからこそ、それを守るためにガバナンスもインテグリティも必要になるのだと、この論理を国民皆様で共有していただくことが教育にもなり、選手、親御さんの話にもなり、選手そのものがジュニア時代から当たり前として育っていくための素地にもなり得ると思います。そこの呼び掛けの部分、基本概念といったところを是非盛り込んでいただきたいと思います。

 あと、短く2点。この賭博ですが、昨今、ネットを通じた、公に認めていられない形でのネット賭博、ネットの賭け事が非常に増えてきて、この間リオのオリンピックで初めてオリンピック選手でそれを行っていた者が見つかりました。賭博と言いますと野球であるとか、バドミントンであるとか、そういったものに特化しているように読まれてしまいかねませんので、その辺りのこれから大きく動いてくる部分を表現的に盛り込んでいただいた方がよろしいのかなと思います。

 それから、これは多分、鈴木委員からご発言があるかと思ったのですが、最後のアンチ・ドーピングの部分、たしかに検査の技術開発とドーピングする側のいたちごっこも今、実在はいたしますが、今のフォーカスというものは、例えば、薬物を供与し、教唆する、その選手の周りの方たちに法規制であるとか、情報であるとか、当局の動きにどう網を掛けていくかとか、ではその情報の探知にどのようにねらい打ちをしていくかといったところに昨今どんどんフォーカスがずれて移ってきております。選手生体パスポートも全くそういった形で、間接的若しくは反間接的な形での取締りが非常に強まっている。ここに向けても日本のある意味でどのように取り組むのかという御視点があり、そして来年大きくアンチ・ドーピング体制を世界的に改革しようという動きがございますが、この中での日本の発信力、どのように捉えていらっしゃるかというものが少しあるとすばらしいかなと思いました。

【友添部会長】  ありがとうございました。鈴木委員、どうぞ。

【鈴木委員】  鈴木でございます。

 まず1点は、このインテグリティという言葉は包括的で象徴的な言葉であると、いい言葉であるとは理解いたします。しかし、まだ少しコンセンサスが得られていないというか、不明確な部分もあるのではないかと考えておりまして、我々、アンチ・ドーピングの立場の人間からすると、アンチ・ドーピングの重要性が埋没しないかということを思っています。それは、アンチ・ドーピングがほかのものと比べまして、1つは、世界的なシステムが、検査から教育まで確立しているということです。

 それから、各国が協力して行うということも確立している点も、ほかのものと少し違うのかなという点が1点。

 それから、今、何人かの委員からも御指摘がありましたように、世界の情況を見ますと、IOC、WADAも新しいアンチ・ドーピング体制に向けていこうという流れがあります。そういうときに、まずこのクリーンなスポーツを目指しているというのは、日本のスポーツ文化の特徴の1つではないかと私は思っているのです。これを是非世界に打ち出していくことは重要でございまして、これは今、違反が少ないからいいだろうということではなくて、これをどうやって根付かせて、しかも世界に発信していくかということを是非お書きいただけたらと思っておりまして、埋没しないようにということを願っております。それが1番大きな点でございます。

 それから、実際の取組に関しまして、具体的な施策ということで幾つかお書きいただいて大変感謝しております。審議会の総会でも出ましたように、主体は何かということを明確にするということで、「国及び関係団体は」ということが明確になっていますが、これを実行していくのは唯一の国の認定機関であるJADAが入るのかなと思っています。もちろん、国のサポート、そして、JSC様の御支援等、そして各関係団体とも協力していきますが、実行主体というものも是非盛り込んでいただけるといいかなと思っています。

 それから、アンチ・ドーピングに関する取組ですけれども、先ほど結城委員から御指摘がありましたように、検査技術の開発は実際にその物質を見つけるということでございまして、現在アンチ・ドーピングの規則違反というのは10項ございます。物質の検出はその1つに過ぎません。この技術開発は重要で、是非進めることが必要であるのですが、それ以外にも幾つか先ほど御指摘になったような不正取引といった問題がございますので、インテリジェンス体制、これはほぼできつつあるということで、情報連携の仕組みの構築を図ると書いてありますが、これの実効性が重要になってくるのではないかと私は思います。それを行うには、関係する法律等の整備も、もう進んでいるのかもしれませんけれども、これが必要ではないか。

 それから、最後ですが、これも重要なことだと私は思っておりまして、価値というものをしっかり教育することが重要である。すなわち、学校教育でこのスポーツの価値教育、それから、実際にアンチ・ドーピングで言えばスポーツ医学あるいはスポーツ系の大学、そして薬に関わる医師、歯科医師、薬剤師を養成する大学等でも、教育が必要ではないかと思っています。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  それぞれ1点ずつ意見を申し上げたいのですが、まず、スポーツを通じた国際交流の場面について、今、日本人役員、職員のIF等への増加支援等行われております。私もその対象の1人ですけれども、先般、オリンピックの際に室伏さんのIOC選手委員会委員へのプロモートを国、JOCを上げて行いましたが、残念ながら成果を得ることができませんでした。

 こういう事例もある中、今、私どもが直面している問題は、IF、IOC等は何を求めているかというところがより具体的になってきているのですね。マーケティングができる人、財務ができる人、オーディットができる人、それぞれ専門性のある役員、職員が求められつつあります。スポーツが好きだから、人脈、ネットワークを持っているから、役員、委員になれるという時代ではなくなってきておりますので、役員、職員の増加のプランの部分は、より具体的な専門人材の育成につながるような形でお願いできればと考えています。

 もう一点、スポーツ・インテグリティの部分におきましては、アンチ・ドーピングの部分は特出ししていただければなという意見に賛同させていただきます。特に今、我々が考えているスポーツの価値が社会を変えられるという部分においては、まさにアンチ・ドーピングの活動をできれば中学生ぐらいから学校の授業の中に入れる。トップ選手を対象とすることではなくて、スポーツに関わる全ての子供たち、全ての人に対してアンチ・ドーピングを植え付けていく活動を、是非とも2020に向けて日本のレガシーとして世界に発信できるぐらい、アンチ・ドーピングを国の政策として教育に含めていっていただくぐらいの活動ができないかなと考えております。

【友添部会長】  今、高校の体育理論で必修になっていますので、申し添えます。泉部会長代理、どうぞ。

【泉部会長代理】  スポーツのインテグリティの件で1件、御提案申し上げます。

 まず、現状と課題の3つ目の丸ですが、「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」というものを平成25年の4月に日体協、JOC、日本障害者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟の5団体でしっかりと集いを行って宣言をいたしております。この記述も非常に重要なことだと思っておりますので、追加表記を御検討いただければと思います。

 また、横断的な取組としては、スポーツの価値を損なうものからどのようにインテグリティを守っていくかといった対応策だけではなくて、フェアプレイの推進といったスポーツの価値を高めていくようなポジティブな面からのアプローチも必要ではと思います。具体的に言いますと、例えば、日本体育協会が実施をいたしております、「フェアプレイで日本を元気に」キャンペーン、それから、日本サッカー協会がやっております、「リスペクトプロジェクト」。こういった事例も表記しながら、前向きに取り組んでいく姿勢も必要ではないかなと考えております。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。和久委員、どうぞ。

【和久委員】  それぞれ意見を述べさせていただきます。

 まず、国際交流・協力についてですが、SDGやスポーツを通じた社会課題の解決について、その概念と取組方について体系的に進めていくノウハウが地方にもスポーツ団体にも十分ではありません。したがって、それを推進していくためのノウハウの提供、研修会の実施といったことを取り組む必要があろうかと思います。

 2つ目ですが、今回の御提案の中で、アジアに戦略性を持つということについては、私も同感です。日本がこれから国際的なインフルエンスを持っていく上で、アジアは足場になりますので、しっかりとアジアを日本が固めて、そこから展開するという意味で非常に重要な戦略だと思います。

 しかし、国際交流・貢献活動の推進に当たって、その財源的柱は現行ではスポーツ・フォー・トゥモローになっています。スポーツ団体における国際貢献活動の財源的基盤の弱さがありますので、しっかりとした財源を確保していくという姿勢、取組が重要かと思います。

 インテグリティにつきましては、東京2020を踏まえると、アンチ・ドーピングについては特出ししてしっかりと進めていくことが重要かと思います。

 そのほかのインテグリティの問題では、例えば、イギリスでは、世界のゴールドスタンダードのガバナンスに改善していくために、制裁措置を徹底する方向です。つまり、公的資金を競技団体が受け取れないというところまで切り込んでいっています。したがって、防止策の1つとして、公的資金のところにしっかりと反映させていくことが重要かと思います。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。福井委員、お願いします。

【福井委員】  スポーツ・インテグリティのところで、日本テニス協会はほとんどの選手がプロ選手で日本代表を形成しておりますが、今まではプロ登録をしなければいけませんでした。プロ登録をした後にジュニアの選手も含めてインテグリティ等の話をするのですけれども、このスポーツ・インテグリティの確保の重要性の観点から、この講義を受けていないとプロ登録できない、プロに申請できないというようにシステムを変えました。必ずこれを受けて、これだけ重要なことなのですよということを分かっていただいた上で、プロに登録してもらうことにしました。そこで競技団体で考えている方もたくさんいると思うのですが、今悩んでいるのは、競技特性、いろいろ考えているのですけれども、専門家の基礎になるところが、どうしても専門家が考えるのと、我々が考えるのと少しギャップがあるのかもしれませんし、できれば何か共通のものがあった上で、そこに競技特性をプラスしたものを選手に提供できれば、より選手も分かりやすいのではないかと感じています。御相談に伺おうと思っているのですけれども、いろいろな競技で、チーム競技、個人競技で違うでしょうし、テニスは特に世界を1人で回ります。いろいろな方と接します。ですから、そういう誘惑もひょっとすると多いかもしれません。そんなことを考えているところで、この重要性をいかに選手にはここをしみ込ませるかというのが大切かなと思いますので、是非また御協力いただければと思います。

【友添部会長】  大事な御提案だったと思います。

 ほかにございますか。よろしいでしょうか。国際交流のところは、大学のスポーツ科学研究の交流も加味して考えていく必要があるのではないかと思うのですが、スーパーグローバルユニバーシティを含めて、手前みそですけれども、アジアの研究のプラットフォームを早稲田大学スポーツ科学部はやってきたところで、かなりMOUを設けて具体的な、実はこれは競技スポーツと生涯スポーツとの絡みが非常に強いですので、それを一層促進していくことも加味してもいいのではないかということを少しさせてもいいのではないかと思います。よろしいでしょうか。ほかに御意見ございますか。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、その次、6番目でありますスポーツビジネスの拡大、スポーツを通じた地域活性化、スポーツ施設の在り方、大学スポーツの振興。非常に多いテーマであります。資料4、7に基づきまして、事務局から御説明いただいた後、各委員から御意見を頂くことにしたいと思います。

それでは、由良参事官、また、その後、仙台参事官、お願いいたします。

【由良参事官】  資料4について御説明させていただきます。

 1ページ目でございますが、4行目、スポーツのビジネスが諸外国で大きくなってきている中、日本では2002年に7兆円あったものが、2012年に5.5兆円に縮小しているという現状認識でございます。この中にはもちろん、スポーツビジネスと、プロスポーツだけではなくて、小売りですとか、あるいはスポーツ施設、ゴルフ場、ボーリング場といったことが含まれております。そういったもの全般として充実をしていくことがスポーツの環境整備の充実につながるという考え方の下に、全体として拡大・拡充していきたいという部分でございます。

その3行ほど下に、「アスリートやプレーヤーから生み出された経済価値を最大化し」とあり、そこまでが収益の拡大でございますけれども、その収益をスポーツに再投資するという考え方を具体化していきたい計画に是非盛り込んでいきたいということでございます。

 さらに、その次の段落では、日本再興戦略、政府全体としても、スポーツを重視していただいているということで、スポーツの成長産業化というキーワードで、政府全体でも取組を進めていただきたいという格好になっております。

 「施策の方向性」のところでもほぼ同様のことを書いておりますが、一番下3行、「施設整備や地域の参加型イベントの創出など、多様なスポーツの取組に再投資をする」ということを是非実現していきたいと考えております。

 2ページ目、3ポツに具体的な施策として、黒四角で囲んでおります4つの項目で書いております。今年から具体的な議論や施策の具体化を始めた部分でございますので、全体を提示するには至っておりませんけれども、まずは着手をするべき項目ということで提示するとともに、それを深掘りしていく方向性として4つ提示させていただいているものでございます。

 1つ目が、スタジアム・アリーナの改革。「する」スポーツと「みる」スポーツと共存していけるスタジアム・アリーナの考え方を提示していきたい。特に「みる」スポーツについては、スタジアム・アリーナの充実が来場者の感動や楽しみ方に直結いたしますので、そういったハードの在り方とソフトの充実を一体として取り組んでいきたいということでございます。

それから、2つ目としてスポーツコンテンツホルダーの経営力強化の促進でございます。スポーツコンテンツホルダーには、プロチーム、プロリーグ、NF、オリンピック・パラリンピックの選手を含むアスリートの取組といった面がある一方で、地域のスポーツ施設あるいはサービス、個々の学校におけるコーチの皆さんもスポーツコンテンツを持っておられる方々ということで、そういった部分での経営力という発想を全体的に高めていきたいということでございます。

 具体的な取組として、まずは専門的な人材の育成・活用あるいは、いろいろな分野からの新しい人材の参入。そういったことを通じてITの活用とか、海外展開も含めた取組にしていきたいということでございます。

 次のページの頭に大学スポーツがございますけれども、この後、御報告させていただきます。

それから、3つ目として、スポーツ分野の産業競争力強化と新市場の創出。スポーツは単独で立っているというよりは、健康、食、観光、ファッション、文化芸術といったものと組み合わさることによって大変力強いインパクトを提供していっているものと思っております。そういった各種の分野あるいはそれを産業化していく取組を通じて充実していくということでございます。

 4つ目として、スポーツ人口の増加を通じたスポーツ市場の拡大。まずは、スポーツ人口の増加がスポーツ施策の大変重要な柱でございますし、そのこと自体がスポーツ市場の拡大につながっていく。ここは相互に循環するものだと考えておりますが、そういった観点からスポーツに取り組む環境整備そのものが全てスポーツ市場の拡大とつながっていると考えております。

 各論については、それぞれこれまで議論いただいたもの、あるいは部分で御議論頂くスポーツ振興の取組全般と考えておりまして、そういったところに官民の連携強化あるいは需要の顕在化といったことでスポーツ人口の増加を図っていきたいということでございます。

【仙台参事官】  続きまして、スポーツによる地域の活性化について説明をさせていただきます。

 スポーツ庁になって最も変わったと言われなければならないことの1つが、スポーツによる地域の活性化ではないかと考えております。何でもない山や平野や海をスポーツのメッカに変え、人だけでなく地域、経済を元気にする力があると思います。スポーツツーリズムや市民マラソン、国際大会といったスポーツイベント、合宿、キャンプ等を通じて、多くの人々が地域を訪れ、経済がうるおい、持続的に地域が発展していくことに官民を挙げて取り組んでいくように国がリードしていきたいと考えております。

 また、地方創生の文脈で、田舎でもスポーツで雇用と事業を創出していきたいと考えております。スポーツで健康、感動を与えるとともに、経済にも好影響を与えるという力を示すことは、スポーツの価値を高める上で重要だと思います。

 スポーツによる地域活性化。現状につきましては、人口が減っていきます。また、スポーツのビッグイベントがありますということでございます。それから、地域スポーツの組織の現状については、本日、原田委員が資料を提出されていますので、簡単にお話しさせていただきますが、人口減少の中で地域には体協や総合型スポーツクラブやスポーツコミッションなどいろいろな組織がありますけれども、シナジー効果が発揮できていないとか、財政的に厳しい状況ですが、こういうところを解決している、地域経済の活性化と雇用の創出を実現している組織もございます。こうしたところを後ほどふれたいと思います。

 1枚おめくりいただきまして課題1ですけれども、スポーツによる交流人口の拡大を図らなければいけないということです。それから、地域スポーツ組織の自立を図らなければいけないということでございます。

 施策の具体的な方向といたしましては、スポーツツーリズムの活性化による交流人口、インバウンドの拡大と、地域スポーツ組織の事業体への進化ということで、数値目標はまた1枚おめくりいただきたいのですけれども、こちらに掲げさせていただきました。

 具体的施策につきましては幾つかございますけれども、地域スポーツコミッション、スポーツツーリズム等の推進でまちおこしを行うスポーツコミッションの活動を支援するということ。それから、スポーツツーリズムについて、地域振興の主役はもちろん地方の皆様ですけれども、国といたしましても官民一体でスポーツツーリズムのムーブメントを起こしていくことを考えております。

 また、親和性が高いと言われておりますスポーツと文化と観光をミックスさせましたスポーツ文化ツーリズムを創出していきたいと考えております。

 また、地方において経営的にも自立してスポーツの振興を図っている組織を支援していくことを考えております。

 以上が、スポーツによる地域活性化について、でございます。

 続いて、資料6、スポーツ施設の在り方でございます。スポーツ庁の発足に伴い、スポーツ施設に関する、私どものところですけれども、部署が設立されました。スポーツ施設は、国民のスポーツ環境の最も基盤となるもので、この政策がしっかりと行われることがスポーツ全般の基盤になるものと認識しております。スタジアム・アリーナについては、先ほど説明がありましたので、本資料は地域の身近なスポーツ施設に関する内容に絞らせていただいております。

 現状と課題ですが、実際には統計調査でやっているスポーツ施設について十分把握し切れていないということで、これは見直しが必要であります。

 それから、スポーツ施設のストックですけれども、適正化を図る必要があると考えております。人口減少と財政の逼迫にさらされ、老朽化するスポーツ施設を維持していくことが難しくなることが考えられます。現在ある施設の長寿命化、最大限の活用、それから、必ずしも施設がなくてもスポーツの場を確保できるという考えの下、施設以外の場の確保にも取り組んでいきたいと考えております。

 続きまして、安全確保、耐震化、事故情報の共有化を進める必要があると考えております。

 また、委員からも御指摘がありましたように、障害者について身近にスポーツを行える場をどれだけ確保できるかが重要であると考えております。

施策の方向性といたしましては、もちろん、国も支援いたしますけれども、スポーツ施設は地域に密着しておりますので、地域で現在、スポーツ基本法で定めるものとされております地域スポーツ推進計画、それから、スポーツストックの適正化に関します個別施設計画を適切に定めていく必要があると考えておりまして、個別施設計画については策定した100%を目標としている。

 また、先の熊本地震も受けまして、社会体育施設のうち防災拠点に指定されている場所については、できるだけ早く耐震化を図る必要があると考えております。

 具体的な施策ですけれども、まず、現在6年に1回行っております施設数の調査を、情報が古いと施策も立てられませんので、3年に1回に変更できればと考えております。

 続きまして、マル3で、まず、計画策定についてスポーツ施設、地方公共団体でもいろいろな部署が所管しております。公共団体が横断的な体制を組む必要があると考えております。国としてガイドラインを策定するなど、地方公共団体の運営状況の評価と施設の活用を図れるようにしていきたいと思っております。

また、マル4でございますけれども、施設について見える化を図っていきたいと考えております。

 それから、いろいろ書かせていただきましたが、学校開放や公共施設だけではなく、周辺自治体の施設や民間事業者との連携など、地域にあるスポーツ施設の最大限の有効活用。それから、施設以外のスポーツの場の確保について取組を進めることとしております。

 マル6ですけれども、具体的には学校開放の在り方。

 10番ですが、オープンスペースの有効活用等に取り組んでまいります。

 個別の施設につきましては、マル7に列挙させていただいておりますが、利用しやすさの向上や収益改善を目指し、しっかりと評価・改善を行っていく必要があると考えております。

 特にマル8のとおり、ユニバーサルデザイン、バリアフリーについては取り組んでいきたいと考えております。

 また、マル9にありますように、PPP/PFIによるサービスの向上と施設のサステナビリティの向上の両立を図り進めてまいりたいと考えております。

 マル11は、国体の施設基準について。

 マル12は、耐震化について。

 マル13は、安全確保について。

 マル14は、施設に関する人材育成について、それぞれ進めるものでございます。

 まとめですけれども、今回の基本計画はスポーツ施設の担当部署ができて初めて大きな方針を示す機会となります。地域のスポーツ環境の基盤であるスポーツの場が、人口減少局面でもしっかり確保されるよう、国が先導的に地方事業や考え方の整理を行ってまいりますが、同時に地方公共団体も相当な覚悟を持って計画策定や施設の評価、民間との連携を進めていただきたいということをしっかり盛り込んだ計画になるべきだと考えております。国と地方が協力して、官民が協力して取り組んでいくことが重要であると考えております。駆け足になりますが、3番目の資料7で、大学スポーツの振興です。

 大学のスポーツについては特出しする必要があると考えております。大学におけるスポーツの振興は、大学スポーツ施設の開放や地域との連携等を通じて、大学の枠内にとどまらず、広く国民の健康増進に資するとともに、地域社会の活性化の起爆剤となり得るものです。また、障害者スポーツの振興や国際交流の推進にも資するものでございます。

 また、大学の競技スポーツにおいては、大きな潜在力を有している一方、その力が十分生かし切れてないというのが現状でございます。そのため、我が国の大学スポーツが持つ人材輩出、経済活性化、地域貢献といった潜在力、高等教育研究機関としての大学の潜在力を活かすとともに、部活動を含めた組織の適切な運営や管理、大学スポーツの見る部分の振興の確立を目指す必要があると考えています。

 また、大学スポーツの地位を向上させる手段として、学生競技連盟や大学を核とした大学横断的、競技横断的な統括組織の創設も目指す必要があると考えております。

 具体的施策については、そちらに書かせていただいておりますが、まず、大学トップ層を含めた、関係者全体の大学スポーツの重要性についての理解の醸成を図ること。

 それから、スポーツ分野の取組を戦力的に行う部局や人材を配置する必要があるということで、モデルを形成したいと考えています。

 また、学生アスリートのデュアルキャリア支援、スポーツボランティアの育成等の人材育成や、大学スポーツを通じた地域貢献などの取組をサポートしてまいりたいと思います。

 大学横断的かつ競技横断的組織に関しましては、国が指導して学生競技連盟を中心とした産学官連携協議会を設置して、統括組織が担うべき役割や課題等を成立し、創設に向けた体制整備を進めることが必要であると考えます。

 まとめになりますが、スポーツ分野の人材育成、スポーツ医科学の方面で、大学でしかできない、担えない役割がございます。これを伸ばすことは、日本全体にとって有益であり、 また、2020や地方創生のため、ボランティアに大学生あり、スポーツ指導を通じた地域貢献の主要な担い手に大学あり、と言われるようにしていく。

 さらに、運動部活動については、学生や卒業生が自分の大学を、住民が地元の大学を、誇りをもって熱狂して応援できるような、魅力的な「みる」スポーツに新たに育てる。その応援のエネルギーを使って、先に述べた大学スポーツの振興に循環させるシステムを作り上げ、大学が引っ張る形で日本のスポーツのレベルアップを図り、大学スポーツの振興を図っていくべきだと考えております。

【友添部会長】  ありがとうございました。スポーツビジネス、それから、地域活性化、スポーツ施設又は大学スポーツの振興ということで、アトランダムで結構です。御意見お願いします。原田委員、どうぞ。

【原田委員】  それではスポーツによる地域活性化についての補足としまして、お手元にあると思うのですが、カラーのA4の横刷りで、「スポーツによる地域活性化を担うハイブリッド型事業体(概念案)」というのがありますので、それを御参照ください。それを補足説明させていただきます。

先ほど仙台参事官からもお話しがありましたように、今後スポーツによる地域活性化を担うハイブリッド型事業体が重要になってくるのではないかということで2点、地域内という視点と地域外という視点から説明いたします。

 これは従来の地域スポーツ振興組織視点からの進化とお考えいただければいいと思います。従来から住民からの収入ということで、地域スポーツクラブの会費とか、スポーツ教室といったものから収入を得ております。さらに、地域行政からの収入ということで、指定管理者の収入あるいはスポーツ団体事務局の業務、イベント開催支援等といったものから収入を得ておりますが、今後進化の過程を考えていきますと、指定管理者制度を事業においてのサステナビリティに少し問題がある。3年、5年で見直す、誰が次の指定管理になるのだということで、なかなか事業に継続性が見えないので、ここも近い将来改革をしていかなければならない。

 あるいは、例えば、これは大阪の事例ですが、舞洲にある野外活動施設、野球場というのは、条例施設を廃止しまして売却に移っています。あるいは、ヒューマンホールディングスが持っているB.LEAGUEの大阪エヴェッサが使っている舞洲アリーナは、完全に賃貸で契約を結んで、今、ヒューマンプランニングという会社がそれを運営している。そうなるとどうなるかというと、ネーミングライツの駐車場収入あるいは賃貸でいきなり初年度から黒字化しているわけです。それで大阪市は、これまで1億円以上払っていた指定管理者の補助金がなくなったどころか、そこから収入を得られるという構図になってきています。今後、小学校の廃校など増えてまいりますので、そういった条例施設の廃止による事業機会の拡大も今後の視野に入ってくるのかなと思います。

 右側は、地域外からの収入ということで、これはスポーツコミッションと書いていますが、既に全国で35ぐらいの地域スポーツコミッションができて、今はどちらかというとツーリズム視点でやっているのですが、将来的にそこで事業収入を得たものを地域に還元していくといったような、そういういいモデルが生まれる可能性が出てきています。実際、合宿誘致、大会誘致で成功している部門もありますし、あるいはそういった付帯サービスからの収入、イベント事業収入、そして、合宿所、宿泊施設収入ということで、先ほど説明しましたように公共施設、廃校などの利用権を賃貸等で取得し、活用している。将来的には物販収入というのも考えられる。あるいは、施設にネーミングライツ、駐車場の料金等、そういった事業収入を得ながら、地域活性化を担う。そういう自立経営ができる複合的な事業展開を行う事業体を作る必要があるのではないかと思います。

 その下に参ります。地域貢献ですが、公益性を担保することが非常に重要ですので、効果的なスポーツサービスの維持・発展。地域に必要なスポーツ組織の事務局・ハブ的な機能。

 そして、マーケット外では、スポーツツーリスト誘客による地域への経済効果創出。本日も議論になっておりましたけれども、例えば、障害者スポーツ。これも非常に広い視野で考えると、大きな地域貢献あるいは社会貢献ですので、企業とのコラボレーション等、施設計画の中に十分埋め込んでいくことが可能になると思います。

 そして、その下にある組織価値ですが、スポーツを核に複合的な事業展開で自主財源を確保し、地域住民に求められる公共的なスポーツサービスを提供、地域への経済効果をも創出ということで、地域に不可欠な事業体に将来的に進化していってほしいという願いがあります。

 最後ですが、雇用・人材とあります。今後重要なのは、いかにスポーツで飯が食えるかであり雇用創出していく組織ではないかと思います。例えば、条例施設を廃止して賃貸借契約できた小学校を使って、地域の健康づくりあるいは合宿ビジネス等に参入していく事業体ができると、そこに雇用が生まれる。特に体育系大学の学生がたくさんこれからも世の中に出てきますので、そういった雇用の受け皿になる可能性もありますし、あるいはモチベーションの高い人材を外部から確保するようなこともできる。あるいは、地方創生志向の人材、アスリートOB等、スポーツの移住も含めて様々な施策展開が可能になりますし、そこにどう民間企業のリソースを絡めていくか。それが課題となります。このような地域スポーツに不可欠の自立的なエコシステムをどう確立していくかというのが課題ですが、ここにある事業体というのはまだ概念(案)ですが、既にこれらを実現している組織も出始めていますので、適切に政策誘導すれば、確実に前に進むことが可能ではないかなと考えております。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございます。上治委員、御意見どうぞ。

【上治委員】  スポーツビジネスの件で申し上げさせていただきます。現状で5.5兆という数字が掲載されているのですが、一番その下でスポーツ用品が1.7兆、ゴルフクラブからいろいろなものを入れてスポーツ用品、大体18アイテムです。いろいろな調査機関が取っている数字では1.4兆という数字で、15年度末で大体3%ぐらいのスポーツ用品市場の伸びですが、この中で最近非常にリオでも見られたように、例えば、スウェーデンがH&Mだとか、アメリカはラルフローレンだとか、イタリアがアルマーニだとか、そのように従来のスポーツメーカーに限らず、いろいろなアパレルメーカーがスポーツのカテゴリーにどんどん入ってきます。そういう中で集計をされる段階で、流通チャンネルで仕分けをするのか、スポーツ用品売り場のアパレルをスポーツ用品として計上するのか。それとも、衣料品コーナーに置かれている、そういったポロシャツ、Tシャツ等を組み込まないのか、組み込むのかという定義付けも含めて、スポーツ用品のマーケットというのは大体18アイテムをスポーツ用品業界ではくくっている。これはその上に世界スポーツ用品工業連盟、WFSGIというのがありまして、そことIOCとがコラボしながらウェアのルールだとか、用具も含めていろいろなものを決めているわけです。ですから、由良参事官からもヒアリングを受けましたけれども、そこの数字の取り方、衣料品との線引きみたいなものをスポーツウェア、スポーツ用品、シューズというものを含めてどういうものをここではカウントして5.5兆からGDPをどのように上げていくかということの定義を一度していただければと思います。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。市場規模のカウントはなかなか難しいというのは定説ではあります。久木留委員、どうぞ。

【久木留委員】  こちらも2点お願いしたいのですが、スポーツビジネスの拡大についての部分では、先日ロンドンのスポーツビジネスサミットというのに行ってきました。もう一つ、慶應の「SPORTS X」というものにも参加しました。この2つ、昨今の動向を見ると、企業はAIやIOT、ビッグデータ、センサー技術を活用しています。これを活用したスタジアムビジネスはまさに欠かせないなということと同時に、競技力向上面でもアスリートのコンディショニングを見ていく場合に、今言ったものがものすごく重要になってくるだろう。特にAIに関しては、AmazonやGoogleやほかの企業、Facebook等も含めて規定を作っています。スポーツの場合は、もう一つ競技力強化で言えば、審判もこれからAIが入ってくると思います。そういったところを考えたときに企業との連携を更に進めることが重要であるというのは間違いないのですが、もう一点大事なことは、スポーツ界側がどのようにそれを活用していくのかということを明確に示さないと、企業だけでは実際に競技の現場で使えないものが出てくるだろうと思います。これが重要な点だと思います。

 2点目の、大学スポーツの振興についてですが、実は2000年の初頭にJOCの大学スポーツプロジェクトに私が入っていたときがありました。その頃、インディアナポリスのNCAAに実際に調査に行きました。NCAA及び他の大学も含めて調査したところ、いい面と悪い面がある。これはビジネスと教育をどう住み分けるのかがポイントになると思います。なぜならば、NCAAの中でもいろいろな問題が出てきています。例えば、奨学金制度で入った選手がけがをしたためにカットされてしまう。では、その補償はどうするのだという問題が出てきます。あとは肖像権の問題や代理人の問題。こういったことをどう整理していくのか。

 もう一つ大事な点は、稼げるスポーツというのはアメフトだったりバスケットだったり野球だったりするわけです。そのときに日本で言うと駅伝だったり、野球やラグビー以外で本当にビジネスとして成功するのだろうかという点を確認しておく必要があるでしょう。

 そのときに重要になってくるのは教育の点ですけれども、私が2013年から英国に留学していたときに大学の授業を見ていると水曜日の午後が休みになるのです。それはなぜかというと、BUCSという団体があって、British Universityand colleges Sports limitedというのがあるのですけれども、このBUCSというのは教育を主体にしていながら、ビジネスもうまく展開している。こういうモデルもあるので日本に取り入れる場合は、BUCSとNCAAとの融合も考えた方がいいだろう。つまり、NCAAは稼げるけれども、負の部分もある。それを日本版ではどう補うのだろうということをしっかり情報を入れた中で進めていかないと、いろいろな問題が出てくるように思います。

 また、学生を主体ということで言えば、ボランティアの活動もあります。2012年のロンドンオリンピックはゲームズメーカーという形でボランティアが取りざたされました。ラフバラ大学という私が行ったところでは、2012年当時「メダルメーカー」と言われていました。そのボランティアがその後も根付いて実際に運営されているという形態があります。イギリスとアメリカ、少し違うバックボーンがありますけれども、この両方をうまく組み合わせながら日本式のものを作っていくことが重要ではないかなと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。萩委員、お願いします。その次、久住委員お願いします。

【萩委員】  ありがとうございます。スポーツ施設の在り方についてですけれども、この中にスポーツ施設以外の場というところが出てくるのですが、ここが非常に分かりにくいなと思いました。先週私はNRPAというアメリカのNational Recreation and Park and Associationという会合に行ってきたのですけれども、公園を非常にうまく使っている。もともとプレイグラウンド運動ということで、空き地で子供を遊ばせるというところから始まった動きで、最終的には国立公園まで管理をするというところがあるのですが、その中で本当に地域住民にとって非常に身近な場として公園があり、その公園の中で様々な健康遊具があったり、プログラムが展開されていたりということがございました。

 日本の場合は、どうも運動施設というのが公園の中にありましても様々な規制でなかなか活用できないような問題もあるようです。もう少し公園との絡みを積極的に考えると、身近であるものをもっと活用できるのではないかと考えております。ここに「公園」という文字が1つも出てこなかったので、その辺りも今後の検討課題になるのではないかと思います。以上です。

【友添部会長】  運動公園ですよね。

【萩委員】  はい。運動公園です。

【友添部会長】  日本の公園というと、パークと公園が一緒という運動公園ということで。

【萩委員】  そうです。

【友添部会長】  賜りました。久住委員、お願いします。

【久住委員】  地方公共団体という言葉が出てきておりました。今回いろいろな方がビジネスと学校と絡んで地域を見ますと、要につくのが公共団体の職員なのだろうと思います。 私ども自治体も人員が減ってきまして、どちらかと言うとジェネラリストが採用の中心になってしまっている。しかし、保健師だとか学芸員というスペシャリストも必要だという分野がありまして、その人たちが地域のその分野を支えている。スポーツに対してもスポーツの人材というのが基礎自治体の中に本当に必要なのか、必要でないのか。今、雇用の話がございましたが、かなり高度な訓練を受けた方々が、基礎自治体の中に一人や二人いる必要があるのかどうか。その人たちが地域のビジネスだとか学校だとか、多くを束ねてやる。そのことによって全体がつかめる。残念ながら高度な必要とされるレベルは、自治体では素人の人間で判断ができない。こういった形で地域が成り立っているのではないかと懸念しています。だから、私どもがどういう人材をどのような形で確保し、相当長く専門的に関わるというのが自治体にないと、必要とされる判断がなかなかできない。2年に1回変わるようなジェネラリストが、この議論についていけるように思えないのです。この辺りが1つ課題なのだろうと思います。

 もう一つは、施設ということで、かなり多額でございます。言われるままに作ると過大な施設ができるということで、今、言われましたけれども、大きい広場に運動遊具だけ付ける。その方が、子供が自由に遊べる広場になるのですが、新しい施設を作るときにだれに相談するのが最も必要かつ十分で、過大ではなく、かつコストが安くかつ維持管理がリーズナブルだということを誰にコンサルティングするのが一番適当なのか。多分、全国の自治体は、そういうことには全く無知で知識がない。お金をかけて作らなければいけないときに、どの方に信頼をよせて相談するとそこができるのか。それがなく、常に過大で必要以上の施設がいっぱいできるという結果になってしまっている。この2点を自治体の立場で申し上げていきたいと思います。

【友添部会長】  大事なお話、ありがとうございました。原田委員、どうぞお願いします。

【原田委員】  大学スポーツの件ですが、NCAAというのは、基本は教育と平等です。我々の目にするような放映権料で稼いでいるディビジョン1に入っている大学も実は2割で、あとの8割の大学はみんな日本の大学と同じように授業料の納付金で細々とやっているのが実態です。平等というのは、例えばタイトル9にあるように10人の男子選手にスカラーシップを出したら、10人の女子選手にスカラーシップを出すという、そういう平等性。教育というのは学生アスリートの能力をどう高めるか。こういうことで言うと、例えば、早稲田大学でやっている早稲田アスリートプログラムというのは全くNCAAと同じことをやっているわけです。ところがそこに大学スポーツのビジネス化、その上の2割の大学がやっているようなことを日本でやったらどうだと言われると、早稲田大学としても困るわけです。スタジアムはないしどうすればいいのだという話になりますので、そこの議論は気を付けて、NCAAの本当のエッセンスの部分を更に強調していく。どうも大学スポーツで稼ぐのだという議論がひとり歩きしているのが良くないのかなという感じはしております。

 それからもう一点、短めにいきますけれども、スポーツ産業の件ですが、実は十数年前に韓国では早々とスポーツ産業の育成ということで、政府主導で行われて、例えば、スポーツ産業の資格制度まで作ったのです。何をしようかということで新しい韓国産のブランドを作れという話だったのですけれども、結局、アディダス、ナイキ、そして日本のブランドということで、韓国発のブランドは生まれなかった。スポーツ産業というのはマーケットドリブンな市場なので、いきなり上から3倍にするのではなく、スポーツをする人を3倍にしないと、結局は事作りですから、事作りがあってのもの作りなので、議論を逆に考えていかないと、なかなか数字だけがひとり歩きする危険があるなという感想を持ちました。以上です。

【友添部会長】  日本でも80年代にスポーツ産業研究会を旧通産省が作って、随分世界的にも先鞭をつけてやっていた記憶があるのですが、それをうまく足していくという形と新しいイノベーションにしていく必要があるかと思います。ほかに。

 泉委員。本日は皆さんに御発言していただきますので、順番に参ります。

【泉部会長代理】  スポーツ施設の在り方の具体的施策の11で、「国は日本体育協会や各競技団体と調整し、国民体育大会の施設基準について必要性を検証の上、明文化する」とありますが、多少抽象的な表現のような気もいたしますので、少し補足と現状をお話しさせていただければと思います。

国体改革2003を基に国体改革をやっておりますが、その中の大きな柱として、簡素・効率化。国体のためだけに無駄な施設は造らない。千葉国体においては、新設の施設はゼロでした。また、自分の県に施設がなければ隣の県で競技を実施しても構わない。そこまでルール化をしております。努力はしているつもりでおりますが、ただ御理解を頂きたいのは、国体は50年に1回しか回ってまいりません。前回造った施設が老朽化して、ちょうど50年、国体のときにリニューアルする、あるいは新築をするというのは、これはごく自然なことであり、また、国体の開催意義も1つ逆にそこにあるのではないかなと感じております。そういう意味で、この施設基準を見直すことについてはやぶさかではございません。逆にアリーナ・スタジアム新構想があって、国体基準の小さな体育館ではなくてアリーナ・スタジアムを造った方が良いといった御意見も出ておりますし、この国体基準に捉われずにいろいろな考え方、あるいは「みる」スポーツのための施設基準といったことも十分に考えていく必要があると思っております。そういう意味で、この辺についてはしっかりとスポーツ庁、競技団体や国体の開催県等と相談をしながら、進めていきたいと考えております。以上です。

【友添部会長】  挙手をお願いします。よろしいでしょうか。大塚委員、お願いします。

【大塚委員】  ありがとうございます。まず、先ほどお話がありました公園の活用ということで、スポーツ施設以外の場の確保で特に強調したいのが国営公園です。日本に17か所国営公園があり、この国営公園の利用目的の中にスポーツという文字が入っていません。国土交通省さんの管理だと思うのですが、レクリエーションの拠点という範疇が入っていて、実際この国営公園を利用したマラソン、自転車、トライアスロン、今週は箱根駅伝の予選会も国営昭和記念公園で行われる。ここをもう少し地域のスポーツの場として、開園時間が10時のところを朝早く開けてもらうとか、いろいろなやり方でこの国営公園17か所、巨大な公園ですので、ここの活用ができればと思っております。

 同時にもう一つ、スポーツ施設以外の場所としては河川敷です。こちらも非常にスポーツで活用されているケースがありますが、このスポーツ施設としてカウントされていないような気がいたします。この河川敷も幅広い意味でスポーツ施設として捉えていただければなと思っています。

そして、それらを取り巻く中でスポーツビジネスの拡大に関連するのですが、このような、毎回申し上げます参加型スポーツの拡大を何とか国で支援、後押ししていっていただければと思います。

 例えば、参加型スポーツの参加申し込みする部分の何かプラットフォーム作りなどを国から民間に委託する。今、様々な民間業者の方々がインターネットで申し込みをするシステムを設けています。ここが今、巨大な産業になろうとしていますが、全く規制ルール、手数料の一元化などができておりません。こういったところも更にきっちりとした健全な発展を促す必要があるのではないかと思います。

 最後になりますが、スポーツへの参画がする、見る、支えるということで提言されておりますが、これらを取り巻く中にスポーツを楽しむという部分が一億総スポーツ社会の実現にもう一つ言葉を足していければいいのではないかと感じているところです。

【友添部会長】  ありがとうございました。では次、桑田委員、どうぞ。

【桑田委員】  今回、このスポーツの産業化が明確に打ち出されるということで、地域で活動している我々も非常に心強く思っております。

 ただ、先ほどどなたかの御指摘がありましたように、現場に行けば行くほどビジネスと教育という壁がものすごく大きく高いのです。私が始めた15年前よりはだいぶ緩和されてきているとは思いますが、例えば、地域でもってスポーツを教えたり、イベントを行うことに対して、どうしても我々が活動する場、つまり、公共施設を中心とした活動が地域スポーツクラブの大半ですので、そこでの会費的な授受が非常に制約を受けております。教育現場である小中学校の運動施設での営利的に思われる(営利ではありませんが)活動は使用禁止となっているところが大半です。その中でも適正な月謝を徴収して頑張って自立しているクラブも幾つも出始めておりますし、指定管理を受けて事業的なことをやっているクラブが出てきていることも事実ですが、地域スポーツが自立できるかどうか、あるいはスポーツの産業化とのテーマにおきましても根本的な問題だと考えております。さらに、2020東京のレガシーとしても、この総合型スポーツクラブを含め、地域における様々なスポーツの財産や団体があります。今まではそれぞれが単独で活動しておりましたが、それが地域でひとつコーディネーションされながらきちんと事業的に回っていくことが大事なのではないかと、本日もお話を伺いましてものすごく感じました。いろいろな政策だとか、具体的なアイデアを実践するのは最終的には我々が受け皿として、企業や行政と連携したりとかあると思いますが、地域の我々がきちんとキャッチアップして国民一人一人にスポーツや運動を提供していく場を再構築していく必要があると思います。そのためにも、前回もお話し申し上げましたが、地域で専任で専門家が雇えるような構造、つまり、地域スポーツの事業化あるいは産業化という視点が重要だと認識しております。どうしても地域スポーツという概念での産業化という言葉がそぐわないのかもしれませんし、また、時期的にまだ早いのかもしれませんが、2020東京後のスポーツのソフトインフラの整備といった考え方を2020年までにきちんと考えていかないといけないと思っております。そして、そして、そのようなことを地域事情に合わせて検討して良いのだ、検討しなさいと地域行政に国から示して頂かないと、我々が現場でいくら言っても、結局書いていない、国が視点として持っていないと、拒否されるのが現実です。我々みたいな人がいるときはいいのですけれども、こちらも担当者が代わる、行政担当者も代わる。そうするとやってきたものが結局書いてないということで却下される。継続していかないのが現実です。つまり、プロの指導者とかマネジメンターだとか、そういう人たちがきちんと行政と良好な関係で地域を継続的に担っていける制度、枠組みを是非今回の計画の中にふれていただきたい。そうすることによって地域スポーツから地域行政にも提案がしやすい環境になると考えます。この産業という視点で資料にありましたけれども、まだまだ読み込んでいないので書かれているかもしれませんが、地域スポーツの産業的な視点がどうもまだ薄いような気がしてなりません。そこのメッセージを是非今回出していただければ、地域でやっている方々の励みとか目標になるのではないかと思いますので、御提案申し上げたいと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。結城委員、どうぞ。

【結城委員】  ありがとうございます。スポーツ施設に関して1点差し上げたいと思います。我々、例えばメディアが昨今、コストなのか、それとも施設なのかみたいな話を考えるときに一番困りますのは、本当に日本というのはスポーツ施設が足りているのですか。そこの基本概念と言いますか、理解が非常に難しいということなのです。結局、今、我々スポーツ審議会でも、スポーツというものは運動といってみんなの体を何らかの枠で動かすことでいいですよ、いろいろな立場の方が、高齢者の方、そして障害を持たれる方、仕事で忙しい方、あまりスポーツをやっていなかった方、みんなどうぞちょっとやってみましょうよ、という話をしようとしている。そのときに恐らく必要になってくるのは、その方たちができるような場所がそれぞれレベルの違う、若しくは時間帯の違う、いろいろな形で現れ得るということなのです。スポーツの施設若しくはスポーツ、運動ができる場面の質の高さ。身近に、そしていろいろなレベルの差がある方たちが何らかの格好ですみ分けてでき得るというところを考えていきますと、これからの豊かな日本を生きるという中では、そのことも入れ込んでの単純な人口割ではなくて、スポーツの質、いい施設というのは本当に足りているのですかと。いい機会が本当にあり得るのですかというところまで踏み込んだ何かデータを、それから、考え方も必要なのではないかと思います。2020、せっかく来ます。64年のときに市民スポーツが隆盛したように、大きなブームが起こり得ると思っています。その後で、身近に継続してスポーツできるところ、運動できるところがないからいいや、というのでだんだん皆さんがスポーツをやらなくなっていく。これだけは見たくないと私は思います。

 例えば、2点だけ。学校の施設にしても廃校、おもしろいです。だけれども、それ以前に空き教室はたくさんあるではないですか。私の母校の小学校はそろそろ廃校ですけれども、行ってみても空き教室がずらっとあります。いろいろなネックがあるとは伺っておりますけれども、なぜ使えないのだろう。高齢者の方々は大きなスポーツ施設は必要ない。体操するには普通の教室でぴったりです。こういった流れがなぜ生まれないのだろうと感じます。

 それから歩く、ウォーキングというのは多分一番身近な簡単なものです。これを奨励するような、文科省から少し離れますけれども、自治体であり、都であり、いろいろなところと連携しながら、歩きやすい、しかもついでにショッピングもしてしまえるようなビジネスにもなり得るいろいろな形での街を目指すというのもおもしろいかなと思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。和久委員、どうぞ。

【和久委員】  2点御提案いたします。

 まず1点目、地域の活性化、スポーツビジネス、大学スポーツについて、これらの柱になっているのはビジネスです。それぞれ進めていくことは良いことと思いますけれども、どうも政策としてこれを推進していくリーディング体制がはっきりしていない。ばらばら感があるので、このスポーツビジネス、スポーツ産業を推進していく統一感のある体制、組織が必要なのではないかと思います。政策としてこのスポーツビジネスに投資をする場合、その先にリターンがないと政策として打ち切られかねないので、そこの責任体制というか主体体制を明確にする必要があるというのが1点目です。

 2点目、スポーツ施設に関してですけれども、人口減少や人口の移動が起こっている中で、スポーツ施設の在り方についてしっかりと調査研究するという取組が必要ではないかと思います。

 例えば、女子・女性のスポーツ参加促進のためにスポーツ施設にはどういった機能が必要かということも明らかにする必要があります。また、震災の関係では、JSCではジャパンスポーツネットワーク事業で熊本への支援を行いましたが、スポーツ施設というのは被災者の居住空間として活用されることが多い。しかし、そういった生活が長期化すると、ストレスが増えます。スポーツや身体活動がこうしたストレス軽減に有効であるにも関わらず、スポーツ施設が生活空間として使われているので活動ができない。こういったことも含めて、これからのスポーツ施設の在り方、設置の仕方についてしっかりとした調査研究を行い、方向性を示していく必要があるのではないかと思います。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。

原委員、どうぞ。

【朝原委員】  私、大阪ガスに勤めているのですけれども、今、ガスの器具を売ったり、営業しているというわけではなくて、私の経験を活かして地域の活性化を図ろうと、それがぐるっと回ってエネルギーを使ってもらえればということで、ちょうど地域活性化の活動をしているのですが、大阪で我々の持っている経験とかソフトとか人脈などでコンテンツを考えます、自治体は地域を活性化したいです、それを応援したい民間企業がいます、ということで、実際に廃校を使ってクラブを作りました。それをどうやって運営していくかというと、議会を通らないとか、いろいろな問題もあり、なかなか前に進まなかったりすることもあって、民間と行政とアスリートたちの知見とか、いろいろな方々が寄り合ってやっているのですけれども、スポーツのコンテンツだけでもだめですし、施設、廃校だけでもだめですし、それをサポートする民間の方のお金だけでもだめなのです。それをうまく連携、連携と言いますけれども、なかなか連携が難しいです。それをきちんとコーディネートする人がいて、どこが主体となってそれを運営するのかが明確でないと、本当に片手間でみんな寄り添ってやっても何も走らないのです。だから、そういうしっかりとした、どういう組織なのか、まちづくり企業なのか分からないですけれども、スポーツ、文化、食などを活かした何か違う運営母体みたいなものを推進できることができたらといつも思っています。以上です。

【友添部会長】  同じくリーディング体制をどうするかという御発言かと思います。境田委員、最後になりますが、よろしくお願いします。

【境田委員】  大学スポーツの振興が本当によくまとめられていると思います。今後、日本版NCAAを検討されているということで、これがすごく今後、日本の大学スポーツ振興にとって大きなキーになると思います。

 これが成功するキーは2つあって、1つは大学同士が仲良く連携する。情報を共有して1つの目的に向かうということと、大学スポーツは各競技団体の下にある学連が、サッカーだったらサッカーの大学連盟、そういうところがインカレなどを担っていますので、競技団体の下の学連の連携という、2つの縦軸、横軸を上手に調整していくことが非常に重要です。その大学のインカレの試合とか、大学選手権とか、魅力的なコンテンツで、Jリーグなどは今回2,100億ですか、イギリスの会社とライブ放映の契約を結んだという報道がされていますけれども、ライブ配信の価値というのはすごく今上がっていますので、大学のインカレの試合などもその価値を最大限バリューアップしていく。これをみんな関係者の協力の下でないと進みませんので、そういった連携をきちんと図っていく。

 さらにそこで得た収益を還元していくことも、できればその方向を目指さないとみんな協力してくれませんので、そういったところも知恵を出す。そういったところはプロが入ってきちんと各競技団体の現状などを把握した上でその解決策を示すことをしなければいけないと思いますので、是非取り組んでいただきたいと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。残念ですがちょうど時間になりました。福井委員、最後にどうぞ。

【福井委員】すみません、その他で1点だけ。申し訳ありません。本日の議題ではないのですが、前回の議題で国際競技力の向上とスポーツ人材の育成の確保があったのですが、その後に鈴木長官から鈴木プランを出していただいたので、これだけ1点だけどうしても述べたくて済みません。

 本当にありがとうございます。オールジャパン体制で臨むことができると思います。9ページに要旨が書いてあるのですが、これは全て関連していると思うのです。例えば、人材発掘にしても、女性だったら女性アスリートの評価になりますし、その人材発掘の場面には5番のようにハイパフォーマンスディレクターがいかないといけないし、これは全てが関連していて、全てが、役割がきちんと分担できていて、そこで効率良く時間が使えて、それが効果的な支援に大きくつながると思います。何を申し上げたいかと言うと、常に情報共有して、情報が1か所に集まってそこでうまく話し合いができて、役割がしっかりということがものすごく大切だと思うのです。もうスタートしてしまっているものもあるのですが、新しくスタートする前にある程度話し合いをもっともっと積んでやると、より効果的な役割でみんなが活躍できるのではないかと思って、それがどうしても申し上げたくて、是非このプランを最大限に生かしてオールジャパン体制で2020以降に向けて覚悟を持って挑戦したいと思っています。

【友添部会長】  ありがとうございます。いい機会ですので、鈴木プランを是非熟読をお願いしたいと思います。

 それでは、残念ですけれども、本日はこれで終了にしたいと思います。皆様から頂きました御意見は、今後の検討に必ず活かせる方向で進めてまいりたいと思っています。

 最後になりましたけれども、鈴木長官から御挨拶をお願いします。

【鈴木スポーツ庁長官】  本日も皆さん、大変お忙しい中、ありがとうございました。本当に多くの意見を頂きまして、またまた勉強になりました。今の鈴木プランの話であれば、更に忙しくなってしまうのですが、もっともっと皆さんと是非集まって協議したいと思っています。

 本日は毎回言っていますけれども、日本のスポーツの今後の方向性を決める大変重要な会議で、本日もいろいろな項目にわたってお話を頂いたのですが、とてもじゃないですけれども、話し尽くせないと思うのです。本日だけだって福祉や健康問題とか、共生社会とか、外交、国際問題だとか、道徳、倫理、ビジネス、経済、地方創生、政治や教育。スポーツを媒介にしていろいろな話をしているのですが、とてもじゃないですけれども、議論を尽くせないと思いますので、もしもっと言い足りなかったことがあるとか、これについてこう思ったとか、あの意見を聞いてこう思ったというのを、どんどんメール等で出していただきたいと思っています。

 この数週間、国民体育大会の開会式や閉会式等もありまして、私も行かせていただきましたけれども、50年に一遍、これはミニオリンピックみたいなものをやっているものですね。そして一昨日、羽根田選手とコーチが来ました。スロバキア人のコーチに「何か言いたいことがありますか」と言ったら、いろいろお話ししていたのですけれども、「日本のスポーツの環境はまだまだ全然だ」という言うわけです。「よくこんな環境で羽根田がメダルを獲れたな。これは奇跡みたいな話だ」ということなのです。その国体の話とカヌーの話で言えば、50年に一遍、国体を各地域でやっているというのはすごいことで、こんな環境にも関わらず、カヌーでメダルを獲る。これはこれでまた能力もありましたけれども、それぞれすごいことだなと思っていまして、それぞれがまだまだ力を持っているのです。それをまだ連携させていないだけだということと、まだまだ知恵を絞れば、いろいろな日本のスポーツの振興に対してやり方とかあるのですね。ですから、この中でもっともっとどんどん意見を頂きたいということをお願いして、私からは終わります。ありがとうございました。

【友添部会長】  ありがとうございました。

最後になりますが、次回の日程につきましては、事務局からお願いします。

【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。次回、第7回の基本計画部会になりますが、既に御案内しておりますとおり、10月27日木曜日の午前10時から開始いたします。場所は一橋大学一橋講堂で、第1回の部会を行いました学術総合センターのビルの2階になります。前回は1階でございますが、次回は2階になります。

 今後の進め方でございます。参考2とあります一枚紙を御覧いただければと思います。今後、これまで個別の論点について御議論いただきましたが、基本計画の中間報告案の取りまとめに向けた議論をこれから行ってまいりたいと思っております。順調にいけばということでございますが、12月下旬に総会と基本計画部会の合同会議を開きまして、中間報告案を、審議を頂いた上で決定という運びを考えてございます。その前段階ということで、3回、基本計画部会を開催してはどうかと思っております。10月、11月、12月にそれぞれ1回ずつ開こうと思っております。

 1回目が、次回になりますが、骨子案ということ。2回目、11月は素案ということ。3回目の12月が中間報告案ということでございます。骨子案、素案、中間報告案でございますが、骨子案は大体目次のようなものをお示しする予定でございます。全体構成について御審議賜れればと思います。素案というのは、大体こういうことを書くという項目、箇条書きのようなものをイメージしていただければと思いますが、おおむねこういった内容でと。最後、中間報告案は、取りまとめの文章そのものをお出しするということでできればと思っております。

 次回につきましては骨子案ということで、全体の構成並びに8月29日に合同会議で御議論いただきましたスポーツ基本計画の総論部分、スポーツの価値についてということで、こちらはある程度案文という形でお示しさせていただきたいと思います。実質、総論についての案文の御審議と、全体構成案についての御審議とその2本立てで次回の会議を開催させていただきたいと思っております。年末に向けてタイトな日程になりますが、何とぞ御協力よろしくお願い致します。

事務局からは以上でございます。

【友添部会長】  それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

 

―― 了

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(スポーツ庁政策課)